【解決手段】同軸コネクタ10は、ハウジング1と第1シェル2を備える。又、同軸コネクタ10は、第1中心コンタクト3と一組の誘電体4a・4bを備える。ハウジング1は、同軸プラグ80を導入できる収容室11を有する。第1シェル2は、プリント基板9pと略平行に、ハウジング1の他端部側に突出し、軸方向に湾曲して、プリント基板9pの一方の面91pに至っている。第1中心コンタクト3は、第1シェル2と同軸に内部に配置されている。一組の誘電体4a・4bは、第1中心コンタクト3の軸方向に離隔して配置し、一組の誘電体4a・4bの間に空気層Asを設けている。第1シェル2は、先端縁をプリント基板9pに表面実装している。第1中心コンタクト3は、プリント基板9pにハンダ接合できる接続端子32を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図12は、従来技術による同軸コネクタの構成を示す斜視分解組立図である。
図13は、従来技術による同軸コネクタの構成を示す斜視図である。
図14は、従来技術による同軸コネクタの構成を示す縦断面図である。
【0008】
図15は、従来技術による同軸コネクタの構成を示す側面図であり、一方の鍔付き分割シェルの内面側から観た状態図である。
図16は、従来技術による同軸コネクタの構成を示す側面図である。
図17は、従来技術による同軸コネクタの構成を示す縦断面図である。
【0009】
なお、本願の
図12と
図13は、特許文献1の
図2と
図3に相当している。又、本願の
図14と
図15は、特許文献1の
図4と
図6に相当している。更に、本願の
図16と
図17は、特許文献1の
図7と
図8に相当している。
【0010】
図12から
図17を参照すると、従来技術による同軸コネクタ9は、直方体状のハウジング91とシェル92を備えている。シェル92は、同軸コネクタ9の外殻を構成している(
図16又は
図17参照)。又、同軸コネクタ9は、L字状の中心コンタクト93、L形円柱状誘電体94、及び、一組のL形筒状分割シェル95・96を備えている。
【0011】
図14を参照すると、中心コンタクト93は、導電性を有する細径棒状部材からなり、一端部側に対して他端部側をL字状に湾曲している。中心コンタクト93は、プリント基板9pにハンダ接合できるDIP端子932を他端部側の端部に有している(
図16又は
図17参照)。
【0012】
図12を参照すると、L形円柱状誘電体94は、一端部側に対して他端部側をL字状に湾曲している。L形円柱状誘電体94は、外周から中心軸に向かって穿設したL字状の溝94dを開口している。溝94dには、中心コンタクト93を底部に収容できる。
【0013】
図14又は
図17を参照すると、中心コンタクト93を溝94dに収容した状態では、中心コンタクト93の一端部側に設けた接続端子931をL形円柱状誘電体94の一方の面から突出している。又、中心コンタクト93を溝94dに収容した状態では、中心コンタクト93の他端部側に設けたDIP端子932をL形円柱状誘電体94の他方の面から突出している。
【0014】
図12を参照すると、一方のL形筒状分割シェル95は、L字状に屈曲した導入路を形成し、半円弧状に湾曲した樋部95dを有している。樋部95dには、L形円柱状誘電体94を一方の外周方向から導入できる。又、一方のL形筒状分割シェル95は、樋部95dの周囲に平坦な鍔部95fを延在させている。
【0015】
同様に、
図12を参照すると、他方のL形筒状分割シェル96は、L字状に屈曲した導入路を形成し、半円弧状に湾曲した樋部96dを有している。樋部96dには、L形円柱状誘電体94を他方の外周方向から導入できる。又、他方のL形筒状分割シェル96は、樋部96dの周囲に平坦な鍔部96fを延在させている。
【0016】
図12を参照して、一方の樋部95d又は他方の樋部96dにL形筒状分割シェル96を導入し、一方の鍔部95fと他方の鍔部96fを密着することで、L形円柱状誘電体94を挟持できる(
図13参照)。
【0017】
図12を参照すると、一方のL形筒状分割シェル95は、折り曲げ自在なタブ95tを2カ所に設けている。他方のL形筒状分割シェル96は、タブ95tに係合自在なノッチ96nを設けている。一方のL形筒状分割シェル95と他方のL形筒状分割シェル96とを重ね合せた状態で、二つのタブ95tを他方の鍔部96fに折り曲げることで、一組のL形筒状分割シェル95・96を分離困難に保持できる(
