【解決手段】システム100において、サーバ装置3の移動距離条件決定部32は、移動通信端末1からアップロードされた位置情報を受信した後、移動通信端末1の現在位置から、半径閾値の範囲内にジオエリアがあるか否を判定し、判定結果に基づき、移動通信端末1で位置情報を送信するための移動距離条件を決定する機能を備える。移動距離条件情報送信部33は、移動距離条件情報を移動通信端末1へ送信する機能を備える。移動通信端末1の移動距離算出部11は、GPS7からの位置情報を受信する毎に、前回自端末の位置情報をサーバ装置3へアップロードした時から現在までの自端末の移動距離を逐次算出する機能を備える。位置情報送信判定部12にて、決定された移動距離以上を移動したと判定すると、位置情報送信部13は、自端末の位置情報をサーバ装置3へアップロードする。
【発明を実施するための形態】
【0016】
上記課題を解決するため、本発明では、ユーザが移動していない場合又はユーザの周囲にサービス提供エリアがない場合には、ユーザが移動しない限りサービス提供エリアへの侵入は起こり得ないので、ユーザが移動するまで位置情報をアップロードする必要がない点に着目する。
【0017】
そして、本発明は、移動通信端末の現在位置からサービス提供エリアまでの距離の大きさに応じて、該移動通信端末が自端末の位置情報を送信するための移動距離条件を調整することに特徴がある。これにより、位置情報のアップロード頻度を改善し、移動通信端末の消費電力を節約し、移動通信端末の通信料を適正化し、サーバ装置の処理リソースを節約する。
【0018】
以下、本発明を実施する一実施の形態について図面を用いて説明する。
【0019】
<<第1の実施の形態>>
<システム構成>
図1は、本実施の形態に係るシステム100の全体構成を示す図である。該システム100は、移動通信網5を介して自端末の位置情報をサーバ装置3へアップロードする移動通信端末1と、移動通信端末1の位置に応じてサービス情報を該移動通信端末1へプッシュ配信するサーバ装置3と、を備えて構成される。
【0020】
まず、移動通信端末1の機能について説明する。移動通信端末1は、移動距離算出部11と、位置情報送信判定部12と、位置情報送信部13と、移動距離条件更新部14と、データ記憶部15と、ユーザ属性情報送信部16と、サービス情報処理部17と、を備えて構成される。以下、各部の機能を説明する。
【0021】
移動距離算出部11は、自身からの要求に応じてGPS7から自端末の位置情報を受信する毎に、前回自端末の位置情報をサーバ装置3へアップロードした時から現在までの自端末の移動距離を逐次算出する機能を備える。
【0022】
位置情報送信判定部12は、移動距離算出部11で自端末の移動距離が算出される毎に、算出された自端末の移動距離とデータ記憶部15の移動距離閾値とを比較して、該比較結果に基づき自端末の位置情報をサーバ装置3へ送信するか否かを判定する機能を備える。
【0023】
位置情報送信部13は、位置情報送信判定部12で位置情報を送信すると判定された場合、自端末の位置情報をサーバ装置3へアップロードし、位置情報を送信しないと判定された場合、自端末の位置情報をアップロードしない機能を備える。
【0024】
移動距離条件更新部14は、サーバ装置3からの移動距離条件情報(=移動距離閾値)でデータ記憶部15の移動距離閾値を更新する機能を備える。
【0025】
データ記憶部15は、自端末の位置情報をアップロードするか否かを判定するために用いる移動距離閾値と、移動通信端末1のユーザに関するユーザ属性情報と、を記憶する機能を備える。
【0026】
ユーザ属性情報送信部16は、サーバ装置3からのユーザ属性情報要求に応じて、データ記憶部15のユーザ属性情報をサーバ装置3へ送信する機能を備える。
【0027】
サービス情報処理部17は、サーバ装置3からのサービス情報を処理する機能を備える。
【0028】
