【解決手段】管理装置1は、複数の移動端末2が直接通信できる通信可能エリアを通知し、複数の移動端末2のそれぞれは、自身の位置を特定する位置特定部272と、管理装置1から通知された通信可能エリアにおいて、他の移動端末2との通信を許可する通信許可エリアを設定する操作を受け付ける操作受付部26と、操作受付部26が受け付けた操作により設定された通信許可エリアを示す許可エリア情報を含む電波を送信する通信制御部271と、を備える。通信制御部271は、他の移動端末2から通信許可エリア情報を受信した時点で位置特定部272が特定した位置が、許可エリア情報が示す通信許可エリアに含まれている場合に、許可エリア情報を送信した移動端末2と通信可能にする。
他の移動端末から前記許可エリア情報を受信した時点で前記位置特定部が特定した前記位置が、前記許可エリア情報が示す前記通信許可エリアに含まれている場合に、前記他の移動端末と通信可能であることを表示部に表示する表示制御部をさらに有する、
請求項1に記載の通信システム。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1の実施形態>
[通信システムSの概要]
図1は、第1の実施形態に係る通信システムSの構成を示す図である。通信システムSは、管理装置1と、通信網Nを介して管理装置1と通信可能な複数の移動端末2(
図1においては、移動端末2a,2b,2c,2dを例示)とを備える。管理装置1は、複数の移動端末2が直接通信できる通信可能エリア、及び複数の移動端末2の位置を管理するサーバである。移動端末2は、スマートフォンやタブレットのように、携帯電話網等の通信網Nに接続する機能を有する携帯型の通信端末である。
【0017】
図1においては、管理装置1が、通信可能エリアA1を設定した状態を示している。移動端末2は、管理装置1が設定した通信可能エリアA1において、通信許可エリアを設定することができる。
図1においては、移動端末2bが、通信可能エリアA1内に通信許可エリアA2を設定し、通信許可エリアA2内の移動端末2aと直接通信可能な状態になっている場合を例示している。一方、移動端末2bは、通信可能エリアA1内にありながらも通信許可エリアA2外の移動端末2cとは直接通信ができない状態になっている。また、移動端末2bは、通信可能エリアA1外の移動端末2dとは、直接通信できない状態になっている。このように、通信システムSにおいては、移動端末2のユーザは、直接通信を許可するエリアを任意に設定することができる。
【0018】
本明細書において「直接通信する」とは、他の装置を介することなくデータを送受信することをいう。例えば、複数の移動端末2は、Bluetooth(登録商標)やWiFiの無線チャネルを介して、直接通信することができる。
【0019】
管理装置1は、緯度・経度情報等の位置を示す情報を含む通信可能エリア情報を生成する。通信可能エリア情報は、複数の移動端末2の間で直接通信するための通信許可エリアを設定できる通信可能エリアの位置及び範囲を特定するための情報であり、管理装置1は、管理装置1の管理者が提供するサービスの利用者の要求に応じて、複数の通信可能エリアに対する通信可能エリア情報を生成することができる。管理装置1の管理者が提供するサービスとは、例えば、サービスの利用者からの要求に応じた日時において、サービスの利用者の要望に基づいて設定された通信可能エリア内で複数の移動端末2の間でのメッセージの送受信を可能にするサービスである。
【0020】
図2は、通信可能エリアについて説明するための図である。
図2(a)は、通信可能エリアが平面である場合の例を示しており、頂点A,B,C,Dにより規定される四辺形の内側が、ユーザh1及びユーザh2が直接通信可能なエリアとなっている。
図2(b)は、通信可能エリアが立体である場合の例を示しており、頂点A,B,C,D,E,F,G,Hにより規定される直方体の内側が、ユーザh1及びユーザh2が直接通信可能なエリアとなっている。
図2(b)のように、通信可能エリアが立体である場合、通信可能エリアは、緯度・経度情報と高さ情報とによって規定される。
【0021】
なお、
図2においては、通信可能エリアの形状が四辺形又は直方体である例を示しているが、通信可能エリアの形状は任意である。通信可能エリアの形状は、例えば円形、楕円形、又は円柱形であってもよい。
また、通信可能エリアは、緯度・経度情報の絶対座標によって規定されてもよく、所定の基準位置と基準位置に対するオフセット座標とによって規定されてもよい。
【0022】
管理装置1が提供するサービスは、例えば、遊園地内のさまざまな箇所に複数の移動端末2の間で直接通信できる通信可能エリアを設定する場合に好適である。遊園地のアトラクションに入場するために並んでいる間に、同じ場所で並んでいる人と情報交換をすることで、来場者の楽しみ方の幅を広げることができる。
