【解決手段】特定の4−アミノフェニル−カルボン酸アミド化合物とヒドラジド化合物とカーボンブラックとを含むゴム組成物を含むタイヤ部材。ゴム成分として、たとえば天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴムなどを挙げることができるタイヤ部材。
【効果】特定のカルボン酸アミド化合物とヒドラジド化合物とを併用するため、単独使用とくらべて発熱性を低減できる。両化合物が、異なるサイトで、カーボンブラック表面の活性官能基と反応し、カーボンブラックの分散性を向上させ、発熱性の低減をもたらすと考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、低発熱性に優れたタイヤ部材およびタイヤを提供することを目的とする。
【0009】
本開示のタイヤ部材は、式(I)化合物とヒドラジド化合物とカーボンブラックとを含むゴム組成物を含む。本開示のタイヤはタイヤ部材を含む。本開示におけるタイヤ部材の製造方法は、式(I)化合物とヒドラジド化合物とカーボンブラックとを含むゴム組成物をつくる工程を含む。本開示におけるタイヤの製造方法は、タイヤ部材の製造方法を含む。ヒドラジド化合物がジヒドラジド化合物を含むことが好ましい。
【0010】
本開示では、式(I)化合物とヒドラジド化合物とを併用するため、単独使用とくらべて発熱性を低減できる。式(I)化合物とヒドラジド化合物とが、両者異なるサイトで、カーボンブラック表面の活性官能基と反応し、カーボンブラックの分散性を向上させ、発熱性の低減をもたらすと考えられる。
【0011】
本開示のタイヤ部材は、たとえばトレッド、サイドウォール、チェーハー、ビードフィラーなどである。なかでもトレッドが好ましい。
【0012】
本開示のタイヤ部材はゴム組成物を含む。ゴム組成物に含まれるゴム成分として、たとえば天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴムなどを挙げることができる。なかでも、天然ゴム、ブタジエンゴムが好ましい。天然ゴムの量は、ゴム成分100質量%において、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。天然ゴム量の上限は、たとえば100質量%である。ブタジエンゴムの量は、ゴム成分100質量%において、たとえば10質量%以上である。ブタジエンゴム量の上限は、たとえば60質量%、好ましくは50質量%である。
【0013】
ゴム組成物は、式(I)化合物を含む。式(I)を次に示す。
【化2】
(式(I)において、R
1およびR
2は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルケニル基または炭素数1〜20のアルキニル基を示す。R
1およびR
2は、同一であっても異なっていてもよい。M
+はナトリウムイオン、カリウムイオンまたはリチウムイオンを示す。)
式(I)において、R
1およびR
2が水素原子であることが好ましい。M
+がナトリウムイオンであることが好ましい。式(I)化合物は、好ましくは下記式(I’)の化合物である。
【化3】
式(I)化合物の量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上、さらに好ましくは0.5質量部以上である。式(I)化合物の量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
【0014】
ゴム組成物はヒドラジド化合物をさらに含む。ヒドラジド化合物は、ヒドラジド基(−CONHNH
2)を持つ。ヒドラジド化合物は、ヒドラジド基を分子中に2つ持つことが好ましい。本開示では、ヒドラジド基を分子中に2つ持つヒドラジド化合物をジヒドラジド化合物という。ヒドラジド化合物として、たとえば、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、エイコサン二酸ジヒドラジド、7,11−オクタデカジエン−1,18−ジカルボヒドラジド、サリチル酸ヒドラジド、4−メチル安息香酸ヒドラジド、3−ヒドロキシ−N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジドなどを挙げることができる。なかでも、イソフタル酸ジヒドラジド、3−ヒドロキシ−N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジドが好ましく、イソフタル酸ジヒドラジドがより好ましい。ヒドラジド化合物の量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上である。ヒドラジド化合物量の上限は、ゴム成分100質量部に対して、たとえば5質量部、好ましくは2質量部、より好ましくは1質量部である。
【0015】