続いて、サーバ装置3の機能について説明する。サーバ装置3は、データ記憶部31と、移動距離条件決定部32と、移動距離条件情報送信部33と、エリア内外判定部34と、ユーザ属性情報取得部35と、サービス情報プッシュ配信部36と、を備えて構成される。以下、各部の機能を説明する。
【0029】
データ記憶部31は、移動通信端末1の周辺にジオエリアがあるか否かを判定するために用いる半径閾値と、ジオエリア情報と該ジオエリアにプッシュ配信するサービス情報及び該サービス情報の配信条件とを関連付けたプッシュ配信情報と、を記憶する機能を備える。ジオエリアとは、サービス情報が移動通信端末1にプッシュ配信される予め定義された地理的なサービス提供エリアである。
【0030】
移動距離条件決定部32は、移動通信端末1からアップロードされた位置情報を受信した後、データ記憶部31の半径閾値を参照して、該移動通信端末1の現在位置から該半径閾値の範囲内にジオエリアがあるか否かを判定し、該判定結果に基づき移動通信端末1で位置情報を送信するための移動距離条件(=移動距離閾値)を決定する機能を備える。
【0031】
移動距離条件情報送信部33は、移動距離条件決定部32で決定された移動距離条件情報を移動通信端末1へ送信する機能を備える。
【0032】
エリア内外判定部34は、データ記憶部31のプッシュ配信情報を参照し、移動通信端末1の現在位置がジオエリアの内側又は外側であるかを判定する機能を備える。
【0033】
ユーザ属性情報取得部35は、自身からの要求に応じて移動通信端末1からユーザ属性情報を取得する機能を備える。
【0034】
サービス情報プッシュ配信部36は、ユーザ属性情報取得部35で取得した移動通信端末1のユーザ属性に対応するサービス情報を該移動通信端末1へプッシュ配信する機能を備える。
【0035】
<システム動作>
次に、上記システム100で行う動作について説明する。
図2は、本実施の形態に係る位置情報アップロード方法及びサービス情報のプッシュ配信方法の処理動作を示す図である。
【0036】
まず、ステップS101において、移動通信端末1の移動距離算出部11は、自身からの定期的要求に応じてGPS7から自端末の緯度経度情報(=位置情報)を受信し、ステップS102において、受信した緯度経度情報を用いて、前回緯度経度情報をサーバ装置3へアップロードした時の位置から現在位置までの自端末の移動距離を算出する。
【0037】
次に、ステップS103において、位置情報送信判定部12は、ステップS102で算出された自端末の移動距離が移動距離閾値L
th1以上であるか否かを判定する。移動距離閾値L
th1とは、移動通信端末1の周囲にジオエリアがあるか否かに基づきサーバ装置3で調整された移動通信端末1の移動距離の閾値である。
【0038】
そして、自端末の移動距離が移動距離閾値L
th1以上である場合には、ステップS104において、位置情報送信部13は、ステップS101で受信していた自端末の緯度経度情報を自端末の端末IDと共にサーバ装置3へアップロードする。一方、自端末の移動距離が移動距離閾値L
th1未満である場合には、自端末の緯度経度情報をサーバ装置3へアップロードすることなく、ステップS101へ戻る。
【0039】
サーバ装置3では、移動通信端末1から緯度経度情報を受信した後、ステップS105において、移動距離条件決定部32は、該移動通信端末1の現在位置から半径閾値L
th2の範囲内にジオエリアがあるか否かを判定し、該判定結果に基づき移動通信端末1で次に緯度経度情報を送信するための移動距離条件(=移動距離閾値L
th1)を決定する。以下、具体的に説明する。
【0040】
移動通信端末1の現在位置から半径閾値L
th2内にジオエリアがある場合は、移動通信端末1のユーザがジオエリアに進入する又は既に侵入している可能性が高く、該移動通信端末1に緯度経度情報をアップロードさせる価値があるので、移動距離条件決定部32は、移動通信端末1の移動距離閾値L
th1を短い距離値に決定する。例えば、前回決定値よりも短い距離値に決定する。その他、移動通信端末1の現在位置から半径閾値L
