ジエン系ゴム100質量部に対して、カーボンブラックを30〜80質量部、式(I)で表される化合物を0.1〜10質量部、亜鉛華を1〜10質量部、シリカを15〜50質量部配合することを特徴とする、請求項1に記載のトレッドゴム部材の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
【0017】
本実施形態に係るトレッドゴム部材の製造方法は、ジエン系ゴム、カーボンブラック、一般式(I)で表される化合物、及び、亜鉛華を混練する工程と、上記工程で得られた混練物に対して、シリカを添加し混練する工程とを有するものとする。
【0018】
本実施形態に係るトレッドゴム部材の製造方法において、ゴム成分として用いられるジエン系ゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、ブタジエン−イソプレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム等が挙げられる。これらジエン系ゴムは、いずれか1種単独で、又は2種以上ブレンドして用いることができる。上記ゴム成分は、好ましくは、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、又はこれらの2種以上のブレンドである。
【0019】
ジエン系ゴムとして、スチレンブタジエンゴムと他のジエン系ゴムとのブレンドゴムを用いることが好ましく、特に好ましくは、スチレンブタジエンゴムと、天然ゴム(NR)及び/又はブタジエンゴム(BR)とのブレンドゴムを用いることである。
【0020】
ジエン系ゴム中のスチレンブタジエンゴムの配合割合は、特に限定されないが、60〜100質量%であることが好ましい。
【0021】
スチレンブタジエンゴムとしては、未変性SBRでも変性SBRでもよく、溶液重合SBR(S−SBR)や、乳化重合SBR(E−SBR)でもよく、またこれらを適宜に組み合わせて用いることもでき、特に限定されない。
【0022】
変性SBRは、SBRの分子鎖の少なくとも一方の末端に官能基が導入された末端変性SBRでもよく、主鎖中に官能基が導入された主鎖変性SBRでもよく、主鎖及び末端に官能基が導入された主鎖末端変性SBRでもよい。上記官能基としては、例えば、アミノ基、アルコキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、及びカルボキシル基等が挙げられ、これらはそれぞれ1種のみ導入されてもよく、あるいはまた2種以上組み合わせて導入されてもよい。上記アミノ基としては、1級アミノ基だけでなく、2級もしくは3級アミノ基でもよい。アルコキシル基(−OR、但しRはアルキル基)としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。変性SBRの具体例としては、JSR(株)製の「HPR350」(アミン変性SBR)が挙げられる。
【0023】
ブタジエンゴム(即ち、ポリブタジエンゴム)としては、特に限定されず、例えば、(A1)ハイシスブタジエンゴム、(A2)シンジオタクチック結晶含有ブタジエンゴム、及び、(A3)変性ブタジエンゴムなどが挙げられる。これらはいずれか1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0024】
(A1)のハイシスBRとしては、シス含量(即ち、シス−1,4結合含有量)が90質量%以上(好ましくは95質量%以上)のブタジエンゴムが挙げられ、例えば、コバルト系触媒を用いて重合されたコバルト系ブタジエンゴム、ニッケル系触媒を用いて重合されたニッケル系ブタジエンゴム、希土類元素系触媒を用いて重合された希土類系ブタジエンゴムが挙げられる。希土類系ブタジエンゴムとしては、ネオジウム系触媒を用いて重合されたネオジウム系ブタジエンゴムが好ましく、シス含量が96質量%以上であり、かつ、ビニル含量(即ち、1,2−ビニル結合含有量)が1.0質量%未満(好ましくは0.8質量%以下)のものが好ましく用いられる。希土類系ブタジエンゴムの使用は、低発熱性の向上に有利である。なお、シス含量及びビニル含量は、
1HNMRスペクトルの積分比により算出される値である。コバルト系BRの具体例としては、宇部興産(株)製の「UBEPOL BR」等が挙げられる。ネオジウム系BRの具体例としては、ランクセス社製の「ブナCA22」、「ブナCA25」等が挙げられる。
【0025】
(A2)のシンジオタクチック結晶含有ブタジエンゴム(SPB含有BR)としては、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン結晶(SPB)が、マトリックスとしてのハイシスブタジエンゴム中に分散したゴム樹脂複合体であるブタジエンゴムが用いられる。SPB含有BRの使用は、硬度の向上に有利である。SPB含有BR中におけるSPBの含有率は特に限定されず、例えば、2.5〜30質量%でもよく、10〜20質量%でもよい。なお、SPB含有BR中におけるSPBの含有率は、沸騰n−ヘキサン不溶解分を測定することで求められる。SPB含有BRの具体例としては、宇部興産(株)製の「UBEPOL VCR」が挙げられる。