図13参照)。
【0018】
図12を参照すると、一方の鍔部95fは、一対のDIP端子951・951を一辺側から突出している。同様に、他方の鍔部96fは、一対のDIP端子961・961を一辺側から突出している。DIP端子951とDIP端子961を重ね合わせた状態で、プリント基板9pに形成したスルーホールに挿入できる(
図16又は
図17参照)。そして、一組のDIP端子951・961をスルーホールにハンダ接合することで、一組のL形筒状分割シェル95・96とプリント基板9pを電気的に接続できる(
図16又は
図17参照)。
【0019】
図12を参照すると、一方のL形筒状分割シェル95は、スラグ952を介して、キャリア帯953と繋がっている。キャリア帯953の長手方向に沿って、複数のL形筒状分割シェル95が連鎖している。
【0020】
同様に、
図12を参照すると、他方のL形筒状分割シェル96は、スラグ962を介して、キャリア帯963と繋がっている。キャリア帯963の長手方向に沿って、複数のL形筒状分割シェル95が連鎖している。
【0021】
図12を参照して、キャリア帯953とキャリア帯963を重ね合わせることで、一方のL形筒状分割シェル95と他方のL形筒状分割シェル96とを重ね合わせることができる。そして、二つのタブ95tを他方の鍔部96fに折り曲げた後に(
図13参照)、スラグ952・962の基端部を切断することで(
図15参照)、個別のL形筒状シェル90を得えることができる(
図13参照)。L形筒状シェル90をハウジング91に組み込むことで(
図17参照)、一連の組立作業を終了する。
【0022】
図17を参照して、一組のL形筒状分割シェル95・96で構成した接続開口91hに、同軸ケーブルの端末に取り付けた相手側同軸コネクタ(図示せず)を挿入でき、相手側同軸コネクタとプリント基板9pを電気的に接続できる。
【0023】
特許文献1による同軸コネクタは、組立の自動化が容易なサイドエントリータイプの角型の同軸コネクタを提供できると、している。
【0024】
しかし、特許文献1による同軸コネクタは、中心コンタクトの中間部から終端部に至るまで、空気より比誘電率の大きいL形円柱状誘電体で連続して覆われているので、小型の同軸コネクタで高周波の信号を伝送することが困難になる、という問題がある。中心コンタクトの中間部から終端部の間に比誘電率の小さい空気層を円筒状シェルの内部に介在することで、高周波の信号を伝送することが容易な同軸コネクタが求められている。
【0025】
又、
図14から
図17を参照すると、特許文献1による同軸コネクタ9は、L形円柱状誘電体94を介して、中心コンタクト93を同軸上に包囲する一対のL形筒状分割シェル95・96の端部が一組のDIP端子951・961を介して、プリント基板9pと電気的に接続しているだけあり、一対のL形筒状分割シェル95・96の端部の多くは、プリント基板9pと電気的に断絶しているという問題がある。
【0026】
図14から
図17を参照すると、特許文献1による同軸コネクタ9は、同軸コネクタ9の伝送路のインピーダンスとプリント基板9pの回路のインピーダンスが不整合になる心配がある。同軸コネクタの伝送路のインピーダンスとプリント基板の回路のインピーダンスが整合し易い同軸コネクタの実装構造が求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0027】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、同軸コネクタとプリント基板がインピーダンス整合し易い同軸コネクタの実装構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明者は、プリント基板に設置したハウジングの端部から、プリント基板の一方の面と略平行に突出してプリント基板に至る、円筒状のシェルの内部に中心コンタクトを配置し、シェルの内部に収容されると共に、中心コンタクトを中心部に支持する一組の円板状の誘電体を筒状シェルの軸方向に離隔して配置すると共に、シェルの先端縁をプリント基板に表面実装することで、同軸コネクタとプリント基板がインピーダンス整合し易いと考え、これに基づいて、以下のような新たな同軸コネクタの実装構造を発明するに至った。
