【課題】本発明は、滑らかさ、しっとり感、柔らかさ、ボリューム感、しっかり感、加工適性がいずれも良好なローションティッシュペーパー及び当該ローションティッシュペーパーの製造方法を提供することを目的とする。
rms以下、しっかり感Dが1.5mm/N以上4.5mm/N以下であるローションティッシュペーパー及び原反ロールに薬液をオフラインで塗布し、原反ロールを薬液を塗布した日から6日以上22日以下の期間保管し、原反ロールを加工するローションティッシュペーパーの製造方法である。
マルチスタンド式インターフォルダ加工機により、前記原反ロールのシートを折り畳んで掛け合わせながら交互に折り込んで積層して加工する、請求項3又は4に記載のローションティッシュペーパーの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。
【0012】
[ローションティッシュペーパー]
本発明のローションティッシュペーパーは、2プライのシートからなるものであって、原紙にカレンダー処理がなされ、薬液が塗布されているものである。そして、本発明のローションティッシュペーパーは、シート1プライ当たりの坪量、紙厚、柔らかさTS7、滑らかさTS750、しっかり感Dが調整されている。
【0013】
<坪量、紙厚>
本発明のローションティッシュペーパーにおける、シート1プライ当たりの坪量は、10g/m
2以上19g/m
2以下であり、11g/m
2以上18g/m
2以下であることが好ましく、12g/m
2以上17g/m
2以下であることがより好ましい。また、本発明のローションティッシュペーパーにおける紙厚は、0.40mm/10枚以上0.80mm/10枚以下であり、0.45mm/10枚以上0.75mm/10枚以下であることが好ましく、0.50mm/10枚以上0.70mm/10枚以下であることがより好ましい。ローションティッシュペーパーのシート1プライ当たりの坪量及び紙厚を上記の範囲内のものとすることにより、柔らかさとボリューム感とが両立可能なものとなる。なお、上記の坪量及び紙厚は、ローションティッシュペーパー自体のものであって、薬液が塗布された状態のティッシュペーパーについての坪量及び紙厚を意味する。
【0014】
<TS750、TS7、D>
本発明のローションティッシュペーパーは、ティッシュソフトネス測定装置TSA(Tissue Softness Analyzer)により測定したときに、TSA上のソフトウェアにて自動的に取得した、低周波数側からの最初のスペクトルの極大ピークの強度(TS750)が6dBV
2rms以上13dBV
2rms以下であり、7dBV
2rms以上12dBV
2rms以下であることが好ましく、8dBV
2rms以上11dBV
2rms以下であることがより好ましい。このTS750は、ローションティッシュペーパーの滑らかさの指標であり、TS750が上記の範囲内のものとなることにより、ローションティッシュペーパーの平滑さがバランスよく維持される。
【0015】
さらに、本発明のローションティッシュペーパーは、ティッシュソフトネス測定装置TSA上のソフトウェアにて自動的に取得した、6500Hzを含むスペクトルの極大ピークの強度(TS7)が7dBV
2rms以上14dBV
2rms以下であり、8dBV
2rms以上13dBV
2rms以下であることが好ましく、9dBV
2rms以上12dBV
2rms以下であることがより好ましい。このTS7は、ローションティッシュペーパーの柔らかさの指標であり、TS7が上記の範囲内のものとなることにより、ローションティッシュペーパーの柔らかさがバランスよく維持される。
【0016】
さらに、本発明のローションティッシュペーパーは、ティッシュソフトネス測定装置TSAにより、試料台に設置したローションティッシュペーパーのサンプルに対し、ブレード付きロータを回転させずに100mNと600mNの押し込み圧力でそれぞれ上から押し込んだとき、それぞれ押し込み圧力100mNと600mNの間での前記サンプルの上下方向の変形変位量で表される、しっかり感(D)の測定値が1.5mm/N以上4.5mm/N以下であり、2.0mm/N以上4.0mm/N以下であることが好ましく、2.6mm/N以上3.4mm/N以下であることがより好ましい。このDは、ローションティッシュペーパーのしっかり感(カートンからローションティッシュペーパーを取り出した際の、次のローションティッシュペーパーの立ち具合)、しなやかさの指標であり、Dが上記の範囲内のものとなることにより、ローションティッシュのしっかり感としなやかさがバランスよく維持される。
