【解決手段】膀胱内の所望の位置にエネルギー送達要素を位置付け、膀胱壁内にある、またはそれに近接する非表面標的組織にエネルギーを送達することにより、非表面標的組織の表面にある膀胱壁の粘膜面を実質的に無傷に保ちながら膀胱機能を変調するための装置および方法が提供される。本装置は、膀胱内の所望の位置にエネルギー送達要素を位置付けるように構成されている遠位領域を有する細長いシャフトを含むことができる。
【背景技術】
【0002】
尿失禁(UI)は、不随意の尿漏れである。急迫性尿失禁(UUI)および緊張性尿失禁(SUI)を含む、いくつかの種類の尿失禁がある。急迫性尿失禁は、尿意促迫または切迫感を急に感じている間の不随意の失禁である。典型的には女性に影響を及ぼす、緊張性尿失禁は、身体活動、運動、咳、くしゃみ、笑うこと、持ち上げること等によって生成されるような腹圧増加に起因する、不随意の失禁である。混合型失禁は、SUIおよびUUIの属性を組み合わせる。
【0003】
過活動膀胱(OAB)は、通常は、頻尿および夜間頻尿を伴う、尿失禁がある、またはない、強い突然の尿意切迫感である。過活動膀胱と関連付けられる切迫感は、任意の客観的に検証可能な計量、状態、挙動、または現象がある、またはない、患者の主観的体験を使用して評価することができる。
【0004】
歴史的に、過活動膀胱の主観的患者体験を検証可能な臨床試験に変換する試行が行われてきた。脊髄損傷患者での研究に基づいて、切迫感および尿漏れの結果は、不随意的な膀胱排尿筋の収縮によるものであると仮定された。その結果として、排尿筋収縮を観察して定量化する尿力学的検査を遂行する動きがあった。しかしながら、結果は、観察された排尿筋の過活動と切迫感の体験との間で相関不良(例えば、60%)を見出し、また、無症状の個人が尿力学的検査中に排尿筋収縮を示し得ることも見出した。
【0005】
尿力学的検査の制限を考慮して、過活動膀胱の診断および治療決定は、完全に患者の主観的体験によって評価されることに移行した。しかしながら、排尿筋およびその収縮は、依然として、過活動膀胱において主要な役割を有すると見なされる。
【0006】
膀胱制御は、膀胱と関連付けられる、一式の高度に分布した求心性(感覚)神経に応答する、随意的および不随意的神経制御の複雑な組み合わせである。また、膀胱壁収縮能の少なくとも一部分の筋原性起源の証拠がある。特発性過活動膀胱のいくつかの記述的特徴(例えば、壁の肥厚、特徴的な「斑状」脱神経、平滑筋およびコラーゲン形態の変化、増加した電気的接続性)がある一方で、OABの特定の解剖学的原因(例えば、病変、欠損、損傷等)はなく、また、原因に対する相応の治療法がないと考えられている。神経損傷(例えば、脊髄損傷)および膀胱出口閉塞(BOO)は両方とも、膀胱膨張の慢性状態および「高圧」膀胱により、過活動膀胱につながり得る。しかしながら、出口閉塞の解消は、これらの患者の有意な割合(例えば、25%)で過活動膀胱症状を是正することができない。
【0007】
過活動膀胱は、米国だけで少なくとも3,300万人の患者に影響を及ぼし、米国の成人人口の16%、および医療費における約120億ドルを占める。過活動膀胱および尿失禁は、生活の質、および、社会生活、移動度、または独立性を含む、生活様式を維持する患者の能力に有意に影響を及ぼす。さらに、尿失禁は、養護施設等の長期介護施設に入所する最も一般的な理由のうちの1つであり、また、切迫感に応答してトイレに急ぐことに起因する転倒による負傷の有意な危険因子でもある。
【0008】
図1−3を参照して、女性の膀胱の生体構造を説明し、以前から知られている治療法の論議のための状況を提供し、有意な満たされていない改良型治療法の必要性がある理由を例証する。具体的には、
図1が、膀胱(B)および尿道(U)の解剖学的構造の側方断面図を描写する一方で、
図2は、膀胱および尿道の前断面図を描写する。
図1−2はさらに、三角部(T)、尿管口(O)(ureteral ostium;ureteral orificeとも呼ばれる)、排尿筋(D)、頸部(N)、尿管間ヒダ(C)、基底部(F)、および膀胱体(BB)を図示する。
【0009】
図3は、膀胱内領域(IR)(空洞とも呼ばれる)、粘膜(mucous membrane;mucosaとも呼ばれる)、固有層(LP)、筋固有層(MP)、外膜(A)、および膀胱周囲脂肪(PF)を含む、膀胱の壁の断面図を描写する。粘膜は、膀胱の膀胱内領域(IR)の内側を覆い、集合的に移行細胞上皮(TCE)または尿路上皮と呼ばれる、3層上皮と、基底膜(BM)とを含む。移行細胞上皮の3つの層は、基底細胞層と、中間細胞層と、表面細胞層とを含む。基底細胞層は、細胞分裂によって移行細胞上皮を新しくすることができる。新しい細胞は、基底層から表面細胞層へ移動することができ、表面細胞層は、グリコサミノグリカン(GAG)層(GL)によって覆われ得る。GAG層の機能は、議論の的であり、おそらく、移行細胞上皮のための浸透障壁またはさらに抗菌被覆としての機能を果たす。基底膜は、固有層から移行細胞上皮を分離する細胞の単層である。
【0010】
固有層(粘膜下層または下部尿路上皮とも呼ばれる)は、粘膜のための濾過障壁または支持構造としての機能を果たし得る、一枚の細胞外物質であり、疎性結合組織を含み、血管、神経、およびいくつかの領域では腺を含む。筋固有層(排尿筋または筋層とも呼ばれる)は、固有層と絡み合わされ得、内縦、中輪、および外縦筋といった、平滑筋の3つの層を有し得る。
【0011】
膀胱が空であるとき、粘膜は、皺と呼ばれる多数の襞を有する。皺および移行細胞上皮の弾性は、膀胱が流体でいっぱいになるにつれて、膀胱が拡張することを可能にする。粘膜および筋固有層の厚さは、膀胱が満杯であるときには、約2〜5mmの間、膀胱が空であるときには、約8〜15mmの間に及ぶことができる。
【0012】
筋固有層の外面は、膀胱の後面および前面の周囲で外膜Aによって、または膀胱の上面および上外側面の周囲で漿膜によって裏打ちされ得る。膀胱周囲脂肪(PF)は、漿膜または外膜の外側で膀胱を包囲し得る。場合によっては、種々の筋膜層が、骨盤の器官を包囲または支持し得る。集合的に、膀胱付近の筋膜を、膀胱周囲筋膜と呼ぶことができる。
【0013】
抗コリン薬の送達、膀胱再訓練、仙骨神経刺激(SNS)、膀胱内薬剤注入、外科的脱神経処置、膀胱容量を増加させる手術(例えば、排尿筋腫摘出術、拡張膀胱形成術)、および膀胱壁へのボツリヌス毒素(例えば、Botox(登録商標)、Dysport(登録商標)等)注射を含む、過活動膀胱を治療するためのいくつかの治療が開発されてきた。これらの治療の各々には、以下で説明されるような欠点がある。
【0014】
単独で、または膀胱再訓練、ケーゲル体操、バイオフィードバック等の従来の非外科的アプローチと組み合わせて使用される、抗コリン薬は、しばしば、過活動膀胱の一次治療として使用されるが、作用機序は不明確である。抗コリン薬の使用は、当初、充填段階中に排尿筋の収縮を減少させると考えられた(例えば、排尿筋過活動、不安定な排尿筋等)。しかしながら、現在、抗コリン薬は、排尿筋の収縮性を変化させないかもしれないが、代わりに、中枢神経系への求心性(例えば、コリン作動性)神経連絡を変調し得ると考えられている。
【0015】
抗コリン薬の有効性は、患者の約50%がそのような治療を主観的に不十分と感じるので、概して、非常に控えめである。1日あたりの排尿数の10%から20%の低減(例えば、11回の排尿から9回の排尿)および尿失禁発現の50%の低減(例えば、1日2回から1日1回)が典型的である。しかしながら、これらの効果は、頻繁に、患者の生活の質(QOL)を有意に向上させるために不十分である。多くの患者は、本格的な研究のために記録をつけていない限り、1日2回の排尿の変化に気付くことさえないであろう。残りの尿失禁発現は、数はわずかに少ないが、旅行することまたは活動的になることができない、社会的離脱等の疾患の徴候および生活様式の制限を維持し続ける。加えて、抗コリン薬には、耐えられない場合があり、多くの場合においては、獲得される適度な有益性を上回り得る、口渇、便秘、異常な精神状態、眼のかすみを含む、副作用があり得る。患者の約50%が、6ヶ月以内に抗コリン治療を断念する。
【0016】
仙骨神経刺激(SNS)は、より高いレベルの有効性(例えば、厳選および選別された患者において最大80%)を有するが、ここでも、作用機序がよく理解されていない。尿失禁に対するSNSの臨床的有益性は、他の症状に対するSNSの臨床試験中の予期しない所見であった。SNS処置には、いくつかの欠点があり、高価かつ侵襲性であり、患者応答を試験するために、一時的導線留置のための手術を必要とし、その後に、一時的導線に有利に応答した患者において、永久的導線留置およびパルス発生器の外科的埋込が続く。定期的な追跡検査もまた、SNS刺激パラメータを滴定するために必要とされ、バッテリ交換が定期的な間隔で必要である。
【0017】
種々の外科的脱神経または途絶処置が文献で説明されているが、ほとんどが不良な有効性または耐久性を示している。1950年代に初めて開発され、Ingelman−Sundberg,A.,“Partial denervation of the bladder:a new operation for the treatment of urge incontinence and similar conditions in women,”Acta Obstet Gynecol Scand,38:487,1959で説明されている、Ingelman−Sundberg処置は、その基部付近の膀胱の外側面に供給する神経の鈍的な外科的解離を伴う。神経は、前膣円蓋からアクセスされ、解離は、膀胱の外側面まで両側に延在する。脱神経プロセスは、空間の鈍的解離を使用し、末端骨盤神経枝を標的にして、いくぶん無計画に達成される。有望な結果を生じることが可能であるが、本来提案されたような処置は、外科的処置と通常関連付けられる欠点および経費の全てを伴う。
【0018】
McGuireは、Wan,J.,他、“Ingelman−Sundberg bladder denervation for detrusor instability,”J.Urol.,suppl.,145:358A,abstract 581,1991で説明されるように、膣円蓋の内側にとどまって、膀胱の漿膜層内のより限定された中央解離を採用するために、1990年代にIngelman−Sundberg処置を修正した。修正版Ingelman−Sundberg処置の外科的候補は、三角下麻酔注射を使用して、有望な「応答者」を隔離するように選別することができる。Cespedes,R.D.,他、“Modified Ingelman−Sundberg Bladder Denervation Procedure For Intractable Urge Incontinence,”J.Urol.,156:1744−1747(1996)において、1996年にCespedesによって報告されたように、処置後の15ヶ月間追跡検査で64%有効性が観察された。2002年に、Westneyが、Westney,O.L.,他、“Long−Term Results Of Ingelman−Sundberg Denervation Procedure For Urge Incontinence Refractory To Medical Therapy,”J.Urol.,168:1044−1047(2002)において、処置後の44ヶ月間追跡調査で類似有効性を達成したことを報告した。より最近では、2007年に、Juangが、Juang,C.,他、“Efficacy Analysis of Trans−obturator Tension−free Vaginal Tape (TVT−O) Plus Modified Ingelman−Sundberg Procedure versus TVT−O Alone in the Treatment of Mixed Urinary Incontinence:A Randomized Study,”E.Urol.,51:1671−1679(2007)において、混合型失禁患者に経膣テープ(TVT)スリング(緊張性失禁に対する「最も基準となる」外科的治療)および修正版Ingelman−Sundberg処置の組み合わせを使用したことを報告し、処置後の12ヶ月間追跡検査まで、TVTスリング単独と比べて、修正版Ingelman−Sundberg処置を含むための有意な有益性を示した。
【0019】
しかしながら、その臨床的成功にもかかわらず、修正版Ingelman−Sundberg処置は、極めて侵襲性であり、全身麻酔を必要とするため、広く採用されていない。さらに、末端神経枝が外科医に可視的ではなく、したがって、標的神経枝の直接可視化を使用するよりもむしろ、近似解剖学的目印を使用して、解離が行われなければならない。修正版Ingelman−Sundberg処置の起こり得る合併症は、麻酔、血液損失、膣のしびれまたは線維化、付着、瘻孔、膣狭窄、創傷感染、または性交疼痛(性交時の痛み)と関連付けられるリスクを含む。おそらく最も重要なこととして、修正版Ingelman−Sundberg処置の有効性は、外科的技能および技術に依存し得る。
【0020】
より最近では、神経連絡を遮断し、注射後に一時的な筋麻痺を引き起こすことによって過活動膀胱の症状に対処するために、膀胱壁へのボツリヌス毒素(例えば、Botox(登録商標))の注射を伴う別の治療が開発されている。局所麻酔下で医師の診療室にて行われ得る、注射処置中に、膀胱鏡が、尿道を通して膀胱に導入され、いくつかの別個の針注射(例えば、20〜30回)が膀胱壁の中へ行われる。当初、2本の尿管および尿道の開口によって画定される膀胱の領域である、三角部が、三角領域の求心性神経支配および膀胱尿管逆流の可能性による、処置の疼痛の懸念により回避された。しかしながら、より最近では、三角領域が含まれており、時には、膀胱円蓋の除外を特に標的にしている。当初、ボツリヌス毒素は、遠心性運動神経のみに作用する(例えば、排尿筋の部分麻痺を引き起こす)と仮定された。より最近の研究は、ボツリヌス毒素が求心性感覚神経にも影響を及ぼし得ることを示している。Versiに対する特許文献1は、膣壁を通してそのような治療薬を膀胱の三角部に送達するためのシステムの実施例を提供する。
【0021】
典型的には、ボツリヌス毒素注射は、極めて高いレベルの有効性(例えば、症状の解消)を達成し、4週間でピークになる膀胱内圧容量の最大変化および完全排尿調節が、患者の約半分で達成される。しかしながら、ボツリヌス毒素は、インフルエンザ様症状、吐き気、呼吸筋の衰弱、一過性の筋肉衰弱、アレルギー反応、または過敏性の発達等の全身的な効果のリスクを持つ。ボツリヌス毒素注射と関連付けられる他の有害事象は、急性尿閉(AUR)、大量の排尿後残尿量(PVR)、排尿困難(「いきみ」)、および尿路感染症(UTI)を含む。ボツリヌス毒素治療に関わる課題は、処置技能(例えば、膀胱鏡および針を用いる器用さ)、無制御薬物拡散、可変針貫通深度、および技法の再現性を含む。加えて、ボツリヌス毒素の効果は、典型的には、6〜9ヶ月後に、時間とともに薄れ、患者の生涯にわたって繰り返し注射を必要とする。
【0022】
典型的には、女性患者に影響を及ぼす、緊張性尿失禁は、出産中等の骨盤底が損傷または弱体化されている解剖学的問題である。ここでは、最先端の治療が保守的であり(例えば、ケーゲル体操またはバイオフィードバック)、種々の低侵襲外科的治療が二次治療として利用可能である。これらの二次治療の実施例は、スリング処置、膀胱頸部懸垂、経膣テープ(TVT)等を含む。それぞれにおいて、処置は、外来基準で行われる日帰り手術である。成功率が高く、該処置は、医学会に受け入れられている。
【0023】
加えて、診療室ベースの処置で使用される、Novasys Medical, Inc.によって提供されるRenessaシステム等の新しい治療が、緊張性尿失禁を治療するために開発されてきた。Novasys Medicalに譲渡されたEdwardsに対する特許文献2は、エネルギーおよび薬剤の適用による、尿失禁および他の障害の治療を開示する。
【0024】
最後に、男性の大多数が、生涯にわたって、良性前立腺過形成(BPH)または「前立腺肥大」から、ある程度の尿路閉塞を発現するであろう。尿路閉塞は、過活動膀胱の原因であることが知られているため、男性における膀胱症状は、概して、前立腺肥大に続発すると推定される。しかしながら、(例えば、前立腺の経尿道的治療の多くの変形例のうちの1つによる)尿路閉塞の解消は、患者の約4分の1で膀胱症状を解消しない。したがって、症状が前立腺治療後に残る、これらの残りの患者を標的にする、低侵襲治療処置を提供することが望ましいであろう。
【0025】
さらに、実際の前立腺癌の場合にさえも、前立腺疾患の「静観」の選好が増大しており、これらの患者の多くが、肥大する前立腺による尿路閉塞により、過活動膀胱の症状を発現するであろう。したがって、前立腺自体を標的にする治療を提供する前に、またはその代わりに、膀胱症状を標的にする治療を提供する可能性がある。
【0026】
男性はまた、特発性OAB、つまり、前立腺肥大または他の尿路閉塞に続発しないOABを体験し、OAB症状に対する一次治療を必要とし得る。
【0027】
前述の内容を考慮して、過活動膀胱を治療または解消するように膀胱機能を変調するための低侵襲処置を提供し、これらの消耗性症状に苦しむ患者に永続的緩和を提供することが望ましいであろう。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明者らは、とりわけ、膀胱壁の粘膜面から実質的に均一な距離で膀胱壁内にある、またはそれに近接する選択された組織の脱神経を提供して、骨盤領域の求心性神経連絡が、脊髄仙骨部に到達し、上行脊髄経路を介して脳に到達することを低減するように構成されている、装置および方法を認識している。具体的には、本主題の装置および方法は、膀胱の三角領域に対応する非表面組織等の非表面組織の組織を麻痺させることを対象とすることができる。骨盤領域からの求心性神経連絡を低減させることによって、脊髄を介した後続の遠心性神経連絡、または脳からの後続の中枢遠心性交感、副交感、あるいは体性神経連絡が抑制されるであろう。本明細書で説明される装置および方法は、膀胱機能を変調する永久的または半永久的治療を提供して、例えば、尿の貯蔵または排出、逆流防止、中枢神経系への求心性入力、および失禁、夜間頻尿、過剰な頻尿、または切迫感、膨満感、圧力、疼痛等の膀胱によって生成される感覚等の膀胱機能障害と関連付けられる現象に関して、膀胱機能を改善するように構成され得る。女性の生体構造との関連で本開示の全体を通して説明されているが、本主題はまた、男性の生体構造の骨盤神経組織を治療する際に有利に採用され得ることを理解されたい。
【0035】