以下、管理装置1及び移動端末2の構成の詳細について説明する。
【0023】
[管理装置1及び移動端末2の機能構成]
図3は、管理装置1及び移動端末2の機能構成を示す図である。
管理装置1は、管理装置通信部11と、記憶部12と、エリア管理部13とを有する。
【0024】
管理装置通信部11は、通信網Nに接続するための通信インターフェースであり、例えばLAN(Local Area Network)コントローラを有する。管理装置通信部11は、エリア管理部13が生成した通信可能エリア情報を通信網Nに送信することにより、複数の移動端末2に通信可能エリア情報を配信する。
【0025】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びハードディスク等の記憶媒体を含む。記憶部12は、エリア管理部13が実行するプログラムを記憶する。また、エリア管理部13が外部から取得したり生成したりした通信可能エリア情報を記憶する。エリア管理部13は、例えば、管理装置1が提供するサービスの利用者の識別情報(以下、利用者IDという)と通信可能エリア情報とを関連付けたエリア情報データベースを記憶している。
【0026】
図4は、エリア情報データベースの一例を示す図である。
図4に示す例においては、通信可能エリア情報と、通信可能エリア情報を有効にするアクティベート期間と、エリアの概要とが関連付けられている。通信可能エリア情報は、基準位置の緯度・経度情報と、基準位置に対するオフセット座標(単位はm)を含んでいる。
なお、
図4の例における通信可能エリアは長方形であり、オフセット座標は、長方形の四隅の座標を示している。
【0027】
エリア管理部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、移動端末2に送信する通信可能エリア情報を管理する。具体的には、エリア管理部13は、例えば、管理装置通信部11及び通信網Nを介して、管理装置1が提供するサービスの利用者のコンピュータ(不図示)から送信された、通信可能エリアを設定するための情報を受信し、受信した情報に基づいて通信可能エリア情報を生成する。そして、エリア管理部13は、生成した通信可能エリア情報を記憶部12に記憶させる。
【0028】
また、エリア管理部13は、所定のタイミングで、記憶部12に記憶された通信可能エリア情報を配信する。エリア管理部13は、例えば、エリア情報データベース内のアクティベート期間において、所定の時間間隔で通信可能エリア情報を配信する。管理装置1が提供するサービスの利用者が遊園地である場合、アトラクションの開始時刻から所定の時間以上前からアトラクションが終了するまでの期間がアクティベート期間に設定されることが想定される。このように、エリア管理部13が、所定のアクティベート期間に通信可能エリア情報を送信することにより、アトラクションに関係ない時間帯に移動端末2が通信可能エリアに入った際に、通信可能の通知が移動端末2に表示されることを防止できる。
【0029】
また、エリア管理部13は、通信可能エリア情報に対応する通信可能エリアで通信可能な時間を示す時間情報を複数の移動端末2に送信してもよい。エリア管理部13は、例えば、エリア情報データベース内のアクティベート期間を示す情報を含む通信可能エリア情報を送信する。このようにすることで、エリア管理部13は、アクティベート期間よりも前の通信網Nが混雑していない時間帯に予め通信可能エリア情報を配信しておくことができるので、通信網Nの輻輳を防止しつつ、適切な時間帯に複数の移動端末2の間で直接通信をさせることができる。
【0030】
エリア管理部13は、通信可能エリア情報とともに、通信可能エリア情報について説明するための説明コンテンツを送信してもよい。エリア管理部13が説明コンテンツを送信することにより、移動端末2は、通信可能エリアがどのようなエリアであるかを示す情報(例えば、アトラクション名)を表示することができる。その結果、移動端末2のユーザが、他の移動端末2のユーザとメッセージのやり取りを許可する通信許可エリアを設定することができる通信可能エリアが、どのようなエリアであるかを把握できるので、ユーザが、適切な位置に通信許可エリアを設定しやすくなる。
【0031】
さらに、エリア管理部13は、複数の移動端末2の位置情報を定期的に取得し、取得した位置情報に基づいて、送信する通信可能エリア情報に対応する通信可能エリアに含まれる移動端末2の台数を特定してもよい。そして、エリア管理部13は、通信可能エリア情報とともに、通信可能エリア情報に対応する通信可能エリア内に存在する移動端末2の台数を通知してもよい。
