【解決手段】電子機器10は、キートップ22を有する本体筐体16と、ヒンジ機構12L,12Rによって本体筐体16と回動可能に連結されたディスプレイ筐体14と、キートップ22を上面16aから前進動作する方向に付勢するラバードーム41と、本体筐体16とディスプレイ筐体14の回動動作に連動して本体筐体16内でスライドするXスライダ72を有し、Xスライダ72が一方向にスライドした場合にキートップ22をラバードーム41の付勢力に抗して上面16aから後退動作させる一方、反対側の他方向にスライドした場合にキートップ22を上面16aから前進動作させるキー押下機構26及びリンク機構56と、Xスライダ72を一方向にスライドする方向に付勢する補助弾性部材80を備える。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本開示に係る電子機器10の斜視図である。
図1は、ヒンジ機構12L,12Rによってディスプレイ筐体14を本体筐体16から開いたノート型PCでの使用形態とした状態を示す。
図2は、
図1に示す電子機器10の側面図である。
図3は、
図2に示す状態からディスプレイ筐体14を開き方向に回動させて360度位置としたタブレット型PCの使用形態での側面図である。
【0018】
本開示に係る電子機器10は、ノート型PC及びタブレット型PCとして使用可能なコンバーチブル型PCである。電子機器10は、ディスプレイ筐体14を本体筐体16に対して90度〜150度程度の角度位置に回動させた状態ではノート型PCとして好適に使用できる(
図1及び
図2参照)。電子機器10は、ディスプレイ筐体14を本体筐体16に対して360度位置まで回動させた状態ではタブレット型PCとして好適に使用できる(
図3参照)。本開示内容は、例えば携帯電話、スマートフォン又は電子手帳等の各種の電子機器に適用可能である。
【0019】
以下、
図1及び
図2に示すノート型PCでの使用形態を基準とし、ディスプレイ18を視認しながらキーボード装置20を操作する使用者から見た方向で、手前側を前側、奥側を後側と呼び、本体筐体16の厚み方向を上下方向、幅方向を左右方向と呼んで説明する。
【0020】
本体筐体16に対するディスプレイ筐体14の角度位置については、ディスプレイ筐体14を本体筐体16に対して完全に閉じた状態とし、互いの表面同士(内面14aと上面16a)、つまりディスプレイ18とキーボード装置20が対面した姿勢を0度位置(
図2中に一方の2点鎖線で示すディスプレイ筐体14参照)と呼ぶ。そして、この0度位置を基準として、ディスプレイ筐体14を開き方向に回動させる方向で角度を刻みながら説明する。例えばディスプレイ筐体14と本体筐体16とが直交した姿勢を90度位置と呼ぶ。内面14aと上面16aが同一方向(上方)を向いて互いに平行した姿勢を180度位置(
図2中に他方の2点鎖線で示すディスプレイ筐体14参照)と呼ぶ。ディスプレイ筐体14と本体筐体16の背面同士、つまりディスプレイ筐体14の外面14bと本体筐体16の下面16bが対面した姿勢を360度位置(
図3参照)と呼ぶ。これら0度位置、180度位置及び360度位置等の表記については、本体筐体16、ディスプレイ筐体14又はヒンジ機構12L,12Rの構造により、角度数字の示す正確な角度位置から多少ずれた角度位置となることも当然生じることもある。
【0021】
図1〜
図3に示すように、電子機器10は、ディスプレイ18を有するディスプレイ筐体(第2筐体)14と、キーボード装置20を有する本体筐体(第1筐体)16とを備える。ディスプレイ筐体14と本体筐体16は、左右一対のヒンジ機構12L,12R(以下、まとめて「ヒンジ機構12」と呼ぶこともある)によって0度位置から360度位置まで回動可能に連結されている。
【0022】
ディスプレイ筐体14は、ヒンジ機構12を通過した図示しないケーブルにより本体筐体16と電気的に接続されている。ディスプレイ18は、例えばタッチパネル式の液晶表示装置によって構成される。
【0023】
本体筐体16は扁平箱状に形成され、その後端縁部にヒンジ機構12が設けられている。本体筐体16の内部には、図示しない基板、演算装置及びメモリ等の各種電子部品が収納されている。キーボード装置20は、本体筐体16の上面16aに設けられている。
【0024】
キーボード装置20は、前後左右方向に並ぶように配列された複数のキースイッチ21と、各キースイッチ21の操作面を構成するキートップ(可動部材)22の周囲の隙間を埋めるフレーム24とを備える。本開示の場合、キーボード装置20は、隣接するキートップ22間がフレーム24によって区画され、それぞれが独立した構成からなるアイソレーション型の構造である。
【0025】
フレーム24は、各キースイッチ21のキートップ22を挿通させる複数の孔部24a(
図5A及び
図5B参照)が形成された枠状の板材である。フレーム24は、本体筐体16の上面16aと略面一又は多少低位置となるように取り付けられている。
【0026】
キーボード装置20は、0度位置及び360度位置において、キートップ22を通常操作時の使用位置よりも下方に押し下げた押下位置に保持するキー押下機構26を備える。これにより、電子機器10は、0度位置や360度位置でキートップ22が本体筐体16の上面16aから突出することが防止された薄型化構造となっている。