本明細書で開示される本主題は、粘膜層、随意に、深部膀胱組織(例えば、深部排尿筋、外膜、膀胱周囲脂肪等)または隣接器官(例えば、前膣壁、直腸等)を保存するよう、膀胱の非表面組織の部分を変調する、切除する、瘢痕化する、破壊する、蒸発させる、隔離する、収縮させる、衝撃を与える、麻痺させる、死滅させる、除去する、減量させる、または崩壊させるため等に有益に使用され得る、種々の方法を包含することができる。実施例では、粘膜層または粘膜面を保存することは、粘膜層または粘膜面のいずれかの大部分の細胞生存性を維持することを含むことができる。したがって、本明細書で説明される装置および方法は、過活動膀胱を治療するために、ボツリヌス毒素注射の麻痺または神経遮断効果を模倣または複製するが、より短い作用の発現を伴い、関連全身および泌尿器副作用または有害事象のリスクがない、より永続的で精密な処置を提供する、様式を含む。
【0036】
一実施例では、排尿筋または三角部へのボツリヌス毒素注射(例えば、20〜30回等)の効果は、膀胱の内(粘膜)層、随意に外層(例えば、深部排尿筋、外膜、膀胱周囲脂肪)または隣接器官(例えば、前膣壁、直腸等)への損傷を回避しながら、尿道、尿道口、尿管、または尿管口の機能に影響を及ぼすことなく、膀胱の三角領域の非表面組織内の求心性神経連絡を実質的に切除または破壊するように、電気(RF)または熱エネルギー(高強度超音波、マイクロ波、または低温で)の印加を介して、エネルギー送達を提供することによって複製され得る。したがって、エネルギーは、線形病変(例えば、交差または非交差)、閉ループ病変(例えば、三角部または三角部の複数部分を隔離する円)、湾曲病変、足跡病変を含む、いくつかのパターンで印加され得、またはその他が可能である。
【0037】
前述の装置および方法は、急迫性失禁および過活動膀胱等の膀胱機能障害を治療するためだけでなく、膀胱の三角部の中に位置する求心性神経組織網を介して伝達される全般的骨盤痛と関連付けられる症状を低減するためにも採用され得る。
【0038】
本主題はさらに、膀胱の三角部を補強または再形成することによって、切迫感、頻尿、急迫性失禁、過活動膀胱、夜間頻尿等の膀胱機能障害を治療するために、単独で、または脱神経の補助として使用され得る、装置および方法を考慮する。本主題のこの側面によれば、三角領域を補強し、その領域内の感覚受容器官の活性化を低減させる機械的構造が、非表面組織の中等の三角部内で原位置に埋め込まれ、または形成され得る。そのような装置は、例えば、三角部の非表面組織内の生体適合性支持棒の挿入、組織層に影響を及ぼすか、または組織層をさらに硬くし、膀胱の膨満感に対応する神経連絡を生成するように感覚受容器官を活性化するもの等の伸張の影響を受けにくくするように原位置で重合する、薬剤またはポリマーの注射を含み得る。本明細書では随意的と表されるが、そのような装置および方法は、ある場合において、膀胱機能障害の症状を治療するために、独立的に使用することができる。エネルギー送達による三角部の脱神経は、膀胱症状の永続的緩和を提供することができるが、神経網が膀胱の周辺領域からの内方成長によって再生するであろう可能性を低減させるために、脱神経領域に隣接し、かつその深くに埋め込まれる障壁構造が使用され得る。
【0039】
(A.エネルギー送達法)
膀胱の三角部の粘膜の広範囲に及ぶ崩壊は、粘膜の治癒段階中に過活動膀胱(OAB)症状(例えば、切迫感、頻尿、疼痛等)の増加をもたらし得る。例えば、膀胱の粘膜層が外傷を与えられたとき(例えば、ハンナー病変等の病変の存在下で、間質性膀胱炎(IC)または膀胱痛症候群(PBS)患者において、膀胱内の小病変の高周波療法の結果として、または1つ以上の他の外傷の存在下で、あるいは1つ以上の他の外傷の結果として)、過活動膀胱型症状は、粘膜面が再生できるまで存続し得る。
【0040】
本主題の一側面によれば、治療された組織内に配置された神経経路を切除し、神経を麻痺させるのに十分な量でエネルギー送達を介して、膀胱の非表面組織、および(例えば、膀胱の三角領域に対応する)前膣壁まで延在するさらなる組織を治療することができる。膀胱の粘膜、または外部筋層あるいは外膜層も保存することは、瘻孔または膀胱脱の形成を防止するのに効果的である。治療が膀胱粘膜を損傷しない、または隣接器官(例えば、膣壁)を損傷し得る深度まで浸透しないことを確実にするために、横方向に尿管および尿管口が損傷されないことを確実にするために、および尾側方向に尿道または尿管口が損傷されないことを確実にするために、非表面組織の脱神経を深度方向に制御することができる限り、エネルギー送達が、種々の様式のうちのいずれかによって達成され得る。本主題のエネルギー送達装置は、単極または双極電気焼灼器システム、高周波(RF)、パルス高周波(PRF)、マイクロ波、高強度超音波、接触レーザ、可視レーザ、プラズマ、相変化(例えば、蒸気から水)等の高熱、冷凍手術システム等の低体温、あるいは組織壊死を誘発するのに十分な量における体外衝撃波、キャビテーション、または振動等の機械的崩壊を誘発するシステムを含み得る。
【0041】
本主題の一側面によれば、エネルギーは、局所的に(例えば、侵襲性処置によって暴露されるような露出表面に、あるいは管腔内または膀胱内表面に、あるいは任意の他の自然体腔の表面に)、または治療される組織層に浸透するように構成される形態(例えば、針電極)によって、印加され得る。本明細書で開示される本主題の一側面によれば、組織治療は、精密な所定の深度まで装置のオフセット領域内の組織を引き込む吸引装置を使用して、表面層の損傷を回避するように非表面組織の中へエネルギーを直接送達することによって行うことができる。エネルギーの局所的印加が採用される場合、そのような治療は、本明細書の以下で説明されるように、粘膜面を同時または断続的に冷却しながら行うことができる。
【0042】
図4を参照すると、エネルギーを膀胱に送達するための本主題の例示的なデバイス10が説明されている。デバイス10は、ハンドル11と、細長いシャフト12と、可撓性端部領域13と、エネルギー送達要素14(または治療送達要素)とを含む。エネルギー送達要素14は、治療を標的体積または非表面標的組織に提供するように構成することができ、ある実施例では、エネルギー送達要素がエネルギーの制御された量を特定の標的組織領域に送達することが可能である限り、RFエネルギーを印加するための単極または双極針電極、抵抗加熱要素、マイクロ波要素、超音波または高密度焦点式超音波、レーザ、凍結療法、プラズマ、または相変化、あるいは当技術分野で公知であるような他のエネルギー送達要素を含むことができる。ハンドル11は、ケーブル15を介して、選択されたエネルギー送達要素14にとって適切な外部電力供給部(図示せず)に連結され得る。ハンドル11は、エネルギー送達要素14を介してエネルギー送達を起動するためのボタン16を含み、さらに、例えば、膀胱鏡によって提供される視覚誘導下で、エネルギー送達要素14を所望の標的と接触させるように、可撓性端部領域13をその非屈曲位置(
図4において点線で示される)から選択的に屈曲させるためのアクチュエータ17を含み得る。実施例では、細長いシャフト12は、尿道を介した膀胱の中へのエネルギー送達要素14および可撓性端部領域13の非侵襲性挿入を促進するように選択される長さを含むことができる。代替として、細長いシャフトは、外科的または低侵襲開口を介した通過のために構成され得る。デバイス10は、繰り返しの滅菌および複数の患者による再利用のために好適な耐久性のある構成要素を含むことができるか、または1回の使用後に使い捨て可能であり得る。いくつかの実施例では、ケーブル15が省略され得、外部電力供給部がハンドル16に組み込まれ得る。
【0043】
図5Aおよび5Bを参照すると、図は、エネルギー送達要素が膀胱の円蓋と接触して尿管口Oの間および上に位置する、膀胱に挿入されたシャフト21を有するデバイス20を示す、女性の膀胱Bの側面図である。デバイス20は、
図4で図示されるデバイス10と構造が類似し、デバイス10について説明されるように配列された類似構成要素を含む。この実施例では、デバイス20のエネルギー送達要素は、細長いシャフト21の可撓性領域25の遠位端24から延在する、針電極22、23を含む。本主題の一側面によれば、針電極22、23は、針電極の遠位端が完全に展開されたときに外膜の中へ延在しないように、可撓性領域25の遠位端24を越えて全長L
1で延在するように構成される。加えて、針電極22、23は、RF電流がエネルギー送達中に針電極の近位部分間で流れず、したがって、粘膜層内で高熱を引き起こさないように、長さL
2にわたって延在する電気絶縁被覆を含む。一実施形態では、深度L
1およびL
2は、それぞれ、約4〜2mmであり得、針電極22、23によって送達されるエネルギーが主に非表面組織内にとどまることを確実にし、粘膜ならびに近くの器官および構造への損傷を回避する。
【0044】
当業者によって理解されるように、RFエネルギー送達は、比較的安価であるという実用的な利点を有し、低費用の発電機が容易に市販で入手可能である。加えて、RF電極を製造するために使用される材料は、比較的低費用であり、使い捨てデバイスに好適である。RF電極はまた、最も強いエネルギー密度を生成し、したがって、電極先端の直近で加熱する傾向もあり、エネルギー密度は、距離とともに迅速に低下する。したがって、針電極22、23は、組織内の容易に限定可能なゾーンを切除するために使用され得る。代替として、RFは、壊死を引き起こすことなく、標的組織内に位置するコラーゲンを再形成するのに適切な温度を生成するために、より低いレベルでエネルギーを送達するために使用され得る。より低い電力密度において、組織温度を制限するように慎重に制御して、明らかな切除を伴わずにコラーゲンを変性させるために熱が使用され得る。加熱が行われるまで、強度が最初に減退させられるが、変性コラーゲンは、収縮し、肥厚し、および硬化する傾向があるであろう。
【0045】
電流が体内の他の場所でほとんどまたは全く広がらず、針の間の領域中で極めて限局した切除を達成するために、双極RF針電極が使用され得るので、双極高周波(RF)針切除は、標的切除に特に有用である。双極RF針切除はまた、別個の接地板の必要性、および皮膚熱傷等の不適切に配置または欠落した接地板によるリスクを除去することもできる。実施例では、標的領域は、針の間、および針の少なくとも一部分に沿った、組織の標的体積を含むことができる。
【0046】
実質的に平行なRF切除針とともに双極構成を使用して、断面で
図8のように成形された切除領域を標的組織に作成することができる。具体的には、細い(例えば、5mm未満)切除ゾーンを生じ、それにより、表面粘膜層および所望の切除ゾーンを越える深層の両方を保護するために、従来の電気外科的発電機とともに、狭小な針の留置(例えば、針の間の3〜5mm距離)を採用することができる。実施例では、約3〜5mmの針の間隔および約3〜5mmの針の深度が、粘膜表面等の表面粘膜層、およびある実施例では所望の切除ゾーンを越える深層の両方を保護することができる、切除領域をもたらし得る。
【0047】
図6は、エネルギー送達要素が尿管口Oの間および下の領域中で膀胱の三角部(T)と接触して配置された、女性の膀胱(B)に挿入されたシャフト31を有するデバイス30を描写した、側面図である。デバイス30は、
図4で図示されるデバイス10と構造が類似し、デバイス10について説明されるように配列された類似構成要素を含む。この実施形態では、エネルギー送達要素32は、介在組織の壊死を引き起こすことなく、特定組織深度で切除を引き起こすことが可能であるものとして当技術分野で公知である、マイクロ波または高密度焦点式超音波要素を含むことができる。エネルギー送達要素32は、膀胱鏡を使用して視覚的に確認され得るように、実質的に垂直にエネルギー送達要素32を組織表面に接触させるように、デバイス30のデバイス上に位置するアクチュエータを使用して関節動作または屈曲させられ得る、可撓性端部領域33の上に配置される。このようにして、医師は、エネルギー送達要素32からのエネルギー送達が組織表面に垂直であり、したがって、介在組織層を損傷することなく所望の組織層の神経を麻痺させるか、または切除するであろうと確認することができる。デバイス30で採用され得るようなマイクロ波技術は、
図5Aおよび5Bのデバイス20で採用されるRF技術よりもやや高価かつ複雑であり、マイクロ波アンテナの製造と関連付けられる、使い捨て部品のより高い費用を伴う。しかしながら、上述のように、マイクロ波は、RFよりも均一なエネルギー密度および大きい浸透深度を伴って、「電界」効果を設計することが可能であるという利点を提供する。
図6では、デバイス30は、三角部に接触して描写されているが、他の実施例では、デバイス30は、排尿筋(D)等の膀胱内の他の場所を標的にするように構成することができる。
【0048】
RFエネルギー、低周波数ACエネルギー、DCパルスエネルギー、プラズマ等を含む、他のエネルギー送達法が、尿管、尿管口、尿道、および尿道口への損傷を回避するのに十分な精度で、選択された深度においてエネルギーを提供するように構成されるならば、そのようなエネルギー送達法は、組織壊死および脱神経を引き起こすために、本主題の原理に従って構築された装置で有益に採用され得ることを理解されたい。例えば、任意の波長のレーザ技術が、レーザ自体の費用により、比較的高価である。しかしながら、レーザ技術は、所望の治療のための最適な浸透および吸収特性を提供する、特定の光の波長を選択することができるという利点を有する。レーザ治療は、間質レーザ凝固(ILC)、レーザ間質温熱療法(LITT)、レーザ誘発性間質温熱療法、レーザ誘発性温熱療法、間質レーザ療法等を含むことができる。
【0049】
レーザ療法の変形例は、光線感作物質が光源(例えば、レーザ等)と組み合わせて使用される、光線力学療法である。光線感作物質、光、および組織の酸素の組み合わせは、光に暴露された組織の破壊につながる。光線感作物質は、静脈内療法(IV)を介して全身に送達することができるが、全身的効果(例えば、数週間の日光過敏性等)を低減または排除するため等に、膀胱内で送達することもできる。エネルギー送達はまた、温水バルーン、自由流動温水、蒸気等を使用すること等の温熱療法、または以降の実施例で説明されるように選択された組織を凍結させるために使用され得る凍結療法を含む、他の様式を介して達成され得る。
【0050】
(B.組織吸引使用可能実施形態)
ここで
図7から9を参照すると、遠位領域を有する細長いシャフトを含むデバイスが、遠位領域の第1の表面において、標的体積の表面にある組織表面(例えば、膀胱壁の粘膜面)を受け取る(言葉の選択??)ように構成されている、本主題の例示的実施形態が説明されている。縦方向部分(例えば、1本以上の針等)を有する治療送達要素は、治療を標的体積に提供するよう、第1の表面から実質的に均一な距離で標的体積の中に挿入または配置されるように構成することができる。実施例では、治療送達要素が標的体積の中に配置されたとき、膀胱の粘膜面より下側の所定の深度で切除または他の治療を得ることができるように、組織表面を第1の表面と接触させるために(例えば、把持して一致させるため等)、吸引または1つ以上の他の力を採用することができる。ある実施例では、標的組織の表面にある膀胱壁の粘膜面を実質的に無傷に保ちながら、切除または他の治療を標的体積において得ることができる。実施例では、粘膜面を実質的に無傷に保つことは、粘膜面の切除または収縮を引き起こすのに十分なレベルまで組織を加熱しないことを含むことができる。別の実施例では、粘膜面を実質的に無傷に保つことは、粘膜面の細胞生存性を維持すること(例えば、粘膜面の細胞を保護する、または死滅させないこと)、または(例えば、グリコサミノグリカン層の剥離を回避することによって)グリコサミノグリカン層を保存することを含むことができる。
【0051】
図7では、デバイス40は、細長いシャフト42および遠位領域43に連結されたハンドル41を含む。ハンドル41は、アクチュエータ45を含むピストルグリップ44と、ケーブル47および吸引ライン48に連結されるボタン46とを含む。押下されたとき、アクチュエータ45は、以下でさらに詳細に説明されるように、細長いシャフト42内に収納された針電極を、遠位領域43の近位端から遠位端まで拡張させることができる。ボタン46は、デバイス40へのRFエネルギーの印加を起動する。ケーブル47は、従来の設計のRF電気外科的発電機に連結可能である。吸引ライン48は、病院環境または医師の診療室で利用可能である、市販の吸引ポンプまたは好適に制御された「室内」真空のいずれかを含み得る、従来の真空源に連結可能である。随意に、ハンドル41は、遠位領域43の位置付けを光学的に調べるための接眼部を含み得、または代替として、従来のテレビまたはコンピュータモニタ上に表示され得るビデオ画像を生成するためのビデオ撮像モジュールおよび好適な電子機器を含み得る。代替として、ハンドル41は、それ自体が公知であるように、補助的な剛体、または可撓性の膀胱鏡に取り付けられるように構成され得る。
【0052】
図8Aおよび8Bが、
図7の遠位領域43の平面図および底面図を描写する一方で、
図8Cは、
図8Bの線A−Aに沿って得られた遠位領域43の断面図を描写する。
図8Aに示されるように、遠位領域43は、複数の開口50を通して吸引が引き込まれる、マニホールドとして機能するオフセット部分49を含む。双極針電極51、52は、細長いシャフト42のチャネル53の中に配置され、好適な連結を介してアクチュエータ45(
図7参照)に連結される。ハンドル41のアクチュエータ45が押下されたとき、針電極51、52が、(
図8Aおよび8Bの点線55によって示されるように)遠位領域43のオフセット領域54を横断して延在する。随意に、遠位領域43の最遠位部分57は、針がオフセット領域54を完全に横断して拡張されたときに、針電極51、52の遠位端を捕捉するチャネル56を含み得る。代替として、最遠位領域57およびチャネル56は、オフセット部分49が
図8Aで描写される点線58で終端するために、完全に省略され得る。
【0053】
図8Aおよび8Bで描写される実施形態では、針電極51、52は、比較的長く(例えば、15〜20mm)、均一な深度の略平面的な切除ゾーンを提供するように互に平行に配列される。組織の中の均一な深度で切除ゾーンを提供するために、針電極51、52は、所定の距離を有する遠位領域43のオフセット部分49から分離された面内に配置される。当業者に明らかであるように、挿入された針電極と、粘膜面を受け取るように構成されるオフセット部分49の第1の表面との間の距離は、膀胱壁の中に、または膀胱壁から所望の深度で切除ゾーンを提供するように選択され得る。加えて、特定の患者の生体構造に好適なデバイスが選択され得るように、オフセット部分49の複数のサイズが構築され得る。したがって、組織(例えば、膀胱三角部組織)が、遠位領域43のオフセット部分49の第1の表面に対してオフセット領域54中で受け取られたとき、または把持されたとき、針電極51、52の前進は、オフセット部分49の第1の表面と挿入された針電極との間の距離と同等である深度で、組織の中へ針電極の拡張をもたらす。