【0032】
また、エリア管理部13は、移動端末2に対して、地図又は複数の移動端末2の位置情報の少なくともいずれかを送信してもよい。エリア管理部13が送信する位置情報は、例えば、GPS(Global Positioning System)が送信した緯度・経度を特定するための情報である。複数の移動端末2が屋内のように閉鎖された場所に存在する場合、エリア管理部13は、所定の基準位置と基準位置に対するオフセット座標とを含む位置情報を送信してもよい。エリア管理部13は、例えば通信可能エリアに対応する範囲の地図又は位置情報の少なくともいずれかを移動端末2に送信する。エリア管理部13は、移動端末2の位置から所定の範囲内の地図又は位置情報の少なくともいずれかを移動端末2に送信してもよい。移動端末2は、地図を受信せずに位置情報を受信した場合、位置情報に対応する地図を、地図を提供するサーバからダウンロードして表示することができる。
【0033】
また、エリア管理部13は、複数の移動端末2の位置を示す地図又は位置情報の少なくともいずれかを移動端末2に送信してもよい。エリア管理部13は、複数の移動端末2の位置を示す地図として、複数の移動端末2の位置を示す画像を重畳した地図画像を送信してもよく、複数の移動端末2の位置を示す位置情報を地図画像とともに送信してもよい。エリア管理部13は、複数の移動端末2の位置を示す位置情報だけを移動端末2に送信してもよい。この場合、移動端末2は、位置情報に対応する地図を、地図を提供するサーバからダウンロードして、ダウンロードした地図に複数の移動端末2の位置を示す画像を重畳して表示させることができる。
【0034】
続いて、移動端末2の構成について説明する。移動端末2は、第1通信部21と、第2通信部22と、位置情報取得部23と、表示部24と、記憶部25と、操作受付部26と、制御部27とを有する。
【0035】
第1通信部21は、通信網Nに接続するための通信インターフェースであり、例えば携帯電話回線の接続インターフェースを有する。第1通信部21は、管理装置1が送信した通信可能エリア情報を受信する。第1通信部21は、受信した通信可能エリア情報を制御部27に通知する。
【0036】
第2通信部22は、他の移動端末2との間で直接通信をするための通信インターフェースである。第2通信部22は、例えばBluetooth(登録商標)、WiFi等の無線回線インターフェースを有しており、第1通信部21よりも小さな送信電力で電波を送信する。
【0037】
位置情報取得部23は、移動端末2の位置を示す情報を取得する。位置情報取得部23は、例えばGPSが送信した緯度・経度を特定するための情報を制御部27に通知する。
【0038】
表示部24は、情報を表示するディスプレイである。表示部24は、第1通信部21が通信可能エリア情報を受信すると、制御部27の制御に基づいて、他の移動端末2と直接通信できる通信可能エリアに入ったことを示す情報を表示する。また、表示部24は、ユーザが通信許可エリアを設定するための画面を表示する。さらに、表示部24は、他の移動端末2から受信したメッセージを表示する。
【0039】
記憶部25は、ROM及びRAM等の記憶媒体である。記憶部25は、制御部27が実行する通信用プログラムを記憶する。また、記憶部25は、ユーザにより設定された通信許可エリアを特定するための情報(例えば座標)を記憶する。
【0040】
操作受付部26は、例えば表示部24の表面に設けられたタッチパネルである。ユーザは、表示部24にタッチすることにより各種の操作を行ったり、他の移動端末2に送信するメッセージを入力したりすることができる。操作受付部26は、例えば、エリア管理部13から通知された通信可能エリアにおいて、他の移動端末2との通信を許可する通信許可エリアを設定する操作を受け付けることができる。
【0041】
制御部27は、例えばCPUである。制御部27は、記憶部25に記憶された通信用プログラムを実行することにより、通信制御部271、位置特定部272及び表示制御部273として機能する。
【0042】
通信制御部271は、第1通信部21及び第2通信部22を制御して、管理装置1及び他の移動端末2との間でデータを送受信する。例えば、通信制御部271は、第1通信部21に管理装置1からデータを受信させ、第1通信部21が受信した通信可能エリア情報を記憶部25に記憶させる。
【0043】
また、通信制御部271は、第2通信部22に、操作受付部26が受け付けた操作により設定された通信許可エリアを示す許可エリア情報を含む電波を送信させる。また、通信制御部271は、第2通信部22が他の移動端末2から許可エリア情報を受信した時点で位置特定部272が特定した位置が、許可エリア情報が示す通信許可エリアに含まれている場合に、許可エリア情報を送信した移動端末2と通信可能にする。
