特開2018-62382(P2018-62382A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-62382(P2018-62382A)
(43)【公開日】2018年4月19日
(54)【発明の名称】ボトルキャップ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 51/28 20060101AFI20180323BHJP
   B65D 41/34 20060101ALI20180323BHJP
   B65D 81/32 20060101ALI20180323BHJP
【FI】
   B65D51/28 100
   B65D41/34 110
   B65D81/32 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】書面
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-210011(P2016-210011)
(22)【出願日】2016年10月11日
(71)【出願人】
【識別番号】511045279
【氏名又は名称】牧田 利恵
(71)【出願人】
【識別番号】511188875
【氏名又は名称】株式会社 シュポンラボ
(72)【発明者】
【氏名】牧田 利恵
【テーマコード(参考)】
3E013
3E084
【Fターム(参考)】
3E013AC01
3E013AC11
3E013AD02
3E013AD06
3E013AD09
3E013AE01
3E013AE02
3E013AF02
3E013AF17
3E013AF25
3E084AA04
3E084AA12
3E084AB01
3E084BA02
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB02
3E084DB12
3E084DC03
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084HA03
3E084HB02
3E084HC03
3E084HD04
3E084JA01
3E084KA13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】収容した原料の変質防止効果が良く、製造コストの低減が図れ、開栓操作を確実に行える原料放出ボトルキャップを提供する。
【解決手段】ボトル口部100aに挿入される原料収容部5を一体に設けたメインキャップ1と、外表面に金属被膜層が形成された中子20と、環状凹部13を形成したボトムシールキャップ3と、ボトル口部内に固定されるリングホルダー2とからなる。ボトムシールキャップ3の環状凹部13と原料収容部5の下端部分とを嵌合させるとともに、ボトムシールキャップ3とリングホルダー2との噛み合い部分を噛み合わせることで、原料収容部5の下端開口を封止する。メインキャップ1の開栓回転に伴う上昇において、原料収容部5の下端部分とボトムシールキャップ3との嵌合及びボトムシールキャップ3とリングホルダー2との噛み合いが外れ、ボトムシールキャップが原料収容部5から分離してその下端開口が開封される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボトル口部を封止するスクリューキャップであるキャップ本体に、ボトル口部に挿入される円筒形の原料収容部を一体に設けた樹脂製メインキャップと、
その原料収容部の下端部分を嵌合させる環状凹部を形成した樹脂製ボトムシールキャップと、
外表面に金属被膜層が形成された樹脂製中子と、
前記原料収容部を挿通させて前記ボトル口部内に固定される樹脂製リングホルダーとからなり、
前記中子は、その金属被膜層を前記原料収容部の内面に密接させて原料収容部内に挿着され、
前記ボトムシールキャップの環状凹部と前記原料収容部の下端部分とを嵌合させるとともに、ボトムシールキャップと前記リングホルダーとの噛み合い部分を噛み合わせることで、原料収容部の下端開口がボトムシールキャップにて封止され、
前記リングホルダーは、その外周面と前記ボトル口部の内周面とを溶着することによりボトル口部に固定され、