【0027】
キーボード装置20の略中央にはポインティングスティック20aが設けられている。ポインティングスティック20aは、マウスの代わりとして操作可能な入力手段であり、ディスプレイ18に表示されるカーソル(マウスポインタ)を操作することができる。キーボード装置20の側部には電源スイッチ27が設けられている。
【0028】
ここで、キーボード装置20の具体的な構成例を説明する。
【0029】
図4は、キーボード装置20のキースイッチ21及びその周辺部を拡大した斜視図である。
図5Aは、キートップ22が最も上方にある使用位置での側面図である。
図5Bは、
図5Aに示す状態からキートップ22がキー押下機構26によって押し下げられて最も下方となる押下位置とされた状態を示す側面図である。
【0030】
図4、
図5A及び
図5Bに示すように、キーボード装置20は、キートップ22をガイド機構28で上下動可能に支持したキースイッチ21と、キースイッチ21を上面側に支持するベースプレート30とを備える。ベースプレート30の上面側にはメンブレンシート32が積層され、ベースプレート30の下面側には防水シート34が貼着されている。なお、
図5A及び
図5Bではメンブレンシート32を省略して図示している。
【0031】
ベースプレート30は、薄いアルミニウム板等の金属板に切り起こし成形や打ち抜き成形を施したものであり、キースイッチ21の取付板となるものである。全てのキースイッチ21は、1枚のベースプレート30を共用している。フレーム24は、ベースプレート30の上面に設置される。
【0032】
メンブレンシート32は、ベースプレート30の上に積層されている。メンブレンシート32は、例えばトップ層及びボトム層からなる二層のシートである。メンブレンシート32には、クシ歯スイッチパターンが形成され、そこに導電体付きラバードーム41が接触することでスイッチ回路が形成される。メンブレンシート32を、押圧された場合に接点が閉じる三層構造のスイッチシートとしてもよい。メンブレンシート32は各所に貫通孔を有し、この貫通孔を通してガイド機構28がベースプレート30の上面に着地する。メンブレンシート32は、ベースプレート30の下に積層されてもよい。
【0033】
キートップ22は、ベースプレート30の上方にガイド機構28を介して配設される。キートップ22は、信号を入力するための操作部材である。キートップ22は樹脂等で成形され、平面視で略四角形状を有する。キートップ22は、操作面となる上面22aと、上面22aの4辺の縁部から下方に延びた側面22bとを有する。前側の側面22bには左右一対の突出片39が前方に向かって突出形成されている。後側の側面22bには左右一対の受け片40が後方に向かって突出形成されている。上面22a及び各側面22bで囲まれたキートップ22の内側空間は、ガイド機構28及びラバードーム41の設置空間となっている(
図5A参照)。
【0034】
突出片39は、側面22bから外方に突出した平面視略矩形形状の翼状部材である。突出片39は、フレーム24の天面に当接することでキートップ22の上方への抜け止め防止部材として機能する。突出片39はキートップ22の上動方向での最高高さ位置を規定する機能も有する。
【0035】
受け片40は、側面22bから外方に突出した平面視略矩形状の翼状部材である。受け片40は、キー押下機構26によるキートップ22の下方への押し下げ力を受ける部材である。受け片40は、突出片39と共に、キートップ22の上方への抜け止め防止部材としての機能とキートップ22の上動方向での最高高さ位置を規定する機能も兼ねる。
【0036】
ラバードーム41は、キートップ22が押下された場合にメンブレンシート32を押圧し、キートップ22の押下操作が解除された際にキートップ22を元の位置に復帰させる弾性部材である。ラバードーム41は、メンブレンシート32とキートップ22との間に配設されている。キートップ22は、ガイド機構28によって上下動可能にガイドされた状態で、ラバードーム41によって弾性支持されている。ラバードーム41は、シリコンゴム等、可撓性を有する弾性材料で形成されている。
【0037】
キースイッチ21では、キートップ22が押下操作されるとその操作力でラバードーム41が弾性変形すると共にメンブレンシート32が押圧され、メンブレンシート32は接点を閉じる。キートップ22への押下操作が解除されると、ラバードーム41の弾性復元力によってキートップ22が元の位置(使用位置)に戻り、メンブレンシート32が接点を開く。
【0038】
ガイド機構28は、キートップ22を上下動可能に支持するものであり、ベースプレート30とキートップ22との間に折り畳み可能に取り付けられている。本開示のガイド機構28は、筋交い状に取り付けられた内側枠42及び外側枠43を備えたパンタグラフ構造となっている。
【0039】
次に、各キースイッチ21のキートップ22を押下位置に保持するキー押下機構26の構成例を説明する。
【0040】
図6は、キー押下機構26の構成を模式的に示す平面図である。キー押下機構26は、回転軸部材(駆動部材)50と、押圧片52とを備える。
