【解決手段】複数の移動端末2と、複数の移動端末2間で直接通信できるエリアを管理する管理装置1と、を備える通信システムであって、管理装置1は、複数の移動端末2間で直接通信できるエリアを特定するための通信エリア情報を管理するエリア管理部13と、通信エリア情報を複数の移動端末2に送信する管理装置通信部11と、を有する。複数の移動端末2のそれぞれは、通信エリア情報を受信する第1通信部21と、自身の位置を特定する位置特定部262と、位置特定部262が特定した位置が、第1通信部21が受信した通信エリア情報が示すエリアに含まれている場合に、複数の移動端末2のうち同じエリアに含まれている他の移動端末2との間で通信する第2通信部22と、を有する。
前記エリア管理部は、前記複数の移動端末からそれぞれの位置を示す位置情報を取得し、取得した前記複数の移動端末に対応する位置情報に基づいて、前記通信エリア情報を更新する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の通信システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術のように、移動端末が他の移動端末と近接しているだけで直接通信可能にしてしまうと、他の移動端末と通信したくないにもかかわらず、他の移動端末が送信したデータを受信してしまう場合があるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、移動端末間で直接通信可能なエリアをコントロールすることができる通信システム及び通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の通信システムは、複数の移動端末と、前記複数の移動端末間で直接通信できるエリアを管理する管理装置と、を備える通信システムであって、前記管理装置は、複数の移動端末間で直接通信できるエリアを特定するための通信エリア情報を管理するエリア管理部と、前記通信エリア情報を前記複数の移動端末に送信する送信部と、を有し、前記複数の移動端末のそれぞれは、前記通信エリア情報を受信する受信部と、自身の位置を特定する位置特定部と、前記位置特定部が特定した位置が、前記受信部が受信した前記通信エリア情報が示すエリアに含まれている場合に、前記複数の移動端末のうち同じエリアに含まれている他の移動端末との間で通信する通信部と、を有する。
【0007】
前記送信部は、前記通信エリア情報に対応するエリアで通信可能な時間を示す時間情報を前記複数の移動端末に送信し、前記受信部は、前記時間情報をさらに受信し、前記通信部は、現在時刻が、前記時間情報が示す時間帯に含まれている場合に、前記複数の移動端末のうち他の移動端末との間で通信してもよい。
【0008】
前記通信部は、前記他の移動端末の位置が、前記通信エリア情報が示すエリアに含まれていることを条件として、前記他の移動端末との間で通信してもよい。
【0009】
前記エリア管理部が、前記通信エリア情報を更新した場合に、前記送信部は、更新後の前記通信エリア情報である更新エリア情報を前記複数の移動端末に送信し、前記受信部が前記更新エリア情報を受信すると、前記通信部は、前記受信部が前記更新エリア情報を受信する前に通信していた前記他の移動端末の位置が、前記更新エリア情報が示すエリアに含まれていない場合に、前記他の移動端末との通信を停止してもよい。
【0010】
前記管理装置は、時刻とエリア情報とを関連付けて記憶する記憶部をさらに有し、前記エリア管理部は、前記記憶部に記憶された時刻になると、前記通信エリア情報を、現在時刻に関連付けて前記記憶部に記憶された前記エリア情報に更新してもよい。
【0011】
前記エリア管理部は、前記複数の移動端末からそれぞれの位置を示す位置情報を取得し、取得した前記複数の移動端末に対応する位置情報に基づいて、前記通信エリア情報を更新してもよい。
【0012】
前記エリア管理部は、前記通信エリア情報に対応するエリアに含まれる前記複数の移動端末の数が所定の範囲内になるように、前記通信エリア情報を決定してもよい。
【0013】
本発明の第2の態様の通信用プログラムは、移動端末のプロセッサに、複数の移動端末間で直接通信できるエリアを特定するための通信エリア情報を管理する管理装置から、前記通信エリア情報を受信するステップと、前記移動端末の位置を特定するステップと、特定した前記移動端末の位置が、前記通信エリア情報が示すエリアに含まれている場合に、他の移動端末との間で通信するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、移動端末間で直接通信可能なエリアをコントロールすることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[通信システムSの概要]
