(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-606(P2018-606A)
(43)【公開日】2018年1月11日
(54)【発明の名称】排泄可能な折りたたみ式車椅子
(51)【国際特許分類】
A61G 5/10 20060101AFI20171208BHJP
A61G 5/08 20060101ALI20171208BHJP
A61G 5/04 20130101ALI20171208BHJP
【FI】
A61G5/10 704
A61G5/08 702
A61G5/04 702
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-132421(P2016-132421)
(22)【出願日】2016年7月4日
(71)【出願人】
【識別番号】516037051
【氏名又は名称】▲頼▼ 振標
(71)【出願人】
【識別番号】516037062
【氏名又は名称】▲頼▼ ▲てい▼玉
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】▲頼▼ 振標
(72)【発明者】
【氏名】▲頼▼ ▲てい▼玉
(57)【要約】 (修正有)
【課題】身体が不自由な者が車椅子上で直接用を足し、洗浄を行える折り畳み式車椅子を提供する。
【解決手段】シート40の中間に排出口41及びシートの底面に設置される排泄装置60が設けられる。排泄装置は、その上にクッション63が各々設置され、閉合される場合、2つのクッションが平行状を呈して排出口内に突出される2枚の遮蔽板と、互いに対向し合って対応するように2枚の遮蔽板に設置され、作動により2枚の遮蔽板が閉合状態になって排出口が閉じられ、展開されて排出口が開かれて使用される2つのブレーキ部材64と、2枚の遮蔽板に掛けられ、2枚の遮蔽板が下に向けて展開される場合、同期して開口部が開かれて、排泄物を受け取るために使用される受け取りバッグと、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
後端には2つのグリップを有し、二側には肘掛け部をそれぞれ有する折り畳み可能な車椅子のフレームと、
前記車椅子のフレームに枢接され、交差して枢接される複数の折り畳みフレームを有し、
前記車椅子のフレームが堅固に展開されて定位されるか折り畳まれる折り畳みユニットと、
前記車椅子のフレームの間に連結される折り畳み可能なシートと、
前記車椅子のフレームの背もたれ棒に装設される折り畳み可能な背もたれマットと、
前記車椅子のフレームの外側にそれぞれ枢着される2つの駆動輪と、
前記車椅子のフレームの前端の下方にそれぞれ枢接される2つのキャスターと、を備える排泄可能な折り畳み式車椅子であって、
前記シートの中間の人体の臀部に適合される位置には、
排出口と、
前記シートの底面に設置される排泄装置と、が設置され、
また、前記排泄装置は、
互いに対向し合って対称を呈するように前記排出口の下方に併設され、且つその面積は前記排出口より大きい2枚の遮蔽板であって、前記2枚の遮蔽板の外側はピボット部材により前記シートの底面に結合され、隣接する2つの内側は自由端を呈し、前記ピボット部材を回転軸として下に向けて展開されるか互いに対向して閉合される状態になり、また、前記2枚の遮蔽板の上表面にはクッションが各々設置され、且つ前記2枚の遮蔽板が閉合される場合、前記2つのクッションが平行状を呈して前記排出口内に突出されることと、
互いに対向し合って対応するように前記2枚の遮蔽板の底面及び二側に設置され、前記2枚の遮蔽板の閉合或いは展開の制御に用いられ、三段のリンクポールで構成されるリンクポールセットを含む2つのブレーキ部材であって、前記リンクポールセットの第一リンクポールセットの内側は第一ピン継手部材により前記2枚の遮蔽板の内側の底端に連結され、第二リンクポールセットの内側及び前記第一リンクポールセットの外側は第二ピン継手部材により枢接状態を呈し、且つ前記第二ピン継手部材は前記シートの底面に設置される横方向スライダー上で左右方向に移動され、第三リンクポールセットの底側及び前記第二リンクポールセットの外側は枢接状態を呈し、且つ前記第三リンクポールセットは前記肘掛け部に設置される縦方向スライダー上で上下方向に移動され、引かれるか押される作動により前記第三リンクポールセットが上下に移動され、これにより前記2枚の遮蔽板が閉合状態になって前記排出口が閉じられ、或いは展開されて前記排出口が開かれて用を足すために使用されることと、
