(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-48468(P2018-48468A)
(43)【公開日】2018年3月29日
(54)【発明の名称】チュービング装置
(51)【国際特許分類】
E21B 7/20 20060101AFI20180302BHJP
【FI】
E21B7/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-183952(P2016-183952)
(22)【出願日】2016年9月21日
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(72)【発明者】
【氏名】谷田 優也
【テーマコード(参考)】
2D129
【Fターム(参考)】
2D129BA11
2D129BB03
2D129CA17
2D129CA22
2D129CB13
2D129DA11
2D129DC23
2D129EA02
(57)【要約】
【課題】ケーシングチューブを掴み換える際のサブチャックの破損を防止するためのインターロック回路を備えたチュービング装置を提供する。
【解決手段】地上に据え付けられるベースフレームの上方に、昇降シリンダによって昇降する回転体を設け、該回転体にメインチャックを設けるとともに、前記ベースフレームにサブチャックを設け、メインチャック及びサブチャックのいずれか一方がケーシングチューブを把持した状態とする油圧回路及び電気回路を備えたチュービング装置において、前記サブチャックを開閉させるサブチャックシリンダ16に、サブチャックシリンダ16が最も伸びたときに通電状態となるリミットスイッチ30を設け、電気回路に、リミットスイッチ30が通電状態となったときに、回転体の回転操作を可能にするインターロック回路50を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上に据え付けられるベースフレームの上方に、昇降シリンダによって昇降する回転体を設け、該回転体にメインチャックを設けるとともに、前記ベースフレームにサブチャックを設け、メインチャック及びサブチャックのいずれか一方がケーシングチューブを把持した状態とする油圧回路及び電気回路を備えたチュービング装置において、前記サブチャックを開閉させるサブチャックシリンダに、該サブチャックシリンダが最も伸びたときに通電状態となるリミットスイッチを設け、前記電気回路に、前記リミットスイッチが通電状態となったときに、前記回転体の回転操作を可能にするインターロック回路を備えたことを特徴とするチュービング装置。
【請求項2】
基端側を前記サブチャックシリンダの一端側における前記サブチャックの上部に設けるとともに、先端側を前記サブチャックシリンダの他端側に向けて延出するドッグプレートを設け、基端側を前記サブチャックシリンダの他端側における前記サブチャックの上部に設けたベースプレートに水平方向に回動可能に設けるとともに、先端側を前記サブチャックシリンダの一端側に向けて延出するリンクプレートを設け、前記ドッグプレートの先端側に円柱形状のドッグを立設し、前記リンクプレートの先端側に、前記ドッグを前記リンクプレートに対して水平方向に直線的に移動可能に挿通する長孔を有し、前記リンクプレートの先端側に前記リミットスイッチを設けたことを特徴とする請求項1記載のチュービング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チュービング装置に関し、詳しくは、ケーシングチューブをチャックフレームとサブチャックとで掴み換えながら、ケーシングチューブを地中に圧入したり、地中から引き抜いたりするチュービング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オールケーシング工法においてケーシングチューブを地中に圧入したり、地中から引き抜いたりするチュービング装置は、ケーシングチューブが落下したりすることを防止するため、昇降シリンダによって昇降する回転体にメインチャックを設けるとともに、地上に据え付けられるベースフレームにサブチャックを設け、メインチャック及びサブチャックのいずれか一方が必ずケーシングチューブを把持した状態になるようにしている。このため、メインチャックを開閉するメインチャックシリンダ及びサブチャックを開閉するサブチャックシリンダに作動油を供給する油圧回路には、メインチャックを開放する際には、サブチャックがケーシングチューブを把持した状態になってからメインチャックを開方向に作動させ、サブチャックを開放する際には、メインチャックがケーシングチューブを把持した状態になってからサブチャックを開方向に作動させるためのシーケンスバルブが組み込まれている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、ケーシングチューブを掴み換える際に、油圧スイッチにより油圧回路の圧力を検知して、メインチャック及びサブチャックの把持状態を確認する操作規制電気回路を設けることにより、両チャックが把持状態のときに、回転体の回転操作を行ってしまうことによる機器の破損を防止する安全装置が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−330655号公報
