【解決手段】液透過性のトップシート2と液不透過性のバックシート3とこれらの間に配された吸収性コア4とを有する使い捨ておむつ1であって、バックシート3の外面側にフロンタルテープ14が設けられ、フロンタルテープ14は、幅方向xの両側の端部領域に長手方向yに延びる着色部15が設けられている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る使い捨ておむつの構成について、図面を参照して説明する。なお本発明は、図面に示された実施態様に限定されるものではない。
図1は使い捨ておむつをトップシート側から見た平面図を表し、
図2は
図1に示した使い捨ておむつをバックシート側から見た平面図を表し、
図3は
図1に示した使い捨ておむつのIII−III断面図を表し、
図4は
図1に示した使い捨ておむつのIV−IV断面図を表す。本願の図では、矢印xが幅方向、矢印yが長手方向を表し、矢印x,yにより形成される面に対して垂直方向が厚み方向zを表す。なお
図1および
図2では、図面の上側がおむつの前側に相当し、図面の下側がおむつの後側に相当する。
【0017】
使い捨ておむつ1は、長手方向yと幅方向xとを有し、液透過性のトップシート2と、液不透過性のバックシート3と、これらの間に配された吸収性コア4とを有する。トップシート2は、使い捨ておむつを着用した際に着用者側に位置するシートである。バックシート3は、使い捨ておむつを着用した際に着用者とは反対側、すなわち外側に位置するシートである。着用者から排泄された尿等は、トップシート2を透過して吸収性コア4により収容される。バックシート3は、排泄物が外部へ漏れるのを防いでいる。
【0018】
長手方向yとは、使い捨ておむつを着用した際に着用者の股間の前後方向に延びる方向に相当する。幅方向xとは、使い捨ておむつと同一面上にあり長手方向yと直交する方向を意味し、使い捨ておむつを着用した際の着用者の左右方向に相当する。使い捨ておむつは、長手方向yに対して、前側部と股部と後側部を有する。前側部は、使い捨ておむつを着用の際に着用者の腹側に当てる部分に相当し、後側部は、使い捨ておむつを着用の際に着用者の背側に当てる部分に相当する。また、前側部と後側部との間に位置し、着用者の股間に当てる部分を股部と称する。本発明において、使い捨ておむつの肌面側とは、使い捨ておむつを着用した際の着用者の肌に向く側を意味し、使い捨ておむつの外面側とは、使い捨ておむつを着用した際の着用者とは反対に向く側を意味する。
【0019】
トップシート2としては、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布や、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化されたもの等を用いることができる。また、トップシート2として、織布、編布、有孔プラスチックフィルム等を用いてもよい。
【0020】
バックシート3としては、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布や、プラスチックフィルム等を用いることができる。バックシートは2以上のシートの積層体から構成されていてもよく、例えば、不織布とプラスチックフィルムとの積層体を用いてもよい。この場合、積層体を構成する少なくとも1つのシートが液不透過性であればよい。図面に示した使い捨ておむつでは、バックシート3がプラスチックフィルム3Aと不織布3Bとの積層体から構成されている(
図2〜
図4を参照)。本発明において、液不透過性には撥水性の意味も含まれる。
【0021】
吸収性コア4は、尿等の排泄物を吸収できる吸収性材料を含むものであれば特に限定されない。吸収性コア4としては、例えば、吸収性材料を所定形状に成形した成形体を用いることができる。吸収性コア4は、紙シート(例えば、ティッシュペーパーや薄葉紙)や液透過性不織布等の被覆シートで覆われてもよい。吸収性材料としては、例えば、パルプ繊維等の親水性繊維や、ポリアクリル酸系、ポリアスパラギン酸系、セルロース系、デンプン・アクリロニトリル系等の吸水性樹脂等が挙げられる。また、吸水性材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維や、PET等のポリエステル繊維、ポリアミド繊維等の熱融着性繊維が含まれてもよい。これらの熱融着性繊維は、尿等との親和性を高めるために、界面活性剤等により親水化処理がされていてもよい。
【0022】