配列状態を呈して前記2枚の遮蔽板の内側の底端に設置される複数のフックと、
防水性材質で構成され、開口部を有し、且つ前記開口部の二側の前記フックに対する位置には複数のフック穴が設けられ、前記2枚の遮蔽板の内側の底端に掛けられると共に前記2枚の遮蔽板が下に向けて展開されると、同期して前記開口部が開かれて、排泄物を受け取るために使用される受け取りバッグとをさらに含むことを特徴とする排泄可能な折り畳み式車椅子。
【請求項2】
前記シートの下底の折り畳みフレームに設置されると共に前記排出口に向けられるスプレーヘッドと、
前記車椅子のフレームに分離可能に掛着され、排水口が圧力ポンプに連結される貯水ボトルと、
その一端が前記圧力ポンプに連結され、他端が前記スプレーヘッドに連結される導水管と、
を備える洗浄装置をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の排泄可能な折り畳み式車椅子。
【請求項3】
前記折り畳みフレームの交差するピン継手軸の上方にはそれぞれ枢着される2枚の板体をさらに備え、且つ前記2枚の板体の上端は中空ピボットにより相互に枢接され、前記洗浄装置の導水管は前記中空ピボットを貫通させた後に前記スプレーヘッドに連結されることを特徴とする請求項2に記載の排泄可能な折り畳み式車椅子。
【請求項4】
前記背もたれマットの後側面には受け座及び面ファスナーをさらに備え、前記貯水ボトルの底部が前記受け座に覆設された後、前記面ファスナーにより前記貯水ボトルが緊縛されることを特徴とする請求項2に記載の排泄可能な折り畳み式車椅子。
【請求項5】
前記貯水ボトルの一側辺には前記圧力ポンプの納置に用いられる第一凹部が形成され、且つ前記貯水ボトルの他側辺には、電池セットが装設されて前記圧力ポンプに電源が提供される第二凹部がさらに形成されることを特徴とする、請求項4に記載の排泄可能な折り畳み式車椅子。
【請求項6】
前記第三リンクポールセットの上端には連結される把持板をさらに備え、且つ前記第三リンクポールセットの下端は前記車椅子のフレームの対応する位置に設けられる縦方向案内孔を貫通させることを特徴とする請求項1に記載の排泄可能な折り畳み式車椅子。
【請求項7】
前記受け取りバッグの開口部の端には1つ以上のジッパーバッグがさらに設けられることを特徴とする請求項1に記載の排泄可能な折り畳み式車椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体が不自由な者が車椅子の上で直接用を足せる排泄可能な折り畳み式車椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢化の時代に突入したことで、身体が不自由な者にとっては移動のための車椅子が欠かせなくなり、このため市場では各種の車椅子が開発され、様々な使用者の需要を満たしている。
【0003】
図1は従来の車椅子10を示す外観斜視図である。携帯性及び収納空間を考慮し、この種の折り畳み式車椅子10の多くは、対称を呈する2つのフレーム11の間にX字型を呈する折り畳みフレーム12が枢着されており、且つ各フレーム12の二側には駆動輪13がそれぞれ設置され、フレーム11の前方の底部にはキャスター14が設置され、2つのフレーム11の間にはシート15が水平に設置され、フレーム11の後上方には背もたれ棒16が設置され、背もたれ棒16の上端にはグリップ17が装設され、2つの背もたれ棒16の間には背もたれマット18が覆設されている。
【0004】
車椅子が長距離運送されるか収納される場合、車椅子の折り畳みフレームの折り畳み構造が利用されて、2つのフレームの間の距離が縮小されて車椅子全体の体積が小さくなり、運送し易くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】台湾特許出願第M382122号明細書
【特許文献2】台湾特許出願第M388932号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した従来の車椅子では、身体が不自由な者が用を足す場合、車椅子10をトイレまで押して行かねば、用を足すことができなかった。さらに、患者の両脚が不自由な場合、看護婦や家族が抱え上げてトイレの上に座らせねばならず、家族や患者にとっては非常に困難であった。
【0007】
特許文献1に記載されている排泄可能な折り畳み式車椅子10A(
