【解決手段】移動属性設定装置1は、移動体の移動可能領域を示す地図情報が記憶される地図情報記憶部11と、地図情報を表示する表示部13と、表示された地図情報に含まれる図形の選択と、選択された図形に対応する属性であり、移動体の移動に関する属性である移動属性とを受け付ける受付部14と、地図情報において、受付部14によって選択が受け付けられた図形に、図形に対応する移動属性を設定する移動属性設定部15とを備える。その移動属性の設定された地図情報を用いて移動体の移動経路を取得することにより、進入禁止や移動方向などの実空間における状況を、移動経路の取得に反映させることができる。その結果、移動体の適切な移動を実現することができる。
前記移動属性設定部は、前記受付部による移動属性の受け付けに応じた前記地図情報における移動属性の設定を行う前に、当該地図情報に含まれる各図形に障害物の移動属性を設定する、請求項1または請求項2記載の移動属性設定装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明による移動属性設定装置について、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素及びステップは同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。本実施の形態による移動属性設定装置は、移動体の移動可能領域を示す地図情報に含まれる図形に対して、進入禁止等の移動属性を設定するものである。
【0015】
図1は、本実施の形態による移動属性設定装置1の構成を示すブロック図である。本実施の形態による移動属性設定装置1は、地図情報記憶部11と、地図情報受付部12と、表示部13と、受付部14と、移動属性設定部15と、移動経路取得部16と、出力部17とを備える。
【0016】
地図情報記憶部11では、移動体の移動可能領域を示す地図情報が記憶される。この地図情報は、移動経路取得部16による移動体の移動経路の取得に用いられるものである。したがって、地図情報によって、移動体の移動可能領域が示されることになる。すなわち、地図情報において、移動体が移動できる箇所と、移動できない箇所とが区別可能になっているものとする。その地図情報は、例えば、移動体の移動領域における障害物の領域を示す情報であってもよい。障害物の領域は、例えば、障害物の位置と大きさとによって示されてもよく、障害物の境界線や輪郭線によって示されてもよい。障害物とは、移動体が移動する領域に継続的または一時的に存在する、移動体の移動の障害となるものであり、例えば、柱や壁、載置物等であってもよい。その地図情報は、例えば、柱や壁等を示す地図の情報であると考えてもよい。例えば、移動経路取得部16によって状態空間探索法による移動経路の取得が行われる場合には、地図情報は、そのように移動体の移動可能領域を示すものであればよいことになる。一方、例えば、移動経路取得部16によってノード探索法による経路の演算が行われる場合には、地図情報には、ノード探索で用いられるノードやリンクも含まれていることが好適である。ノード探索で用いられる地図情報は、例えば、カーナビゲーションで用いられるKIWIフォーマットの地図情報であってもよく、ノード探索を行うことができる他のフォーマットの地図情報であってもよい。また、地図情報に含まれる図形には、移動体の移動に関する属性である移動属性を設定することができるようになっているものとする。その移動属性の設定については後記する。また、地図情報は、例えば、ラスタ画像の情報であってもよく、ベクタ画像の情報であってもよい。本実施の形態では、地図情報がラスタ画像の情報である場合について主に説明し、地図情報がベクタ画像の情報である場合については後記する。また、地図情報は、例えば、建物内などの屋内の地図情報であってもよく、屋外の地図情報であってもよい。また、屋内の地図情報は、例えば、工場等の地図情報であってもよい。また、地図情報は、例えば、監視対象の領域や清掃対象の領域の地図情報であってもよい。
【0017】
移動体は、例えば、走行する走行体や、飛行する飛行体であってもよい。また、移動体は、例えば、台車であってもよく、ロボットであってもよい。ロボットは、例えば、エンターテインメントロボット、監視ロボット、搬送ロボット、清掃ロボット等であってもよい。また、飛行体は、例えば、回転翼機(例えば、ヘリコプターや、3個以上の回転翼を有するマルチコプター等)、飛行機、飛行船等であってもよい。マルチコプターは、例えば、4個の回転翼を有するクワッドロータであってもよい。本実施の形態では、移動体が搬送台車である場合について主に説明する。なお、移動体が走行体である場合には、地図情報は、例えば、2次元平面に関する地図情報であってもよい。一方、移動体が飛行体である場合には、地図情報は、例えば、3次元空間に関する地図情報であってもよい。
【0018】
地図情報記憶部11での記憶は、RAM等における一時的な記憶でもよく、または、長期的な記憶でもよい。地図情報記憶部11は、所定の記録媒体(例えば、半導体メモリや磁気ディスク、光ディスクなど)によって実現されうる。なお、本実施の形態では、地図情報が地図情報受付部12によって地図情報記憶部11に蓄積される場合について説明する。
【0019】
地図情報受付部12は、地図情報を受け付け、その受け付けた地図情報を地図情報記憶部11に蓄積する。地図情報受付部12が受け付ける地図情報は、例えば、CADデータ等がラスタ画像やベクタ画像などの地図情報に変換されたものであってもよく、手作業で作成されたものであってもよく、その他の方法によって用意されたものであってもよい。地図情報受付部12によって受け付けられた地図情報に含まれる各図形は、障害物に対応していてもよく、障害物以外のもの(例えば、物品の放置禁止区域や、材料や製品、使用済パレット等の置き場所など)に対応していてもよい。地図情報受付部12は、例えば、有線または無線の通信回線を介して送信された情報を受信してもよく、所定の記録媒体(例えば、光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)から読み出された情報を受け付けてもよい。なお、地図情報受付部12は、受け付けを行うためのデバイス(例えば、モデムやネットワークカードなど)を含んでもよく、または含まなくてもよい。また、地図情報受付部12は、ハードウェアによって実現されてもよく、または所定のデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