【0041】
図4〜
図6に示すように、回転軸部材50は、キーボード装置20の左右方向に並んだ各キートップ22の後側部に沿って延在しており、キーボード装置20の前後方向に複数並んでいる。各回転軸部材50は、例えばSUS材等で形成された硬質の線材(ワイヤ)であり、例えば直径1mm程度であって十分な剛性を有する。
【0042】
回転軸部材50は、キーボード装置20のフレーム24の下面側で該キーボード装置20の左右方向に亘って延在している。回転軸部材50の左右端部には、フレーム24の左右両側部から突出した駆動端部50aが設けられている。各駆動端部50aは、キーボード装置20の左右側部にそれぞれ設けられたZスライダ(第2スライド部材)54のスリット54aに回転可能な状態で係合している。Zスライダ54は後述するリンク機構56を構成するものであり、キーボード装置20の左右で前後方向にスライド可能である。
【0043】
図4、
図5A及び
図5Bに示すように、回転軸部材50は、キートップ22の後側部に沿って左右方向に延在する直線状の基部50bと、基部50bの両端に設けられた駆動端部50aとを有する。駆動端部50aは、基部50bの端部を90度屈曲させたアーム部50cの先端から90度屈曲させて形成されており、基部50bと平行するように左右方向へと突出している。その結果、回転軸部材50の両端部はクランク形状となっている。
【0044】
基部50bは、その左右方向の適宜箇所でベースプレート30又はフレーム24に設けられた軸受部58(
図4参照)によって回転可能に位置決め支持されている。これにより、左右のZスライダ54が前後方向に移動すると、駆動端部50aがZスライダ54のスリット54a内で回転しながら該Zスライダ54と共に前後方向に移動する。その結果、軸受部58で軸支された基部50bを回転中心としてアーム部50cが前後方向に振り子状に揺動しつつ、基部50bが軸周りに回転する(
図5A及び
図5B参照)。
【0045】
押圧片52は、回転軸部材50の基部50bの外周面に外嵌固着された取付筒体60から屈曲形成されることで、基部50bの外周面からキートップ22側へと突出している。取付筒体60は、かしめ固定やスポット溶接によって基部50bに固着される。押圧片52は、取付筒体60の外周面から突出した板片である。押圧片52は、各キートップ22の受け片40の上面に当接配置され、受け片40を下方に向かって押下可能である。
【0046】
キー押下機構26では、キートップ22が
図5Aに示す使用位置にある状態で、左右のZスライダ54が後方に移動し、これに伴って駆動端部50aが後方に移動すると、基部50bが軸周りに回転する。これにより、基部50bの外周面から突出した押圧片52が下方向に揺動してキートップ22の受け片40を押し下げ、キートップ22を強制的に押し下げる。その結果、キートップ22が
図5Bに示す押下位置に保持される。この押下位置では、キートップ22の上面22aがフレーム24の上面と面一又は僅かに低い位置となり、キーボード装置20の上面が凹凸のない平面状に構成される。
【0047】
一方、キートップ22が
図5Bに示す押下位置にある状態で、左右のZスライダ54が押下動作時とは逆の前方に移動すると、基部50bも押下動作時とは逆方向に回転する。これにより、押圧片52が上方向に揺動して受け片40に対する押圧作用が解除される。その結果、キートップ22はラバードーム41の付勢力によって上動し、
図5Aに示す使用位置に復帰する。
【0048】
キー押下機構26によるキートップ22の押下動作は、リンク機構56を介してヒンジ機構12と連係しており、ディスプレイ筐体14の回動角度位置に対応する。
【0049】
そこで、次にディスプレイ筐体14の回動動作とキー押下機構26とを連動させるヒンジ機構12及びリンク機構56の構成例を説明する。
【0050】
先ず、ヒンジ機構12の構成例を説明する。
【0051】
図7は、ヒンジ機構12の構成例を示す斜視図である。
図8Aは、0度位置(270度位置、360度位置)でのヒンジ機構12の構成例を模式的に示す平面図である。
図8Bは、70度位置〜180度位置でのヒンジ機構12の構成例を模式的に示す平面図である。
図7、
図8A及び
図8Bでは、左側のヒンジ機構12Lの構成を代表的に示している。以下、ヒンジ機構12として左側のヒンジ機構12Lを代表的に説明する。なお、右側のヒンジ機構12Rは左側のヒンジ機構12Lと左右対称構造である以外は同一構造のため、その詳細な説明は省略する。また、
図8A及び
図8Bでは、図面の見易さを確保するため、ヒンジ筐体64の回転動作は図示していない。
【0052】
図7〜
図8Bに示すように、ヒンジ機構12は、左右方向に延在する第1軸62と、第1軸62と平行して設置された第2軸63と、第1軸62及び第2軸63を回転可能に軸支して収納する箱状のヒンジ筐体64とを備える(
図2及び
図3も参照)。
【0053】
第1軸62は、一端部に固定された取付板62aが本体筐体16に固定されることで該本体筐体16と一体的に回転する。第2軸63は、一端部に固定された取付板63aがディスプレイ筐体14に固定されることで該ディスプレイ筐体14と一体的に回転する。第1軸62及び第2軸63の他端部はヒンジ筐体64の内部で回転可能な状態で支持されている。本開示の場合、第1軸62及び第2軸63は歯車列65を介して同期回転する構成となっている。
