特開2018-5172(P2018-5172A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2018-5172情報処理装置、焼き付き防止方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-5172(P2018-5172A)
(43)【公開日】2018年1月11日
(54)【発明の名称】情報処理装置、焼き付き防止方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/377 20060101AFI20171208BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20171208BHJP
   G09G 5/02 20060101ALI20171208BHJP
   G09G 5/08 20060101ALI20171208BHJP
【FI】
   G09G5/36 520M
   G09G5/00 530M
   G09G5/02 B
   G09G5/08 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-135966(P2016-135966)
(22)【出願日】2016年7月8日
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100169199
【弁理士】
【氏名又は名称】石本 貴幸
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】石原 のぞみ
(72)【発明者】
【氏名】杉山 恭平
(72)【発明者】
【氏名】重松 友一
【テーマコード(参考)】
5C182
【Fターム(参考)】
5C182AA02
5C182AA03
5C182AB02
5C182AC03
5C182AC38
5C182BA03
5C182BA04
5C182BA06
5C182BA65
5C182BA66
5C182CA32
5C182CB42
5C182CB47
5C182CB54
5C182CB55
5C182CC06
5C182CC13
5C182DA41
5C182DA53
5C182DA67
(57)【要約】
【課題】同じ画像を表示し続けることで生じるディスプレイの焼き付きを防止する、ことを目的とする。
【解決手段】ノートPCは、OELDの画面における位置が固定されて表示されるタスクバーの位置を取得し、タスクバーに隣接する画素の色である隣接画素の色を抽出し、抽出した隣接色を基準とした色のオーバレイウィンドウを生成する。オーバレイウィンドウの色は、半透明であり、隣接画素から遠ざかるに連れて、隣接色から黒色に連続的に変化する。ノートPCは、オーバレイウィンドウをタスクバーに重ねてOELDに表示させる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示するディスプレイと、
前記ディスプレイの画面における位置が固定されて表示される固定画像の位置を取得する位置取得部と、
前記固定画像に隣接する画素である隣接画素の色を隣接色として抽出する色抽出部と、
前記隣接色を基準とした色のマスクを生成するマスク生成部と、
前記マスクを前記固定画像に重ねて前記ディスプレイに表示させる画像表示制御部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記マスクの色は、半透明である請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記マスクの色は、前記隣接画素から遠ざかるに連れて、前記隣接色から黒色に連続的に変化する請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記色抽出部は、複数の前記隣接画素の色の平均値を前記隣接色とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記マスクは、前記固定画像にカーソルが位置していない前記固定画像に重ねられ、カーソルが位置している前記固定画像には重ねられない請求項1記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記マスクの色は、前記隣接色が切り替わる毎に更新される請求項1記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記画像表示制御部は、前記固定画像を所定時間間隔で縦方向及び横方向の少なくとも一方へ、所定の移動量毎に繰り返し移動させる請求項1記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記移動量は、ユーザが前記固定画像の移動を認識できない量である請求項7記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記固定画像は、タスクバーである請求項1記載の情報処理装置。