前記メインキャップの開栓回転に伴う上昇において、前記ボトムシールキャップの回転と上昇とが前記リングホルダーにて規制されることにより、前記原料収容部の下端部分と前記ボトムシールキャップとの嵌合及びボトムシールキャップとリングホルダーとの噛み合いが外れ、ボトムシールキャップが原料収容部から分離して原料収容部の下端開口が開封されることを特徴とするボトルキャップ。
【請求項2】
前記ボトムシールキャップの表面に金属被膜層が形成されている請求項1記載のボトルキャップ。
【請求項3】
前記中子及びボトムシールキャップの金属被膜層がアルミニウム蒸着層である請求項2記載のボトルキャップ。
【請求項4】
前記リングホルダーの上周縁に、前記原料収容部の外周面に形成されたリブと係合する爪部が形成されている請求項1、2または3記載のボトルキャップ。
【請求項5】
ボトル口部を封止するスクリューキャップであるキャップ本体に、ボトル口部に挿入される円筒形の原料収容部を一体に設けたメインキャップと、
その原料収容部の下端部分を嵌合させる環状凹部を形成したボトムシールキャップと、
外表面に金属被膜層が形成された樹脂製中子と、
前記原料収容部を挿通させて前記ボトル口部内に固定される樹脂製リングホルダーとからなるボトルキャップの製造方法であって、
前記メインキャップの前記原料収容部内に前記中子を挿着する工程と、
前記メインキャップの前記原料収容部の外周に前記リングホルダーをセットする工程と、
前記原料収容部内に原料を投入する工程と、
前記ボトムシールキャップと前記リングホルダーとの噛み合い部分を噛み合わせながら、前記ボトムシールキャップの環状凹部と前記原料収容部の下端部分とを嵌合させる工程と、
前記リングホルダーが前記原料収容部と一体回転するように互いの係合部を係合させ、原料収容部をリングホルダーと共にボトル口部に挿入しながらメインキャップのキャップ本体をボトル口部に螺着する工程と、
前記リングホルダーの外周面と前記ボトル口部の内周面とをボトル口部の外側から超音波によって溶着する工程と、
からなるボトルキャップの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末状や液状の原料を収容する原料収容部を有し、開栓操作に伴いその原料収容部を開放して原料をボトル内に放出するボトルキャップとその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、特許文献1に記載されたボトルキャップを先に提供している。
このボトルキャップは、メインキャップとインナーキャップとボトムシールキャップとからなる。メインキャップは、ボトル口部を封止するスクリューキャップであるキャップ本体に、ボトル口部に挿入される円筒形の原料収容部を一体に形成している。インナーキャップは、原料収容部を受け入れる円筒形とし、ボトル口部に対してメインキャップの開栓回転に伴う上昇には追従しない強さをもってボトル口部内に嵌め込まれる。原料収容部の底蓋となるボトムシールキャップは、インナーキャップとの境界の切り離し部で切り離せるように、インナーキャップと一体成型され、原料収容部の下端部分と嵌合してその下端開口を封止するとともに、バネ性を有するリンク部によりインナーキャップに連結される。
【0003】
このような構造にすると、それ以前にものに比べ成型する部品点数(ピース数)が少なくなるという利点があるものの、次のような問題点があることが分かった。
(1)メインキャップの開栓操作時に、インナーキャップがメインキャップと共にボトル口部に対して回転したり抜け出したりしないように、インナーキャップをボトル口部内に圧入して嵌め込む構造であるが、ボトル口部の内径が外部温度の影響や成型時の条件などにより大きくなった場合、嵌め込み力が弱くなり、メインキャップの開栓操作に伴いボトルキャップの全体がボトル口部から抜け出してしまい、所期の機能を全く果たせなくなる恐れがある。
(2)ボトムシールキャップは、インナーキャップとの境界の切り離し部で分離できるようにインナーキャップと一体成型し、原料収容部の下端開口をインナーキャップでもシールする構造であるが、その切り離し部は肉厚をそれ以外の部分よりも薄く、しかも全周にわたり一様にしなければならない。しかし、そのような成型は難度が高く、歩留まりの悪い成型になるとともに、切り離し部のためにインナーキャップの肉厚が薄くなると、部分的にクラックなどが生じ、そこに水蒸気や液体が溜まって細菌繁殖の温床となるなど、衛生上の問題も生ずる。