【0054】
第1軸62は、ヒンジ筐体64の外側となる部分の外周面に、筒状カム部材66が同軸配置されている。筒状カム部材66は、第1軸62の外周面上で該第1軸62に対して回転可能な状態で外挿されている。筒状カム部材66は、ヒンジ筐体64の一側部に固定された支持板68と一体的に設けられている。支持板68は、ヒンジ筐体64と一体的に設けられ、第1軸62及び第2軸63が回転可能に挿通する軸孔を有するプレート状部材である。第1軸62とヒンジ筐体64との間が相対回転すると、筒状カム部材66はヒンジ筐体64と一体となって第1軸62に対して相対回転する。
【0055】
筒状カム部材66は、第1軸62の軸方向に沿って順に、第1筒部66aと、中間筒部66bと、第2筒部66cとを有する。第1筒部66aの一方側の端面には第1カム面70が設けられている。第2筒部66cの他方側の端面には第2カム面71が設けられている。第1カム面70と第2カム面71とは互いに対向している。第1筒部66a、中間筒部66b及び第2筒部66cは、第1軸62の外周面に回転可能に且つ軸方向に移動不能な状態で外挿されている。第1筒部66a及び第2筒部66cは中間筒部66bよりも大径の外周面を有する。第1筒部66a及び第2筒部66cは中間筒部66bとの間の外径の段差部分に第1カム面70及び第2カム面71を有する。第1カム面70及び第2カム面71は周方向に沿って軸方向位置が変化する形状を有する。
【0056】
中間筒部66bの外周面には、Xスライダ(スライド部材)72の筒状連結部74が同軸配置されている。Xスライダ72は、第1軸62の外周面上で回転する筒状カム部材66によって押圧されて左右方向に移動する。Xスライダ72は、本体筐体16の内部で左右方向にスライド可能に支持されている。
【0057】
筒状連結部74は、第1カム面70と第2カム面71との間で中間筒部66bに対して回転可能に外挿されている。筒状連結部74は、第1軸62に対しては回転不能且つ軸方向に移動可能な状態で外挿されている。筒状連結部74は、第1カム面70に対向する端面に第1受圧面75を有し、反対側の第2カム面71に対向する端面に第2受圧面76を有する。第1受圧面75は、周方向に沿って軸方向位置が変化する面であり、第1軸62の外周面上で回転する第1カム面70と摺接可能である。第2受圧面76は、周方向に沿って軸方向位置が変化する面であり、第1軸62の外周面上で回転する第2カム面71と摺接可能である。筒状連結部74は、第1受圧面75又は第2受圧面76が第1カム面70又は第2カム面71によって押圧されることで、中間筒部66bの外周面上で左右方向に移動する。その結果、Xスライダ72が左右方向に移動する。
【0058】
図9A〜
図9Dは、筒状カム部材66とXスライダ72の筒状連結部74を周方向に展開して模式的に示した展開図である。
図9Aは0度位置での位置関係を示し、
図9Bは70度位置での位置関係を示し、
図9Cは180度位置での位置関係を示し、
図9Dは270度位置での位置関係を示している。
【0059】
図9A〜
図9Dに示すように、筒状カム部材66の第1カム面70は、その周方向に沿って順に、第1作動面70aと、第2作動面70bと、空振り面70cとを有する。第1作動面70a及び第2作動面70bは、周方向に沿って軸方向(左右方向)に螺旋状に変位する山形状の凸部を描くように形成されている。第1作動面70aは、
図9A中で左側から右側に向かう傾斜面である。第2作動面70bは、
図9A中で右側から左側に向かう傾斜面である。空振り面70cは、左右方向にずれがなく、周方向に沿って形成された面である。
【0060】
第1カム面70は、筒状連結部74の第1受圧面75と摺接可能に対向配置されている。第1受圧面75は、その周方向に沿って順に、第1受動面75aと、空振り面75bと、第2受動面75cとを有する。第1受動面75aは、
図9A中で右側から左側に向かう傾斜面である。第2受動面75cは、
図9A中で左側から右側に向かう傾斜面である。空振り面75bは、左右方向にずれがなく、周方向に沿った面である。
【0061】
筒状カム部材66の第2カム面71は、その周方向に沿って順に、第1作動面71aと、第1空振り面71bと、第2作動面71cと、第2空振り面71dとを有する。第1作動面71a、第1空振り面71b及び第2作動面71cは、周方向に沿って軸方向(左右方向)に螺旋状に変位する台形状の凹部を描くように形成されている。第1作動面71aは、
図9A中で左側から右側に向かう傾斜面である。第2作動面71cは、
図9A中で右側から左側に向かう傾斜面である。第1空振り面71b及び第2空振り面71dは、左右方向にずれがなく、周方向に沿った面である。
【0062】
第2カム面71は、筒状連結部74の第2受圧面76と摺接可能に対向配置されている。第2受圧面76は、その周方向に沿って順に、第1受動面76aと、空振り面76bと、第2受動面76cとを有する。第1受動面76aは、
