【解決手段】乗員影響度推定システム100は、自車両50の車速を検出する車速センサ5と、自車両50と物体とが衝突したと判定された場合に、衝突時の車速を含む衝突情報を取得する衝突情報取得部12と、衝突情報に基づいて、予め設定された演算式により、衝突による乗員への影響度を推定する乗員影響度推定部41と、を備える。乗員影響度推定部41は、衝突情報に基づいて、予め設定された頭部用の演算式により、衝突による乗員の頭部への影響度を推定し、衝突情報に基づいて、予め設定された胸部用の演算式により、衝突による乗員の胸部への影響度を推定し、衝突情報に基づいて、予め設定された腕脚部用の演算式により、衝突による乗員の腕脚部への影響度を推定する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0010】
図1は、一実施形態に係る乗員影響度推定システムの構成概要を示すブロック図である。
図1に示されるように、本実施形態に係る乗員影響度推定システム100は、自車両50に搭載された車載装置51と、センタCに設けられたサーバSVと、を備えている。乗員影響度推定システム100は、自車両50と物体とが衝突したと判定された場合に、衝突による乗員への影響度を推定する。自車両50と物体との衝突には、自車両50に対して物体が衝突する場合、及び自車両50が物体に対して衝突する場合が含まれる。物体は、自車両50の周囲の他車両、ガードレールや電柱を含む構造物等の障害物を意味する。
【0011】
図2に示されるように、自車両50は、運転席ST1、助手席ST2、後部座席を備えている。後部座席は、左後部座席ST3と、右後部座席ST4とを含む。運転席ST1は、自車両50の運転操作を行うための座席である。運転席ST1には、運転者である乗員H1が着座している。助手席ST2は、運転席ST1の隣に設けられた座席である。左後部座席ST3は、助手席ST2の後方に設けられた座席である。右後部座席ST4は、運転席ST1の後方に設けられた座席である。なお、隣り合う座席は、互いに独立したシートであってもよいし、車幅方向に座面及び背もたれが連続するベンチシートであってもよい。本実施形態では、衝突による乗員への影響度の推定の一例として、運転席ST1に着座する運転者である乗員H1への影響度を推定する場合について説明する。
【0012】
図1に戻り、車載装置51は、加速度センサ1と、シートベルトスイッチ2と、個人認証部3と、エアバッグECU[Electronic Control Unit]4と、車速センサ5と、乗員影響度推定ECU10と、送信部20と、を備えている。
【0013】
乗員影響度推定ECU10は、自車両50と物体とが衝突したか否かの判定、及び、衝突による乗員への影響度を推定するために必要な情報の取得に関する制御を行う電子制御ユニットである。乗員影響度推定ECU10は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]を含んで構成されている。詳しくは後述するように、衝突判定の機能、衝突情報を取得する機能、乗員の着座を認識する機能、及び衝突情報を含むリスク要因を取得する機能を有する。乗員影響度推定ECU10には、加速度センサ1、シートベルトスイッチ2、個人認証部3、エアバッグECU4、車速センサ5、及び送信部20がそれぞれ接続されている。
【0014】
加速度センサ1は、自車両50の加速度を検出する検出器である。加速度センサ1は、自車両50の車体の前端部、車体側面のBピラー部、及び後端部に設けられている。加速度センサ1は、自車両50と物体との衝突時における自車両50との車体各部の加速度を検出する。加速度センサ1は、周知の構成を採用することができる。加速度センサ1は、自車両50と物体との衝突時における各加速度情報を乗員影響度推定ECU10に送信する。
【0015】
シートベルトスイッチ2は、乗員がシートベルトを装着していることを検知するスイッチである。シートベルトスイッチ2は、運転席ST1、助手席ST2、左後部座席ST3、及び右後部座席ST4にそれぞれ設けられている。シートベルトスイッチ2は、周知の構成を採用することができる。シートベルトスイッチ2は、検知したシートベルトの装着に関する情報を乗員影響度推定ECU10に出力する。
【0016】
個人認証部3は、図示しない車内カメラを用いた顔認識等の周知の手段により、乗員の個人認証を行う。個人認証部3は、乗員の年齢情報を含む認証結果に関する情報を乗員影響度推定ECU10に出力する。