【0026】
(A3)の変性BRとしては、例えば、アミン変性BR、スズ変性BRなどが挙げられる。変性BRの使用は、低発熱性の向上に有利である。変性BRは、BRの分子鎖の少なくとも一方の末端に官能基が導入された末端変性BRでもよく、主鎖中に官能基が導入された主鎖変性BRでもよく、主鎖及び末端に官能基が導入された主鎖末端変性BRでもよい。変性BRの具体例としては、日本ゼオン(株)製の「BR1250H」(アミン末端変性BR)が挙げられる。
【0027】
一実施形態において、(A1)のハイシスBRと(A2)のSPB含有BRを併用する場合、ジエン系ゴム100質量部は、40〜70質量部のNR及び/又はIRと、20〜40質量部のハイシスBRと、10〜30質量部のSPB含有BRとを含むものでもよい。また、(A1)のハイシスBRと(A3)の変性BRを併用する場合、ジエン系ゴム100質量部は、40〜70質量部のNR及び/又はIRと、20〜40質量部のハイシスBRと、10〜30質量部の変性BRとを含むものでもよい。また、(A1)のハイシスBRとしてコバルト系BRとネオジウム系BRを併用する場合、ジエン系ゴム100質量部は、40〜70質量部のNR及び/又はIRと、20〜40質量部のコバルト系BRと、10〜30質量部のネオジウム系BRとを含むものでもよい。
【0028】
本実施形態に係るトレッドゴム部材の製造方法には、補強性充填剤としてカーボンブラック及びシリカを用いる。
【0029】
カーボンブラックとしては、特に限定されず、公知の種々の品種を用いることができるが、JIS K6217−2に準じて測定した窒素吸着比表面積(N
2SA)が、20〜150m
2/gであることが好ましく、40〜120m
2/gであることがより好ましく、60〜120m
2/gであることがさらに好ましい。具体的には、HAF級、ISAF級のカーボンブラックが例示される。
【0030】
カーボンブラックの配合量としては、特に限定されないが、ジエン系ゴム100質量部に対して30〜80質量部であることが好ましく、30〜70質量部であることがより好ましく、40〜70質量部であることがさらに好ましい。
【0031】
シリカとしても、特に限定されないが、JIS K6430に記載のBET法に準じて測定した窒素吸着比表面積(BET)が、80〜250m
2/gであることが好ましく、100〜230m
2/gであることがより好ましく、120〜200m
2/gであることがさらに好ましい。また、湿式沈降法シリカや湿式ゲル法シリカ等の湿式シリカが好ましく用いられる。
【0032】
シリカの配合量としては、特に限定されないが、ジエン系ゴム100質量部に対して15〜50質量部であることが好ましく、20〜45質量部であることがより好ましく、25〜45質量部であることがさらに好ましい。
【0033】
補強性充填剤の配合量(カーボンブラックとシリカとの合計量)としては、特に限定されず、ジエン系ゴム100質量部に対して10〜130質量部であることが好ましく、20〜100質量部であることが好ましく、30〜80質量部であることがより好ましい。
【0034】
シリカを配合する場合、スルフィドシラン、メルカプトシラン等のシランカップリング剤を併用してもよい。シランカップリング剤を併用する場合、その配合量はシリカ配合量に対して2〜20質量%であることが好ましい。
【0035】
本実施形態に係るトレッドゴム部材の製造方法には、下記一般式(I)で表される化合物を用いる。
【0036】
【化2】
式(I)中、R
1及びR
2は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルケニル基又は炭素数1〜20のアルキニル基を示し、R
1及びR
2は同一であっても異なっていてもよい。
【0037】
R
1及びR
2のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などを挙げることができる。R
1及びR
2のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、1−メチルエテニル基などを挙げることができる。R
1及びR
2のアルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロパルギル基などを挙げることができる。これらのアルキル基、アルケニル基及びアルキニル基の炭素数としては、1〜10であることが好ましく、より好ましくは1〜5である。R
1及びR
2としては、好ましくは、水素原子、又は、炭素数1〜5のアルキル基であり、より好ましくは、水素原子、又は、メチル基であり、更に好ましくは、水素原子である。一実施形態において、式(I)中の−NR
1R
2は、−NH
2、−NHCH
3、又は、−N(CH
3)
2であることが好ましく、より好ましくは−NH
2である。
【0038】
式(I)中のM
+は、ナトリウムイオン、カリウムイオン又はリチウムイオンを示し、好ましくはナトリウムイオンである。
【0039】
