【実施例1】
【0015】
図1〜
図4に示すように、この実施例のボトルキャップ100Aは、それぞれを樹脂で一体成型したメインキャップ1と中子20とリングホルダー2とボトムシールキャップ3との4つの部品を組み立てて構成され、ボトル101の口部101aに装着して使用される。これらの図面も参照して各部品の詳細を説明してから、それらによる組み立て構造を説明する。
【0016】
メインキャップ1は、
図4に斜視図、
図5に縦断面、
図6に横断面を示すように、天部4aと胴部4bとからなるキャップ本体4が一般のスクリューキャップと同様の形体をなし、その天部4aの下面に、下端開口5aを有する円筒形の原料収納部5を、胴部4bよりも下方に長く一体に突設したものである。胴部4bの内周面には、ボトル口部101aに螺合させるねじ部6が形成されている。胴部4bの下周縁部は、薄いリブ7を数箇所に残して切り込み8を全周に形成することにより、分離可能としたロック用リング部9となっている。このリング部9の周方向の複数箇所は内側に膨らむ断面となっている。
また、天部4aの下面には、原料収納部5の付け根部分の回りにおいて、側部シール用突部10が全周に一体に形成されているとともに、それより外周において、尖った小さい三角断面の上部シール用突部11が全周に一体に形成されている。
原料収納部5の外周面には、その上端から中間箇所まで真っ直ぐ延びる複数の縦長リブ12が周方向に間隔をおいて一体に形成されている。この縦長リブ12は原料収納部5を補強するとともに、後述するようにリングホルダー2の上縁部との係合部にもなる。
【0017】
中子20は、
図4に斜視図、
図5に縦断面を示すように、天部20cと円筒形胴部20dとからなり、これらの外表面にアルミニウム蒸着による薄い金属被覆層20aを形成するとともに、天部20cの中央に空気溜まり用の浅い窪み20bを形成している。このように金属被覆層20aで被覆された中子20は、メインキャップ1の原料収納部5の内側の天面及び内周面に密接するサイズとなっているが、胴部20dの長さは原料収納部5の長さよりも短い。その短くする長さは、原料収納部5内にボトムシールキャップ3の一部分が後述するように嵌入することから、その嵌入長さ分に合わせてある。
【0018】
リングホルダー2は、原料収納部5を挿通させる大きさのリング状で、透明または半透明であり、
図7に断面、
図8に底面を示すように、リングホルダー2の内周面は湾曲する凹凸を周方向に波状に交互に繰り返していて、リングホルダー2は厚みを内側に周期的に変化させる断面となっている。また、このリングホルダー2には、その下周縁まで達する矩形の欠如部2aを周方向の複数箇所に形成することにより、ボトムシールキャップ3との噛み合い部分となる複数(この例では3個)の歯部2bが形成されている。各歯部2bの外周面は、肉厚を下端に行くに従い薄くする傾斜面となっている。
また、リングホルダー2の上周縁には、三角形状の爪部2dが周方向の複数箇所に形成されている。この爪部2dは、メインキャップ1の原料収納部5の縦長リブ12との係合部となるもので、縦長リブ12と側面同士を係合させるため、爪部2dの側面は垂直である。
さらに、リングホルダー2の各欠如部2aにおいて、残留防止用スリット2eが形成されている。
リングホルダー2の外径は、装着対象のボトル口部101aの内径サイズに応じた寸法とする。
【0019】
ボトムシールキャップ3は、原料収納部5の下端開口5aより大きい円盤状で、
図9に断面図、
図10に底面図を示すように、円形の外周縁に沿って環状凹部13を形成するとともに、この環状凹部13の周壁13aに、リングホルダー2の歯部2bと噛み合う噛み合い凹部13bを形成している。また、ボトムシールキャップ3の上面には、樹脂原料節約のため、環状凹部13までは届かない円形凹部14が形成されているとともに、下面にも、これより小さい同心二段の二重の円形凹部15が形成されている。ボトムシールキャップ3の全表面はアルミニウム蒸着による薄い金属被覆層3aで覆われている。
なお、ボトムシールキャップ3の下面に接続用突起16を設けておき、この突起16を利用してボトムシールキャップ3を可撓性連結部材(図示せず)にてリングホルダー2と連結すれば、原料収納部5から分離した開封後のボトムシールキャップ3をリングホルダー2に吊持できる。