【0017】
エアバッグECU4は、CPU、ROM、RAM等を含んで構成される電子制御ユニットであり、エアバッグ装置を統括制御する。エアバッグECU4は、自車両50に衝突が生じたと判定された場合、所定条件下でエアバッグ装置を展開させるインフレータ制御等の各処理を実行する。エアバッグECU4は、各座席のエアバッグ装置の展開有無に関する情報を乗員影響度推定ECU10に出力する。
【0018】
車速センサ5は、自車両50の走行状態として自車両50の車速を検出する検出器である。車速センサ5としては、周知の構成を採用することができる。車速センサ5は、検出した車速に関する情報を乗員影響度推定ECU10に出力する。
【0019】
次に、乗員影響度推定ECU10の機能的構成について説明する。乗員影響度推定ECU10は、衝突判定部11、衝突情報取得部12、及びリスク要因取得部13を備えている。
【0020】
衝突判定部11は、自車両50と物体とが衝突したか否かの衝突判定を行う。衝突判定には、周知の手法を採用することができる。例えば、衝突判定部11は、加速度センサ1により検出された加速度に関する情報に基づいて、自車両50と物体との衝突判定をしてもよい。衝突判定部11は、自車両50と物体とのTTC[Time To Collision]が所定の閾値以下となったか否かに基づいて、自車両50と物体との衝突判定をしてもよい。
【0021】
衝突情報取得部12は、衝突判定部11により自車両50と物体とが衝突したと判定された場合に、衝突情報を取得する。衝突情報には、自車両50に対する物体の衝突荷重と、自車両50に対する物体の衝突方向と、当該衝突が多重衝突に該当するか否かと、自車両50の車速情報(衝突時の車速)と、が含まれる。衝突情報取得部12は、自車両50と物体との衝突時に加速度センサ1により検出された加速度の大きさに基づいて、自車両50に対する物体の衝突荷重を取得する。衝突情報取得部12は、自車両50と物体との衝突時に加速度センサ1により検出された加速度の向きに基づいて、自車両50に対する物体の衝突方向を取得する。衝突情報取得部12は、自車両50と物体との衝突時に車速センサ5により検出された車速に基づいて、自車両50の衝突時の車速を取得する。
【0022】
衝突方向は、
図2に示されるように、正面(前面)方向D1、右側方向D2、後面方向D3、及び左側方向D4を含む。衝突方向が正面(前面)方向D1となる場合には、物体から自車両50へ矢印d1の向きに衝突荷重が作用した場合と、物体から自車両50へ矢印d5の向きに衝突荷重が作用した場合と、物体から自車両50へ矢印d8の向きに衝突荷重が作用した場合と、が含まれる。衝突方向が右側方向D2となる場合には、物体から運転席ST1側の自車両50の側面へ矢印d2の向きに衝突荷重が作用した場合が含まれる。衝突方向が後面方向D3となる場合には、物体から自車両50へ矢印d3の向きに衝突荷重が作用した場合と、物体から自車両50へ矢印d6の向きに衝突荷重が作用した場合と、物体から自車両50へ矢印d7の向きに衝突荷重が作用した場合と、が含まれる。衝突方向が左側方向D4となる場合には、物体から助手席ST2側の自車両50の側面へ矢印d4に衝突荷重が作用した場合が含まれる。なお、衝突方向として、矢印d1〜d8の向きを全て区別して認識してもよい。
【0023】
リスク要因取得部13は、上述した衝突情報を含むリスク要因を取得する。リスク要因は、衝突による乗員への影響度を変化させ得る要因である。衝突情報の他のリスク要因には、シートベルトの装着の有無、乗員の年齢、自車両50が属する車両クラス(例えば小型車を含む普通自動車、軽自動車等)、エアバッグ装置の展開有無等が含まれる。リスク要因取得部13は、シートベルトスイッチ2の検知結果に基づいてシートベルトの装着の有無に関する情報を取得する。リスク要因取得部13は、個人認証部3の認証結果に基づいて乗員の年齢情報を取得する。リスク要因取得部13は、予め乗員影響度推定ECU10のROM等に記憶された車両クラスに関する情報を取得する。
【0024】
続いて、センタCについて説明する。センタCは、車両に関する情報を収集及び管理する情報管理センタ(施設)である。センタCは、車載装置51の送信部20により送信された衝突情報を含むリスク要因に関する情報に基づいて、衝突による乗員への影響度を推定する機能を有する。
【0025】