吸収性材料は、尿等の吸収速度を高める点から、親水性繊維を含むことが好ましい。また、吸収容量を高める点からは、吸収性材料は吸水性樹脂を含むことが好ましい。従って、吸収性コアは親水性繊維(特にパルプ繊維)と吸水性樹脂を含むことが好ましい。この場合、例えば、親水性繊維の集合体に吸水性樹脂を混合または散布したものを用いることが好ましい。
【0023】
吸収性コア4は、シート状吸収体であってもよい。シート状吸収体としては、不織布間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないように形成されたものが挙げられる。このように形成されたシート状吸収体は不織布間に吸水性樹脂を有するため、高い吸収容量を実現できる。また、シート状吸収体は不織布間にパルプ繊維を有しないため、嵩張らず薄型に形成することができる。
【0024】
シート状吸収体は、吸収性材料として吸水性繊維を用いたものであってもよい。この場合もまた、シート状吸収体が嵩張らず薄型に形成される。吸水性繊維としては、プロトン化または塩形成したカルボキシル基を含有する繊維が挙げられる。例えば、アクリル繊維を加水分解して、アクリル繊維に含まれるニトリル基をカルボキシル基に変換することにより、吸水性繊維を得ることができる。このとき、吸水性繊維に含まれるカルボキシル基は、アルカリ金属塩またはアンモニア塩を形成していることが好ましい。また吸水性繊維は、親水性繊維をアクリル酸に浸漬し、繊維表面でアクリル酸を析出させることにより製造することができる。
【0025】
吸収性コア4の形状(平面形状)は特に限定されない。吸収性コア4の形状は、用途に応じて適宜決定すればよく、例えば、長方形、砂時計形、ひょうたん形、羽子板形等が挙げられる。なお、吸収性コアが着用者の大腿部に挟まれて幅方向に圧迫されても歪みにくくする点から、吸収性コアは略砂時計形に形成されていることが好ましい。
【0026】
トップシート2の幅方向xの両側には、長手方向yに延在する液不透過性のサイドシート5が接合されることが好ましい(
図1および
図3を参照)。サイドシート5は、バックシート3に使用可能な材料から構成すればよく、例えば、液不透過性のプラスチックフィルムや液不透過性の不織布等から構成される。サイドシート5は、トップシート2とトップ接合部8で接合され、トップ接合部8よりも幅方向xの内方側がトップシート2から起立可能に形成され、トップ接合部8よりも幅方向xの外方側がバックシート3に積層されている。サイドシート5の幅方向xの内方側が起立することにより立ち上がりフラップ6が形成され、これにより尿等の幅方向xの横漏れを防止することができる。なお、サイドシート5の幅方向xの内方側がトップシート2から起立可能に形成されるために、サイドシート5には、トップ接合部8よりも幅方向xの内方側に長手方向yに延びる起立用弾性部材7が設けられることが好ましい。
【0027】
立ち上がりフラップ6(すなわちサイドシート5の幅方向xの内方側)は長手方向yの端部の内面がトップシート2上に接合されてもよく、これにより尿等の長手方向yの外方への漏れが防止される。
【0028】
上記説明した各シートとして不織布を用いる場合、不織布としては、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、メルトブロー不織布、エアレイド不織布、SMS不織布等を用いることが好ましい。各シートの単位面積あたりの質量は、10g/m
2以上が好ましく、12g/m
2以上がより好ましく、また40g/m
2以下が好ましく、30g/m
2以下がより好ましい。
【0029】
使い捨ておむつ1の幅方向xの両側には、長手方向yに延びる脚用弾性部材9が設けられることが好ましい。脚用弾性部材9を設けることにより、着用者の脚周りにギャザーを形成して脚周りのフィット性を高めたり、横漏れを防止することができる。脚用弾性部材9は、長手方向yに直線状に延びるように設けられることが好ましい。
【0030】
脚用弾性部材9は、少なくとも一部が吸収性コア4よりも幅方向xの外方に設けられればよい。吸収性コア4が略砂時計形に形成される場合は、脚用弾性部材9は、長手方向yの両端部が吸収性コア4と重なり、その間の中間部が吸収性コア4と重ならないように設けられてもよい。このように脚用弾性部材9を設けることにより、着用者の脚周りに好適にギャザーが形成されるとともに、吸収性コア4が長手方向yの断面において湾曲して形成されやすくなり、吸収性コア4の着用者の股間へのフィット性が高まる。
【0031】