【0044】
通信制御部271は、ユーザが、移動端末2の位置が通信許可エリアに含まれている間に他の移動端末2との間でメッセージを送受信する操作を行うと、ユーザが入力したメッセージを第2通信部22に送信させるとともに、第2通信部22が他の移動端末2から受信したメッセージを取得する。通信制御部271は、第2通信部22から取得したメッセージを表示部24に表示させる。
【0045】
位置特定部272は、移動端末2の自身の位置を特定する。位置特定部272は、位置情報取得部23から出力される緯度・経度を示す信号に基づいて、移動端末2の緯度・経度、又は所定の領域における座標を特定する。位置特定部272は、特定した緯度・経度又は座標を示す位置情報を通信制御部271に通知する。
【0046】
表示制御部273は、表示部24に表示するデータを出力することにより、表示部24に画像及びテキスト等の情報を表示させる。表示制御部273は、例えば、他の移動端末2と直接通信できる通信可能エリアに入ったことを示す情報、及び他の移動端末2から受信したメッセージを表示部24に表示させる。表示制御部273は、例えば、他の移動端末2から許可エリア情報を受信した時点で位置特定部272が特定した位置が、許可エリア情報が示す通信許可エリアに含まれている場合に、他の移動端末2と通信可能であることを表示部24に表示させる。
【0047】
[通信許可エリアの設定手順]
続いて、通信許可エリアの設定手順について具体的に説明する。
まず、エリア管理部13は、所定のタイミングで、複数の移動端末2に対して、通信可能エリア情報と、通信可能エリアに対応する範囲の複数の移動端末2の位置を示す地図を送信する。通信制御部271が地図を受信すると、表示制御部273は、地図を表示部24に表示させる。表示制御部273は、例えば、移動端末2の位置から所定の範囲内の地図において、複数の移動端末2のうち所定の範囲内にいる移動端末2の位置を表示部24に表示させる。
【0048】
図5は、表示部24に表示される地図の一例を示す図である。
図5(a)においては、通信可能エリアA10に対応する領域の地図に、他の移動端末2の位置が表示された状態を模式的に示している。
図5(a)におけるひし形(◇)は自端末の位置を示し、黒丸は他の移動端末2の位置を示している。
【0049】
図5(a)に示す状態において、ユーザは、表示部24に表示された通信可能エリアに対応する範囲の地図において、操作受付部26を用いて通信許可エリアを入力することができる。例えば、ユーザは、あるアトラクションの順番待ちの列に並んでいるときに、同じアトラクションの順番待ちをしている他のユーザとのメッセージ送受信を行うために、アトラクション前の他の移動端末2の密度が高い領域を囲むように線を描くことにより、通信許可エリアを入力することができる。
【0050】
図5(b)は、ユーザが移動端末2の周辺において他の移動端末2の密度が高い領域を囲むように線を描いた状態を示している。操作受付部26は、描かれた線の位置を特定するための座標情報を通信制御部271に通知する。通信制御部271は、操作受付部26から通知された座標情報に基づいて、ユーザが描いた線で囲まれた領域を通信許可エリアA101として特定する。通信制御部271は、特定した通信許可エリアA101の範囲を示す情報を、通信許可エリアを示す許可エリア情報として記憶部25に保存する。
【0051】
このように、移動端末2が地図を表示することで、ユーザは、通信許可エリアとして設定したい領域を容易に決定することができる。また、移動端末2が、地図に重畳して他の移動端末2の位置を表示することで、ユーザは、メッセージを送受信する対象となる他の移動端末2が多い領域を通信許可エリアに設定しやすくなる。
【0052】
[移動端末2の動作シーケンス]
図6は、移動端末2の動作シーケンスを示す図である。
まず、移動端末2aの通信制御部271は、移動端末2aの位置特定部272により特定された位置情報が、エリア管理部13から送信された通信可能エリア情報が示す通信可能エリア内に含まれているとき、移動端末2aの表示部24に通信可能であることを表示する(S21)。
【0053】
次に、移動端末2aのユーザが、移動端末2aの操作受付部26を用いて通信許可エリアとして設定する領域を示す範囲情報を入力する。範囲情報は、例えば、
図5(b)に示した通信許可エリアA101に対応する線のように画像であってもよく、テキスト情報であってもよい。移動端末2aの通信制御部271は、入力された範囲情報に基づいて通信許可エリアを特定する(S22)。そして、移動端末2aの通信制御部271は、特定した通信許可エリアを示す許可エリア情報を他の移動端末2に送信する(S23)。