【0029】
(1)本発明による同軸コネクタの実装構造は、プリント基板の一方の面に実装でき、同軸ケーブルの端末に接続した相手側同軸コネクタを着脱自在に接続できる同軸コネクタの実装構造であって、前記相手側同軸コネクタを導入自在に一方の面を開口した収容室を一端部側に有する直方体状のハウジングと、前記プリント基板の一方の面と略平行に、前記ハウジングの他端部側に突出し、軸方向に湾曲して前記プリント基板の一方の面に至る、円筒状の第1シェルと、前記第1シェルの軸中心に沿って、当該第1シェルの内部に当該第1シェルと同軸に配置された第1中心コンタクトと、前記第1シェルの内部に収容されると共に、前記第1中心コンタクトを中心部に支持する一組の円板状の誘電体と、を備え、前記第1シェルは、一組の前記誘電体を前記第1中心コンタクトの軸方向に離隔して配置し、一組の前記誘電体の間に空気層を設けており、前記第1シェルは、その先端縁を前記プリント基板の一方の面に接合し、前記第1中心コンタクトは、前記プリント基板に開口したスルーホールに接合できる接続端子を先端部に有している。
【0030】
(2)前記第1中心コンタクトは、一組の前記誘電体を一体モールドし、前記第1シェルは、一組の前記誘電体を外周方向から囲う、半円筒状の一組の第1分割シェルからなることが好ましい。
【0031】
(3)本発明による同軸コネクタの実装構造は、プリント基板の一方の面に実装でき、同軸ケーブルの端末に接続した相手側同軸コネクタを着脱自在に接続できる同軸コネクタの実装構造であって、前記相手側同軸コネクタを導入自在に一方の面を開口した収容室を一端部側に有する直方体状のハウジングと、前記プリント基板の一方の面と略平行に、前記ハウジングの他端部側に突出し、前記プリント基板の一方の面に向って軸方向に下り傾斜して、前記プリント基板の一方の面に至る、円筒状の第2シェルと、前記第2シェルの軸中心に沿って、当該第2シェルの内部に当該第2シェルと同軸に配置された第2中心コンタクトと、前記第2シェルの内部に収容されると共に、前記第2中心コンタクトを中心部に支持する一組の円板状の誘電体と、を備え、前記第2シェルは、一組の前記誘電体を前記第2中心コンタクトの軸方向に離隔して配置し、一組の前記誘電体の間に空気層を設けると共に、その先端縁を前記プリント基板の一方の面に接合し、前記第2中心コンタクトは、前記プリント基板の一方の面に接合できる表面実装端子を先端部に有している。
【0032】
(4)前記第2中心コンタクトは、一組の前記誘電体を一体モールドし、前記第2シェルは、一組の前記誘電体を外周方向から囲う、半円筒状の一組の第2分割シェルからなることが好ましい。
【発明の効果】
【0033】
本発明による同軸コネクタの実装構造は、シェルの先端縁をプリント基板の一方の面にハンダ接合しているので、従来のDIP接続に比べて、同軸コネクタとプリント基板をインピーダンス整合し易くなる。
【0034】
又、本発明による同軸コネクタの実装構造は、一組の誘電体を中心コンタクトの軸方向に離隔して配置し、一組の誘電体の間に空気層を設けた円筒状のシェルを備えているので、シェルの外径を小さくでき、同軸コネクタの小型化も可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の第1実施形態による同軸コネクタの実装構造の構成を示す斜視図であり、同軸コネクタをプリント基板の一方の面に実装した状態図である。
【
図2】第1実施形態による同軸コネクタの実装構造の構成を示す斜視図であり、プリント基板の一方の面に実装した状態の同軸コネクタを
図1と反対側から観ている。
【
図3】第1実施形態による同軸コネクタの実装構造の構成を示す斜視分解組立図である。
【
図4】第1実施形態による同軸コネクタの実装構造に備わるハウジングの構成を示す図であり、
図4(A)は、ハウジングの平面図、
図4(B)は、ハウジングの正面図、
図4(C)は、ハウジング背面図である。
【
図5】第1実施形態による同軸コネクタの実装構造に備わるハウジングの構成を示す斜視図であり、