【0054】
図8Aおよび8Bの実施形態は、真っ直ぐな針、およびオフセット部分49の幾何学的に平坦な第1の表面を採用するが、他の構成が容易に構築され得る。例えば、針電極は、例えば、画定された半径または曲率(例えば、針の曲率)を有する、オフセット部分49の第1の表面と関連して、画定された半径または曲率を含み得る。そのような実施形態では、針電極の送達の深度は、曲率半径の差によって画定され得る。
【0055】
実施例では、針は、オフセット部分の第1の表面から実質的に均一な距離で、組織の標的体積に挿入され、かつその中に配置されるように構成することができる。実施例では、完全に挿入されたとき、針の長さは、15mmに接近するか、またはそれを超えることができる。ある実施例では、15mmの長さにわたって、針とオフセット部分の第1の表面との間の実質的に均一な距離は、0〜6mmに及ぶことができ、低いほうの範囲がより緊密な切除ゾーンと関連付けられる。実質的に均一な距離が大きすぎる場合、層状切除は制御することがより難しくなる。実施例では、範囲は、0〜3mm、0〜2mm、および0〜1mm等を含むことができる。
【0056】
オフセット領域54内で良好な組織接近を確保するための他の手段が、容易に想定され得る。膀胱三角部、および女性患者の場合は、前膣壁等のその下層組織は、極めて動きやすく、容易に変形される。したがって、膀胱三角部をデバイスのオフセット領域に一致するように促すために、適度な力のみを必要とし得る。例えば、ある実施例では、膀胱デバイスの遠位端に第1の表面で組織を受け取らせるために、反対側からの反対圧力が使用され、組織を膀胱デバイスの遠位端に一致させることができる。女性患者では、反対圧力は、膣から加えられ得、男性患者では、反対圧力は、直腸から加えられ得る。そのような反対圧力は、医師の指によって提供され得、または以降の実施例について図示されるような剛体または半剛体プローブを使用して加えられ得る。加えて、プローブの外形は、膀胱デバイスの外形と嵌合するように構成され得る。このようにして、その間で膀胱および関連組織(患者の性別に応じて、膣または直腸組織のいずれか)を締め付けるために、2つの嵌合外形が使用され得る。プローブおよび膀胱デバイスはまた、(例えば、直腸、膣等の反対の体腔に挿入される、反対極性の)磁石等の、組織の単純かつ反復可能な締め付けを可能にする配向特徴または連結機構を含み得る。
【0057】
図8Aおよび8Bの実施例では、傷つけないように組織を把持して遠位領域43に保持することによって、組織を遠位領域43のオフセット領域54にしっかりと、しかし可逆的に一致させるために、吸引を使用することができる。開口50が、密閉チャネルまたは管等を使用して、吸引を供給する外部真空ポンプに接続される。穴、スロット、メッシュ等の種々の構成が、一致させる圧力を提供するために使用され得る。開口は、デバイスのシャフト内に、またはそれに近接して位置する実質的に漏れないチャネルを使用して、外部真空ポンプに接続され得る。デバイス40への組織の吸引固定は、単純で迅速であり、針電極を組織の中へ通過させている間に容易に維持される。針電極51、52は、例えば、容易に組織を通過し、直線に沿って追跡して、針が組織に進入したのと同一の幾何学的面内で組織から退出する、22ゲージ針(または他のゲージ針)であり得る。吸引の使用は、組織に危害を引き起こすことなく、広い表面積にわたって保持力を有益に分配する。
【0058】
図8Aおよび8Bの実施形態の設計はさらに、いくつかの安全特徴を含むことに適する。第1に、直視能力が、デバイス40を設置する、または位置付けるために使用され得る。例えば、デバイス40の能動部分(例えば、吸引ゾーン、針電極等)の場所または配置の視覚的確認のために従来の尿道鏡または他の視覚デバイスの挿入を可能にするチャネルが、デバイス40のシャフトに組み込まれ得る。第2に、デバイス40の動作の順序(例えば、吸引の開始、組織の捕捉、針電極の前進、RF電力印加、針電極の後退、組織の解放、吸引の終了等)は、動作の正しい順序を確保するために、種々の安全連動装置、機械/ハードウェア、またはソフトウェアを含み得る。例えば、デバイス40の安全な動作を確保するために、以下の特徴のうちの1つ以上が組み込まれ得る。
・組織が開口50を通した吸引によってオフセット領域54内でしっかりと捕捉されたことを圧力計が記録するまで、針電極の前進が妨げられ得る。
・針電極が拡張されるまで、針電極への電力が妨げられ得る。
・電気的または機械的接触によって、完全かつ正しい針電極の前進が確認され得、この確認までRF電力が妨げられ得る。
・針電極が後退させられるまで吸引が加えられ得る。
針電極はまた、(例えば、圧力計によって登録された)吸引組織捕捉が失われた場合に、(例えば、挿入される際に伸張されたバネによって、電気機械アクチュエータによって等)自動的に後退させられ得る。デバイス40は、デバイスまたは機構が別様に動かなくなった、あるいは意図したように機能できなくなった場合に、針電極を後退させるための二次機構(例えば、フェイルセーフ機構)を含むことができる。
【0059】
図9Aおよび9Bで概略的に図示されるように、遠位領域43が、組織、例えば、三角部と接触して配置され、吸引が吸引ライン48を介してデバイス40に連結されたとき、深度L
3まで1つ以上の吸引ポートを使用する等して、組織の一部分がオフセット領域54に引き込まれる(例えば、
図9Aおよび9Bの矢印によって示される)。アクチュエータ45を押下することにより、針の遠位端が遠位領域43の最遠位部分の中に配置されたチャネル56に係合するまで、針51、52を、オフセット領域54中で捕捉された組織の一部分に貫通させ、それを横断して延在させることができる。実施例では、針電極をチャネル56に係合させることにより、切除プロセス中にデバイス40を組織に係止する。ハンドル41上のボタン46の作動は、RF電流を針電極51、52の間で流れさせ、それにより、針の間で捕捉された組織の均一な切除を引き起こす。
【0060】
本主題の一側面によれば、深度L
3は、所定の非表面層が位置する組織のみがエネルギー送達中に切除されるように選択される。切除ゾーンの幅は、組織の中へ送達されるエネルギー、ならびに間隔L
4(
図9B参照)によって決定される。随意に、針電極51、52は、針電極が組織を貫通する粘膜の中へのエネルギー付与を低減させるために、(オフセット領域54を横断して完全に拡張されたときに)それらがチャネル53から退出する針電極の長さL
5、およびチャネル56に進入する針電極の長さL
5にわたって配置された電気的絶縁被覆を含み得る。例証的に、遠位領域43中のオフセット領域54は、約15〜20mmの長さを有し、深度L
3は、約4mmであり得、針の間の幅L
4は、約1〜7mmである。
【0061】
図9Cで図示されるように、デバイス40の構成は、粘膜層および膣壁等の膀胱の外側の組織領域への損傷を軽減する保護ゾーン58、59も提供しながら、長さL
6の高度に反復可能で境界明瞭な切除ゾーン57が、非表面層内の所定の深度で作成されることを確実にする。ある実施例では、L
4のオフセット領域54が、約2〜3mmの深度を有する切除ゾーン57を作成するように選択される。しかしながら、切除ゾーンの幅および深度は、エネルギー送達パラメータを調整することによって、特定の患者の生体構造に合わせられ得ることを理解されたい。例えば、患者の膀胱の厚さは、超音波撮像を使用して決定され得、RFエネルギーパラメータは、(例えば、デバイス40に付随する取扱説明書の中で利用可能な参照表を使用して)観察された厚さに基づき、それに従って調整され得る。加えて、デバイス40は、遠位領域43のオフセット領域54の特定された長さおよび深度L
3、ならびに針電極間の幅L
4を提供する、異なるオフセット領域49を各々有し、いくつかのサイズで製造され得る。
【0062】
ここで
図10Aおよび10Bを参照すると、本主題の双極RF吸引使用可能デバイス60の代替実施形態の遠位領域が説明されている。デバイス60が異なって構成された遠位領域61を含むことを除いて、デバイス60は、
図7で描写されるものと構造が類似する。具体的には、先の実施形態について説明されるような軸方向に展開される一対の針電極の代わりに、デバイス60は、デバイスハンドル上のアクチュエータを押下することによって遠位領域61から選択的に拡張される、複数の針電極62を含む。
図10Bに示されるように、針電極62は、粘膜層の中へのエネルギー送達を低減させるように、電極の近位長L
7にわたって延在する電気的絶縁被覆63を含むことができる。
図5Aおよび5Bで描写されるデバイス20のように、針電極62は、完全に展開されたときに、針電極の先端が外膜の中へ、または外膜を通って延在しないことを確実にする、最大距離L
8で延在する。例証的に、深度L
7およびL
8は、それぞれ、約2mmおよび4〜5mmである。
【0063】
図11Aおよび11Bを参照すると、遠位領域61は、遠位領域61を治療される組織に固定するために、それを通して吸引が引き込まれる、複数のスロット64を含む。
図11Bの断面図によって描写されるように、針電極62は、吸引マニホールド66の中に位置付けられ、デバイスのハンドル上のアクチュエータの動作によって前進および後退させられるように構成され、それにより、開口67を通して複数の針電極62を選択的に拡張または後退させる、部材65に接合される。
【0064】
図12は、遠位領域61が、それを通して吸引を引き込むことができる、スロット64より上側の遠位領域61の別個の面内に配置される冷却チャネル68を含む、針電極62の動作中に膀胱組織の表面組織層を冷却するためのヒートシンクを含む、
図10および11のデバイス60のさらなる代替案を描写する。このようにして、冷却された生理食塩水等の冷却剤が、粘膜層から熱を引き離し、表面損傷のリスクを低減させるヒートシンクの役割を果たすために、切除処置中に冷却剤チャネル68を通して循環させられ得る。代替として、冷却用のヒートシンクは、粘膜を損傷し得る過剰な熱の蓄積を低減させるために、冷却された生理食塩水等の冷却した生体適合性流体が、遠位領域61と膀胱表面との間に注入されることを可能にする、別個のチャネルを遠位領域61の中に含むことができる。
【0065】
先の説明から明白であるように、デバイス60は、膀胱の非表面組織内で所定のサイズの切除ゾーンを引き起こすために使用される。動作において、遠位領域61が、組織、例えば、三角部と接触して配置されるように、デバイス60の遠位領域61が、(例えば、尿道または膀胱壁を通る低侵襲性開口部を通して)膀胱に挿入される。次いで、吸引がスロット64および開口67を通して引き込まれ、それにより、遠位領域61を組織と接触して係合させるように、吸引が吸引ラインを介してデバイス60に連結される。吸引が遠位領域61と接触して組織を保持し続けている間に、部材65を前進させ、針62を完全に拡張させて膀胱壁を貫通するために、デバイス60上のアクチュエータが押下される。次いで、RFエネルギーが針に供給され、RF電流を針電極62の間に(または単極構成が使用される場合は針電極と接地パッドとの間に)流れさせ、それにより、遠位領域61で受け取られる組織の実質的に均一な切除ゾーンを引き起こす。上記で論議されるように、絶縁被覆63は、送達されたエネルギーが粘膜を損傷しないことを確実にすることができる一方で、針電極62の全体展開長は、切除が前膣壁まで浸透せず、膀胱壁内に制限されることを確実にすることができる。
【0066】
(C.例示的な方法)
図13に関して、本主題による膀胱機能障害を治療する例証的な方法が説明されている。
図13は、後三角部(T)に向かって見た、尿管口(O)、尿管(UR)、尿道口(UO)、および尿道(U)の相対的位置、ならびに想像上の尿管間棒(IB)を表す尿管口の間に延在する鎖線をさらに図示する、女性の膀胱(B)の例示的な内部図である。尿管口の間の距離は、身体サイズおよび膀胱の中の流体の量に応じて、約2〜5cmの間で変化し得る。尿道と尿管間棒との間の距離は、身体サイズおよび膀胱の中の流体の量に応じて、約3cmである。尿管、尿管口、尿道口、または尿道に近接する、またはそれらを含む領域は、これらの構造への不慮の損傷を回避し、したがって、尿道、尿道口、尿管、または尿管口の正常な機能を維持するよう、治療中に回避されるべきである。
【0067】
図13はさらに、これらの領域中の非表面組織の全てまたは実質的に全てを切除するか、または神経を麻痺させることが望ましくあり得る、膀胱の領域を構成する、異なる切除領域AR1、AR2の実施例を描写する。切除領域AR1は、例証的に、尿管口の下(例えば、尾側)または間のうちの少なくとも1つに位置し、尿管口に接近し得るが、1〜25mm、1〜20mm、2〜10mm、または2.5〜7.5mmのうちの少なくとも1つの安全領域を尿管口と切除領域AR1との間に残す。例えば、切除領域AR1の上縁は、0〜30mm、0〜20mm、または0〜10mmのうちの少なくとも1つ分、膀胱円蓋に向かって尿管間棒より上側に延在し得る。他の場合において、切除領域AR1の上縁は、0〜20mmまたは0〜10mmのうちの少なくとも1つ分、膀胱底に向かって尿管間棒より下側に延在し得る。切除領域AR1の下縁は、尿道または内尿道括約筋への不慮の損傷を回避するよう、2〜25mm、2〜20mm、2〜10mm、または2〜5mmのうちの少なくとも1つ分、尿道または膀胱頸部より上側に延在し得る。
【0068】
切除領域AR1の少なくとも一部分が、治療のために有益に標的にされ得る。膀胱は、より厚い壁(8〜15mmの間の粘膜に筋層を加えた厚さ)を提供するように切除処置の前に空にされ、またはより薄い壁(例えば、2〜5mmの間の粘膜に筋層を加えた厚さ)を提供するように切除処置の前に充填され、または空および満杯の膀胱の間の厚さ(例えば、3〜14mmの間の粘膜に筋層を加えた厚さ)を提供するように部分的に充填され得る。膀胱の内壁からの治療の浸透の選択された深度は、0〜3mm、0.5〜5mm、または5〜15mmのうちの少なくとも1つの間であり得る。
【0069】
依然として
図13を参照すると、代替的な例示的切除領域AR2は、形状が実質的に台形であり、三角部の形状にほぼ近い。この場合、切除領域AR2は、尿管口に接近するが、再度、1〜25mm、1〜20mm、2〜10mm、または2.5〜7.5mmのうちの少なくとも1つの安全領域を尿管口と切除領域AR1の外側縁との間に残す。切除領域AR2は、例証的に、実質的に台形であるが、実質的に長方形、三角形、弓形、卵形等の他の形状またはサイズが使用され得る。1つ以上の病変を作成するようにエネルギー送達を提供することによって、切除領域AR2の単一の部分が標的にされ得る。実施例では、切除領域AR2の複数の部分が、単一の治療または複数の治療内で治療され得る。切除領域の治療された部分は、以下で説明されるように重複し得る。
【0070】
切除領域AR1、AR2の各々は、尿管、尿管口、尿道、および尿道口への損傷を回避するよう選択されるべきであると理解されたい。加えて、そのような損傷が偶発的に起こらないことを確実にするために、予防措置が講じられ得る。例えば、尿管または尿管口へのエネルギーの伝達を低減させるように、ガイドワイヤ、ピグテール、カテーテル、またはバルーンニップル、および随意に水が充填されたバルーンを使用して、尿管の一方または両方がカニューレ処置され得る。代替として、または加えて、治療中に尿管口の場所の観察または確認を支援するために、デバイスが使用され得る。そのようなデバイスは、膀胱鏡等の、尿管口の場所の視覚的確認を提供するように構成される可視化デバイスを含み得る。代替として、カニューレ処置し、尿管口へのアクセスを提供するように構成されるデバイス、尿管口の可視性を増加させる1つ以上のマーカーまたは「フラグ」を提供するように構成されるデバイス、エネルギーへの暴露から尿管口を防御または防護するよう尿管口に挿入されるように構成されるデバイス(例えば、栓、尿管口の円周102よりも大きい円周を伴うカバー)が採用され得る。代替として、尿管口から既知の距離(例えば、尿管口から2mm以上)を切除する、尿管口に挿入されるように構成されるデバイスが採用され得る。
【0071】
例えば、
図7のデバイス40は、オーバーザワイヤまたは迅速交換方式で従来のガイドワイヤを受け入れる、遠位領域の上面に配置されるガイドワイヤ管腔を含み得る。使用中、ガイドワイヤの遠位端は、第1に、例えば、膀胱鏡の視覚誘導下で、尿管口を通して挿入され、尿管の中へある距離拡張されることができる。次いで、デバイス40の遠位領域43は、ガイドワイヤ管腔を通してガイドワイヤの近位端上に再び搭載され得、デバイス40の遠位端43は、ガイドワイヤに沿って、尿道を通して膀胱の中へ前進させられる。デバイス40が膀胱に完全に挿入されたとき、デバイス40のオフセット部分49(例えば、
図8A参照)は、デバイス40のオフセット領域54に、デバイスのオフセット部分49の厚さより近くない距離で、尿管口付近の膀胱壁を受け取らせるであろう。したがって、この距離は、尿管口と切除ゾーンとの間の組織の所望の余裕を提供し、それにより、使用中にデバイスの配置を促進し、切除ゾーンが尿管および尿管口等の敏感な領域を包含しないことを確実にするために、デバイス40のオフセット部分49の設計中に選択され得る。
【0072】
加えて、尿管口の間の距離が、身体サイズまたは膀胱の中の流体の量に応じて変化するので、可視化デバイス、治療デバイス、または膀胱に挿入されるように構成される他のデバイスに連結される測定デバイスが、尿管口の間の距離を測定するために使用され得る。さらなる実施例として、測定デバイスは、尿管口の間の距離と比較され得る較正マークを有する、バルーン等の拡張可能部材を含み得る。この場合、治療デバイスは、測定された距離に応答して選択または調整され得、または膀胱の容量が、尿管口の間に所望の距離を提供するように流体を導入または除去すること等によって、調整され得る。
【0073】
ここで
図14から17を参照すると、膀胱B内で生成され得る例証的な切除パターンが説明されている。
図14から17の各々は、尿管口(O)、三角部(T)、および尿道(U)が識別されている、膀胱(B)の内部の図の後面図を図示する。より具体的には、
図14は、
図4−6の単接点デバイスを使用して作成され得るような点描切除パターンを描写する。
図14は、同心円状の点線が各接触域に対応する切除ゾーンを例証的に示す、影付きの円70としてエネルギー送達要素の接触域を描写する。
図14で観察されるように、点線の同心円の大部分が重複し、標的治療領域中の非表面組織の実質的に全体の切除を含む。例証的に、ボツリヌス毒素注射に使用されるものに類似する標的領域の拡張または縮小した一部が、治療領域を画定するために採用され得る。
