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特開2018-5918バーチャル評価システムおよびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-5918(P2018-5918A)
(43)【公開日】2018年1月11日
(54)【発明の名称】バーチャル評価システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 17/30 20060101AFI20171208BHJP
   G06N 99/00 20100101ALI20171208BHJP
【FI】
   G06F17/30 340A
   G06N99/00 153
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-129527(P2017-129527)
(22)【出願日】2017年6月30日
(31)【優先権主張番号】62/357601
(32)【優先日】2016年7月1日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】512035815
【氏名又は名称】SENSY株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 淳也
(72)【発明者】
【氏名】岡本 卓
(57)【要約】
【課題】ユーザ間の特徴量知覚の相関を利用して、あるユーザにとって未知のアイテムに対する特徴量を、他のユーザが決定した特徴量から予測する。
【解決手段】ユーザ毎およびエキスパート毎のアイテムの特徴量と評価値とを含むユーザアイテム情報およびエキスパートアイテム情報に基づいて、ユーザとエキスパートとの組み合わせ毎にユーザが決定したアイテムの特徴量の入力に対してエキスパートが決定した該アイテムの特徴量を出力する入出力関係と、エキスパートが決定したアイテムの特徴量の入力に対してユーザが決定した該アイテムの特徴量を出力する入出力関係と、ユーザによるアイテムの特徴量の入力に対して該アイテムの評価値を出力する入出力関係とを学習する。そして、ユーザアイテム情報とエキスパートアイテム情報と学習値とに基づいてユーザのアイテムに対する予測評価値を予測する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザからアイテムの推薦要求がなされたときに推薦すべきアイテムを特定して推薦するバーチャル評価システムであって、
ユーザ毎にアイテム毎にユーザにより決定されたアイテムの特徴量と評価値とを含むユーザアイテム情報と、エキスパート毎にアイテム毎にエキスパートにより決定されたアイテムの特徴量と評価値とを含むエキスパートアイテム情報と、を含む情報を記憶する記憶部と、
前記ユーザアイテム情報と前記エキスパートアイテム情報とに基づいて、ユーザとエキスパートとの組み合わせ毎に、ユーザが決定したアイテムの特徴量の入力に対してエキスパートが決定した該アイテムの特徴量を出力するユーザ・エキスパート入出力関係と、エキスパートが決定したアイテムの特徴量の入力に対してユーザが決定した該アイテムの特徴量を出力するエキスパート・ユーザ入出力関係と、ユーザによるアイテムの特徴量の入力に対して該アイテムの評価値を出力するユーザアイテム評価入出力関係を学習するユーザアイテム評価学習部と、を学習する学習部と、
前記ユーザアイテム情報と前記エキスパートアイテム情報と前記ユーザ・エキスパート入出力関係と前記エキスパート・ユーザ入出力関係とに基づいてユーザのアイテムに対する予測評価値を予測する予測評価値予測部と、
を備えるバーチャル評価システム。
【請求項2】
請求項1記載のバーチャル評価システムであって、
前記予測評価値予測部は、
前記ユーザアイテム情報と前記エキスパートアイテム情報と前記ユーザ・エキスパート入出力関係とに基づいて、ユーザ毎に、少なくとも1つのアイテムの特徴量を決定していない全てのエキスパートについて、該エキスパートが知覚するアイテムの特徴量を予測すると共に、前記エキスパートアイテム情報と前記予測した特徴量に基づいて、エキスパートにおける全アイテムの特徴量を決定する第1アイテム特徴量決定部と、
前記エキスパート・ユーザ入出力関係と前記第1アイテム特徴量決定部により決定された全アイテムの特徴量とに基づいて、ユーザのアイテムに対する特徴量知覚を予測すると共に、前記特徴量知覚を用いてユーザにおける全アイテムの特徴量を決定する第2アイテム特徴量決定部と、
前記ユーザアイテム評価入出力関係と前記第2アイテム特徴量決定部により決定された全アイテムの特徴量とに基づいて、前記予測評価値を予測する予測部と、
を有する、
バーチャル評価システム。
【請求項3】
請求項1記載のバーチャル評価システムであって、
前記予測評価値予測部は、
前記ユーザアイテム情報と前記エキスパートアイテム情報と前記ユーザ・エキスパート入出力関係とに基づいて、ユーザ毎に、エキスパート毎に該エキスパートが知覚するアイテムの特徴量を予測すると共に、前記エキスパートアイテム情報と前記予測した特徴量に基づいて、エキスパートにおける全アイテムの特徴量を決定する第1アイテム特徴量決定部と、
前記エキスパート・ユーザ入出力関係と前記第1アイテム特徴量決定部により決定された全アイテムの特徴量とに基づいて、ユーザのアイテムに対する特徴量知覚を予測すると共に、前記特徴量知覚を用いてユーザにおける全アイテムの特徴量を決定する第2アイテム特徴量決定部と、
前記ユーザアイテム評価入出力関係と前記第2アイテム特徴量決定部により決定された全アイテムの特徴量とに基づいて、前記予測評価値を予測する予測部と、
を有する、
バーチャル評価システム。
【請求項4】
請求項2または3記載のバーチャル評価システムであって、
前記第1アイテム特徴量決定部は、前記予測した特徴量のアイテム毎の平均値を求めることによりエキスパートにおける全アイテムの特徴量を決定し、
前記第2アイテム特徴量決定部は、前記予測した特徴量のアイテム毎の平均値を求めることによりユーザにおける全アイテムの特徴量を決定する、