図1は、第1の実施形態に係る通信システムSの構成を示す図である。通信システムSは、管理装置1と、通信網Nを介して管理装置1と通信可能な複数の移動端末2(
図1においては、移動端末2a,2b,2cを例示)とを備える。管理装置1は、複数の移動端末2の間で直接通信できる通信可能エリアを管理するサーバである。
図1においては、直接通信エリアA1が示されており、直接通信エリアA1内の移動端末2aと移動端末2bとの間で、直接通信をすることができる。移動端末2は、スマートフォンやタブレットのように、携帯電話網等の通信網Nに接続する機能を有する携帯型の通信端末である。
【0017】
本明細書において「直接通信する」とは、他の装置を介することなくデータを送受信することをいう。例えば、複数の移動端末2は、Bluetooth(登録商標)やWiFiの無線チャネルを介して、直接通信することができる。
【0018】
管理装置1は、緯度・経度情報等の位置を示す情報を含む通信エリア情報を生成する。通信エリア情報は、複数の移動端末2の間で直接通信できる通信可能エリアの位置及び範囲を特定するための情報であり、管理装置1は、管理装置1の管理者が提供するサービスの利用者の要求に応じて、複数の通信可能エリアに対する通信エリア情報を生成することができる。管理装置1の管理者が提供するサービスとは、例えば、サービスの利用者からの要求に応じた日時において、サービスの利用者が希望する通信可能エリア内で複数の移動端末2の間でのメッセージの送受信を可能にするサービスである。
【0019】
図2は、通信可能エリアについて説明するための図である。
図2(a)は、通信可能エリアが平面である場合の例を示しており、頂点A,B,C,Dにより規定される四辺形の内側が、ユーザh1及びユーザh2が直接通信可能なエリアとなっている。
図2(b)は、通信可能エリアが立体である場合の例を示しており、頂点A,B,C,D,E,F,G,Hにより規定される直方体の内側が、ユーザh1及びユーザh2が直接通信可能なエリアとなっている。
図2(b)のように、通信可能エリアが立体である場合、通信可能エリアは、緯度・経度情報と高さ情報とによって規定される。
【0020】
なお、
図2においては、通信可能エリアの形状が四辺形又は直方体である例を示しているが、通信可能エリアの形状は任意である。通信可能エリアの形状は、例えば円形、楕円形、又は円柱形であってもよい。
また、通信可能エリアは、緯度・経度情報の絶対座標によって規定されてもよく、所定の基準位置と基準位置に対するオフセット座標とによって規定されてもよい。
【0021】
管理装置1は、生成した通信エリア情報を複数の移動端末2に配信する。移動端末2には、管理装置1から配信される通信エリア情報が示す通信可能エリアと、移動端末2自身の位置とに基づいて、他の移動端末2との通信を可能にするためのアプリケーションソフトウェアがインストールされている。移動端末2は、通信エリア情報が示す通信可能エリアに移動端末2自身の位置が含まれる場合に、同じ通信可能エリア内の他の移動端末2とメッセージを送受信するための操作画面を表示させる。移動端末2のユーザは、操作画面においてメッセージを作成して送信することにより、同じ通信可能エリア内の他の移動端末2のユーザと情報交換をすることができる。
【0022】
管理装置1が提供するサービスは、例えば、遊園地内のさまざまな箇所に複数の移動端末2の間で直接通信できる通信可能エリアを設定する場合に好適である。遊園地のアトラクションに入場するために並んでいる間に、同じ場所で並んでいる人と情報交換をすることで、来場者の楽しみ方の幅を広げることができる。
以下、管理装置1及び移動端末2の構成の詳細について説明する。
【0023】
[管理装置1及び移動端末2の機能構成]
図3は、管理装置1及び移動端末2の機能構成を示す図である。
管理装置1は、管理装置通信部11と、記憶部12と、エリア管理部13とを有する。
【0024】
管理装置通信部11は、通信網Nに接続するための通信インターフェースであり、例えばLAN(Local Area Network)コントローラを有する。管理装置通信部11は、エリア管理部13が生成した通信エリア情報を通信網Nに送信することにより、複数の移動端末2に通信エリア情報を配信する。