【0074】
図15は、尿管口(O)の周囲の実質的に円形の切除パターン80および81、ならびに尿道口の周囲に位置する切除弧81を切除することによる、三角部(T)の縁を標的にする略円形切除パターンを描写する。
図15で描写される円形パターンは、例えば、マイクロ波、高強度超音波、レーザ等の上記で説明されるようなエネルギー送達要素を使用して生成され得る。そのようなデバイスは、同様に、三角部を実質的に囲む、
図16で描写される切除パターン90を作成するために使用され得る。非交差または交差線形切除パターン、膀胱壁の非定型領域を標的にする同心円状切除パターン等の他の切除パターンが使用され得る。例えば、膀胱の非定型領域は、脱神経または増加した局所収縮能または電気的焦点の領域等の、普通でない形態または活動の1つ以上の領域を含み得る。そのような場合において、膀胱の非定型領域において治療を標的にすることは、(例えば、心房細動、頻脈等を治療するための)心不整脈に対する1つまたは複数の変位点の切除または隔離等の心臓での電気生理学治療によって提供される利点に類似する利点を提供し得る。
【0075】
図17は、実質的に三角部全体を包含し、
図7から12に関して上記で説明されるデバイス40、60を使用して有利に生成され得る、切除パターン100を描写する。そのような切除パターンは、典型的なものよりも大きい、またはより頻繁な局所収縮能を示す膀胱壁、密集した求心性神経支配の領域、または標的遠心性神経支配の領域を治療するときに使用することができる。明らかであるように、先述の切除パターンの組み合わせが、有益に採用され得る。例えば、とりわけ、(1)三角部、(2)排尿筋、(3)基底部、(4)膀胱尖、(5)膀胱体、(6)膀胱頸部、(7)尿道口、(8)尿管口(一方または両方)、(9)脱神経または増加した局所収縮能または電気的焦点の領域等の異常形態または活動を有する膀胱の領域、(10)機能筋単位等の膀胱の機能領域、または(11)神経組織が密集した、または膀胱壁内の神経が膀胱の進入/退出に集中する領域といった領域のうちの1つ以上を含む、膀胱の1つ以上の領域が治療のために標的にされ得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、部分脱神経が、実質的に全体の切除に有益であり得る。例えば、患者が比較的薄い膀胱壁を有すると観察または測定される場合において、全体的に切除された領域が治療の直後に破裂のリスクを提示しないこと、または切除領域が完全に治癒した後に瘢痕組織が膀胱壁を過度に硬化しないことを確実にするために、無傷の非切除組織の領域を保持しながら、切除のために線形交差パターンを使用すること、または三角部を囲むことが望ましくあり得る。
【0077】
したがって、本主題に従って行われる切除治療は、望ましくない症状(例えば、急性尿閉、排尿後残尿、いきみ等)を回避するため等、所望の位置で部分または特定治療を提供するように較正または制御され得る。例えば、膀胱壁に近接する神経切除の特定の場合において、特定の領域中で脱神経の一部分のみを達成することが有利であり得る。部分脱神経は、特定の領域の実質的に100%の脱神経、または70〜90%、60〜80%、50〜70%、40〜60%等の任意の所望の部分的範囲を含むことができる。治療はまた、治療の特定の寸法または表面積(例えば、4〜5平方センチメートル、三角部の境界を多くても1cm越えて延在する等)を含む、特定の領域に限定され得る。代替として、または加えて、治療の範囲は、特定の患者生体構造に対して画定され得る(例えば、三角部の面積の80%)。
【0078】
切除技術に精通している者によって容易に理解されるように、治療の程度は、エネルギー送達のパターンの密度を制御することによって制御され得る。例えば、切除ゾーンおよび非切除ゾーンの両方(例えば、75%切除および25%非切除等)を含む病変のパターンが、所望の程度の治療を生じるように選択または画定され得る。さらに、治療の程度は、治療の限定された時間および持続時間によって制御され得る。損傷(例えば、神経、筋肉等への損傷)の量は、時間、温度、周波数、振幅等の特定治療パラメータに関連付けられることができる。
【0079】
上述のように、治療の程度はまた、影響を受ける組織の層を限定することによって制御され得る。例えば、治療は、膀胱壁のある特定の深度または特定の解剖学的層を越えて延在しないように限定することができる。例えば、治療は、グリコサミノグリカン層、粘膜、尿路上皮、上皮の表面細胞層、上皮の中間細胞層等の膀胱体に近接する1つ以上の層を保護しながら、筋肉および漿膜または外膜等の膀胱壁の深層を治療するように標的にされ得る。層の他の組み合わせが、治療のために標的にされ、または例えば、冷却バルーンまたは熱を除去する他のデバイスあるいは方法を使用して、非標的組織を保護することによって保護され得る。
【0080】
より具体的には、粘膜を損傷することを回避するために、エネルギー送達要素と直接接触している膀胱壁組織を冷却する能力を含むことが望ましくあり得る。したがって、本主題に従って構築されたデバイスは、尿管および尿道口等の選択された構造を不慮の損傷から保護するように設計されている特徴を含み得る。これは、種々のアルゴリズムおよび制御(例えば、電極温度を測定すること、組織温度またはインピーダンスを測定すること、タイマー、視覚フィードバック等)によって達成され得るが、加えて、所望の場所を除いて温度を加減するために大きい熱質量を使用することが有利であり得る。実施例は、室温とは異なる温度まで加熱または冷却され得る、流体(例えば、水、生理食塩水等)等のヒートシンクの使用を含む。そのようなヒートシンクは、静的(例えば、膨張したバルーン)または動的(例えば、開または連続ループの中で流れる流体)のいずれかであり得る。
【0081】
例えば、バルーンは、内部マイクロ波アンテナまたは他のエネルギー送達要素が下層組織を治療的に加熱することを可能にしながら、造影剤と混合された、(例えば、氷水浴を使用して)冷却された生理食塩水の連続循環流で充填され、バルーンと直接接触している組織を冷却するために使用され得る。このようにして、基底膜、下部尿路上皮、粘膜下層、固有層、筋肉、外膜、または漿膜等の下層または隣接膀胱組織の1つ以上の部分を治療しながら、膀胱の粘膜の少なくとも一部分を保護することができる。
【0082】
さらなる実施例として、近接膀胱または神経組織を治療する前に、またはそれと同時に、尿管に近接して、または尿管の中へ、カテーテル、冷却バルーン、または他の冷却デバイスを挿入すること等によって、尿管が保護され得る。例えば、本デバイスは、その遠位先端が尿管内に位置付けられ、エネルギー送達要素から熱エネルギーを標的組織(例えば、尿管に近接する三角部に神経を分布する神経組織等)に送達する一方で、デバイスの遠位先端が、熱エネルギーによる尿管への損傷を防止するように尿管の少なくとも一部分(例えば、尿管の内部)を同時に冷却するために、構成され得る。
【0083】
凍結療法の場合、非標的組織から熱を除去するよりもむしろ、非標的組織を加熱するためにヒートシンクが使用され得ることを理解されたい。例えば、本主題の原理に従って構築され、低温プローブを使用する切除デバイスは、尿道への低温損傷を防止するために、および冷気を低温プローブに限局するために、デバイスのシャフトに沿ったチャネルを通して、温めた生理食塩水流を含み得る。
【0084】
なおも他の実施形態では、無菌生理食塩水等の熱質量が、治療中に送達されるエネルギーの不慮の拡散を阻止または防止するために、腹膜等の隣接体腔に導入され得る。例えば、無菌生理食塩水が、腹部を膨張させ、膀胱と腸との間で緩衝を作成するために、腹膜に導入され得る。熱質量はまた、自由に流動するか、またはバルーンに封入されるかのいずれかで、直腸、膣、または子宮に導入され得る。さらに、エネルギー送達要素が異なる場所(例えば、膣の中等)にある場合、冷却デバイスが膀胱に挿入され得る。生理食塩水、ポリマー、ゲル、またはガスもまた、治療前に膣前壁と後膀胱壁との間の距離を増加させるように、これらの構造の間の骨盤に追加され得る。子宮はまた、潜在的な危害から他の構造を防御するために使用され得、例えば、子宮マニピュレータが、損傷から腸を保護するために膀胱と腸との間に子宮を挿入するように使用され得る。
【0085】
膀胱機能障害を治療することに加えて、固有層、下部尿路上皮、粘膜下層、筋肉、漿膜、外膜、結合組織、膀胱周囲脂肪、膀胱周囲筋膜等の膀胱組織上または内を含む、膀胱壁上、内、またはそれに近接する神経組織を含む、骨盤神経組織または神経もまた、全般的骨盤痛を治療する治療または切除のために標的にされ得る。実施例では、治療に好適な骨盤神経は、骨盤神経およびその枝、ならびに膀胱を含む骨盤領域の中または周囲の他の神経およびそれらの枝を含み得る。例えば、女性患者におけるそのような追加の治療領域は、膀胱組織、後膀胱壁と膣前壁との間の空間、または前膀胱壁と横筋筋膜との間の空間を含み得る。男性患者におけるそのような追加の治療領域は、膀胱組織、後膀胱壁と直腸前壁との間の空間、膀胱壁の基部と直腸前立腺筋膜との間の空間、または前膀胱壁と横筋筋膜との間の空間のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0086】
膀胱神経叢、直腸神経叢、前立腺神経叢、下下腹神経叢、骨盤内臓神経、骨盤神経、骨盤神経枝、一般内臓求心性神経、仙骨副交感性線維、腰椎交感性線維、および下腹神経叢から生じる線維等の膀胱外部の神経または神経叢を含む、他の骨盤神経が、骨盤痛を緩和する治療のために標的にされ得る。一般に、骨盤神経は、骨盤神経叢、膀胱、および括約筋に供給する副交感神経S2−S4およびそれらの枝、膀胱底、内括約筋、および近位尿道に供給する交感神経T10−L2およびそれらの枝、ならびに外括約筋に供給する陰部神経に至る体性神経S2−S3およびそれらの枝を含む。
【0087】
さらに本主題の原理によれば、種々のアクセス経路が、本明細書で説明される治療を行うために利用され得る。実施例は、腹腔、恥骨後腹膜外腔(例えば、「レチウス」腔)、および膀胱の異なる部分(例えば、腹膜によって覆われた膀胱円蓋、膀胱の前面、膀胱の外側面等)への開腹外科的アクセス(例えば、開腹術)または低侵襲アクセス(例えば、腹腔鏡)を含む。経膣、経頸管、経子宮、経尿道、または経直腸アクセスも可能である。
図18−22は、女性患者の膀胱へのアクセスを獲得することの例示的な図を図示する。
【0088】
図18は、膣(V)、恥骨結合(PS)、直腸(R)、膀胱(B)、および尿道(U)の相対的位置を描写する女性の骨盤の側面図であり、腹壁(AB)を通した腹膜または腹膜前解離を含む。切開110が、腹壁に作成され、膀胱に近接するレチウス腔を露出させる。膀胱は、切開110を通して直接アクセスされ得る。
図19は、膣鏡116と、小陰唇を後退させて開いておくように構成される残留縫合糸116、117とを含む、女性の会陰を描写する。膀胱は、前膣壁(VW)に形成された開口部118を通してアクセスされ得る。
【0089】
より具体的には、膀胱は、腹膜の直接外側に位置し、膀胱尖から円蓋を横断して膀胱子宮窩まで、腹膜に緩く付着している。腹腔内アクセスは、膀胱の上および後面の直視を可能にする。腹壁からの腹膜の解離は、恥骨結合に直接隣接して位置する膀胱の前部分への直接アクセスを提供する、レチウス腔を作成する。いったん(例えば、腹腔内または腹腔外経路のいずれかから)膀胱に到達すると、三角領域を露出させるように、膀胱をその外側および後付着部から解離することができ、または膀胱の内部へのアクセスを提供するために、膀胱壁を切開し、後で修復することができる。
【0090】
膀胱の直接後方に位置する、膣円蓋の前壁が、尿道を露出するように切開され得、それは、緊張性失禁を治療する経膣テープ処置用の典型的な外科的露出である。経膣経路は、最小限の罹患率を有する、一般的に行われ、広く受け入れられている処置である。膣円蓋の類似するいくぶん深い解離を使用して、膀胱頸部、膀胱三角部、または膀胱の正中線から外れた領域へのアクセスが提供され得る。
【0091】
有利には、脱神経の前にスクリーニング方法として一時的効果を引き出すように、三角部に供給する神経への注射が、膀胱の内部から、および膣からの両方で行われ得る(例えば、リドカインまたは他の麻酔注射)。
【0092】
当技術分野の医師に明らかであるように、女性の膀胱はまた、従来の腹腔鏡処置またはカニューレを介した経皮的恥骨上アクセスを介して、アクセスされ得る。代替として、女性の骨盤への経皮的アクセスが、例えば、後膀胱壁と前膣壁との間の空間にアクセスするカニューレを使用して、会陰を通して確立され得る。膀胱へのアクセスはまた、三角部または尿管口等の膀胱の中の1つ以上の構造への視認アクセスを提供する、尿道を通して膀胱に挿入される従来の膀胱鏡または他の可視化デバイスを使用して得られ得る。上記で説明される治療デバイスは、膀胱鏡の中の作業チャネルを通して挿入され得、または代替として、治療デバイスは、例えば、
図7の実施形態の随意的な特徴として説明されるような撮像システムを含み得る。上記で説明されるように、可視化デバイスは、膀胱内の所望の位置にエネルギー送達要素を位置付け、安全域が、可能な切除領域と、尿管口、尿管、尿道、尿道口、尿道括約筋等の膀胱の1つ以上の特徴との間に存在することを確実にするために使用され得る。加えて、可視化デバイスは、冷却機能(例えば、冷却された生理食塩水による洗浄、冷却バルーン等)を提供するように構成され得る。
【0093】
アクセス経路の組み合わせの使用が、有利であり得る。例えば、所望の組織標的の両側にアクセスできることが、1つ以上の場所で向上したエネルギー密度または温度制御を可能にし得る。例えば、膀胱内および膣アクセスの組み合わせが、深部組織層へ高温を隔離するために、所望の組織標的の片側または両側に1つ以上の補助冷却デバイス(例えば、生理食塩水で膨張させられたバルーン)を配置するために使用され得る。さらに、所望の組織標的の両側からのエネルギー送達を組み合わせることは、表面領域(例えば、膀胱グリコサミノグリカン層、尿路上皮、粘膜、または膣壁)において温度または密度を最小限化しながら、(例えば、組織内深くの)重複領域中で温度またはエネルギー密度を増加させる働きをし得る。このようにして、治療は、有利には、他の組織への望ましくない外傷または損傷を最小限化しながら、組織の所望の領域または層に方向付けられ得る。
【0094】
さらに、骨盤痛を緩和するために本主題の装置および方法を使用することが意図される場合、子宮を通り、横方向に卵管を通り、腹腔口を介して退出するナビゲーションを介した穿刺または切開を伴わずに、骨盤神経または神経組織がアクセスされ得る。
【0095】
(D.追加の実施形態)
本主題の別の側面によれば、病変作成要素が、拡張メッシュケージ、ワイヤループ、膨張バルーン等の所望のパターンの作成を支援する構造に組み込まれ得る。本開示のこの部分は、本主題の原理に従って構築された追加の実施例を説明する。
【0096】
膨張したバルーン(例えば、生理食塩水または造影剤等のガスまたは液体で膨張した)が、特定の場所に統合加熱要素(例えば、マイクロ波アンテナ、RF電極、PRF電極、レーザファイバ、超音波等)を提供するために使用され得る。実施例では、バルーンは、(例えば、バルーンの軸に沿って)内部マイクロ波アンテナを中心化するため、または所望の組織標的から特定、既知、または所望の距離(例えば、ゼロ距離または接触からバルーンの全直径に及ぶ)に加熱要素を位置付けるために使用され得る。1つ以上のバルーンは、RF電極、RF針等のバルーンの外部に据え付けまたは配置された治療送達要素を有し得る。
【0097】
例えば、フォーリーまたは1つ以上の他のカテーテル等の、膀胱の中へ尿道を通過させられるように構成されるカテーテル等の細長いシャフトは、バルーンと、内部マイクロ波アンテナ、バルーンの壁に埋め込まれたRF電極、加熱または冷却されたガスまたは流体を受け取るように、または出力するように構成される入口/出口、または超音波振動子等のエネルギー送達デバイスとを含み得る。エネルギー送達要素は、バルーンと統合され得る。バルーンは、尿道挿入後に膨張させられ得、反対けん引力が、バルーンを膀胱三角部または膀胱頸部と密接に接触させるように加えられ得る。このようにして、エネルギー送達要素は、自動的かつ再現可能に、標的組織に対して正しく位置付けられるであろう。加えて、バルーンは、所望の組織の標的化を促進するよう、所望の形状(例えば、円筒形、卵形、パンケーキ形、アーチ形、三角形、錐体、周辺膀胱に一致する等)で膨張するように構成することができる。
【0098】
ここで
図20を参照すると、細長いシャフト122の遠位端に据え付けられたバルーン等の拡張可能要素121を有するデバイス120を含む、膀胱(B)の側面図が示されている。デバイス120は、例証的に、尿道(U)を通して膀胱へのアクセスを提供するように構成される。
図20は、尿管口(O)および尿管(UR)の相対位置を示す。
【0099】
拡張可能要素121は、その拡張展開状態(例えば、バルーンについては膨張位置)で示され、それが尿道を通して膀胱の中へ前進させられることを可能にする縮小直径状態(例えば、バルーンについては収縮位置)を有する。拡張可能要素121は、以下で説明されるようにエネルギー送達要素に連結される。拡張可能部材121は、収縮状態で、尿道を通して膀胱に挿入され、次いで、尿管口の間等の膀胱内の所望の位置にエネルギー送達要素を位置付けるように、(
図20に示されるような)拡張展開状態へ移行され得る。
図20では、拡張可能要素121に対するエネルギー送達要素の位置は、エネルギー送達ゾーン123を使用することによって図示される。拡張可能要素121は、例えば、エネルギー送達要素と膀胱壁との間の距離を設定するよう、三角部に対して等、膀胱内の特定の位置に押し込むことができるように構成され得る。拡張可能要素121は、膀胱の幾何学形状に一致するように構成される実質的に柔軟な要素、所望の形状を成すように、または膀胱壁の少なくとも一部分を所望の形状に一致させるように構成される実質的に剛体の要素、あるいは両方の組み合わせを含むことができる。
【0100】
拡張可能要素121が膀胱を完全には充填しない場合、膀胱頸部の中に拡張可能要素121を設置して、所望の位置に拡張可能要素121またはエネルギー送達デバイスを位置付けるために、張力が使用され得る。張力は、ユーザによって(例えば、特定されるように、例えば、デバイス120に付随する取扱説明書によって指図されるように)、またはある実施例では、補助デバイスによって加えられ得る。例えば、デバイス120は、会陰(例えば、尿道が身体から退出する場所)に支えられることによって、拡張可能デバイス121をけん引するように構成されている、摺動可能アンカーを含み得る。摺動可能アンカーは、会陰または膀胱に加えられる力の量を調整するように構成されている、較正デバイス(例えば、バネ要素等)を含み得る。