th2内にジオエリアがない場合よりも短い距離値に決定してもよい。
【0041】
一方、移動通信端末1の現在位置から半径閾値L
th2内にジオエリアがない場合は、移動通信端末1のユーザはジオエリアから大きく離れた所に位置しており、緯度経度情報をアップロードさせる価値がないので、緯度経度情報のアップロード頻度を抑制する必要がある。そのため、移動距離条件決定部32は、移動通信端末1の移動距離閾値L
th1を長い距離値に決定する。例えば、前回決定値よりも長い距離値に決定する。その他、移動通信端末1の現在位置から半径閾値L
th2内にジオエリアがある場合よりも長い距離値に決定してもよい。
【0042】
その他の距離値決定方法も考えられる。例えば、移動通信端末1の現在位置から半径閾値L
th2内にジオエリアがある場合には、緯度経度情報のアップロードをそのまま継続させるため、前回決定値と同じ距離値に維持決定し、移動通信端末1の現在位置から半径閾値L
th2内にジオエリアがない場合にのみ、移動通信端末1の移動距離を長い距離値に決定してもよい。
【0043】
そして、移動通信端末1の現在位置から半径閾値L
th2内にジオエリアがない場合には、ステップS106において、移動距離条件情報送信部33は、移動距離条件として長い距離値の移動距離閾値L
th1_longを移動通信端末1へ送信する。これにより、移動通信端末1で行う緯度経度情報のアップロード頻度を必要最小限に抑制できる。その結果、移動通信端末1の消費電力及び通信料を抑制できる。また、これにより、サーバ装置3の処理リソース(例えば、CPU使用量、メモリ使用量)を節約できる。
【0044】
一方、移動通信端末1の現在位置から半径閾値L
th2内にジオエリアがある場合には、ステップS107において、移動距離条件情報送信部33は、短い距離値の移動距離閾値L
th1_shortを移動通信端末1へ送信する。これにより、移動通信端末1で行う緯度経度情報のアップロード頻度が高くなるので、サーバ装置3は、移動通信端末1の位置を随時把握でき、ユーザがジオエリアに進入したタイミング等、適切なタイミングでサービス情報を配信できる。
【0045】
移動通信端末1では、サーバ装置3から移動距離条件情報(=移動距離閾値L
th1)を受信した後、ステップS108において、移動距離条件更新部14は、受信した移動距離閾値L
th1でデータ記憶部15の移動距離閾値L
th1を更新する。移動距離閾値L
th1は、移動通信端末1で緯度経度情報の送信周期を決定する要素として機能し、以降、移動通信端末1は、更新後の移動距離閾値L
th1以上移動した場合に緯度経度情報をサーバ装置3へアップロードする。更新後の移動距離閾値L
th1が長い距離値の移動距離閾値L
th1_longである場合には、緯度経度情報のアップロード頻度がより適切に抑制されることになる。
【0046】
引き続き、ステップS105で移動通信端末1の現在位置から半径閾値L
th2内にジオエリアがあると判定した場合について説明する。該判定の後、ステップS109において、エリア内外判定部34は、データ記憶部31のプッシュ配信情報を参照し、移動通信端末1の現在位置がジオエリアの内側又は外側であるかを判定する。
【0047】
そして、移動通信端末1の現在位置がジオエリアの内側である場合には、ステップS110において、ユーザ属性情報取得部35は、該移動通信端末1からユーザ属性情報を取得し、ステップS111において、サービス情報プッシュ配信部36は、取得した移動通信端末1のユーザ属性に対応するサービス情報を移動通信端末1へプッシュ配信する。一方、移動通信端末1の現在位置がジオエリアの外側である場合には、サーバ装置3は、移動通信端末1へ何らプッシュ配信することなく、処理動作を終了する。
【0048】
<システム動作:具体例>
引き続き、
図3と
図4を参照しながら、上記位置情報アップロード方法及びサービス情報のプッシュ配信方法の処理動作を詳述する。
