【解決手段】凝縮器に接続される一次室11と蒸発器に接続される二次室12とを構成する円筒状の本体ケース1内に、弁ポート21が形成された弁座部材2と、この弁座部材2と一体の円筒状のガイド部材3とを設ける。ガイド部材3内にニードル弁4と弁ポート21側に付勢するコイルばね6を設ける。ニードル弁4の挿通部42に、ガイド部42aを設ける。ガイド部42aとガイド部材3の円筒状ガイド面31aとを線接触させてニードル弁4をガイドする。この線接触する摺接部Sを複数設け、隣接する摺接部Sの間の部分を導入路45として異物を流す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に冷凍サイクルのシステム内には、80メッシュ〜100メッシュ程度のフィルタ(ストレーナ)が取り付けられるが、0.15〜0.2mm程度の大きさの異物がフィルタを通過し、冷媒と共に流れている。このため、ニードル弁をガイドするガイド面とそのニードル弁とのクリアランスが0.02〜0.1mmでは、異物がこのクリアランスを流れることができない。このため、異物がガイド面とニードル弁との摺動部に詰まってしまい、ニードル弁がロックしてしまうことがある。
【0005】
本発明は、冷凍サイクルの凝縮器と蒸発器との間に設けられ、前記凝縮器により凝縮された冷媒を、減圧して前記蒸発器に送り出す絞り装置において、摩耗等によりシステム内で発生した異物によりニードル弁がロックすることを防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の絞り装置は、冷凍サイクルの凝縮器と蒸発器との間に設けられ、前記凝縮器により凝縮された冷媒を減圧して前記蒸発器に送り出す絞り装置であって、前記凝縮器に接続される一次室と前記蒸発器に接続される二次室とを構成する本体ケースと、弁ポートが形成され前記本体ケース内で前記一次室と前記二次室との間に配設された弁座部材と、前記弁ポートの軸線に沿って移動することにより前記弁ポートの開度を可変にする弁体と、前記弁体を前記弁ポート側に付勢するばね部材と、前記弁ポートと同軸にして前記本体ケース内の前記二次室側に配置されるとともに、前記弁体が挿通され、内側に軸線に平行な円筒状ガイド面が形成された円筒状のガイド部材と、を備え、前記弁体の側面と前記円筒状ガイド面との点接触、または線接触する部分である摺接部が前記軸線の回りに複数設けられるとともに、隣接する該摺接部の間における前記弁体の側面と前記円筒状ガイド面との間隔が、前記摺接部における前記弁体の側面と前記円筒状ガイド面との間隔より広くされて前記冷媒を流す導入路として設けられるとともに、前記ガイド部材には、前記弁体の背後の背圧室から前記二次室側に冷媒を開放する開放孔が形成され、前記導入路の前記軸線に直交する面での断面の合計面積が前記開放孔の面積より小さいことを特徴とする。
【0007】
請求項2の絞り装置は、冷凍サイクルの凝縮器と蒸発器との間に設けられ、前記凝縮器により凝縮された冷媒を減圧して前記蒸発器に送り出す絞り装置であって、前記凝縮器に接続される一次室と前記蒸発器に接続される二次室とを構成する本体ケースと、弁ポートが形成され前記本体ケース内で前記一次室と前記二次室との間に配設された弁座部材と、前記弁ポートの軸線に沿って移動することにより前記弁ポートの開度を可変にする弁体と、前記弁体を前記弁ポート側に付勢するばね部材と、前記弁ポートの軸線に平行な円筒形状をした円筒状ガイド面であって、前記弁座部材に対して前記二次室側に配置された円筒状ガイド面と、を備え、前記弁体の側面と前記円筒状ガイド面との点接触、または線接触する部分である摺接部が前記軸線の回りに複数設けられるとともに、隣接する該摺接部の間における前記弁体の側面と前記円筒状ガイド面との間隔が、前記摺接部における前記弁体の側面と前記円筒状ガイド面との間隔より広くされて前記冷媒を流す導入路として設けられるとともに、前記本体ケースの内周面が前記円筒状ガイド面となっていることを特徴とする。
