(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-48723(P2018-48723A)
(43)【公開日】2018年3月29日
(54)【発明の名称】管埋設方法及び管埋設構造
(51)【国際特許分類】
F16L 1/12 20060101AFI20180302BHJP
【FI】
F16L1/12 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-186056(P2016-186056)
(22)【出願日】2016年9月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000222668
【氏名又は名称】東洋建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000201490
【氏名又は名称】前田工繊株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】向瀬 真人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 將之
(72)【発明者】
【氏名】武田 智明
(72)【発明者】
【氏名】角川 幸男
(72)【発明者】
【氏名】石坂 修
(72)【発明者】
【氏名】新 正行
(57)【要約】
【課題】管状体を海底に埋設する際、波浪による影響を最小限に留めて、その作業効率を向上させることのできる管埋設方法を提供する。
【解決手段】管埋設方法は、ジオテキスタイル15を管状体2の上方から覆い、該ジオテキスタイル15がトレンチ3の底面5に接触するようにして、管状体2をトレンチ3の底面5に敷設する敷設ステップと、該敷設ステップの後、ジオテキスタイル15の上面に、網状の袋体に多数の中詰材を充填してなる袋状ユニット10を多数積層して、管状体2を拘束する拘束ステップと、を含む。これにより、波浪による管状体2の挙動を早期に抑えることができ、従来に比べて早期に管状体2の安定性を確保することができ、作業効率を向上させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海底に設けたトレンチに管状体を埋設する管埋設方法であって、
ジオテキスタイルを前記管状体の上方から覆い、該ジオテキスタイルが前記トレンチの底面に接触するようにして、前記管状体を前記トレンチの底面に敷設する敷設ステップと、
該敷設ステップの後、前記ジオテキスタイルの上面に、網状の袋体に多数の中詰材を充填してなる袋状ユニットを多数積層して、前記管状体を拘束する拘束ステップと、
を含むことを特徴とする管埋設方法。
【請求項2】
前記敷設ステップは、
陸上にて、前記ジオテキスタイルを前記管状体の上方から外周面全域に沿って巻回して、前記ジオテキスタイルの対向する部位を管状体の下端で接続する巻回ステップと、
該巻回ステップ後、陸上にて、前記ジオテキスタイルを前記管状体の下端の接続位置から径方向外方にそれぞれ延ばした各延長部を前記接続位置から折り返すようにして前記管状体の外周に沿って配置して、前記各延長部の先端部を前記管状体の上端で接続して、前記ジオテキスタイルを前記管状体に仮固定する仮固定ステップと、
該仮固定ステップの後、前記ジオテキスタイルが仮固定された管状体を前記トレンチの底面に設置する設置ステップと、
該設置ステップの後、前記管状体の上端における前記ジオテキスタイルの前記各延長部の接続を解除して、前記ジオテキスタイルの前記各延長部を前記トレンチの底面に接触するようにそれぞれ拡げる拡張ステップと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の管埋設方法。
【請求項3】
前記設置ステップの後、押さえブロックを、前記ジオテキスタイルが仮固定された管状体を上方から覆うように設置するブロック設置ステップを備えることを特徴とする請求項2に記載の管埋設方法。
【請求項4】
海底に設けたトレンチに管状体を埋設する管埋設構造であって、
海底のトレンチの底面に敷設された管状体を上方から覆い、前記トレンチの底面に接触するように配置されるジオテキスタイルと、
該ジオテキスタイルの上面に多数積層され、網状の袋体に多数の中詰材を充填してなる袋状ユニットと、
を備えることを特徴とする管埋設構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海底に設けたトレンチに管状体を埋設する管埋設方法及び管埋設構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、海底には、例えば、発電所や製油所等にて冷却水等の目的で使用する海水が流通するパイプラインが埋設されている。該パイプラインは、所定長さを有する、複数の管状体を互いに連結して構成される。