バーチャル評価システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のうちのいずれか1つの請求項に記載のバーチャル評価システムであって、
ユーザからのアイテムの推薦要求がなされたときに、前記予測評価値に基づいてアイテムを推薦する推薦処理部を備える、
バーチャル評価システム。
【請求項6】
コンピュータをバーチャル評価システムとして機能させるプログラムであって、
ユーザ毎にアイテム毎にユーザにより決定されたアイテムの特徴量と評価値とを含むユーザアイテム情報と、エキスパート毎にアイテム毎にエキスパートにより決定されたアイテムの特徴量と評価値とを含むエキスパートアイテム情報と、を含む情報を記憶しておき、
前記ユーザアイテム情報と前記エキスパートアイテム情報とに基づいて、ユーザとエキスパートとの組み合わせ毎に、ユーザが決定したアイテムの特徴量の入力に対してエキスパートが決定した該アイテムの特徴量を出力するユーザ・エキスパート入出力関係と、エキスパートが決定したアイテムの特徴量の入力に対してユーザが決定した該アイテムの特徴量を出力するエキスパート・ユーザ入出力関係と、ユーザによるアイテムの特徴量の入力に対して該アイテムの評価値を出力するユーザアイテム評価入出力関係を学習するユーザアイテム評価学習部と、を学習するステップと、
前記ユーザアイテム情報と前記エキスパートアイテム情報と前記ユーザ・エキスパート入出力関係と前記エキスパート・ユーザ入出力関係とに基づいてユーザのアイテムに対する予測評価値を予測するステップと、
を有するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーチャル評価システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
あるアイテムの特徴量を入力すると、そのアイテムに対する予測評価値を出力する機械学習器を考える。一般に、このような機械学習器では、あらかじめできるだけ多くのアイテムについて、できるだけ正確な特徴量を算出しておくことが求められる(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】AISSY株式会社 会社・技術概要,http://aissy.co.jp/images/AISSY-1218.pdf,Dec. 18th, 2014
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、たとえば、人間のプロフェッショナルがアイテムを確認して特徴量を決定する場合や、測定に時間的にも金銭的にも大きなコストがかかるセンサを用いる場合のように、特徴量決定コストが大きい場合は、正確かつ大量なアイテムの特徴量が得られないという課題がある。
【0005】
本発明のバーチャル評価システムは、上述の課題をユーザ間の特徴量知覚の相関を利用して、あるユーザにとって未知のアイテムに対する特徴量を、他のユーザが決定した特徴量から予測することで解決する手段を提示することを主目的とする。また、本発明のプログラムは、コンピュータを上記バーチャル評価システムとして機能させることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のバーチャル評価システムは、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明のバーチャル評価システムは、
ユーザからアイテムの推薦要求がなされたときに推薦すべきアイテムを特定して推薦するバーチャル評価システムであって、
ユーザ毎にアイテム毎にユーザにより決定されたアイテムの特徴量と評価値とを含むユーザアイテム情報と、エキスパート毎にアイテム毎にエキスパートにより決定されたアイテムの特徴量と評価値とを含むエキスパートアイテム情報と、を含む情報を記憶する記憶部と、
前記ユーザアイテム情報と前記エキスパートアイテム情報とに基づいて、ユーザとエキスパートとの組み合わせ毎に、ユーザが決定したアイテムの特徴量の入力に対してエキスパートが決定した該アイテムの特徴量を出力するユーザ・エキスパート入出力関係と、エキスパートが決定したアイテムの特徴量の入力に対してユーザが決定した該アイテムの特徴量を出力するエキスパート・ユーザ入出力関係と、ユーザによるアイテムの特徴量の入力に対して該アイテムの評価値を出力するユーザアイテム評価入出力関係を学習するユーザアイテム評価学習部と、を学習する学習部と、
前記ユーザアイテム情報と前記エキスパートアイテム情報と前記ユーザ・エキスパート入出力関係と前記エキスパート・ユーザ入出力関係とに基づいてユーザのアイテムに対する予測評価値を予測する予測評価値予測部と、
ユーザからのアイテムの推薦要求がなされたときに、前記予測評価値に基づいてアイテムを推薦する推薦処理部と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明のバーチャル評価システムでは、ユーザ毎にアイテム毎にユーザにより決定されたアイテムの特徴量と評価値とを含むユーザアイテム情報と、エキスパート毎にアイテム毎にエキスパートにより決定されたアイテムの特徴量と評価値とを含むエキスパートアイテム情報と、を含む情報を記憶しておき、ユーザアイテム情報とエキスパートアイテム情報とに基づいて、ユーザとエキスパートとの組み合わせ毎に、ユーザが決定したアイテムの特徴量の入力に対してエキスパートが決定したアイテムの特徴量を出力するユーザ・エキスパート入出力関係と、エキスパートが決定したアイテムの特徴量の入力に対してユーザが決定したアイテムの特徴量を出力するエキスパート・ユーザ入出力関係と、ユーザによるアイテムの特徴量の入力に対してアイテムの評価値を出力するユーザアイテム評価入出力関係を学習するユーザアイテム評価学習部と、を学習する。また、ユーザアイテム情報と前記エキスパートアイテム情報と前記ユーザ・エキスパート入出力関係と前記エキスパート・ユーザ入出力関係とに基づいてユーザのアイテムに対する予測評価値を予測する。これにより、ユーザとエキスパートとの間の特徴量知覚の相関(入出力関係)を利用して、ユーザにとって未知のアイテムに対する特徴量を、他のユーザが決定した特徴量から予測することができる。