【0017】
なお、TS750、TS7、及びDは、ローションティッシュペーパー自体のものであって、薬液が塗布された状態のティッシュペーパーについてのTS750、TS7、及びDを意味する。
【0018】
ティッシュソフトネス測定装置TSAを使用したTS750、TS7、及びDの測定方法や、これに用いられる測定装置については、例えば、特開2013−236904号公報に詳細に記載されている(
図3から
図5も参照)。ティッシュソフトネス測定装置TSAを使用した各種測定方法については、上記の特許文献を参照されたい。
【0019】
<強度>
本発明のローションティッシュペーパーは、JIS P 8113に基づく乾燥時の縦方向の引張強さ(引張り速度300mm/分で測定)DMDT(Dry Machine Direction Tensile strength)と、乾燥時の横方向の引張強さ(引張り速度300mm/分で測定)DCDT(Dry Cross Direction Tensile strength)の幾何平均(DMDT×DCDT)
1/2で表されるDGMT(Dry Geometric Tensile strength)が90N/25mm以上210N/25mm以下であることが好ましく、110N/25mm以上200N/25mm以下であることがより好ましく、130N/25mm以上190N/25mm以下であることが更に好ましい。ローションティッシュペーパーのDGMTが上記の範囲内のものであることにより、ローションティッシュペーパーの強度や、柔らかさが、バランス良く良好に維持される。なお、一般的には、坪量を上記の範囲内のものとし、原紙の強度や薬液の塗布量を調整することにより、上記のDGMTが調整される。
【0020】
<比容積>
本発明のローションティッシュペーパーの比容積は、1組当り3.0cm
3/g以上6.0cm
3/g以下であることが好ましく、3.3cm
3/g以上5.5cm
3/g以下であることがより好ましく、3.6cm
3/g以上5.0cm
3/g以下であることが更に好ましい。ローションティッシュペーパーの比容積を上記の範囲内のものとすることにより、ふんわり感、柔らかさ、嵩高さがバランスよく維持され、滑らかさが良好なものとなる。比容積は、例えば、坪量や紙厚を調整することにより、調整することができる。
【0021】
<カートン取り出し口、スリット幅>
本発明のローションティッシュペーパーを収納するカートンの取り出し口は、長手方向の寸法が、100mm以上126mm以下であることが好ましい。また、取り出し口に貼るフィルムのスリット幅は、90mm以上114mm以下であることが好ましい。ローションティッシュペーパーを収納するカートンの取り出し口を上記範囲内とし、上記のD(剛性、しっかり感)を上記範囲内のものとすることにより、カートンから紙を取り出した際、次の紙がしっかり立ち、美観性、取り出し性に優れる。例えば、取り出し口、スリット幅が上記範囲を超えて大きすぎると、次の紙が立たない、滑って下に落ちてしまう等の弊害があり、逆に小さすぎると、紙を取り出した際に破れやすい等の弊害がある。
【0022】
<ティッシュペーパー原料>
ローションティッシュペーパーを構成する2プライのシートは、パルプを主成分とするものであり、好ましくは、50質量%以上のパルプを含有する。ローションティッシュペーパーの製造に使用できるパルプとしては、木材パルプ、古紙パルプ、非木材パルプが挙げられるが、本発明のローションティッシュペーパーは、パルプとして木材パルプ100%から成るものであってもよく、木材パルプの他に、古紙パルプや非木材パルプを含んでいてもよい。パルプ以外の成分としては、填料、合成繊維、天然繊維等を挙げることができる。目標とする品質を得るためには、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)20質量%以上50質量%以下と広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)50質量%以上80質量%以下とからなる木材パルプを原料とすることが好ましく、NBKP:25質量%以上45質量%以下と、LBKP:55質量%以上75質量%以下とからなる木材パルプを原料とすることがより好ましい。
【0023】