【0020】
次に、このように成型されたメインキャップ1と中子20とリングホルダー2とボトムシールキャップ3との組み立て構造を説明する。
中子20は、
図3に示すようにメインキャップ1の原料収納部5内の奥端に達するまで原料収納部5中に挿着される。これにより、中子20の天部20cの金属被覆層20aは原料収納部5内の天面に、また中子20の胴部20dの金属被覆層20aは、原料収納部5の内周面にその下端部分を残して密接し、中子20は原料収納部5内にしっかりと固定される。中子20の天部20cに窪み20bが形成されているため、中子20を原料収納部5に挿入して行くとき、それらの間に存在する空気は窪み20b内に押し込められるので、奥端までの中子20の挿入を容易に行える。
【0021】
リングホルダー2は、メインキャップ1に対し、その原料収納部5を挿通させて縦長リブ12の下端に当たるところまで、原料収納部5と緩く嵌合した状態とする。その際、リングホルダー2の爪部2dと原料収納部5の縦長リブ12の側面同士を係合させる。リングホルダー2の内周面は凹凸が交互に波状に繰り返しているので、リングホルダー2の内周面と原料収納部5の外周面(
図8に鎖線で示す)との間には、リングホルダー2の内周面の凹部となっているところで充分な隙間が形成される。
原料収納部5にはこの嵌合の後に原料102が充填される(
図3参照)。
【0022】
ボトムシールキャップ3は、このようにしたリングホルダー2に対しては、その歯部2bとボトムシールキャップ3の噛み合い凹部13bとを噛み合わせ、原料102が充填された原料収納部5に対しては、その下端部分をボトムシールキャップ3の環状凹部13に嵌合させて、ボトムシールキャップ3の一部分を原料収納部5内に嵌入した状態でその下端開口5aを封止する。
【0023】
ボトムシールキャップ3の封止によるシール性を高めるには、例えばその環状凹部13内に熱溶着剤を塗布しておいて原料収納部5の下端部分を嵌合させ、その嵌合部分を熱板にて加熱、または超音波シーラー或いは高周波シーラーにて加熱することにより、溶融した熱溶着剤にて接触面を接着する。その際、ボトル101内の内容物が製品としてどの程度の温度で流通されるかの流通条件を考慮し、熱溶着剤が流通過程で熱変化するようであれば、温度耐性の高いものを使用するとか、熱溶着剤を用いての溶着はしないで、超音波溶着または高周波溶着を選択することが好ましい。
【0024】
ボトムシールキャップ3は、その環状凹部13より内側の部分が原料収納部5内に圧入した状態で、環状凹部13を原料収納部5の下端部分と嵌合させ、しかもその嵌合内部で原料収納部5と溶着してその下端開口5aを封止するため、原料収納部5に対するシール性と一体性が高く、原料収納部5内に窒素等のガスを加圧充填して、原料収納部5内からも気密性を確保するような必要性はなくなる。
一方、ボトムシールキャップ3とリングホルダー2との関係については、リングホルダー2が上記のように原料収納部5の外周にセットされていても、ボトムシールキャップ3による上記のような封止が寸法上余裕をもって行えるように、リングホルダー2の欠如部2aの上下の寸法は、ボトムシールキャップ3の周壁13a(噛み合い凹部13bが無いところ)が欠如部2aに余裕をもって受け入れられる高さとする。
【0025】
上記のように4つの部品を組み立てた実施例1のボトルキャップ100Aをボトル口部101aに装着するには、
図3に示すように、リングホルダー2の爪部2dを原料収納部5の縦長リブ12の側面と係合させておいて、原料収納部5をボトル口部101aに挿入しながら、メインキャップ1を閉栓方向に回転させてそのねじ部6をボトル口部101aのねじ部101bと螺合させる。その螺合は、メインキャップ2のロック用リング部9が、ボトル口部101aに設けられているロック用環状突部101cを強制的に越えてこれにロックされるところまで行う。
この操作中、ボトムシールキャップ3は原料収容部5と共に回るとともに、リングホルダー2も、その爪部2dが縦長リブ12と係合し、原料収容部5及びボトムシールキャップ3と共に回るので、ボトムシールキャップ3が原料収容部5から外れることはない。