(3)原料収容部の肉厚は樹脂成型上、なるべく薄くすることが好ましく、そうすると外光が原料収容部の内部まで透過し、原料収容部内に収納された原料を変質させる問題がある。
(4)ボトムシールキャップを切り離し部においてインナーキャップから強制的に切り離す構造であるため、その切り離しによる断片が生じ、これがボトル内に混入する恐れがある。
(5)全体としては2ピース成型品となるが、メインキャップの原料収容部に対して、インナーキャップ及びこれと一体成型するボトムシールキャップの寸法関係が正確でないと、ボトムシールキャップによる原料収容部の下端開口の封止が不充分となり、また原料収納部とインナーキャップとの関係も、水蒸気や液体が溜まるような隙間が生じない寸法関係にしなければならないので、厳密な成型精度を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−94779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の第1の課題は、上記のような問題点に鑑み、それを全て解決できるボトルキャップを提供すること、すなわち、
(1)メインキャップの開栓操作の際に、ボトルキャップ全体がボトル口部から抜け出すようなことがなく、ボトムシールキャップによる原料収容部の下端開口の開封を確実に行えるようにすること、
(2)成型の難度が従来よりも格段に低くなる一方、寸法精度の許容度は大さくなり、しかも組み立て作業も容易で、製造コストの低減が図れるようにすること、
(3)原料収容部の下端開口を封止しているボトムシールキャップが原料収容部から分離されて開封するとき、切り離しによる断片などが生ずることがなく、しかも細菌繁殖の温床となるような箇所を極力無くすことができるようにすること、
(4)原料収容部内に収納された原料の外光などによる変質を防止するとともに、原料収容部への防菌も図ること、
にある。
【0006】
本発明の第2の課題は、上記のような第1の課題を解決するボトルキャップを容易かつ低廉に製造できる製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ボトルキャップとしての主要構成である第1の発明は、ボトル口部を封止するスクリューキャップであるキャップ本体に、ボトル口部に挿入される円筒形の原料収容部を一体に設けた樹脂製メインキャップと、その原料収容部の下端部分を嵌合させる環状凹部を形成した樹脂製ボトムシールキャップと、外表面に金属被膜層が形成された樹脂製中子と、原料収容部を挿通させてボトル口部内に固定される樹脂製リングホルダーとからなる。そして、中子は、その金属被膜層を原料収容部の内面に密接させて原料収容部内に挿着され、ボトムシールキャップの環状凹部と原料収容部の下端部分とを嵌合させるとともに、ボトムシールキャップとリングホルダーとの噛み合い部分を噛み合わせることで、原料収容部の下端開口がボトムシールキャップにて封止され、リングホルダーは、その外周面とボトル口部の内周面とを溶着することによりボトル口部に固定され、メインキャップの開栓回転に伴う上昇において、ボトムシールキャップの回転と上昇とがリングホルダーにて規制されることにより、原料収容部の下端部分とボトムシールキャップとの嵌合及びボトムシールキャップとリングホルダーとの噛み合いが外れ、ボトムシールキャップが原料収容部から分離して原料収容部の下端開口が開封されることを特徴とする。
【0008】
上記のような主要構成を踏まえた第2の発明は、ボトムシールキャップの表面にも金属被膜層が形成されている。
第3の発明は、中子及びボトムシールキャップの金属被膜層をアルミニウム蒸着層とする。
第4の発明は リングホルダーの上周縁に、原料収容部の外周面に形成されたリブと係合する爪部が形成されている。
【0009】