図2A及び
図2B参照)は、上記の従来の車椅子10との差異は、車椅子のフレーム120が前記2本の可動ポール121に装設され、前記車椅子のフレーム120の上方にはシート130が装設され、下方には受け取り便器140が装設され、これによって使用者が車椅子10A上で用を足せるようになる点である。
然しながら、このような構造設計では、使用者が車椅子10Aの上で直接用を足すことはできるが、但し、シート130がプラスチックで成形されており、且つ排泄穴131を有するため、車椅子10Aを折り畳む際にはシート130及び受け取り便器140を取り外さなければならず、使用上不便であった。さらに、シート130の排泄穴131は固定された開口ではあるため、使用者が車椅子10Aの上で用を足すのではなく、
図1に示すような一般的な車椅子10として使用する場合、不便で実用的ではなかった。
このような特許は、例えば、特許文献2に記載されている「便座機能を有する組み合わせ車椅子の構造」など前案を参照する。従来の受け取り便器或いは便器機能が付加される車椅子はどれも、取り外し及び装設が不便であるという問題点が存在し、このため改善の余地がある。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、排泄可能な折り畳み式車椅子を提供することを主目的とする。すなわち、身体が不自由な者が車椅子上で直接用を足すことができ、且つ平時では一般的な車椅子として使用でき、運搬するのが便利になる排泄可能な折りたたみ式車椅子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る排泄可能な折り畳み式車椅子は、折り畳み可能な車椅子のフレーム及び前記車椅子のフレームの間に連結される折り畳み可能なシートを備える。前記シートの中間には排出口及びシートの底面に設置される排泄装置が設置される。排泄装置は、上表面にクッションが各々設置され、且つ閉合される場合、前記2つのクッションが平行状を呈して排出口内に突出される2枚の遮蔽板と、互いに対向し合って対応するように2枚の遮蔽板の底面及び二側に設置され、引かれるか押される作動により前記2枚の遮蔽板が閉合状態になって排出口が閉じられ、或いは展開されて排出口が開かれて用を足すために使用される2つのブレーキ部材と、2枚の遮蔽板の内側の底端に掛けられ、且つ前記2枚の遮蔽板下に向けて展開されると、同期して開口部が開かれ、排泄物を受け取るために使用される受け取りバッグと、を含む。
【0010】
上記の技術手段により、本発明は、平時には一般的な車椅子と同じようになり、折り畳み可能であり、車で運搬できる。使用者が用を足す場合、車椅子の上で直接操作し、排泄装置を開いくことで用を足せるようになる。さらに、洗浄装置により使用者の臀部が洗浄されるため、患者が車椅子から下りたり座ったりする必要がなく、自力で排泄及び洗浄を行える。患者の尊厳が守られる上に利便性も向上し、且つ看護婦や家族にとっても負担が軽減される、人に優しい設計の車椅子である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2A】従来の排泄可能な折り畳み式車椅子を示す分解斜視図である。
【
図2B】従来の排泄可能な折り畳み式車椅子を示す構成図である。
【
図3】本発明の一実施形態による排泄可能な折り畳み式車椅子を示す外観斜視図であり、正面から見た斜視図。
【
図4A】本発明の一実施形態による排泄可能な折り畳み式車椅子を示す外観斜視図であり、後面から見た斜視図。
【
図4B】
図4Aに示す洗浄装置から取り外される分解斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態による洗浄装置を他の角度から見た外観斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態による洗浄装置を示す断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態による排泄装置を示す展開図である。
【
図7A】
図7に示す受け取りバッグの開口部を示す断面図である。
【
図7B】
図7Aに示す受け取りバッグの開口部が密接となる断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態による排泄装置を示す構成図である。
【
図9A】本発明の一実施形態による底部を示す外観斜視図であり、排泄装置が閉合状態となる。