上記LBKPの材種としては、ユーカリ属グランディス及びユーカリグロビュラスに代表される、フトモモ科ユーカリ属から製造されるパルプが好ましい。また、上記のパルプ比率の木材パルプ100質量部に対し、古紙パルプを50質量部程度まで含有させてもよい。古紙パルプは品質のバラツキが大きく、配合割合が増えると製品の品質、特に柔らかさに大きく影響するため、木材パルプに対する配合量を20質量部以下とすることが好ましく、10質量部以下とすることがより好ましく、5質量部以下とすることが更に好ましく、古紙パルプを配合しないことが特に好ましい。古紙パルプとしては、ミルクカートン由来が好ましい。
【0024】
なお、ローションティッシュペーパーに適正な強度を確保するため、通常の手段で原料配合した後、パルプ繊維の叩解処理にて強度調整を行うことができる。目標の品質を得るための叩解処理としては、市販のバージンパルプに対して、JIS P 8121で測定されるフリーネス(カナダ標準ろ水度)を低減させることが好ましく、フリーネスの変化量ΔFで20mL以上200mL以下であることが好ましく、50mL以上120mL以下であることがより好ましい。なお、乾燥紙力増強剤を使用してもよく、湿潤紙力増強剤を使用することが好ましい。
【0025】
<薬液>
本発明のローションティッシュペーパーは、薬液を含有している。薬液としては、水性成分と油性成分とを含むものであり、さらに、水を含んでいることが好ましい。
【0026】
(水性成分)
水性成分としては、多価アルコール(2価以上の水酸基を有するアルコール)を挙げることができる。より具体的には、グリセリン、ジグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリグリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール等を挙げることができる。薬液中の多価アルコールの有効成分の割合は、72質量%以上92質量%以下であることが好ましく、76質量%以上87質量%以下であることがより好ましく、79質量%以上84質量%以下であることが更に好ましい。薬液中の多価アルコールの含有量を調整することにより、ローションティッシュペーパーのしっとり感が良好なものとなる。なお、上記の多価アルコールは、1種類を配合しても、2種類以上配合してもよい。薬液中の多価アルコールとしては、風合いに優れるグリセリンの含有量(水分を除く)が、薬液全体に対して50質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましい。
【0027】
(油性成分)
油性成分としては、各種シリコーン油、流動パラフィン、鉱物油、ワックス等を挙げることができる。これらの成分は、1種類を配合しても、2種類以上配合してもよい。本発明においては、ローションティッシュペーパー中の油性成分の含有量が0.03質量%以上0.35質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上0.25質量%以下であることがより好ましく、0.07質量%以上0.15質量%以下であることが更に好ましい。これにより、ローションティッシュペーパーの触感のしっとり感、滑らかさ、柔らかさをバランスよく向上させることができる。本発明においては、特に、この油性成分がシリコーン油及び/又はシアバターであることが好ましく、シリコーン油であることがより好ましく、アミノ変性シリコーン油であることが更に好ましい。この場合、ローションティッシュペーパー中の、このシリコーン油(アミノ変性シリコーン油)及び/又はシアバターの含有量が、上記の含有量であることが好ましい。薬液中のシリコーン油及び/又はシアバターの配合量は、0.1質量%以上1.2質量%以下であることが好ましく、0.15質量%以上1.0質量%以下であることがより好ましく、0.2質量%以上0.8質量%以下であることが更に好ましい。これにより、薬液の特性を劣化させることなく、ローションティッシュペーパーの触感のしっとり感、滑らかさ、柔らかさを効果的に向上させることができる。
【0028】
(薬液の粘度)
薬液の粘度は、塗布ムラや塗布ロールへのウェブの付着などのトラブルを避ける観点から、回転数60rpmにおけるB型粘度が10mPa・s以上100mPa・s以下となることが好ましく、15mPa・s以上60mPa・s以下となることがより好ましく、20mPa・s以上40mPa・s以下となることが更に好ましい。なお、B型粘度は、東機産業社製粘度計を用いて液温が40℃の条件下で測定する。B型粘度が上記の範囲内のものであることにより、薬液の塗布量のコントロールを良好なものとすることができるとともに、操業性も良好に維持される。