【0003】
そこで、海底に管状体を埋設する従来の方法を説明する。従来の埋設方法では、まず、海底にトレンチ(溝)を設けて、該トレンチの底面に管状体を敷設する。続いて、管状体上に砕石を多数積層して、多数の砕石を上方から被覆石にて被覆する。続いて、被覆石上に埋戻し砂を積層してトレンチを埋戻して、トレンチ内に管状体を埋設する。
【0004】
上述した従来の管埋設方法では、管状体をトレンチの底面に敷設した後、波浪により管状体が移動することが懸念されるために、管状体の敷設からトレンチの埋戻しまでの一連の作業を、海の静穏時に速やかに行わなければならない。すなわち、海が静穏状態となっている時間内に埋設作業を速やかに行わなければならず、施工するタイミング(施工するチャンス)が限られてしまう。このために、海の静穏状態が作業時間相当継続しない場合には、埋設作業に遅れが生じ、工程遅延に繋がるようになる。
【0005】
そこで、管状体を地中に埋設する従来技術として特許文献1には、両側壁に矢板が打ち込まれた掘削溝を形成する第1の工程と、該第1の工程後、掘削溝底面に地盤材料を投入して支持地盤を形成し、この支持地盤上に地中構造物を配置する第2の工程と、該第2の工程後、矢板に沿って所定の高さの支持壁を形成するとともに、前記地中構造物と前記支持地盤上面と前記支持壁面とに沿ってジオテキスタイルを敷設する第3の工程と、該第3の工程後、埋戻し材を投入して掘削溝を埋戻し、矢板を引き抜く第4の工程とからなる、ジオテキスタイルによる地中構造物の浅埋設工法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−101369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の発明は、陸上工事において、地中にパイプラインを埋設するものであって、波浪の影響を受ける海底のトレンチに管状体を埋設するものではない。このため、特許文献1の発明では、海底のトレンチに管状体を埋設する際の、上述した問題を解決することは困難である。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、管状体を海底に埋設する際、波浪による影響を最小限に留めて、その作業効率を向上させることのできる管埋設方法及び管埋設構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、請求項1の管埋設方法に係る発明は、海底に設けたトレンチに管状体を埋設する管埋設方法であって、ジオテキスタイルを前記管状体の上方から覆い、該ジオテキスタイルが前記トレンチの底面に接触するようにして、前記管状体を前記トレンチの底面に敷設する敷設ステップと、該敷設ステップの後、前記ジオテキスタイルの上面に、網状の袋体に多数の中詰材を充填してなる袋状ユニットを多数積層して、前記管状体を拘束する拘束ステップと、を含むことを特徴とするものである。
請求項1の発明では、管状体をトレンチの底面に敷設する施工中、多数の袋状ユニットが、ジオテキスタイルの、トレンチの底面に接触した部位の上面に積層された段階で、当該部位上の多数の袋状ユニットの荷重が管状体への上載荷重として付与される。これにより、波浪による管状体の挙動を早期に抑えることができ、従来に比べて早期に管状体の安定性を確保することができる。しかも、袋状ユニットは重量物であり、袋状ユニット自体の波浪による移動が抑制されるので、施工中、安定的に管状体に上載荷重を付与することができる。
【0010】
請求項2の管埋設方法に係る発明は、請求項1の発明において、前記敷設ステップは、陸上にて、前記ジオテキスタイルを前記管状体の上方から外周面全域に沿って巻回して、前記ジオテキスタイルの対向する部位を管状体の下端で接続する巻回ステップと、該巻回ステップ後、陸上にて、前記ジオテキスタイルを前記管状体の下端の接続位置から径方向外方にそれぞれ延ばした各延長部を前記接続位置から折り返すようにして前記管状体の外周に沿って配置して、前記各延長部の先端部を前記管状体の上端で接続して、前記ジオテキスタイルを前記管状体に仮固定する仮固定ステップと、該仮固定ステップの後、前記ジオテキスタイルが仮固定された管状体を前記トレンチの底面に設置する設置ステップと、該設置ステップの後、前記管状体の上端における前記ジオテキスタイルの前記各延長部の接続を解除して、前記ジオテキスタイルの前記各延長部を前記トレンチの底面に接触するようにそれぞれ拡げる拡張ステップと、を含むことを特徴とするものである。
請求項2の発明では、特に、陸上にて、巻回ステップ及び仮固定ステップを実施することで、管状体をトレンチの底面に敷設する際の海上での作業を最小限にすることができ、作業効率を向上させることができる。
【0011】