【請求項10】
画像を表示するディスプレイと、
前記ディスプレイの画面における位置が固定されて表示される固定画像の位置を取得する位置取得部と、
前記固定画像を所定時間間隔で縦方向及び横方向の少なくとも一方へ、所定の移動量毎に繰り返し移動させる画像表示制御部と、
を備える情報処理装置。
【請求項11】
前記移動量は、ユーザが前記固定画像の移動を認識できない量である請求項10記載の情報処理装置。
【請求項12】
画像を表示するディスプレイを備える情報処理装置の焼き付き防止方法であって、
前記ディスプレイの画面における位置が固定されて表示される固定画像の位置を取得する第1工程と、
前記固定画像に隣接する画素である隣接画素の色を隣接色として抽出する第2工程と、
前記隣接色を基準とした色のマスクを生成する第3工程と、
前記マスクを前記固定画像に重ねて前記ディスプレイに表示させる第4工程と、
を有する焼き付き防止方法。
【請求項13】
画像を表示するディスプレイを備える情報処理装置の焼き付き防止方法であって、
前記ディスプレイの画面における位置が固定されて表示される固定画像の位置を取得する第1工程と、
前記固定画像を所定時間間隔で縦方向及び横方向の少なくとも一方へ、所定の移動量毎に繰り返し移動させる第2工程と、
を有する焼き付き防止方法。
【請求項14】
画像を表示するディスプレイを備える情報処理装置が備えるコンピュータを、
前記ディスプレイの画面における位置が固定されて表示される固定画像の位置を取得する位置取得部と、
前記固定画像に隣接する画素である隣接画素の色を隣接色として抽出する色抽出部と、
前記隣接色を基準とした色のマスクを生成するマスク生成部と、
前記マスクを前記固定画像に重ねて前記ディスプレイに表示させる画像表示制御部と、
して機能させるプログラム。
【請求項15】
画像を表示するディスプレイを備える情報処理装置が備えるコンピュータを、
前記ディスプレイの画面における位置が固定されて表示される固定画像の位置を取得する位置取得部と、
前記固定画像を所定時間間隔で縦方向及び横方向の少なくとも一方へ、所定の移動量毎に繰り返し移動させる画像表示制御部と、
して機能させるプログラム。
【請求項16】
画像を表示するディスプレイと、
前記ディスプレイの画面に固定的に表示される表示対象物である固定画像の表示色を、当該固定画像に隣接する部分の表示色を基準とした色で前記ディスプレイに表示させる画像表示制御部と、
を備える情報処理装置。
【請求項17】
前記画像表示制御部は、前記固定画像に隣接する部分から離れるにしたがって所定の範囲で、前記固定画像に隣接する部分の表示色から徐々に変化する色で、前記固定画像を表示する請求項16に記載の情報処理装置。
【請求項18】
前記画像表示制御部は、前記固定画像の隣接部分が複数に分割された領域毎に、前記固定画像の表示色を決定し、前記分割された領域の位置に対応する前記固定画像内の領域毎に前記決定された表示色で前記固定画像の表示を行う請求項16または請求項17に記載の情報処理装置。
【請求項19】
画像を表示するディスプレイを備える情報処理装置の焼き付き防止方法であって、
前記ディスプレイの画面に固定的に表示される表示対象物である固定画像の表示色を、当該固定画像に隣接する部分の表示色を基準とした色で前記ディスプレイに表示させる
焼き付き防止方法。
【請求項20】
画像を表示するディスプレイを備える情報処理装置が備えるコンピュータを、
前記ディスプレイの画面に固定的に表示される表示対象物である固定画像の表示色を、当該固定画像に隣接する部分の表示色を基準とした色で前記ディスプレイに表示させる画像表示制御部として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、焼き付き防止方法、及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイの発光方式は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)に代表される非自発光型と、プラズマ・ディスプレイ・パネル(PDP:Plasma Display Panel)や有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro Luminescence Display)等の自発光型に大別することができる。自発光型のディスプレイのなかには、画素を構成する発光素子は発光時間が経過すると共に劣化して、同じエネルギー(画素値)を供給しても使用開始時より輝度が低下するいわゆる輝度劣化があらわれやすいものがある。
【0003】
ある画素を構成する発光素子の輝度劣化が周囲の画素を構成する発光素子よりも劣化すると、それらの画素に同一の色を表示する画素値を設定したときに劣化した発光素子の存在が人間の目で認識できる状態となる、いわゆる焼き付き現象が発生する。例えば、白色を表示し続けている画素と黒色を表示し続けている画素とで輝度劣化に差が生じる。このため、輝度劣化に差が生じた領域では、輝度劣化が弱い部分と強い部分の差が発色の違いが焼き付きとして視認されてしまう。
