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特開2018-63772コンタクト、コネクタ部材及びコネクタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-63772(P2018-63772A)
(43)【公開日】2018年4月19日
(54)【発明の名称】コンタクト、コネクタ部材及びコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/10 20060101AFI20180323BHJP
【FI】
   H01R13/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-200017(P2016-200017)
(22)【出願日】2016年10月11日
(71)【出願人】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000039
【氏名又は名称】特許業務法人アイ・ピー・ウィン
(72)【発明者】
【氏名】槙山 弘毅
(57)【要約】
【課題】導電繊維への取り付けを容易に行うことができるコンタクト、コネクタ部材及びコネクタを提供する。
【解決手段】相手側コンタクト110と接触される接触部38と、導電繊維126に接続される接続部46と、を有するコンタクト34であって、接続部46には、接続部46内に収容される大きさの固定部材62が設けられ、固定部材62により、導電繊維126が接続部46の内側に固定されて接続されることを特徴とするコンタクト34である。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側コンタクトと接触される接触部と、導電繊維に接続される接続部と、を有するコンタクトであって、
前記接続部には、前記接続部内に収容される大きさの固定部材が設けられ、
前記固定部材により、前記導電繊維が前記接続部の内側に固定されて接続されることを特徴とするコンタクト。
【請求項2】
前記接続部は、一方が閉塞され、他方が開口された円筒状に形成され、
前記固定部材は、前記接続部の内側に前記導電繊維を挟み込んだ状態で固定されることを特徴とする請求項1に記載のコンタクト。
【請求項3】
前記接続部の内側には、外側に向かって窪んで形成された固定溝が形成され、
前記固定部材には、前記固定溝に前記導電繊維を押圧すると共に、嵌まり込む押圧部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のコンタクト。
【請求項4】
前記接続部には、少なくとも一つのスリット部が周方向に対して直交する方向に向かって形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコンタクト。
【請求項5】
前記固定部材は、前記接続部の内側に前記導電繊維と共に固定された場合において、前記接続部内にすべて収容される大きさで形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のコンタクト。
【請求項6】
少なくとも一つの請求項1〜5のいずれかに記載の前記コンタクトと、
前記コンタクトが取り付けられたハウジングと、を有することを特徴とするコネクタ部材。
【請求項7】
前記コンタクトは、前記ハウジングに取り付けられる取付部を有し、
前記ハウジングには、前記コンタクトの前記取付部が取り付けられる取付壁部が形成された壁部を有していることを特徴とする請求項6に記載のコネクタ部材。
【請求項8】
前記ハウジングの前記壁部は、前記ハウジングの外周側に形成されており、
前記コンタクトの前記接続部は、前記コンタクトの前記取付部を前記ハウジングの前記取付壁部に取り付けた状態で、前記ハウジングの前記接続部が前記ハウジングの外側に配置されることを特徴とする請求項7に記載のコネクタ部材。
【請求項9】
請求項5〜8のいずれかに記載の前記コネクタ部材と、
前記コンタクトに接触される少なくとも一つの相手側コンタクトと、前記相手側コンタクトが取り付けられた相手側ハウジングと、を有する相手側コネクタ部材と、を有し、
前記コネクタ部材と前記相手側コネクタ部材が着脱自在とされていることを特徴とするコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類等の布部材に設けられた導電繊維に装着させるコンタクト、コネクタ部材及びコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