図3は、移動通信端末1の移動に応じて緯度経度情報を随時アップロードする様子を示す図である。
図4は、サーバ装置3のデータ記憶部31で管理しているプッシュ配信情報の例を示す図である。
【0049】
まず、移動通信端末1は、
図3に示した位置L
aでGPS7から緯度経度情報を受信すると、前回緯度経度情報をアップロードした時の位置L
oから現在位置L
aまでの移動距離L
mを算出し、該移動距離L
mは移動距離閾値L
th1以上なので、受信していた緯度経度情報をサーバ装置3へアップロードする。なお、移動通信端末1の移動距離の算出方法は公知技術である。例えば、緯度経度を直交座標系のx−y座標とみなして2つの位置L
o,L
aにそれぞれ対応する座標を定義し、該2つの座標間の距離を求めることにより算出する。
【0050】
次に、サーバ装置3は、移動通信端末1から緯度経度情報を受信した後、
図4に示したプッシュ配信情報のジオエリア情報(緯度,経度,半径)を参照し、移動通信端末1の現在位置L
aから所定の半径閾値L
th2の範囲内にジオエリア(
図3で例示するジオエリア#1)がないので、長い距離値を設定した移動距離条件(=移動距離閾値L
th1_long)を移動通信端末1へ通知する。
【0051】
ここで、移動距離条件の決定方法の具体例を説明する。例えば、サーバ装置3は、プッシュ配信情報に含まれる複数のジオエリアから移動通信端末1に最も近いジオエリア(
図3のジオエリア#1)を選択し、該ジオエリア#1と移動通信端末1の現在位置L
aとの間の直線距離を元にジオエリア#1に近い中間位置を決定し、移動通信端末1の現在位置L
aから該中間位置までの直線距離を移動距離閾値L
th1_longとする。
【0052】
その後、移動通信端末1は、ユーザの移動に伴い
図3に示した位置L
b,L
c,L
dで自端末の緯度経度情報を定期的に受信するが、各位置L
b,L
c,L
dでの位置L
aからの移動距離は移動距離閾値L
th1_long未満なので、緯度経度情報のアップロードを中断する。
【0053】
更にその後、移動通信端末1は、更なるユーザの移動に伴い
図3に示した位置L
eで自端末の緯度経度情報を受信した場合には、前回緯度経度情報をアップロードした時の位置L
aから現在位置L
eまでの移動距離は移動距離閾値L
th1_long以上なので、緯度経度情報のアップロードを再開する。その後、サーバ装置3は、移動通信端末1の現在位置L
eから半径閾値L
th2の範囲内にジオエリアがあるので、短い距離値を設定した移動距離条件(=移動距離閾値L
th1_short)を移動通信端末1へ通知する。
【0054】
更に、
図3に示した例では、移動通信端末1の現在位置L
eはジオエリア#1の内側なので、該移動通信端末1は、該ジオエリア#1でのサービス情報の配信対象端末となる。そのため、サーバ装置3は、移動通信端末1からユーザ属性情報を取得し、該ユーザ属性及び現在時刻がジオエリア#1の配信条件(配信時刻,ユーザ属性)に合致する場合には、ジオエリア#1に係るサービス情報を移動通信端末1へプッシュ配信する。このとき、該当のサービス情報が複数ある場合は、更新日時が一番新しいものを配信する。
【0055】
例えば、ジオエリア#1が「海浜幕張駅」である場合、更新日時の最も新しい「No.1」のレコードを抽出し、移動通信端末1のユーザ属性が「男女、30代」であり、かつ、現在時刻が「10:00〜12:00」の範囲内であれば、「アウトレット商品30%オフ」というサービス情報をプッシュ配信する。その後、移動通信端末1は、サーバ装置3からプッシュ配信された該サービス情報を画面に表示し、音声出力する。
【0056】
<ジオエリアの活用例>
最後に、ジオエリアの活用例について説明する。ジオエリアとは、サービス情報を移動通信端末1へプッシュ配信する地理的領域である。通常、3G,4G,LTE等の移動通信網を介してサービス情報を配信するので、観光地等の広範エリアをカバーするために用いられる。
【0057】