【0004】
特許文献1には、発光素子の焼き付きを防止するために、人間に色の変化を感じさせないようにしながら、固定パターンを表示する発光素子の輝度劣化量と背景画像を表示する発光素子の輝度劣化量を等しくする発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−17746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
有機ELでは、他の発光方式に比べて輝度劣化の進行が早いため、焼き付きが発生しやすい。例えば、デスクトップに表示されるタスクバーやアイコン等、位置がほとんど変化せずに表示され続ける画像の領域は特に焼き付き易い。このため、画像や動画をフルスクリーン表示させた場合等にタスクバー等の画像が残像として視認される場合がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、同じ画像を表示し続けることで生じるディスプレイの焼き付きを防止できる、情報処理装置、焼き付き防止方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一態様に係る情報処理装置は、画像を表示するディスプレイと、前記ディスプレイの画面における位置が固定されて表示される固定画像の位置を取得する位置取得部と、前記固定画像に隣接する画素である隣接画素の色を隣接色として抽出する色抽出部と、前記隣接色を基準とした色のマスクを生成するマスク生成部と、前記マスクを前記固定画像に重ねて前記ディスプレイに表示させる画像表示制御部と、を備える。
【0009】
本発明の第二態様に係る情報処理装置は、画像を表示するディスプレイと、前記ディスプレイの画面における位置が固定されて表示される固定画像の位置を取得する位置取得部と、前記固定画像を所定時間間隔で縦方向及び横方向の少なくとも一方へ、所定の移動量毎に繰り返し移動させる画像表示制御部と、を備える。
【0010】
本発明の第三態様に係る焼き付き防止方法は、画像を表示するディスプレイを備える情報処理装置の焼き付き防止方法であって、前記ディスプレイの画面における位置が固定されて表示される固定画像の位置を取得する第1工程と、前記固定画像に隣接する画素である隣接画素の色を隣接色として抽出する第2工程と、前記隣接色を基準とした色のマスクを生成する第3工程と、前記マスクを前記固定画像に重ねて前記ディスプレイに表示させる第4工程と、を有する。
【0011】
本発明の第四態様に係る焼き付き防止方法は、画像を表示するディスプレイを備える情報処理装置の焼き付き防止方法であって、前記ディスプレイの画面における位置が固定されて表示される固定画像の位置を取得する第1工程と、前記固定画像を所定時間間隔で縦方向及び横方向の少なくとも一方へ、所定の移動量毎に繰り返し移動させる第2工程と、
を有する。
【0012】
本発明の第五態様に係るプログラムは、画像を表示するディスプレイを備える情報処理装置が備えるコンピュータを、前記ディスプレイの画面における位置が固定されて表示される固定画像の位置を取得する位置取得部と、前記固定画像に隣接する画素である隣接画素の色を隣接色として抽出する色抽出部と、前記隣接色を基準とした色のマスクを生成するマスク生成部と、前記マスクを前記固定画像に重ねて前記ディスプレイに表示させる画像表示制御部と、して機能させる。
【0013】
本発明の第六態様に係るプログラムは、画像を表示するディスプレイを備える情報処理装置が備えるコンピュータを、前記ディスプレイの画面における位置が固定されて表示される固定画像の位置を取得する位置取得部と、前記固定画像を所定時間間隔で縦方向及び横方向の少なくとも一方へ、所定の移動量毎に繰り返し移動させる画像表示制御部と、して機能させる。
【0014】
本発明の第七態様に係る情報処理装置は、画像を表示するディスプレイと、前記ディスプレイの画面に固定的に表示される表示対象物である固定画像の表示色を、当該固定画像に隣接する部分の表示色を基準とした色で前記ディスプレイに表示させる画像表示制御部と、を備える。
【0015】
本発明の第八態様に係る焼き付き防止方法は、画像を表示するディスプレイを備える情報処理装置の焼き付き防止方法であって、前記ディスプレイの画面に固定的に表示される表示対象物である固定画像の表示色を、当該固定画像に隣接する部分の表示色を基準とした色で前記ディスプレイに表示させる。
【0016】