使い捨ておむつ1の長手方向yの両側には、幅方向xに延びるウェスト弾性部材10が設けられることが好ましい。ウェスト弾性部材10を設けることにより、着用者の胴周りに沿ったウェストギャザーが形成され、腹部側や背中側からの尿等の漏れが防止される。ウェスト弾性部材10は、幅方向xに直線状に延びるように設けられることが好ましい。
【0032】
ウェスト弾性部材10は、使い捨ておむつ1の長手方向yの端部に設けられ、好ましくは、吸収性コア4の長手方向yの端縁よりも外方に設けられる。すなわち、ウェスト弾性部材10は使い捨ておむつ1の長手方向yの端縁と吸収性コア4の長手方向yの端縁の間に形成されることが好ましい。ウェスト弾性部材10は、吸収性コア4と重ならないように設けられることが好ましい。
【0033】
上記に説明した各弾性部材としては、ポリウレタン糸、ポリウレタンフィルム、天然ゴム等の通常の使い捨ておむつに用いられる弾性伸縮材料を用いることができる。弾性部材は、伸張状態で、ホットメルト接着剤等の接着剤で取り付けられることが好ましい。例えば、繊度40〜1,240dtexのポリウレタン糸を、倍率1.1〜5.0倍に伸張して配設し、固定する。接合手段としては、好ましくは、ゴム系のホットメルト接着剤が用いられる。なお、前記倍率は、非伸張状態を1.0倍とする。
【0034】
使い捨ておむつ1には、幅方向xの両側にファスニングテープ11が設けられる。ファスニングテープ11は、使い捨ておむつ1の長手方向yの後側部の左右側端部に取り付けられることが好ましい。ファスニングテープ11は基材12に止着部13(例えばフック・ループ・ファスナーのフック部材や粘着剤)が設けられて構成されている。一方、使い捨ておむつ1には、バックシート3の外面側に止着対応部としてフロンタルテープ14が設けられている。フロンタルテープ14は、使い捨ておむつ1の長手方向yの前側部の外面側に設けられることが好ましい。フロンタルテープ14はファスニングテープ11の止着対象となり、ターゲットテープとも称される。フロンタルテープ14は、例えばフック・ループ・ファスナーのループ部材やプラスチックフィルムから構成することができ、好ましくは、フック・ループ・ファスナーのループ部材を有して構成される。この場合、フロンタルテープ14は基材にループ部が設けられて構成されることが好ましい。フロンタルテープ14は、バックシート3に接着剤等により取り付けられればよい。使い捨ておむつ1は、着用者の股間に当てて、ファスニングテープ11の止着部13をフロンタルテープ14に接合することで、装着することができる。
【0035】
フロンタルテープ14の形状や大きさは、使い捨ておむつの着用の際に、ファスニングテープ11を止着する機能を果たすように形成されていれば、特に限定されない。フロンタルテープ14の形状としては略矩形が好ましく、略矩形には角の丸まった矩形も含まれる。フロンタルテープ14の大きさとしては、例えば幅方向xの長さがバックシート3の幅方向xの長さの40%以上であることが好ましく、50%以上がより好ましく、また90%以下が好ましく、80%以下がより好ましい。
【0036】
フロンタルテープ14は、
図2に示すように、幅方向xの両側の端部領域が着色されて、着色部15が形成されている。着色部15は使い捨ておむつ1の長手方向yに延びるように形成され、このようにフロンタルテープ14を構成することにより、使い捨ておむつの製造の際、フロンタルテープ14の着色部15を目印として、フロンタルテープ14がバックシート3に正しく配置されているか検知することが容易になる。例えば、着色部15が使い捨ておむつ(バックシート)の長手方向yと略平行に延びる状態がフロンタルテープ14の正しい配置状態とすると、着色部15の延在方向を検知することで、着色部15が使い捨ておむつの長手方向yに対して斜めに延びた状態を不良と判別することができる。フロンタルテープ14の幅方向xの端部領域が折れたりした場合(例えば、フロンタルテープ14の隅部が折り返った場合)は、着色部15が所定の長さを有していなかったり、着色部15が折れて延在することで、フロンタルテープ14が正しく配置されていないことを判別することができる。さらに、フロンタルテープ14の幅方向xの両側の着色部15の離間距離を測定したり、着色部15の長手方向yの長さを測定することで、フロンタルテープ14が一部折り返されたりすることなく平面状に広がってバックシート3に貼り付けられていることを判別することができる。
【0037】