【0020】
表示部13は、地図情報記憶部11で記憶されている地図情報を表示する。なお、表示部13は、地図情報に含まれる図形を、その図形に対して設定されている移動属性ごとに視覚的に区別可能なように表示してもよい。視覚的に区別可能なように表示するとは、例えば、異なる色で表示することであってもよく、異なる種類の線(例えば、実線、波線、破線、一点鎖線等)や異なる種類の網掛け等で表示することであってもよい。また、表示部13は、地図情報以外の表示を行ってもよい。例えば、移動属性の設定等に用いられるメニューやボタン等を表示してもよい。また、表示部13は、表示を行う表示デバイス(例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなど)を含んでもよく、または含まなくてもよい。また、地図情報等の表示は、移動属性設定装置1と別の装置においてなされてもよい。その場合には、表示部13は、移動属性設定装置1の外部に、地図情報等の表示に用いられる情報を出力するものであってもよい。すなわち、表示部13による地図情報等の表示は、地図情報等の表示に用いられる情報の出力を含んでいると考えてもよい。また、表示部13は、ハードウェアによって実現されてもよく、または表示デバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
【0021】
受付部14は、表示された地図情報に含まれる図形の選択と、その選択された図形に対応する移動属性とを受け付ける。地図情報に含まれる図形は、例えば、地図情報に含まれる既存の図形であってもよく、図形の選択時に生成された図形であってもよい。後者の場合には、例えば、生成された図形が選択された図形とみなされてもよい。既存の図形の選択は、例えば、既存の図形をマウスでクリックしたり、既存の図形の位置や範囲をマウスでドラッグしたりすることによって行われてもよい。また、1個の図形が選択されてもよく、または、2個以上の図形が一括して選択されてもよい。図形の選択は、例えば、公知の画像処理ソフトにおける図形の選択と同様に行われてもよい。選択の対象となる図形は、例えば、点状の図形、線状の図形、面状の図形、及びそれらの組み合わせから選ばれる少なくとも1種であってもよい。線状の図形は、例えば、線分等のように直線状の図形であってもよく、円弧等のように曲線状の図形であってもよい。面状の図形は、例えば、多角形状の図形や円形状の図形、楕円形状の図形、その他の2次元の広がりを持った図形であってもよい。なお、ある移動属性の設定されている面状の図形が、輪郭で構成される図形である場合、すなわち、塗りつぶされていない図形である場合に、その図形の輪郭の内部についても、その移動属性が設定されていると考えてもよく、または、そうでなくてもよい。前者の場合には、輪郭で構成される面状の図形に設定されている移動属性の範囲と、同じ位置に存在する、塗りつぶされている面状の図形に設定されている移動属性の範囲とは同じになり、後者の場合には、両範囲は異なることになる。移動属性は、選択された図形に対応する属性であり、移動体の移動に関する属性である。受付部14によって受け付けられた移動属性は、移動属性設定部15によって、地図情報における選択された図形に設定されることになる。移動属性は、例えば、障害物、進入禁止、移動方向、停止禁止、作業禁止、警戒、待避から選ばれる少なくとも1種であってもよい。各移動属性については後記する。移動属性は、例えば、移動経路の探索に用いられる属性であってもよい。その場合には、地図情報の図形に設定されている移動属性に応じて、取得される移動経路の通過地点が決定されることになる。例えば、移動属性が、進入禁止である場合には、その進入禁止が設定されている図形の位置を通過しないように移動経路が取得されることになる。また、例えば、移動経路が移動方向である場合には、特定の移動方向が設定されている図形の位置を移動経路が通過するときには、その特定の移動方向となるように移動経路が取得されることになる。また、移動属性は、例えば、移動経路に付加される属性であってもよい。その場合には、地図情報の図形に設定されている移動属性に応じて、取得される移動経路に付加される情報が決定されることになる。例えば、停止禁止の移動属性が設定されている領域を通過する移動経路が取得される場合には、その領域に対応する移動経路の範囲において、移動体の停止が禁止される旨が移動経路に含まれることになる。そして、その移動経路に応じて移動体が移動する際には、移動体の停止が禁止されている範囲においては、移動体が停止されないように制御されるものとする。このように、移動属性は、移動経路の取得時に用いられるルールや、移動経路に沿った移動体の移動時に用いられるルールであると考えてもよい。
【0022】
受付部14は、移動体の出発地及び目的地をも受け付けてもよい。その移動体の出発地及び目的地は、移動経路取得部16における移動経路の取得に用いられてもよい。移動体の出発地は、例えば、移動体の現在位置であってもよい。また、受付部14が出発地や目的地を受け付ける方法は問わない。受付部14が受け付ける出発地等は、例えば、出発地等を示す座標(例えば、緯度・経度や、移動体の移動領域の座標系における座標値等)によって示されてもよく、地図上で指定されてもよい。後者の場合には、地図上において、出発地や目的地の位置の指定が受け付けられてもよい。
【0023】
また、受付部14は、その他の受け付けを行ってもよい。例えば、受付部14は、地図情報の表示の指示等を受け付けてもよい。受付部14は、例えば、入力デバイス(例えば、キーボードやマウス、タッチパネルなど)から入力された情報を受け付けてもよく、有線または無線の通信回線を介して送信された情報を受信してもよく、所定の記録媒体(例えば、光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)から読み出された情報を受け付けてもよい。なお、受付部14は、受け付けを行うためのデバイス(例えば、入力デバイスやネットワークカードなど)を含んでもよく、または含まなくてもよい。また、受付部14は、ハードウェアによって実現されてもよく、または所定のデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