【0101】
例証的には、デバイス120は、ユーザが膀胱内の所望の位置に拡張可能要素121を位置付けることを可能にするように構成されている、ハンドル124を含む。ハンドルは、拡張可能要素121またはエネルギー送達デバイスに対して固定された位置を有し得、拡張可能要素121またはエネルギー送達デバイスの配向に関する情報をユーザに提供するように構成されるマーキングまたは特徴(例えば、矢印)等の指標125を含み得る。指標125は、触覚特徴、加速度計、音声通知、またはデバイス配向の1つ以上の他の通知を含み得る。
【0102】
図21および22は、尿道(U)を通して膀胱にアクセスするように構成されるエネルギー送達デバイス130および140をそれぞれ含む、女性の膀胱(B)の側断面図を描写する。
図21は、レーザエネルギー132を膀胱壁に伝達するように構成される光ファイバ131と、光ファイバ131に近接する、またはそれを包囲する膨張式バルーン133とを含む、レーザエネルギー送達要素を有するデバイス130を描写する。レーザエネルギー132は、膀胱壁または周辺構造の少なくとも一部分へ、またはそれを通して伝達され得る。
【0103】
図21の実施形態では、膨張式バルーン133は、エネルギー送達要素の適正な動作のために要求され得るように、膀胱壁から特定の距離にエネルギー送達要素を位置付けるように、または(例えば、標的領域から熱を除去すること等によって、レーザエネルギー132に近接して)局所冷却を提供し、膨張式バルーン133に近接する組織を保護するように構成される。例えば、膨張式バルーン133は、損傷から膀胱壁の特定の層(例えば、グリコサミノグリカン層、粘膜、尿路上皮、下部尿路上皮、粘膜下層、固有層、筋固有層等)を保護するために、またはある深度まで組織損傷を制御するようにサイズ決定され得る。レーザエネルギーの1つ以上の特性(例えば、周波数、振幅等)が、組織損傷の最大深度を制御するように変調され得る。
図21は、後膀胱壁に近接する三角部T付近に位置付けられたデバイス130を描写するが、デバイス130の遠位領域134は、エネルギー送達要素が膀胱内または外の他の場所に位置付けられ得るように、関節動作可能であり得る。
【0104】
ここで
図22を参照すると、マイクロ波エネルギー142を膀胱壁に送達するように構成されるマイクロ波アンテナ141を含む、マイクロ波エネルギー送達要素を含む、デバイス140が描写されている。デバイス140はさらに、マイクロ波アンテナ141に近接する、またはそれを包囲する、膨張式バルーン143を含む。マイクロ波エネルギー142は、膀胱壁または周辺構造の少なくとも一部分へ、またはそれを通して送達される。デバイス140は、膀胱内の他の場所に配置されるように構成され得、さらに、膨張式バルーン143は、任意の所望の位置に(例えば、特定場所に)マイクロ波アンテナ141を位置付けるように、または局所冷却を提供し、それにより、バルーン143に近接する組織を保護するように構成され得る。
【0105】
ここで
図23および24を参照すると、本主題の原理に従って構築された装置のさらなる代替実施例が説明されている。
図23は、バルーン152の外部に埋め込まれたエネルギー送達電極153(例えば、RF電極、マイクロ波アンテナ等)を伴う膨張式バルーン152を有する、細長いシャフト151を含むデバイス150の遠位端を描写する。
図24は、拡張可能ワイヤ構造163上に配置された複数のエネルギー送達要素162を有する細長いシャフト161を含む、デバイス160の遠位端を描写する。デバイス160は、拡張可能ワイヤ構造163が(例えば、尿道を通して等)膀胱に挿入された後、拡張可能ワイヤ構造163が膀胱の内部の所望の部分に対して複数のエネルギー送達要素162を押し進めるよう展開され得るように、構成される。
【0106】
膀胱に挿入されるように構成されるデバイスのさらなる代替実施例は、収縮状態で(例えば、尿道または恥骨上カテーテルを介して)膀胱に挿入され、次いで、膀胱内で2または3次元形状を形成するように膨張させられ得る、バルーンを伴う、または伴わない、連結部、たわみ可能カテーテル、メッシュケージ、形状記憶構造等の他の拡張可能構造を含み得る。そのような拡張可能構造は、所望の標的組織または領域に一致するように構成され得る。拡張構造はまた、外側膀胱壁に近接して位置付けられ、外側膀胱壁の上、またはそれに近接する所望の標的組織または領域に一致するように構成される、2または3次元形状を形成するために使用され得る。例えば、膀胱後部と実質的に平行な進路に沿って会陰に貫通させられるか、または膣を通して挿入されるデバイスは、例えば、所望のパターンを形成するために、種々の展開可能な針を含み得る。標的組織に対してエネルギー送達要素を位置付けることに加えて、拡張可能構造またはバルーンはまた、複数のエネルギー送達要素を据え付けるため、およびこれらの要素の相対位置を制御するために使用され得る。例えば、治療送達のパターンは、複数の治療送達要素の同時または順次起動のいずれかを通して作成され得る。
【0107】
上記で論議されるように、本主題の原理に従って構築されたデバイスは、有利には、所望の治療標的場所に対してエネルギー送達要素を位置付けるように、ある程度の操縦可能性を組み込み得る。操縦は、受動的(例えば、尿道の上方へ通過させるように真っ直ぐにすることができる事前湾曲デバイス)、能動的(例えば、一体引張ワイヤの緊張等に基づいて曲がるカテーテル)、別個の補助デバイス(例えば、外部送達シース)を介し、外部磁場(定位固定)、またはある合金(例えば、ニッケルチタン(Nitinol)等)の形状記憶側面を採用し得る。
【0108】
図25および26は、例証的には、尿道(U)を通して膀胱(B)に挿入されたデバイス150または160から成り得る、デバイス160を含む、女性の骨盤の側断面図を提供する。膀胱(B)、膣(V)、恥骨結合(PS)、および尿道の相対的位置も示されている。
図25および26の各々では、デバイス160は、収縮状態で尿道を通して膀胱に挿入され、次いで、膀胱の中で膨張させられるか、または別様に展開されるように構成されている、膨張式バルーン161(または拡張可能ワイヤ構造)を含む。例えば、デバイス160は、膀胱、膣、または他の場所の組織、またはそれらに近接する組織に熱または冷気のいずれかを提供するように構成され得る。膨張式バルーン161(例えば、ヒートシンク)は、膀胱の三角部(T)の少なくとも一部分等の膀胱の少なくとも一部分から熱を除去するために、またはそこに熱を提供するように構成され得る。代替として、冷却デバイス161は、膀胱壁内、またはそれに近接する組織に熱エネルギーを提供するように構成されている、電極、超音波振動子、マイクロ波アンテナ、PRFアンテナ、またはRFアンテナ等の1つ以上の他のエネルギー送達構成要素を含み得る。
【0109】
図25は、膣の少なくとも一部分から熱を除去するために、およびそこに熱を提供するように構成されるバルーン171を含む、補助冷却デバイス170を描写する。
図26は、膀胱壁内で、または膀胱壁に近接して選択的に展開され得る(ならびに
図11および12の実施形態に関して説明される針電極に構造が類似する)複数の針電極181を有する、カニューレ180を含む。針電極181は、双極または単極配列で構成され得る。針電極181はまた、膀胱壁の少なくとも一部分内に、またはそれを通して挿入されるように構成され得る。
【0110】
医師が治療中に膀胱または他の構造を直接可視化する能力が、有益であり得る。先の実施例について論議されるように、エネルギー送達要素は、剛体または可撓性のいずれかである、膀胱鏡または他の可視化要素の作業チャネル内で使用されるように構成され得る。代替として、エネルギー送達要素を支持するデバイスは、可視化要素(例えば、レンズおよび光ファイバ、CCDチップ、光源等)を組み込み得る。そのような可視化要素は、使用前に使い捨てのエネルギー送達デバイスに連結される、使い捨てまたは再利用可能要素のいずれかであり得る。そのようなデバイスはまた、基準マーキングまたは測定、補助測定ツールを含み、解剖学的目印に係合し、またはデバイスの位置付けおよび使用中に医師を支援するように触覚フィードバックを提供し得る。
【0111】
(E.補助療法)
いくつかの処置が、本主題の装置および方法によって提供されることが求められる緩和の性能を向上させる有用な補助としての機能を果たすことができる。例えば、一連の以前の成功したボツリヌス毒素療法または麻酔注射(例えば、リドカイン等)が、提案された治療への有望な「応答者」を隔離または選別するために使用され得る。例えば、患者の症状が一過性の介入で改善する場合には、その患者は、本開示で説明される装置および方法を使用する、組織の切除処置のための良好な候補であり得る。患者の症状が一過性の介入で改善しない、または悪化する場合には、その患者は、麻酔された組織を標的にする切除処置のための良好な候補ではない場合がある。
【0112】
従来のスクリーニングツールとして、リドカインおよび他の麻酔薬は、それらの効果が、ボツリヌス毒素注射について観察される6〜9ヶ月の期間の代わりに、数時間の期間後に徐々に消えるという利点を有する。局所麻酔薬の実施例は、リドカイン、プリロカイン、テトラカイン、およびベンゾカインを含む。局所麻酔薬は、液体、粘性液体、スプレー、またはゲルの形態で適用され得る。
【0113】
代替として、冷気(冷凍麻酔)の適用が、所望の領域を一時的に麻痺させるために使用され得、神経伝導または筋収縮性を過渡的に無効にし、標的組織が再び温まるまで介入後の患者の症状の評価を可能にする。冷凍麻酔の実施例は、液体窒素スプレー、アルゴン、冷媒(例えば、Freon)、または冷却された生理食塩水を含む。冷凍麻酔は、標的組織に直接適応されるか、または針、プローブ、管腔、カテーテル、バルーン、嚢等の構造の中に含まれるかのいずれかであり得る。
【0114】
薬剤の以前の成功した注射と同一の場所に永久的またはより永久的な治療を提供することに役立つために、染料または他のマーカーが注射と併せて使用され得る。例えば、染料または他のマーカーは、インジゴカルミン、メチレンブルー等の一般的に使用されている医用染料を含み得る。加えて、ボツリヌス毒素がスクリーニング試験として膀胱壁に注射されるとき等の、より永続的なマークが所望されるときに、入墨で使用されるようなより永久的な染料が使用され得る。
【0115】
上記で開示されるエネルギー送達法のさらなる補助として、またはそれらの代わりに、膀胱壁内の求心性神経組織を機械的に破壊することによって、膀胱の脱神経が達成され、またはより永久的にされ得ることが考慮される。第1に、腹腔鏡手術の変形例において、天然組織面に沿って腹壁から腹膜を解離するために膀胱の外側にある空間のバルーン解離を使用する等して、膀胱の神経がアクセスされ得る。例えば、解離バルーンが、非外傷性プローブ上に据え付けられ、膀胱の外側縁に沿って通され得る。(例えば、尿道を介して挿入される)膀胱内の補助光源が、トンネリングプロセスを補助する透照を提供することによって、この処置を促進し得る。プローブはまた、天然組織面を可視化し、それを辿ることに役立つ技術を含み得る。
【0116】
第2に、脱神経の永続性が、神経再成長を遅延または防止することによって向上させられ得る。これは、膀胱(例えば、膀胱の外側面)の神経を麻痺させるように解離され、切除され、破壊され、または別様に損傷される空間に物理的障壁を外科的に埋め込むことによって、達成され得る。そのような障壁の好適な材料は、ポリプロピレンメッシュ、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)または発泡PTFEフィルム、接着障壁、ヒアルロン酸膜(例えば、骨盤用の接着障壁として示されるGenzyme(登録商標)によるSeprafilm(登録商標))、ポリエチレングリコール(PEG)、液体ヒアルロン酸の注射または堆積物、および他のポリマーまたはヒドロゲルを含み得る。障壁はまた、滅菌のため、およびこれらの物質を非免疫原性にするための好適な処理後等に、コラーゲン、心膜、粘膜(腸)、フィブリン等の生物学的物質を含み得る。
【0117】
腐食性または細胞毒性化学物質等の化学的処理もまた、露出した神経を死滅または非活性化するために、解離または別様に損傷された領域を被覆または注射するために使用され得る。好適な化学物質は、苛性化学物質(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、苛性ペンシル等)、アルカリ、強酸(例えば、硫酸、硝酸、塩酸等)、より弱い酸または塩基の濃縮溶液(例えば、ギ酸、酢酸等)、ルイス酸(例えば、無水塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素、塩化亜鉛等)、強い酸化剤(例えば、過酸化水素)、他の腐食性化学物質、および神経毒を含み得る。
【0118】
加えて、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド/ホルマリン、アルコール、塩化第二水銀、重クロム酸カリウム、硫酸ナトリウム、濃縮糖類等の固定剤が、組織を安定させて強化するために使用され得る。カプサイシンまたはバニロイド属の他の要素が、神経に影響を及ぼすために使用され得る。加えて、固定剤(例えば、塩化亜鉛ペースト)が、脱神経中または前に使用され、局所的に(例えば、膀胱の内側から粘膜に)適用され、または膀胱壁に注射され得る。
【0119】
化学剤もまた、脱神経の永続性を延長させるか、または疼痛を遮断するかのいずれかのために、上記で説明される外科的またはエネルギー送達脱神経と併せる等して、使用され得る。化学剤の不慮の分散を防止するために、それは、ゲル、発泡体、ペースト、固体、または他の非液体形態として送達され得る。
【0120】
上記で説明される切除装置および方法のなおもさらなる補助として、またはそのようなアプローチの代替案として、三角部等の膀胱の選択された部分に位置する伸張受容器の活性化を低減させるために、その領域の弾性を低減させることによって、膀胱機能障害が治療され得ると仮定される。具体的には、膀胱三角部は、2つの尿管口および内部尿道口によって形成される内部膀胱の平滑な三角形の領域である。骨盤神経の終末枝を含む三角部は、密に神経支配され、膨張、圧力、または圧力の変化に敏感であり、膀胱が空にされる必要があることを脳に信号伝達する。膀胱の他の部分が内胚葉起源であり、三角部は、中胚葉起源の中腎管の尾方端に由来するので、膀胱の他の部分とは異なる発生起源である。女性では、中腎管が退行し、三角部をあまり目立たなくさせるが、依然として存在している。
【0121】
より具体的には、三角部の中の伸張受容器が、過活動膀胱の特質である切迫感に関与すると仮定することができる。さらに、充填中の膀胱膨張が、付属物がない膀胱円蓋に大部分は限定される一方で、三角領域の局所伸張が、3本の管腔の天然付属物、および下層の(例えば、女性では)膣または(例えば、男性では)前立腺への三角部の付属物によって制限されることが仮定される。実質的充填時に、円蓋の伸張が、比較的硬い三角部に伝達され始め、患者に膨満感を生じ、最終的に切迫感まで激しくなる。症候性過活動膀胱患者では、制御されていない排尿筋収縮が、三角領域で伸張を引き起こし、低膀胱容量でさえも切迫感を引き起こし得る。
【0122】
先述の現象に対処するために、(例えば、不随意的な排尿筋収縮による)伸張から三角領域または充填に敏感な他の領域を隔離することにより、異常な切迫感を抑制し得ることが仮定される。同様に、追加の支持を三角領域に提供することにより、充填段階中のその自然な収縮を補助し、漸進的な継続排尿を開始することができる、膀胱頸部のファンネリングを遅延させ得る。概念的に、急迫性失禁および過活動膀胱のこの理論は、部分的に膨張したバルーンの側面に描くことができる円に例えられ得る。バルーンをさらに膨張させることにより、バルーンに加えられる追加の伸張を例証する、描かれた円の直径の増加をもたらす。代わりに、特定直径の物理的リングがバルーンの側面に接着された場合、バルーンのさらなる膨張は、バルーンの円で囲んだ部分のさらなる拡張をもたらさないであろう。したがって、リング内にあり、かつリングに直接隣接するバルーンの領域は、バルーンの増加する体積または伸張から効果的に隔離される。同様に、物理的な棒が部分的に膨張したバルーンの側面に取り付けられた場合、バルーンの増加した膨張が、特に物理的な棒の軸に対して直角な方向に、バルーン材料のいくらかの増加した伸張をもたらすであろう。しかしながら、バルーンの伸張は、特に物理的な棒の軸と平行な方向に、物理的な棒に直接隣接する領域中で制限されるであろう。
【0123】
同様に、本発明者らは、膀胱壁内にデバイスを埋め込むことが、インプラント自体によって、またはインプラントを封入する瘢痕組織の蓄積(例えば、治癒反応等)によってのいずれかで、組織を硬化するであろうと仮定している。したがって、膀胱機能障害は、隣接または限局領域中の伸張を低減させる、組織の機械的性質(例えば、剛性または強度)を修正することによって、治療可能であり得る。
【0124】
本主題のこの側面によれば、縫合糸等のインプラントが、膀胱の充填に起因する伸張から三角領域を隔離するために使用され得る。縫合糸は、縫合糸に膀胱膨張による負荷の少なくとも一部分または全体を負わせることによって、三角部の伸張を制限するように三角領域を取り巻く、連続「巾着」縫合を含み得る。そのような「巾着」縫合は、膀胱充填中に三角部の伸張を低減させるために、連続的である必要はなく、完全な円を形成する必要さえない。例えば、数本の線形縫合線が、三角部を実質的に包囲することができる一方で、不慮の損傷を防止するために、ある場所に(例えば、尿管、尿道等の回避されるべき繊細な構造付近の領域中に)間隙を残すことができる。場合によっては、正常な泌尿器機能のために三角部のいくらかの伸張を可能にするために、少なくとも1つの間隙または空間を残すことが望ましくあり得る。
【0125】
さらなる実施形態として、三角部自体を補強することが可能である。例えば、尿道の軸と平行または直角のいずれかまたは両方である、三角部を横断して配置された1本以上の縫合線が、それを硬化する働きをし得る。軸外(例えば、尿道と平行でも垂直でもない)配向または配向の組み合わせ(例えば、「X」形状)もまた、他の利点を提供し得る。要素の織り方または組み合わせを含む、他のパターンも有用であり得る。
【0126】