【0029】
(薬剤含有量)
本発明のローションティッシュペーパー中の薬剤含有量は、7質量%以上22質量%以下であることが好ましく、9質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、11質量%以上18質量%以下であることが更に好ましい。ここで、「薬液」は水分を含むため、「薬剤含有量」は薬液中の水分を除く成分の、ローションティッシュペーパー中の含有量に相当する。
【0030】
薬剤含有量は、JIS P 8111(1998)条件下において調湿させた所定質量のティッシュペーパー製品を分母(A)(g)とし、所定質量のティッシュペーパー製品中に含まれる薬液中の水分を除いた質量(B)(g)を分子として、(B)を(A)で除した比率を(%)で表す。なお、(B)の算出は、例えばローションティッシュペーパーをアセトン/エタノール抽出することにより、定量することができる。
(薬剤含有量)=(B)÷(A)×100(%)
【0031】
薬剤含有量を上記の範囲内のものとすることにより、ローションティッシュペーパーの触感のしっとり感、滑らかさ、柔らかさが良好なものとなる。
【0032】
[ローションティッシュペーパーの製造方法]
本発明のローションティッシュペーパーは、例えば以下のように、(i)プライアップ及びカレンダー処理、(ii)薬液の塗布及び保管、(iii)インターフォルダ加工、の順で製造することができる。
【0033】
(i)プライアップ及びカレンダー処理
図1はマシンワインダー100の一例を示す。
【0034】
マシンワインダー100に第一次原反ロール11を2本セットし、ヤンキー面が外側になるように2プライ重ね合わせてプライアップし、カレンダー機101でカレンダー処理を行い、第二次原反ロール12を得る。
【0035】
カレンダー処理後の第二次原反ロール12のシートの坪量は、1プライ当たり、8g/m
2以上17g/m
2以下とすることが好ましく、9g/m
2以上16g/m
2以下とすることがより好ましく、10g/m
2以上15g/m
2以下とすることがさらに好ましい。また、カレンダー処理後の第二次原反ロール12のシートの紙厚は、1プライ当たり、0.50mm/10枚以上0.90mm/10枚以下であることが好ましく、0.55mm/10枚以上0.85mm/10枚以下であることがより好ましく、0.60mm/10枚以上0.80mm/10枚以下であることが更に好ましい。後述する薬液の塗布及び保管において、第二次原反ロール12に薬液を塗布するため、インターフォルダ加工によって得られるローションティッシュペーパーの坪量及び紙厚よりも低い坪量及び紙厚とすることが好ましい。
【0036】
また、カレンダー処理前の第一次原反ロール11のシートの1プライ当たりの紙厚と、カレンダー処理後の第二次原反ロール12のシートの1プライ当たりの紙厚との変化量Δtは、0.08mm/10枚以上0.25mm/10枚以下であることが好ましく、0.10mm/10枚以上0.22mm/10枚以下であることがより好ましい。Δtの値を調整することにより、カレンダー処理後の紙厚及び製品の紙厚を良好に調整することができるとともに、柔らかさやボリューム感が良好に保たれる。
【0037】
(ii)薬液の塗布及び保管
カレンダー処理後の第二次原反ロール12にオフラインで薬液を塗布して第三次原反ロール13を得る。
【0038】
オフラインで薬液を第二次原反ロール12に塗布することで、オンラインと比べて、加工までの保管期間がある分、第三次原反ロール13に薬液を浸透させて定着させることができ、オンラインと比べてより多量の薬剤を均質に第二次原反ロール12に塗布することも可能である。
【0039】
第二次原反ロール12に薬液を塗布する方法は、オフラインであれば、一般に使用する方法、例えば、インクジェット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、ロール塗布、スプレー塗布等を用いることができるが、フレキソ印刷であることが好ましい。フレキソ印刷であると、他の印刷方式と比較して、薬液を多量に塗布することができ、また、塗布量を容易に調整することができる。
【0040】