着色部15を利用したフロンタルテープ14の配置の良否の判別は、フロンタルテープ14に光を照射して、その透過光または反射光を受光し、フロンタルテープ14の幅方向xの両側の着色部15の位置を確認することにより行うことができる。透過光または反射光を例えば撮像素子により受光して、画像処理することにより、着色部15の位置を検知することができる。
【0038】
フロンタルテープ14の幅方向xの端部領域は、フロンタルテープ14の幅方向xの端縁を含む領域であり、フロンタルテープ14の幅方向xの端縁から25mm以内の領域であることが好ましく、20mm以内の領域が好ましく、15mm以内の領域がさらに好ましい。フロンタルテープ14の幅方向xの端部領域は、一部または全部が着色されていればよい。なお着色部15は、フロンタルテープ14の幅方向xの端部領域で、フロンタルテープ14の長手方向yの全体にわたって連続的に延びていることが好ましく、これによりフロンタルテープ14の隅部が折り返った場合に、フロンタルテープ14が正しく配置されていないことを判別することができる。
【0039】
着色部15は、フロンタルテープ14の幅方向xの端縁を含むように形成されることが好ましく、より好ましくは、フロンタルテープ14の幅方向xの端縁の全体を含んで着色部15が形成される。
【0040】
フロンタルテープ14の着色部15は、長手方向yに延びる幅1mm以上25mm以下の帯状に形成されていることが好ましい。着色部15の幅は、より好ましくは2mm以上であり、3mm以上がさらに好ましく、また20mm以下がより好ましく、15mm以下がさらに好ましく、10mm以下が特に好ましい。
【0041】
着色部15の色は特に限定されず、フロンタルテープ14の地の色以外の色であればよく、例えば白色以外の色で形成されることが好ましい。着色部15はまた、使い捨ておむつの製造の際に検知が容易になる点から、単一色で形成されることが好ましい。
【0042】
着色部15は比較的濃い色で形成されることが好ましく、これにより、使い捨ておむつの製造の際に着色部15を検知しやすくなる。例えば着色部15は、L
*a
*b
*表色系による彩度C
*が20以上で着色されることが好ましく、30以上がより好ましく、40以上がさらに好ましく、これにより着色部15を比較的鮮やかな色で形成することができる。着色部15は比較的暗い色で形成してもよく、例えばL
*a
*b
*表色系による明度L
*が30以下であってもよく、25以下であってもよく、20以下であってもよい。
【0043】
着色部15の色は、赤色、橙色、黄色、黄緑色、緑色、青色、紫色、黒色など特に限定されないが、使い捨ておむつを外面側から見たときの意匠性を高める点から、有彩色であることが好ましく、黄緑色〜紫色であることが好ましい。これをL
*a
*b
*表色系で表すと、着色部15は、色相角度hが90°以上330°以下の色で着色されていることが好ましい。色相角度hはより好ましくは120°以上であり、また315°以下がより好ましく、300°以下がさらに好ましい。このときの彩度C
*は、例えば20以上が好ましく、30以上がより好ましく、40以上がさらに好ましい。明度L
*は、色相に応じて取り得る範囲が変わるため、好適範囲を一概に定めることは難しいが、例えば20以上が好ましく、30以上がより好ましく、40以上がさらに好ましく、また80以下が好ましく、75以下がより好ましく、70以下がさらに好ましい。
【0044】
上記に説明した色相角度hは、L
*a
*b
*表色系のa
*とb
*の値から、次式により求めることができる:h=tan
-1[(b
*)/(a
*)]。彩度C
*は、L
*a
*b
*表色系のa
*とb
*の値から、次式により求めることができる:C
*=[(a
*)
2+(b
*)
2]
1/2。L
*a
*b
*表色系による色表示(L
*、a
*、b
*)は、例えば、コニカミノルタ社製の蛍光分光濃度計FD−7により測定することができる。
【0045】
フロンタルテープ14には、端部領域の着色部15の幅方向xの内方に隣接して非着色部が設けられることが好ましい。非着色部は、フロンタルテープ14の長手方向yの全体にわたって連続的に設けられることが好ましい。着色部15の幅方向xの内方に隣接して非着色部を設けることにより、着色部15を目立たせることができる。
【0046】