衝突による乗員への影響度(以下、「乗員影響度」ともいう)とは、自車両50と物体とが衝突したことにより自車両50の乗員に及ぼされる物理的な影響の度合いを意味する。乗員影響度は、例えば0%〜100%の範囲の百分率で表され、数値が大きいほど影響の度合いが大きいことを示す。乗員影響度は、一人の乗員を一対象として捉えたときの個人影響度と、当該乗員における身体部位ごとの部位別影響度と、を含む。部位別影響度は、乗員の頭部への影響度と、乗員の胸部への影響度と、乗員の腕脚部への影響度と、を含む。
【0026】
センタCは、受信部30と、サーバSVと、を備えている。受信部30は、無線通信によって、送信部20が送信した衝突情報を含むリスク要因に関する情報を受信する通信機器である。
【0027】
サーバSVは、CPU、ROM、RAM等を含むコンピュータを主体として構成されている。サーバSVは、機能的構成として、記憶部40と、乗員影響度推定部41と、を有する。
【0028】
記憶部40は、乗員影響度を推定するため予め設定された演算式を記憶する。記憶部40は、サーバSVにおけるHDD[Hard Disk Drive]等の記憶媒体である。演算式は、個人影響度用の演算式と、頭部への影響度用の演算式と、胸部への影響度用の演算式と、腕脚部への影響度用の演算式と、を含む。
【0029】
乗員影響度推定部41は、リスク要因に基づいて、個人影響度用の演算式により、衝突による運転席ST1の乗員H1を一対象として捉えたときの個人影響度である個人影響度P(H1)を推定する。個人影響度は、衝突による運転席ST1の乗員H1を一対象として捉えて交通事故統計データ(マクロデータ)を統計処理することにより得られる。個人影響度の推定には、周知の手法を採用することができる。
【0030】
乗員影響度推定部41は、リスク要因に基づいて、頭部用の演算式により、衝突による運転席ST1の乗員H1の頭部への影響度である頭部影響度p
1を推定する(
図3参照)。頭部には、頭と、顔と、首とが含まれる。乗員影響度推定部41は、リスク要因に基づいて、胸部用の演算式により、衝突による運転席ST1の乗員H1の胸部への影響度である胸部影響度p
2を推定する。胸部には、胸と、腹と、背中と、腰とが含まれる。乗員影響度推定部41は、リスク要因に基づいて、腕脚部用の演算式により、衝突による運転席ST1の乗員H1の腕脚部への影響度である腕脚部影響度p
3を推定する。
【0031】
ここで、頭部用の演算式、胸部用の演算式、腕脚部用の演算式は、例えば共通する下記の数式1の形で表現することができる。
【数1】
【0032】
数式1におけるp
kは、身体部位ごとの部位別影響度である。数式1において、β
kは、衝突の態様に応じて変化するリスク要因(リスクファクタ)に応じて設定され、自車両50における乗員の身体部位ごとに算出される係数である。ただし、kは身体部位を示す変数であり、k=1は身体部位が頭部である場合に対応し、k=2は身体部位が胸部である場合に対応し、k=3は身体部位が腕脚部である場合に対応する。数式1におけるP(H1)は、個人影響度である。すなわち、個人影響度P(H1)は、頭部用の演算式、胸部用の演算式、腕脚部用の演算式で共通となる。数式1では、β
kの数値が大きいほど、p
kの数値が大きくなる。β
kが身体部位ごとに設定されていることにより、身体部位ごとに異なる部位別影響度が推定される。
【0033】
数式1において、頭部影響度p
1を演算する場合(k=1とした場合)、頭部用の演算式の係数であるβ
1がリスク要因に応じて設定される。記憶部40には、β
1の値とリスク要因の組み合わせとを関連付けた頭部用のアルゴリズム(例えばデータテーブル)が記憶されている。頭部用の演算式の一部である頭部用のアルゴリズムは、交通事故統計データに基づいて構築される。β
1は、例えば、交通事故統計データ上のあるリスク要因の組み合わせ(類似の衝突事例)において、衝突による個人影響度がゼロではなかった人々のうち、頭部に影響があった人々の存在確率に相当する。
【0034】
同様に、数式1において、胸部影響度p
2を演算する場合(k=2とした場合)、胸部用の演算式の係数であるβ
2がリスク要因に応じて設定される。記憶部40には、β
2の値とリスク要因の組み合わせとを関連付けた胸部用のアルゴリズム(例えばデータテーブル)が記憶されている。胸部用の演算式の一部である胸部用のアルゴリズムは、交通事故統計データに基づいて構築される。β