衣類等に設けられた導電繊維に装着させるコネクタとして、例えば、下記特許文献1にスナップボタン型コネクタの発明が開示されている。下記特許文献1に開示されているスナップボタン型コネクタによれば、導電性を有する第1の布と、導電性を有する第2の布と、前記第1の布に機械的および電気的に接続され、導電性を有する材料からなる雄型スナップボタンと、前記第2の布に機械的および電気的に接続され、導電性を有する材料からなり、前記雄型スナップボタンと嵌合する雌型スナップボタンとを備えたことを特徴とするとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−135723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されたスナップボタン型コネクタは、布への取り付けが糸による縫い付けにより行われているため、取り付けに手間がかかるという課題がある。また、コンタクトを相手方コンタクトと取り付ける場合、一つ一つ行う必要があり、手間がかかる課題もある。
【0005】
本発明の目的は、導電繊維への取り付けを容易に行うことができるコンタクト、コネクタ部材及びコネクタを提供することである。また、本発明の他の目的は、複数のコンタクトと相手方コンタクトの取り付けを容易に行うことができるコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様のコンタクトは、相手側コンタクトと接触される接触部と、導電繊維に接続される接続部と、を有するコンタクトであって、
前記接続部には、前記接続部内に収容される大きさの固定部材が設けられ、
前記固定部材により、前記導電繊維が前記接続部の内側に固定されて接続されることを特徴とする。
【0007】
また、第2の態様のコンタクトは、第1の態様のコンタクトにおいて、前記接続部は、一方が閉塞され、他方が開口された円筒状に形成され、
前記固定部材は、前記接続部の内側に前記導電繊維を挟み込んだ状態で固定されることを特徴とする。
【0008】
また、第3の態様のコンタクトは、第1又は第2の態様のコンタクトにおいて、前記接続部の内側には、外側に向かって窪んで形成された固定溝が形成され、
前記固定部材には、前記固定溝に前記導電繊維を押圧すると共に、嵌まり込む押圧部が形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、第4の態様のコンタクトは、第1〜第3のいずれかの態様のコンタクトにおいて、前記接続部には、少なくとも一つのスリット部が周方向に対して直交する方向に向かって形成されていることを特徴とする。
【0010】
また、第5の態様のコンタクトは、第1〜第4のいずれかの態様のコンタクトにおいて、前記固定部材は、前記接続部の内側に前記導電繊維と共に固定された場合において、前記接続部内にすべて収容される大きさで形成されていることを特徴とする。
【0011】
また、第6の態様のコネクタ部材は、第1〜第5のいずれかの態様のコネクタにおいて、少なくとも一つの第1〜第5のいずれかの態様の前記コンタクトと、
前記コンタクトが取り付けられたハウジングと、を有することを特徴とする。
【0012】
また、第7の態様のコネクタ部材は、第6の態様のコネクタにおいて、前記コンタクトは、前記ハウジングに取り付けられる取付部を有し、
前記ハウジングには、前記コンタクトの前記取付部が取り付けられる取付壁部が形成された壁部を有していることを特徴とする。
【0013】
また、第8の態様のコネクタ部材は、第7の態様のコネクタ部材において、前記ハウジングの前記壁部は、前記ハウジングの外周側に形成されており、
前記コンタクトの前記接続部は、前記コンタクトの前記取付部を前記ハウジングの前記取付壁部に取り付けた状態で、前記ハウジングの前記接続部が前記ハウジングの外側に配置されることを特徴とする。
【0014】
また、第9の態様のコネクタは、第5〜第8のいずれかの態様の前記コネクタ部材と、
前記コンタクトに接触される少なくとも一つの相手側コンタクトと、前記相手側コンタクトが取り付けられた相手側ハウジングと、を有する相手側コネクタ部材と、を有し、
前記コネクタ部材と前記相手側コネクタ部材が着脱自在とされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
第1の態様のコンタクトによれば、導電繊維への取り付けを容易に行うことができる。
【0016】
第2の態様のコンタクトによれば、簡単な形状で接続部を形成することができる。
【0017】
第3の態様のコンタクトによれば、接続部への導電繊維の固定を確実に行うことができる。
【0018】