【0009】
こうした本発明のバーチャル評価システムにおいて、前記予測評価値予測部は、前記ユーザアイテム情報と前記エキスパートアイテム情報と前記ユーザ・エキスパート入出力関係とに基づいて、ユーザ毎に、少なくとも1つのアイテムの特徴量を決定していない全てのエキスパートについて、該エキスパートが知覚するアイテムの特徴量を予測すると共に、前記エキスパートアイテム情報と前記予測した特徴量に基づいて、エキスパートにおける全アイテムの特徴量を決定する第1アイテム特徴量決定部と、前記エキスパート・ユーザ入出力関係と前記第1アイテム特徴量決定部により決定された全アイテムの特徴量とに基づいて、ユーザのアイテムに対する特徴量知覚を予測すると共に、前記特徴量知覚を用いてユーザにおける全アイテムの特徴量を決定する第2アイテム特徴量決定部と、前記ユーザアイテム評価入出力関係と前記第2アイテム特徴量決定部により決定された全アイテムの特徴量とに基づいて、前記予測評価値を予測する予測部と、を有するものとすることもできる。こうすれば、より適正な予測評価値を予測することができる。
【0010】
また、本発明のバーチャル評価システムにおいて、前記予測評価値予測部は、前記ユーザアイテム情報と前記エキスパートアイテム情報と前記ユーザ・エキスパート入出力関係とに基づいて、ユーザ毎に、エキスパート毎に該エキスパートが知覚するアイテムの特徴量を予測すると共に、前記エキスパートアイテム情報と前記予測した特徴量に基づいて、エキスパートにおける全アイテムの特徴量を決定する第1アイテム特徴量決定部と、前記エキスパート・ユーザ入出力関係と前記第1アイテム特徴量決定部により決定された全アイテムの特徴量とに基づいて、ユーザのアイテムに対する特徴量知覚を予測すると共に、前記特徴量知覚を用いてユーザにおける全アイテムの特徴量を決定する第2アイテム特徴量決定部と、前記ユーザアイテム評価入出力関係と前記第2アイテム特徴量決定部により決定された全アイテムの特徴量とに基づいて、前記予測評価値を予測する予測部と、を有するものとすることもできる。こうすれば、より適正な予測評価値を予測することができる。
【0011】
これらの態様の本発明のバーチャル評価システムにおいて、前記第1アイテム特徴量決定部は、前記予測した特徴量のアイテム毎の平均値を求めることによりエキスパートにおける全アイテムの特徴量を決定し、前記第2アイテム特徴量決定部は、前記予測した特徴量のアイテム毎の平均値を求めることによりユーザにおける全アイテムの特徴量を決定するものとしてもよい。
【0012】
本発明のバーチャル評価システムにおいて、ユーザからのアイテムの推薦要求がなされたときに、前記予測評価値に基づいてアイテムを推薦する推薦処理部を備えるものとしてもよい。例えば、予測評価値が最も高いアイテムを推薦したり、予測評価値が最も高い順に複数個のアイテムを推薦するのである。ユーザとエキスパートとの間の特徴量知覚の相関(入出力関係)を利用して、ユーザにとって未知のアイテムに対する特徴量を、他のユーザが決定した特徴量から予測して推薦するから、ユーザの嗜好にあったアイテムを推薦することができる。
【0013】
本発明のプログラムは、
コンピュータをバーチャル評価システムとして機能させるプログラムであって、
ユーザ毎にアイテム毎にユーザにより決定されたアイテムの特徴量と評価値とを含むユーザアイテム情報と、エキスパート毎にアイテム毎にエキスパートにより決定されたアイテムの特徴量と評価値とを含むエキスパートアイテム情報と、を含む情報を記憶しておき、
前記ユーザアイテム情報と前記エキスパートアイテム情報とに基づいて、ユーザとエキスパートとの組み合わせ毎に、ユーザが決定したアイテムの特徴量の入力に対してエキスパートが決定した該アイテムの特徴量を出力するユーザ・エキスパート入出力関係と、エキスパートが決定したアイテムの特徴量の入力に対してユーザが決定した該アイテムの特徴量を出力するエキスパート・ユーザ入出力関係と、ユーザによるアイテムの特徴量の入力に対して該アイテムの評価値を出力するユーザアイテム評価入出力関係を学習するユーザアイテム評価学習部と、を学習するステップと、
前記ユーザアイテム情報と前記エキスパートアイテム情報と前記ユーザ・エキスパート入出力関係と前記エキスパート・ユーザ入出力関係とに基づいてユーザのアイテムに対する予測評価値を予測するステップと、
を有することを要旨とする。
【0014】
本発明のプログラムは、ユーザ毎にアイテム毎にユーザにより決定されたアイテムの特徴量と評価値とを含むユーザアイテム情報と、エキスパート毎にアイテム毎にエキスパートにより決定されたアイテムの特徴量と評価値とを含むエキスパートアイテム情報と、を含む情報を記憶しておき、ユーザアイテム情報とエキスパートアイテム情報とに基づいて、ユーザとエキスパートとの組み合わせ毎に、ユーザが決定したアイテムの特徴量の入力に対してエキスパートが決定したアイテムの特徴量を出力するユーザ・エキスパート入出力関係と、エキスパートが決定したアイテムの特徴量の入力に対してユーザが決定したアイテムの特徴量を出力するエキスパート・ユーザ入出力関係と、ユーザによるアイテムの特徴量の入力に対してアイテムの評価値を出力するユーザアイテム評価入出力関係を学習するユーザアイテム評価学習部と、を学習する。また、ユーザアイテム情報と前記エキスパートアイテム情報と前記ユーザ・エキスパート入出力関係と前記エキスパート・ユーザ入出力関係とに基づいてユーザのアイテムに対する予測評価値を予測する。これにより、コンピュータを上記本発明のバーチャル評価システムとして機能させることができる。したがって、バーチャル評価システムとして機能するコンピュータは、ユーザとエキスパートとの間の特徴量知覚の相関(入出力関係)を利用して、ユーザにとって未知のアイテムに対する特徴量を、他のユーザが決定した特徴量から予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施例としてのバーチャル評価システム20の構成の概略を示す構成図である。
