【解決手段】二次電池の充電システムは、二次電池10の残容量を検知する残容量検知部11と、残容量と検知時点とが関連づけられた時系列データを記憶する時系列データ記憶部12、22と、二次電池10を動力源とする電動車両の走行予定情報を取得する走行予定取得部23と、走行予定情報に基づいて走行するために必要な電力量である消費予定量を算出する消費予定量算出部24と、時系列データから定まる残容量と消費予定量とに基づき目標SOCを決定する目標SOC決定部25と、目標SOCとなるように充電機器を制御する充電計画データを生成する計画データ生成部26と、充電計画データを出力する出力部27と、を有する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
以下、本開示の第1実施形態のシステムについて説明する。
【0012】
二次電池を動力源とする電動車両の走行予定情報に基づき、二次電池を充電するため充電計画データを出力する。充電計画データは、二次電池を充電する充電機器を制御するために用いられ、例えば、充電開始時刻、充電終了時刻、目標となるSOCなどの制御情報が含まれる。走行予定情報は、ユーザにより入力され、二次電池の使用量を特定できる情報であればよい。走行予定情報として、例えば、出発地及び目的地、距離、走行時間が挙げられる。出発地及び目的地から距離がわかり、距離から電池の消費予定量が定まる。走行時間からも電池の消費予定量が定まる。走行予定情報のその他の例として、トラックなどの配送業の場合、配送圏(半径km)及び配送箇所数、配送所要時間などが挙げられる。配送圏(半径km)及び配送箇所数から配送所要時間が定まる。配送所要時間から電池の消費予定量が定まる。走行予定情報としては、上記の他、出発地から目的地までのルート情報、一般道、高速道などの情報が含まれていてもよい。これらは、電池の消費予定量の算出に利用される。
【0013】
図1に示すように、システムは、残容量検知部11と、時系列データ記憶部12、22と、走行予定取得部23と、消費予定量算出部24と、目標SOC決定部25と、計画データ生成部26と、出力部27と、を有する。本実施形態のシステムは、電池パック1と、サーバ2とを含んで構成されている。電池パック1は、二次電池10と、残容量検知部11と、時系列データ記憶部12と、劣化度算出部13と、を有する。サーバ2は、時系列データ記憶部22と、走行予定取得部23と、消費予定量算出部24と、目標SOC決定部25と、計画データ生成部26と、出力部27と、を有する。
【0014】
電池パック1は、電気自動車やハイブリット車といった電動車両に搭載される。二次電池10は、
図2A及び
図2Bに示すように、その筐体の内部に複数の単電池10aを有する。本実施形態では、4つの単電池10aが直列に(例えば2並列2直列に、または4直列に)接続されているが、電池の数や接続形態はこれに限定されない。複数の二次電池10が直列に接続され、それらがコントローラと一緒に電池パック1の筐体内に収容される。各部11〜13は、コントローラに実装される。
【0015】
残容量検知部11は、所定のタイミングで、二次電池10の残容量を検知する。本実施形態では、1分ごとに検知しているが、タイミングは任意に設定可能である。また、残容量は、二次電池10の厚み変化を検出して算出しているが、これに限定されない。発明者は厚み変化による残容量の算出が高精度であると考えており、必ずしも高精度とはいえないが、例えば、既知の電圧や電流を検知して残容量を算出してもよい。厚み変化、電圧、電流検知を併用して使用しても良い。
【0016】
本実施形態において、二次電池10の厚み変化を検出するために、
図2A及び
図2Bに示すように、二次電池10には変形検出センサ3が取り付けられている。変形検出センサ3は、高分子マトリックス層30と検出部31とを有する。高分子マトリックス層30は、その高分子マトリックス層30の変形に応じて外場に変化を与える磁性フィラーを分散させて含有している。そして、検出部31は、その高分子マトリックス層30の変形に伴う外場の変化を検出する。本実施形態の高分子マトリックス層30は、単電池の膨れに応じた柔軟な変形が可能なエラストマー素材によりシート状に形成されている。単電池の膨れにより二次電池10が変形を生じると、それに応じて高分子マトリックス層30が変形し、その高分子マトリックス層30の変形に伴う外場の変化が検出部31により検出され、それに基づいて二次電池10の変形を高感度に検出することができる。
【0017】