第4の態様のコンタクトによれば、接続部が弾性変形されることで、導電繊維の固定を容易に行うことができる。
【0019】
第5の態様のコンタクトによれば、固定部材が接続部からはみ出して他の部材に接触することを抑制することができる。
【0020】
第6の態様のコネクタ部材によれば、導電繊維への取り付けを容易に行うことができる。
【0021】
第7の態様のコネクタ部材によれば、コンタクトのハウジングへの取り付け、及び、コンタクトの導電繊維への取り付けを容易に行うことができる。
【0022】
第8の態様のコネクタ部材によれば、コンタクトの導電繊維への取り付けを容易に行うことができる。
【0023】
第9の態様のコネクタによれば、導電繊維に接続したコンタクトを有するコネクタ部材と相手側コネクタ部材との接続を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1Aは実施形態に係るコネクタを導電繊維を有する布部材に装着させた状態を示す斜視図であり、図1Bは第1コネクタ部材と第2コネクタ部材を分離させた状態を示す斜視図である。
図2図2Aは実施形態に係る第1コネクタ部材を示す斜視図であり、図2Bは他の方向から見た斜視図である。
図3図3Aは第1コネクタ部材の一部を拡大した断面図であり、図3Bは他の方向から見た斜視図であり、図3C図3AのIIIC−IIIC線での断面図である。
図4図4Aは第1コネクタ部材の一部を拡大した平面図であり、図4Bは正面図であり、図4Cは底面図である。
図5図5Aは固定部材の斜視図であり、図5Bは他の方向から見た斜視図である。
図6図6Aは第1コンタクトと導電繊維の接続前の状態を示した断面図であり、図6Bは第1コンタクトと導電繊維を接続させた状態を示す断面図である。
図7図7Aは実施形態に係る第2コネクタ部材を示す斜視図であり、図7Bは他の方向から見た斜視図である。
図8図8Aは第2コネクタ部材の一部を拡大した断面図であり、図8Bは他の方向から見た斜視図である。
図9図9Aは第2コネクタ部材の一部を拡大した平面図であり、図9Bは正面図であり、図9Cは底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのコンタクト、コネクタ部材及びコネクタを例示するものであって、本発明をこれに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適応し得るものである。
【0026】
[実施形態]
図1図9を参照して、実施形態に係るコネクタ10について説明する。実施形態のコネクタ10は、図1に示すように、例えば衣類等の布部材124に設けられた導電繊維126に接続されるコンタクトとしての第1コンタクト34が取り付けられたコネクタ部材としての第1コネクタ部材12と、他の装置の基板等に接続される相手側コンタクトとしての第2コンタクト110が取り付けられた相手側コネクタ部材としての第2コネクタ部材78とを有しており、第1コネクタ部材12と第2コネクタ部材78とが着脱自在となるように構成されている。以下、各構成について説明する。
【0027】
まず、図1図6を参照して、第1コネクタ部材12について説明する。第1コネクタ部材12は導電繊維126に電気的に接続される複数の第1コンタクト34と、この第1コンタクト34がそれぞれ取り付けられる直方体状の第1ハウジング14と、で構成されている。なお、実施形態では、10個の第1コンタクト34が取り付けられるように構成されており、第1ハウジング14の長尺の片側にそれぞれ五個ずつ設けられるような構成とされている。また、第1コンタクト34は、導電繊維126と接続される場合に、導電繊維126を第1コンタクト34に固定するための固定部材62を有している。
【0028】
次に、主に図3図4を参照して、第1コンタクト34について説明する。なお、実施形態では、第1コンタクト34は10個用いられているが、それぞれ共通する構成となっている。
【0029】
第1コンタクト34は、図3図4に示すように、第2コネクタ部材78の第2コンタクト110と接触される第1接触部38が形成された第1コンタクト本体部36を有し、第1コンタクト本体部36の一方側には、導電繊維126と接続される第1接続部46が形成されており、第1接続部46の反対側の第1コンタクト本体部36の他方側には後述する第1ハウジング14の取付壁部32に取り付けられる取付部56が形成されている。
【0030】
また、第1コンタクト本体部36と第1接続部46との間には、これらを繋ぐ繋ぎ部44が設けられ、この繋ぎ部44は、略直角に屈曲されて形成されている。なお、第1コンタクト34は、導電性材料、例えば、金属材料により一体に形成されている。