そしてロック状態に達したとき、メインキャップ2の天部4aに設けられた尖鋭な上部シール用突部11が、ボトル口部101aの上端面に食い込むような状態となるとともに、メインキャップ1の側部シール用突部10もボトル口部101aの内周面に圧接するので、ボトル口部101aの上端周縁でのキャップ本体4aによるシール性が極めて高い。
【0026】
この後、ボトル口部101aの外側から、ピンポイント式超音波溶着機により超音波を発射し、その焦点を調整することで、リングホルダー2とボトル口部101aとの境界面、つまりリングホルダー2の外周面とボトル口部101aの内周面とを、例えばP1とP2の上下2位置、又はいずれか一方について、それぞれの周方向の複数点をピンポイントに溶着して、リングホルダー2をボトル口部101aに固定する。この場合、ボトル101が例えばペットボトル、つまりポリエチレンテレフタラート(PET)製である場合、リングホルダー2の樹脂を同じポリエチレンテレフタラート(PET)とすることで、互いの樹脂同士が一体化し、リングホルダー2をボトル口部101aに対して強固に固定できる。超音波による溶着は、超音波エネルギーの焦点(集中する深度)や周波数を調整することで、溶着箇所と程度を正確に特定できるので、他の部分や原料収納部5内の原料102への影響を回避できる。
【0027】
このように超音波にて溶着すると、ボトル口部101aが設計通りに成型されていないとか、温度変化などの外的要因でその内径が変動しても、リングホルダー2とボトル口部101aとが接触さえしていれば、それらの樹脂同士を一体化できる。ボトル101がペットボトルの場合、大半はボトル口部101aも透明または半透明であるが、リングホルダー2は透明または半透明であるので、ボトル口部101aの外側から透視しても、リングホルダー2の存在は目視し難く、ボトル口部101aの一部として認識される。
【0028】
一方、リングホルダー2と原料収納部5との間は互いに固定されていなく、リングホルダー2の内周面の凹部において充分な隙間が形成されるため、そこをボトル101内の内容物である液体が流通できる。
また、原料収納部5内は、外表面に金属被覆層20aを形成した中子20により保護されており、収納した原料102の外光などによる変質を防止できるとともに、防菌効果もある。
ボトムシールキャップ3もその全表面に金属被覆層3aが形成されているので、ボトムシールキャップ3も原料への変質防止及び防菌効果がある。
【0029】
上記のような状態でボトル口部101aに装着されているボトルキャップ100Aを開栓操作するには、
図11に示すようにメインキャップ1を開栓方向に回転させる。すると、メインキャップ1は原料収納部5を伴いながらボトル口部101aに対して回転しながら上昇して行くが、リングホルダー2は、ボトル口部101aに固定されているとともに、爪部2dと原料収納部5の縦長リブ12との係合が外れるため、原料収納部5に追従しない。メインキャップ1は切り込み8において上下に分離し、ロック用リング部10はボトル口部101aのロック用環状突部101cに係止されてそのまま残るが、それ以外の部分は原料収納部5も含めて回転しながら上昇する。
【0030】
ところが、ボトムシールキャップ3は、その噛み合い凹部13bが動かないリングホルダー2の歯部2bと噛み合っていて、リングホルダー2によって回転と上昇を規制されるため、回転しながら上昇して行く原料収納部5との嵌合が外れて原料収納部5から分離し、それに伴いリングホルダー2の歯部2bとの噛み合いも外れるので、ボトムシールキャップ3はボトル101内に落下し、原料収納部5内の原料102がボトル101内に放出される。リングホルダー2はボトル口部101a内に残ったままとなるので、開封後のボトムシールキャップ3がボトル口部101aから抜け出るのを防止する。
ボトル101内の飲料を飲用するにあたり、ボトル口部101a内にリングホルダー2があるため飲料が全て流出しない恐れがあるが、リングホルダー2の欠如部2aには残留防止用スリット2eが形成されているので、このスリット2eを通じて流出することになり、いわゆる飲み残しは生じない。