第二次原反ロール12に薬液を塗布する際は、第二次原反ロール12の片面のみ(内巻側、外巻側どちらか一方)に塗布することが好ましい。これにより、第三次原反ロール13として巻き取られた際に、第三次原反ロール13の片面に塗布された薬液が、接するもう片方の面に浸透しやすく、結果として第二次原反ロール12の外巻側と内巻側の両側に薬液を塗布するよりも、薬液を第三次原反ロール13に均質に浸透させ定着させることができる。また、塗布量を調整しやすくすることもできる。
【0041】
第三次原反ロール13を保管する期間は、第三次原反ロール13に薬液を塗布した日から6日以上22日以下であり、8日以上20日以下であることが好ましく、10日以上18日以下であることがより好ましい。上記の数値範囲内とすることで、後述するインターフォルダ加工時に、第三次原反ロール13のシートにシワが発生しづらく、かつ第三次原反ロール13のシートの破断が少ないものとすることができ、加工適性を良好なものとすることができる。
【0042】
第三次原反ロール13を保管する方法は、特許第5933384号公報に記載された保管装置を用いることが好ましい。
図2は、第三次原反ロール13を保管する保管装置の一例を示す図である。例えば、薬液が塗布された第三次原反ロール13の外周面13aにラッピングフィルム111を隙間なく巻き付け、ラッピングフィルム111の上に、外周面13aを締め付ける締め付けバンド112を巻き掛け、第三次原反ロール13を載せるロールホルダー113の上に、第三次原反ロール13を設置面117に対して巻き芯を水平方向に設置して保管することが好ましい。この構成によれば、第三次原反ロール13の外周面13aは、ラッピングフィルム111に加え、締め付けバンド112によっても締め付けられるため、単にラッピングフィルム111で包んだ場合に比べ、第三次原反ロール13の形態安定性が格段に高まる。したがって、薬液塗布後の第三次原反ロール13の変形を効果的に抑制することができる。
【0043】
ロールホルダー113は、第三次原反ロール13の下部を受けて保持する受け面114を有し、受け面114は、第三次原反ロール13の外周面13aに沿って曲面上に形成されていることが好ましい。この構成によれば、自重によって最も変形し易い第三次原反ロール13の下部を、曲面状の受け面114で安定的に受けて保持することにより、第三次原反ロール13の下部の変形を防ぐことができる。これにより、第三次原反ロール13の変形をより効果的に抑制することができる。
【0044】
ロールホルダー113は、受け面114を上面に備える支持部115を有し、支持部115は、芯材及び芯材の反りを防ぐ面材を積層した紙製の積層板で構成され、支持部115の上面には、受け面114を形成する面材が設けられる一方、支持部115の下面には、面材が設けられていないことが好ましい。この構成によれば、紙製の軽い積層板で支持部115を構成することで、ロールホルダー113の軽量化及び取り扱い性の向上を図ることができる。また、第三次原反ロール13を支持する支持部115の下面に面材が無いため、第三次原反ロール13から荷重を受けると、支持部115が良好に湾曲する。これに対して、支持部115の下面に面材があると、支持部115の下面の剛性が増すため、支持部115の下面の変形が抑えられてしまう。この点、上記構成によれば、面材の無い支持部115の下面が良好に湾曲するので、第三次原反ロール13をより安定的に保管することができる。なお、ロールホルダー113は、支持部115を設置面117から浮かして支持する脚部116を有していてもよい。
【0045】
(iii)インターフォルダ加工
薬液が塗布され、所定の期間保管された第三次原反ロール13のシートを加工することで、ローションティッシュペーパーを得る。
【0046】
第三次原反ロール13の加工は、公知のインターフォルダ加工機により行うことができ、各第三次原反ロール13の各シートを折り畳んで掛け合わせながら交互に積層して加工することで、ポップアップ式に取り出し可能なローションティッシュペーパーを得ることが好ましい。ポップアップ式に取り出し可能であれば、各第三次原反ロール13の各シートを中央でV字折りやZ字折り等で折り畳んでもよい。
【0047】