本発明の第九態様に係るプログラムは、画像を表示するディスプレイを備える情報処理装置が備えるコンピュータを、前記ディスプレイの画面に固定的に表示される表示対象物である固定画像の表示色を、当該固定画像に隣接する部分の表示色を基準とした色で前記ディスプレイに表示させる画像表示制御部として機能させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、同じ画像を表示し続けることで生じるディスプレイの焼き付きを防止できる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の実施形態に係るノートPCの概略外観図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係るノートPCの電気的構成を示すブロック図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係るOELDに表示されるタスクバーのを示す図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係るタスクバーに半透明ウィンドウを重ねた例を示す図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る焼き付き防止機能に関する機能ブロック図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係る焼き付き防止機能の処理の流れを示すフローチャートである。
図7図7は、本発明の実施形態に係るセルを示す模式図である。
図8図8は、本発明の実施形態に係るタスクバーの微小量移動を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係る情報処理装置、焼き付き防止方法、及びプログラムの一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本実施形態に係るノートPC1の概略外観図である。
【0021】
ノートPC1は、図1に示すように一例として、いずれも略直方体である本体側筐体2及びディスプレイ側筐体3を備える。
【0022】
本体側筐体2は、入力部4を備える。入力部4は、ユーザによる入力操作を行うためのユーザインターフェースであり、文字、コマンド等の入力を受け付ける各種キーより構成されるキーボードや、画面上のカーソルを移動させたり、各種メニューを選択するタッチパッド、マウス、又はトラックポイント等を備えている。また、入力部4は、ソフトウェアキーボードとされてもよい。
【0023】
ディスプレイ側筐体3は、画像を表示するタッチパネルディスプレイ7を備える。
【0024】
タッチパネルディスプレイ7は、入力される表示データをビデオ信号に変換し、変換したビデオ信号に応じた各種情報を表示画面に表示すると共に、ユーザの指及びタッチペン等の指示体を用いて行われる各種操作を検出する。
【0025】
本体側筐体2及びディスプレイ側筐体3は、それぞれの端部で左右一対の連結部8a,8bによって連結されている。連結部8a,8bは、ヒンジであり、本体側筐体2及びディスプレイ側筐体3を開閉自在に支持している。
【0026】
図2は、ノートPC1のハードウェアの構成を示す概略図である。
【0027】
ノートPC1は、CPU(Central Processing Unit)20、ROM(Read Only Memory)21、メモリ22、OELD23、グラフィクスアダプタ24、タッチセンサ25、入力コントローラ26、フラッシュメモリ27、通信デバイス28、及び電源回路29を備えており、各部はバス30を介して直接または間接的に接続されている。なお、タッチパネルディスプレイ7は、OELD23とタッチセンサ25を含んで構成される。
【0028】
CPU20は、フラッシュメモリ27に格納されたOS(Operating System)によりノートPC1全体の制御を行うと共に、フラッシュメモリ27に格納された各種のプログラムに基づいて、入力部4やタッチパネルディスプレイ7等を介したユーザの操作に応じた処理を実行する機能を有する。
【0029】
ROM21は、BIOS(Basic Input/Output System)や各種データ等を格納している。
【0030】
メモリ22は、キャッシュメモリやRAM(Random Access Memory)で構成されており、CPU20の実行プログラムの読み込み、及び実行プログラムによる処理データの書き込みを行う作業領域として利用される書き込み可能なメモリである。
【0031】
OELD23は、CPU20の制御に従って、グラフィクスアダプタ24からのビデオ信号を画像として表示する。
【0032】
グラフィクスアダプタ24は、CPU20の制御に従って、表示情報をビデオ信号に変換し、変換したビデオ信号をOELD23に出力する。
【0033】
タッチセンサ25は、OELD23に対するユーザの指及びタッチペン等のタッチ位置を検出して、入力コントローラ26に出力する。そして、タッチセンサ25は、OELD23の画面に表示される各種メニュー、アイコン、ボタン、及びキーボード等の画面オブジェクトを選択して入力操作を行ったり、テキストの入力操作や、スクロールやスワイプ等の画面操作がユーザの指やタッチペン等により行われる。