【0031】
第1コンタクト34の第1コンタクト本体部36は、所定の幅と厚さの板状体で形成されており、略中央部分には、第2コンタクト110の第2接触部118(図8図9参照)と接触される第1接触部38が形成されている。なお、この第1接触部38には、第1コンタクト本体部36の幅方向に沿った窪み部40が形成されており、この窪み部40に第2コンタクト110の第2接触部118が嵌まり込むことで、抜け止めや、接触の確認が行えるようになる。
【0032】
また、第1コンタクト本体部36は、第1ハウジング14の外面側に当接して設けられるようになる。そして、第1接触部38は、第1コンタクト本体部36が第1ハウジング14と当接する側とは反対側の面に形成されるようになる。
【0033】
また、第1コンタクト本体部36の両側面側には、第1ハウジング14に圧入されて取り付けられる第1圧入部42が形成されている。
【0034】
また、第1接続部46は、第1コンタクト本体部36と繋ぎ部44に繋がれており、繋ぎ部44と繋がれた側には、略円形の頂部48を有し、この頂部48の端辺からは、少なくとも1つ、実施形態では曲面体で形成された2つの固定片52がそれぞれ形成されている。一方、各固定片52の頂部48とは反対側には、開口された開口部72を有している。そのため、第1接続部46は、少なくとも1つ、実施形態では2か所に円周方向と直行する方向にスリット部74が形成された円筒状となっている。
【0035】
この第1接続部46は、2つの固定片52の内側に開口部72側から導電繊維126が挿入され、電気的に接触されるようになる。なお、第1接続部46の頂部48の略中央部には開口された孔部50が形成されている。
【0036】
また、第1接続部46を構成する2つの固定片52の内側には、円周方向に沿って窪んだ固定溝54が環状に形成されている。なお、固定溝54が形成された部分の第1接続部46の2つの固定片52の外周側は、固定溝54に沿って盛り上がって形成されている。
【0037】
また、実施形態では、図2図3に示すように、第1コンタクト34の第1接続部46には、第1接続部46に導電繊維126を固定して接続させるための固定部材62が設けられている。
【0038】
固定部材62は、図3図5に示すように、第1接続部46内に収容される大きさで形成され、第1接続部46の内側に、導電繊維を巻き込み、挟むようにして挿入され、導電繊維を第1接続部46内に固定させる部材となる。
【0039】
この固定部材62は、第1接触部38の頂部48側に配置される側、すなわち、第1接続部46の開口部72から先に挿入される側に、略円形状の上面部64を有し、この上面部64の端辺からは、少なくとも1つ、実施形態では曲面状の4つの押圧片68がそれぞれ上面部64に比べて外側に広がるように形成されている。なお、頂部48には、突出された突部66が形成されている。
【0040】
また、各押圧片68の上面部64とは反対側の端部側は、円周方向に沿って外側に向かって突出した押圧部70が形成されている。この押圧部70は、第1接続部46の内側の各固定片52に形成された固定溝54に導電繊維126を押圧して圧入し、固定させる部分となる。そのため、各押圧片68は、弾性変形可能なように形成されている。なお、固定部材は、例えば、金属材料で形成されていが、樹脂材料等で形成するようにしてもよい。
【0041】
また、固定部材62は、接続される導電繊維126と共に第1接触部38に挿入され、固定された状態では、第1接続部46内にすべて収容されるような大きさで形成されている。すなわち、固定部材62の押圧部70側の下部76が第1接続部46の開口部72より上方、すなわち頂部48側に配置されるようになっている(図6参照)。なお、第1接続部の導電繊維への接続については後述する。
【0042】
また、第1コンタクト34の取付部56は、第1ハウジング14に設けられた板状の取付壁部32を第1コンタクト本体部36と共に挟み込むようにして取り付けられる部分となり、鉤状に形成されている(図3C参照)。
【0043】
そのため、取付部56は、第1ハウジング14の取付壁部32の外側に配置される第1コンタクト本体部36と対向し、取付壁部32の内側に配置される取付片58を有し、この取付片58は、第1コンタクト本体部36と繋がれる繋ぎ片60とを有している。また、取付部56は、取付片58、繋ぎ片60及び第1コンタクト本体部36と、が断面視で略コ字状となっている(図3C参照)。
【0044】
なお、取付部56は弾性変形可能となっており、第1ハウジング14の取付壁部32を挟み込むように取り付けることができるようになる。
【0045】