【0054】
移動端末2bの通信制御部271は、移動端末2aの許可エリア情報を受信すると、自端末の位置が、移動端末2aの通信許可エリア内に含まれているかどうかを判断する(S24)。移動端末2bの通信制御部271は、移動端末2aから送信された許可エリア情報を参照し、移動端末2aの通信許可エリア内に、自端末の位置が含まれていない場合(S24においてNO)は処理を終了する。移動端末2bの通信制御部271は、移動端末2aの通信許可エリア内に自端末の位置が含まれている場合(S24においてYES)は、直接通信を開始できることを示す応答メッセージを移動端末2aに送信する(S25)。
【0055】
移動端末2aの通信制御部271は、移動端末2bから応答メッセージを受信すると、移動端末2aの表示部24に、移動端末2bとの直接通信が開始可能になったことを表示する(S26)。以降、二つの移動端末2a及び移動端末2bは、直接通信を用いて、メッセージの送受信を行うことができる(S27)。
【0056】
ここで、移動端末2aのみが通信許可エリアを設定する場合について説明したが、移動端末2bも通信許可エリアを設定する場合についても、同様の操作が行われる。例えば、移動端末2bの通信制御部271は、
図6におけるS21〜S23の動作を行う。移動端末2aの通信制御部271は、移動端末2bから送信された許可エリア情報を受信すると、自端末の位置が、移動端末2bの通信許可エリア内に含まれているかどうか判断し、自端末の位置が含まれていない場合は処理を終了し、自端末の位置が含まれている場合は、直接通信を開始することを移動端末2bに送信する。
【0057】
移動端末2a、2bの通信制御部271は、それぞれの表示部24に通信開始を表示する。以降、二つの移動端末2a及び2bは、直接通信を用いて、メッセージの送受信を行うことができる。
【0058】
[第1の実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態に係る管理装置1は、複数の移動端末2の間で直接通信できるエリアを特定するための通信可能エリア情報を管理し、移動端末2に通信可能エリア情報を送信する。移動端末2aにおいては、操作受付部26が、管理装置1から通知された通信可能エリアにおいて、他の移動端末2bとの通信を許可する通信許可エリアを設定する操作を受け付ける。
【0059】
通信制御部271は、操作受付部26が受け付けた操作により設定された通信許可エリアを示す許可エリア情報を含む電波を送信する。そして、許可エリア情報を含む電波を受信した移動端末2bの通信制御部271は、移動端末2aから許可エリア情報を受信した時点で位置特定部272が特定した自端末の位置が、許可エリア情報が示す通信許可エリアに含まれている場合に、許可エリア情報を送信した移動端末2aと通信可能にする。このようにすることで、管理装置1により提供可能なサービスの利用者(移動端末2のユーザ)は、所望の範囲内のユーザ同士でコミュニケーションすることができるので、ユーザの満足度を向上させることが可能になる。
【0060】
<第2の実施形態>
[表示制御部273が通信許可エリア候補を提示する]
続いて、第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、ユーザが、通信許可エリアを入力したが、第2の実施形態では、表示制御部273が、一以上の通信許可エリア候補を決定し、表示部24に通信許可エリア候補を表示させる点で第1の実施形態と異なる。以下、第1の実施形態と異なる部分について説明を行う。第1の実施形態と同じ部分については適宜説明を省略する。
【0061】
移動端末2の表示制御部273は、一以上の通信許可エリア候補を表示部24に表示させる。例えば、表示制御部273は、エリア管理部13から受信した複数の移動端末の位置を示す地図を用いて、単位面積あたりの移動端末の数に基づいて一以上の通信許可エリア候補を決定する。表示制御部273は、決定した一以上の通信許可エリア候補を表示部24に表示させる。
【0062】
表示制御部273は、例えば、移動端末2の存在密度が所定の閾値以上である領域を他の領域と異なる態様(色又は模様)で表示部24に表示させることにより、移動端末2の存在密度が所定の閾値以上である領域を通信許可エリア候補としてユーザに通知することができる。
【0063】
図7は、表示部24に表示される通信許可エリア候補の一例を示す図である。
図7におけるひし形(◇)は自端末の位置を示し、黒丸は他の移動端末2の位置を示している。
図7(a)においては、移動端末2の存在密度が所定の値以上であるエリアA301が通信許可エリア候補として表示されている。