図9A中で左側から右側に向かう傾斜面である。第2受動面76cは、
図9A中で右側から左側に向かう傾斜面である。空振り面76bは、左右方向にずれがなく、周方向に沿った面である。
【0063】
第1カム面70及び第1受圧面75は、0度位置から70度位置までの間は第1作動面70aが第2受動面75cに摺接する(
図9A参照)。70度位置から180度位置までの間は、第1作動面70aと第2作動面70bとの間の頂部が空振り面75bに摺接する(
図9B及び
図9C参照)。180度位置から270度位置までの間は、第2作動面70bが第1受動面75aに摺接する(
図9D参照)。270度位置から360度位置までの間は、空振り面70cが空振り面75bに摺接する(
図9D参照)。
【0064】
第2カム面71及び第2受圧面76は、0度位置から70度位置までの間は第1作動面71aが第1受動面76aに摺接する(
図9A参照)。70度位置から180度位置までの間は、第1空振り面71bが空振り面76bに摺接する(
図9B及び
図9C参照)。180度位置から270度位置までの間は、第2作動面71cが第2受動面76cに摺接する(
図9D参照)。270度位置から360度位置までの間は、第2空振り面71dが空振り面76bに摺接する(
図9D参照)。
【0065】
ディスプレイ筐体14を本体筐体16からヒンジ機構12を介して開き動作させる場合を説明する。
【0066】
この場合は、回動するヒンジ筐体64と一体的に回転する筒状カム部材66が、第1軸62及びこれと回転不能なXスライダ72の第1受圧面75及び第2受圧面76に対して相対回転する。その結果、0度位置から70度位置では、
図9A中で下方に移動する筒状カム部材66の第1カム面70の第1作動面70aが第1受圧面75の第2受動面75cを押圧しながら摺接する。これにより、
図9Bに示すように筒状連結部74(Xスライダ72)が右側に移動する。70度位置から180度位置では、
図9B及び
図9Cに示すようにXスライダ72の左右位置は変化しない。180度位置から270度位置では、
図9C中で下方に移動する筒状カム部材66の第2カム面71の第2作動面71cが第2受圧面76の第2受動面76cを押圧しながら摺接する。これにより、
図9Dに示すように筒状連結部74(Xスライダ72)を左側に移動させる。270度位置から360度位置では、
図9Dから明らかなようにXスライダ72の左右位置は変化しない。
【0067】
次に、ヒンジ機構12によるディスプレイ筐体14の回動動作とキー押下機構26によるキートップ22の押下動作とを連動させるリンク機構56の構成例を説明する。
【0068】
リンク機構56は、本体筐体16の内部で動作する。
図7〜
図8Bに示すように、リンク機構56は、Xスライダ72と、リンクアーム78と、Zスライダ54とを有する。本開示では、リンク機構56は、第1軸62と本体筐体16との間を固定する取付板62aの表面上で動作する。
【0069】
Xスライダ72は、上記した筒状連結部74が筒状カム部材66によって押圧されることで取付板62a上で第1軸62の軸方向(左右方向)にスライドするプレート状部材である。Xスライダ72は、ディスプレイ筐体14が回動されてヒンジ筐体64と共に筒状カム部材66が回転した場合に、筒状カム部材66と筒状連結部74の摺接作用下に左右方向に移動する。Xスライダ72には、一端が本体筐体16(取付板62a)に固定された補助弾性部材80の他端が固定されている。補助弾性部材80は、Xスライダ72を
図8A中で左側、つまり筒状連結部74が筒状カム部材66の第1筒部66aに近接する方向に常時付勢している。Xスライダ72は、筒状連結部74側の側面とは反対側の側面に歯車部82を有する。歯車部82は、Xスライダ72のスライド方向に並んだ数条の歯を有する。
【0070】
リンクアーム78は、本体筐体16(取付板62a)に対して一端側の回動軸84を中心として回動可能に支持されている。リンクアーム78の回動軸84とは反対側の他端側は、連結軸86によってZスライダ54と回転可能に連結されている。リンクアーム78の回動軸84近傍の側面には、歯車部88が設けられている。歯車部88は、Xスライダ72の歯車部82と噛合可能な数条の歯を有する。歯車部88の各歯は、回動軸84を中心として並んでいる。
【0071】
Zスライダ54は、図示しないガイド構造によって本体筐体16に対して前後方向にスライド可能に設けられた長尺矩形状のプレート状部材である(
図6も参照)。Zスライダ54は、その後端部が連結軸86を用いてリンクアーム78と回転可能に連結されている。上記したように、Zスライダ54は、キー押下機構26の回転軸部材50が係合されている。このため、キートップ22を使用位置に向かって上昇付勢するラバードーム41からの付勢力が、回転軸部材50を介してZスライダ54に付与されている。従って、Zスライダ54は、ラバードーム41から
図8A中で前側に向かって常時付勢されていることになる。
【0072】
図8A及び
図8Bに示すように、リンク機構56では、本体筐体16に対してディスプレイ筐体14が回動されて筒状カム部材66が回転すると、Xスライダ72が左右方向にスライドする。Xスライダ72がスライドすると、歯車部82,88を介してリンクアーム78が回動軸84を中心として回動する。リンクアーム78が回動軸84を中心に回動すると、今後は連結軸86を介してZスライダ54が前後方向に移動する。