【0024】
移動属性設定部15は、図形の選択と、その図形に対応する移動属性とが受付部14によって受け付けられた場合に、地図情報において、その選択された図形に、その図形に対応する移動属性を設定する。選択された図形とは、受付部14によって選択が受け付けられた図形のことである。なお、地図情報において、その地図情報に含まれる図形と、その図形に対応する移動属性との対応関係が分かるのであれば、図形に対する移動属性の設定方法は問わない。例えば、移動属性設定部15は、地図情報において、図形に対応付けて移動属性を追加してもよく、図形の識別子と移動属性とを対応付けて蓄積してもよく、図形に関する情報(例えば、色やグレースケールの情報等)を、移動属性を示す情報として用いてもよく、その他の方法によって移動属性の設定を行ってもよい。移動属性設定部15による図形に対する具体的な移動属性の設定方法については後記する。また、2個以上の図形が一括して選択された場合には、移動属性設定部15は、その2個以上の各図形に対して、受け付けられた移動属性を設定してもよい。また、移動属性設定部15は、受付部14による移動属性の受け付けに応じた地図情報における移動属性の設定を行う前に、地図情報に含まれる各図形に障害物の移動属性を設定してもよい。例えば、地図情報受付部12によって受け付けられた地図情報が地図情報記憶部11に蓄積された直後に、地図情報に含まれる各図形に障害物の移動属性が設定されてもよい。このようにすることで、地図情報に含まれる初期の図形をすべて障害物にすることができる。
【0025】
移動経路取得部16は、移動属性設定部15によって移動属性の設定された地図情報を用いて、受付部14によって受け付けられた出発地から目的地までの移動体の経路であり、地図情報における図形ごとの移動属性に応じた経路である移動経路を取得する。その移動経路は、あらかじめ設定されている経路ではなく、演算された経路である。移動属性に応じた移動経路を取得するとは、例えば、移動属性が移動経路の探索に用いられる属性である場合に、移動経路取得部16が、その移動属性を用いて、移動経路の通過地点を決定することであってもよく、移動属性が移動経路に付加される属性である場合に、移動経路取得部16が、その移動属性に応じた情報の付加された移動経路を取得することであってもよい。移動経路取得部16は、例えば、状態空間探索法によって移動経路を探索してもよく、または、ノード探索法によって移動経路を探索してもよい。状態空間探索法によって経路探索を行う場合には、移動経路取得部16は、移動体の移動可能領域を示す地図情報を用いて、例えば、RRT、ラプラスポテンシャル法、熱ポテンシャル法等の公知のアルゴリズムを用いて経路の探索を行ってもよい。状態空間探索法では、あらかじめノード等の設定されていない空間において、障害物を回避するように移動経路が取得されることになる。なお、RRTについては、例えば、上記非特許文献1を参照されたい。また、RRTによって経路探索が行われる場合には、地図情報がラスタ画像であるほうが、経路探索の負荷がより軽くなる。
ノード探索法によって経路探索を行う場合には、移動経路取得部16は、あらかじめノードやリンクの設定されている地図情報を用いて、例えば、ダイクストラ法、A*アルゴリズム、ベルマン−フォード法、ワーシャル−フロイド法等の公知のアルゴリズムを用いて経路の探索を行ってもよい。ノード探索法では、あらかじめ定められたノードをつなげた移動経路が取得されることになる。
【0026】
また、移動経路取得部16は、移動体の移動経路を取得する際に、移動体の方向を示す方向情報を含めて移動経路を取得してもよい。その方向情報は、例えば、経路上の位置に対応する情報であり、その位置における移動体の方向を示す情報であってもよい。すなわち、移動経路上の各位置について、方向情報が設定されてもよい。その方向情報は、例えば、方位角の情報であってもよく、方位角と仰俯角との情報であってもよく、ロール・ピッチ・ヨー角やオイラー角の情報であってもよい。すなわち、方向情報は、2次元平面における方向を示す情報であってもよく、3次元空間における方向を示す情報であってもよく、3次元空間(ワールド座標系)における3次元空間(移動体のローカル座標系)の方向を示す情報であってもよい。例えば、移動経路取得部16は、移動体の前方が進行方向を向くように方向情報を含む移動経路を取得してもよい。また、例えば、移動体が監視ロボットである場合には、移動経路取得部16は、移動体の有するカメラ等が監視対象を向くように方向情報を含む移動経路を取得してもよい。
また、出発地と目的地が地図上における指定によって受け付けられた場合には、移動経路取得部16は、その指定された地図上の位置を、その位置に対応する座標に変換して用いてもよい。
また、移動経路取得部16は、例えば、移動経路を演算することによって取得してもよく、または、経路を演算するサーバ等に移動経路の演算の指示を送信し、その送信に応じて移動経路の演算結果を受信することによって移動経路を取得してもよい。本実施の形態では、前者の場合、すなわち移動経路取得部16によって移動経路の生成が行われる場合について主に説明する。
【0027】
出力部17は、移動経路取得部16によって取得された移動経路を出力する。なお、その移動経路の出力の際に、出力部17は、その移動経路の取得に用いられた地図情報も一緒に出力してもよい。そのようにして出力された地図情報は、例えば、移動体が移動経路に沿った移動を行う際に、既存の障害物と新たな障害物とを判別するためなどに用いられてもよい。ここで、この出力は、例えば、表示デバイス(例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなど)への表示でもよく、所定の機器への通信回線を介した送信でもよく、プリンタによる印刷でもよく、記録媒体への蓄積でもよく、他の構成要素への引き渡しでもよい。移動体に移動経路を渡す観点からは、出力は、送信や蓄積、他の構成要素への引き渡し等であることが好適である。なお、出力部17は、出力を行うデバイス(例えば、表示デバイスや送信デバイスなど)を含んでもよく、または含まなくてもよい。また、出力部17は、ハードウェアによって実現されてもよく、または、それらのデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