図2】実施例のバーチャル評価システム20におけるアイテム評価値予測の流れの一例を示す説明図である。
図3】ユーザのアイテム評価の一例を示すフローチャートである。
図4】エキスパートのアイテム評価の一例を示すフローチャートである。
図5】U→E特徴量計算機24による学習の一例を示すフローチャートである。
図6】E→U特徴量計算機26による学習の一例を示すフローチャートである。
図7】ユーザアイテム評価予測値計算機28による学習の一例を示すフローチャートである。
図8】予測の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0017】
図1は、本発明の一実施例としてのバーチャル評価システム20の構成の概略を示す構成図である。本発明のバーチャル評価システム20は、図1に示すように、ユーザ端末12、エキスパート端末14と接続可能に構成されており、Webサーバ22、ユーザ・エキスパート特徴量計算機(U→E特徴量計算機)24、エキスパート・ユーザ特徴量計算機(E→U特徴量計算機)26、ユーザアイテム評価予測値計算機28、アイテム情報テーブル30、ユーザアイテム評価テーブル32、エキスパートアイテム評価テーブル34、ユーザ・エキスパート学習器テーブル(U→E学習器テーブル)36、エキスパート・ユーザ学習器テーブル(E→U学習器テーブル)38、ユーザアイテム評価予測器テーブル40、ユーザアイテム評価予測値テーブル42を備える。U→E特徴量計算機24は、ユーザの特徴量知覚からエキスパート特徴量知覚を予測するための学習器を備えた計算機であり、U→E学習器テーブル36は、U→E特徴量計算機24での学習器を構成するためのパラメータを保存するためのテーブルである。E→U特徴量計算機26は、エキスパート特徴量知覚からユーザの特徴量知覚を予測するための学習器を備えた計算機であり、E→U学習器テーブル38は、E→U特徴量計算機26での学習器を構成するためのパラメータを保存するためのテーブルである。図1では、Webサーバ22、U→E特徴量計算機24、E→U特徴量計算機26、ユーザアイテム評価予測値計算機28を個別のコンピュータで構成したが、それぞれの機能の一部を兼ねる複数のコンピュータ、ないしは単一のコンピュータで構成してもよい。アイテム情報テーブル30、ユーザアイテム評価テーブル32、エキスパートアイテム評価テーブル34、U→E学習器テーブル36、E→U学習器テーブル38、ユーザアイテム評価予測器テーブル40、ユーザアイテム評価予測値テーブル42は、複数の記憶装置で構成してもよいし、単一の記憶装置で構成してもよい。
【0018】
A.バーチャル評価システム20の動作
次に、実施例のバーチャル評価システム20の動作について説明する。図2は、実施例のバーチャル評価システム20におけるアイテム評価値予測の流れの一例を示す説明図である。
【0019】
(1)事前のアイテム評価
I個のアイテムの番号集合をI={1,…,I}、U人のユーザの番号集合をU={1,…,U}とする。ユーザとは別に、アイテムの特徴量を的確に決定できるE人のエキスパート(センサと考えてもよい)の番号集合をE={1,…,E}とする。ユーザのアイテム評価の一例を示すフローチャートを図3に示し、エキスパートのアイテム評価の一例を示すフローチャートを図4に示す。
【0020】
ユーザu(式(1))は、図3に示すように、ユーザ端末12からWebサーバ22にアクセスし、評価を行いたいアイテムの番号(識別子)i(式(2))をWebサーバ22に送り、当該アイテムの情報提示を要求する(ステップS100)。Webサーバ22は、アイテム情報テーブル30から当該アイテムの情報を読み取り(ステップS110)、ユーザに提示する(ステップS120,S130)。ユーザuは、当該アイテムの特徴量x(式(3))とその評価値d(式(4))を決定し、アイテム番号(識別子)i、ユーザ番号(識別子)uとともに、Webサーバ22に送付する(ステップS140)。Webサーバ22は、送付されたユーザ番号、アイテム番号、特徴量、評価値をユーザアイテム評価テーブル32に保存する(ステップS150)。
【0021】
【数1】
【0022】
エキスパートe(式(5))は、図4に示すように、エキスパート端末14からWebサーバ22にアクセスし、評価を行いたいアイテムの番号(識別子)i(式(2))をWebサーバ22に送り、当該アイテムの情報提示を要求する(ステップS200)。Webサーバ22は、アイテム情報テーブル30から当該アイテムの情報を読み取り(ステップS210)、エキスパートに提示する(ステップS220,S230)。エキスパートeは、当該アイテムの特徴量(式(6))を決定し、アイテム番号(識別子)i、エキスパート番号(識別子)eとともに、Webサーバ22に送付する(ステップS240)。Webサーバ22は、送付されたエキスパート番号、アイテム番号、特徴量をエキスパートアイテム評価テーブル34に保存する(ステップS250)。
【0023】
【数2】
【0024】
(2)学習
上述した事前のアイテム評価において、ユーザu(式(1))が特徴量を決定したアイテム番号集合を式(7)とし、その特徴量を式(3),式(8)とし、その評価値を式(4),式(8)とする。エキスパートe(式(5))が特徴量を決定したアイテム番号集合を式(9)とし、その特徴量を式(10),式(11)とする。以下の説明では、|A|は集合Aの要素数を表す。U→E特徴量計算機24による学習の一例を示すフローチャートを図5に示し、E→U特徴量計算機26による学習の一例を示すフローチャートを図6に示し、ユーザアイテム評価予測値計算機28による学習の一例を示すフローチャートを図7に示す。
【0025】
【数3】
【0026】
手順(1)