請求項3の管埋設方法に係る発明は、請求項1または2の発明において、前記設置ステップの後、押さえブロックを、前記ジオテキスタイルが仮固定された管状体を上方から覆うように設置するブロック設置ステップを備えることを特徴とするものである。
請求項3の発明では、ジオテキスタイルが仮固定された管状体をトレンチの底面に設置する設置ステップの後、例えば、管状体の軸方向端部に押さえブロックを上方から覆うように配置して、当該管状体の端部を押さえブロックにより仮に拘束することができる。
【0012】
請求項4の管埋設構造に係る発明は、海底に設けたトレンチに管状体を埋設する管埋設構造であって、海底のトレンチの底面に敷設された管状体を上方から覆い、前記トレンチの底面に接触するように配置されるジオテキスタイルと、該ジオテキスタイルの上面に多数積層され、網状の袋体に多数の中詰材を充填してなる袋状ユニットと、を備えることを特徴とするものである。
請求項4の発明では、管埋設構造が、ジオテキスタイル及び袋状ユニットを備えることで、管状体を海底に埋設する施工中、波浪の影響を最小限に留めることができる。特に、袋状ユニットを採用することで、袋状ユニット自体の波浪による移動が抑制されるので、施工中、安定的に管状体に上載荷重を付与することができる。一方、従来技術(特開平11−101369号公報)のような、ジオテキスタイルの上面に多数の埋戻し材を積層して管状体に上載荷重を付与する形態では、施工中、波浪により埋戻し材が所定位置に留まらず散乱することで、管状体に安定した上載荷重を付与することができず、早期に管状体を安定させることが困難になる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、管状体を海底に埋設する際、袋状ユニット及びジオテキスタイルを使用することで、管状体を海底のトレンチの底面に敷設する際、早期に管状体の安定性を確保することができ、波浪を受ける環境下においても、波浪による影響を最小限に留めて、作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る管埋設構造を示す断面図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る管埋設構造に採用されるジオテキスタイルの平面図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る管埋設構造に採用される袋状ユニットの斜視図である。
【
図4】
図4は、陸上にて、管状体にジオテキスタイルを仮固定する作業を段階的に示した断面図である。
【
図5】
図5は、ジオテキスタイルが仮固定された管状体を海底のトレンチ内に埋設する作業を段階的に示す断面図である。
【
図6】
図6は、管状体の端部に押さえブロックを配置した状態の断面図である。
【
図7】
図7は、管状体を海底のトレンチ内に埋設する作業フロー図である。
【
図8】
図8は、
図7の敷設ステップの具体的な作業フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態を
図1〜
図8に基づいて詳細に説明する。
海底には、海水等が流通するパイプラインが埋設されている。該パイプラインは、所定長さを有する、複数の管状体2、2を互いに連結して構成される。
図1に示すように、管状体2を海底に埋設する際には、海底に設けたトレンチ3内に管状体2を埋設しており、その際、本実施形態に係る管埋設構造1が採用される。なお、海底のトレンチ3は、例えば、その断面形状が、対向する壁面4、4間の距離が底面5に向かって次第に小さくなる台形状を呈するように形成される。
【0016】
本実施形態に係る管埋設構造1には、
図1に示すように、大略、袋状ユニット10及びジオテキスタイル15が採用される。袋状ユニット10は、
図2に示すように、網状の袋体11内に多数の中詰材12を充填して構成される。中詰材12は、砕石やコンクリート塊等で構成される。袋状ユニット10は、例えば、1トン〜4トンの重量物で構成される。袋状ユニット10は、網状の袋体11内に多数の中詰材12を充填して構成されるために可撓性を有するものである。袋状ユニット10は、例えば、25mm程度の網目を有する袋体11、11を2重構造にすることで、袋体11が数か所破断しても内部の中詰材12が外部に抜けにくい構成にしている。
【0017】
図3に示すように、ジオテキスタイル15は、いわゆる土木用途の補強繊維材であり、網状のシート材にて構成される。具体的に本実施形態では、ジオテキスタイル15は、アラミド繊維とポリエステル繊維とを交錯させたグリッド状織物を塩化ビニル系樹脂にてコーティングしたものが採用される。ジオテキスタイル15は、海底で使用するために、水に沈む特性を有するものが採用される。また、管状体2を海底のトレンチ3に埋設する際には、