インターフォルダ加工機は、マルチスタンド式インターフォルダ加工機、ロータリー式インターフォルダ加工機等のインターフォルダ加工機を使用することができ、マルチスタンド式インターフォルダ加工機120を使用することが好ましい。一般に、マルチスタンド式インターフォルダ加工機は、ロータリー式インターフォルダ加工機と比較して設置面積が広くなるものの、ロータリー式インターフォルダ加工機と比較して高速で大量に箱入りティッシュペーパーを製造することができるため、本発明におけるローションティッシュペーパーをより大量生産することができる。ここで、マルチスタンド式では、第三次原反ロール13を例えば30組以上用意し、後述する各折り畳み機構部121で、インターフォルダ加工を行うため、各原反ロールにローションを塗布して加工するまでに保管期間がある。保管期間が短いと、ローションティッシュペーパーにシワが発生しやすくなり、保管期間が長いと原反ロールが破断しやすくなるため、原反ロールの加工適性を良好にすることが困難となる場合がある。そのため、ローションティッシュペーパーの製造においては、ロータリー式インターフォルダ加工機が使用される場合が多い。この点、本発明のローションティッシュペーパーの製造方法によれば、上記のように保管期間を良好な範囲に調整することができ、保管方法を良好なものとすることができる。そのため、マルチスタンド式であっても加工までに原反ロールを良好に保管することができ、かつ大量生産もすることができる。
【0048】
図3は、マルチスタンド式インターフォルダ加工機120の折り畳み機構部121において、連続シートを折り畳む様子を示した図面である。2枚1対の連続シート(第1の連続シート13b及び第2の連続シート13c)を、互いの端部を挟持するように、断面V字状又は断面Z字状に折り畳む、折り畳み機構部121を100組以上200組以下有するマルチスタンド式インターフォルダ加工機120により、折り畳み幅A85mm以上115mm以下のローションティッシュペーパーの連続積層体13dを得る。ここで、折り畳み機構部121の数は、ローションティッシュペーパーの積層回数を表すものであり、1組の折り畳み機構部121で2プライのローションティッシュペーパーが積層されるため、例えば、折り畳み機構部121が100組設けられている場合には、200プライのローションティッシュペーパーが積層されることとなる。なお、各組の折り畳み機構部121には、2枚の折り板(第1の折り板122a及び第2の折り板122b)が設けられている。第1の折り板122aは、断面J字状の金属プレートから構成されており、その幅方向一方端部を、マルチスタンド式インターフォルダ加工機120のバックスタンドフレーム123に固定されている。第2の折り板122bは、第1の折り板122aの下流側に設けられ、平面略台形状の金属プレートから構成されていて、第1の折り板122aと同様、幅方向一方端部を、マルチスタンド式インターフォルダ加工機120のバックスタンドフレーム123に固定されている。
【実施例】
【0049】
以下、本発明について実施例を挙げて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
【0050】
<実施例1から13、比較例1から8>
木材パルプとして、表1及び表2に示すパルプ組成(質量%)の、NBKPとLBKPから、表1及び表2に示す特性を有する原紙を抄紙して第一次原反ロールを得た。次に、第一次原反ロールをマシンワインダーに2本セットし、カレンダー処理を施し、2プライ積層することで第二次原反ロールを得た。次に、第二次原反ロールに対して、表1及び表2に示すローション薬液をフレキソ塗布装置にてオフライン塗布して第三次原反ロールを得た後、特許第5933384号公報に記載された保管装置で表1及び表2に示す期間保管し、マルチスタンド式インターフォルダ加工機にて、ローションティッシュペーパーの積層体を形成した。なお、表1及び表2中、多価アルコールはグリセリンであり、油性成分は、アミノ変性シリコーン油とシアバターの混合物である。得られたローションティッシュペーパーについて、TS7、TS750、D、紙中の油性成分の含有量、紙中の薬剤含有量を計測するとともに、使用感、ボリューム感、しっとり感、柔らかさ、滑らかさ、しっかり感、加工適性(断紙の発生頻度)、製品シワ発生頻度について5段階評価を行った。
【0051】
シートの坪量:JIS P 8124に基づいて測定し、シート1プライ当たりに換算した。
紙厚:シックネスゲージ(尾崎製作所製のダイヤルシックネスゲージ「PEACOCK」)を用いて測定した。測定条件は、測定荷重250gf、測定子直径30mmで、測定子と測定台の間に試料を置き、測定子を1秒間に1mm以下の速度で下ろしたときのゲージを読み取った。なお、1回の測定は試料を10枚重ねて行い、測定を10回繰り返して測定結果を平均した。