図5(A)は、ハウジングを背面、上面、及び左側面から観た状態図、
図5(B)は、ハウジングを背面、下面、及び右側面から観た状態図、
図5(C)は、ハウジングを背面、及び右側面から観た状態図である。
【
図6】第1実施形態による同軸コネクタの実装構造の要部を拡大した斜視図であり、一組の誘電体付き第1中心コンタクトを一組の第1分割シェルで囲う前の状態図である。
【
図7】第1実施形態による同軸コネクタの実装構造に備わる第1中心コンタクトの構成を示す正面図であり、一組の誘電体を第1中心コンタクトに一体モールドした状態図である。
【
図8】第1実施形態による同軸コネクタの実装構造に備わる第1中心コンタクトの構成を示す斜視図である。
【
図9】第1実施形態による同軸コネクタの実装構造の構成を示す縦断面図であり、
図9(A)は、相手側同軸コネクタを接続する前の状態図、
図9(B)は、相手側同軸コネクタを接続した状態図である。
【
図10】第1実施形態による同軸コネクタの実装構造の構成を示す斜視図であり、
図10(A)は、相手側同軸コネクタを接続した状態の縦断面図、
図10(B)は、
図10(A)の要部拡大図である。
【
図11】本発明の第2実施形態による同軸コネクタの実装構造の構成を示す斜視図であり、
図11(A)は、相手側同軸コネクタを接続した状態の縦断面図、
図11(B)は、
図11(A)の要部拡大図である。
【
図12】従来技術による同軸コネクタの構成を示す斜視分解組立図である。
【
図13】従来技術による同軸コネクタの構成を示す斜視図である。
【
図14】従来技術による同軸コネクタの構成を示す縦断面図である。
【
図15】従来技術による同軸コネクタの構成を示す側面図であり、一方の鍔付き分割シェルの内面側から観た状態図である。
【
図16】従来技術による同軸コネクタの構成を示す側面図である。
【
図17】従来技術による同軸コネクタの構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
[第1実施形態]
(同軸コネクタの実装構造の構成)
最初に、本発明の第1実施形態による同軸コネクタの実装構造の構成を説明する。
【0037】
図1は、本発明の第1実施形態による同軸コネクタの実装構造の構成を示す斜視図であり、同軸コネクタをプリント基板の一方の面に実装した状態図である。
図2は、第1実施形態による同軸コネクタの実装構造の構成を示す斜視図であり、プリント基板の一方の面に実装した状態の同軸コネクタを
図1と反対側から観ている。
【0038】
図3は、第1実施形態による同軸コネクタの実装構造の構成を示す斜視分解組立図である。
図4は、第1実施形態による同軸コネクタの実装構造に備わるハウジングの構成を示す図であり、
図4(A)は、ハウジングの平面図、
図4(B)は、ハウジングの正面図、
図4(C)は、ハウジング背面図である。
【0039】
図5は、第1実施形態による同軸コネクタの実装構造に備わるハウジングの構成を示す斜視図であり、
図5(A)は、ハウジングを背面、上面、及び左側面から観た状態図、
図5(B)は、ハウジングを背面、下面、及び右側面から観た状態図、
図5(C)は、ハウジングを背面、及び右側面から観た状態図である。
【0040】
図6は、第1実施形態による同軸コネクタの実装構造の要部を拡大した斜視図であり、一組の誘電体付き第1中心コンタクトを一組の第1分割シェルで囲う前の状態図である。
図7は、第1実施形態による同軸コネクタの実装構造に備わる第1中心コンタクトの構成を示す正面図であり、一組の誘電体を第1中心コンタクトに一体モールドした状態図である。
【0041】
図8は、第1実施形態による同軸コネクタの実装構造に備わる第1中心コンタクトの構成を示す斜視図である。
図9は、第1実施形態による同軸コネクタの実装構造の構成を示す縦断面図であり、
図9(A)は、相手側同軸コネクタを接続する前の状態図、
図9(B)は、相手側同軸コネクタを接続した状態図である。
【0042】
図10は、第1実施形態による同軸コネクタの実装構造の構成を示す斜視図であり、
図10(A)は、相手側同軸コネクタを接続した状態の縦断面図、
図10(B)は、
図10(A)の要部拡大図である。
【0043】