【0034】
入力コントローラ26は、プロセッサがROM21等に格納されたプログラムを実行することにより各種処理を行い、タッチセンサ25の動作を制御する。
【0035】
フラッシュメモリ27は、ノートPC1全体の制御を行うためのOS、周辺機器類をハードウェア操作するための各種ドライバ、特定業務に向けられたアプリケーション、及び各種データやファイル等を格納する機能を有する。なお、ノートPC1は、フラッシュメモリ27に替わる記憶手段としてHDD(Hard Disk Drive)等、他の記憶手段を備えてもよい。
【0036】
通信デバイス28は、他のデバイスとの間との通信を行う。
【0037】
電源回路29は、ACアダプタ、インテリジェント電池、インテリジェント電池を充電するための充電器、及びDC/DCコンバータ等を備えており、CPU20の制御に従って、各デバイスに電力を供給する。
【0038】
ここで、デスクトップに表示されるタスクバーやアイコン等、OELD23の画面における位置がほとんど変化せずに固定的に表示される表示対象物である固定画像の領域は特に焼き付き易い。図3は、タスクバー31の焼き付きによって輝度劣化の差が生じる領域の例を示す。図3に示すように、デスクトップの下方にタスクバー31が位置している場合には、タスクバー31の上部とウィンドウの境目(エッジともいう。)である領域Aや、タスクバー31に表示されているアイコン32とその周辺との境目である領域Bに輝度劣化の差が生じる。
【0039】
そこで、本実施形態に係るノートPC1は、固定画像とその周辺領域との輝度劣化の差を抑制する焼き付き防止機能を有する。焼き付き防止機能は、固定画像に隣接する画素である隣接画素の色を抽出し、抽出した隣接色を基準とした色のマスク(以下「オーバレイウィンドウ」という。)を固定画像の上に重ねて表示する。換言すると、ノートPC1は、固定画像の表示色を、固定画像に隣接する部分の表示色を基準とした色でタッチパネルディスプレイ7に表示させる。
【0040】
以下の説明では、タスクバー31を固定画像の一例として説明する。隣接色を基準とした色とは、隣接色と同じ色、隣接色に近い色、隣接色から徐々に変化する色等である。
【0041】
図4は、オーバレイウィンドウ33がタスクバー31に重ねられた状態を示す。
【0042】
オーバレイウィンドウ33は、タスクバー31とそのサイズ(縦及び横の長さ)が同一である。オーバレイウィンドウ33の色は、一例として、半透明であり、隣接画素から遠ざかるに連れて(図4の例では下方に向けて)、隣接色から黒色に連続的に変化する。すなわち、オーバレイウィンドウ33の色は、半透明のグラデーションを有する色とされる。なお、タスクバー31の幅方向(x方向)で隣接色が異なっていると、これに応じて、オーバレイウィンドウ33の幅方向の色も異なる。
【0043】
このように、ノートPC1は、オーバレイウィンドウ33を固定画像(タスクバー31)に重ねることで、固定画像に隣接する部分から離れるにしたがって所定の範囲で、固定画像に隣接する部分の表示色から徐々に変化する色で、固定画像を表示することとなる。なお、所定の範囲とは、固定画像をタスクバー31とした図4の例では、タスクバー31の縦方向全域を示すが、これに限らず、タスクバー31の上から一部領域とし、残りの下までの領域は変化しない色(例えば黒色)であってもよい。また、図4の例では、隣接色(固定画像に隣接する部分の表示色)から黒色に変化するグラデーションとしたが、変化の最終的な色は黒色に限られず、他の色であってもよい。
【0044】
タスクバー31に対してオーバレイウィンドウ33が重ねられると、タスクバー31のエッジの色が隣接画素の色と同様となるので、タスクバー31が表示された領域とその周辺領域の輝度劣化の差が抑制される。また、図4の例では、タスクバー31に対して、上から下へ黒に向かってグラデーションをかけられることとなるので、タスクバー31全体の輝度が下がり、輝度劣化が抑制される。
【0045】
図5は、焼き付き防止機能に関する機能ブロック図である。
【0046】
CPU20は、固定画像位置取得部41、隣接色抽出部42、オーバレイウィンドウ生成部43、及び画像表示制御部44を備える。CPU20が備える各構成部は、フラッシュメモリ27に記憶されるコンピュータプログラムによって実現される。
【0047】
固定画像位置取得部41は、OELD23の画面における位置が固定されて表示される固定画像の位置を取得する。
【0048】
隣接色抽出部42は、固定画像に隣接する隣接画素の色を隣接色として抽出する。
【0049】
オーバレイウィンドウ生成部43は、隣接色を基準としてオーバレイウィンドウ33の色を決定すると共にオーバレイウィンドウ33のサイズを決定することで、オーバレイウィンドウ33を生成する。
【0050】
画像表示制御部44は、オーバレイウィンドウ表示制御部45及び固定画像移動制御部46を備える。
【0051】