【0073】
この際、Xスライダ72は、補助弾性部材80の付勢力によって
図8A中で左側にスライドする方向の付勢力を受けている。つまり、リンクアーム78は補助弾性部材80から
図8A中で反時計方向に回動する方向の付勢力を受け、Zスライダ54は
図8A中で後側にスライドする方向の付勢力を受けている。反対に、Zスライダ54は、ラバードーム41の付勢力によって
図8A中で前側にスライドする方向の付勢力を受けている。つまり、リンクアーム78はラバードーム41から
図8A中で時計方向に回動する方向の付勢力を受け、Xスライダ72は
図8A中で右側にスライドする方向の付勢力を受けている。
【0074】
次に、リンク機構56によって連動するディスプレイ筐体14の回動動作とキー押下機構26の動作の関係を説明する。
【0075】
先ず、ディスプレイ筐体14が0度位置にある場合は、
図8A及び
図9Aに示すようにXスライダ72が最も左側に寄った位置にある。このため、リンクアーム78が
図8A中で最も反時計方向に回動した位置にあり、Zスライダ54が最も後側に移動した位置にある。この際、筒状カム部材66の第1カム面70は、第1作動面70aがXスライダ72の第1受圧面75の第2受動面75cに対向して当接又は近接した位置にある(
図9A参照)。一方、筒状カム部材66の第2カム面71は、Xスライダ72の第2受圧面76から離間した位置にあり、第1作動面71aの始点がXスライダ72の第2受圧面76の第1受動面76aの始点に対向している。
【0076】
この状態では、
図5Bに示すように、回転軸部材50の駆動端部50aがZスライダ54によって最も後側に移動した位置にあり、キートップ22は受け片40が押圧片52によって押し下げられた押下位置に保持されている。従って、キートップ22の上面22aがフレーム24の上面と面一又は僅かに低い位置にある。キーボード装置20の上面は平面上に構成される。このため、本体筐体16に対して閉じられたディスプレイ筐体14がキートップ22に干渉することがなく、電子機器10の板厚が可及的に薄型化されている。
【0077】
次に、ディスプレイ筐体14が0度位置から開き方向に回動されるとヒンジ機構12のヒンジ筐体64も回動し、筒状カム部材66が第1軸62の外周面上で回転する。0度位置から70度位置の間では、第1カム面70の第1作動面70aが第1受圧面75の第2受動面75cに摺接しながらこれを押圧する。その結果、
図8B及び
図9Bに示すように、Xスライダ72が補助弾性部材80の付勢力に抗して右側に移動する。このため、リンクアーム78が時計方向に回動し、Zスライダ54が前側に移動する(
図8B参照)。この際、Zスライダ54はラバードーム41からの付勢力を受けて円滑に前側に移動する。なお、第2カム面71は、第1作動面71aが第2受圧面76の第1受動面76aを摺接する。
【0078】
Zスライダ54が前側に移動すると、回転軸部材50の駆動端部50aも前側に移動するため、回転軸部材50は押圧片52が上に移動する方向に回転する(
図5A参照)。その結果、押圧片52による受け片40の押圧作用が解除されるため、ラバードーム41の付勢力によってキートップ22も押圧片52と共に上方に移動する。
【0079】
70度位置では、
図8B及び
図9Bに示すようにXスライダ72が最も右側に寄った位置となる。このため、リンクアーム78が最も時計方向に回動した位置となり、Zスライダ54が最も前側に移動した位置となる。
【0080】
この状態では、
図5Aに示すように、回転軸部材50の駆動端部50aはZスライダ54によって最も前側に移動した位置にあり、キートップ22が最も上動した位置である使用位置にある。また、最も上方に移動した押圧片52によって受け片40の最高高さ位置が規定される。このように、電子機器10では、ディスプレイ筐体14を70度位置まで開いた段階でキートップ22がフレーム24の上面から上方に突出した使用位置となるため、キーボード装置20が使用可能な状態となる。
【0081】
70度位置から180度位置の間は、
図9Cに示すように筒状カム部材66の第1カム面70の第1作動面70aと第2作動面70bとの間の頂部が、Xスライダ72の第1受圧面75の空振り面75bに摺接する。また、第2カム面71の第1空振り面71bが第2受圧面76の空振り面76bに摺接する。このため、ヒンジ筐体64が回動して筒状カム部材66が回転してもXスライダ72は左右方向に移動しない。従って、Zスライダ54の位置も変化しないため(
図8B参照)、
図5Aに示すようにキートップ22は使用位置に維持される。つまり電子機器10では、ノート型PCとしての使用が想定される70度位置から180度位置の間ではキーボード装置20が使用可能な状態に維持される。
【0082】
180度位置から270度位置の間では、
図9Dに示すように筒状カム部材66の第2カム面71の第2作動面71cがXスライダ72の第2受圧面76の第2受動面76cに摺接しながらこれを押圧する。その結果、Xスライダ72がラバードーム41からの付勢力に抗して左側に移動する。この際、Xスライダ72は補助弾性部材80の付勢力を受けて円滑に左側に移動する。このため、リンクアーム78が