なお、従来技術で用いた符号と同じ符号を付した構成品は、その作用を同じとするので、以下説明を省略する場合がある。
【0044】
(全体構成)
図1から
図10を参照すると、本発明の第1実施形態による同軸コネクタ10は、プリント基板9pの一方の面91pに実装でき、同軸ケーブルCbの端末に接続した相手側同軸コネクタ(以下、同軸プラグという)80を着脱自在に接続できる。
【0045】
図1から
図10を参照すると、同軸コネクタ10は、直方体状のハウジング1と金属製の円筒状の第1シェル2を備えている。又、同軸コネクタ10は、棒状の第1中心コンタクト3と一組の円板状の誘電体4a・4bを備えている。
【0046】
図2又は
図5及び
図9(A)を参照すると、ハウジング1は、収容室11を一端部側に有している。収容室11は、ハウジング1の一方の面を矩形に開口している。そして、収容室11には、同軸プラグ80を導入できる(
図9参照)。
【0047】
図1又は
図3及び
図9又は
図10を参照すると、第1シェル2は、プリント基板9pの一方の面91pと略平行に、ハウジング1の他端部側に突出している。そして、第1シェル2は、その軸方向に湾曲して、プリント基板9pの一方の面91pに至っている。実施の形態では、第1シェル2は、半円筒状の一組の第1分割シェル2a・2bで構成している(
図6参照)。
【0048】
図6又は
図9及び
図10を参照すると、第1中心コンタクト3は、第1シェル2の内部に配置されている。第1中心コンタクト3は、第1シェル2の軸中心に沿って、第1シェル2と同軸に配置されている。
【0049】
図6又は
図7を参照すると、一組の誘電体4a・4bは、第1シェル2の内部に収容されている。一組の誘電体4a・4bは、第1中心コンタクト3を中心部に支持している。実施の形態では、第1中心コンタクト3は、一組の誘電体4a・4bを一体モールドしている。
【0050】
図6又は
図9及び
図10を参照すると、第1シェル2は、一組の誘電体4a・4bを第1中心コンタクト3の軸方向に離隔して配置している。そして、第1シェル2は、一組の誘電体4a・4bの間に空気層Asを設けている。
【0051】
第1実施形態による同軸コネクタ10は、一組の誘電体4a・4bを第1中心コンタクト3の軸方向に離隔して配置し、一組の誘電体4a・4bの間に空気層Asを設けた円筒状の第1シェル2を備えているので、第1シェル2の外径を小さくでき、同軸コネクタ10の小型化も可能になる。
【0052】
又、
図10を参照すると、第1シェル2は、その先端縁をプリント基板9pの一方の面91pにハンダ接合している。つまり、第1シェル2は、その先端縁をプリント基板9pに表面実装している。第1中心コンタクト2は、プリント基板9pに開口したスルーホールHtにハンダ接合できる接続端子32を先端部に有している。
【0053】
図10を参照すると、第1実施形態による同軸コネクタ10は、第1シェル2の先端縁をプリント基板9pの一方の面91pにハンダ接合しているので、従来のDIP接続に比べて、同軸コネクタ10とプリント基板9pをインピーダンス整合し易くなる。
【0054】
(ハウジングの構成)
次に、第1実施形態によるハウジング1の構成を説明する。
図1から
図5を参照すると、ハウジング1は、絶縁体からなることが好ましく、絶縁性を有する合成樹脂を成形して、直方状のハウジング1を得ることができる。
【0055】
図1から
図5を参照すると、ハウジング1は、他方の面及び底面を開口した凹部12を収容室11と反対側に有している。凹部12には、第1シェル2を収容できる。又、ハウジング1は、収容室11と凹部12を隔てる隔壁12wを有している(
図4(B)又は
図5(C)参照)。隔壁12wには、圧入穴12hを開口している(
図4(C)又は
図5(C)参照)。
【0056】
図4(C)又は
図5(C)を参照すると、圧入穴12hには、凹部12から収容室11に向かって、第1シェル2の一端部側を圧入できる(
図9(A)参照)。これにより、第1シェル2をハウジング1に固定できる。
【0057】
図4(C)又は
図5(C)を参照すると、ハウジング1は、一対の突条111・111を収容室11の内壁から突出している。一対の突条111・111は、同軸プラグ80を構成するハウジング81に設けた方形の溝(図示せず)に嵌合して案内できる(