【0008】
請求項3の冷凍サイクルは、請求項1または2に記載の絞り装置を、凝縮器と蒸発器との間に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、軸線の回りに複数の摺接部で弁体の側面とガイド面とが点接触、または線接触して弁体がガイドされるとともに、隣接する摺接部の間に弁体の側面とガイド面との間隔を広くした導入路を設けたので、冷媒に混入する異物がこの導入路に導かれて流れるので、弁体のロックを防止することができる。また、ガイド部材と本体ケースとの隙間に冷媒を流す流路とすることができる。さらに、導入路の断面の合計面積が弁体の背後の背圧室から二次室側に冷媒を開放する開放孔の面積よりも小であることにより、導入路から背圧室へ流入する冷媒の流量に対し、開放孔から排出される冷媒の流量を多くすることができ、背圧室の圧力を低くして弁体に作用する差圧を大きくすることができる。したがって、弁体のリフト量(絞り装置の最大開度)を大きくすることができ、仮に、弁体と弁ポートとの間に異物が挟まったとしても、絞り装置の開度が最大となるように冷凍サイクルの制御を行えば、一次室から二次室へ流出する冷媒の流れにより、異物を二次室側へ除去することができ、異物が詰まってしまったままの状態になることを防止できる。
【0010】
請求項2の発明によれば、請求項1と同様に、軸線の回りに複数の摺接部で弁体の側面とガイド面とが点接触、または線接触して弁体がガイドされるとともに、隣接する摺接部の間に弁体の側面とガイド面との間隔を広くした導入路を設けたので、冷媒に混入する異物がこの導入路に導かれて流れるので、弁体のロックを防止することができる。また、本体ケースの内周面を前記円筒状ガイド面として兼用できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の絞り装置の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は第1実施形態の絞り装置の縦断面図(
図1(A))、
図2は実施形態の冷凍サイクルの概略構成図である。なお、
図1(B)は
図1(A)におけるA−A矢視図であり、
図1(C)は
図1(A)におけるB−B断面図である。
【0013】
まず、
図2の冷凍サイクルについて説明する。この冷凍サイクルは、例えば空気調和機を構成しており、圧縮機100と、凝縮器110と、実施形態の絞り装置10と、ストレーナ20と、蒸発器120とを有している。圧縮機100で圧縮された冷媒は凝縮器110に供給され、この凝縮器110で凝縮された冷媒はストレーナ20を介して絞り装置10に送られる。ストレーナ20は冷凍サイクルを流れる冷媒に含まれている異物を除去するものであり、例えば80メッシュ〜100メッシュ程度のフィルタである。絞り装置10は後述のように冷媒を膨張・減圧して蒸発器120に送る。そして、冷凍サイクルを空気調和機として構成した場合には、この蒸発器120により室内が冷却され、冷房の機能が得られる。蒸発器120で蒸発した冷媒は圧縮機100に循環される。
【0014】
図1に示すように、絞り装置10は、金属管からなる本体ケース1と、金属製の弁座部材2と、ガイド部材3と、「弁体」としてのニードル弁4と、ばね受け5と、「ばね部材」としてのコイルばね6と、ストッパ部材7とを備えている。なお、弁座部材2とガイド部材3は金属材の切削等により一体に形成されている。
【0015】