【
図9B】本発明の一実施形態による排泄装置が閉鎖状態となり、受け取りバッグを掛けない底面図である。
【
図9C】本発明の一実施形態による排泄装置が閉合状態となる平面図である。
【
図9D】本発明の一実施形態による排泄装置が閉合状態となり、受け取りバッグを掛けない前面図である。
【
図10A】本発明の一実施形態による排泄装置が閉合状態となる概略図である。
【
図10B】本発明の一実施形態による排泄装置が閉合状態となる概略図である。
【
図11】本発明の一実施形態による底部を示す外観斜視図であり、排泄装置が受け取りバッグを掛けて開放されないである。
【
図12】本発明の一実施形態による底部を示す外観斜視図であり、受け取りバッグを掛けて開放されたである。
【
図13】本発明の一実施形態による排泄装置及び受け取りバッグが共に開放される外観斜視図である。
【
図14】本発明の一実施形態が折り畳まれる外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明における好適な実施形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【0013】
(一実施形態)
以下、本発明の排泄可能な折り畳み式車椅子90を
図3〜10Bに基づいて説明する。好ましい実施形態によると、後端には2つのグリップ21を有し、二側には肘掛け部22をそれぞれ有する折り畳み可能な車椅子のフレーム20と、前記車椅子のフレーム20に枢接され、交差して枢接される複数の折り畳みフレーム31を有し、前記車椅子のフレーム20が堅固に展開されて定位されるか折り畳まれる折り畳みユニット30と、前記車椅子のフレーム20の間に連結される折り畳み可能なシート40と、前記車椅子のフレーム20の背もたれ棒23に装設される折り畳み可能な背もたれマット50と、前記車椅子のフレーム20の外側にそれぞれ枢着される2つの駆動輪24と、前記車椅子のフレーム20の前端の下方にそれぞれ枢接される2つのキャスター25とを備える。しかしながら、上記の構成は車椅子の先行技術(prior art)に属し、本発明の特許の目標ではないため、詳述は省く。ここで、「枢接」とは、ピン等で連結されていることである。また、「枢着」とは、回転可能な状態で取り付けられていることである。
【0014】
本発明の主な特徴は、前記シート40の中間には人体の臀部に適合される位置に、排出口41及び前記シート40の底面に設置される排泄装置60が設置される。前記排泄装置60は以下の部材を備える。
【0015】
図7、
図8に示すように、2枚の遮蔽板61は、互いに対向し合って対称を呈して前記排出口41の下方に併設され、前記2枚の遮蔽板61はプラスチック板で構成され、且つ面積が前記排出口41より大きく、前記2枚の遮蔽板の61の外側はピボット部材62により前記シート40の底面に結合される。本実施形態において、前記ピボット部材62はリベット42により前記シート40の底面に結合されるが、但しこれに限定されない。2枚の遮蔽板61の隣接する2つの内側611は自由端を呈し、前記ピボット部材62を回転軸として下に向けて展開されるか上に向けて閉合状態になる。また、前記2枚の遮蔽板61の上表面にはクッション63が各々設置され、且つ前記2枚の遮蔽板61が閉合される場合、前記2つのクッション63は平行状を呈して前記排出口41内に突出される。前記クッション63は前記排出口41と平坦になるか、やや高くなる。
【0016】
2つのブレーキ部材64は、互いに対向し合って対応するように前記2枚の遮蔽板61の底面及び二側に設置される(
図10A及び
図10B参照)。前記2つのブレーキ部材64により前記2枚の遮蔽板61が制御されて閉合或いは展開される概略図を図示し、同時に他の図も示す。前記ブレーキ部材64は、三段或いは三段以上のリンクポールで構成されるリンクポールセット640を備え、前記リンクポールセット640の第一リンクポールセット641の内側は第一ピン継手部材65により前記2枚の遮蔽板61の内側の底端に連結され、第二リンクポールセット642の内側及び前記第一リンクポールセット641の外側は第二ピン継手部材66により枢接状態を呈し、且つ前記第二ピン継手部材66は前記シート40の底面に設置される横方向スライダー67で左右方向に移動される。本実施形態において、前記第二ピン継手部材66は前記横方向スライダー67上で移動されるスライダー661を有する。第三リンクポールセット643の底側及び前記第二リンクポールセット642の外側はピン継手644であり、且つ前記第三リンクポールセット643は前記肘掛け部22に設置される縦方向スライダー68中で上下方向に移動される。