図8B中で反時計方向に回動し、Zスライダ54が後側に移動する(
図8A参照)。なお、第1カム面70は、第2作動面70bが第1受圧面75の第1受動面75aを摺接する。
【0083】
Zスライダ54が後側に移動すると、回転軸部材50の駆動端部50aも後側に移動するため、回転軸部材50は押圧片52が下に移動する方向に回転する(
図5B参照)。その結果、押圧片52によって受け片40が押圧作用を受け、ラバードーム41の付勢力に抗してキートップ22が押圧片52と共に下方に移動する。
【0084】
270度位置では、
図8A及び
図9Dに示すようにXスライダ72が最も左側に寄った位置となる。このため、リンクアーム78が
図8A中で最も反時計方向に回動した位置となり、Zスライダ54が最も後側に移動した位置となる。
【0085】
この状態では、
図5Bに示すように、0度位置の場合と同様、回転軸部材50の駆動端部50aはZスライダ54によって最も後側に移動した位置にある。キートップ22は受け片40が押圧片52によって押し下げられた押下位置に保持されている。このため、キートップ22の上面22aがフレーム24の上面と面一又は僅かに低い位置にあってキーボード装置20の上面が平面上に構成されている。
【0086】
270度位置から360度位置の間は、
図9Dから明らかなように筒状カム部材66の第1カム面70の空振り面70cがXスライダ72の第1受圧面75の空振り面75bに摺接する。また、第2カム面71の第2空振り面71dが第2受圧面76の空振り面76bに摺接する。このため、ヒンジ筐体64が回動して筒状カム部材66が回転してもXスライダ72は左右方向に移動しない。従って、Zスライダ54の位置も変化しないため(
図8A参照)、
図5Bに示すようにキートップ22は押下位置に維持される。従って、タブレット型PCでの背面となる本体筐体16の上面16aが平板状に構成され、キートップ22による凹凸形状がない。このため、タブレット型PCとして使用する際、キーボード装置20が邪魔になることがない。
【0087】
一方、360度位置にあるディスプレイ筐体14を閉じ方向に回動動作させる場合には、上記の開き方向への回動動作と逆方向の動作が生じる。すなわち、ディスプレイ筐体14が360度位置から270度位置を経て180度位置へと回動されるのに伴い、第1カム面70の第2作動面70bが第1受圧面75の第1受動面75aに摺接しながらこれを押圧する。従って、Xスライダ72が補助弾性部材80の付勢力に抗して再び右側に移動するため、リンクアーム78が
図8A中で時計方向に回動し、Zスライダ54が前側に移動する。この際、Zスライダ54はラバードーム41からの付勢力を受けて円滑に前側に移動する。その結果、キートップ22は最も上動した使用位置に復帰する。
【0088】
180度位置から70度位置まではキートップ22の使用位置が維持される。そして、ディスプレイ筐体14が70度位置から0度位置へと回動されるのに伴い、今度は第2カム面71の第1作動面71aが第2受圧面76の第1受動面76aに摺接しながらこれを押圧する。従って、Xスライダ72が今度はラバードーム41からの付勢力に抗して左側に移動するため、Zスライダ54が後側へと移動して押圧片52が受け片40を押し下げる方向に回転軸部材50を回転させる。この際、Xスライダ72は補助弾性部材80の付勢力を受けて円滑に左側に移動する。その結果、キートップ22がフレーム24の上面と面一又は僅かに低い位置となるため、ディスプレイ18とキートップ22とが干渉することなくディスプレイ筐体14を閉じることができる。
【0089】
このように、電子機器10では、キー押下機構26及びリンク機構56がヒンジ機構12による本体筐体16とディスプレイ筐体14の回動動作に連動してキートップ22を本体筐体16の上面16aから進退させる進退機構を構成する。
【0090】
以上のように、本開示に係る電子機器10は、その外面である上面16aから進退動作可能に設けられた可動部材であるキートップ22を有する本体筐体16と、ヒンジ機構12によって本体筐体16と回動可能に連結されたディスプレイ筐体14とを備える。電子機器10は、キートップ22を上面16aから前進動作する方向に付勢する弾性部材であるラバードーム41を備える。電子機器10は、本体筐体16とディスプレイ筐体14の回動動作に連動して本体筐体16内でスライドするスライド部材であるXスライダ72を有し、Xスライダ72が一方向(
図8B中で左側)にスライドした場合にキートップ22をラバードーム41の付勢力に抗して上面16aから後退動作(下降動作)させる一方、反対側の他方向(
図8A中で右側)にスライドした場合にキートップ22を上面16aから前進動作(上昇動作)させる進退機構を構成するキー押下機構26及びリンク機構56を備える。電子機器10は、Xスライダ72を一方向(
図8A中で左側)にスライドする方向に付勢する補助弾性部材80を備える。
【0091】