本体ケース1は軸線Lを中心とする円筒状の形状で、前記ストレーナ20を介して凝縮器110に接続される一次室11と前記蒸発器120に接続される二次室12とを構成している。弁座部材2は、本体ケース1の内面に整合する略円柱形状の弁座部2aと、弁座部2aから下方に伸びる円筒部2bとを一体にして構成されている。弁座部2aの外周面の全周(軸線L廻りの全周)には、かしめ溝2a1が形成されており、このかしめ溝2a1の位置で本体ケース1をかしめることにより、弁座部材2(及びガイド部材3)が本体ケース1内に固定されている。これにより、弁座部材2は一次室11と二次室12との間に配設されている。また、弁座部材2には、軸線Lを中心とする円柱孔をなす弁ポート21が形成されるとともに、この弁ポート21から円筒部2b内まで導通する径の大きな導通室22が形成されている。
【0016】
ガイド部材3は円筒状の形状であり弁座部材2から二次室12内に立設されており、このガイド部材3と本体ケース1との隙間は本体側流路13となっている。ガイド部材3は軸線Lを中心とする円柱状のガイド孔31を有するとともに、弁座部材2に隣接する位置にガイド孔31と外部(二次室12)とを導通する開放孔32が形成されている。さらに、ガイド部材3の上方には、ガイド孔31と外部(二次室12)とを導通する開放孔33が形成されている。そして、ガイド孔31の内周面は円筒状ガイド面31aとなっている。この円筒状ガイド面31aは軸線Lと平行になっている。
【0017】
ニードル弁4は、先端部41aの端面を略平坦にした円錐状のニードル部41と、ガイド部材3のガイド孔31内に挿通される挿通部42と、挿通部42の端部に形成されたボス部43とを有している。
図1(C)に示すように、挿通部42は軸線Lと直交する面での断面形状が略六角柱の形状をしており、この挿通部42の六角柱の隣接する側面同士の間の幅の狭い面がガイド部42aとなっている。そして、ガイド部42aがガイド孔31の円筒状ガイド面31aに沿って摺動することにより、ニードル弁4は軸線Lに沿って移動するようにガイドされる。すなわち、ガイド部42aは円筒状ガイド面31aに対して軸線Lと平行な線により線接触し、このガイド部42aと円筒状ガイド面31aとの線接触する部分が摺接部Sとなっている。また、この摺接部Sは、軸線Lの回りに複数(この例では6つ)設けられている。
【0018】
また、挿通部42の六角柱の側面とガイド孔31の円筒状ガイド面31aとで囲まれる隙間は、弁ポート21側の空間からニードル弁4の背後の背圧室44に通じる導入路45となっている。すなわち、隣接する摺接部Sの間における挿通部42の側面と円筒状ガイド面31aとの間隔が、摺接部Sにおける挿通部42の側面(弁ニードル弁4の側面)と円筒状ガイド面31aとの間隔より広くした導入路45が設けられている。なお、ボス部43には、ガイド孔31の円筒状ガイド面31aにはねを摺接させた羽根43aが填め込まれている。
【0019】
ばね受け5は略円柱状の形状であり、その外周面の全周(軸線L廻りの全周)にかしめ溝5aが形成されている。そして、このかしめ溝5aの位置でガイド部材3をかしめることにより、ばね受け5がガイド部材3内に固定されている。コイルばね6は、ガイド孔31内で羽根43aを介してニードル弁4とばね受け5との間に圧縮した状態で配設されている。
【0020】
ストッパ部材7は略円柱状の形状で、
図1(B)に示すように、このストッパ部材7には円柱状部材の側面にDカット面71が形成されており、このDカット面71と円筒部2bとの間隙を介して一次室11が弁座部材2の導通室22に導通される。なお、このストッパ部材7のDカット面71と円筒部2bとの間隙の大きさは、一次室11から流入する冷媒の流れに圧力損失が生じないように、十分な大きさに設定されている。また、ストッパ部材7のDカット面71以外の外周面(軸線L廻り)にはかしめ溝7aが形成されている。そして、このかしめ溝7aの位置で弁座部材2の円筒部2bをかしめることにより、ストッパ部材7が弁座部材4に固定されている。なお、ストッパ部材7をストレーナにより構成し、ストレーナを備えた絞り装置としてもよい。
【0021】