第5の発明は、上記のような主要構成のボトルキャップの製造方法に係り、メインキャップの原料収容部内に中子を挿着する工程と、メインキャップの原料収容部の外周にリングホルダーをセットする工程と、原料収容部内に原料を投入する工程と、ボトムシールキャップとリングホルダーとの噛み合い部分を噛み合わせながら、ボトムシールキャップの環状凹部と原料収容部の下端部分とを嵌合させる工程と、リングホルダーが原料収容部と一体回転するように互いの係合部を係合させ、原料収容部をリングホルダーと共にボトル口部に挿入しながらメインキャップのキャップ本体をボトル口部に螺着する工程と、リングホルダーの外周面とボトル口部の内周面とをボトル口部の外側から超音波によって溶着する工程とからなる。
【発明の効果】
【0010】
主要構成による第1の発明のボトルキャップは、その部品としてメインキャップの原料収容部を挿通させるリングホルダーを用い、原料収容部の底蓋となるボトムシールキャップをこのリングホルダーによって開封する構造で、リングホルダーは、その外周面をボトル口部の内周面に溶着してボトル口部に固定され、ボトムシールキャップとは噛み合い部分で噛み合っている。
ボトル口部に対してメインキャップを開栓操作する際、その原料収容部はリングホルダーに関与せずにこれから上へと抜け出して行くが、リングホルダーはボトル口部に溶着されているため、これから外れることなくボトムシールキャップの上昇と回転とを確実に規制し、ボトムシールキャップは、上昇して行く原料収容部から分離するとともに、リングホルダーとの噛み合いも外れて開封する。
原料収容部内は、外表面に金属被膜層が形成された中子を挿着することで保護される。
このような構造と作用であるため、メインキャップの開栓操作に伴うボトムシールキャップの開封を確実に行える。メインキャップと中子とリングホルダーとボトムシールキャップの四者は、互いの寸法関係に高い精度を必要としないので、成型及び組み立て作業が格段に容易となり、製造コストの低減が図れる。ボトムシールキャップの分離開封に伴い断片が生ずるようなことはない。原料収納部とリングホルダーとの間は、ボトル内の内容物である液体をむしろ積極的に流通させるに充分な隙間を形成できるので、溜まり場を無くして、衛生面での向上も図れる
さらに、中子の外表面の金属被膜層が原料収容部の内面に密接して、原料収容部内への外光透過を遮光するので、原料収容部内に収容された原料の変質を防止できるとともに、防菌効果もある。
リングホルダーはボトル口部内に残ったままとなるので、開封後のボトムシールキャップがボトル口部から抜け出るのを防止する。
【0011】
第2の発明は、ボトムシールキャップの表面にも金属被膜層が形成されているので、原料収容部内は中子に加えてボトムシールキャップによっても、遮光による原料の変質防止及び防菌効果が図れる。
第3の発明は、金属被膜層を一般的なアルミニウム蒸着法により経済的に形成できる。
第4の発明は、リングホルダー側に、原料収容部の外周面のリブと係合する爪部を形成したので、メインキャップをボトル口部に螺着する閉栓操作を行う際、ボトムシールキャップが原料収容部から外れてしまうことを防止できる。すなわち、その閉栓操作の際、原料収容部は、その下端部分に環状凹部を嵌合させているボトムシールキャップと共に回りながら、リングホルダーを伴ってボトル口部へ挿入されて行くが、リングホルダーも原料収容部と共に回らないと、ボトムシールキャップの環状凹部と原料収容部の下端部分との嵌合が外れ、ボトムシールキャップが原料収容部から脱落する恐れがある。そこで、リングホルダーの爪部を原料収容部のリブと係合させておけば、リングホルダーも原料収容部と一体に回るので、閉栓操作の際のボトムシールキャップの不用意な脱落を防止できる。
【0012】