加えて、他の支持構造が、三角部を支持または隔離するため、あるいは膀胱の外部から三角部を補強するために使用され得る。例えば、ポリプロピレンまたは他の人工メッシュあるいはパッチが、弱化した組織のための機械的な支えとして、または定位置でメッシュを係止して治癒した構造の強度を増大させる、新しい組織の内方成長を引き起こす足場としての機能を果たし得る。補綴メッシュまたはパッチが、排尿筋内、または潜在的な膀胱膣空間内の膀胱のすぐ外部のいずれかで、三角部の場所に埋め込まれ得る。さらに、そのような支持構造は、膀胱壁の内部に添着され得、そこで、伸張を防止することに加えて、圧力感覚神経の活性化を防止する。可撓性、実質的に剛体、または剛体の構造(例えば、剛体棒等)、あるいはそれらの組み合わせが、排尿筋を補強するように排尿筋または膀胱膣の場所に埋め込まれ得る。上記で説明される縫合線と同様に、そのような棒は、種々の組み合わせまたは順列で、三角部を取り巻くか、またはそれを横断するかのいずれかであり得る。織物ポリエステルメッシュもまた、三角部を硬化するために使用され得る。
【0127】
さらなる実施形態として、注射剤が、所望の組織面内に挿入され得る。この注射剤は、安定した要素を生じるように、原位置で「硬化」または固化するように構成することができる。硬化の実施例は、化学反応(例えば、RTVシリコーン、エポキシ等)、光活性化(例えば、一般的に青色光または紫外線等)、熱硬化等を含む。化学剤に対する身体反応を介する等、他の機構を介した線維化または組織硬化を引き起こす化学剤もまた、膀胱壁または隣接組織の標的領域に注射され、または別様に適用され得る。そのような薬剤は、テトラデシル硫酸ナトリウム、ポリドカノール等の血管を瘢痕化するために使用される硬化療法剤を含み得る。硬化剤は、液体、発泡体、ゲル、またはペースト形態で適用され得る。他の好適な薬剤は、コラーゲン内方成長を促すために靱帯および腱のプロロセラピーまたはゲルまたはグラフト基質製剤中の多血小板血漿(PRP)で使用されるものに類似する、デキストロース溶液を含む。
【0128】
先の段落で説明される支持構造は、緩和を提供するために組み合わせて使用され得る。例えば、注射剤が、組織内方成長および定着のためのメッシュまたは他の支持構造と組み合わせられ得る。複合支持構造は、離散した棒のメッシュ被覆から帆で使用されるバテンに類似する構造に及び得、支持構造は、大部分が、散在した比較的小さい補強材(例えば、剛体棒等)を有する膜(例えば、メッシュ等)である。例えば、2本以上の実質的に平行な棒が、メッシュパネルを横断して、またはメッシュパネルの境界から配列され得る。
【0129】
上記で説明される支持構造は、大文字のギリシャ文字オメガ(Ω)のような、弓形セグメント、半円、または間隙を伴うリングを含む、完全または部分リングとして構成され得る。そのような完全または部分リングは、剛性および挿入の容易性を提供するメッシュの境界を形成するためにリングを使用する等して、メッシュパネルと嵌合され得る一方で、メッシュは、急性的に、および組織内方成長後の両方で、定位置でリングを保持する働きをする。
【0130】
膣前壁からの外科的アクセスは、典型的には、緊張性尿失禁に対する経膣テープ処置中に行われるような、尿道および膀胱頸部への直接アクセスを提供される。実施例では、後外側により深い解離が、三角部の両側へのアクセスを提供する。したがって、この露出を使用して、三角部全体を実質的に取り巻く部分リング(例えば、馬蹄、大文字のギリシャ文字オメガ等)が埋め込まれ得る。この部分リングは、浸食を防止するか、または組織内方成長のための基質を提供する働きをする、ポリプロピレンメッシュスリーブによって覆われ得る。
【0131】
好適な支持構造はまた、内向きに方向付けられたバイアスを有し得る(例えば、壁応力をさらに低減させるように内向きに三角部を挟持する等)。例えば、その円周内で組織を圧迫する、標準より小さいリングが埋め込まれ得る。そのようなリングは、最初に配置され、次いで、より小さい開口部に収縮させられ得る。この収縮は、術中に行うことができるが、それはまた、最初の埋込後に(例えば、リングが周辺組織に付着した後に)いくらか遅延して行うこともできる。加えて、埋込後のいくらかの期間(例えば、1〜4週間)後に、再吸収性材料(例えば、再吸収性縫合糸)が分解し、リングを解放してそのより小さい形状に崩壊させることができるように、再吸収性材料によって、リングをその拡張状態で保持することができる。
【0132】
異物が膀胱内の尿環境に暴露されたときに観察される、堆積物および結石に関する問題により、膀胱の外に異物を出しておくことが有利である。しかしながら、そのような問題を回避するために、異物が正常粘膜によって覆われるべきことのみを必要とし、したがって、膀胱壁内または外に残留し得る。さらに、前述の治療の全ては、膀胱に適用されたとき、正常粘膜または合併症を伴わずに治癒することができる粘膜のいずれかをもたらすべきである。
【0133】
上記の論議が、三角部の伸張の低減に向けられている一方で、本明細書で説明される装置および方法は、三角領域での使用に限定されず、基底部、膀胱尖、膀胱体、頸部、円蓋、排尿筋等を含む、膀胱の他の領域で有益に使用され得ることを理解されたい。
【0134】
上記で説明されるような膀胱壁内の外科的障壁または拘束の埋込に加えて、膀胱壁内に含まれたコラーゲンの熱変性を誘発し、それにより、膀胱の物理的および機械的性質の両方を修正することが可能であり得ると考えられる。具体的には、65〜70℃の範囲内の温度まで加熱されたとき、組織内のコラーゲン原線維は、それらの化学結合を破壊し、天然高秩序状態から、コラーゲン含有組織を最大50%収縮させる、よりランダムな配向へ移行し始める。組織が被る収縮の量は、印加される熱および組織内のコラーゲンの元の配向のパラメータに依存する。この効果は、整形外科用途(例えば、肩の不安定性)、エステティック(皮膚の引き締め、フェイスリフト等)、および泌尿器科(例えば、緊張性失禁)で治療的に使用される。短期間では、熱変性が組織の機械的性質(例えば、強度)を劣化させることが観察されているが、数週間にわたる身体の治癒反応は、最終的により強いより固い構造をもたらし、弾性組織を、より短い、より固い、より厚い非弾性線維性組織と置換する。
【0135】
したがって、本開示の他の場所で説明されるエネルギー送達装置および方法の補助として、またはその代わりに、本主題のさらに別の側面によれば、熱変性が、伸張から三角領域を隔離するために、選択された組織を局所的に収縮させるように使用され得る。例えば、三角部の周囲の円形ゾーンが変性させられ得、それにより、限局領域内の伸張を低減または制限する収縮リングを提供する。
【0136】
熱変性のある用途、特に、罹患組織が大きな生理的負荷を被る用途では、身体の治癒反応が組織を強化する前の間隔での組織の機械的性質の初期劣化が、関心事であり、治癒前に外部支持(例えば、添え木等)を必要とし得る。膀胱の生理的負荷は、比較的小さく、治療直後の期間でさえも組織の限界を超えない場合があるが、完全に膨張した膀胱の伸張は、有意であり得る。したがって、膀胱の熱変性に続いて、治療直後の期間内の単純な時限排尿(例えば、1時間ごと等)が、有意な伸張を回避するのに十分であり得る。加えて、一時的カテーテル(例えば、フォーリー、恥骨上等)の使用が、完全に収縮した伸張していない膀胱において治癒を可能にするよう、短期間にわたって使用され得る。
【0137】
コラーゲン変性が、(例えば、拘束されていないときに短縮するコラーゲン線維の自然な傾向により)組織を収縮させるために使用され得る一方で、コラーゲンはまた、所望の形状で、または負荷を与えることによって組織も保持しながら、組織を変性点まで加熱することによって成形することもできる。したがって、代替実施形態では、膀胱容量は、熱を膀胱壁に印加し、所望の容量または圧力まで膀胱を膨張させることによって、増加させられ得る。この場合、膀胱は、加熱された液体、ゲル、または加圧ガスで、または加熱デバイスとともに膨張したバルーンを使用することによって、膨張させられ得る。場合によっては、熱および膨張の組み合わせが、疼痛または切迫感を低減させるよう、膀胱壁内の求心性神経組織を切除するために採用され得る。
【0138】
膀胱の膀胱内容量を拡張することは、いくつかの機能を果たし得る。第1に、いくつかの症状、特に、間質性膀胱炎(IC)が、主に収縮膀胱容量と関連付けられる。さらに、増加した膀胱容量は、過活動膀胱の顕著な症状のうちの1つである、頻度を減少させ得る。最後に、膀胱容量を増加させることは、所与の容量における壁応力を減少させる働きをし、求心性神経連絡を低減させて、過活動膀胱を潜在的に減少させるはずである。上記で説明されるコラーゲン再構築技法を使用して膀胱の容量を拡張することは、有意な合併症および罹患率を伴う極めて侵襲的な処置である、膀胱容量を増加させるために使用される以前から知られている外科的技法(例えば、排尿筋腫摘出術、腸膀胱形成術等)と比較したときに、有利であり得る。
【0139】
(F.慢性泌尿生殖器骨盤痛症候群の治療)
骨盤痛障害は、炎症性および免疫学的構成要素を有する、筋肉伸長および弛緩の機能的異常を伴う。骨盤痛障害は、病態生理学がよく理解されていないので、治療することが困難である。この疾病の治療のために利用可能である、普遍的に有効な治療は1つもない。骨盤痛求心性神経の集中による、結腸、骨盤、および下部尿路の間の双方向神経クロストークおよび交差感作は、慢性疼痛症候群の重複をもたらす。これらの交差器官反射は、生殖、腸、および膀胱機能を統合するのに役立つ。しかしながら、別の内臓での刺激による1つの内臓の求心性経路の感作が、骨盤痛症候群においても役割を果たし得る。
【0140】
慢性的な女性の骨盤痛症候群は、生殖器官に影響を及ぼす症状に関係する疼痛(例えば、子宮内膜症、骨盤内炎症性疾患、外陰部痛、膣痙、性交疼痛等)、肛門挙筋痛、または過敏性腸症候群を含む。以前から知られている治療は、典型的には、抗うつ剤、抗不安薬、ガバペンチン、局所麻酔注射、ステロイド、骨盤底運動、食事の変更、または軟組織授動を含む。
【0141】
慢性的な男性の骨盤痛症候群は、会陰、下腹部、睾丸、陰茎、陰嚢、または睾丸痛を含み、前立腺炎の最も一般的な形態である。疼痛に加えて、泌尿器症状および射精時の疼痛が、前立腺炎に付随し得る。以前から知られている治療は、典型的には、種々の抗炎症薬療法、麻酔薬、鎮痛剤、または筋弛緩剤を用いた対症療法、ならびに感染症(例えば、抗生物質)または閉塞(例えば、アルファアドレナリン遮断)等の推定病因を治療することを目的としている治療を含む。また、ボツリヌス毒素が、これらの患者の一部で排尿機能障害および疼痛を改善し得る。
【0142】
膀胱痛症候群または間質性膀胱炎は、他の病状がない場合に慢性下部尿路刺激症状(例えば、尿意逼迫または頻尿)および骨盤痛を伴う。膀胱痛症候群は、男性および女性の両方に影響を及ぼし、しばしば、突然の再発中に極度である、膀胱充填時の増加した疼痛としばしば関連付けられる。侵害受容求心性経路の増進した活性化による神経形成は、長期の疼痛反応および以前に関与しなかったニューロンへの疼痛の拡散をもたらし得る。
【0143】
膀胱痛症候群に対する以前から知られている薬物療法は、概して、ヒアルロン酸、ヘパリン、またはバリノイド(例えば、レシニフェラトキシン)による膀胱洗浄、抗ヒスタミン剤を使用した肥満細胞ヒスタミン放出の抑制、またはアミトリプチリン、デュロキセチン、ガバペンチン、あるいはトピラマート等の経口薬を用いた感覚神経活性の変調を含む、種々の潜在的な病因を狙う。膀胱壁への注射または膀胱への点滴によって送達されるボツリヌス毒素が、症状を過渡的に改善することが観察されているが、典型的には、有効性が弱くなるとともに、最大効果の前に7〜30日の遅延がある。種々の機構を標的にするこれらの治療にもかかわらず、多数の膀胱痛症候群の患者が、依然として疼痛に耐えるのに役立つために麻酔の使用を必要とする。
【0144】
慢性泌尿生殖器骨盤痛症候群に罹患している患者を治療するために使用される、多くの治療にもかかわらず、これらの治療は、しばしば、最適に効果的ではなく、副作用またはリスクがあり、またはそれらの使用を支持する良好な予測データが欠けている。本発明者らは、本開示で説明される装置および方法が、全身性副作用があり得る薬剤を必要とすることなく、かつ侵襲性注射または外科的処置を行う必要なく、ある慢性泌尿生殖器骨盤痛の患者において不快感を低減させ、機能を改善するために有利に使用され得ると考える。より具体的には、本発明者らは、膀胱機能障害を治療するための上記で説明される実施例のうちの特定のものが、(1)慢性的な女性の骨盤痛症候群、(2)慢性的な男性の骨盤痛症候群、および(3)膀胱痛症候群といった、慢性泌尿生殖器骨盤痛症候群の3つの一般カテゴリの治療で有益に使用され得ると仮定する。上記で説明されるエネルギー送達装置および方法は、神経組織を切除し、筋肉量、筋収縮性を低減させ、筋肉を麻痺させ、または筋肉に衝撃を与えるために使用され得、それにより、上記の骨盤痛および膀胱痛症候群からの緩和を得ると考えられる。
【0145】
本主題のこの側面によれば、本開示の他の場所で説明されるエネルギー送達装置および方法は、下部尿路、下部尿路上皮、粘膜下層、固有層、外膜、膀胱周囲脂肪、外陰部、膣、子宮頸部、子宮、卵管、泌尿生殖器系、骨盤底、直腸、結腸、または骨盤の求心性受容器(例えば、張力受容器、侵害受容器等)、軸索、ニューロン、神経組織、神経線維(例えば、無髄C線維または有髄A−デルタ線維)、神経、神経枝、神経信号、神経節、神経節細胞、筋線維芽細胞、または経路の伝導を妨害し、低減させ、干渉し、または変調するために使用され得る。本主題のエネルギー送達装置および方法はまた、下部尿路、下部尿路上皮、粘膜下層、固有層、外陰部、膣、子宮頸部、子宮、卵管、泌尿生殖器系、骨盤底、直腸、結腸、または骨盤の遠心性受容器、軸索、ニューロン、神経線維、神経、神経枝、神経信号、神経節、神経節細胞、筋線維芽細胞、または経路の伝導を妨害し、低減させ、干渉し、または変調するために使用され得る。
【0146】
治療のために標的にすることができる、求心性または遠心性末梢神経は、仙骨副交感神経(例えば、骨盤神経)、胸腰椎交感神経(例えば、下腹神経および交感神経鎖)、および仙骨体性神経(例えば、陰部神経)を含み得る。標的神経はまた、膀胱神経叢、(男性では)前立腺神経叢、下下腹神経叢、(女性では)子宮膣神経叢、および骨盤内臓神経を含み得る。本主題の装置および方法は、器官の間の神経クロストークを低減させるため、または1つの介入で、例えば、膀胱、尿道、膣、子宮頸部、子宮、卵管、直腸、結腸、または本開示の他の場所で説明される他のアクセス経路のうちのいずれか等の天然開口を通して挿入される治療エネルギー送達要素を用いて、複数の発生源からの疼痛を治療するために使用され得る。
【0147】
(追加の注釈及び実施例)
実施例1は、遠位領域を有する細長いシャフトと、膀胱内の所望の位置に位置付けられるようにサイズ決定および成形され、膀胱壁内にある、またはそれに近接する非表面標的組織にエネルギーを送達し、非表面標的組織の表面にある膀胱壁の粘膜面を実質的に無傷に保ちながら膀胱機能を変調するように構成されている、エネルギー送達要素とを含むか、または使用することができるような、装置等の主題(行為を行うための装置、方法、手段、またはデバイスによって実施されたときに、デバイスに行為を行わせることができる命令を含む、デバイス可読媒体等)を含むか、または使用することができ、細長いシャフトの遠位領域は、膀胱内の所望の位置にエネルギー送達要素を位置付けるように構成される。
【0148】
実施例2は、切迫感、圧覚、失禁、頻尿、夜間頻尿、膀胱容量、または疼痛のうちの少なくとも1つを含む、膀胱機能を含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、請求項1に記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0149】
実施例3は、膀胱の三角領域を含む、膀胱内の所望の位置を含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1または2の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0150】
実施例4は、尿管口の間または下を含む、膀胱内の所望の位置を含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1〜3の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0151】
実施例5は、エネルギーを膀胱の粘膜面から実質的に均一な距離における非表面標的組織に送達し、膀胱機能を変調するように構成されるエネルギー送達要素を含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1〜4の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0152】
実施例6は、非表面標的組織の表面にある膀胱壁の粘膜面を含む、非標的組織から熱を除去するように構成される細長いシャフトを含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1〜5の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0153】
実施例7は、液体を受け取るように、および液体を使用して非標的組織から熱を除去するように構成される細長いシャフトを含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1〜6の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0154】
実施例8は、膀胱の少なくとも一部分への、またはそこからの神経連絡を変調するように構成されるエネルギー送達要素を含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1〜7の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0155】
実施例9は、膀胱壁内にある、またはそれに近接する骨盤神経を含む非表面標的組織を含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1〜8の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0156】
実施例10は、後膀胱壁と膣前壁との間の空間、または前膀胱壁と横筋筋膜との間の空間のうちの少なくとも1つを含む、女性患者における膀胱壁の近接を含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1〜9の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0157】