U→E特徴量計算機24は、ユーザアイテム評価テーブル32とエキスパートアイテム評価テーブル34から必要な情報を読み込み(ステップS300)、図2のAで示す部分に関して、ユーザu(式(1))とエキスパートe(式(5))のすべての組み合わせについて、ユーザとエキスパートの特徴量知覚の相関関係を任意の機械学習器を用いて学習する(ステップS310)。ユーザuとエキスパートeの両者が特徴量を決定しているアイテム番号集合を式(12)とする。この相関関係学習では、ユーザuが決定したアイテムの特徴量((式(13),(式(14))を入力すると、エキスパートeが決定した同じアイテムの特徴量(式(15)), 式(14))を出力するように、入出力関係(式(16))を学習する。U→E特徴量計算機24は、ユーザ番号u、エキスパート番号e、学習器構成に必要なパラメータ(学習結果)をU→E学習器テーブル36に保存する(ステップS320)。
【0027】
【数4】
【0028】
手順(2)
E→U特徴量計算機26は、ユーザアイテム評価テーブル32とエキスパートアイテム評価テーブル34から必要な情報を読み込み(ステップS400)、図2のBで示す部分に関して、ユーザu(式(1))とエキスパートe(式(5))のすべての組み合わせについて、上述の入出力関係(式(16))の逆関数を任意の機械学習器を用いて学習する(ステップS410)。すなわち、エキスパートeが決定したアイテムの特徴量((式(15)),式(14))を入力すると、ユーザuが決定した同じアイテムの特徴量(式(13),式(14)を出力するように、入出力関係(式(17))を学習する。E→U特徴量計算機26は、ユーザ番号u、エキスパート番号e、学習器構成に必要なパラメータ(学習結果)をE→U学習器テーブル38に保存する(ステップS420)。
【0029】
【数5】
【0030】
手順(3)
ユーザアイテム評価予測値計算機28は、ユーザアイテム評価テーブル32から必要な情報を読み込み(ステップS500)、図2のCで示す部分に関して、すべてのユーザu(式(1))について、ユーザuが知覚したアイテムi(式(8))の特徴量(式(13))を入力すると、その評価値(式(18))を出力するように、任意の機械学習器を用いて、入出力関係(式(19))を学習する(ステップS510)。ユーザアイテム評価予測値計算機28は、ユーザ番号uと学習器構成に必要なパラメータ(学習結果)をユーザアイテム評価予測器テーブル40に保存する(ステップS520)。なお、上述における機械学習器は、入出力関係の要件を満たすものであれば、何を用いても構わない。
【0031】
【数6】
【0032】
(3)予測
次に、実施例のバーチャル評価システム20を用いて、ユーザu’(式(20))にとって未知のアイテムi(式(21))の評価値を予測する手順を説明する。なお、いずれかのユーザによってアイテムiの特徴量が決定されている、すなわち式(22)が成り立つものとする。また、すべてのエキスパートのうち、アイテムiの特徴量を決定している、すなわち式(11)であるエキスパートe(式(5))の集合を式(23)とする。すべてユーザのうち、アイテムiの特徴量を決定している、すなわち式(8)であるユーザu(式(1))の集合を式(24)とする。予測の一例を示すフローチャートを図8に示す。図8のフローチャートでは、ステップS600〜S630の処理はU→E特徴量計算機24により実行され、ステップS640〜S660の処理はE→U特徴量計算機26により実行され、ステップS670〜S690の処理はユーザアイテム評価予測値計算機28により実行される。
【0033】
【数7】
【0034】
手順(1)
U→E特徴量計算機24は、ユーザアイテム評価テーブル32、エキスパートアイテム評価テーブル34、U→E学習器テーブル36から必要な情報を読み込み(ステップS600)、ユーザu(式(25))ごとに、アイテムiの特徴量を決定していないすべてのエキスパートe(式(26))について、エキスパートeが知覚する特徴量を式(27)と予測する(ステップS610)。
【0035】
【数8】
【0036】
手順(2)
U→E特徴量計算機24は、エキスパートアイテム評価テーブル34から必要な情報を読み込み(ステップS620)、上記手順(1)で算出した式(28),式(25),式(26)を用いて、すべてのエキスパートe(式(5))について、アイテムiの特徴量(式(29))を決定する。すでにアイテムiの特徴量を決定しているエキスパート、すなわち式(30)であるエキスパートについては、式(31)とする。式(26)であるエキスパートについては、式(32),式(25)を用いて式(33)を構成する。構成方法としては、たとえば、式(28),式(25)の平均値を用いる方法、すなわち式(34)とする方法が考えられる。また、すべてユーザとすべてのエキスパートに同じアイテムの特徴量を決定させた情報を用いて、構成方法を事前に学習しておき、その結果を用いても構わない。
【0037】
【数9】
【数10】
【0038】
手順(3)
E→U特徴量計算機26は、E→U学習器テーブル38から必要な情報を読み込み(ステップS640)、上記手順(2)で算出した特徴量(式(33),式(5)を用いて、ユーザu’のアイテムiに対する特徴量知覚を式(35)と予測する(ステップS650)。
【0039】
【数11】
【0040】
手順(4)
E→U特徴量計算機26は、上記手順(3)で算出した特徴量知覚(式(36),式(5))を用いて、ユーザの特徴量知覚予測結果を統合して特徴量知覚(式(37))を決定する(ステップS660)。決定方法としては、たとえば、式(36),式 (5)の平均値を用いる方法、すなわち式(38)とする方法が考えられる。また、すべてユーザとすべてのエキスパートに同じアイテムの特徴量を決定させた情報を用いて、構成方法を事前に学習しておき、その結果を用いても構わない。
【0041】
【数12】
【0042】
手順(5)
ユーザアイテム評価予測値計算機28は、ユーザアイテム評価予測器テーブル40から必要な情報を読み込み(ステップS670)、上記手順(4)で算出した式(37)を用いて、ユーザu’のアイテムiに対する評価値を式(39)と予測する(ステップS680)。ユーザアイテム評価予測値計算機は、ユーザ番号u’、アイテム番号i、予測評価値(式(39)の左辺)をユーザアイテム評価予測値テーブル42に保存する(ステップS690)。
【0043】
【数13】
【0044】