図1の状態では、ニードル弁4のニードル部41の先端部41aは、弁ポート21から一次室11側に突出している。このニードル部41の先端部41aの端面はストッパ部材7に当接している。なお、弁座部2aに対するストッパ部材7の軸線L方向の位置の設定により、ニードル部41の先端部41aの端面がストッパ部材7に当接した状態であっても、このニードル部41と弁ポート21との間には隙間、すなわち「オリフィス」が形成されるようにしてもよい。
【0022】
以上の構成により、凝縮器110からの高圧冷媒は一次室11に流入すると、一次室11の冷媒は、ストッパ部材7と円筒部2aの隙間から弁ポート21とニードル部41との隙間(オリフィス)を通ってガイド孔31内に流出する。このガイド孔31に流出した冷媒は分流され、一方の流れの冷媒はガイド部材3の開放孔32から本体側流路13に流れ、他方の流れの冷媒は導入路45を通って背圧室44に流入する。本体側流路13の冷媒はそのまま二次室12に流れ込むが、背圧室44の冷媒は、ガイド部材3の上方の開放孔33を介して二次室12に流れ出す。
【0023】
ニードル弁4と円筒状ガイド面31aとで囲まれる導入路45は、その断面積が大きいので、冷媒の流量を多くすることができる。このため、冷媒に混入する異物はこの導入路45に導かれて流れる。すなわち、導入路45におけるクリアランスは前記冷凍サイクルのストレーナ20におけるクリアランス(目開き)よりも大きく設定されている。したがって、ニードル弁4の側面のガイド部42aとガイド部材3の円筒状ガイド面31aとの間(クリアランス)に異物が挟まる可能性を極力小さくできる。したがって、異物によってニードル弁4がロックすることが無い。
【0024】
以上のように、実施形態では、複数のガイド部42aを有するニードル弁4において、このガイド部42aと円筒状ガイド面31aとにより軸線Lの回りに複数の摺接部Sが設けられている。そして、この摺接部Sにおいて、ガイド部42aと円筒状ガイド面31aは線接触する。また、隣接する摺接部Sの間における挿通部42の側面と円筒状ガイド面31aとの間隔が、摺接部Sにおける挿通部42の側面(弁ニードル弁4の側面)と円筒状ガイド面31aとの間隔より広くした導入路45となっている。そして、ニードル弁4の側面(挿通部42の側面)に設けられた導入路45の軸線Lと直交する面での断面の合計面積が、開放孔33の面積よりも小さくなっている。したがって、導入路45の合計面積が開放孔33の面積よりも小であることにより、弁ポート21を通過する冷媒は、ニードル部41の側面で絞られるため、背圧室44へ流入する冷媒の流量に対し、開放孔33から排出される冷媒の流量を多くすることができる。このため、背圧室44の圧力を低くすることが可能となり、ニードル弁4に作用する差圧を大きくすることができ、ニードル弁4のリフト量(絞り装置10の最大開度)を大きくすることができる。したがって、仮に、ニードル部41と弁ポート21との間に異物が挟まったとしても、圧縮機100の回転数を増加させる等、絞り装置10の開度が最大となるように冷凍サイクルの制御を行えば、一次室11から二次室12へ流出する冷媒の流れにより、ニードル部41と弁ポート21との間に挟まった異物を二次室側へ除去することができる。これにより、異物がニードル部41と弁ポート21との間に詰まってしまったままの状態になることを防止できる。
【0025】
なお、羽根43aと円筒状ガイド面31aとの摺動抵抗によりニードル弁4のハンチング(ニードル弁4の軸線L方向の振動)を防止できる。すなわち、弁が開き始めると、一次側の圧力が急激に減少する。そのため、ニードル弁4は弁閉方向に変位するが、ニードル弁4が弁閉方向に変位すると、今度はニードル弁4に作用する一次圧が増加し、ニードル弁4は再度、弁開方向に変位する。この繰り返しがハンチングであるが、羽根43aによる摺動抵抗により、ニードル弁4が差圧の変動に追従するのを抑えることができ、上記ハンチングを防止できる。なお、弁開度が大きいときは、ガイド孔31内の冷媒の流量も大きいため、この冷媒の冷媒圧力が羽根43aを円筒状ガイド面31aから離す方向に作用するので、上記摺動抵抗も小さくなり、差圧−開度特性のヒステリシスを小さくできる。