第5の発明の製造方法によると、メインキャップの原料収容部に対するリングホルダーのセットは、リングホルダーを原料収容部に向かってそのまま直進させ、リングホルダーに原料収容部が挿通するようにすればよく、ごく簡単である。また、ボトムシールキャップとリングホルダーとの噛み合い部分の噛み合わせ、及びボトムシールキャップの環状凹部と原料収容部の下端部分との嵌合を同時に行うことで、原料収容部に対するボトムシールキャップのシール性の高い封止構造と、リングホルダーによるボトムシールキャップの開封構造とを同時に組み立てることができる。その組み立て後に、メインキャップのキャップ本体をボトル口部に螺着するが、その操作の際、リングホルダーが原料収容部と一体回転するように互いの係合部を係合させることにより、ボトムシールキャップの環状凹部と原料収容部の下端部分との嵌合が外れ、ボトムシールキャップが原料収容部から不用意に脱落することを防止できる。そして、螺着後にリングホルダーの外周面とボトル口部の内周面とをボトル口部の外側から超音波によって溶着するので、ボトル口部に対するリングホルダーの固定を外側から容易かつ確実に行えるとともに、その作業を、原料収容部への原料充填後の任意の時点に、多数のボトルキャップについて一斉に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例であるボトルキャップの正面図である。
図2】その底面図である。
図3】これをボトル口部に装着した状態の断面図である。
図4】この実施例の分解斜視図である。
図5】この実施例におけるメインキャップ及び中子の分解縦断面図である。
図6】これらの組立横断面図である。
図7】この実施例におけるリングホルダーの縦断面図である。
図8】同じく底面図である。
図9】この実施例におけるボトムシールキャップの断面図である。
図10】同じく底面図である。
図11】この実施例のボトルキャップを開栓したときの断面図である。
図12】この実施例のボトルキャップの製造方法を工程順に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態のボトムシールキャップを実施例1として説明し、その後、その製造方法の実施形態を実施例2として説明する。
【実施例1】
【0015】
図1図4に示すように、この実施例のボトルキャップ100Aは、それぞれを樹脂で一体成型したメインキャップ1と中子20とリングホルダー2とボトムシールキャップ3との4つの部品を組み立てて構成され、ボトル101の口部101aに装着して使用される。これらの図面も参照して各部品の詳細を説明してから、それらによる組み立て構造を説明する。
【0016】
メインキャップ1は、図4に斜視図、図5に縦断面、図6に横断面を示すように、天部4aと胴部4bとからなるキャップ本体4が一般のスクリューキャップと同様の形体をなし、その天部4aの下面に、下端開口5aを有する円筒形の原料収納部5を、胴部4bよりも下方に長く一体に突設したものである。胴部4bの内周面には、ボトル口部101aに螺合させるねじ部6が形成されている。胴部4bの下周縁部は、薄いリブ7を数箇所に残して切り込み8を全周に形成することにより、分離可能としたロック用リング部9となっている。このリング部9の周方向の複数箇所は内側に膨らむ断面となっている。
また、天部4aの下面には、原料収納部5の付け根部分の回りにおいて、側部シール用突部10が全周に一体に形成されているとともに、それより外周において、尖った小さい三角断面の上部シール用突部11が全周に一体に形成されている。
原料収納部5の外周面には、その上端から中間箇所まで真っ直ぐ延びる複数の縦長リブ12が周方向に間隔をおいて一体に形成されている。この縦長リブ12は原料収納部5を補強するとともに、後述するようにリングホルダー2の上縁部との係合部にもなる。
【0017】
中子20は、図4に斜視図、図5に縦断面を示すように、天部20cと円筒形胴部20dとからなり、これらの外表面にアルミニウム蒸着による薄い金属被覆層20aを形成するとともに、天部20cの中央に空気溜まり用の浅い窪み20bを形成している。このように金属被覆層20aで被覆された中子20は、メインキャップ1の原料収納部5の内側の天面及び内周面に密接するサイズとなっているが、胴部20dの長さは原料収納部5の長さよりも短い。その短くする長さは、原料収納部5内にボトムシールキャップ3の一部分が後述するように嵌入することから、その嵌入長さ分に合わせてある。
【0018】