図6に示す押さえブロック20が使用される(後述するブロック設置ステップS14)。該押さえブロック20は、コンクリート製で構成される。押さえブロック20は、所定厚を有する正面視略U字状に形成される。該押さえブロック20は、その上壁部21の内周面の内径が、ジオテキスタイル15を含む管状体2の外径に略一致して、対向する壁部22、22間の最小距離が、ジオテキスタイル15を含む管状体2の外径に略一致するように形成される。
【0018】
次に、本実施形態に係る管埋設構造1を構築すべく管状体2の埋設方法を、
図7及び
図8に基づいて、
図4〜
図6も参照しながら説明する。
まず、所定長さを有する帯状のジオテキスタイル15を用意する。1本の管状体2に対して複数枚のジオテキスタイル15を用意する。なお、ジオテキスタイル15の短手方向の幅長は、管状体2の外周長に、後述する各延長部16、16の長さ相当を加えた寸法に設定される。
【0019】
そして、まず、
図7に示すように、敷設ステップS1を実施する。該敷設ステップS1では、ジオテキスタイル15を管状体2の上方から覆い、該ジオテキスタイル15の下面がトレンチ3の底面5に接触するようにして、管状体2をトレンチ3の底面5に敷設する。該敷設ステップS1は、具体的に、
図8に示すように、巻回ステップS11、仮固定ステップS12、設置ステップS13、ブロック設置ステップS14及び拡張ステップS15を実施する。
【0020】
敷設ステップS1として、まず、
図8に示すように、陸上にて、巻回ステップS11を実施する。該巻回ステップS11では、
図4(a)に示すように、管状体2の軸方向とジオテキスタイル15の長手方向とを一致させた後、ジオテキスタイル15を管状体2の上方から覆うように被せて、該ジオテキスタイル15を管状体2の外周面全域に亘って巻回する。続いて、管状体2の下端にて、ジオテキスタイル15の対向する部位をロープ等の締結部材17aで接続する。
【0021】
同じく敷設ステップS1として、次に、
図8に示すように、陸上にて、仮固定ステップS12を実施する。該仮固定ステップS12では、
図4(a)に示すように、ジオテキスタイル15を、巻回ステップS11にてジオテキスタイル15の対向する部位を接続した接続位置から、管状体2の径方向外方に向かって延ばすように延長する(延長部16、16)。続いて、
図4(b)、(c)に示すように、このジオテキスタイル15の、管状体2の径方向外方に向かって延長した延長部16、16を前記接続位置から管状体2の外周に沿って配置して、各延長部16、16の先端部を管状体2の上端の位置でロープ等の締結部材17bで接続する。このように、巻回ステップS11及び仮固定ステップS12により、陸上にて、ジオテキスタイル15を管状体2に仮固定する。
【0022】
同じく敷設ステップS1として、次に、
図8に示すように、設置ステップS13を実施する。該設置ステップS13では、ジオテキスタイル15が仮固定された管状体2を海底のトレンチ3の底面5に設置する。この時、ジオテキスタイル15の各延長部16、16の先端部を締結部材17bで接続した位置が上方に臨むように、管状体2をトレンチ3の底面5に設置する。なお、ジオテキスタイル15は水に沈む特性を有しているので、ジオテキスタイル15により管状体2に対して浮力は働かない。
同じく敷設ステップS1として、次に、
図8に示すように、ブロック設置ステップS14を実施する。該ブロック設置ステップS14では、
図6に示すように、管状体2の軸方向に沿う適宜位置に、管状体2に巻回されたジオテキスタイル15を覆うようにして押さえブロック20を配置する。なお、本実施形態では、管状体2の、少なくとも、次の管状体2が連結される側の端部にジオテキスタイル15を覆うようにして押さえブロック20を配置して、その端部を拘束するようにしている。
【0023】
同じく敷設ステップS1として、次に、
図8に示すように、拡張ステップS15を実施する。該拡張ステップS15では、
図5(a)に示すように、押さえブロック20が配置される部位を除く範囲において、管状体2の上端に位置する、ジオテキスタイル15の各延長部16、16の先端部の締結部材17bによる接続を解除する。続いて、接続を解除した各延長部16、16を管状体2の径方向外方にそれぞれ延ばすようにして拡げて、各延長部16、16の下面をトレンチ3の底面5にそれぞれ接触させる。
【0024】
次に、敷設ステップS1(拡張ステップS15)が完了した後、
図7に示すように、拘束ステップS2を実施する。該拘束ステップS2では、
図5(b)、(c)に示すように、ジオテキスタイル15の各延長部16、16の上面に順次多数の袋状ユニット10を積層して、管状体2周辺から上方(管状体2の直上を含む)に至る範囲にジオテキスタイル15を介して多数の袋状ユニット10を積層する。袋状ユニット10は、その積層断面が、上辺が下辺よりも短い略台形状になるように多数積層される。なお、個々の袋状ユニット10は重量物であるので、袋状ユニット10自体の波浪による移動が抑制される。この結果、管状体2には、直接管状体2の上方にジオテキスタイル15を介して積層される多数の袋状ユニット10からの上載荷重と、ジオテキスタイル15の各延長部16、16の上面に積層される多数の袋状ユニット10からの上載荷重とが付与される。これにより、管状体2への上載荷重を最大限大きくすることができる。また、拘束ステップS2において、ジオテキスタイル15の各延長部16、16上に多数の袋状ユニット10を積層した段階(