【0026】
図3はニードル弁4の挿通部42の変形例を示す図であり、
図1のB−B断面図(
図1(C))に対応する。なお、
図1と対応する要素には
図1と同符号を付記する。
図3(A)のニードル弁4の挿通部46は四角柱の形状とした例であり、四角柱の角が円筒ガイド面31aに沿って摺動するガイド部46aとなっている。そして、ガイド部46aは円筒状ガイド面31aに対して軸線Lと平行な線により線接触し、このガイド部46aと円筒状ガイド面31aとの線接触する部分が摺接部Sとなっている。また、この摺接部Sは、軸線Lの回りに複数(この例では4つ)設けられている。また、隣接する摺接部Sの間における挿通部46の側面と円筒状ガイド面31aとの間隔が、摺接部Sにおける挿通部46の側面(弁ニードル弁4の側面)と円筒状ガイド面31aとの間隔より広くした導入路45となっている。そして、この例では、
図1の六角柱の場合よりも導入路45の断面積が広くなっている。これにより、導入路45を流れる冷媒の流量がさらに多くなり、ガイド部46aと円筒状ガイド面31aとの間に異物が挟まる可能性をさらに小さくできる。
【0027】
図3(B)のニードル弁4の挿通部47は、側面に3つの円弧凸条部を形成したものであり、その円弧凸条部の突端が円筒ガイド面31aに沿って摺動するガイド部47aとなっている。この例でも、ガイド部47aは円筒状ガイド面31aに対して軸線Lと平行な線により線接触し、このガイド部47aと円筒状ガイド面31aとの線接触する部分が摺接部Sとなっている。また、この摺接部Sは、軸線Lの回りに複数(この例では3つ)設けられている。また、隣接する摺接部Sの間における挿通部47の側面と円筒状ガイド面31aとの間隔が、摺接部Sにおける挿通部47の側面(弁ニードル弁4の側面)と円筒状ガイド面31aとの間隔より広くした導入路45となっている。この例でも、導入路45を流れる冷媒の流量によりガイド部47aと円筒状ガイド面31aとの間に異物が挟まる可能性をさらに小さくできる。
【0028】
図4は第2実施形態の絞り装置の縦断面図であり、第1実施形態と同様な要素には
図1乃至
図3と同符号を付記して重複する説明は適宜省略する。また、第2実施形態の絞り装置10も
図2の冷凍サイクルに設けられるのも第1実施形態と同様である。
【0029】
この第2実施形態の絞り装置10は、第1実施形態のガイド部材3に代えて本体ケース1でニードル弁4をガイドするようにしたものである。
図4に示すように、この第2実施形態の絞り装置10は、金属管からなる本体ケース1と、金属製の弁座部材2と、「弁体」としてのニードル弁4と、調整ねじ81と、「ばね部材」としてのコイルばね6と、ストッパ部材82とを備えている。
【0030】
本体ケース1は軸線Lを中心とする円筒状の形状で、前記ストレーナ20を介して凝縮器110に接続される一次室11と前記蒸発器120に接続される二次室12とを構成している。そして、本体ケース1の内周面は円筒状ガイド面1aとなっている。この円筒状ガイド面1aは軸線Lと平行になっている。
【0031】
弁座部材2は、本体ケース1の内面に整合する略円柱形状の形状をしている。弁座部材2の外周面の全周(軸線L廻りの全周)には、かしめ溝2a1が形成されており、このかしめ溝2a1の位置で本体ケース1をかしめることにより、弁座部材2が本体ケース1内に固定されている。これにより、弁座部材2は一次室11と二次室12との間に配設されている。
【0032】