なお、坪量、紙厚、TSAの測定は、JIS P 8111に規定する温湿度条件下(23±1℃、50±2%RH)で平衡状態に保持した後に行った。また、表1及び表2の坪量及び紙厚は、薬液を塗布したものである。
【0052】
モニター20人による以下の官能評価を行った。
使用感:カートンから取り出したティッシュペーパーを展開して使用(鼻をかむ、汚れをふき取る等)した時の、使用感(紙のごわつき、水分の浸透等)を総合的に評価した。
ボリューム感:カートンから取り出したティッシュペーパーを展開して手に持ったときのボリューム感、及び、製品の紙厚を評価した。
しっとり感:カートンから取り出したティッシュペーパーを展開して手に持ったときのしっとり感を評価した。
柔らかさ:カートンから取り出したティッシュペーパーを展開して手に持ったときの柔らかさを評価した。
滑らかさ:カートンから取り出したティッシュペーパーを展開して使用した(鼻をかんだ)時の、ティッシュが肌に触れる滑らかさを評価した。
しっかり感:カートンからティッシュペーパーを取り出した際の、次のティッシュペーパーの立ち具合を評価した。
評価は、従来品と同等なものを「3」とし、これよりやや優れているものを「4」、優れているものを「5」とした。同様に、「3」より劣っているものを「2」、著しく劣っているものを「1」とした。評価が3から5であれば問題ない。
【0053】
また、実施例1から13及び比較例1から8のローションティッシュペーパーの製造において、以下の製造時の評価を行った。
加工適性(断紙の発生頻度):薬液塗布したローションティッシュペーパーを、マルチスタンド式インターフォルダ加工機で加工する際の、断紙の発生頻度によって生産性が低下することについて、断紙の発生頻度が少なく加工に優れているかを評価した。
製品シワ発生頻度:薬液塗布したローションティッシュペーパーを、マルチスタンド式インターフォルダ加工機で加工して得た製品に、シワが発生した頻度を評価した。
評価は、従来の製造工程又は製造品と同等なものを「3」とし、これよりやや優れているものを「4」、優れているものを「5」とした。同様に、「3」より劣っているものを「2」、著しく劣っているものを「1」とした。評価が3から5であれば問題ない。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
実施例1から5では、ローションティッシュペーパーのシート1プライ当たりの坪量を10g/m
2以上19g/m
2以下、紙厚を0.40mm/10枚以上0.80mm/10枚以下に特に調整することで、使用感及びボリューム感の評価を良好なものとすることができた。これに対して、比較例1と2では、ローションティッシュペーパーのシート1プライ枚当たりの坪量及び紙厚が上記の数値範囲外であったため、使用感及びボリューム感の評価が劣った。
【0057】
実施例6から9では、ローションティッシュペーパー中の薬剤含有量を7質量%から22質量%に特に調整することで、しっとり感の評価を良好なものとすることができた。さらに、紙厚を0.40mm/10枚以上0.80mm/10枚以下に特に調整することで、TS750(滑らかさ)が6dBV
2rms以上13dBV
2rms以下、TS7(柔らかさ)が7dBV
2rms以上14dBV
2rms以下、D(しっかり感)が1.5mm/N以上4.5mm/N以下のローションティッシュペーパーを得ることができ、滑らかさ、柔らかさ、しっかり感の評価も良好なものとすることができた。これに対して、比較例3から6では、ローションティッシュペーパー中の薬剤含有量が上記の数値範囲外であり、また、ローションティッシュペーパーのシート1プライ当たりの坪量又は紙厚が上記の数値範囲外であったため、TS750(滑らかさ)、TS7(柔らかさ)、D(しっかり感)が、上記の数値範囲外となり、使用感、ボリューム感、しっとり感、滑らかさ、柔らかさ、しっかり感の評価が劣った。
【0058】
実施例10から13では、薬液塗布後の第三次原反ロールの保管期間を、薬液を塗布した日から6日以上22日以下に特に調整することで、保管期間が短いことに起因する製品シワの発生頻度の評価と、保管期間が長いことに起因する加工適性の評価を良好なものとすることができた。これに対して、比較例7と8では、保管期間が上記の数値範囲外であったため、製品シワの発生頻度の評価と、加工適性の評価が劣った。