従って、電子機器10は、ディスプレイ筐体14を本体筐体16に対して開閉させる際、Xスライダ72が筒状カム部材66によって移動することで、可動部材であるキートップ22を使用位置又は押下位置に設定することができる。この際、キートップ22の押下位置への押し下げ時には、複数のキートップ22をそれぞれラバードーム41の付勢力に抗して押下位置に押し下げる必要がある。そこで、本開示の電子機器10では、ラバードーム41からの付勢力を打ち消す方向にXスライダ72を付勢する補助弾性部材80を設けている。つまり、Xスライダ72は補助弾性部材80からキートップ22を押し下げる方向に常時付勢されている。このため、キートップ22の下降時、キー押下機構26及びリンク機構56に掛かる負荷を抑制することができる。なお、キートップ22の上昇時には、補助弾性部材80の付勢力に抗してXスライダ72をスライドさせる必要がある。しかしながら、この上昇時にはラバードーム41からの付勢力によって補助弾性部材80の付勢力を打ち消すことができる。その結果、キー押下機構26及びリンク機構56を構成する機構部品の大型化や高強度化を図ることなく、その破損や動作不良を抑えることができる。従って、電子機器10は、本体筐体16の薄型化及び小型化を図ることができる。
【0092】
本開示では、進退機構を構成するリンク機構56は、第1軸62の外周面上に該第1軸62に対して回転可能な状態で同軸配置され、第1軸62に対してヒンジ筐体64と共に一体的に回転可能に設けられると共に、その一方側に第1カム面70が設けられ、その他方側に第2カム面71が設けられた筒状カム部材66と、Xスライダ72と一体的にスライド可能に設けられ、第1軸62の外周面上で該第1軸62に対して軸方向に移動可能な状態で同軸配置され、第1カム面70と摺接可能な第1受圧面75及び第2カム面71と摺接可能な第2受圧面76が設けられた筒状連結部74とを有する。
【0093】
このように、電子機器10では、第1軸62の外周面上に筒状カム部材66とXスライダ72の筒状連結部74をそれぞれ同軸配置し、それぞれの端面に設けた第1カム面70及び第2カム面71と第1受圧面75及び第2受圧面76とで荷重を伝達する構成となっている。このため、第1カム面70及び第2カム面71と第1受圧面75及び第2受圧面76との間の接触面積を十分に確保でき、両者が摩耗や破損を生じることが防止される。これにより、筒状カム部材66とXスライダ72の筒状連結部74との間に生じる負荷を確実に受け止めることができる。また、第1軸62が極めて細径に構成された場合であっても第1カム面70及び第2カム面71と第1受圧面75及び第2受圧面76との間の接触面積を十分に確保できるため、装置構成の小型化が図られる。
【0094】
なお、ヒンジ機構12の回転を可動部材であるキートップ22に伝達するためのリンク機構56は、筒状カム部材66や筒状連結部74を用いた構成以外であってもよい。例えば、
図10に示すように、ヒンジ筐体64に設けた凹状部64aの一側面に第1軸62と同軸回転するスパイラルピン90を設けた構成としてもよい。この構成では、スパイラルピン90の外周面に、ヒンジ機構12の回転に応じたXスライダ72の左右方向へのスライド軌跡を描いた螺旋状のレール溝92が形成されている。このレール溝92には、Xスライダ72の筒状連結部74に代えた係合片94を摺動可能に係合している。これにより、筒状カム部材66や筒状連結部74を用いた構成と同様な動作を行うことができる。
【0095】
なお、本発明は、上記した開示内容に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0096】
本開示では、0度位置から70度位置の間及び180度位置から360度位置の間でキートップ22が押下位置となり、70度位置から180度位置の間でキートップ22が使用位置となる構成を例示した。このようなキートップ22の高さ位置とディスプレイ筐体14の回動位置との関係は変更しても勿論よい。
【0097】
本開示では、Xスライダ72及びZスライダ54のスライドに連動する可動部材として、キートップ22を例示した。このような可動部材は、キートップ22以外にも、例えば本体筐体16の上面16a又は下面16bから進退する可動式のゴム脚、ポインティングスティック20a又は電源スイッチ27等の各種機能ボタンでもよい。また、ラバードーム41のように可動部材を付勢する弾性部材は、可動部材を本体筐体16の外面から突出する前進方向又は埋没する後退方向のいずれに付勢する構造であってもよい。
【0098】
本開示では、電子機器10として、ディスプレイ筐体14が本体筐体16に対して0度位置から360度位置まで回動するコンバーチブル型PCを例示した。しかしながら、電子機器10は、ディスプレイ筐体14が本体筐体16に対して0度位置から180度位置程度まで回動するノート型PCであってもよい。
【0099】
本開示では、補助弾性部材80でXスライダ72を直接的に付勢する構成を例示した。しかしながら、補助弾性部材80はリンクアーム78やZスライダ54を付勢することで間接的にXスライダ72を付勢する構成であってもよい。またXスライダ72のスライド方向は左右方向に限らず、さらにはXスライダ72に代えてZスライダ54を直接的にヒンジ機構12でスライドさせる構成等としてもよい。