【0025】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びハードディスク等の記憶媒体を含む。記憶部12は、エリア管理部13が実行するプログラムを記憶する。また、エリア管理部13が外部から取得したり生成したりした通信エリア情報を記憶する。エリア管理部13は、例えば、管理装置1が提供するサービスの利用者の識別情報(以下、利用者IDという)と通信エリア情報とを関連付けたエリア情報データベースを記憶している。
【0026】
図4は、エリア情報データベースの一例を示す図である。
図4に示す例においては、通信エリア情報と、通信エリア情報を有効にするアクティベート期間と、エリアの概要とが関連付けられている。通信エリア情報は、基準位置の緯度・経度情報と、基準位置に対するオフセット座標(単位はm)を含んでいる。
図5の例における通信可能エリアは長方形であり、オフセット座標は、長方形の四隅の座標を示している。
【0027】
エリア管理部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、移動端末2に送信する通信エリア情報を管理する。具体的には、エリア管理部13は、例えば、管理装置通信部11及び通信網Nを介して、管理装置1が提供するサービスの利用者のコンピュータ(不図示)から送信された、通信可能エリアを設定するための情報を受信し、受信した情報に基づいて通信エリア情報を生成する。そして、エリア管理部13は、生成した通信エリア情報を記憶部12に記憶させる。
【0028】
また、エリア管理部13は、所定のタイミングで、記憶部12に記憶された通信エリア情報を配信する。エリア管理部13は、例えば、エリア情報データベース内のアクティベート期間において、所定の時間間隔で通信エリア情報を配信する。管理装置1が提供するサービスの利用者が遊園地である場合、アトラクションの開始時刻から所定の時間以上前からアトラクションが終了するまでの期間がアクティベート期間に設定されることが想定される。このように、エリア管理部13が、所定のアクティベート期間に通信エリア情報を送信することにより、アトラクションに関係ない時間帯に移動端末2が通信可能エリアに入った際に、直接通信ができる通知が移動端末2に表示されることを防止できる。
【0029】
また、エリア管理部13は、通信エリア情報に対応する通信可能エリアで通信可能な時間を示す時間情報を複数の移動端末2に送信してもよい。エリア管理部13は、例えば、エリア情報データベース内のアクティベート期間を示す情報を含む通信エリア情報を送信する。このようにすることで、エリア管理部13は、アクティベート期間よりも前の通信網Nが混雑していない時間帯に予め通信エリア情報を配信しておくことができるので、通信網Nの輻輳を防止しつつ、適切な時間帯に複数の移動端末2の間で直接通信をさせることができる。
【0030】
エリア管理部13は、通信エリア情報とともに、通信エリア情報について説明するための説明コンテンツを送信してもよい。エリア管理部13が説明コンテンツを送信することにより、移動端末2は、通信可能エリアがどのようなエリアであるかを示す情報(例えば、アトラクション名)を表示することができる。その結果、移動端末2のユーザが、他の移動端末2のユーザとメッセージのやり取りをできる通信可能エリアが、どのようなエリアであるかを把握できるので、ユーザが、通信可能エリアに適したメッセージをやり取りすることが可能になる。
【0031】
さらに、エリア管理部13は、複数の移動端末2の位置情報を定期的に取得し、取得した位置情報に基づいて、送信する通信エリア情報に対応する通信可能エリアに含まれる移動端末2の台数を特定してもよい。そして、エリア管理部13は、通信エリア情報とともに、通信エリア情報に対応する通信可能エリア内に存在する移動端末2の台数を通知してもよい。
【0032】
続いて、移動端末2の構成について説明する。移動端末2は、第1通信部21と、第2通信部22と、位置情報取得部23と、表示部24と、記憶部25と、制御部26とを有する。
【0033】
第1通信部21は、通信網Nに接続するための通信インターフェースであり、例えば携帯電話回線の接続インターフェースを有する。第1通信部21は、管理装置1が送信した通信エリア情報を受信する。第1通信部21は、受信した通信エリア情報を制御部26に通知する。