【0028】
ここで、具体的な移動属性、及びその移動属性に応じた移動経路の取得について説明する。
(1)障害物
障害物の移動属性が設定された図形は、地図情報において、移動体の移動できない箇所を示すことになる。例えば、移動体の移動領域に存在する壁や柱、載置物等が障害物に設定されてもよい。障害物の移動属性は、移動経路の探索に用いられる属性である。したがって、移動経路が取得される際には、その障害物の位置を通過しない移動経路が取得されることになる。具体的には、状態空間探索法による移動経路の取得が行われる場合には、障害物の移動属性が設定された図形の範囲には入らないように経路が取得されることになる。また、ノード探索法による移動経路の取得が行われる場合には、障害物の移動属性が設定された図形の範囲のノードは選択されないように経路が取得されることになる。
【0029】
(2)進入禁止
進入禁止の移動属性が設定された図形は、地図情報において、移動体が進入できない箇所を示すことになる。例えば、地図情報において、移動体に進入して欲しくない箇所に対応する図形に、進入禁止の移動属性が設定されてもよい。例えば、移動体が通過するのに不適切と考えられる箇所、例えば、ドアの開閉時にドアが通過する箇所に進入禁止が設定されてもよく、多くの人が通る箇所に進入禁止が設定されてもよい。進入禁止の移動属性は、移動経路の探索に用いられる属性である。したがって、移動経路が取得される際には、障害物の場合と同様に、その進入禁止の位置を通過しない移動経路が取得されることになる。なお、障害物が存在しない箇所であっても、進入禁止に設定することによって、障害物が存在する場合と同様の効果が得られることになる。
【0030】
(3)移動方向
移動方向の移動属性が設定された図形は、地図情報において、移動体が移動可能な方向を示すことになる。その移動属性は、その方向を示す情報を含んでいてもよい。方向は、例えば、地図情報に対して、上、下、左、右のように示されてもよく、北、南、西、東のように示されてもよく、方位角などの角度で示されてもよい。例えば、地図情報において、移動体が特定の方向にのみ移動して欲しい箇所に対応する図形に、その特定の方向に応じた移動方向が設定されてもよい。例えば、1個の移動体のみが通過できる程度の幅しかない通路が存在した場合に、その通路の位置の図形に、一方の方向を示す移動方向の移動属性が設定されてもよい。移動方向の移動属性は、移動経路の探索に用いられる属性である。したがって、移動方向に対応する図形の箇所を通過する移動経路が取得される際には、その移動方向によって示される方向に移動する移動経路のみが取得されることになる。具体的には、状態空間探索法による移動経路の取得が行われる場合には、移動方向の移動属性が設定された図形の範囲においては、設定されている移動方向に延びる経路のみが取得され、そうでない経路は取得されないことになる。また、ノード探索法による移動経路の取得が行われる場合には、移動方向の移動属性が設定された図形の範囲のノードの選択においては、設定されている移動方向に沿ったノード間の移動に応じた経路のみが取得され、そうでない経路は取得されないことになる。なお、移動方向によって示される方向と、その移動方向の移動属性が設定された図形の範囲において取得される移動経路の向きとは、厳密に同じであってもよく、または、ある程度の許容範囲があってもよい。後者の場合には、例えば、移動方向が「上」を示していても、上向きから所定の角度の範囲内(例えば、±30°の範囲内など)の向きの経路が、その移動方向の移動属性が設定されている図形の範囲において取得されてもよい。
【0031】
(4)停止禁止
停止禁止の移動属性が設定された図形は、地図情報において、移動体が停止できない箇所を示すことになる。例えば、消火栓や火災報知器等の緊急設備の周囲の箇所に対応する図形に、停止禁止の移動属性が設定されてもよい。停止禁止の移動属性は、移動経路に付加される属性である。したがって、停止禁止に対応する図形の箇所を通過する移動経路が取得される際には、停止禁止の箇所の分かる移動経路が取得されることになる。すなわち、取得された移動経路において、停止禁止の箇所の開始位置と終了位置とが分かるようになる。
【0032】
(5)作業禁止
作業禁止の移動属性が設定された図形は、地図情報において、移動体が作業を行うことができない箇所を示すことになる。移動体の作業とは、例えば、搬送ロボットについては、搬送対象の積み降ろしであってもよく、監視ロボットについては、周囲の撮影や撮影画像の解析であってもよく、清掃ロボットについては、清掃であってもよく、エンターテインメントロボットについては、人との対話などであってもよい。例えば、移動体が監視ロボットである場合に、撮影等の行われたくない箇所に対応する図形に、作業禁止の移動属性が設定されてもよい。作業禁止の移動属性は、移動経路に付加される属性である。したがって、作業禁止に対応する図形の箇所を通過する移動経路が取得される際には、作業禁止の箇所の分かる移動経路が取得されることになる。すなわち、取得された移動経路において、作業禁止の箇所の開始位置と終了位置とが分かるようになる。
【0033】
(6)警戒
警戒の移動属性が設定された図形は、地図情報において、移動体が警戒しながら移動する箇所を示すことになる。警戒は、例えば、速度を落として移動することであってもよく、赤色灯の点灯や特異な音出力等によって、周囲への注意喚起を行うことであってもよい。例えば、人通りの多い箇所に対応する図形に、警戒の移動属性が設定されてもよい。移動体と人との接触を回避するためである。警戒の移動属性は、移動経路に付加される属性である。したがって、警戒に対応する図形の箇所を通過する移動経路が取得される際には、警戒の箇所の分かる移動経路が取得されることになる。すなわち、取得された移動経路において、警戒の箇所の開始位置と終了位置とが分かるようになる。
【0034】
(7)待避