リングホルダー2は、原料収納部5を挿通させる大きさのリング状で、透明または半透明であり、図7に断面、図8に底面を示すように、リングホルダー2の内周面は湾曲する凹凸を周方向に波状に交互に繰り返していて、リングホルダー2は厚みを内側に周期的に変化させる断面となっている。また、このリングホルダー2には、その下周縁まで達する矩形の欠如部2aを周方向の複数箇所に形成することにより、ボトムシールキャップ3との噛み合い部分となる複数(この例では3個)の歯部2bが形成されている。各歯部2bの外周面は、肉厚を下端に行くに従い薄くする傾斜面となっている。
また、リングホルダー2の上周縁には、三角形状の爪部2dが周方向の複数箇所に形成されている。この爪部2dは、メインキャップ1の原料収納部5の縦長リブ12との係合部となるもので、縦長リブ12と側面同士を係合させるため、爪部2dの側面は垂直である。
さらに、リングホルダー2の各欠如部2aにおいて、残留防止用スリット2eが形成されている。
リングホルダー2の外径は、装着対象のボトル口部101aの内径サイズに応じた寸法とする。
【0019】
ボトムシールキャップ3は、原料収納部5の下端開口5aより大きい円盤状で、図9に断面図、図10に底面図を示すように、円形の外周縁に沿って環状凹部13を形成するとともに、この環状凹部13の周壁13aに、リングホルダー2の歯部2bと噛み合う噛み合い凹部13bを形成している。また、ボトムシールキャップ3の上面には、樹脂原料節約のため、環状凹部13までは届かない円形凹部14が形成されているとともに、下面にも、これより小さい同心二段の二重の円形凹部15が形成されている。ボトムシールキャップ3の全表面はアルミニウム蒸着による薄い金属被覆層3aで覆われている。
なお、ボトムシールキャップ3の下面に接続用突起16を設けておき、この突起16を利用してボトムシールキャップ3を可撓性連結部材(図示せず)にてリングホルダー2と連結すれば、原料収納部5から分離した開封後のボトムシールキャップ3をリングホルダー2に吊持できる。
【0020】
次に、このように成型されたメインキャップ1と中子20とリングホルダー2とボトムシールキャップ3との組み立て構造を説明する。
中子20は、図3に示すようにメインキャップ1の原料収納部5内の奥端に達するまで原料収納部5中に挿着される。これにより、中子20の天部20cの金属被覆層20aは原料収納部5内の天面に、また中子20の胴部20dの金属被覆層20aは、原料収納部5の内周面にその下端部分を残して密接し、中子20は原料収納部5内にしっかりと固定される。中子20の天部20cに窪み20bが形成されているため、中子20を原料収納部5に挿入して行くとき、それらの間に存在する空気は窪み20b内に押し込められるので、奥端までの中子20の挿入を容易に行える。
【0021】
リングホルダー2は、メインキャップ1に対し、その原料収納部5を挿通させて縦長リブ12の下端に当たるところまで、原料収納部5と緩く嵌合した状態とする。その際、リングホルダー2の爪部2dと原料収納部5の縦長リブ12の側面同士を係合させる。リングホルダー2の内周面は凹凸が交互に波状に繰り返しているので、リングホルダー2の内周面と原料収納部5の外周面(図8に鎖線で示す)との間には、リングホルダー2の内周面の凹部となっているところで充分な隙間が形成される。
原料収納部5にはこの嵌合の後に原料102が充填される(図3参照)。
【0022】
ボトムシールキャップ3は、このようにしたリングホルダー2に対しては、その歯部2bとボトムシールキャップ3の噛み合い凹部13bとを噛み合わせ、原料102が充填された原料収納部5に対しては、その下端部分をボトムシールキャップ3の環状凹部13に嵌合させて、ボトムシールキャップ3の一部分を原料収納部5内に嵌入した状態でその下端開口5aを封止する。
【0023】
ボトムシールキャップ3の封止によるシール性を高めるには、例えばその環状凹部13内に熱溶着剤を塗布しておいて原料収納部5の下端部分を嵌合させ、その嵌合部分を熱板にて加熱、または超音波シーラー或いは高周波シーラーにて加熱することにより、溶融した熱溶着剤にて接触面を接着する。その際、ボトル101内の内容物が製品としてどの程度の温度で流通されるかの流通条件を考慮し、熱溶着剤が流通過程で熱変化するようであれば、温度耐性の高いものを使用するとか、熱溶着剤を用いての溶着はしないで、超音波溶着または高周波溶着を選択することが好ましい。
【0024】