オーバレイウィンドウ表示制御部45は、生成されたオーバレイウィンドウ33を固定画像の上に重ねて表示する。すなわち、オーバレイウィンドウ表示制御部45は、上述のように、固定画像の表示色を、固定画像に隣接する部分の表示色を基準とした色でタッチパネルディスプレイ7に表示させる。
【0052】
オーバレイウィンドウ表示制御部45は、固定画像にカーソル(マウスカーソル)が位置していない固定画像にオーバレイウィンドウ33を重ねて表示し、カーソルが位置している固定画像にオーバレイウィンドウ33を表示しない。例えば、オーバレイウィンドウ33が重ねられているタスクバー31にカーソルが移動すると、オーバレイウィンドウ33は非表示とされ、タスクバー31は本来の色で表示される。
【0053】
固定画像移動制御部46は、固定画像を所定時間間隔で縦方向及び横方向の少なくとも一方へ、所定の移動量毎に繰り返し移動(以下「微小量移動」という。)させる。
【0054】
図6は、焼き付き防止機能の処理の流れを示すフローチャートである。図7に示される処理は、焼き付き防止機能がオンとされている場合に実行される。
【0055】
まず、ステップ100では、OELD23の画面における固定画像(タスクバー31)の位置やサイズを取得する。
【0056】
次のステップ102では、固定画像に隣接するセル47を決定する。
【0057】
図7にセル47の一例を示す。セル47は、複数の隣接画素をグループ化したものである。画面の位置に応じて各セルの大きさが規定されてもよいし、画面に表示される表示対象物毎に、或は表示対象物内の同色の領域毎にセルの大きさや位置が規定されてもよい。タスクバー31の幅方向(x方向)を複数に分割し、幅方向に対して直交する高さ方向(y方向)に所定長さを有する領域を1つのセル47とする。このように、セル47は、固定画像の隣接部分が複数に分割された領域である。
【0058】
また、上記幅方向とは、換言すると、隣接画素と接するタスクバー31の辺が延在する方向である。図7の例では、タスクバー31が画面の下端部に位置するため、タスクバー31の上側にセル47が位置することとなる。幅方向を512に分割し、高さ方向に対して10ピクセルの長さを有する矩形領域が1つのセル47とされる。
【0059】
なお、タスクバー31が画面の上端部に位置すると、タスクバー31の下側にセル47が位置する。タスクバー31が画面の左端部に位置すると、タスクバー31の右側にセル47が位置する。タスクバー31が画面の右端部に位置すると、タスクバー31の左側にセル47が位置する。
【0060】
次のステップ104は、セル47内の画素毎に隣接色を抽出してそれらの平均値を算出し、それをセル47の隣接色とする。このように、セル47の隣接色は、各セル47で決定される。
【0061】
次のステップ106では、オーバレイウィンドウ33のサイズを決定する。オーバレイウィンドウ33のサイズは、重ね合せる固定画像のサイズと同じものとする。なお、処理の対象となる固定画像が限定的な場合には、オーバレイウィンドウ33のサイズを予め設定しておくこともできる。また、ステップ106は、ステップ104よりも前に実行しておくこともできる。
【0062】
次のステップ108では、オーバレイウィンドウ33の色を決定する。オーバレイウィンドウ33の色は、セル47の位置に対応するオーバレイウィンドウ33内の領域毎に、セル47毎に対応した隣接色から黒色へグラデーションを有する色とされる。一例として、R、G、Bで表される隣接色を始点として黒色を終点とした線形グラデーションが、セル47毎に算出されることで、オーバレイウィンドウ33の色が決定される。また、隣接色毎に応じたグラデーションを示すカラーチャートが予めフラッシュメモリ27に記憶され、これを読み出すことで、オーバレイウィンドウ33の色が決定されてもよい。
【0063】
これにより、固定画像の隣接部分が複数に分割されたセル47毎に、固定画像の表示色が決定され、セル47の位置に対応する固定画像内の領域毎に決定された表示色で、オーバレイウィンドウ表示制御部45が固定画像の表示を行うこととなる。
【0064】
次のステップ110では、カーソルが固定画像に位置しているか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ112へ移行し、否定判定の場合はステップ114へ移行する。
【0065】
ステップ112では、カーソルが位置する固定画像に対するオーバレイウィンドウ33を非表示とし、ステップ116へ移行する。
【0066】
ステップ114では、固定画像にオーバレイウィンドウ33を重ねて表示し、ステップ116へ移行する。
【0067】
ステップ116では、操作対象となっているアクティブなウィンドウが切り替わったか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ118へ移行し、否定判定の場合はステップ110へ戻る。ウィンドウの切り替わりとは、アクティブなウィンドウが移動したり、消去されたり、新たなウィンドウが現れたりすることで発生する。ウィンドウが切り替わると、固定画像の隣接色が切り替わる可能性がある。