待避の移動属性が設定された図形は、移動体が周囲に存在する別の移動体を検知した場合に、その別の移動体が行き過ぎるまで待避する箇所を、地図情報において示すことになる。例えば、1個の移動体のみが通過できる程度の幅しかない通路が存在する場合に、その通路への出入り口付近の箇所に対応する図形に、待避の移動属性が設定されてもよい。具体的には、
図5で示されるように、破線の矩形図形の領域に対して、待避の移動属性が設定されていてもよい。その場合には、例えば、移動体501が、移動経路に沿った移動を行っている際に、待避の移動属性が設定されている領域内において、他の移動体502の存在を検知した時には、その移動体502が行き過ぎるまで、その位置で待ち、移動体502が行き過ぎた後に、移動経路に沿った移動を再開してもよい。待避の移動属性は、移動経路に付加される属性である。したがって、待避に対応する図形の箇所を通過する移動経路が取得される際には、待避の箇所の分かる移動経路が取得されることになる。すなわち、取得された移動経路において、待避の箇所の開始位置と終了位置とが分かるようになる。
【0035】
上記の各移動属性は、条件付きのものであってもよい。すなわち、ある条件が満たされた場合に、移動属性が意味を有することになってもよい。その条件は、例えば、移動体に関する条件であってもよく、移動体以外の条件であってもよい。具体的には、移動体に関する条件は、例えば、移動体のリフタが上がっていること、移動体のリフタが下がっていること、移動体のマニピュレータが基準となる位置に存在することなどであってもよい。より具体的には、条件付き移動属性は、リフタが上がっている場合には進入禁止というものであってもよい。また、進入禁止、移動方向の移動属性が条件付きである場合に、例えば、条件が満たされる場合にのみ、それらの移動属性が移動経路の探索に用いられてもよい。また、停止禁止、作業禁止、警戒、待避の移動属性が条件付きである場合に、例えば、移動経路に移動属性と共に条件も付加されてもよい。条件付きの移動経路に応じて移動する移動体は、その条件が満たされる場合にのみ、条件に応じた移動属性を考慮した移動を行うようにしてもよい。なお、条件に応じて障害物の有無が決まることは考え難いため、障害物については、条件は設定されなくてもよい。
【0036】
次に、移動属性設定装置1の動作について
図2のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS101)地図情報受付部12は、地図情報を受け付けたかどうか判断する。そして、地図情報を受け付けた場合には、ステップS102に進み、そうでない場合には、ステップS104に進む。
【0037】
(ステップS102)地図情報受付部12は、受け付けた地図情報を、地図情報記憶部11に蓄積する。
【0038】
(ステップS103)移動属性設定部15は、新たに蓄積された地図情報に含まれる各図形に障害物の移動属性を設定する。そして、ステップS101に戻る。
【0039】
(ステップS104)受付部14は、地図情報を表示する指示を受け付けたかどうか判断する。そして、地図情報を表示する指示を受け付けた場合には、ステップS105に進み、そうでない場合には、ステップS110に進む。
【0040】
(ステップS105)表示部13は、地図情報記憶部11で記憶されている地図情報を読み出して表示する。なお、ステップS104で受け付けられた表示の指示によって表示対象の地図情報が指定された場合には、表示部13は、その指定された地図情報を読み出して表示するものとする。
【0041】
(ステップS106)受付部14は、地図情報において図形の選択を受け付けたかどうか判断する。そして、図形の選択を受け付けた場合には、ステップS107に進み、そうでない場合には、図形の選択を受け付けるまでステップS106の処理を繰り返す。
【0042】
(ステップS107)受付部14は、移動属性を受け付けたかどうか判断する。そして、移動属性を受け付けた場合には、ステップS108に進み、そうでない場合には、移動属性を受け付けるまでステップS107の処理を繰り返す。なお、ステップS107で受け付けられる移動属性は、ステップS106で選択が受け付けられた図形に対応する移動属性である。
【0043】
(ステップS108)移動属性設定部15は、ステップS106で選択が受け付けられた図形に対して、ステップS107で受け付けられた移動属性を設定する。
【0044】
(ステップS109)移動属性設定部15は、移動属性の設定の処理を終了するかどうか判断する。そして、移動属性の設定の処理を終了する場合には、ステップS101に戻り、そうでない場合には、ステップS105に戻る。なお、ステップS105に戻った場合には、ステップS108で新たに設定された移動属性に応じた地図情報の表示が行われてもよい。また、移動属性設定部15は、例えば、受付部14によって移動属性の設定の処理を終了する旨が受け付けられた場合に、移動属性の設定の処理を終了すると判断してもよい。
【0045】
(ステップS110)受付部14は、移動体の出発地及び目的地を受け付けたかどうか判断する。そして、出発地等を受け付けた場合には、ステップS111に進み、そうでない場合には、ステップS101に戻る。
【0046】
(ステップS111)移動経路取得部16は、ステップS110で受け付けられた出発地から目的地までの移動経路を、地図情報記憶部11で記憶されている地図情報を用いて取得する。その移動経路の取得の際には、地図情報の各図形に設定されている移動属性が用いられることになる。
【0047】
(ステップS112)出力部17は、移動経路取得部16が取得した移動経路を出力する。そして、ステップS101に戻る。
なお、
図2のフローチャートにおける処理の順序は一例であり、同様の結果を得られるのであれば、各ステップの順序を変更してもよい。例えば、ステップS106とステップS107との順序を入れ替えてもよい。また、
図2のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
【0048】
次に、本実施の形態による移動属性設定装置1の動作について、具体例を用いて説明する。この具体例では、ラスタ画像であるビットマップの地図情報が受け付けられ(ステップS101)、地図情報記憶部11に蓄積されたとする(ステップS102)。また、その地図情報では、各図形に対して障害物の移動属性が設定されたものとする(ステップS103)。