一方、現在では、無線LANのアクセスポイントを介してサービス情報をプッシュ配信するWi−Fiエリアも存在する。サービス情報のプッシュ配信を行う点ではジオエリアと共通するが、無線LANのアクセスポイントは移動通信網よりも出力パワーが小さく、アクセスポイントからの電波到達範囲は極めて小さいので、店舗等の局所エリアをカバーするために用いられる。
【0058】
そこで、Wi−Fiエリアを拡張するためにジオエリアを活用することが考えられる。例えば、
図5(a)に示す通り、サーバ装置3は、ジオエリアがWi−Fiエリアを全て又は一部重複するように、プッシュ配信情報のジオエリア情報(緯度,経度,半径)を設定する。サーバ装置3は、ジオエリアの移動通信端末1に対しては、移動通信網を介してサービス情報をプッシュ配信し、Wi−Fiエリアの移動通信端末1に対しては、移動通信網又は無線LANのアクセスポイントを介して配信する。Wi−Fiエリアの拡張を目的とするので、サーバ装置3は、Wi−Fiエリアで配信するサービス情報と同じサービス情報をジオエリアで配信する。
【0059】
また、Wi−Fiエリアへ誘引するためにジオエリアを活用することも考えられる。例えば、
図5(b)に示す通り、サーバ装置3は、ジオエリアがWi−Fiエリアに重複しない位置で該Wi−Fiエリアの周辺地域をカバーするように、プッシュ配信情報のジオエリア情報を設定する。サーバ装置3は、ジオエリアの移動通信端末1にWi−Fiエリアの店舗へ誘引するサービス情報をプッシュ配信する。例えば、移動通信端末1の現在位置から該店舗までのルートをナビゲートする地図情報をプッシュ配信し、該移動通信端末1の画面に表示させ、ユーザの移動に伴い進行方向を音声出力させる。
【0060】
更に、Wi−Fiエリアとは無関係に任意のエリアでジオエリアを活用することも当然に考えられる。例えば、
図5(c)に示す通り、サーバ装置3は、イベント会場をカバーするようにプッシュ配信情報のジオエリア情報を設定し、イベント会場に進入した移動通信端末1に該イベント会場で行われるイベント情報をプッシュ配信する。
【0061】
以上より、本実施の形態によれば、サーバ装置3は、移動通信端末1の現在位置から一定範囲内にジオエリアがあるか否かに応じて、移動通信端末1が位置情報を送信する条件である移動距離を決定し、移動通信端末1は、該決定された移動距離以上を移動した後に位置情報をサーバ装置3へ送信するので、位置情報のアップロード頻度を抑制できる。これにより、移動通信端末1の消費電力を節約でき、移動通信端末1の通信料を適正化でき、サーバ装置3の処理リソースを節約できる。
【0062】
<<第2の実施の形態>>
第1の実施の形態は、移動通信端末1の位置から半径閾値L
th2内にジオエリアがあるか否か、換言すれば移動通信端末1とジオエリアとの間の距離に基づき移動通信端末1の移動距離条件を決定している。それゆえ、冒頭で説明した「移動通信端末の現在位置からサービス提供エリアまでの距離の大きさに応じて、該移動通信端末が自端末の位置情報を送信するための移動距離条件を調整する」という特徴の一実施例に該当すると考えられる。
【0063】
一方、本実施の形態では、上記「移動通信端末の現在位置からサービス提供エリアまでの距離の大きさに応じて、」の特徴を、より明確に対応付けた実施例を説明する。例えば、移動通信端末1から緯度経度情報がアップロードされた後、
図2に示したステップS105において、サーバ装置3の移動距離条件決定部32は、該移動通信端末1の現在位置からジオエリアまでの距離を算出し、所定の距離閾値L
th3よりも大きいか小さいかを判定する。そして、移動距離条件決定部32は、該距離が距離閾値L
th3より小さい場合には移動通信端末1の移動距離閾値L
th1を短い距離値の移動距離閾値L
th1_shortに決定し、該距離が距離閾値L
th3より大きい場合には移動距離閾値L
th1を長い距離値の移動距離閾値L
th1_longに決定する。以降の動作は第1の実施の形態と同様である。
【0064】