【特許文献2】特開2015−81444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、油圧回路に両チャックの把持状態を検知する油圧スイッチをそれぞれ設けることにより油圧回路及び電気回路が複雑になり、コストが嵩む。また、ケーシングチューブの掴み換えの際に、油圧スイッチによる検知が遅れると、サブチャックが完全に開ききる前に回転体の回転操作が可能となり、サブチャックの破損を確実に防止するうえで不十分である。
【0006】
そこで本発明は、ケーシングチューブを掴み換える際に、安価な構造でサブチャックの破損を防止することができ、信頼性の高いチュービング装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のチュービング装置は、地上に据え付けられるベースフレームの上方に、昇降シリンダによって昇降する回転体を設け、該回転体にメインチャックを設けるとともに、前記ベースフレームにサブチャックを設け、メインチャック及びサブチャックのいずれか一方がケーシングチューブを把持した状態とする油圧回路及び電気回路を備えたチュービング装置において、前記サブチャックを開閉させるサブチャックシリンダに、該サブチャックシリンダが最も伸びたときに通電状態となるリミットスイッチを設け、前記電気回路に、前記リミットスイッチが通電状態となったときに、前記回転体の回転操作を可能にするインターロック回路を備えたことを特徴としている。
【0008】
さらに、本発明のチュービング装置は、基端側を前記サブチャックシリンダの一端側における前記サブチャックの上部に設けるとともに、先端側を前記サブチャックシリンダの他端側に向けて延出するドッグプレートを設け、基端側を前記サブチャックシリンダの他端側における前記サブチャックの上部に設けたベースプレートに水平方向に回動可能に設けるとともに、先端側を前記サブチャックシリンダの一端側に向けて延出するリンクプレートを設け、前記ドッグプレートの先端側に円柱形状のドッグを立設し、前記リンクプレートの先端側に、前記ドッグを前記リンクプレートに対して水平方向に直線的に移動可能に挿通する長孔を有し、前記リンクプレートの先端側に前記リミットスイッチを設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明のチュービング装置によれば、ケーシングチューブを掴み換える際に、サブチャックが完全に開ききってから、ケーシングチューブの回転操作を可能にするので、サブチャックの破損を確実に防止することができる。また、リンクプレートにドッグを水平方向に直線的に移動可能に挿通する長孔を有しているので、リンクプレートに設けたリミットスイッチの検出精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一形態例を示すチュービング装置の平面図である。
【
図2】同じくチュービング装置のサブチャックの正面図である。
【
図3】同じくチュービング装置のサブチャックシリンダを最も縮めたときの状態を示す説明図である。
【
図4】同じくチュービング装置のサブチャックシリンダを最も伸ばしたときの状態を示す説明図である。
【
図5】同じくチュービング装置のインターロック回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至
図5は、本発明のチュービング装置の一形態例を示すものである。まず、
図1及び
図2に示すように、本形態例のチュービング装置は、ベースフレーム1のケーシングチューブ挿通孔10の内周壁に沿ってサブチャック11を配設している。サブチャック11は、3枚の弓形に曲げられた帯板状の第1サブチャック部材12,第2サブチャック部材13,第3サブチャック部材14をサブチャック連結ピン15によって連結してC形状に形成され、第1サブチャック部材12,第3サブチャック部材14がサブチャックシリンダ16に連結されている。
【0012】
第1サブチャック部材12及び第3サブチャック部材14の開放端部は、帯板17及び上下一対の補強板18,18によって外方が開口した断面コの字状に形成されるとともに、補強板18,18の内面に一対のシリンダ取付ボス19,19を互いに対向してそれぞれ固設し、補強板18,18及びシリンダ取付ボス19,19を上下方向に貫通するピン挿通孔20を形成している。
【0013】
サブチャックシリンダ16は、ロッド側の端部にロッド側連結ピン21を挿通可能なピン挿通孔23を有したロッド側ボス16aを固設し、チューブ側の端部にチューブ側連結ピン22を挿通可能なピン挿通孔24を有したチューブ側ボス16bを固設している。そして、ロッド側ボス16aは、第3サブチャック部材14のシリンダ取付ボス19,19に挟持されて、ピン挿通孔20に挿通されるロッド側連結ピン21によって連結されるとともに、チューブ側ボス16bは、第1サブチャック部材12のシリンダ取付ボス19,19に挟持されて、ピン挿通孔20に挿通されるチューブ側連結ピン22によって連結され、図示しない油圧ユニットによって作動油の給排を行うことでサブチャックシリンダ16を伸縮させながらサブチャック11を拡縮する。
【0014】
さらに、サブチャックシリンダ16の上部には、ドッグ35を設けたドッグプレート31と、ベースプレート32及びリミットスイッチ30を設けたリンクプレート33とを組み合わせた開閉検出部が設けられている。
【0015】