【0017】
本実施形態において、前記第三リンクポールセット643の上端には連結される把持板26をさらに備え、且つ前記第三リンクポールセット643の下端により前記車椅子のフレーム20の対応する位置に設けられる縦方向案内孔27が貫通される。
図10Bに示すように、前記把持板26が下に向けて押されると、前記第三リンクポールセット643が下に向けて移動され、さらに第二リンクポールセット642及び前記第一リンクポールセット641が引かれると外に向けて移動される。これにより、前記2枚の遮蔽板61が連動されて前記ピボット部材62を回転軸として下に向けて展開され、前記排出口41が開かれて用を足すために使用される。反対に、前記把持板26が上に向けて引かれると、前記第三リンクポールセット643が上に移動され、さらに第二リンクポールセット642及び前記第一リンクポールセット641が押されて内に向けて移動され、前記2枚の遮蔽板61が前記ピボット部材62を回転軸として上に向けて立ち上げられ、
図10Bに示す状態に戻り、閉合状態になって前記排出口41が閉じられる。
【0018】
本発明は2つのブレーキ部材64により2枚の遮蔽板61が制御されて排出口41上で閉合状態になるか、或いは下に向けて展開され、且つ2つのブレーキ部材64が互いに対向し合って対応するように前記シート40及び2つの肘掛け部22に設置される。このため、使用者が操作する上で非常に便利になる。
【0019】
複数のフック69は、配列状態で前記2枚の遮蔽板61の内側の底端に固設され、且つ対になって相互に対向するように設置される。受け取りバッグ70は(
図7、
図7A参照)、ビニール袋等の防水性を有する材質である防水性材質で構成され、その上方には開口部71を有し、且つ前記開口部71の二側には前記フック69に対する位置に複数のフック穴72が設けられる。前記受け取りバッグ70が前記2枚の遮蔽板61の内側の底端に掛けられて、前記2枚の遮蔽板61が下に向けて展開されると、同期して前記開口部71が開かれ(
図12及び
図10B参照)、使用者の排泄物を受け取るために使用される。本実施形態において、前記受け取りバッグ70の開口部71の端には2つのジッパーバッグ73が設けられ、すなわちフック穴72の上方及び下方に設けられ、フック穴72の強度が増強されるのみならず、
図7Bに示すように、使用後に開口部71を密接に閉合させるのが簡単になる。
図3から
図10Aに示す本発明に係る排泄装置60は、前記受け取りバッグ70が前記2枚の遮蔽板61の内側の底端のフック69に掛けられておらず、各部材の構造及び作動状況を明確に表示する。
【0020】
このほか、本実施形態において、前記背もたれ棒23の中段箇所には折曲可能な関節部材231が設置されるが、但しこれに制限されないが、これにより、車椅子が折り畳まれる場合、前記背もたれ棒23がさらに折曲されて高さが低くなる。
図11には前記受け取りバッグ70が前記2枚の遮蔽板61の内側の底端に掛けられる概略図を図示する。前記2枚の遮蔽板61が閉合状態になって前記排出口41が閉じられる(
図11には図示せず)と、本発明に係る排泄可能な折り畳み式車椅子90は、一般的な車椅子と同じようになり、機能面でも何ら影響はない。車椅子に座って患者が用を足す場合、患者は排泄可能な折り畳み式車椅子90から離れずとも、看護婦または患者自身で前記把持板26を使用して第三リンクポールセット643を押して下に向けて移動させ、前記2枚の遮蔽板61を下に向けて展開させる。すなわち、
図10B、
図12及び
図13に示すように、前記2枚の遮蔽板61が下に向けて展開されると、同期して前記受け取りバッグ70が開かれ、患者がすぐに車椅子上で直接排泄できるようになる。さらには、患者が外出する場合、車椅子を車に載せると、本発明が
図14に示すような折り畳まれた状態になり、車で運搬するのに便利になる。
【0021】
図4ないし
図6に示すように、本発明には洗浄装置80がさらに設置され、使用者の臀部の洗浄に用いられる。洗浄装置80は、前記シート40の下底の前記折り畳みフレーム31に設置されると共に前記排出口41に向けられるスプレーヘッド81と、前記車椅子のフレーム20に分離可能に掛着され、その排水口821が圧力ポンプ83に連結される貯水ボトル82と、一端が前記圧力ポンプ83に連結され、他端が前記スプレーヘッド81に連結される導水管84とを備える。