また、弁座部材2には、軸線Lを中心とする円柱孔をなす弁ポート21が形成されるとともに、弁座部材2と同軸にして弁ポート21から一次室11側に開口するねじ穴23が形成されている。ねじ穴23の内周には雌ねじ部23aが形成されている。ストッパ部材82には円柱状の形状であり、その外周に雄ねじ部82aが形成されている。また、ストッパ部材82には、軸L周りに3つの導通孔82bが形成されている。そして、ストッパ部材82は、その外周の雄ねじ部82aを弁座部材2のねじ穴23の雌ねじ部23aに螺合することにより、弁座部材2に取り付けられている。
【0033】
本体ケース1の内部上方には、内側に雌ねじ部83aを有する雌ねじ部材83が配設されている。雌ねじ部材83の外周面の全周(軸線L廻りの全周)には、かしめ溝2a1が形成されており、このかしめ溝2a1の位置で本体ケース1をかしめることにより、雌ねじ部材83が本体ケース1内に固定されている。調整ねじ81は、その外周に雄ねじ部81aが形成されるとともに、二次室12側の端部にマイナスドライバを嵌合するスリット81bが形成されている。また、調整ねじ81にはその中心に抜き孔81cが貫通して形成されている。コイルばね6は、本体ケース1内で羽根43aを介してニードル弁4と調整ねじ81との間に圧縮した状態で配設されている。そして、調整ねじ81は、その外周の雄ねじ部81aを雌ねじ部材83の雌ねじ部83aに螺合することにより、雌ねじ部材83に取り付けられている。これにより、コイルばね6はニードル弁4を一次室11側に付勢しており、このニードル弁4を付勢する付勢力は、調整ねじ81の雌ねじ部材83に対するねじ込み量により調整される。
【0034】
この第2実施形態におけるニードル弁4は、第1実施形態と同様な円錐状のニードル部41と、本体ケース1の円筒状ガイド面1a内に挿通される挿通部48と、挿通部48の端部に形成されたボス部43とを有している。この挿通部48は、前掲の
図3(A)の挿通部と同様に四角柱の形状をしており、この挿通部48の四角柱の隣接する側面同士の間の幅の狭い面がガイド部48aとなっている。
【0035】
そして、ガイド部48aが本体ケース1の円筒状ガイド面1aに沿って摺動することにより、ニードル弁4は軸線Lに沿って移動するようにガイドされる。すなわち、ガイド部48aと円筒状ガイド面1aとは線接触し、この線接触する部分が「摺接部」となっている。また、挿通部48の四角柱の側面と円筒状ガイド面1aとで囲まれる空間は、弁ポート21側の空間から背圧室44に通じる導入路45となっている。この第2実施形態でも、導入路45の断面積が広くなっているので、導入路45を流れる冷媒の流量がさらに多くなり、ガイド部48aと円筒状ガイド面1aとの間に異物が挟まる可能性をさらに小さくできる。
【0036】
なお、この第2実施形態では、ニードル部41の先端部41aの位置(弁体の一次室側端部の位置)はストッパ部材82により位置決めされる。このオリフィスを流れる冷媒の流量、すなわちブリード流量は、ストッパ部材82の弁座部材2に対するねじ込み量により調整できる。このように、ねじ込み量により調整できるので、ブリード流量をきわめて精度良く調整できる。ストッパ部材82の位置調整をした後は、ストッパ部材82は、例えば接着、ろう付け、かしめ等により弁座部材2に固定する。
【0037】
以上の実施形態では、摺接部Sにおいてニードル弁側のガイド部と円筒状ガイド面とが軸線Lと平行な方向に線接触する場合について説明したが、軸線L方向に分割された領域で点接触するような場合にも本発明は適用できる。
【0038】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。ニードル弁をガイドするガイド面が円筒状の例について説明したが、例えばガイド面が軸線と平行な角柱形状であって、その内側にニードル部の円柱状の挿通部を挿通し、この挿通部の外周を角柱形状のガイド面でガイドするようにしてもよい。