上記式(I)で表される化合物の配合量としては、特に限定されないが、ジエン系ゴム100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、0.5〜8質量部であることがより好ましく、1〜5質量部であることがさらに好ましい。式(I)で表される化合物の配合量が0.1質量部以上であることにより、低発熱性の向上効果に優れ、また10質量部以下であることにより、耐引き裂き性の悪化を抑えることができる。
【0040】
上記式(I)で表される化合物を配合することにより、低発熱性の向上効果が認められる。そのメカニズムは定かではないが、次のように考えられる。
【0041】
すなわち、式(I)の化合物の末端のアミンとカーボンブラック表面の官能基が反応し、また式(I)の化合物のアミド基とカルボン酸塩との間に位置する炭素−炭素二重結合部分がポリマーと結合することにより、カーボンブラックの分散性を向上することができ、低発熱性に寄与したものと推測する。
【0042】
本実施形態に係るトレッドゴム部材の製造方法には、亜鉛華(酸化亜鉛)として、従来からゴム分野で使用されてきたものを特に限定なく使用することができ、具体例としては三井金属鉱業(株)の1号亜鉛華等が挙げられる。
【0043】
亜鉛華の配合量としては、特に限定されないが、ジエン系ゴム100質量部に対して、1〜10質量部であることが好ましく、1〜8質量部であることがより好ましく、1〜6質量部であることがさらに好ましい。1〜10質量部であることにより、ゴム成分と、カーボンブラックと、式(I)の化合物とを混錬する際の加工性に優れる。
【0044】
本実施形態に係るトレッドゴム部材の製造方法には、上記した各成分に加え、通常のゴム工業で使用されているプロセスオイル、ステアリン酸、軟化剤、可塑剤、ワックス、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤等の配合薬品類を通常の範囲内で適宜配合することができる。
【0045】
上記加硫剤としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄等の硫黄成分が挙げられ、特に限定するものではないが、その配合量はジエン系ゴム100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。また、加硫促進剤の配合量としては、ジエン系ゴム100質量部に対して0.1〜7質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。
【0046】
本実施形態に係るトレッドゴム部材の製造方法は、通常に用いられるバンバリーミキサーやニーダー、ロール等の混練機を用いて、常法に従い混練することにより実施することができる。すなわち、ゴム成分に対し、カーボンブラック、式(I)の化合物、及び亜鉛華を添加混練する第一混練工程と、次いで、第一混練工程で得られた第一混練物に、シリカとともに、加硫剤及び加硫促進剤を除く他の添加剤を添加混練する第二混練工程と、次いで、第二混練工程で得られた第二混練物に、加硫剤及び加硫促進剤を添加混練してゴム組成物を調製する第三混練工程を含むものとすることができる。
【0047】
第一混練工程及び第二混練工程は、バンバリーミキサー等の密閉式混練機を用いて行うことができ、混練機に上記各成分を投入して、機械的な剪断力を加えた乾式混合である混練りを行う。混練すると、剪断による発熱で温度が上昇するので、所定の排出温度にて混練物を混練機から排出する。
【0048】
第一混練工程における混練温度(例えば、混練機からの排出温度)は、特に限定されないが、100〜180℃であることが好ましく、より好ましくは120〜180℃であり、さらに好ましくは140〜170℃である。混練機から排出された混練物は、通常、常温下に放置することで冷却される。
【0049】
第二混練工程における混練温度(例えば、混練機からの排出温度)は、特に限定されないが、100〜180℃であることが好ましく、より好ましくは120〜180℃であり、さらに好ましくは140〜170℃である。混練機から排出された混練物は、通常、常温下に放置することで冷却される。
【0050】
なお、第一混練工程では、第一混練物を排出せずに、第一混練工程と第二混練工程とを一連の工程としてもよい。また、第一混練工程と第二混練工程との間、又は第二混練工程と第三混練工程との間に、添加剤を添加せずに練りのみを行うリミル工程を実施しても良い。
【0051】
第三混練工程は、例えば、オープンロールやバンバリーミキサー等の混練機を用いて行うことができ、混練機に、第二混練工程で得られた第二混練物とともに、加硫剤及び加硫促進剤を投入して、混練を行い、所定の排出温度で混練物を混練機から排出する。
【0052】
第三混練工程における混練温度(例えば、混練機からの排出温度)は、125℃以下であることが好ましく、より好ましくは120℃以下である。
【0053】
このようにして得られるゴム組成物は、タイヤの接地面を構成するトレッドゴム部材として用いられる。トレッドゴムにはキャップゴムとベースゴムとの2層構造からなるものと、両者が一体の単層構造のものがあるが、接地面を構成するゴム部材として用いられるので、単層構造のものであれば、トレッド部が上記トレッドゴム部材からなり、2層構造のものであれば、キャップゴムが上記トレッドゴム部材からなる。