ボトムシールキャップ3は、その環状凹部13より内側の部分が原料収納部5内に圧入した状態で、環状凹部13を原料収納部5の下端部分と嵌合させ、しかもその嵌合内部で原料収納部5と溶着してその下端開口5aを封止するため、原料収納部5に対するシール性と一体性が高く、原料収納部5内に窒素等のガスを加圧充填して、原料収納部5内からも気密性を確保するような必要性はなくなる。
一方、ボトムシールキャップ3とリングホルダー2との関係については、リングホルダー2が上記のように原料収納部5の外周にセットされていても、ボトムシールキャップ3による上記のような封止が寸法上余裕をもって行えるように、リングホルダー2の欠如部2aの上下の寸法は、ボトムシールキャップ3の周壁13a(噛み合い凹部13bが無いところ)が欠如部2aに余裕をもって受け入れられる高さとする。
【0025】
上記のように4つの部品を組み立てた実施例1のボトルキャップ100Aをボトル口部101aに装着するには、図3に示すように、リングホルダー2の爪部2dを原料収納部5の縦長リブ12の側面と係合させておいて、原料収納部5をボトル口部101aに挿入しながら、メインキャップ1を閉栓方向に回転させてそのねじ部6をボトル口部101aのねじ部101bと螺合させる。その螺合は、メインキャップ2のロック用リング部9が、ボトル口部101aに設けられているロック用環状突部101cを強制的に越えてこれにロックされるところまで行う。
この操作中、ボトムシールキャップ3は原料収容部5と共に回るとともに、リングホルダー2も、その爪部2dが縦長リブ12と係合し、原料収容部5及びボトムシールキャップ3と共に回るので、ボトムシールキャップ3が原料収容部5から外れることはない。
そしてロック状態に達したとき、メインキャップ2の天部4aに設けられた尖鋭な上部シール用突部11が、ボトル口部101aの上端面に食い込むような状態となるとともに、メインキャップ1の側部シール用突部10もボトル口部101aの内周面に圧接するので、ボトル口部101aの上端周縁でのキャップ本体4aによるシール性が極めて高い。
【0026】
この後、ボトル口部101aの外側から、ピンポイント式超音波溶着機により超音波を発射し、その焦点を調整することで、リングホルダー2とボトル口部101aとの境界面、つまりリングホルダー2の外周面とボトル口部101aの内周面とを、例えばP1とP2の上下2位置、又はいずれか一方について、それぞれの周方向の複数点をピンポイントに溶着して、リングホルダー2をボトル口部101aに固定する。この場合、ボトル101が例えばペットボトル、つまりポリエチレンテレフタラート(PET)製である場合、リングホルダー2の樹脂を同じポリエチレンテレフタラート(PET)とすることで、互いの樹脂同士が一体化し、リングホルダー2をボトル口部101aに対して強固に固定できる。超音波による溶着は、超音波エネルギーの焦点(集中する深度)や周波数を調整することで、溶着箇所と程度を正確に特定できるので、他の部分や原料収納部5内の原料102への影響を回避できる。
【0027】
このように超音波にて溶着すると、ボトル口部101aが設計通りに成型されていないとか、温度変化などの外的要因でその内径が変動しても、リングホルダー2とボトル口部101aとが接触さえしていれば、それらの樹脂同士を一体化できる。ボトル101がペットボトルの場合、大半はボトル口部101aも透明または半透明であるが、リングホルダー2は透明または半透明であるので、ボトル口部101aの外側から透視しても、リングホルダー2の存在は目視し難く、ボトル口部101aの一部として認識される。
【0028】
一方、リングホルダー2と原料収納部5との間は互いに固定されていなく、リングホルダー2の内周面の凹部において充分な隙間が形成されるため、そこをボトル101内の内容物である液体が流通できる。
また、原料収納部5内は、外表面に金属被覆層20aを形成した中子20により保護されており、収納した原料102の外光などによる変質を防止できるとともに、防菌効果もある。
ボトムシールキャップ3もその全表面に金属被覆層3aが形成されているので、ボトムシールキャップ3も原料への変質防止及び防菌効果がある。
【0029】