次に、主に図2図3を参照して第1ハウジング14について説明する。第1ハウジング14は、第2コネクタ部材78と接続される側の第1上面16と、導電繊維126が設けられた布部材124側に配置される第1底面18と、長尺の第1前面20及び第1後面22と、短尺の一方の第1側面24及び他方の第1側面26とを有する略直方体状に形成され、例えば、樹脂材料で形成されている。
【0046】
また、第1ハウジング14は、略中央部分に第1上面16側から第1底面18側に向かって直方体状に凹んだ嵌入凹部28が形成されている。この嵌入凹部28は、後述する第2ハウジング80に形成された嵌入凸部94が嵌入される部分となる。
【0047】
さらに、第1ハウジング14の外周側には、嵌入凹部28を囲うように設けられ、第1前面20、第1後面22、一方の第1側面24及び他方の第1側面26で囲まれた嵌入壁部30を有している。この嵌入壁部30は、後述する第2ハウジング80に形成された嵌入溝部96に嵌入される部分となる。
【0048】
また、嵌入壁部30の第1前面20側及び第1後面22側には、第1コンタクト34が取り付けられる複数の取付壁部32が形成されている。この取付壁部32は、第1前面20側及び第1後面22側にそれぞれ5か所ずつ形成され、他の嵌入壁部30より狭い板状体で形成されている。
【0049】
また、第1ハウジング14への第1コンタクト34の取り付けは、第1ハウジング14の各取付壁部32を第1コンタクト34の第1コンタクト本体部36と取付部56とが挟み込むようにして挿入されることで行われる。このとき、第1コンタクト本体部36の両側面側に形成された第1圧入部42が取付壁部32と隣接する厚い嵌入壁部30の境目部分に圧入されるようになる。
【0050】
そして、第1コンタクト34の第1接触部38及び第1コンタクト本体部36に形成された第1接触部38が第1ハウジング14の外側、すなわち、第1前面20及び第1後面22に対して反対側に向かって配置されるようになる。
【0051】
また、第1コンタクト34の第1接続部46は、第1ハウジング14の第1底面18より外側、すなわち、布部材124側に配置されるようになっている。
【0052】
次に、主に図6を参照して、第1コネクタ部材12の第1コンタクト34を導電繊維126に取り付ける場合を説明する。
【0053】
第1コンタクト34を導電繊維126に接続させる場合は、図6Aに示すように、第1コンタクト34の第1接触部38を接続させる布部材124の導電繊維126側に配置し、また、固定部材62を導電繊維126を挟んで第1接続部46と対応する位置に配置させる。
【0054】
そして、図6Bに示すように、第1接続部46の各固定片52の開口部72側から固定部材62を導電繊維126と共に挿入する。このとき、固定部材62は、第1接続部46の開口部72に上面部64側から挿入し、固定部材62の各押圧片68の押圧部70が、第1接続部46の各固定片52の固定溝54に嵌り込み、導電繊維126が、第1接続部46と固定部材62に挟まれることで固定される。
【0055】
すなわち、導電繊維126は、第1接続部46の頂部48と固定部材の上面部64、第1接続部46の各固定片52と固定部材62の各押圧片68、及び第1接続部46の各固定片52の固定溝54と固定部材62の各押圧片68の押圧部70にそれぞれ押圧力を受けた状態で挟まれ、固定されるようになる。なお、第1接触部38の頂部48に孔部50が形成されることで、固定部材62の上面部64に形成された突部66が導電繊維126と共に嵌り込みより固定を強固にすることができる。
【0056】
また、同様にすべての第1コンタクト34の第1接続部46を導電繊維126に接続することで、第1接続部46と導電繊維の接続が完了すると共に、布部材124への第1コネクタ部材12の装着が完了する。
【0057】
このとき、固定部材62は、第1接続部46の内側に収容されるようになり、第1接続部46の開口部72の下部76からはみ出すことが抑制されるので(図6BのX参照)、例えば、衣類等の布部材124に第1コネクタ部材12を装着した場合に人体と接触する肌触りの悪化を抑制することができる。
【0058】
なお、図6では、接続される導電繊維126のみを示したが、導電繊維と共に布部材を一緒に固定することもできる。
【0059】
次に、図1図7図9を参照して第2コネクタ部材78について説明する。第2コネクタ部材78は、他の装置の基板等に接続される複数の第2コンタクト110と、この第2コンタクト110が取り付けられる直方体状の相手側ハウジングとしての第2ハウジング80とで構成されている。なお、実施形態では、第2コンタクト110は、第1コネクタ部材12の第1コンタクト34と対応するように10個で構成されており、第2ハウジング80の長尺の片側にそれぞれ五個ずつ設けられるように構成されている。