実施例11は、後膀胱壁と直腸前壁との間の空間、膀胱壁の基部と直腸前立腺筋膜との間の空間、または前膀胱壁と横筋筋膜との間の空間のうちの少なくとも1つを含む、男性患者における膀胱壁の近接を含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1〜10の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0158】
実施例12は、膀胱壁内にある、またはそれに近接する非表面標的組織に熱エネルギーを送達し、膀胱機能を変調するように構成されている熱エネルギー送達要素を含む、エネルギー送達要素を含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1〜11の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0159】
実施例13は、膀胱壁内にある、またはそれに近接する非表面標的組織を切除する熱エネルギーを送達し、膀胱の少なくとも一部分への、またはそこからの神経連絡を変調するように構成される熱エネルギー送達要素を含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1〜12の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0160】
実施例14は、高周波(RF)エネルギー源を含む、エネルギー送達要素を含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1〜13の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0161】
実施例15は、マイクロ波エネルギー源、レーザエネルギー源、冷凍エネルギー源、超音波エネルギー源、または単極あるいは双極電気焼灼器エネルギー源のうちの少なくとも1つを含む、エネルギー送達要素を含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1〜14の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0162】
実施例16は、細長いシャフトの遠位領域に連結されているヒートシンクであって、非標的組織を保護するように構成されているヒートシンクを含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1〜15の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0163】
実施例17は、膀胱内の所望の位置にエネルギー送達要素を位置付けるように構成される拡張可能部材を含む、細長いシャフトの遠位領域を含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1〜16の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0164】
実施例18は、膀胱内のエネルギー送達デバイスの配向を示す情報を提供するように構成される指標を含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1〜17の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0165】
実施例19は、非標的組織から熱を除去するように構成されているバルーンを含む、拡張可能部材を含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1〜18の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0166】
実施例20は、細長いシャフトの遠位領域における第1の表面であって、粘膜面を受け取るように構成されている第1の表面を含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1〜19の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができ、エネルギー送達要素は、治療を非表面標的組織に提供するよう、装置の第1の表面から実質的に均一な距離で非表面標的組織の中に配置されるように構成されている、縦方向部分を含む。
【0167】
実施例21は、第1の表面に沿って装置の第1の表面から実質的に均一な距離で、治療を非表面標的組織に提供するように構成されている、エネルギー送達要素を含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1〜20の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0168】
実施例22は、粘膜面を把持し、粘膜面を装置の第1の表面の少なくとも一部分に一致させるように構成されている、装置の第1の表面を含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1〜21の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0169】
実施例23は、吸引を粘膜面に印加することにより、粘膜面を把持し、装置の第1の表面の少なくとも一部分に一致させるように構成されている吸引ポートを含む、装置の第1の表面を含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1〜22の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0170】
実施例24は、装置の第1の表面から実質的に均一な距離で非表面標的組織の中に配置され、エネルギーを非表面標的組織に送達するように構成されている、第1の針電極を含む、エネルギー送達要素を含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1〜13の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0171】
実施例25は、非表面標的組織の表面にある膀胱壁の粘膜面を実質的に無傷に保ちながら膀胱機能を変調するために、膀胱壁内にある、またはそれに近接する非表面標的組織にエネルギーを送達することを含むか、または使用することができるような、方法等の主題(行為を行うための装置、方法、手段、またはデバイスによって実施されたときに、デバイスに行為を行わせることができる命令を含む、デバイス可読媒体等)を含むか、または使用することができる。
【0172】
実施例26は、切迫感、圧覚、失禁、頻尿、夜間頻尿、膀胱容量、または疼痛のうちの少なくとも1つを変調するようにエネルギーを送達することを含む、膀胱機能を変調するようにエネルギーを送達することを含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1〜25の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0173】
実施例27は、膀胱の三角領域内の非表面標的組織にエネルギーを送達することを含む、膀胱壁内にある、またはそれに近接する非表面標的組織にエネルギーを送達することを含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1〜26の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0174】
実施例28は、尿管口の間または下の膀胱壁内の非表面標的組織にエネルギーを送達することを含む、膀胱壁内にある、またはそれに近接する非表面標的組織にエネルギーを送達することを含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1〜27の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0175】
実施例29は、膀胱機能を変調するために、エネルギーを膀胱の粘膜面から実質的に均一な距離における非表面標的組織に送達することを含む、膀胱機能を変調するようにエネルギーを非表面標的組織に送達することを含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1〜28の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0176】
実施例30は、非表面標的組織の表面にある膀胱壁の粘膜面を含む、非標的組織から熱を除去することを含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1〜29の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0177】
実施例31は、非標的組織から熱を除去するために、細長いシャフトにおいて液体を受け取ることを含む、熱を除去することを含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1〜30の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0178】
実施例32は、膀胱の少なくとも一部分への、またはそこからの神経連絡を変調するようにエネルギーを送達することを含む、膀胱機能を変調するようにエネルギーを送達することを含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1〜20の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0179】
実施例33は、膀胱壁内にある、またはそれに近接する骨盤神経にエネルギーを送達することを含む、エネルギーを非表面標的組織に送達することを含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1〜32の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0180】
実施例34は、膀胱組織、後膀胱壁と膣前壁との間の空間、または前膀胱壁と横筋筋膜との間の空間のうちの少なくとも1つを含む、女性患者において膀胱壁内にある、またはそれに近接する非表面標的組織にエネルギーを送達することを含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1〜33の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0181】
実施例35は、膀胱組織、後膀胱壁と直腸前壁との間の空間、膀胱壁の基部と直腸前立腺筋膜との間の空間、または前膀胱壁と横筋筋膜との間の空間のうちの少なくとも1つを含む、男性患者において膀胱壁内にある、またはそれに近接する非表面標的組織にエネルギーを送達することを含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1〜34の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0182】
実施例36は、膀胱機能を変調するために、膀胱壁内にある、またはそれに近接する非表面標的組織に熱エネルギーを送達することを含む、エネルギーを送達することを含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1〜35の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0183】
実施例37は、膀胱の少なくとも一部分への、またはそこからの神経連絡を変調するために、膀胱壁内にある、またはそれに近接する非表面標的組織を切除する熱エネルギーを送達することを含む、エネルギーを送達することを含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1〜36の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0184】
実施例38は、高周波(RF)エネルギー源を使用することを含む、エネルギーを送達することを含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1〜37の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0185】
実施例39は、マイクロ波エネルギー源、レーザエネルギー源、冷凍エネルギー源、超音波エネルギー源、または単極あるいは双極電気焼灼器エネルギー源のうちの少なくとも1つを使用することを含む、エネルギーを送達することを含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1〜38の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0186】
実施例40は、ヒートシンクを使用して非標的組織を保護することを含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1〜20の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができ、保護することは、非表面標的組織の表面にある膀胱壁の粘膜面を実質的に無傷に保つことを含む。
【0187】
実施例41は、拡張可能部材を使用して、膀胱内の所望の位置にエネルギー送達要素を位置付けることを含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1〜40の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0188】
実施例42は、非標的組織から熱を除去するように構成されているバルーンを含む、拡張可能部材を含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1〜41の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0189】
実施例43は、装置の第1の表面において粘膜面を受け取ることと、治療を非表面標的組織に提供するために、装置の第1の表面から実質的に均一な距離で非表面標的組織の中にエネルギー送達要素の縦方向部分を位置付けることとを含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1〜42の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0190】
実施例44は、第1の表面に沿って装置の第1の表面から実質的に均一な距離で、治療を非表面標的組織に提供するために、エネルギーを送達することを含む、エネルギーを送達することを含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1〜43の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0191】
実施例45は、粘膜面の一部分を把持することと、粘膜面を装置の第1の表面の少なくとも一部分に一致させることとを含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1〜44の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0192】
実施例46は、吸引を粘膜面に印加することにより、粘膜面を把持し、装置の第1の表面の少なくとも一部分に一致させるように構成されている吸引ポートを使用することを含む、把持し、一致させることを含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1〜45の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0193】
実施例47は、装置の第1の表面から実質的に均一な距離で非表面標的組織の中に第1の針電極を位置付けることと、第1の針電極を使用して、エネルギーを非表面標的組織に送達することとを含む、エネルギーを非表面標的組織に送達することを含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1〜46の1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0194】
実施例1Aは、尿道を通して膀胱に挿入されるようにサイズ決定および成形されるデバイスであって、遠位領域を有する細長いシャフトと、細長いシャフトの遠位領域における第1の表面であって、標的体積の表面にある膀胱壁の粘膜面を受け取るように構成されている第1の表面と、治療を標的体積に提供するために、デバイスの第1の表面から実質的に均一な距離で標的体積の中に配置されるように構成される縦方向部分を含む、治療送達要素とを含む、デバイスを備える、膀胱機能を変調するように構成される装置を含むか、または使用することができるような、装置等の主題(行為を行うための装置、方法、手段、またはデバイスによって実施されたときに、デバイスに行為を行わせることができる命令を含む、デバイス可読媒体等)を含むか、または使用することができる。
【0195】
実施例2Aは、第1の表面に沿ってデバイスの第1の表面から実質的に均一な距離で、治療を標的体積に提供するように構成されている、治療送達要素を含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1Aに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0196】
実施例3Aは、標的体積の表面にある膀胱壁の粘膜面を実質的に無傷に保ちながら、治療を標的体積に提供するように構成されている、治療送達要素を含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1A〜2Aの1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0197】
実施例4Aは、治療をデバイスの第1の表面から少なくとも2mmの標的体積に提供するように構成されている、治療送達要素を含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1A〜3Aの1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0198】
実施例5Aは、粘膜面を把持し、粘膜面を第1の表面の少なくとも一部分に一致させるように構成されている、デバイスの第1の表面を含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1A〜4Aの1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0199】