2は、例えば、交通事故統計データ上のあるリスク要因の組み合わせ(類似の衝突事例)において、衝突による個人影響度がゼロではなかった人々のうち、胸部に影響があった人々の存在確率に相当する。
【0035】
同様に、数式1において、腕脚部影響度p
3を演算する場合(k=3とした場合)、腕脚部用の演算式の係数であるβ
3がリスク要因に応じて設定される。記憶部40には、β
3の値とリスク要因の組み合わせとを関連付けた腕脚部用のアルゴリズム(例えばデータテーブル)が記憶されている。腕脚部用の演算式の一部である腕脚部用のアルゴリズムは、交通事故統計データに基づいて構築される。β
3は、例えば、交通事故統計データ上のあるリスク要因の組み合わせ(類似の衝突事例)において、衝突による個人影響度がゼロではなかった人々のうち、腕脚部に影響があった人々の存在確率に相当する。
【0036】
次にリスク要因とβ
kとの関係について説明する。例えば、頭部用の係数β
1は、リスク要因として自車両50の衝突時の車速が高いほど大きな値として設定(演算)される。すなわち、頭部用のアルゴリズムでは、自車両50の衝突時の車速が高いほどβ
1の数値が大きな値として演算される。一方で、胸部用の係数β
2は、自車両50の衝突時の車速が高くなっても変化は少ない。すなわち、胸部用のアルゴリズムでは、自車両50の衝突時の車速はβ
2の数値にあまり影響を与えない。頭部用の係数β
1は、自車両50の衝突時の車速が低いほど小さい値となり、自車両50の衝突時の車速が高くなると、胸部用の係数β
2に近い値となる。
【0037】
また、運転席ST1の乗員H1がシートベルトをしていない場合、頭部用の係数β
1の数値は、運転席ST1の乗員H1がシートベルトをしている場合と比較して大きい値となる。運転席ST1の乗員H1がシートベルトをしている場合、胸部用の係数β
2の数値は、運転席ST1の乗員H1がシートベルトをしていない場合と比較して大きい値となる。
【0038】
運転席ST1の乗員H1がシートベルトをしていて且つ運転席ST1のエアバッグが展開している場合には、運転席ST1の乗員H1がシートベルトをしていて且つ運転席ST1のエアバッグが展開していない場合と比較して、頭部用の係数β
1の数値は小さい値となる。一方、同じ比較において、胸部用の係数β
2の数値は大きい値となる。
【0039】
運転席ST1の乗員H1がシートベルトをしている場合には、運転席ST1の乗員H1がシートベルトをしていない場合と比較して、腕脚部用の係数β
3の数値は大きい値となる。運転席ST1のエアバッグが展開している場合には、運転席ST1のエアバッグが展開していない場合と比較して、腕脚部用の係数β
3の数値は大きい値となる。
【0040】
運転席ST1の乗員H1の年齢が65歳以上である場合であって、運転席ST1の乗員H1がシートベルトをしているときには、胸部用の係数β
2の数値は、頭部用の係数β
1の数値及び腕脚部用の係数β
3の数値に比べて大きい値となる。運転席ST1の乗員H1の年齢が65歳未満である場合であって、運転席ST1の乗員H1がシートベルトをしているときには、頭部用の係数β
1の数値、胸部用の係数β
2の数値、及び腕脚部用の係数β
3の数値は、互いに同等の値になりやすい傾向がある。以上説明した傾向は、交通事故統計データに基づいたものである。
【0041】
このように身体部位ごとに演算されたβ
kの数値を、個人影響度であるP(H1)にそれぞれ乗算することにより、身体部位ごとの部位別影響度p
1〜p
3が求められる。
【0042】
図3は、衝突方向が正面(前面)方向D1であった場合における運転席ST1の乗員H1への影響度の例を示す図である。より具体的に、
図3の例において、運転席ST1の乗員H1の年齢が18歳であり、車速が55km/hであり、運転席ST1の乗員H1がシートベルトをしており、運転席ST1のエアバッグが展開しており、多重衝突ではなく、自車両50が普通車と条件を定める。この場合、本実施形態に係る乗員影響度推定システム100では、頭部用の演算式により、例えば、運転席ST1の乗員H1の頭部影響度p
1が38.6と推定される。また、胸部用の演算式により、乗員H1の胸部影響度p
2は例えば41.1と推定される。腕脚部用の演算式により、運転席ST1の乗員H1の腕脚部影響度p
3は例えば38.7と推定される。
【0043】
次に、本実施形態に係る乗員影響度推定システム100による乗員影響度の推定処理について、