【0034】
第2通信部22は、他の移動端末2との間で直接通信をするための通信インターフェースである。第2通信部22は、例えばBluetooth(登録商標)、WiFi等の無線回線インターフェースを有しており、第1通信部21よりも小さな送信電力で電波を送信する。
【0035】
位置情報取得部23は、移動端末2の位置を示す情報を取得する。位置情報取得部23は、例えばGPS(Global Positioning System)が送信した緯度・経度情報を特定するための情報を制御部26に通知する。
【0036】
表示部24は、情報を表示するディスプレイである。表示部24は、第1通信部21が通信エリア情報を受信すると、制御部26の制御に基づいて、他の移動端末2と直接通信できる通信可能エリアに入ったことを示す情報を表示する。また、表示部24は、他の移動端末2から受信したメッセージを表示する。表示部24の表面にはタッチパネルが設けられており、ユーザは、表示部24にタッチすることにより各種の操作を行ったり、他の移動端末2に送信するメッセージを入力したりすることができる。
【0037】
記憶部25は、ROM及びRAM等の記憶媒体である。記憶部25は、制御部26が実行する通信用プログラムを記憶する。
制御部26は、例えばCPUである。制御部26は、記憶部25に記憶された通信用プログラムを実行することにより、通信制御部261、位置特定部262及び表示制御部263として機能する。
【0038】
通信制御部261は、第1通信部21及び第2通信部22を制御して、管理装置1及び他の移動端末2との間でデータを送受信する。例えば、通信制御部261は、第1通信部21に管理装置1からデータを受信させ、第1通信部21が受信した通信エリア情報を記憶部25に記憶させる。
【0039】
また、通信制御部261は、位置特定部262が、位置情報取得部23から入力された位置情報に基づいて特定した位置が、第1通信部21が受信した通信エリア情報が示す通信可能エリアに含まれている場合に、第2通信部22を介して、他の移動端末2と通信する。通信制御部261は、ユーザが、移動端末2の位置が通信可能エリアに含まれている間に他の移動端末2との間でメッセージを送受信する操作を行うと、ユーザが入力したメッセージを第2通信部22に送信させるとともに、第2通信部22が他の移動端末2から受信したメッセージを取得する。通信制御部261は、第2通信部22から取得したメッセージを表示部24に表示させる。
【0040】
通信制御部261は、通信エリア情報に時間情報が含まれている場合、現在時刻が、時間情報が示す時間帯に含まれていることを条件として、他の移動端末2との間で通信が可能になったことを表示部24に表示させる。そして、通信制御部261は、ユーザが、移動端末2の位置が通信可能エリアに含まれている間に他の移動端末2との間でメッセージを送受信する操作を行えるようにする。
【0041】
ここで、通信制御部261は、他の移動端末2の位置が、通信エリア情報が示す通信可能エリアに含まれていることを条件として、他の移動端末2との間で通信してもよい。例えば、通信制御部261は、移動端末2の位置が通信可能エリアに含まれていることを検出した場合に、通信エリア情報を含む通信開始要求メッセージを報知する。その後、通信制御部261は、通信開始要求メッセージへの応答として受信した応答メッセージが示している他の移動端末2の位置が通信可能エリアに含まれていることを条件として、他の移動端末2とメッセージの送受信を継続することを許可する。通信制御部261は、応答メッセージが示している他の移動端末2の位置が通信可能エリアに含まれていない場合には、応答メッセージを送信した他の移動端末2に対して、通信を継続できない旨を通知する。
【0042】
位置特定部262は、移動端末2の位置を特定する。位置特定部262は、位置情報取得部23から出力される緯度・経度を示す信号に基づいて、移動端末2の緯度・経度、又は所定の領域における座標を特定する。位置特定部262は、特定した緯度・経度又は座標を示す位置情報を通信制御部261に通知する。
【0043】
表示制御部263は、表示部24に表示するデータを出力することにより、表示部24に画像及びテキスト等の情報を表示させる。表示制御部263は、例えば、他の移動端末2と直接通信できる通信可能エリアに入ったことを示す情報、及び他の移動端末2から受信したメッセージを表示部24に表示させる。また、表示制御部263は、表示部24に設けられたタッチパネルから出力される信号に基づいて、ユーザがタッチした表示部24内の座標を特定し、特定した座標を通信制御部261に通知する。