上述の処理においては、アイテムiの特徴量を決定している、すなわち式(30)であるエキスパートについては、決定済みの特徴量をそのまま用いる方法を採用しているが、ユーザu(式(25))による特徴量知覚情報を用いて、決定済みの特徴量を補正する方法も考えられる。この方法を採用する場合は、上述の手順(1)と手順(2)を以下の手順に変更することもできる。
【0045】
手順(1)
U→E特徴量計算機24は、ユーザアイテム評価テーブル32、エキスパートアイテム評価テーブル34、U→E学習器テーブル36から必要な情報を読み込み、ユーザu(式(25))ごとに、すべてのエキスパートe(式(5))について、エキスパートeが知覚する特徴量を式(27)と予測する。
【0046】
手順(2)
続いて、U→E特徴量計算機24は、エキスパートアイテム評価テーブル34から必要な情報を読み込み、上記手順(1)で算出した式(28),式(25),式(5)を用いて、すべてのエキスパートe(式(5))について、アイテムiの特徴量(式(29))を決定する。構成方法としては、たとえば、式(28),式(25)の平均値を用いる方法、すなわち式(40)とする方法が考えられる。また、すでにアイテムiの特徴量を決定しているユーザ、すなわち式(30)であるユーザについては、式(33)の情報を加味して、式(41)とする方法も考えられる。
【0047】
【数14】
【0048】
なお、上述のシステムでは、複数のエキスパートによる特徴量決定を独立に扱う方法について説明したが、単一のエキスパートのみを考え、その特徴量は複数のエキスパートの平均値とする方法で構成しても構わない。
【0049】
(4)アイテム推薦
Webサーバ22は、ユーザ端末12からの要求に応じて、アイテム情報テーブル30とユーザアイテム評価予測値テーブル42から必要な情報を読み込み、アイテム予測値に基づいて、当該ユーザにアイテムを推薦する。
【0050】
B.具体例
B(1)ソムリエが特徴量を決定するワイン推薦システム
次に、本実施例のバーチャル評価システム20を用いた具体例としてソムリエが特徴量を決定するワイン推薦システムについて説明する。ワインの推薦システムでは、ワインの特徴量を甘み、酸味、苦味、渋み、余韻の5変数5段階で表現し、ワインの特徴量x(式(42))に対するユーザの評価z(式(43))を予測する。ワインの特徴量は、ソムリエが評価するべきであるが、ソムリエの数に限りがあり、ソムリエが評価できるワインの数にも限りがある。そこで、一般ユーザとソムリエの特徴量知覚の相関関係を利用して、ソムリエが評価していないワインの特徴量を仮想的に算出した上で、この情報から推薦対象ユーザの当該ワインに対する特徴量知覚を予測し、この情報から推薦対象ユーザに対する当該ワインの評価を予測する。
【0051】
【数15】
【0052】
(1)事前のワイン評価
本システムで取り扱うI個のワインの番号集合をI={1,…,I}とし、U人のユーザの番号集合をU={1,…,U}とする。E人のソムリエの番号集合をE={1,…,E}とする。ユーザu(式(44))は、ユーザ端末からWebサーバ22にアクセスし、評価を行いたいワインの番号i(式(45))をWebサーバ22に送り、当該ワインの情報提示を要求する。Webサーバ22は、アイテム情報テーブル30から当該ワインの情報を読み取り、ユーザに提示する。ユーザuは、当該ワインの特徴量x(式(46))とその評価値(式(47))を決定し、ワイン番号i、ユーザ番号uとともに、Webサーバ22に送付する。Webサーバ22は、送付されたユーザ番号、ワイン番号、特徴量、評価値をユーザアイテム評価テーブル32に保存する。
【0053】
【数16】
【0054】
ソムリエe(式(48))は、エキスパート端末14からWebサーバ22にアクセスし、評価を行いたいワインの番号i(式(49))をWebサーバ22に送り、当該ワインの情報提示を要求する。Webサーバ22は、アイテム情報テーブル30から当該ワインの情報を読み取り、ソムリエに提示する。ソムリエeは、当該ワインの特徴量y(式(50))を決定し、ワイン番号i、ソムリエ番号eとともに、Webサーバ22に送付する。Webサーバ22は、送付されたソムリエ番号、ワイン番号、特徴量をエキスパートアイテム評価テーブル34に保存する。
【0055】
【数17】
【0056】
(2)学習
ユーザu(式(44))が特徴量を決定したワイン番号集合を式(51)とし、その特徴量を式(46),式(52)、その評価を式(47),式(52)とする。ソムリエe(式(48))が特徴量を決定したワイン番号集合を式(53)とし、その特徴量を式(50), 式(54)とする。
【0057】
【数18】
【0058】
手順(1)
U→E特徴量計算機24は、ユーザアイテム評価テーブル32とエキスパートアイテム評価テーブル34から必要な情報を読み込み、ユーザu(式(44))とソムリエe(式(48)のすべての組み合わせについて、特徴量知覚の相関関係を学習する。ユーザuとエキスパートeの両者が特徴量を決定しているワイン番号集合を式(55)とする。ユーザuが決定したワインの特徴量(式(56),式(57))を入力すると、ソムリエeが決定した同じワインの特徴量(式(58),式(59))を出力するように、入出力関係(式(60))を、シグモイド関数を活性化関数とした階層型ニューラルネットワークを用いて学習する。U→E特徴量計算機24は、ユーザ番号u、エキスパート番号e、学習器のパラメータとして、中間層数、中間層ニューロン数、ニューロン間の重み、活性化関数の閾値をU→E学習器テーブル36に保存する。
【0059】
【数19】
【0060】
手順(2)
E→U特徴量計算機26は、ユーザアイテム評価テーブル32とエキスパートアイテム評価テーブル34から必要な情報を読み込み、ユーザu(式(44))とソムリエe(式(48))のすべての組み合わせについて、上述の式(60)の逆関数を学習する。すなわち、ソムリエeが決定したワインの特徴量((式(58),式(59))を入力すると、ユーザuが決定した同じワインの特徴量(式(56),式(57))を出力するように、入出力関係(式(61))を、シグモイド関数を活性化関数とした階層型ニューラルネットワークを用いて学習する。E→U特徴量計算機26は、ユーザ番号u、エキスパート番号e、学習器のパラメータとして、中間層数、中間層ニューロン数、ニューロン間の重み、活性化関数の閾値をE→U学習器テーブル38に保存する。