図4及び
図5を参照しつつ説明する。乗員影響度(部位別影響度)の推定処理は、例えば自車両50の走行開始等により開始され、自車両50の走行中において車載装置51の乗員影響度推定ECU10及びセンタCのサーバSVにより実行される。
【0044】
図4に示されるように、乗員影響度推定ECU10においては、まず、衝突判定部11により、自車両50と物体とが衝突したか否かが判定される(ステップS11)。この処理では、加速度センサ1で検出された加速度変化、エアバッグECU[Electronic Control Unit]4のエアバッグ作動信号等の情報に基づいて、自車両50と物体とが衝突したと判定される。
【0045】
ステップS11において自車両50と物体とが衝突したと判定された場合、当該衝突時に車速センサ5により検出された車速に基づいて、衝突情報取得部12により自車両50の車速が取得される(ステップS12)。続いて、衝突情報取得部12により衝突情報が取得される(ステップS13)。ステップS12で取得した車速は、衝突情報に含めて扱われる。続いて、リスク要因取得部13によりリスク要因情報が取得される(ステップS14)。ステップS13で取得した衝突情報は、リスク要因情報に含めて扱われる。続いて、送信部20によりリスク要因情報がセンタCに送信される(ステップS15)。ステップS15の後、乗員影響度推定ECU10における一連の処理が終了される。
【0046】
他方、ステップS11において自車両50と物体とが衝突していないと判定された場合、衝突による乗員の影響度の推定は不要であるため、乗員影響度推定ECU10における一連の処理が終了される。その後、所定時間(例えば次のセンサ検出タイミングまでの時間)の経過後に再びS11の判定が繰り返される。
【0047】
次に、
図5に示されるように、センタCのサーバSVにおいては、乗員影響度推定部41により、受信したリスク要因情報に基づいて、予め設定された演算式を用いて衝突による運転席ST1の乗員H1への影響度である個人影響度P(H1)が推定される(ステップS21)。乗員影響度推定部41により、予め設定された頭部用の演算式を用いて衝突による運転席ST1の乗員H1の頭部への影響度である頭部影響度p
1が推定される(ステップS22)。乗員影響度推定部41により、受信したリスク要因情報に基づいて、予め設定された胸部用の演算式を用いて衝突による運転席ST1の乗員H1の胸部への影響度である胸部影響度p
2が推定される(ステップS23)。乗員影響度推定部41により、受信したリスク要因情報に基づいて、予め設定された腕脚部用の演算式を用いて衝突による運転席ST1の乗員H1の腕脚部への影響度である腕脚部影響度p
3が推定される(ステップS24)。その後、サーバSVによる処理が終了される。
【0048】
以上説明したように、本実施形態に係る乗員影響度推定システム100では、頭部、胸部及び腕脚部のそれぞれについて、専用の演算式が用いられており、身体部位ごとに衝突による乗員への影響度を推定するので、身体部位を考慮しない従来のシステムと比べて、衝突による乗員への影響度を身体部位ごとに適切に推定することができる。
【0049】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。本発明は、上述した実施形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した様々な形態で実施することができる。例えば、リスク要因には少なくとも車速が含まれていればよい。
【0050】
上記実施形態の乗員影響度推定システム100では、自車両50以外のセンタCに設けられたサーバSVに乗員への影響度の推定機能が備えられていたが、自車両50の車載装置51に乗員への影響度の推定機能が備えられていてもよい。
【0051】
上記実施形態では、衝突による乗員への影響度の推定の一例として、運転席ST1に着座する運転者である乗員H1への影響度を推定する場合について説明したが、助手席ST2に着座する乗員H2への影響度を推定してもよいし、左後部座席ST3に着座する乗員H3への影響度を推定してもよいし、右後部座席ST4に着座する乗員H4への影響度を推定してもよい。乗員H1〜乗員H4のうちの任意の複数の乗員の部位別影響度を推定してもよい。頭部用のアルゴリズム、胸部用のアルゴリズム、腕脚部用のアルゴリズムは、座席位置によって変更してもよい。