磁場の変化を検出する検出部31には、例えば、磁気抵抗素子、ホール素子、インダクタ、MI素子、フラックスゲートセンサなどを用いることができる。磁気抵抗素子としては、半導体化合物磁気抵抗素子、異方性磁気抵抗素子(AMR)、巨大磁気抵抗素子(GMR)、トンネル磁気抵抗素子(TMR)が挙げられる。このうち好ましいのはホール素子であり、これは広範囲にわたって高い感度を有し、検出部31として有用なためである。ホール素子には、例えば旭化成エレクトロニクス株式会社製EQ432Lが使用できる。
【0018】
<厚み変化による残容量の検知方法>
具体的には、残容量を予測する時点より前の充放電サイクルC1中に二次電池10の変形を検出し、その二次電池10の充放電容量と変形量との関係を表す第1曲線を求める(ステップ1)。充放電容量は放電容量と充電容量との総称であり、ここでは、満充電状態からの放電容量である例を示す。
図3Aのグラフは、充放電サイクルC1中に求めた、二次電池10の満充電状態からの放電容量と変形量との関係を表す第1曲線L1を示す。
基準曲線LSは、所定の基準状態における二次電池10の充放電容量(本実施形態では、満充電状態からの放電容量)と変形量との関係を表す。基準曲線LSは、劣化していない初期段階の二次電池10を基準状態として、例えば製造時または出荷前の二次電池10を用いて求められる。
第1曲線L1及び基準曲線LSは、電極のステージ変化に起因して、
図3Aのように幾分かの凹凸(勾配の変化)を含んだ形状となる。例えば負極にグラファイト(黒鉛)を用いたリチウムイオン二次電池の場合、そのグラファイトの結晶状態は、満充電状態から放電するに伴って順次にステージ変化することが知られている。これは、リチウムイオンの挿入量に伴ってグラフェン層間の距離が段階的に拡大することで負極活物質が膨張するためである。要するに、ステージ変化によって活物質の体積は段階的に変化し、それが第1曲線L1と基準曲線LSに反映されている。
上記ステップ1の後、基準曲線LSを第1曲線L1にフィッティング処理して第2曲線L2を求める(ステップ2)。既述の通り、第1曲線L1は上記ステップ1において求められ、基準曲線LSは劣化前の基準状態において予め求められている。フィッティング処理は、最小二乗法などの汎用的に用いられる手法により行うことができる。
図3Bのグラフは、フィッティング処理により求めた第2曲線L2を示す。フィッティング処理では、基準曲線LSのX軸方向の長さの拡大率に相当する「充放電容量の拡大率Xr」、基準曲線LSのX軸方向のシフト量に相当する「充放電容量のシフト量Xs」、基準曲線LSのY軸方向の長さの拡大率に相当する「変形量の拡大率Yr」、及び、基準曲線LSのY軸方向のシフト量に相当する「変形量のシフト量Ys」という4つのパラメータを変化させた。
そして、充放電サイクルC1より後の充放電サイクルC2中に二次電池10の変形量Tmを検出する(ステップ3)。上記ステップ1〜3の後、
図3Bのように、二次電池10の変形量Tmに対応する充放電容量Qmを第2曲線L2に基づいて取得し、その第2曲線L2における完全放電状態の充放電容量Qdと充放電容量Qmとの差を残容量Qrとして求めるステップ4)。充放電容量Qmを完全放電状態の充放電容量Qdから差し引いて得られる残容量Qrは、その時点での残容量の予測値となる。
すなわち、検出した二次電池10の変形量Tmと上記のフィッティング処理により求めた第2曲線L2とに基づいて充放電容量Qmを取得し、その充放電容量Qmと充放電容量Qdとから残容量Qrを求める。
【0019】
時系列データ記憶部12、22は、残容量と検知時点とが関連づけられた時系列データを記憶する。電池パック1における時系列データ記憶部12は、当該電池パック1に関する時系列データが記憶される。本実施形態では、電池パック1が、時系列データ記憶部12に記憶される時系列データを、所定のタイミングで通信部(図示せず)を介して、サーバ2に送信する。サーバ2は、受信した時系列データを時系列データ記憶部22に記憶する。サーバ2において、複数の電池パック1から送信された時系列データが集約されて、記憶される。本実施形態では、電池パック1からサーバ2へ無線又は有線の通信部(図示せず)を介して時系列データを送信しているが、これに限定されない。時系列データを送信する方法は適宜変更可能である。所定のタイミングは、一定時間経過する毎、充電のためにケーブルが接続されたタイミング、所定時刻の到来などが挙げられ、適宜変更可能である。
【0020】
時系列データには、二次電池の個体を識別するための電池識別情報が含まれていることが好ましい。電池識別情報があれば、複数の電池パック1からデータを集計した場合でも、電池毎にデータを集計可能である。これは適用されるシステムに応じて実装すればよい。
