【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この点に関し、消費者向けインクジェット印刷カートリッジといった流体吐出カートリッジは、典型的に、水性混合物に分散した顔料又はその他の固体粒子からなる、所定体積の吐出可能な流体を含む。これら固体粒子は輸送と保管の間に沈殿する傾向にあり(即ち、これらは「沈殿性固体」である)、このため、カートリッジ内の流体は、実際の使用前に再度混合される必要がある。しかし、場合によっては、流体内の固体粒子は、カートリッジの内容物を満足に混合することが不可能な状態にまで沈殿し、カートリッジを使用不能にする可能性がある。
【0004】
このため、輸送と/又は保管の間の、カートリッジを使用不能にするような、カートリッジ内の流体混合物が分離し沈殿する可能性を除去するか、少なくとも実質的に低減させる、流体吐出カートリッジのための梱包システムの提供が望まれる。
【0005】
さらに、輸送の間、カートリッジの吐出チップを保護するとともに、カートリッジからの流体漏れを防ぐため、所定長さのテープ又はその他のフィルムが吐出チップ上に貼られる。しかし、後の保護テープの除去は、それ自体が問題となりえ、吐出チップの破損につながる恐れがある。さらに、消費者が使用前にカートリッジから保護テープを取り除くことを忘れ、カートリッジを作動不能にする可能性がある。
【0006】
従って、実装及び使用の前に保護フィルムを取り除くことを確実にし、カートリッジの吐出チップ又はその他の部品の破損の可能性を最小限にする方法で、保護フィルムを取り除くシステムの提供が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述及びその他の要求は、本発明の流体吐出カートリッジ用梱包システムにより満たされる。
【0008】
本発明のひとつの様態では、流体吐出カートリッジ用収納パッケージを提供する。流体吐出カートリッジ用収納パッケージは、シャフトを有するカートリッジ収納容器とカートリッジ保持具とを含む。このカートリッジ保持具は、カートリッジを受け取り固定するため、保持具開口と、複数の保持具壁とを含む。カートリッジ収納容器には、カートリッジ保持具が、ピボット軸となるシャフトに回転可能に取り付けられる。
【0009】
カートリッジ収納容器は、シャフトが実質的に水平姿勢又は実質的に垂直姿勢の何れかで、収納される。
【0010】
カートリッジ保持具とその中の流体吐出カートリッジとの重心は、シャフトからオフセットされている。
【0011】
流体吐出カートリッジ用収納パッケージは、シャフトが実質的に水平姿勢で収納されたとき、重心がシャフトの下方に回転する。
【0012】
本発明の実施形態の1つは、梱包された流体吐出カートリッジ組立体を提供する。一実施形態によると、カートリッジ組立体は、流体吐出ためのカートリッジを含む。このカートリッジは、流体リザーバを定義するキャビティを含む。カートリッジは、流体リザーバ内に設けられた流体も含む。
【0013】
カートリッジ組立体は、上述の収納パッケージも含む。
【0014】
本発明による特定の実施形態において、カートリッジは、カートリッジ本体に取り付けられ、流体リザーバと流体連通している流体吐出チップと、流体リザーバ内に設けられた発泡体も含む。流体吐出チップは、実質的に垂直向きに方向づけられている。
【0015】
本発明による他の実施形態において、カートリッジは、流体リザーバ内に設けられた回転可能な攪拌棒も含む。このような場合、流体吐出チップは実質的に水平向きに方向づけられている。
【0016】
本発明による特定の実施形態において、カートリッジ収納容器は、カップ底部を有するカートリッジ収納カップを含むことが好ましい。カートリッジ保持具は、カップ底部に回転可能に取り付けられる。場合によっては、このカートリッジ収納カップは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレンからなる群から選択された高分子材料製であることが好ましい。
【0017】
本発明によるいくつかの実施形態において、梱包された流体吐出カートリッジ組立体は、少なくとも流体吐出カートリッジ上方に設けられた、湿気バリアフィルムも含むことが好ましい。場合によっては、この湿気バリアフィルムは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレンからなる群から選択された高分子材料製である少なくとも1つの層を有する、多層フィルムであることが好ましい。
【0018】
本発明による特定の実施形態において、梱包された流体吐出カートリッジ組立体は、カートリッジ収納カップの上部唇領域に熱封止された、湿気バリアフィルムも含むことが好ましい。
【0019】
本発明による特定の実施形態において、吐出可能流体は、沈殿性固体を含むことが好ましい。例えば、いくつかの実施形態では、吐出可能流体は顔料を含む印刷用インクである。