上記のような状態でボトル口部101aに装着されているボトルキャップ100Aを開栓操作するには、図11に示すようにメインキャップ1を開栓方向に回転させる。すると、メインキャップ1は原料収納部5を伴いながらボトル口部101aに対して回転しながら上昇して行くが、リングホルダー2は、ボトル口部101aに固定されているとともに、爪部2dと原料収納部5の縦長リブ12との係合が外れるため、原料収納部5に追従しない。メインキャップ1は切り込み8において上下に分離し、ロック用リング部10はボトル口部101aのロック用環状突部101cに係止されてそのまま残るが、それ以外の部分は原料収納部5も含めて回転しながら上昇する。
【0030】
ところが、ボトムシールキャップ3は、その噛み合い凹部13bが動かないリングホルダー2の歯部2bと噛み合っていて、リングホルダー2によって回転と上昇を規制されるため、回転しながら上昇して行く原料収納部5との嵌合が外れて原料収納部5から分離し、それに伴いリングホルダー2の歯部2bとの噛み合いも外れるので、ボトムシールキャップ3はボトル101内に落下し、原料収納部5内の原料102がボトル101内に放出される。リングホルダー2はボトル口部101a内に残ったままとなるので、開封後のボトムシールキャップ3がボトル口部101aから抜け出るのを防止する。
ボトル101内の飲料を飲用するにあたり、ボトル口部101a内にリングホルダー2があるため飲料が全て流出しない恐れがあるが、リングホルダー2の欠如部2aには残留防止用スリット2eが形成されているので、このスリット2eを通じて流出することになり、いわゆる飲み残しは生じない。
【実施例2】
【0031】
次に、上述した実施例1のボトルキャップ100Aの製造方法について説明する。図12はその工程を(A)から(G)まで順に示す。
同図(A)に示すように、倒立姿勢としたメインキャップ1の原料収納部5内に中子20を挿着しておいてから、原料収納部5へ向かってリングホルダー2を真っ直ぐ近づけ、同図(B)に示すように、リングホルダー2に原料収納部5が挿通し、その縦長リブ7にリングホルダー2が当たるところまで、リングホルダー2を原料収納部5の外周にセットする。その際、リングホルダー2の爪部2dと縦長リブ7とを係合させる。この後、同図(C)に示すように、原料102を上から原料収納部5内に投入する。次に、熱溶着剤を用いる場合には、同図(D)に示すように、ボトムシールキャップ3の環状凹部13内に熱溶着剤を塗布しておいてから、ボトムシールキャップ3をひっくり返し、同図(E)に示すように、環状凹部13を原料収納部5と嵌合させる。その嵌合部分のシール性を高くする場合には、嵌合部分を外側から加熱して熱溶着剤による溶着を行う。
このようにしてボトムシールキャップ3による封止を終えたボトルキャップ100Aは、同図(F)に示すように、ボトル口部101aに前述のごとく螺着し、最後に同図(G)に示すように、ボトル口部101aの外側からの超音波によって、リングホルダー2とボトル口部101aとの樹脂同士の超音波溶着を、例えばP1とP2の上下2位置、又はいずれか一方について周方向に複数点ずつ行う。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明によるボトルキャップはペットボトルに限らず、ねじ構造の口部を有する各種の容器に広範囲に適用できる。
【符号の説明】
【0033】
100A・100B ボトルキャップ
101 ボトル
101a ボトル口部
101b ねじ部
101c ロック用環状突部
102 原料
1 メインキャップ
2 リングホルダー
2a 欠如部
2b 歯部
2c 接続凹部
2d 爪部
2e 残留防止用スリット
3 ボトムシールキャップ
3a 金属被覆層
4 キャップ本体
4a 天部
4b 胴部
5 原料収納部
5a 下端開口
6 ねじ部
7 リブ
8 切り込み
9 ロック用リング部
10 側部シール用突部
11 上部シール用突部
12 縦長リブ
13 環状凹部
13a 周壁
13b 噛み合い凹部
14・15 凹部
16 接続用突起
20 中子
20a 金属被覆層
20b 窪み
20c 天部
20d 胴部
図1
図2
図3
図4
図5
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図12