式(I)化合物とヒドラジド化合物との合計量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上である。式(I)化合物とヒドラジド化合物との合計量上限は、ゴム成分100質量部に対して、たとえば10質量部、好ましくは5質量部、より好ましくは3質量部である。10質量部をこえると、加工性が低下するだろう。
【0016】
ゴム組成物はカーボンブラックをさらに含む。カーボンブラックとしては、たとえばSAF、ISAF、HAF、FEF、GPFなど、通常のゴム工業で使用されるカーボンブラックのほか、アセチレンブラックやケッチェンブラックなどの導電性カーボンブラックを使用することができる。カーボンブラックは、通常のゴム工業において、そのハンドリング性を考慮して造粒された、造粒カーボンブラックであってもよく、未造粒カーボンブラックであってもよい。カーボンブラックの量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、さらに好ましくは30質量部以上である。カーボンブラックの量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは80質量部以下、より好ましくは60質量部以下である。
【0017】
ゴム組成物は、シリカ、ステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤、硫黄、加硫促進剤などをさらに含むことができる。老化防止剤として、芳香族アミン系老化防止剤、アミン−ケトン系老化防止剤、モノフェノール系老化防止剤、ビスフェノール系老化防止剤、ポリフェノール系老化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系老化防止剤、チオウレア系老化防止剤などを挙げることができる。老化防止剤の量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上である。老化防止剤量の上限は、ゴム成分100質量部に対して、たとえば4質量部、好ましくは3質量部である。硫黄として、たとえば粉末硫黄、沈降硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄などを挙げることができる。硫黄の量は、ゴム成分100質量部に対して、硫黄分換算で好ましくは0.5質量部〜5質量部である。加硫促進剤としてスルフェンアミド系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、チオウレア系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤などを挙げることができる。加硫促進剤の量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部〜5質量部である。
【0018】
本開示のタイヤは、ゴム組成物からなるトレッドを含むことができる。本開示のタイヤは空気入りタイヤであることができる。本開示のタイヤは、重荷重用タイヤとして使用できる。本開示のタイヤは、ゴム組成物からなるサイドウォール、ゴム組成物からなるチェーハーなどをさらに含むことができる。
【0019】
ゴム組成物をつくるための手順3とおりをここに例示する。第一の手順は、式(I)化合物、ヒドラジド化合物およびゴム成分を混合し、混合物を得る工程と、混合物に加硫系配合剤を練り込む工程とを含む。第二の手順は、式(I)化合物、老化防止剤およびゴム成分をヒドラジド化合物の非存在下で混合し、混合物を得る工程と、混合物に、ヒドラジド化合物および加硫系配合剤を練り込み、ゴム組成物を得る工程とを含む。第三の手順は、式(I)化合物およびカーボンブラックを含むマスターバッチとヒドラジド化合物とを混合し、混合物を得る工程と、混合物に加硫系配合剤を練り込む工程とを含む。
【0020】
第一の手順は、式(I)化合物、ヒドラジド化合物およびゴム成分を混合し、混合物を得る工程を含む。この工程では、式(I)化合物、ヒドラジド化合物、ゴム成分とともに、カーボンブラック、ステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤などを混合することができる。
【0021】
第一の手順は、混合物に加硫系配合剤を練り込む工程をさらに含む。加硫系配合剤として硫黄、有機過酸化物などの加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤などを挙げることができる。
【0022】
第二の手順は、式(I)化合物、老化防止剤およびゴム成分をヒドラジド化合物の非存在下で混合し、混合物を得る工程を含む。この工程では、式(I)化合物、老化防止剤およびゴム成分とともに、カーボンブラック、ステアリン酸、酸化亜鉛などを混合することができる
【0023】
第二の手順は、混合物に、ヒドラジド化合物および加硫系配合剤を練り込み、ゴム組成物を得る工程をさらに含む。
【0024】