【0020】
本発明による特定の実施形態において、カートリッジ本体は、少なくとも4つのカートリッジ壁を含むことが好ましい。
【0021】
本発明による特定の実施形態において、流体吐出カートリッジは、カートリッジ本体に取り付けられ、流体吐出チップと電気接続された、フレキシブル相互接続回路も含むことが好ましい。
【0022】
本発明による特定の実施形態において、流体吐出カートリッジは、フレキシブル相互接続回路が保持具壁のうちの1つに隣接して設けられるように、カートリッジ保持具内に固定されることが好ましい。その他の実施形態において、流体吐出カートリッジは、フレキシブル相互接続回路が保持具開口に隣接して設けられるように、カートリッジ保持具内に保護されることが好ましい。
【0023】
本発明の実施形態の1つは、フィルム封止された流体吐出カートリッジ組立体を提供する。本発明の一実施形態によると、フィルム封止された流体吐出カートリッジ組立体は、流体吐出カートリッジを含む。この流体吐出カートリッジは、流体リザーバを定義するキャビティとを含むカートリッジ本体を有する。流体吐出カートリッジは、カートリッジ本体に取り付けられ、流体リザーバと流体連通している吐出チップも含む。
【0024】
フィルム封止された流体吐出カートリッジ組立体は、カートリッジ保持具(retainer)も含む。このカートリッジ保持具は、保持具開口と複数の保持具壁とを含む。保持具開口は、カートリッジを受け取り固定する。
【0025】
フィルム封止された流体吐出カートリッジ組立体は、封止フィルムをさらに含む。封止フィルムの第1の部分は流体吐出チップに取り外し可能に固定され、封止フィルムの第2の部分はカートリッジ保持具に固定される。カートリッジ保持具からの流体吐出カートリッジの取り外しは、封止フィルムを流体吐出チップから分離させる。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態において、このフィルム封止された流体吐出カートリッジ組立体は、シャフトを有するカートリッジ収納容器(cartridge storage container)も含んでもよい。カートリッジ収納容器には、カートリッジ保持具が、ピボット軸となるシャフトに回転可能に取り付けられる。また、少なくとも流体吐出カートリッジ上方に設けられた湿気バリアフィルムも含んでよい。
【0027】
本発明による特定の実施形態において、封止フィルムの第2の部分は、カートリッジ保持具の保持具壁に固定されることが好ましい。
【0028】
本発明によるいくつかの実施形態において、封止フィルムは、1インチあたり1.0lbfより弱い粘着力を有する第1のテープを含むことが好ましい。
【0029】
本発明による特定の実施形態において、フィルム封止された流体吐出カートリッジ組立体は、封止フィルムの第2の部分とカートリッジ保持具とに固定された、第2のテープも含む。場合によっては、この第2のテープは、1インチあたり1.0lbfより強い粘着力を有することが好ましい。
【0030】
本発明によるいくつかの実施形態において、流体吐出カートリッジは、カートリッジ本体に取り付けられ、流体吐出チップと電気接続された、フレキシブル相互接続回路(flexible interconnect circuit)を含むも含むことが好ましい。
【0031】
本発明によるいくつかの実施形態において、流体吐出カートリッジは、フレキシブル相互接続回路が保持具壁のうちの1つに隣接して設けられるように、カートリッジ保持具内に固定されることが好ましい。本発明による他の特定の実施形態において、流体吐出カートリッジは、フレキシブル相互接続回路が保持具開口に隣接して設けられるように、カートリッジ保持具内に固定されることが好ましい。封止フィルムは、例えば、ノズルプレートフィルム(nozzle plate film)である。
【0032】
別の様態において、本発明による実施形態の1つは、流体吐出カートリッジ上の流体吐出チップから保護テープを取り除く方法を提供する。一実施形態によると、この方法は、流体吐出のためのカートリッジを提供することと、カートリッジの流体吐出チップを封止するため、第1の部分と第2の部分を有する封止フィルムを提供することと、封止フィルムの第1の部分が流体吐出チップに取り外し可能に固定されるよう、封止フィルムを流体吐出チップの少なくとも1部に貼り付けることと、カートリッジを受け取り固定する保持具開口と複数の保持具壁とを有するカートリッジ保持具にカートリッジを挿入することと、封止フィルムの第2の部分をカートリッジ保持具に固定することと、保持具開口を介しカートリッジ保持具からカートリッジを取り外すことにより、流体吐出チップから封止フィルムを分離させることとを含む。
【0033】
この方法の特定の実施形態において、流体吐出チップから分離される封止フィルムは、約180度の角度で流体吐出チップからめくり取られることが好ましい。