【0060】
まず、図7図9を参照して第2ハウジング80について説明する。第2ハウジング80は、第1コネクタ部材12が接続される側の第2上面82と、装置の基板等に取り付けられる側の第2底面84と、長尺の第2前面86及び第2後面88と、短尺の一方の第2側面90及び他方の第2側面92とを有する直方体状であって、例えば樹脂材料で一体に形成されている。
【0061】
また、第2ハウジング80には、第2上面82側の略中央部分に第1ハウジング14に形成された嵌入凹部28に嵌入される嵌入凸部94と、この嵌入凸部94を囲むように第2上面82から第2底面84に向かって窪んだ第1ハウジング14の嵌入壁部30が嵌入される嵌入溝部96と、この嵌入溝部96を囲うように立設された囲い部98とが形成されている。
【0062】
なお、囲い部98は、第2前面86、第2後面88、一方の第2側面90及び他方の第2側面92とで構成されている。
【0063】
また、囲い部98の第2上面82側の第2コンタクト110が配置される部分には、第2コネクタ部材78が第1コネクタ部材12と接続された場合に、第1コンタクト34が挿通される隙間部106がそれぞれ形成されている。
【0064】
また、第2ハウジング80の第2底面84には、第2コンタクト110が装着されるためのコンタクト装着孔100が第2前面86側及び第2後面88側にそれぞれ五個ずつ形成されている。このコンタクト装着孔100は、第2上面82側の嵌入溝部96まで連通されており、取り付けられた第2コンタクト110は嵌入溝部96に突出されるようになる。
【0065】
また、第2底面84のコンタクト装着孔100と対応する部分には、第2コンタクト110の第2コンタクト本体部112が挿入されて取り付けられる取付溝部102と、第2接続部116が配置されるための切れ込み部108がそれぞれ形成されている。
【0066】
この取付溝部102は、第2ハウジング80の嵌入溝部96の第2前面86及び第2後面88側に第2上面82側に向かって溝状に形成されている。また、取付溝部102には、後述する第2コンタクト110の第2コンタクト本体部112の側面に形成された一部幅広に形成された第2圧入部114が挿入され、嵌り込むようにして取り付けられるようになる。
【0067】
次に、図7図9を参照して、第2コンタクト110について説明する、なお、第2コンタクト110は、実施形態では、10個設けられているが、それぞれ共通する構成となっている。
【0068】
第2コンタクト110は、第2ハウジング80の取付溝部102に取り付けられる第2圧入部114が形成された第2コンタクト本体部112と、この第2コンタクト本体部112の一方側に形成された他の装置の基板等に接続される第2接続部116と、第2コンタクト本体部112の第2接続部116とは反対側に形成された第1コンタクト34との第1接触部38と接触される第2接触部118と、第2接触部118の第2コンタクト本体部112とは反対側から延設された弾性片122とで構成されており、金属材料により一体に形成されている。
【0069】
第2コンタクト110は、第2接続部116と第2コンタクト本体部112が略直角に屈曲されている。
【0070】
また、第2接触部118は、第2コンタクト本体部112の第2接続部116とは反対側の端部、すなわち、第2ハウジング80の第2上面82側に配置される側から曲面状に折れ曲がって嵌入溝部96の第2底面84側に向かって延設されている。
【0071】
さらに、第2接触部118の第2コンタクト本体部112の反対側からは、第2ハウジング80の嵌入溝部96に沿って直線状に囲い部98側から嵌入凸部94側に向かうように延設された延設部120を有している。
【0072】
また、弾性片122は、延設部120の第2接触部118とは反対側の端部から第2上面82側に曲面状に折れ曲がって延設されて形成されている。
【0073】
なお、実施形態では、第2接触部118、延設部120及び弾性片122は、第2コンタクト本体部112から二本に分かれて形成されている。
【0074】
また、第2コンタクト110の第2ハウジング80への取り付けは、第2ハウジング80の第2底面84側のコンタクト装着孔100に挿入させる。このとき、第2コンタクト110の第2コンタクト本体部112及び第2コンタクト本体部112の両側面側に形成された第2圧入部114を第2ハウジングのコンタクト装着孔100と対応する位置に形成された取付溝部102に挿入され、また、第2圧入部114が圧入されるようになる。