以上より、本実施の形態によれば、サーバ装置3は、移動通信端末1の現在位置からジオエリアまでの距離の大きさに応じて、移動通信端末1が位置情報を送信する条件である移動距離を決定し、移動通信端末1は、該決定された移動距離以上を移動した後に位置情報をサーバ装置3へ送信するので、位置情報のアップロード頻度を抑制できる。これにより、移動通信端末1の消費電力を節約でき、移動通信端末1の通信料を適正化でき、サーバ装置3の処理リソースを節約できる。
【0065】
以降、各実施の形態の変形例について説明する。
【0066】
<<変形例1>>
本発明では、移動通信端末1が位置情報を取得して自端末の移動距離を算出できればよい。そのため、移動通信端末1の位置情報の取得方法については任意である。そこで、移動通信端末1は、GPS7から自端末の位置情報を取得するのに代えて、地上に設置されたビーコン(Beacon;発信機)を定期的に探査し、応答したビーコンからのビーコンIDを元に移動距離を算出してもよい。例えば、移動通信端末1は、ビーコンから発信されたビーコンIDを、ビーコンIDとビーコンの位置情報とを対応付けたテーブルを保持するサーバ装置へ送信して、発信元ビーコンの位置を解決する。そして、移動通信端末1は、該ビーコンの位置を自端末の位置とみなして、
図2に示したステップS102以降の処理を実施する。
【0067】
その他、GPS又はビーコン以外に、Wi−Fiエリアのアクセスポイントへの接続実績も位置情報として利用してもよい。例えば、移動通信端末1は、Wi−Fiエリアのアクセスポイントに接続した際に、そのアクセスポイントから送信されたアクセスポイントIDをサーバ装置3へ送信する。サーバ装置3は、移動通信端末1からのアクセスポイントIDに対応するアクセスポイントの位置情報を取得(置換)し、該アクセスポイントの位置を移動通信端末1の位置とみなして、
図2に示したステップS102以降の処理を実施する。
【0068】
<<変形例2>>
本発明では、移動通信端末1が自端末の移動距離を算出できればよい。そのため、移動通信端末1の移動距離の算出方法については任意である。そこで、移動通信端末1は、GPS7からの位置情報を元に自端末の移動距離を算出するのに代えて、自端末に内蔵された加速度センサを用いて自端末の移動距離を算出してもよい。例えば、移動通信端末1は、所定位置でGPS7から受信した自端末の位置情報を用いて自端末の基準位置を決定し、自端末の移動により生じる加速度のデータを用いて該基準位置からの移動距離を算出する。以降、移動通信端末1が加速する毎に
図2に示したステップS102以降の処理を実施する。
【0069】
<<変形例3>>
ここまで、移動通信端末1に対して1つの移動距離条件(=移動距離閾値)を設定する例を説明した。しかし、ジオエリアはユーザの全方向に一様に分布しているとは限らないので、ユーザの移動方向にジオエリアがあるか否かに関わらず一定の移動距離条件を設定することは妥当でない可能性がある。
【0070】
そこで、サーバ装置3は、ジオエリアがあるか否かに応じて方角毎に移動距離条件を決定し設定してもよい。例えば、サーバ装置3は、
図2に示したステップS104の後、ステップS105の判定に加え、移動通信端末1から前回受信していた緯度経度情報と今回受信した緯度経度情報とを用いて移動通信端末1の移動方向(移動方角)を求め、その移動方向の先にジオエリアがあるか否かを更に判定する。そして、移動通信端末1の移動方向の先にジオエリアがない場合には、長い距離値の移動距離条件を設定する。
【0071】
例えば、ステップS105で移動通信端末1の現在位置から半径閾値L
th2内にジオエリアがないと判定され、さらに移動通信端末1の移動方向の先にジオエリアがないと判定された場合、ステップS106で設定していた距離値(移動距離閾値L
th1_long)よりも長い距離値を移動距離条件に設定する。これにより、移動通信端末の消費電力をさらに節約し、移動通信端末の通信料をさらに適正化できる。一方、移動通信端末1の移動方向の先にジオエリアがある場合には、ステップS106で設定していた距離値(移動距離閾値L