【0061】
【数20】
【0062】
手順(3)
ユーザアイテム評価予測値計算機28は、ユーザアイテム評価テーブル32から必要な情報を読み込み、すべてのユーザu(式(44))について、ユーザuが知覚したワインi(式(52))の特徴量(式(56))を入力すると、その評価(式(62))を出力するように、入出力関係(式(63))を、ラジアル基底関数ネットワークを用いて学習する。ユーザアイテム評価予測値計算機28は、ユーザ番号u、学習器のパラメータとして、中間層ニューロン数、基底関数の中心、基底関数の半径、基底関数と出力層間の重みをユーザアイテム評価予測器テーブル40に保存する。
【0063】
【数21】
【0064】
(3)予測
つぎに、本システムを用いて、ユーザu’(式(64))にとって未知のワインi(式(65))の評価を予測する手順を説明する。なお、いずれかのユーザによって、ワインiの特徴量が決定されており、そのユーザ番号集合を式(66)とする。すべてのソムリエのうち、アイテムの特徴量を決定しているソムリエの番号集合を式(67)とする。
【0065】
【数22】
【0066】
手順(1)
U→E特徴量計算機24は、ユーザアイテム評価テーブル32、エキスパートアイテム評価テーブル34、U→E学習器テーブル36から必要な情報を読み込み、ユーザu(式(68))ごとに、ワインiの特徴量を決定していないすべてのソムリエe(式(69))について、ソムリエeが知覚する特徴量を式(70)と予測する。
【0067】
【数23】
【0068】
手順(2)
U→E特徴量計算機24は、エキスパートアイテム評価テーブル34から必要な情報を読み込み、上記手順(1)で算出した式(71),式(68),式(69)を用いて、すべてのソムリエe(式(48))について、ワインiの特徴量(式(72))を決定する。すでにワインiの特徴量を決定しているソムリエe(式(73))については、式(74)とする。ワインiの特徴量を決定していないソムリエe(式(69))については、ユーザの知覚情報から予測した式(71),式(68)を用いて、式(75)とする。
【0069】
【数24】
【0070】
手順(3)
E→U特徴量計算機26は、E→U学習器テーブル38から必要な情報を読み込み、上記手順(2)で算出した特徴量(式(27),式(48))を用いて、ユーザu’のワインiに対する特徴量知覚を式(76)と予測する。
【0071】
【数25】
【0072】
手順(4)
E→U特徴量計算機26は、上記手順(3)で算出した式(77),式(48)を用いて、一般ユーザu’のワインiに対する特徴量知覚を式(78)と決定する。
【0073】
【数26】
【0074】
手順(5)
ユーザアイテム評価予測値計算機28は、ユーザアイテム評価予測器テーブル40から必要な情報を読み込み、上記手順(4)で算出した式(79)を用いて、ユーザu’のワインiに対する評価を式(80)と予測する。ユーザアイテム評価予測値計算機28は、ユーザ番号u’、ワイン番号i、予測評価値(式(81))をユーザアイテム評価予測値テーブル42に保存する。
【0075】
【数27】
【0076】
(4)ワイン推薦
Webサーバ22は、ユーザ端末12からの要求に応じて、アイテム情報テーブル30とユーザアイテム評価予測値テーブル42から必要な情報を読み込み、ワイン予測値に基づいて、当該ユーザにワインを推薦する。
【0077】
B(2)センサが特徴量を決定するワイン推薦システム
次に、ワインなどの食品の味覚をセンシングする技術について考える。食品に対する味覚を定量的に計測することが可能であるが、計測に対する時間的、金銭的コストが大きく、市場に出回っているワインすべてを測定することは難しい。そこで、代表的なワインを集めたベンチマークワインを考え、ベンチマークワインについて事前にセンシングを行い、一般ユーザとセンサによる特徴量知覚の相関係数を利用して、センサが評価していないワインの特徴量を仮想的に算出した上で、この情報から推薦対象ユーザの当該ワインに対する特徴量知覚を予測し、この情報から推薦対象ユーザに対する当該ワインの評価を予測する。
【0078】
(1)事前のワイン評価
本システムで取り扱うI個のワインの番号集合をI={1,…,I}とし、U人のユーザの番号集合をU={1,…,U}とする。センシング済みのベンチマークワイン番号集合を式(81A)とし、その特徴量を式(82),式(83)とする。センシング済みのベンチマークワインの特徴量は、すべてエキスパートアイテム評価テーブル34に入力済みであるものとする。
【0079】
【数28】
【0080】
ユーザu(式(84))は、ユーザ端末からWebサーバ22にアクセスする。ベンチマークワインの情報未入力の場合は、Webサーバ22は、アイテム情報テーブル30からベンチマークワインの情報を読み取り、ユーザに評価値を入力するように促す。ユーザuは、ベンチマークワインの特徴量(式(84),式(85))とその評価値式((86),式(85))を決定し、ワイン番号i、ユーザ番号uとともに、Webサーバ22に送付する。Webサーバ22は、送付されたユーザ番号、ワイン番号、特徴量、評価値をユーザアイテム評価テーブル32に保存し、当該ユーザのベンチマークワイン情報入力フラグを入力済みとする。なお、ユーザはすべてのベンチマークワインの情報を入力する必要はない。ベンチマークワインの情報を入力済みの場合は、評価を行いたいワインの番号i(式(87))をWebサーバ22に送り、当該ワインの情報提示を要求する。Webサーバ22は、アイテム情報テーブル30から当該ワインの情報を読み取り、ユーザに提示する。ユーザuは、当該ワインの特徴量(式(85))とその評価値(式(86))を決定し、ワイン番号i、ユーザ番号uとともに、Webサーバ22に送付する。Webサーバ22は、送付されたユーザ番号、ワイン番号、特徴量、評価値をユーザアイテム評価テーブル32に保存する。
【0081】
【数29】
【0082】
(2)学習
ユーザu(式(88))が特徴量を決定したワイン番号集合式を(89)とし、その特徴量を式(85),式(90)、その評価を式(86),式(90)とする。