【0022】
本実施形態において、前記折り畳みフレーム31の交差する交差ピン継手軸32の上方にはそれぞれ枢着される2枚の板体33をさらに備え、且つ前記2枚の板体33の上端は中空ピボット34により相互に枢接される(
図9D参照)。前記洗浄装置80の導水管84は前記中空ピボット34を貫通させた後に前記スプレーヘッド81に連結される。前記スプレーヘッド81は折り畳みフレーム31の交差ピン継手軸32の上方に設置され、前記2枚の遮蔽板61が下に向けて展開されると、前記受け取りバッグ70が開かれた後に前記排出口41の下方に発生する空間で臀部の洗浄が行われる。
【0023】
上述したように、
図4ないし
図6に示すように、前記背もたれマット50の後側面には受け座51及び面ファスナー52をさらに備える。前記受け座51は画布或いは弾性布で製造され、内側端511、521は前記背もたれマット50の後側面に縫製され、面ファスナー52は一般的な市販の肩ひもや自動車のシートベルトで構成される。前記貯水ボトル82の底部が前記受け座51に覆設され、前記面ファスナー52により前記貯水ボトル82が緊縛され、前記貯水ボトル82に水が入っていない場合、面ファスナー52を剥がすのみで洗浄用水を補充できる。また、前記貯水ボトル82の一側辺には前記圧力ポンプ83の納置に用いられる第一凹部822が形成され、且つ前記貯水ボトル82の他側辺には、電池セット85が装設されて前記圧力ポンプ83に電源が提供される第二凹部823がさらに形成される。こうして、本発明に係る車椅子は、用を足す以外に、車椅子上で直接自動的に洗浄が行われる。
【0024】
本発明に係る排泄装置60の2枚の遮蔽板61は互いに対向し合って対応するように前記シート40の底面に設置され、且つ2つのブレーキ部材64は互いに対向し合って対応するように前記シート40及び車椅子のフレーム20の二側に設置される。すなわち、本発明に係る排泄装置60は、車椅子の正常な機能に影響を与えずに、その構造設計を従来の車椅子に融合させることで、平時では一般的な車椅子として使用でき、その上、外出するために車に乗せると、
図14に示すように折り畳まれるため、車で運搬するのが便利になる。また、使用者が用を足す場合、車椅子上で直接操作して排泄装置60を開いて用を足すことができる。さらには、洗浄装置80により使用者の臀部が洗浄されるため、患者が車椅子から下りたり座ったりする必要が全くなく、自力で排泄及び洗浄が行えるため、患者の尊厳を護りつつも利便性が向上し、且つ看護婦や家族にとっても負担が軽減されるという、人に優しい設計の車椅子である。
【0025】
上述の実施形態は本発明の技術思想及び特徴を説明するためのものにすぎず、当該技術分野を熟知する者に本発明の内容を理解させると共にこれをもって実施させることを目的とし、本発明の特許請求の範囲を限定するものではない。従って、本発明の精神を逸脱せずに行う各種の同様の効果をもつ改良または変更は、後述の請求項に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0026】
20 車椅子のフレーム、
21 グリップ、
22 肘掛け部、
23 背もたれ棒、
231折曲可能な関節部材、
24 駆動輪、
25 キャスター、
26 把持板、
27 縦方向案内孔、
30 折り畳みユニット、
31 折り畳みフレーム、
32 ピン継手軸、
33 板体、
34 中空ピボット、
40 シート、
41 排出口、
42 リベット、
50 背もたれマット、
51 受け座、
511 内側端、
52 面ファスナー、
521 内側端、
60 排泄装置、
61 遮蔽板、
611 内側、
62 ピボット部材、
63 クッション、
64 ブレーキ部材、
640 リンクポールセット、
641 第一リンクポールセット、
642 第二リンクポールセット、
643 第三リンクポールセット、
644 ピン継手、
65 第一ピン継手部材、
66 第二ピン継手部材、
661 スライダー、
67 横方向スライダー、
68 縦方向スライダー、
69 フック、
70 受け取りバッグ、
71 開口部、
72 フック穴、
73 ジッパーバッグ、
80 洗浄装置、
81 スプレーヘッド、
82 貯水ボトル、
821 排水口、
822 第一凹部、
823 第二凹部、
83 圧力ポンプ、
84 導水管、
85 電池、
90 排泄可能な折り畳み式車椅子。