th1_long)よりも短い距離値を移動距離条件に設定する。
【0072】
また、例えば、ステップS105で移動通信端末1の現在位置から半径閾値L
th2内にジオエリアがあると判定されたが、移動通信端末1の移動方向の先にはジオエリアがないと判定された場合、ステップS107で設定していた距離値(移動距離閾値L
th1_short)よりも長い距離値を移動距離条件に設定する。一方、移動通信端末1の移動方向の先にジオエリアがある場合には、ステップS107で設定していた距離値(移動距離閾値L
th1_short)よりも短い距離値を移動距離条件に設定する。
【0073】
このように、移動通信端末1の移動方向(移動方角)に応じて移動距離条件を設定することにより、移動通信端末の消費電力をさらに節約し、移動通信端末の通信料をさらに適正化できる。
【0074】
<<変形例4>>
ここまで、移動通信端末1の位置情報の送信条件として該移動通信端末1の移動距離を例に説明した。しかし、移動距離条件のみを用いた場合、移動通信端末1が一定距離を移動しない限り位置情報がアップロードされないので、サーバ装置3で移動通信端末1を特定できない期間が長期化する可能性がある。
【0075】
そこで、移動距離条件に加えて、時間条件を用いてもよい。移動通信端末1は、
図2に示したステップS103,S104で自端末の移動距離が移動距離閾値L
th1以上である場合に自端末の位置情報をサーバ装置3へアップロードするのに加えて、タイマー機能を起動しておき定期的に自端末の位置情報をサーバ装置3へアップロードする。その他、定期的なアップロードに代えて、移動通信端末1は、前回位置情報をサーバ装置3へアップロードした時から一定時間経過した後に自端末の位置情報をサーバ装置3へアップロードしてもよい。
【0076】
移動距離条件のみを用いた場合よりも位置情報のアップロード頻度は高くなるが、所定時間の経過により位置情報が必ずアップロードされるので、サーバ装置3は、移動通信端末1の位置を所定のタイミングで特定できる。
【0077】
<<変形例5>>
ここでも時間条件を用いる例について説明する。移動通信端末1の移動速度が距離条件に対して極端に大きい場合、ジオエリアの場所とは無関係に、位置情報のアップロード頻度が過剰になる。例えば、移動距離条件(=移動距離閾値)が500mで時速300kmの新幹線に乗車中の場合、位置情報は6秒毎にアップロードされてしまう。
【0078】
そこで、移動距離条件に加えて、時間条件を用いる。移動通信端末1は、データ記憶部15に最短送信時間間隔を設定しておき、
図2に示したステップS103で自端末の移動距離が移動距離閾値L
th1以上であると判定された後、所定時刻から該最短送信時間間隔を経過しているか否かを判定する。そして、所定時刻から最短送信時間間隔を経過している場合のみ、移動通信端末1は、位置情報をサーバ装置3へアップロードする。これにより、移動通信端末1の移動距離に関わらず、例えば前回アップロードしてから1分間は位置情報をアップロードしないなど、位置情報のアップロード頻度を適切に抑制できる。
【0079】
最後に、各実施の形態及び各変形例で説明した移動通信端末1及びサーバ装置3について補足する。移動通信端末1及びサーバ装置3は、少なくともCPU及びメモリを備えたコンピュータで実現可能である。例えば、移動通信端末1は、スマートフォン、タブレット、携帯電話等の情報処理端末を用いて実現可能である。また、各実施の形態及び各変形例で説明した処理は、OS(Operating System),アプリケーションプログラム等のプログラムで実行される。更に、移動通信端末1及びサーバ装置3の各動作をプログラム(位置情報アップロードプログラム,サービス情報プッシュ配信プログラム)として構築し、コンピュータにインストールして実行させ、インターネット等の通信網を介して流通させ、更には、その記録媒体を作成することも可能である。