実施例6Aは、吸引を粘膜面に印加し、粘膜面を把持してデバイスの第1の表面の少なくとも一部分に一致させるように構成されている吸引ポートを含む、デバイスの第1の表面を含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1A〜5Aの1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0200】
実施例7Aは、吸引を吸引ポートに提供するように構成される吸引源を含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1A〜6Aの1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0201】
実施例8Aは、吸引を粘膜面に印加し、粘膜面を把持してデバイスの第1の表面の少なくとも一部分に一致させるように構成される複数の吸引ポートを含む、デバイスの第1の表面を含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1A〜7Aの1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0202】
実施例9Aは、外力であって、粘膜面をデバイスの第1の表面の少なくとも一部分に一致させるように構成されている、外力を受け取るように構成されている、デバイスの第1の表面を含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1A〜8Aの1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0203】
実施例10Aは、第1の面を画定するデバイスの第1の表面を含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1A〜9Aの1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0204】
実施例11Aは、第1の管腔の少なくとも一部分および第1の開口部が第2の表面を画定する、第1の細長いシャフトの遠位端における第1の管腔と第1の開口部とを含む、細長いシャフトの遠位領域を含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1A〜10Aの1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができ、デバイスは、第1の縦方向部分より遠位の第2の部分であって、デバイスの第1の表面を含む、第2の部分を含み、デバイスの第1の表面は、第2の表面から実質的に均一な距離にある。
【0205】
実施例12Aは、第1の管腔の中で移動可能であり、第1の開口部から外へ拡張可能である第1の針電極であって、デバイスの第1の表面から実質的に均一な距離で標的体積の中に配置されるように、およびエネルギーを標的体積に送達するように構成されている、第1の針電極を含む、治療送達要素を含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1A〜11Aの1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0206】
実施例13Aは、第1の管腔の遠位端にある第1の開口部を含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1A〜12Aの1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0207】
実施例14Aは、第1の開口部から出て標的体積の中へ拡張可能である第1の針電極を含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1A〜13Aの1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0208】
実施例15Aは、第1および第2の管腔の少なくとも一部分ならびに第1および第2の開口部が第2の表面を画定する、第1の縦方向部分の遠位端における第1および第2の管腔と第1および第2の開口部とを含む、細長いシャフトの遠位領域を含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1A〜14Aの1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができ、デバイスは、第1の縦方向部分より遠位の第2の部分であって、デバイスの第1の表面を含む、第2の部分を含み、デバイスの第1の表面は、第2の表面から実質的に均一な距離にある。
【0209】
実施例16Aは、第1の管腔の中で移動可能であり、第1の開口部から外へ拡張可能である第1の針電極と、第2の管腔の中で移動可能であり、第2の開口部から外へ拡張可能である第2の針電極とを含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1A〜15Aの1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができ、第1および第2の針電極は、デバイスの第1の表面から実質的に均一な距離で標的体積の中に配置されるように、および双極高周波(RF)エネルギーを標的体積に送達するように構成される。
【0210】
実施例17Aは、第1の表面に沿ってデバイスの第1の表面から実質的に均一な距離で、熱エネルギーを標的体積に提供するように構成されている、治療送達要素を含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1A〜16Aの1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0211】
実施例18Aは、切迫感、圧覚、失禁、頻尿、夜間頻尿、膀胱容量、または疼痛のうちの少なくとも1つを変調するように構成される治療送達要素を含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1A〜17Aの1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0212】
実施例19Aは、膀胱の少なくとも一部分への、またはそこからの神経連絡を変調するように構成される治療送達要素を含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1A〜18Aの1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0213】
実施例20Aは、標的体積の少なくとも一部分を切除するエネルギーを提供するように構成される治療送達要素を含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1A〜19Aの1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0214】
実施例21Aは、膀胱内の所望の位置に位置付けられるようにサイズ決定および成形されるデバイスを含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1A〜20Aの1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0215】
実施例22Aは、膀胱の三角領域の少なくとも一部分を含む、膀胱内の所望の位置を含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1A〜21Aの1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0216】
実施例23Aは、尿管口の間または下を含む、膀胱内の所望の位置を含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1A〜22Aの1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0217】
実施例24Aは、吸引を吸引ポートに提供するように構成される吸引管腔を含む、第1の表面を含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1A〜23Aの1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0218】
実施例25Aは、デバイスの遠位領域の第1の表面において、膀胱壁内の標的体積の表面にある膀胱の粘膜面を受け取ることと、デバイスの第1の表面から実質的に均一な距離で標的体積に治療送達要素の縦方向部分を挿入することと、治療送達要素を使用して治療を標的体積に提供することとを含むか、または使用することができるような、方法等の主題(行為を行うための装置、方法、手段、またはデバイスによって実施されたときに、デバイスに行為を行わせることができる命令を含む、デバイス可読媒体等)を含むか、または使用することができる。
【0219】
実施例26Aは、デバイスの第1の表面から、および第1の表面に沿って実質的に均一な距離で、治療を標的体積に提供することを含む、治療を標的体積に提供することを含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1A〜25Aの1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0220】
実施例27Aは、標的体積の表面にある膀胱壁の粘膜面を実質的に無傷に保ちながら、治療を標的体積に提供することを含む、治療を標的体積に提供することを含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1A〜26Aの1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0221】
実施例28Aは、デバイスの第1の表面から少なくとも2mmを含む、デバイスの第1の表面から実質的に均一な距離で標的体積に治療送達要素を挿入することを含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1A〜27Aの1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0222】
実施例29Aは、粘膜面の一部分を把持することと、粘膜面をデバイスの第1の表面の少なくとも一部分に一致させることとを含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1A〜28Aの1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0223】
実施例30Aは、デバイスの第1の表面の上にある、またはそれに近接する吸引ポートを使用することを含む、粘膜面の一部分を把持することを含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1A〜29Aの1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0224】
実施例31Aは、第1の面を画定するデバイスの第1の表面を含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1A〜30Aの1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0225】
実施例32Aは、デバイスの第1の表面から実質的に均一な距離で標的体積に第1の針を挿入することを含む、治療送達要素の縦方向部分を挿入することを含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1A〜31Aの1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0226】
実施例33Aは、デバイスの第1の表面から実質的に均一な距離で標的体積に第1および第2の針を挿入することを含む、治療送達要素の縦方向部分を挿入することを含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1A〜32Aの1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができ、治療送達要素を使用して治療を標的体積に提供することは、双極高周波(RF)エネルギーを標的体積に送達することを含む。
【0227】
実施例34Aは、第1の表面に沿ってデバイスの第1の表面から実質的に均一な距離で、熱エネルギーを標的体積に提供することを含む、治療を標的体積に提供することを含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1A〜33Aの1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0228】
実施例35Aは、切迫感、圧覚、失禁、頻尿、夜間頻尿、膀胱容量、または疼痛のうちの少なくとも1つを変調することを含む、治療を標的体積に提供することを含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1A〜34Aの1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0229】
実施例36Aは、膀胱の少なくとも一部分への、またはそこからの神経連絡を変調することを含む、治療を標的体積に提供することを含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1A〜35Aの1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0230】
実施例37Aは、標的体積の少なくとも一部分を切除することを含む、治療を標的体積に提供することを含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1A〜23Aの1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0231】
実施例38Aは、尿道を通して膀胱にデバイスを挿入することと、膀胱内の所望の位置にデバイスを位置付けることとを含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1A〜37Aの1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0232】
実施例39Aは、膀胱の三角領域の少なくとも一部分に近接してデバイスを位置付けることを含む、膀胱内の所望の位置にデバイスを位置付けることを含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1A〜38Aの1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0233】
実施例40Aは、尿管口の間または下にデバイスを位置付けることを含む、膀胱内の所望の位置にデバイスを位置付けることを含むか、または使用することができ、あるいは随意にそれを含むか、または使用するために、実施例1A〜39Aの1つまたは任意の組み合わせに記載の主題と随意に組み合わせることができる。
【0234】
上記の発明を実施するための形態は、発明を実施するための形態の一部を形成する、添付図面の参照を含む。図面は、例証として、本発明を実践することができる、具体的実施形態を示す。これらの実施形態は、本明細書では「実施例」とも呼ばれる。本書と参照することにより組み込まれる任意の文書との間の矛盾した使用法の場合、本書での使用法が優先する。
【0235】
本明細書で説明される図のうちの1つ以上は、女性の生体構造を参照するが、本明細書で開示されるシステムおよび方法は、男性の生体構造に同等に適用可能であり、女性の生体構造の使用は、いかようにも本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0236】
本明細書では、「1つの」(「a」または「an」)という用語は、特許文書で一般的であるように、任意の他の事例または「少なくとも1つの」あるいは「1つ以上の」という使用法から独立して、1つまたは2つ以上を含むために使用される。本書では、「または」という用語は、特に指示がない限り、「AまたはB」が、「BではなくA」、「AではなくB」、ならびに「AおよびB」を含むように、非排他的な「または」を指すために使用される。添付の請求項では、「〜を含む(including)」および「その場合に(in which)」という用語は、「〜を備える(comprising)」および「その場合に(wherein)」というそれぞれの用語の平易な英語の同等物として使用される。また、以下の請求項では、「〜を含む」および「〜を備える」という用語は、非制約的であり、つまり、請求項の中でそのような用語の前に記載されるものに加えて要素を含む、システム、デバイス、物品、またはプロセスは、依然としてその請求項の範囲内に入ると見なされる。また、以降の請求項では、「第1の」、「第2の」、および「第3の」等という用語は、標識として使用されるにすぎず、それらの目的に数値的要件を課すことを目的としていない。
【0237】
上記の説明は、制限的ではなく例証的であることを目的としている。他の実施形態では、上記の実施例(またはその1つ以上の側面)は、相互と組み合わせて使用され得る。上記の説明を再検討することにより当業者等によって、他の実施形態を使用することができる。読者が技術的開示の性質を迅速に解明することを可能にするために、37 C.F.R. §1.72(b)に準拠するように要約が提供される。それは、請求項の範囲または意味を解釈または限定するために使用されないであろうという理解の下で提供される。また、上記の発明を実施するための形態では、種々の特徴が、本開示を簡素化するようにともにグループ化され得る。これは、請求されていない開示された特徴が任意の請求項に不可欠であるという意図として解釈されるべきではない。むしろ、本発明の主題は、特定の開示された実施形態の全てよりも少ない特徴にあり得る。したがって、以下の請求項は、発明を実施するための形態に組み込まれ、各請求項は、別個の実施形態として自立する。本発明の範囲は、添付の請求項が享有する同等物の全範囲とともに、そのような請求項を参照して決定されるべきである。