図5(b)の状態)で、管状体2への上載荷重として、ジオテキスタイル15の各延長部16、16上の多数の袋状ユニット10の荷重が付与されるので、この時点から管状体2を安定させることができる。
【0025】
次に、
図7に示すように、埋設ステップS3を実施する。該埋設ステップS3では、
図5(d)に示すように、トレンチ3内で、押さえブロック20が配置される位置以外の範囲に多量の埋戻し砂25を積層する。これにより、管状体2の、押さえブロック20が配置される端部以外の部位は、トレンチ3内に埋設される。
次に、
図7に示すように、ブロック撤去ステップS4を実施する。該ブロック撤去ステップS4では、管状体2の、次の管状体2が連結される側の端部に配置された押さえブロック20を撤去する。
【0026】
次に、
図7に示すように、端部処理ステップS5を実施する。該端部処理ステップS5では、埋設ステップS3にて埋設していない、当該管状体2の、次の管状体2が連結される端部を埋設する。具体的には、当該管状体2の端部に、次の管状体2、すなわちジオテキスタイル15が仮固定された次の管状体2の端部を連結する。続いて、当該管状体2の端部で、押さえブロック20が配置されていた部位における、ジオテキスタイル15の各延長部16、16の先端部の締結部材17bによる接続を解除する。続いて、ジオテキスタイル15の各延長部16、16を管状体2の径方向外方に延ばすようにして拡げ、各延長部16、16を含むジオテキスタイル15の上面に多数の袋状ユニット10を積層し、さらに埋戻し砂25を積層して、当該管状体2の端部処理が完了する。この結果、当該管状体2のトレンチ3内への埋設が完了する。
【0027】
以上説明したように、本実施形態に係る管埋設方法は、ジオテキスタイル15を管状体2の上方から覆い、該ジオテキスタイル15の下面がトレンチ3の底面5に接触するようにして、管状体2をトレンチ3の底面5に敷設する敷設ステップS1と、該敷設ステップS1の後、ジオテキスタイル15の上面に、網状の袋体11に多数の中詰材12を充填してなる袋状ユニット10を多数積層して、管状体2を拘束する拘束ステップS2と、を備えている。この結果、管状体2をトレンチ3の底面5に敷設する施工中、ジオテキスタイル15の各延長部16、16上に多数の袋状ユニット10を積層した段階で、管状体2への上載荷重として、ジオテキスタイル15の各延長部16、16上の多数の袋状ユニット10の荷重が付与される。これにより、波浪による管状体2の挙動を早期に抑えることができ、従来に比べて早期に管状体2の安定性を確保することができる。しかも、個々の袋状ユニット10はそれぞれ重量物であり、袋状ユニット10自体の波浪による移動が抑制されるので、施工中、安定的に管状体2に上載荷重を付与することができる。
【0028】
また、本実施形態に係る管埋設方法では、敷設ステップS1として、陸上にて実施する巻回ステップS11及び仮固定ステップS12を備えているので、管状体2をトレンチ3の底面5に敷設する際の海上での作業を最小限にすることができ、作業効率を向上させることができる。
さらに、本実施形態に係る管埋設方法では、敷設ステップS1として、設置ステップS13の後、ブロック設置ステップS14を備えているので、埋設時の管状体2の端部処理(端部処理ステップS5)を容易に実施することができ、作業効率を向上させることができる。
【0029】
なお、上述した実施形態が最良であるが他の実施形態として、ジオテキスタイル15を採用することなく、管状体2をトレンチ3の底面5に敷設した後、押さえブロック20を、管状体2を覆うように、管状体2の軸方向に沿って間隔を置いて複数配置して、管状体2を早期に拘束する形態を採用することもできる。この実施形態を採用した場合、各押さえブロック20の上壁部21に、内部と外部とを連通する連通孔を複数形成することが好ましい。これは、押さえブロック20の内壁面と、管状体2の外周面との間に隙間が生じた場合でも、各押さえブロック20を配置して管状体2を拘束した後、管状体2周辺から上方に至る範囲に多数の砕石を積層する際、該砕石が押さえブロック20の各連通孔から押さえブロック20の内壁面と管状体2の外周面との間に充填されてその隙間を閉鎖することができる。
【符号の説明】
【0030】
1 管埋設構造,2 管状体,3 トレンチ,5 底面,10 袋状ユニット,11 袋体,12 中詰材,15 ジオテキスタイル,16 延長部,20 押さえブロック