ドッグプレート31は、長尺の平板形状であって、基端側をロッド側連結ピン21の上部に設けるとともに、先端側をサブチャックシリンダ16のチューブ側に向けて延出している。さらに、ドッグプレート31は、先端側に立設されたドッグ支持部材34の上部にドッグ35が固設されている。ドッグ支持部材34及びドッグ35は円柱形状であり、ドッグ支持部材34はドッグ35よりも小径に構成されている。
【0016】
ベースプレート32は、短尺の平板形状であって、基端側をチューブ側連結ピン22の上部に設けるとともに、先端側をサブチャックシリンダ16のロッド側に向けて延出している。さらに、ベースプレート32は、先端側に円柱形状のリンクプレート支持部材36を固設している。
【0017】
リンクプレート33は、長尺の平板形状であって、基端側をリンクプレート支持部材36によって水平方向に回動可能に支持されるとともに、先端側をサブチャックシリンダ16のロッド側に向けて延出している。さらに、リンクプレート33の先端側には、ドッグ35をリンクプレート33に対して水平方向に直線的に移動可能に挿通する長孔33aを設けている。
【0018】
リミットスイッチ30は、リンクプレート33の先端側に設けられ、リミットスイッチ30を作動させるアーム30aを備えている。さらに、ドッグ35及びリミットスイッチ30を覆うカバー37が第3サブチャック部材14の上面に設けられている。
【0019】
図3は、サブチャックシリンダ16を最も縮めた状態、すなわちサブチャック11によって、ケーシングチューブを把持した状態を示すもので、リンクプレート33の長孔33aに沿って移動したドッグ35とリミットスイッチ30は離間している。このとき、リミットスイッチ30の作動はOFFとなっている。
【0020】
図4は、サブチャックシリンダ16を最も伸ばした状態、すなわちサブチャックシリンダ11が完全に開いている状態を示すもので、リンクプレート33の長孔33aに沿って移動したドッグ35がリミットスイッチ30のアーム30aに当接している。このとき、リミットスイッチ30の作動は、アーム30aが所定角度回動した作動位置にあるためONとなっている。
【0021】
図5は、メインチャック及びサブチャックのどちらか、若しくは、共に全開になったときに回転体の回転操作を可能にするインターロック回路50の回路図を示すもので、油圧ユニットを電気的に制御するリモコン側回路と本体側回路とで構成され、ケーブルによって互いに接続されている。本体側回路は、図示しないメインチャックの開放側の油圧回路が設定圧力に昇圧したことを検知してONとなる油圧スイッチ51と、サブチャックシリンダ16が最も伸びたときにONとなる前記リミットスイッチ30とを備えている。リモコン側回路は、回転体の回転方向を切り換える回転方向切換スイッチ54と、油圧スイッチ51がONとなったときに作動してメインチャック開放スイッチ部52aをONとするメインチャック開放リレー52と、リミットスイッチ30がONとなったときに作動してサブチャック開放スイッチ部53aをONとするサブチャック開放リレー53とを備えている。さらに、メインチャック開放スイッチ部52aとサブチャック開放スイッチ部53aとは、電源60と回転方向切換スイッチ54との間において並列に接続している。
【0022】
したがって、メインチャック開放スイッチ部52aとサブチャック開放スイッチ部53aが共にOFFのとき、例えば、メインチャック及びサブチャックが同時にケーシングチューブを把持した状態のときは、回転方向切換スイッチ54の電源を遮断した操作規制状態となっており、回転方向切換スイッチ54を操作しても回転体は回転しない。この状態からサブチャックシリンダ16を伸ばし始め、サブチャックシリンダ16が最も伸びたとき、すなわちサブチャック11が完全に開ききってからリミットスイッチ30がONとなることで、サブチャック開放スイッチ部53aは通電状態となり、回転方向切換スイッチ54による回転体の回転操作が可能になる。
【0023】
このように、ケーシングチューブを掴み換える際に、サブチャック11が完全に開ききってからケーシングチューブの回転操作を可能にするので、サブチャック11の破損を確実に防止することができる。また、リンクプレート33にドッグ35を水平方向に直線的に移動可能に挿通する長孔33aを有しているので、リンクプレート33に設けたリミットスイッチ30の検出精度を高めることができる。さらに、インターロック回路50をケーシングチューブの昇降操作にも適用することができるため、より安全性を高めることができる。また、サブチャックシリンダ16の向きは逆でもよく、ドッグプレート31とリンクプレート33は逆でもよい。
【符号の説明】
【0024】
1…ベースフレーム、10…ケーシングチューブ挿通孔、11…サブチャック、12…第1サブチャック部材、13…第2サブチャック部材、14…第3サブチャック部材、15…サブチャック連結ピン、16…サブチャックシリンダ、16a…ロッド側ボス、16b…チューブ側ボス、17…帯板、18…補強板、19…シリンダ取付ボス、20…ピン挿通孔、21…ロッド側連結ピン、22…チューブ側連結ピン、23,24…ピン挿通孔、30…リミットスイッチ、30a…アーム、31…ドッグプレート、32…ベースプレート、33…リンクプレート、33a…長孔、34…ドッグ支持部材、35…ドッグ、36…リンクプレート支持部材、37…カバー、50…インターロック回路、51…油圧スイッチ、52…メインチャック開放リレー、52a…メインチャック開放スイッチ部、53…サブチャック開放リレー、53a…サブチャック開放スイッチ部、54…回転方向切換スイッチ、60…電源