フロンタルテープ14は、透明または半透明基材から構成されていることも好ましい。この場合、フロンタルテープ14は、透明または半透明の基材にループ部が設けられて構成されることが好ましい。ループ部は、無色(白色または透明もしくは半透明)であることが好ましい。このようにフロンタルテープ14を構成することにより、使い捨ておむつの外面側から見てフロンタルテープ14を目立たなくさせることができ、使い捨ておむつの意匠性を高めることができる。特に本発明では、このように目立たなく形成されたフロンタルテープ14であっても、使い捨ておむつの製造の際、フロンタルテープ14の配置を容易に検知することができる。
【0047】
フロンタルテープ14が透明または半透明基材から構成される場合、フロンタルテープ14の着色部15はバックシート3の地の色と異なる色で形成されることが好ましい。例えばバックシート3の地の色が白色である場合など(バックシート3の地の色はこれに限定されるわけではないが)、フロンタルテープ14が透明または半透明基材から構成され、着色部15が上記に説明したように着色されていることが好ましい。
【0048】
フロンタルテープ14が透明または半透明基材から構成される場合、バックシート3は、
図5に示すように、少なくともフロンタルテープ14と重なる部分に模様が施されていてもよい。模様は印刷によってバックシート3に形成されればよく、使い捨ておむつの外面側から視認可能に形成されていればよい。バックシート3が2以上のシートの積層体から構成される場合は、バックシート3を構成する少なくも1つのシートに模様が施されていればよい。
図5では、バックシート3がプラスチックフィルム3Aと不織布3Bとの積層体から構成され、プラスチックフィルム3Aに模様が施され、当該模様がその外側に設けられた不織布3Bを通して視認可能となっている。このように使い捨ておむつを構成することにより、フロンタルテープ14を通じてバックシート3の模様が視認可能となり、使い捨ておむつの意匠性を高めることができる。模様には、図形、イラスト、柄(パターン)、文字などが含まれる。模様の色は特に限定されず、無彩色であっても、有彩色であっても、これらの組み合わせであってもよい。模様は、バックシート3のフロンタルテープ14と重なる部分以外にも施されていることが好ましい。
【0049】
バックシート3に模様が施される場合、フロンタルテープ14の着色部15は、バックシート3の模様よりも低明度および/または高彩度の色で形成されていることが好ましい。このように着色部15を形成することにより、使い捨ておむつの製造の際、着色部15を目印としてフロンタルテープ14の配置位置を容易に判別することができる。特に、フロンタルテープ14を通じてバックシート3の模様が視認可能となっている場合は、このようにフロンタルテープ14の着色部15を形成することにより、着色部15がバックシート3の模様よりも目立って形成され、着色部15の検知が容易になる。明度および彩度はL
*a
*b
*表色系の明度L
*と彩度C
*に基づき定められ、フロンタルテープ14の着色部15は、バックシート3の模様の色よりも明度L
*が10以上低いことが好ましく、20以上低いことがより好ましく、30以上低いことがさらに好ましく、あるいは彩度C
*が10以上高いことが好ましく、20以上高いことがより好ましく、30以上高いことがさらに好ましい。使い捨ておむつの外面側の意匠性を高め、フロンタルテープ14の着色部15を目立たせる点からは、フロンタルテープ14の端部領域はバックシート3の模様よりも高彩度の色で着色されていることが特に好ましい。なお、バックシート3の模様の明度や彩度は、バックシート3の外面側から模様の色を測定したときの値を用いる。
【0050】
フロンタルテープ14の着色部15は、バックシート3の模様と色相角度差が90°以内の色で形成されていることも好ましい。フロンタルテープ14の着色部15がこのように形成されていれば、バックシート3の模様とフロンタルテープ14の着色部15が比較的近い色彩で着色され、使い捨ておむつの外面側を一体感のあるデザインに形成しやすくなる。色相角度差は、L
*a
*b
*表色系の色相角度hの差から求めることができ、フロンタルテープ14の着色部15とバックシート3の模様との色相角度差は75°以内がより好ましく、60°以内がさらに好ましい。
【0051】
上記に説明したバックシート3の模様の色とは、バックシート3の地の色に対して印刷等により着色が施された色を意味する。使い捨ておむつの外面側を一体的なデザインに形成する点からは、バックシート3に施された模様の色の全てが、フロンタルテープ14の着色部15の色との色相角度差あるいは明度や彩度の差に関して、上記に説明したように形成されていることが好ましい。
【0052】