第三の手順において、マスターバッチをつくるために、たとえば、式(I)化合物とカーボンブラックとを天然ゴムに添加し、練り込む方法(以下、「マスターバッチ第1製法」という。)、カーボンブラックを天然ゴムに練り込み、水分を含むカーボンブラック添加後天然ゴムに式(I)化合物を練り込む方法(以下、「マスターバッチ第2製法」という。)、カーボンブラックを含む凝固処理前ゴムラテックスを凝固し、凝固物を得る工程と、水分を含む凝固物に式(I)化合物を添加する工程と、式(I)化合物を凝固物中に分散する工程とを含む方法(以下、「マスターバッチ第3製法」という。)を挙げることができる。なかでも、マスターバッチ第2製法とマスターバッチ第3製法とが好ましく、マスターバッチ第3製法がより好ましい。マスターバッチ第2製法とマスターバッチ第3製法とは、式(I)化合物を高度に分散できるからである。
【0025】
マスターバッチ第2製法とマスターバッチ第3製法とは、式(I)化合物を高度に分散できる。式(I)化合物が親水性を示し、ゴムが乾燥状態で疎水性を示すため、水の不存在下では式(I)化合物が分散し難い。いっぽう、マスターバッチ第2製法とマスターバッチ第3製法とでは、式(I)化合物の分散を水が助けることができる。よって、マスターバッチ第2製法とマスターバッチ第3製法とは、式(I)化合物を高度に分散できる。
【0026】
マスターバッチ第3製法は、すでに述べたように、カーボンブラックを含む凝固処理前ゴムラテックスを凝固し、凝固物を得る工程を含む。
【0027】
凝固処理前ゴムラテックスをつくるために、カーボンブラックとゴムラテックスとを混合し、カーボンブラックスラリーを得る工程をマスターバッチ第3製法は含むことができる。カーボンブラックとゴムラテックスとを混合することによって、カーボンブラックの再凝集を防止できる。カーボンブラックの表面の一部または全部に極薄いラテックス相が生成し、ラテックス相がカーボンブラックの再凝集を抑制すると考えられるからである。カーボンブラックとしては、たとえばSAF、ISAF、HAF、FEF、GPFなど、通常のゴム工業で使用されるカーボンブラックのほか、アセチレンブラックやケッチェンブラックなどの導電性カーボンブラックを使用することができる。カーボンブラックは、通常のゴム工業において、そのハンドリング性を考慮して造粒された、造粒カーボンブラックであってもよく、未造粒カーボンブラックであってもよい。カーボンブラックスラリーをつくる工程のゴムラテックスは、たとえば天然ゴムラテックス、合成ゴムラテックスなどである。天然ゴムラテックス中の天然ゴムの数平均分子量は、たとえば200万以上である。合成ゴムラテックスは、たとえばスチレン−ブタジエンゴムラテックス、ブタジエンゴムラテックス、ニトリルゴムラテックス、クロロプレンゴムラテックスである。ゴムラテックスの固形分(ゴム)濃度は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上である。固形分濃度の上限は、たとえば5質量%、好ましくは2質量%、さらに好ましくは1質量%である。カーボンブラックとゴムラテックスとは、高せん断ミキサー、ハイシアーミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミルなどの一般的な分散機で混合できる。
【0028】
カーボンブラックスラリーでは、カーボンブラックが水中に分散している。カーボンブラックスラリーにおけるカーボンブラックの量は、カーボンブラックスラリー100質量%において、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上である。カーボンブラックスラリーにおけるカーボンブラック量の上限は、好ましくは15質量%、より好ましくは10質量%である。
【0029】
カーボンブラックスラリーとゴムラテックスとを混合し、凝固処理前ゴムラテックスを得る工程を、マスターバッチ第3製法はさらに含むことができる。カーボンブラックスラリーと混合するためのゴムラテックスは、たとえば天然ゴムラテックス、合成ゴムラテックスなどである。カーボンブラックスラリーと混合するためのゴムラテックスの固形分濃度は、カーボンブラックスラリーをつくる工程におけるゴムラテックスの固形分濃度よりも高いことが好ましい。カーボンブラックスラリーと混合するためのゴムラテックスの固形分濃度は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。ゴムラテックスにおける固形分濃度の上限は、たとえば60質量%、好ましくは40質量%、さらに好ましくは30質量%である。カーボンブラックスラリーとゴムラテックスとは、高せん断ミキサー、ハイシアーミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミルなどの一般的な分散機で混合できる。
【0030】
凝固処理前ゴムラテックスでは、ゴム粒子、カーボンブラックなどが水中に分散している。
【0031】