【0044】
[通信システムSにおける動作シーケンス]
図5は、通信システムSにおける動作シーケンスを示す図である。
管理装置1のエリア管理部13は、通信エリア情報を送信するタイミングであるかどうかを監視し、通信エリア情報を送信するタイミングになると(S11においてYES)、通信エリア情報を送信する(S12)。エリア管理部13は、例えば、通信エリア情報ごとに予め定められた日時になった時点で通信エリア情報を送信する。
【0045】
移動端末2a及び移動端末2bが通信エリア情報を受信すると、移動端末2a及び移動端末2bの通信制御部261は、位置特定部262が特定した位置が、通信エリア情報が示す通信可能エリアに含まれていることを条件として(S13においてYES)、通信可能エリアに入ったことを表示部24に表示させる(S14)。
【0046】
移動端末2aのユーザが、ステップS14で、通信可能エリアに入ったことを示す表示を確認し、メッセージを送信する操作をした場合(S15においてYES)、通信制御部261は、ユーザが入力したメッセージを一斉送信する(S16)。
【0047】
移動端末2bの通信制御部261は、移動端末2aが送信したメッセージを受信すると、表示制御部263を介して、受信したメッセージを表示部24に表示させる(S17)。移動端末2bの通信制御部261は、ユーザによるメッセージを送信するための操作を受けると(S18においてYES)、ユーザが入力したメッセージを送信する(S19)。
【0048】
ステップS14において、通信制御部261は、通信エリア情報に対応する通信可能エリアに入っていることを示すエリア内通知を管理装置1に送信してもよい。管理装置1は、エリア内通知を受けた移動端末2の数を集計し、エリア内通知を受けた移動端末2に対して、通信可能エリア内の移動端末2の数を通知してもよい。
【0049】
また、移動端末2は、エリア内通知に、移動端末2のユーザ名やプロフィールを含む情報を入れてもよい。管理装置1は、エリア内通知に含まれているユーザ名やプロフィールを、同じ通信可能エリア内の移動端末2に通知する。このようにすることで、移動端末2は、同じ通信可能エリア内の他の移動端末2のユーザ名やプロフィールを表示することができる。したがって、移動端末2のユーザは、表示されたユーザ名やプロフィールを確認した上で、メッセージを送信したいユーザを選択することが可能になる。
【0050】
[通信可能エリアの変更]
管理装置1のエリア管理部13は、通信エリア情報を更新することができる。エリア管理部13は、例えば、管理装置1が提供するサービスの利用者からの指示に基づいて通信エリア情報を更新する。エリア管理部13は、時刻と通信エリア情報とを関連付けて記憶している記憶部12を参照し、現在時刻が記憶部12に記憶された時刻になると、通信エリア情報を、現在時刻に関連付けて記憶部12に記憶されたエリア情報に更新する。エリア管理部13が通信エリア情報を更新すると、管理装置通信部11は、更新後の通信エリア情報である更新エリア情報を複数の移動端末2に送信する。
【0051】
図6は、通信可能エリアが変更された状態を示す図である。
図6においては、移動端末2b及び移動端末2cが含まれるエリアA2が通信可能エリアに設定されており、
図1において通信可能エリアであるエリアA1に含まれていた移動端末2aは通信可能エリアに含まれない状態になっている。このように、移動端末2は、他の移動端末2(例えば
図6における移動端末2a)が通信可能エリアに含まれない状態になると、他の移動端末2との通信を停止する。
【0052】
例えば、移動端末2aの第1通信部21が更新エリア情報を受信すると、移動端末2aの通信制御部261は、第1通信部21が更新エリア情報を受信する前に通信していた移動端末2bとのメッセージの送受信を停止する。また、移動端末2bの通信制御部261は、移動端末2bの第1通信部21が更新エリア情報を受信した時点で、第1通信部21が更新エリア情報を受信する前に通信していた移動端末2aの位置が更新後の通信エリアに含まれていない場合に、移動端末2aとの通信を停止してもよい。移動端末2bが、移動端末2aとの通信を停止できるようにするために、移動端末2aの通信制御部261は、更新エリア情報が示す通信可能エリアに移動端末2aの位置が含まれない場合に、通信を停止することを示す通信停止通知を報知する。そして、移動端末2bの通信制御部261は、移動端末2aから通信停止通知の報知を受けると、それ以降の移動端末2aとの通信を停止する。