【0054】
このトレッドゴム部材は、常法に従い、例えば、上記ゴム組成物をトレッド部に対応した所定の断面形状に押出成形したり、あるいはまた、上記ゴム組成物からなるリボン状のゴムストリップをドラム上で螺旋状に巻回してトレッド部に対応した断面形状に形成したりすることで、未加硫のトレッドゴム部材が得られる。かかるトレッドゴム部材は、インナーライナー、カーカス、ベルト、ビードコア、ビードフィラー及びサイドウォール等のタイヤを構成する他のタイヤ部材とともに、常法に従って、タイヤ形状に組み立てられてグリーンタイヤ(未加硫タイヤ)が得られる。そして、得られたグリーンタイヤを、常法に従い、例えば140〜180℃で加硫成型することにより、上記トレッドゴム部材からなるトレッド部を備えた空気入りタイヤが得られる。
【0055】
本実施形態に係る空気入りタイヤの種類としては、特に限定されず、乗用車用タイヤ、トラックやバス等に用いられる重荷重用タイヤ等の各種のタイヤが挙げられる。
【実施例】
【0056】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0057】
バンバリーミキサーを使用し、下記表1に示す配合(質量部)に従い、第一混練工程及び第二混練工程で、加硫促進剤、及び硫黄を除く成分を添加混練し(排出温度=160℃)、次いで、得られた混練物に、第三混練工程で、加硫促進剤及び硫黄を添加混練して(排出温度=100℃)、トレッドゴム部材として用いられるゴム組成物を調製した。なお、比較例1〜3の第二混練工程では、添加剤を添加せずに練りのみを行った。
【0058】
表1中の各成分の詳細は以下の通りである。
・SBR:JSR(株)製「SBR1502」
・BR:宇部興産(株)製「BR150」
・NR:RSS#3
・カーボンブラック:HAF級、東海カーボン(株)製「シーストKH」(N
2SA=90m
2/g)
・シリカ:エボニック社製「VN3」(BET=180m
2/g)
・化合物(I):住友化学(株)製の(2Z)−4−[(4−アミノフェニル)アミノ]−4−オキソ−2−ブテン酸ナトリウム(下記式(I’)で表される化合物)
【化3】
・シランカップリング剤:エボニック社製「Si75」
・オイル:JXエネルギー(株)製「NC140」
・亜鉛華:三井金属鉱業(株)製「1号亜鉛華」
・ワックス:日本精蝋(株)製「OZOACE0355」
・ステアリン酸:花王(株)製「工業用ステアリン酸」
・硫黄:鶴見化学工業(株)製「5%油処理粉末硫黄」
・加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製「ノクセラ−D」
・加硫促進剤2:住友化学(株)製「ソクシノールCZ」
【0059】
得られた各ゴム組成物について、第一混練工程の加工性、耐引き裂き性、及び低発熱性を評価した。評価方法は次の通りである。
【0060】
・第一混練工程の加工性:JIS K6300に準拠して、(株)東洋精機製作所製ロータレスムーニー測定機を用い、第一混練工程で得られた未加硫の混練物を100℃で1分間予熱後、4分後のトルク値をムーニー単位で測定した値であり、比較例1の値を100とした指数で表示した。指数が小さいほどムーニー粘度が低く、値が110以下であれば、加工性に優れることを示す。
【0061】
・耐引き裂き性:JIS K6252に準拠して測定した。すなわち、規定のクレセント形で打ち抜き、くぼみ中央に0.50±0.08mmの切れ込みを入れたサンプルを用い、(株)島津製作所製の引張試験機によって500mm/minの引張り速度で試験を行い、試験片が切断に至るまでの引き裂く力の最大値を読み取り、比較例1の結果を100とした指数で表示した。値が90以上であれば、耐引き裂き性が優れることを示す。
【0062】
・低発熱性:JIS K6394に準拠してした。すなわち、150℃で30分間加硫した試験片について、東洋精機(株)製の粘弾性試験機によって、温度60℃、静歪み10%、動歪み1%、周波数10Hzの条件で損失係数tanδを測定し、比較例1の値を100とした指数で示した。指数が96以下であればtanδが小さく、低発熱性に優れることを示す。
【0063】
【表1】
【0064】
結果は、表1に示す通りであり、実施例1,2は、第一混練工程の加工性を維持乃至向上しつつ、耐引き裂き性及び低発熱性が向上したことが認められた。
【0065】
比較例2は、比較例1との対比より、化合物(I)の添加によって、第一混練工程の加工性が悪化することが認められた。また、化合物(I)による低発熱性の改善が不十分であった。
【0066】
また比較例3は、比較例2との対比より、カーボンブラックの一部をシリカに変えて配合することで、第一混練工程の加工性の改善が認められたものの、低発熱性の改善が依然として不十分であった。
【0067】
また比較例4は、比較例3との対比より、ジエン系ゴムとカーボンブラックと化合物(I)を第一混練工程において混練し、第二混練工程で加硫促進剤及び硫黄を除く成分を添加混練することで、耐引き裂き性を維持しつつ、低発熱性が改善したことが認められた。しかしながら、第一混練工程の加工性が悪化した。