【0075】
第2コンタクト110の第2コンタクト本体部112が、第2ハウジング80の第2底面84側から第2上面82側に移動され、第2圧入部114と共に第2ハウジング80の取付溝部102に取り付けられると、第2ハウジング80の第2底面84側に形成された切れ込み部108に第2コンタクト110の第2接続部116が配置されるようになる。このとき、第2接続部116は、第2ハウジング80の第2底面84より突出されて配置されるようになり、装置の基板等の基板等にはんだ付け等で接続されるようになる。また、第2コンタクト110の第2接触部118と弾性片122とが第2ハウジング80の嵌入溝部96内に配置されるようになる。
【0076】
そして、同様にすべての第2コンタクト110を第2ハウジング80に取り付けることで、第2ハウジング80への第2コンタクト110の取り付けが完了する。このとき、第2接触部118及び弾性片122は、第1コンタクト34の第1接触部38と接触される場合に、弾性変形が可能とされている。
【0077】
次に、第1コネクタ部材12と第2コネクタ部材78との接続について説明する。第1コネクタ部材12と第2コネクタ部材78の接続は、図1に示すように、布部材124等に接続された第1コネクタ部材12に装置の基板等に取り付けられた第2コネクタ部材78を嵌め合わせることで行われる。
【0078】
このとき、第1ハウジング14の嵌入凹部28に第2ハウジング80の嵌入凸部94が嵌入され、第1ハウジング14の嵌入壁部30が第2ハウジング80の嵌入溝部96に嵌入されるようになる。
【0079】
そして、第1ハウジング14の嵌入壁部30に形成された取付壁部32に取り付けられた第1コンタクト34が、第2ハウジング80の嵌入溝部96内に突出された第2コンタクト110に接触されるようになる。
【0080】
この接触は、第1コンタクト34の第1接触部38が、第2コンタクト110の第2接触部118に接触されると共に、第2コンタクト110の弾性片122が第1コンタクト34の取付片58を弾性接触されるようになる。
【0081】
このとき、第2コンタクト110の第2接触部118の曲面状に形成された部分が第1コンタクト34の第1接触部38に形成された窪み部40に嵌り込むようになり、抜け止め等がなされる。以上で、第1コネクタ部材12と第2コネクタ部材78の接続が完了する。
【0082】
また、第1コネクタ部材12と第2コネクタ部材78の取り外しは、第1コネクタ部材12の第1ハウジング14と第2コネクタ部材78の第2ハウジング80を引き離すようにすることで行われる。このとき、第1コンタクト34の第1接触部38は第2コンタクト110の第2接触部118が弾性変形されることで、離れるようになる。そのため、実施形態のコネクタ10では、導電繊維126に接続された複数の第1コンタクト34との接続を一括で挿抜することができるようになる。
【0083】
なお、実施形態では、第1ハウジング及び第2ハウジングを直方体状の場合を説明したが、これに限らず、他の形状、例えば、棒状、正方形状、円形状等に形状で形成することができる。
【0084】
また、第1コンタクト及び第2コンタクトもそれぞれ10個に限らず、設計に合わせた任意の個数を取り付けるようにすることができる。
【符号の説明】
【0085】
10:コネクタ 12:第1コネクタ部材(コネクタ部材) 14:第1ハウジング 16:第1上面 18:第1底面 20:第1前面 22:第1後面 24:一方の第1側面 26:他方の第1側面 28:嵌入凹部 30:嵌入壁部 32:取付壁部 34:第1コンタクト(コンタクト) 36:第1コンタクト本体部 38:第1接触部 40:窪み部 42:第1圧入部 44:繋ぎ部 46:第1接続部 48:頂部 50:孔部 52:固定片 54:固定溝 56:取付部 58:取付片 60:繋ぎ片 62:固定部材 64:上面部 66:突部 68:押圧片 70:押圧部 72:開口部 74:スリット部 76:下部 78:第2コネクタ部材(相手側コネクタ部材) 80:第2ハウジング 82:第2上面 84:第2底面 86:第2前面 88:第2後面 90:一方の第2側面 92:他方の第2側面 94:嵌入凸部 96:嵌入溝部 98:囲い部 100:コンタクト装着孔 102:取付溝部 106:隙間部 108:切れ込み部 110:第2コンタクト(相手側コンタクト) 112:第2コンタクト本体部 114:第2圧入部 116:第2接続部 118:第2接触部 120:延設部 122:弾性片 124:布部材 126:導電繊維
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9