フロンタルテープ14の幅方向xの端部領域の着色部15は、バックシート3の模様よりも幅方向xの外方に位置することが好ましい。このように着色部15を設けることにより、着色部15をバックシート3の模様と区別して判別しやすくなる。より好ましくは、フロンタルテープ14の着色部15の全体が、バックシート3の模様よりも幅方向xの外方に位置する。
【0053】
フロンタルテープ14は、幅方向xの端部領域以外の部分も着色されていてもよい。例えばフロンタルテープ14は、
図6に示すように、幅方向xの中央領域も着色されて、着色部16が形成されていてもよい。フロンタルテープ14の幅方向xの中央領域とは、フロンタルテープ14の幅方向xの中心線(長手方向yに延びる中心線)を含む領域を意味する。フロンタルテープ14の幅方向xの中央領域の着色部16は、フロンタルテープ14の長手方向yの全体にわたって延びていることが好ましく、長手方向yに延びる帯状に形成されることが好ましい。フロンタルテープ14の幅方向xの中央領域に着色部16を形成することにより、フロンタルテープ14の幅方向xの両側の端部領域の着色部15と合わせて、フロンタルテープ14の配置位置をより正確に検知することができる。
【0054】
フロンタルテープ14の幅方向xの中央領域の着色部16の色の好適態様は、上記に説明したフロンタルテープ14の幅方向xの両側の端部領域の着色部15に関する説明が適用される。好ましくは、フロンタルテープ14の幅方向xの中央領域の着色部16は、フロンタルテープ14の幅方向xの両側の端部領域の着色部15と近い色相の色で形成され、両者の色相角度差は60°以下が好ましく、45°以下がより好ましく、30°以下がさらに好ましい。
【0055】
フロンタルテープ14の幅方向xの中央領域の着色部16は、フロンタルテープ14の幅方向xの両側の端部領域の着色部15から略等距離に形成されることが好ましい。具体的には、フロンタルテープ14の幅方向xの中央領域の着色部16とフロンタルテープ14の幅方向xの一方側の端部領域の着色部15との離間距離と、フロンタルテープ14の幅方向xの中央領域の着色部16とフロンタルテープ14の幅方向xの他方側の端部領域の着色部15との離間距離との差は、3mm以内であることが好ましく、2mm以内がより好ましく、1mm以内がさらに好ましい。
【0056】
フロンタルテープ14の幅方向xの中央領域の着色部16の幅は、例えば、1mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましく、5mm以上がさらに好ましく、また50mm以下が好ましく、40mm以下がより好ましく、30mm以下がさらに好ましい。
【0057】
フロンタルテープ14には、使い捨ておむつ1のサイズ、吸収容量を表す目印、ファスニングテープの止着位置の目安を表す目印、製品のロゴなどが印刷されていてもよい。
図6では、フロンタルテープ14の幅方向xの中央領域の着色部16に、使い捨ておむつ1のサイズとして「M」の文字が表示され、フロンタルテープ14の幅方向xの中央領域の着色部16とフロンタルテープ14の幅方向xの両側の端部領域の着色部15との間に、ファスニングテープの止着位置の目安を表す目印が表示されている。
【0058】
使い捨ておむつ1は、上記のように構成されたフロンタルテープ14が設けられているため、使い捨ておむつの製造の際、フロンタルテープ14の幅方向xの両側の端部領域の着色部15を目印として、フロンタルテープ14がバックシート3に正しく配置されているか判別することが容易になる。具体的には、フロンタルテープ14に光を照射して、その透過光または反射光を受光し、フロンタルテープ14の着色部15(あるいはさらに着色部16)の位置を検知することにより、フロンタルテープ14の配置の良否を判別することができる。従って、本発明の使い捨ておむつの製造方法は、フロンタルテープ14に光を照射して、その透過光または反射光を受光し、フロンタルテープ14の幅方向xの両側に設けられた着色部15の位置を検知することにより、フロンタルテープ14の配置の良否を判別する工程(検査工程)を有することが好ましい。
【0059】
光の照射は、使い捨ておむつの肌面側と外面側のいずれから行ってもよい。いずれの場合も、使い捨ておむつのフロンタルテープの設けられた箇所に光を照射すればよい。照射する光としては可視光や赤外光を用いることができる。受光装置は、透過光を受光する場合は、使い捨ておむつを挟んで照射装置の反対側に設ければよく、反射光を受光する場合は、使い捨ておむつに対して照射装置と同じ側に設ければよい。受光装置は、フォトダイオード等の受光素子を用いたり、撮像素子を用いることができ、後者の場合は、画像処理を組み合わせてフロンタルテープの着色部の位置を検知することが好ましい。