図9(A)参照)。又、一対の突条111・111は、同軸プラグ80の誤挿入を防止するキーとして機能している(
図9参照)。
【0058】
図9(B)又は
図10を参照すると、ハウジング1は、ラッチ溝11rを収容室11の内壁に穿設している。ラッチ溝11rには、同軸プラグ80に設けたロックレバー81rを係止できる(
図9参照)。
【0059】
図1から
図3を参照すると、ハウジング1は、一対の矩形の補強タブ板5・5を更に備えている。又、
図4(A)を参照すると、ハウジング1は、互いに向かい合う一対の方形溝11d・11dを両側面に形成している。一対の方形溝11d・11dに補強タブ板5を圧入することで、ハウジング1の両側面に一対の補強タブ板5・5を固定できる。補強タブ板5の底面をプリント基板9pの一方の面91pにハンダ接合することで、ハウジング1をプリント基板9pに固定できる(
図1又は
図2参照)。
【0060】
(第1シェル及び第1分割シェルの構成)
次に、第1実施形態による第1シェル2及び一対の第1分割シェル2a・2bの構成を説明する。
図6を参照すると、第1分割シェル2a・2bは、導電性を有する金属体からなることが好ましく、導電性を有する金属体を成形して、半円筒状の一組の第1分割シェル2a・2bを得ることができる。
【0061】
図6を参照して、一組の誘電体4a・4b付き第1中心コンタクト3を一方の第1分割シェル2aに収容した状態で、他方の第1分割シェル2bで一組の誘電体4a・4b付き第1中心コンタクト3を囲うことが好ましい。一組の第1分割シェル2a・2bの外周の端縁同士をレーザー溶接で接合することで、隙間の無い筒状の第1シェル2を得ることができる。そして、高周波の信号を第1中心コンタクト3に伝送することが容易になる。
【0062】
図9又は
図10を参照すると、第1シェル2の先端縁は、プリント基板9pの一方の面91pにハンダ接合することが好ましく、第1シェル2とプリント基板9pに形成したグラウンドパターン(図示せず)を電気的に接続できる。
【0063】
(第1中心コンタクトの構成)
次に、第1実施形態による第1中心コンタクト3の構成を説明する。
図6から
図8を参照すると、第1中心コンタクト3は、導電性を有する金属棒からなることが好ましく、導電性を有する金属棒を折り曲げて一端部に対して他端部が略直角に湾曲した第1中心コンタクト3を得ることができる。第1中心コンタクト3は、銅合金からなることが好ましいが、銅合金に限定されない。
【0064】
図6から
図8を参照すると、第1中心コンタクト3は、コンタクト端子31を基端部に有し、接続端子32を先端部に有している。コンタクト端子31は、同軸プラグ80に配置した中心コンタクト83と接続できる(
図9又は
図10参照)。
【0065】
図9又は
図10を参照すると、接続端子32は、プリント基板9pに形成したスルーホールHtに接続している。接続端子32は、プリント基板9pにスルーホール実装できるが、スルーホールHtに挿入した後に、第1シェル2の先端縁と共に表面実装することもできる。
【0066】
(相手側同軸コネクタの構成)
次に、第1実施形態による同軸プラグ80の構成を説明する。
図9又は
図10を参照すると、同軸プラグ80は、同軸ケーブルCbの端末に固定している。同軸ケーブルCbは、単線又は撚線からなる円形の中心導体Wc、中心導体Wcの周囲を囲うフッ素系樹脂などの誘電体Di、誘電体Diの周囲を囲う編組線などの外部導体Wb、及び、外部導体Wbを被覆保護する絶縁シースWiで構成している。
【0067】
図9又は
図10を参照すると、同軸プラグ80は、直方体状のハウジング81と金属製の円筒状のシェル82を備えている。又、同軸プラグ80は、中心コンタクト83と一組の円板状の誘電体84a・84bを備えている。
【0068】
図9又は
図10を参照すると、シェル82は、その中間がハウジング81に支持されている。シェル82は、その一端部を外部導体Wbに接続している。シェル82の他端部は、第1シェル2と接続できる。中心コンタクト83は、その一端部を中心導体Wcに結線している。中心コンタクト83の他端部は、第1中心コンタクト3と接続できる。一組の誘電体84a・84bは、中心コンタクト83がシェル82と同軸になるように、シェル82の内部に配置されている。