【0083】
【数30】
【0084】
手順(1)
U→E特徴量計算機24は、ユーザアイテム評価テーブル32とエキスパートアイテム評価テーブル34から必要な情報を読み込み、すべてのユーザu(式(91))について、センサとの特徴量知覚の相関関係を学習する。ベンチマークワインのうち、ユーザuが特徴量を決定しているワイン番号集合を式(92)とする。ユーザuが決定したワインの特徴量(式(93),式(94))を入力すると、ベンチマークワインの特徴量(式(95),式(94))を出力するように、入出力関係(式(96))を、シグモイド関数を活性化関数とした階層型ニューラルネットワークを用いて学習する。U→E特徴量計算機24は、ユーザ番号i、学習器のパラメータとして、中間層数、中間層ニューロン数、ニューロン間の重み、活性化関数の閾値をU→E学習器テーブル36に保存する。
【0085】
【数31】
【0086】
手順(2)
E→U特徴量計算機26は、ユーザアイテム評価テーブル32とエキスパートアイテム評価テーブル34から必要な情報を読み込み、すべてのユーザu(式(91))について、上述の式(96)の逆関数を学習する。すなわち、ベンチマークワインの特徴量(式(95),式(94))を入力すると、ユーザuが決定した同じワインの特徴量(式(93),式(94))を出力するように、入出力関係(式(97))を、シグモイド関数を活性化関数とした階層型ニューラルネットワークを用いて学習する。E→U特徴量計算機26は、ユーザ番号u、学習器のパラメータとして、中間層数、中間層ニューロン数、ニューロン間の重み、活性化関数の閾値をE→U学習器テーブル38に保存する。
【0087】
【数32】
【0088】
手順(3)
ユーザアイテム評価予測値計算機28は、ユーザアイテム評価テーブル32から必要な情報を読み込み、すべてのユーザu(式(91)について、ユーザuが知覚したワイン(式(90))の特徴量(式(93))を入力すると、その評価(式(98))を出力するように、入出力関係(式(99))を、ラジアル基底関数ネットワークを用いて学習する。ユーザアイテム評価予測値計算機28は、ユーザ番号u、学習器のパラメータとして、中間層ニューロン数、基底関数の中心、基底関数の半径、基底関数と出力層間の重みをユーザアイテム評価予測器テーブル40に保存する。
【0089】
【数33】
【0090】
(3)予測
つぎに、本システムを用いて、ユーザu’(式(100))にとって未知のワインi(式(101))の評価を予測する手順を説明する。なお、いずれかのユーザによって、ワインの特徴量が決定されており、そのユーザ番号集合を式(102)とする。
【0091】
【数34】
【0092】
手順(1)
U→E特徴量計算機24は、エキスパートアイテム評価テーブル34から必要な情報を読み込み、もし式(83)、すなわちワインiがベンチマークワインに含まれているならば、式(103)とし、以下の手順(2)をスキップして手順(3)に進む。式(104)であれば、U→E特徴量計算機24は、ユーザアイテム評価テーブル32、U→E学習器テーブル36から必要な情報を読み込み、ユーザu(式(105))ごとに、センサが知覚する特徴量を式(106)と予測する。
【0093】
【数35】
【0094】
手順(2)
E→U特徴量計算機26は、手順(1)で算出した式(107),式(105)用いて、式(108)とする。
【0095】
【数36】
【0096】
手順(3)
E→U特徴量計算機26は、E→U学習器テーブル38から必要な情報を読み込み、手順(2)までに算出した特徴量(式(109))を用いて、ユーザu’のワインiに対する特徴量知覚を式(110)と予測する。
【0097】
【数37】
【0098】
手順(4)
ユーザアイテム評価予測値計算機28は、ユーザアイテム評価予測器テーブル40から必要な情報を読み込み、手順(3)で算出した式(111)を用いて、ユーザu’のワインiに対する評価を式(112)と予測する。ユーザアイテム評価予測値計算機28は、ユーザ番号u’、ワイン番号i、予測評価値(式(113))をユーザアイテム評価予測値テーブル42に保存する。
【0099】
【数38】
【0100】
(4)ワイン推薦
Webサーバ22は、ユーザ端末12からの要求に応じて、アイテム情報テーブル30とユーザアイテム評価予測値テーブル42から必要な情報を読み込み、ワイン予測値に基づいて、当該ユーザにワインを推薦する。
【0101】
B(3)その他
本システムは、特徴量を算定可能なアイテムのリコメンデーション全般に適用可能で、とくに、正確に特徴量を決定可能なエキスパートないしは(コストの大きい)センサが存在する一方で、一般ユーザが特徴量知覚を行うと、その基準がユーザごとに異なる場合に有用である。たとえば、本システムは、上述のワインをはじめとする酒類(ビール、日本酒、焼酎など)のリコメンデーション、チーズなどの食品のリコメンデーション、香水のリコメンデーション、レビューをもとにした映画のリコメンデーション、レビューをもとにした化粧品のリコメンデーション等に応用可能である。
【0102】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、バーチャル評価システムの製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0104】
12 ユーザ端末、14 エキスパート端末、20 バーチャル評価システム、22 Webサーバ、24 ユーザ・エキスパート特徴量計算機(U→E特徴量計算機)、26 エキスパート・ユーザ特徴量計算機(E→U特徴量計算機)、28 ユーザアイテム評価予測値計算機、30 アイテム情報テーブル、32 ユーザアイテム評価テーブル、34 エキスパートアイテム評価テーブル、36 ユーザ・エキスパート学習器テーブル(U→E学習器テーブル)、38 エキスパート・ユーザ学習器テーブル(E→U学習器テーブル)、40 ユーザアイテム評価予測器テーブル、42 ユーザアイテム評価予測値テーブル。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8