【0053】
エリア管理部13は、移動端末2の位置の分布状況に基づいて通信エリア情報を更新してもよい。例えば、エリア管理部13は、定期的に移動端末2の位置を収集し、移動端末2の存在密度を算出する。移動端末2の存在密度は、所定の面積内に存在する移動端末2の台数に対応する。エリア管理部13は、移動端末2の存在密度が所定の範囲となっているエリアを通信可能エリアに設定することにより、通信エリア情報を更新してもよい。
【0054】
図7は、移動端末2の存在密度が変化する様子を模式的に示す図である。
図7における黒丸は移動端末2の位置を示している。
図7(a)は、第1の時刻における遊園地内の移動端末2の分布を示している。存在密度が低過ぎる場合、アトラクションが行われていないと考えられることから、エリア管理部13は、そのようなエリアを通信可能エリアに設定しない。また、存在密度が高過ぎるエリアA10においては、移動端末2のユーザが移動端末2を操作することが困難である可能性があるので、そのようなエリアも通信可能エリアに設定しない。その結果、エリア管理部13は、移動端末2の存在密度が下限閾値以上、上限閾値未満となっているエリアA11を通信可能領域に設定されている。
【0055】
図7(b)は、第1の時刻と異なる第2の時刻における遊園地内の移動端末2の分布を示している。例えば、遊園地内でパレードが行われることにより、第1の時刻から移動端末2の分布が変化したことが想定される。
図7(b)においては、エリアA20、A21及びA22が通信可能エリアに設定されている。このように、エリア管理部13が移動端末2の存在密度に応じて通信可能エリアを変更することにより、移動端末2のユーザ間で直接通信をするメリットが大きいエリアを通信可能エリアに設定することが可能になる。
【0056】
[変形例]
図8は、通信システムSの変形例の構成を示す図である。
図8に示す通信システムSにおいては、通信網Nと通信可能なアクセスポイント3が複数設けられており、移動端末2が、アクセスポイント3を介して管理装置1と通信するという点で、
図1に示した通信システムSと異なる。
【0057】
アクセスポイント3は、例えばWiFiのアクセスポイントであり、複数の移動端末2との間で通信することができる。アクセスポイント3の通信可能範囲は約100mであり、それぞれのアクセスポイント3が送信する電波が届く範囲が通信可能エリアとなる。アクセスポイント3は、管理装置1からの指示に基づいて、送信する電波の強度を変化させることにより通信可能エリアの大きさを調整してもよい。
【0058】
管理装置1は、アクセスポイント3の識別情報に関連付けて、通信可能エリアとしてアクティベートする期間を記憶している。管理装置1は、緯度・経度情報の代わりに、アクセスポイント3の識別情報(以下、アクセスポイントIDという)を含む通信エリア情報を送信してもよい。管理装置1は、通信網N及びアクセスポイント3を介して通信エリア情報を送信してもよく、アクセスポイント3を介することなく通信エリア情報を送信してもよい。
【0059】
移動端末2は、通信エリア情報を受信すると、受信した通信エリア情報に含まれているアクセスポイントIDを参照し、アクセスポイントIDに対応するアクセスポイント3が送信している電波を検出できているか否かを監視する。移動端末2は、アクセスポイントIDに対応するアクセスポイント3が送信している電波を検出した場合、移動端末2が通信可能エリアに入っていると判定し、他の移動端末2との間での直接通信を可能にする。
【0060】
[通信システムSによる効果]
以上説明したように、本実施形態に係る管理装置1は、複数の移動端末2の間で直接通信できるエリアを特定するための通信エリア情報を管理し、移動端末2に通信エリア情報を送信する。そして、移動端末2は、自身の位置が、受信した通信エリア情報が示すエリアに含まれている場合に、同じエリアに含まれている他の移動端末2との間で直接通信することができる。このようにすることで、管理装置1により提供可能なサービスの利用者(例えば遊園地)は、移動端末2のユーザ同士でコミュニケーションする機会を提供することができるので、ユーザの満足度を向上させることが可能になる。
【0061】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。