図3Aは、そのようにして障害物の移動属性が設定された地図情報の一例を示す図である。
図3Aにおいて、(X,Y)は、地図情報の各画素の座標である。また、移動属性として、障害物、進入禁止、移動方向、停止禁止、作業禁止、警戒1、警戒2、待避が存在する。なお、警戒1は、速度を低下して移動することに対応し、警戒2は、周囲への注意喚起を行うことに対応しているものとする。また、移動方向では、上、下、左、右のいずれかが指定されることになる。また、各画素に対応するある移動属性のフラグが「1」に設定されている場合には、その移動属性が設定されていることになり、フラグが「0」に設定されている場合には、その移動属性が設定されていないことになる。また、ビットマップ画像においては、例えば、各画素に24ビットや8ビットの情報を持たせることができる。したがって、その各画素の情報を用いて、
図3Aで示されるように、移動属性を設定することができる。したがって、この場合には、図形に関する情報(例えば、24ビットのカラーの情報や8ビットのグレースケールの情報等)を、移動属性を示す情報として用いていることになる。なお、移動属性のすべての値が「0」である画素は、背景色の画素であると考えてもよい。また、例えば、移動属性として障害物が設定されている画素は「黒」、進入禁止が設定されている画素は「赤」などのように、各移動属性が色に対応していてもよい。例えば、インデックスカラーと同様に、カラーマップを用いて、移動属性と表示色との対応関係を指定するようにしてもよい。
【0049】
移動属性設定装置1の操作者が、マウス等を操作することによって、
図3Aの地図情報を表示する旨の指示を入力したとする。すると、その表示指示は受付部14で受け付けられ、表示部13に渡される(ステップS104)。表示指示を受け取ると、表示部13は、
図3Aの地図情報を地図情報記憶部11から読みだし、
図4Aで示されるように表示する(ステップS105)。なお、
図4Aにおいて、障害物の図形を太線で示しているが、上記のとおり、障害物の図形には特定の色が割り当てられていてもよい。なお、
図4Aにおいて、地図情報の右上の図形F101は、障害物に対応する図形ではなく、工場への出入り口付近であるため、物品等の放置が禁止されている箇所を示している図形であったとする。そのため、操作者が、マウスを操作することによって地図情報の図形F101を選択し、プルダウンメニューから移動属性「進入禁止」を選択したとする。すると、受付部14により、その図形F101の選択と、移動属性「進入禁止」とが受け付けられ、移動属性設定部15に渡される(ステップS106,S107)。移動属性設定部15は、図形F101の移動属性を「障害物」から「進入禁止」に変更する(ステップS108)。
図3Aにおいて、(A201,B201),(A202,B201)等が図形F101に対応する画素であるとすると、移動属性設定部15は、
図3Bで示されるようにそれらの画素に対応する移動属性を変更する。具体的には、移動属性設定部15は、図形F101に対応する各画素について、障害物のフラグを「0」に設定し、進入禁止のフラグを「1」に設定する。その後、移動属性の設定を継続するかどうかを問い合わせるダイアログが表示され、それに応じて操作者が「継続」を選択したとする(ステップS109)。すると、表示部13は、変更後の地図情報を
図4Bで示されるように表示する(ステップS105)。
図4Bでは、図形F101が、障害物の設定されている図形とは視覚的に区別可能に表示されているものとする。
【0050】
その後、操作者が、矩形の図形を生成するツールを用いて、
図4Cで示されるように、図形F102を生成して、移動属性「移動方向(左)」を選択し、図形F103,F104を生成して、移動属性「警戒1」をそれぞれ選択したとする。すると、その操作者による操作に応じて、各図形への移動体の設定が行われ、地図情報が
図3Cで示されるようになる(ステップS106〜S109)。なお、
図3Cにおいて、(A301,B301)等が図形F102に対応する画素であり、(A401,B401)等が図形F103,F104に対応する画素であるとする。
【0051】
上記の移動属性の設定が終了された後に、操作者が、出発地と目的地とを入力したとする。その出発地等は、例えば、座標値によって入力されてもよく、地図における位置の指定によって入力されてもよい。その出発地と目的地とは受付部14で受け付けられ、移動経路取得部16に渡される(ステップS110)。出発地と目的地とを受け取ると、移動経路取得部16は、地図情報記憶部11で記憶されている地図情報を用いて、移動経路を取得する(ステップS111)。その取得された移動経路は、出力部17によって出力されることになる(ステップS112)。例えば、操作者が、
図4Dで示される出発地S1と目的地G1とを指定した場合には、移動経路取得部16は、移動経路P1を生成してもよい。なお、地図情報の図形F102の箇所には移動属性「移動方向(左)」が設定されており、左向きにしか移動できないため、移動経路P1は、その箇所を通らない経路となっている。また、例えば、操作者が、
図4Eで示される出発地S2と目的地G2とを指定した場合には、移動経路取得部16は、移動経路P2を生成してもよい。なお、地図情報の図形F103の箇所では、移動属性「警戒1」が設定されているため、移動経路P2のうち、その箇所に対応する範囲には、警戒1の移動属性が付加されることになる。
【0052】
ここで、移動経路への移動属性の付加について簡単に説明する。
図6で示されるように、地図情報の出発地S0から目的地G0までの移動経路P0が、移動属性「警戒1」の設定された箇所と、移動属性「停止禁止」の設定された箇所とを通過しているとする。そして、移動経路P0における移動属性「警戒1」の開始位置の座標と、終了位置の座標とがそれぞれ(X1010,Y1010),(X1015,Y1015)であったとする。また、移動経路P0における移動属性「停止禁止」の開始位置の座標と、終了位置の座標とがそれぞれ(X1090,Y1090),(X1095,Y1095)であったとする。すると、移動経路取得部16が取得した移動経路では、例えば、