凝固処理前ゴムラテックスを凝固し、凝固物を得る工程を、マスターバッチ第3製法は含む。凝固を起こすために、凝固処理前ゴムラテックスに凝固剤を添加できる。凝固剤は、たとえば酸である。酸としてギ酸、硫酸などを挙げることができる。凝固処理前ゴムラテックスを凝固することで得られた凝固物は、水を含む。
【0032】
凝固物に、式(I)化合物を添加する工程を、マスターバッチ第3製法はさらに含む。式(I)化合物を添加する工程において、凝固物の水分量Waは、凝固物中のゴム100質量部に対して、たとえば1質量部以上、好ましくは10質量部以上である。Waの上限は、たとえば800質量部、好ましくは600質量部である。式(I)化合物の添加量Wbは、凝固物中のゴム100質量部に対して、たとえば0.1質量部以上、好ましくは0.5質量部以上である。Wbの上限は、たとえば10質量部、好ましくは5質量部である。WaのWbに対する比(Wa/Wb)は、好ましくは1〜8100である。Wa/Wbが1未満であると、耐疲労性の向上効果が大きくはないだろう。8100をこえると、凝固物中の水分がマスターバッチに残ることがあるかもしれない。
【0033】
式(I)化合物を凝固物中に分散する工程を、マスターバッチ第3製法はさらに含む。式(I)化合物を凝固物中に分散する工程は、たとえば、式(I)化合物 添加後の凝固物を脱水しながら、式(I)化合物を凝固物中に分散する工程であり、より具体的には、式(I)化合物 添加後の凝固物に、100℃〜250℃でせん断力を付与しながら、式(I)化合物を凝固物中に分散する工程である。温度の下限は、好ましくは120℃である。温度の上限は、好ましくは230℃である。式(I)化合物を凝固物中に分散するために、単軸押出機などの押出機を用いることができる。
【0034】
式(I)化合物の分散後に凝固物の乾燥と可塑化とをおこない、マスターバッチを得る工程を、マスターバッチ第3製法はさらに含むことができる。
【0035】
ゴム組成物をつくるための第三の手順は、すでに述べたとおり、マスターバッチとヒドラジド化合物とを混合し、混合物を得る工程を含む。この工程では、マスターバッチおよびヒドラジド化合物とともに、ステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤などを混合することができる。マスターバッチは、ゴムを含む。ゴムは、たとえば、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴムなどである。マスターバッチにおける天然ゴムの量は、ゴム100質量%において、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。マスターバッチは、カーボンブラックをさらに含む。カーボンブラックの量は、ゴム100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、さらに好ましくは30質量部以上である。カーボンブラックの量は、ゴム100質量部に対して、好ましくは80質量部以下、より好ましくは60質量部以下である。マスターバッチは、式(I)化合物をさらに含む。式(I)化合物の量は、ゴム100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上である。式(I)化合物の量は、ゴム100質量部に対して、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下である。
【0036】
ゴム組成物をつくるための第三の手順は、混合物に加硫系配合剤を練り込む工程をさらに含む。
【0037】
ゴム組成物を含むタイヤ部材を備える生タイヤをつくる工程を、本開示におけるタイヤの製造方法は含む。生タイヤを加熱する工程を本開示におけるタイヤの製造方法はさらに含む。
【実施例】
【0038】
以下に、本開示の実施例を説明する。
【0039】
原料・薬品を次に示す。
濃縮天然ゴムラテックス 「LA−NR(DRC=60%)」レヂテックス社製
凝固剤 ギ酸(一級85%)ナカライテスク社製 (10%溶液を希釈し、pH1.2に調整し、使用した)
天然ゴム RSS#3
ポリブタジエンゴム 「BR150B」宇部興産社製
カーボンブラック1 「シースト6」(N220)東海カーボン社製
カーボンブラック2 「シースト9H」東海カーボン社製
化合物1 (2Z)−4−[(4−アミノフェニル)アミノ]−4−オキソ−2−ブテン酸ナトリウム(式(I’)の化合物) 住友化学社製
化合物2−1 「イソフタル酸ジヒドラジド」東京化成工業社製
化合物2−2 「3−ヒドロキシ−N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド」大塚化学社製
ステアリン酸 「ビーズステアリン酸」日油社製
酸化亜鉛 「酸化亜鉛2種」三井金属鉱山社製
老化防止剤 「アンチゲン6C」(N−フェニル−N'−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン)住友化学社製
硫黄 「粉末硫黄」鶴見化学工業社製