【0064】
操作受付部26は、ユーザが一以上の通信許可エリア候補から一つの通信許可エリア候補を通信許可エリアとして選択する操作を受け付ける。操作受付部26は、例えば、ユーザが、通信許可エリア候補として表示されているエリアA301の少なくとも一部にタッチすると、エリアA301を通信許可エリアに設定する操作として受け付けることができる。このようにすることで、ユーザは、通信許可エリアを囲む線を描くことなく、容易に通信許可エリアを設定することができる。
【0065】
また、表示制御部273は、移動端末2の第2通信部22が送出する電波の到達可能距離に基づいて、通信許可エリア候補を設定し、設定した通信許可エリア候補を表示部24に表示させてもよい。
図7(b)におけるエリアA302は、移動端末2が送出する電波が到達する範囲を示している。通信制御部271は、第2通信部22が送出する電波が到達する範囲であるエリアA302を通信許可エリア候補として設定することができる。
【0066】
さらに、表示制御部273は、エリアA301と、エリアA302と、を重ね合わせたエリアA303を通信許可エリア候補として設定してもよい。このようにすることで、移動端末2の第2通信部22から送出される電波が、表示制御部273が設定した通信許可エリア候補の領域に届かない状況が発生することを防止できる。その結果、ユーザが、通知された通信許可エリア候補を通信許可エリアとして設定しても、移動端末2が他の移動端末と直接通信ができない状態となるのを防ぐことができる。
【0067】
[第2の実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態に係る移動端末2の表示制御部273は、管理装置1から受信した通信可能エリア情報と、他の移動端末2の位置情報とに基づいて、一以上の通信許可エリア候補を設定し、ユーザに通知する。ユーザは、通知された一以上の通信許可エリア候補から、一つの通信許可エリア候補を選択することで、通信許可エリアを設定することができる。このようにすることで、管理装置1により提供可能なサービスの利用者(移動端末2のユーザ)は、通信許可エリアを容易に設定することが可能になる。
【0068】
<第3実施形態>
[エリア管理部13が通信許可エリア候補を提示する]
続いて、第3実施形態について説明する。第2の実施形態では、表示制御部273が、一以上の通信許可エリア候補を決定し、ユーザに通信許可エリアを提示したが、第3実施形態では、エリア管理部13が、複数の移動端末2に対して、一以上の通信許可エリア候補を決定し、一以上の通信許可エリア候補を移動端末2に送信する点で第2の実施形態と異なる。以下、第3の実施形態と異なる部分について説明を行う。第3実施形態と同じ部分については適宜説明を省略する。
【0069】
エリア管理部13は、一以上の通信許可エリア候補を移動端末2の第1通信部21に送信する。例えば、あらかじめ決められた領域を通信許可エリア候補として設定し、設定した通信許可エリア候補を移動端末2の第1通信部21に送信する。表示制御部273は、エリア管理部13から受信した一以上の通信許可エリア候補を、表示部24に表示させる。
【0070】
表示制御部273は、受信した通信許可エリア候補を表示部24に表示させるとき、テキスト情報として表示させてもよいし、画像として表示させてもよい。また、表示制御部273は、受信した通信許可エリア候補が示す通信許可エリアに自端末が含まれていることを条件として、通信許可エリア候補を表示部24に表示させてもよい。逆に、表示制御部273は、受信した通信許可エリア候補が示す通信許可エリアに自端末が含まれていない場合に、受信した通信許可エリアを表示部24に表示させてもよい。このようにすることで、ユーザは、通信許可エリアに入る前に通信許可エリアを設定することができ、通信許可エリアに入るとすぐに直接通信を開始することができる。
【0071】
[第3の実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態に係る管理装置1は、複数の移動端末2に対して、一以上の通信許可エリア候補を送信し、通信制御部271は、管理装置1から受信した一以上の通信許可エリア候補を表示部24に表示する。このようにすることで、第2の実施形態と同様に、移動端末2のユーザは、通信許可エリアを容易に設定することが可能になる。
【0072】
以上、本発明の実施の形態、及びいくつかの実施の形態をもとに説明した。これらの任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。また本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。