図7で示されるように、移動経路を構成する座標(X1011,Y1011)〜(X1015,Y1015)に対して警戒1に対応するタグ<caution1>が設定され、座標(X1091,Y1091)〜(X1095,Y1095)に対して停止禁止に対応するタグ<no stopping>が設定されることになる。なお、
図7で示される移動経路に応じて移動する際には、ある座標から次の座標までの補間がなされる場合に、その補間された各座標には、目的地に近い側の座標に設定されている移動属性が対応するものとする。したがって、例えば、座標(X1010,Y1010)と、(X1011,Y1011)との間の補間された各座標には、目的地に近い側の(X1011,Y1011)に設定されている移動属性「警戒1」がそれぞれ対応することになる。そのため、移動体が(X1010,Y1010)から(X1015,Y1015)までを通過する場合には、速度が低下されることになる。なお、速度を低下するとは、例えば、速度の最大値を通常よりも低く設定することであってもよい。また、
図7では、移動経路に座標値と、移動属性に応じたタグとが含まれる場合について示しているが、移動経路には、各座標値に対応する移動体の方向を示す方向情報が含まれてもよい。
【0053】
なお、上記説明では、地図情報がビットマップ画像である場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、地図情報はベクタ画像であってもよい。その場合には、地図情報は、例えば、
図8Aで示されるものであってもよい。
図8Aにおいて、図形を識別する図形IDと、図形情報と、移動属性とが対応付けられている。図形情報では、図形を構成する座標が示されている。図形ID「F001」に対応する図形は、2点(A501,B501),(A502,B502)を結ぶ線分であり、その線分には移動属性「障害物」が設定されている。また、図形ID「F002」に対応する図形は、4点(A601,B601),(A602,B602),(A603,B603),(A604,B604)を結ぶ四角形であり、その四角形には移動属性「進入禁止」が設定されている。このように、地図情報がベクタ画像である場合には、そのベクタ画像に含まれる各図形に対応付けて移動属性が追加されて記憶されていてもよい。
【0054】
また、移動属性は、移動体の種類ごとに設定されてもよい。移動体の種類とは、例えば、移動体の行う作業の種類(例えば、搬送、監視、清掃等)であってもよく、移動体の移動方式の種類(例えば、走行、飛行等)であってもよく、移動体の大きさの種類(例えば、大型、中型、小型等)であってもよく、移動体に関するその他の種類であってもよい。移動属性が移動体の種類ごとに設定される場合には、受付部14は、地図情報に含まれる図形の選択や移動属性と共に、その移動属性に対応する移動体の種類を示す種類識別子をも受け付けることになる。そして、移動属性設定部15は、移動属性を設定する際に、その移動属性に対応する種類識別子をも設定することになる。なお、結果として、設定された移動属性と種類識別子との対応が分かるのであれば、種類識別子についてどのような設定がなされてもよい。例えば、地図情報において、選択された図形に、移動属性と種類識別子との両方が設定されてもよく、種類識別子ごとに、選択された図形に移動属性が設定されてもよい。後者の場合には、例えば、
図3Cで示される地図情報が、種類識別子ごとに存在してもよい。その場合には、例えば、移動体の種類ごとに地図情報のレイヤが設定されていると考えることもできる。また、
図8Bで示されるように、各図形に対して、種類識別子と、移動属性との対応関係が設定されてもよい。
図8Bでは、例えば、図形ID「F001」に対応する図形には、種類識別子が設定されていないため、すべての種類の移動体について移動属性「障害物」が設定されていることになる。一方、図形ID「F002」に対応する図形には、種類識別子「大型」が設定されているため、図形ID「F002」に対応する図形については、種類識別子が「大型」である移動体についてのみ、移動属性「進入禁止」が設定されていることになる。
【0055】
また、種類識別子が設定されている地図情報を用いた移動経路の取得が行われる場合には、受付部14は、移動体の出発地及び目的地並びに移動体の種類を識別する種類識別子を受け付けてもよい。その種類識別子は、移動経路を取得する対象となる移動体の種類識別子である。移動経路取得部16は、移動属性設定部15によって移動属性の設定された地図情報を用いて、受付部14によって受け付けられた出発地から目的地までの移動体の経路であり、地図情報における図形ごとの移動属性であって、受付部14によって受け付けられた種類識別子に対応する移動属性に応じた経路である移動経路を取得する。すなわち、移動経路取得部16は、受付部14で受け付けられた種類識別子に対応する移動属性を用いて、移動経路を取得することになる。例えば、
図8Bで示される地図情報を用いて移動経路が取得される場合であって、受付部14において種類識別子「小型」が受け付けられたときには、図形ID「F001」の移動属性は、移動経路の取得において考慮されるが、図形ID「F002」,「F003」の移動属性は、移動経路の取得において考慮されないことになる。一方、受付部14において種類識別子「大型」が受け付けられたときには、図形ID「F001」,「F002」,「F003」の移動属性はすべて、移動経路の取得において考慮されることになる。このように、種類識別子も用いることによって、移動属性のより細かい設定を行うことができるようになり、より適切な移動経路の取得が可能となる。
【0056】
また、上記具体例では、地図情報に含まれる1個の図形に1個の移動属性を設定できる場合について説明したが、1個の図形に2個以上の移動属性を設定できてもよい。具体的には、ある図形に、停止禁止の移動属性と作業禁止の移動属性とが設定されてもよい。その場合には、その図形に対応する箇所を移動する移動経路が取得される際に、その箇所について停止禁止と作業禁止の移動属性が付加されることになる。
【0057】