【0069】
[同軸コネクタの作用]
次に、第1実施形態による同軸コネクタ10の作用及び効果を説明する。
図1から
図10を参照すると、同軸コネクタ10は、一組の誘電体4a・4bを第1中心コンタクト3の軸方向に離隔して配置し、一組の誘電体4a・4bの間に空気層Asを設けた円筒状のシェル2を備えているので、第1シェル2の外径を小さくでき、同軸コネクタ10の小型化も可能になる。又、
図9又は
図10を参照すると、第1シェル2と第1中心コンタクト3で構成した伝送路は、ハウジング1からプリント基板9pの一方の面91pに至る経路が、緩やかなカーブを描いて湾曲しているので、インピーダンス整合がし易くなる。
【0070】
又、
図9又は
図10を参照すると、第1実施形態による同軸コネクタ10は、第1シェル2の先端縁をプリント基板9pの一方の面91pにハンダ接合しているので、従来のDIP接続に比べて、同軸コネクタ10とプリント基板9pをインピーダンス整合し易くなる。
【0071】
更に、
図6又は
図9及び
図10を参照すると、第1実施形態による同軸コネクタ10は、一組の第1分割シェル2a・2bの外周の端縁同士をレーザー溶接で接合することで、隙間の無い筒状の第1シェル2を得ることができる。そして、高周波の信号を第1中心コンタクト3に伝送することが容易になる。
【0072】
[第2実施形態]
(同軸コネクタの実装構造の構成)
次に、本発明の第2実施形態による同軸コネクタの実装構造の構成を説明する。
【0073】
図11は、本発明の第2実施形態による同軸コネクタの実装構造の構成を示す斜視図であり、
図11(A)は、相手側同軸コネクタを接続した状態の縦断面図、
図11(B)は、
図11(A)の要部拡大図である。
【0074】
なお、第1実施形態で用いた符号と同じ符号を付した構成品は、その作用を同じとするので、以下説明を省略する場合がある。
【0075】
(全体構成)
図11を参照すると、本発明の第2実施形態による同軸コネクタ20は、プリント基板9pの一方の面91pに実装でき、同軸ケーブルCbの端末に接続した相手側同軸コネクタ(以下、同軸プラグという)80を着脱自在に接続できる。
【0076】
図11を参照すると、同軸コネクタ20は、直方体状のハウジング1と金属製の円筒状の第2シェル6を備えている。又、同軸コネクタ20は、棒状の第2中心コンタクト7と一組の円板状の誘電体4a・4bを備えている。
【0077】
図11を参照すると、第2シェル6は、プリント基板9pの一方の面91pと略平行に、ハウジング1の他端部側に突出している。そして、第2シェル6は、プリント基板9pの一方の面91pに向って軸方向に下り傾斜して、プリント基板9pの一方の面91pに至っている。実施の形態では、第2シェル6は、半円筒状の一組の第2分割シェル6a・6bで構成している。
【0078】
図11を参照すると、第2中心コンタクト7は、第2シェル6の内部に配置されている。第2中心コンタクト7は、第2シェル6の軸中心に沿って、第2シェル6と同軸に配置されている。
【0079】
図11を参照すると、一組の誘電体4a・4bは、第2シェル6の内部に収容されている。一組の誘電体4a・4bは、第2中心コンタクト7を中心部に支持している。実施の形態では、第2中心コンタクト7は、一組の誘電体4a・4bを一体モールドしている。
【0080】
図11を参照すると、第2シェル6は、一組の誘電体4a・4bを第2中心コンタクト7の軸方向に離隔して配置している。そして、第2シェル6は、一組の誘電体4a・4bの間に空気層Asを設けている。
【0081】
第2実施形態による同軸コネクタ20は、一組の誘電体4a・4bを第2中心コンタクト7の軸方向に離隔して配置し、一組の誘電体4a・4bの間に空気層Asを設けた円筒状の第2シェル6を備えているので、第2シェル6の外径を小さくでき、同軸コネクタ20の小型化も可能になる。
【0082】
又、
図11を参照すると、第2シェル6は、その先端縁をプリント基板9pの一方の面91pにハンダ接合している。つまり、第2シェル6は、その先端縁をプリント基板9pに表面実装している。第2中心コンタクト7は、プリント基板9pの一方の面91pにハンダ接合できる表面実装端子72を先端部に有している。