加硫促進剤 「サンセラーCM−G」(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)三新化学工業社製
【0040】
比較例1〜5と実施例1〜4・8・9とにおける未加硫ゴムの作製
硫黄と加硫促進剤とを除く配合剤を表1にしたがって添加し、神戸製鋼社製のB型バンバリーミキサーで混練りし、ゴム混合物を排出した。ゴム混合物と硫黄と加硫促進剤とをB型バンバリーミキサーで混練りし、未加硫ゴムを得た。
【0041】
実施例5における未加硫ゴムの作製
硫黄と加硫促進剤と化合物2−1とを除く配合剤を表1にしたがって添加し、神戸製鋼社製のB型バンバリーミキサーで混練りし、ゴム混合物を排出した。ゴム混合物と硫黄と加硫促進剤と化合物2−1とをB型バンバリーミキサーで混練りし、未加硫ゴムを得た。
【0042】
実施例6における未加硫ゴムの作製
天然ゴムに、カーボンブラック1と化合物1とを表1にしたがって練り込み、ドライマスターバッチを得た。硫黄と加硫促進剤とを除く配合剤を表1にしたがってドライマスターバッチに添加し、神戸製鋼社製のB型バンバリーミキサーで混練りし、ゴム混合物を排出した。ゴム混合物と硫黄と加硫促進剤とをB型バンバリーミキサーで混練りし、未加硫ゴムを得た。
【0043】
実施例7における未加硫ゴムの作製
天然ゴムにカーボンブラック1を表1にしたがって練り込んだ。カーボンブラック練り込み後の天然ゴムに化合物1と水とを表1にしたがって添加し練り込み、ドライマスターバッチを得た。ドライマスターバッチに、化合物2−1とステアリン酸と酸化亜鉛と老化防止剤とを表1にしたがって神戸製鋼社製のB型バンバリーミキサーで練り込み、ゴム混合物を排出した。ゴム混合物と硫黄と加硫促進剤とをB型バンバリーミキサーで混練りし、未加硫ゴムを得た。
【0044】
実施例10における未加硫ゴムの作製
濃縮天然ゴムラテックスに25℃で水を加え、固形分(ゴム)濃度0.52質量%の希薄天然ゴムラテックスと、固形分(ゴム)濃度28質量%の天然ゴムラテックスとを得た。希薄天然ゴムラテックス954.8質量部に、50質量部のカーボンブラック1を添加し、カーボンブラック添加後の希薄天然ゴムラテックスをPRIMIX社製ロボミックスで撹拌し、カーボンブラック・天然ゴムスラリーを得た。カーボンブラック・天然ゴムスラリーを、固形分(ゴム)濃度28質量%の天然ゴムラテックスに表1にしたがい加え、カーボンブラック・天然ゴムスラリー添加後の天然ゴムラテックスを、SANYO社製家庭用ミキサーで11300rpm、30分で撹拌し、凝固処理前ゴムラテックスを得た。凝固処理前ゴムラテックスに、凝固剤としてのギ酸をpH4になるまで添加し、フィルターで凝固物と廃液とに分離した。凝固物に化合物1を添加し、化合物1添加後の凝固物をスエヒロEPM社製スクリュープレスV−02型(スクイザー式1軸押出脱水機)で180℃で脱水・可塑化しながら、凝固物中に化合物1を分散した。以上の手順で、ウエットマスターバッチを得た。ウエットマスターバッチに、化合物2−1とステアリン酸と酸化亜鉛と老化防止剤とを表1にしたがって神戸製鋼社製のB型バンバリーミキサーで練り込み、ゴム混合物を排出した。ゴム混合物と硫黄と加硫促進剤とをB型バンバリーミキサーで混練りし、未加硫ゴムを得た。
【0045】
発熱性能
未加硫ゴムを150℃で30分間加硫し、初期歪み10%、動的歪み2%、周波数50Hz、温度60℃で、東洋精機製粘弾性スペクトロメータで測定したtanδ値に基づいて、発熱性能を評価した。比較例1の値を100とした指数で、発熱性能を示した。指数は、小さいほど低発熱性能に優れることを意味する。
【0046】
【表1】
【0047】
化合物1と化合物2−1または化合物2−2との併用で発熱性能が改善した。たとえば、0・5質量部の化合部1と0・5質量部の化合物2−1との併用で、9ポイント改善した(比較例1・実施例1参照)。0.1質量部の化合部1と0.9質量部の化合物2−1との併用で、11ポイント改善した(比較例1・実施例3参照)。いっぽう、1質量部の化合部1では、2ポイントの改善だった(比較例1・比較例3参照)。1質量部の化合物2−1では、4ポイントの改善だった(比較例1・比較例2参照)。
【0048】
化合物2−1を、ノンプロ練り段階で投入するのではなくプロ練り段階で投入することで、発熱性能の低減効果が高まった(実施例1・実施例5参照)。
【0049】
化合物1とカーボンブラック1とを天然ゴムに練り込み、ドライマスターバッチを得るという手順を踏むことで、発熱性能の低減効果が高まった(実施例1・実施例6参照)。
【0050】
カーボンブラック練り込み後の天然ゴムに化合物1と水とを添加し、練って、ドライマスターバッチを得るという手順を踏むことで、発熱性能の低減効果が高まった(実施例1・実施例7参照)。
【0051】
カーボンブラックおよび水分を含む凝固物に化合物1を分散させ、ウエットマスターバッチを得るという手順を踏むことで、発熱性能の低減効果が高まった(実施例1・実施例10参照)。