以上のように、本実施の形態による移動属性設定装置1によれば、地図情報に含まれる図形に移動属性を設定することができる。したがって、そのような地図情報を用いて移動経路を取得することによって、移動属性を考慮した移動経路を取得を実現できる。そのため、例えば、進入禁止の設定されている箇所を通らない移動経路を取得したり、移動方向の設定されている箇所については、その移動方向に沿った方向に移動する移動経路を取得したり、停止禁止の設定されている箇所については、停止しない旨の情報の設定されている移動経路を取得したりすることができる。このようにして、移動体がより適切に移動するようになる移動経路を取得することができるようになる。
【0058】
なお、本実施の形態では、移動属性設定装置1において移動経路の取得も行う場合について説明したが,そうでなくてもよい。移動経路の取得は、他の装置等において行われてもよい。その場合には、移動属性設定装置1は、移動経路取得部16や出力部17を備えていなくてもよい。なお、移動経路の取得を行わない場合には、移動属性設定装置1は、移動属性設定部15によって移動属性の設定された地図情報を出力する出力部を備えていてもよい。そして、その出力先において、地図情報を用いた移動経路の取得が行われてもよい。その出力部は、出力対象が異なる以外、出力部17と同様のものであってもよい。
【0059】
また、本実施の形態では、移動属性設定部15が、移動属性の受け付けに応じた地図情報における移動属性の設定を行う前に、地図情報に含まれる各図形に障害物の移動属性を設定する場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、障害物の移動属性があらかじめ設定されている各図形を含む地図情報が地図情報受付部12によって受け付けられる場合には、移動属性設定部15によって、そのような障害物の移動属性の設定が行われなくてもよい。
【0060】
また、本実施の形態では、移動属性設定装置1が地図情報受付部12を備える場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、地図情報の記憶されている着脱可能な記録媒体が移動属性設定装置1に装着されることによって地図情報記憶部11が実現される場合には、移動属性設定装置1は、地図情報受付部12を備えていなくてもよい。
【0061】
また、上記実施の形態では、移動属性設定装置1がスタンドアロンである場合について説明したが、移動属性設定装置1は、スタンドアロンの装置であってもよく、サーバ・クライアントシステムにおけるサーバ装置であってもよい。後者の場合には、出力部や受付部は、通信回線を介して入力を受け付けたり、情報を出力したりしてもよい。
【0062】
また、上記実施の形態において、各処理または各機能は、単一の装置または単一のシステムによって集中処理されることによって実現されてもよく、または、複数の装置または複数のシステムによって分散処理されることによって実現されてもよい。
【0063】
また、上記実施の形態において、各構成要素間で行われる情報の受け渡しは、例えば、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に異なるものである場合には、一方の構成要素による情報の出力と、他方の構成要素による情報の受け付けとによって行われてもよく、または、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に同じものである場合には、一方の構成要素に対応する処理のフェーズから、他方の構成要素に対応する処理のフェーズに移ることによって行われてもよい。
【0064】
また、上記実施の形態において、各構成要素が実行する処理に関係する情報、例えば、各構成要素が受け付けたり、取得したり、選択したり、生成したり、送信したり、受信したりした情報や、各構成要素が処理で用いる閾値や数式、アドレス等の情報等は、上記説明で明記していなくても、図示しない記録媒体において、一時的に、または長期にわたって保持されていてもよい。また、その図示しない記録媒体への情報の蓄積を、各構成要素、または、図示しない蓄積部が行ってもよい。また、その図示しない記録媒体からの情報の読み出しを、各構成要素、または、図示しない読み出し部が行ってもよい。
【0065】
また、上記実施の形態において、各構成要素等で用いられる情報、例えば、各構成要素が処理で用いる閾値やアドレス、各種の設定値等の情報がユーザによって変更されてもよい場合には、上記説明で明記していなくても、ユーザが適宜、それらの情報を変更できるようにしてもよく、または、そうでなくてもよい。それらの情報をユーザが変更可能な場合には、その変更は、例えば、ユーザからの変更指示を受け付ける図示しない受付部と、その変更指示に応じて情報を変更する図示しない変更部とによって実現されてもよい。その図示しない受付部による変更指示の受け付けは、例えば、入力デバイスからの受け付けでもよく、通信回線を介して送信された情報の受信でもよく、所定の記録媒体から読み出された情報の受け付けでもよい。
【0066】
また、上記実施の形態において、移動属性設定装置1に含まれる2以上の構成要素が通信デバイスや入力デバイス等を有する場合に、2以上の構成要素が物理的に単一のデバイスを有してもよく、または、別々のデバイスを有してもよい。
【0067】
また、上記実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、または、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現され得る。その実行時に、プログラム実行部は、記憶部や記録媒体にアクセスしながらプログラムを実行してもよい。また、そのプログラムは、サーバなどからダウンロードされることによって実行されてもよく、所定の記録媒体(例えば、光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)に記録されたプログラムが読み出されることによって実行されてもよい。また、このプログラムは、プログラムプロダクトを構成するプログラムとして用いられてもよい。また、そのプログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、または分散処理を行ってもよい。
【0068】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。