【0083】
図11を参照すると、第2実施形態による同軸コネクタ20は、第2シェル6の先端縁をプリント基板9pの一方の面91pにハンダ接合しているので、従来のDIP接続に比べて、同軸コネクタ20とプリント基板9pをインピーダンス整合し易くなる。
【0084】
(第2シェル及び第2分割シェルの構成)
次に、第2実施形態による第2シェル6及び一対の第2分割シェル6a・6bの構成を説明する。
図11を参照すると、第2分割シェル6a・6bは、導電性を有する金属体からなることが好ましく、導電性を有する金属体を成形して、半円筒状の一組の第2分割シェル6a・6bを得ることができる。
【0085】
図11を参照して、一組の誘電体4a・4b付き第2中心コンタクト7を一方の第2分割シェル6aに収容した状態で、他方の第2分割シェル6bで一組の誘電体4a・4b付き第2中心コンタクト7を囲うことが好ましい。一組の第2分割シェル6a・6bの外周の端縁同士をレーザー溶接で接合することで、隙間の無い筒状の第2シェル6を得ることができる。そして、高周波の信号を第2中心コンタクト7に伝送することが容易になる。
【0086】
図11を参照すると、第2シェル6の先端縁は、プリント基板9pの一方の面91pにハンダ接合することが好ましく、第2シェル6とプリント基板9pに形成したグラウンドパターン(図示せず)を電気的に接続できる。
【0087】
(第2中心コンタクトの構成)
次に、第2実施形態による第2中心コンタクト7の構成を説明する。
図11を参照すると、第2中心コンタクト7は、導電性を有する金属棒からなることが好ましく、導電性を有する金属棒を折り曲げて一端部に対して他端部が45度程度に屈曲した第2中心コンタクト7を得ることができる。第2中心コンタクト7は、銅合金からなることが好ましいが、銅合金に限定されない
【0088】
図11を参照すると、第2中心コンタクト7は、コンタクト端子71を基端部に有し、表面実装端子72を先端部に有している。コンタクト端子71は、同軸プラグ80に配置した中心コンタクト83と接続できる。
【0089】
図11を参照すると、表面実装端子72は、プリント基板9pの一方の面91pに沿って配置され、プリント基板9pの一方の面91pに表面実装できる。そして、表面実装端子72は、第2シェル6の先端縁と共に表面実装できる。
【0090】
[同軸コネクタの実装構造の作用]
次に、第2実施形態による同軸コネクタ20の作用及び効果を説明する。
図11を参照すると、同軸コネクタ20は、一組の誘電体4a・4bを第2中心コンタクト7の軸方向に離隔して配置し、一組の誘電体4a・4bの間に空気層Asを設けた円筒状の第2シェル6を備えているので、第2シェル6の外径を小さくでき、同軸コネクタ20の小型化も可能になる。又、
図11を参照すると、第2シェル6と第2中心コンタクト7で構成した伝送路は、ハウジング1からプリント基板9pの一方の面91pに至る経路が、緩やかなカーブを描いて下り傾斜しているので、インピーダンス整合がし易くなる。
【0091】
又、
図11を参照すると、第2実施形態による同軸コネクタ20は、第2シェル6の先端縁をプリント基板9pの一方の面91pにハンダ接合しているので、従来のDIP接続に比べて、同軸コネクタ20とプリント基板9pをインピーダンス整合し易くなる。
【0092】
更に、
図11を参照すると、第2実施形態による同軸コネクタ20は、一組の第2分割シェル6a・6bの外周の端縁同士をレーザー溶接で接合することで、隙間の無い筒状の第2シェル6を得ることができる。そして、高周波の信号を第2中心コンタクト7に伝送することが容易になる。
【0093】
図10と
図11を対比すると、第1実施形態による第1シェル2及び第1中心コンタクト3は、それらの先端部側を緩やかなカーブを描いて略直角に湾曲しているのに対し(
図10参照)、第2実施形態による第2シェル6及び第2中心コンタクト7は、それらの先端部側をプリント基板9pの一方の面91pに向って下り傾斜しているという、違いがある。これにより、第2実施形態による同軸コネクタ20は、伝送路の直線性が確保され、より高速の信号をプリント基板9pに伝送できる。