【0068】
ステップ118では、オーバレイウィンドウ33の色を更新し、ステップ110へ戻る。すなわち、ウィンドウ(隣接色)が切り替わる毎に、隣接色が新たに抽出され、抽出された隣接色がそれまでの隣接色と異なった場合には、オーバレイウィンドウ33の色も変化することとなる。本実施形態ではアクティブなウィンドウの切り替えをきっかけにオーバレイウィンドウ33の色を更新しているが、これ以外のきっかけでもよい。例えば、固定画像の隣接画素の色を、或は各セル47の隣接色を定期的に監視し、隣接画素の色や隣接色の変化があったことをきっかけに、オーバレイウィンドウ33の色を更新してもよい。
【0069】
次に、図8を参照して、固定画像の微小量移動について説明する。微小量移動は、ユーザが固定画像の移動を認識できない程度の量で、固定画像を連続して移動させる処理である。例えば、固定画像の表示場所が、10秒間隔毎に5ピクセル移動する。
【0070】
図8の例では、タスクバー31が上方へ移動し(図8(A))、タスクバー31が右方向へ移動し(図8(B))、タスクバー31が下方向へ移動し(図8(C))、タスクバー31が左方向へ移動する(図8(D))。これにより、タスクバー31は元の場所へ戻ることとなる。タスクバー31は、図8(A)から図8(D)の移動を繰り返し行うことにより、表示位置がずれてエッジの位置が固定されないので、周辺領域との輝度劣化の差が小さくなる。なお、タスクバー31と共に、オーバレイウィンドウ33も移動する。
【0071】
以上説明したように、本実施形態に係るノートPC1は、OELD23の画面における位置が固定されて表示される固定画像の位置を取得し、固定画像に隣接する隣接画素の色を抽出し、抽出した隣接色を基準とした色のオーバレイウィンドウ33を生成する。そして、ノートPC1は、オーバレイウィンドウ33を固定画像に重ねてOELD23に表示させる。従って、ノートPC1は、同じ画像を表示し続けることで生じるOELD23の焼き付きを防止できる。
【0072】
以上、本発明を、上記実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【0073】
例えば、上記実施形態では、ノートPC1はOELD23を備える形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、OELD23の代わりにLCDやPDP等、他のディスプレイを備える形態としてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、オーバレイウィンドウ33の色を半透明とし、グラデーションをかける形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば、グラデーションをかけることなく、オーバレイウィンドウ33の色を半透明の隣接色とする形態としてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、セル47毎に色の平均値を隣接色として算出する形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば、セル47を基準とすることなく、隣り合う隣接画素の色の平均値を隣接色として算出する等、他の算出方法によって隣接色を算出する形態としてもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、固定画像をタスクバー31とする形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、固定画像をデスクトップに表示されるアイコンとする形態としてもよい。この形態の場合、アイコンは上下左右の四方に隣接画素を有することとなるため、例えば、オーバレイウィンドウ33は、アイコンの周囲から中心に向かって、隣接色から黒色に変化するグラデーションがかかった色とされる。
【0077】
また、上記実施形態では、オーバレイウィンドウ33が重ねた固定画像が微小量移動する形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、オーバレイウィンドウ33を重ねることなく、固定画像のみを微小量移動させる形態としてもよい。
【0078】
また、微小量移動は、縦方向又は横方向の一方のみに、固定画像が移動する形態としてもよい。
【0079】
また、上記実施形態で説明した焼き付き防止機能の処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 ノートPC(情報処理装置)
23 OELD(ディスプレイ)
31 タスクバー(固定画像)
42 隣接色抽出部(色抽出部)
43 オーバレイウィンドウ生成部(マスク生成部)
44 画像表示制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8