【0060】
受光装置が透過光を受光するものである場合は、受光装置によって透過光の強度を測定し、着色部での透過光強度の変化を見ることで、フロンタルテープの配置の良否を判別することができる。受光装置が反射光を受光するものである場合は、受光装置によって反射光を受光し、着色部の位置を検知することで、フロンタルテープの配置の良否を判別することができる。なかでも、受光装置は反射光を受光するものを用いることが好ましく、これによりフロンタルテープの着色部の配置をより正確に検知しやすくなる。この場合、照射装置と受光装置はいずれも使い捨ておむつの外面側(バックシート側)に設けられることとなる。反射光の受光は撮像素子によって行うことが好ましく、これによりフロンタルテープの配置に関する情報を画像情報として取得することができ、フロンタルテープの配置の良否をより正確に判別しやすくなる。
【0061】
検査工程では、使い捨ておむつ1を長手方向yに搬送しながら、フロンタルテープ14に光を照射して、その透過光または反射光を受光することが好ましい。フロンタルテープ14の着色部15は使い捨ておむつ1の長手方向yに延びるように設けられているため、使い捨ておむつの連続製造の際に使い捨ておむつ1を長手方向yに搬送することで、フロンタルテープ14の着色部15の位置を容易に検出することができる。
【0062】
検査工程の後段には、フロンタルテープの配置の良否の結果を、知覚手段を用いて知覚情報として発する工程を設けることが好ましい。知覚手段としては、液晶モニター、電光表示装置、LED、ランプ等の視覚手段や、ブザー、音楽等の聴覚手段等が挙げられる。知覚手段からは、フロンタルテープが適切に配置されていた場合とそうでない場合とで、異なる知覚情報が発せられるようにすればよい。異なる知覚情報には、知覚情報が発せられない場合も含まれる。なお、当該工程は必須ではなく、例えば検査工程の結果に基づき、フロンタルテープが適切に配置されていなかった場合に、知覚情報を発することなく(知覚情報を変えることなく)自動的にその使い捨ておむつを不良品として排除してもよい。
【0063】
検査工程の結果、フロンタルテープが適切に配置されていなかったと判別された場合は、その使い捨ておむつを自動的に不良品として排除したり、あるいは人手によって不良品として排除すればよい。また、使い捨ておむつの製造設備の設定を調整して、バックシートにフロンタルテープが適切に配置されるように設定し直すことが好ましい。
【0064】
検査工程に供する使い捨ておむつは、例えば次のように製造すればよい。すなわち、バックシートの連続体の一方面にフロンタルテープを取り付ける工程;前記バックシートの連続体の他方面に吸収性コアを間隔をあけて配置する工程;前記バックシートの連続体の上に前記吸収性コアを間に配してトップシートの連続体を重ね、おむつ連続体を得る工程;前記おむつ連続体を、隣接する前記吸収性コアの間でおむつの幅方向に延びる切断線で切断し、個別のおむつを得る工程を含む製造方法により、検査工程に供する使い捨ておむつを製造することができる。当該製造方法では、バックシートの連続体やトップシートの連続体をおむつの長手方向に搬送しながら各工程を行うことが好ましい。
【0065】
フロンタルテープを取り付ける工程は、おむつ連続体を切断する前であればどのタイミングで行ってもよい。フロンタルテープのバックシートの連続体への取り付けは、例えば、吸収性コアをバックシートの連続体に配置する前に行ってもよく、吸収性コアをバックシートの連続体に配置した後、トップシートの連続体を配置する前に行ってもよく、おむつ連続体を得た後に行ってもよい。また、バックシートの連続体の一方面にフロンタルテープを取り付ける工程の代わりに、個別のおむつのバックシートの外面側にフロンタルテープを取り付ける工程を設けてもよい。
【0066】
使い捨ておむつにサイドシートが設けられる場合は、トップシートの幅方向の両側にサイドシートが接合された連続体を、バックシートの連続体の上に吸収性コアを間に配して重ねればよい。使い捨ておむつにファスニングテープが設けられる場合は、いずれかの工程で、バックシート(の連続体)および/またはトップシート(の連続体)の幅方向の両側にファスニングテープを取り付ければよい。バックシートに模様が施された使い捨ておむつを製造する場合は、バックシートの連続体を供給(搬送)する時点で、模様が施されたものを用いることが好ましい。