【0021】
劣化度算出部13は、時系列データにおける残容量の単位時間当たりの減少ペースに対応する劣化評価値の或る時点までの累積値に基づき、或る時点における劣化度を算出する。本実施形態では、残容量の検知時点での劣化度を算出し、
図1に示すように、検知時点と劣化度を関連づけて時系列データに記憶している。
【0022】
<劣化度の算出方法>
劣化度(%)=(劣化前の電池容量−劣化後の電池容量)/劣化前の電池容量×100と表記する。
図6Cに示すように、残容量の単位時間当たりの減少ペースと、減少ペースに対応する劣化評価値(劣化ポイント)とが予め関連づけられている。本実施形態では、残容量の減少ペースと、SOCレベルとに劣化評価値が関連付けられている。劣化評価値は、+1tや+2tというように、継続時間tに応じた大きさになるようにしている。
劣化度算出部13は、時系列データ(
図6A)における残容量の減少ペースに対応する劣化評価値を特定して劣化評価値の累積値を算出する(
図6B)。
劣化評価値の累積値と劣化度は予め対応付けてある。例えば、劣化評価値(劣化ポイント)が100であれば、劣化度は1%とすることが挙げられる。劣化度算出部13は、劣化評価値の累積値に応じて劣化度を算出する。
なお、電池の劣化度が算出できれば、現時点での電池の満充電量が算出可能となる。例えば、劣化度が1%であれば、現時点での満充電量は、初期の満充電量の99%(100-1%)である。
【0023】
走行予定取得部23は、二次電池を動力源とする電動車両の走行予定情報を取得する。走行予定情報は、上記のほか、出発予定時刻、使用態様(充電ステーションでの充電または交換場所での電池交換)などが挙げられる。走行予定情報はユーザにより入力され、その入力態様は種々変形可能である。例えば、スマートフォンやタブレットなどの外部端末を介して入力されることが挙げられる。
【0024】
消費予定量算出部24は、走行予定情報に基づいて走行するために必要な電力量である消費予定量を算出する。例えば、走行予定情報として、走行距離が入力された場合は、走行距離に所定の係数をかけることで、消費予定量を算出するようにしてもよい。走行時間が入力された場合も同様である。また、走行予定情報として、配送圏及び配送箇所数が入力された場合には、配送圏(km)と配送箇所数と所定の係数をかけることで、消費予定量を算出するようにしてもよい。
【0025】
本実施形態では、走行予定情報として、出発地及び目的地が含まれており、出発地及び目的地に基づいて基準となる消費予定量を取得する基準消費予定量取得部24aを有する。基準消費予定量取得部24aは、出発地及び目的地と、基準消費予定量とが関連づけられたデータベースにアクセス可能であり、このデータベースから該当する基準消費予定量を取得する。具体的には、カーナビゲーションで使用される地図データを用いて基準消費予定量を取得することが挙げられる。得られた基準消費予定量をそのまま消費使用量としてもよいし、補正してもよい。
【0026】
本実施形態では、出発地及び目的地に対応する出発地標高及び目的地標高を取得する標高取得部24bと、出発地標高及び目的地標高に基づき、消費予定量を補正する補正部24dと、を有する。標高取得部24bは、標高を含む地図データにアクセスすることで出発地標高及び目的地標高を取得可能である。補正部24dは、出発地標高と目的地標高との比較により、消費予定量を補正する。例えば、出発地標高>目的地標高であれば、全体として下り道なので、消費予定量を減らす方向に補正する。一方、出発地標高<目的地標高であれば、全体として上り道なので、消費予定量を増やす方向に補正する。出発地標高=目的地標高であれば、補正は不要である。
【0027】
さらに、出発地の気温に対応する値、目的地の気温に対応する値、のうち少なくとも1つを取得する気温取得部24cと、出発地の気温に対応する値、目的地の気温に対応する値、のうち少なくとも1つに基づき、消費予定量を補正する補正部24dと、を設けてもよい。気温に対応する値は、外部の天気予報データベースから取得した気温でもよいし、標高取得部24bが取得した標高に基づき演算した補正値でもよい。原則として、標高が高ければ気温が低く、電池の出力が低下する。よって、標高を用いる場合は、標高が基準値よりも高ければ消費量を増やす補正値とする。気温を用いる場合は、気温が基準値よりも低ければ消費量を増やす補正値とする。このような補正値を用いて補正部24dは消費予定量を補正する。
【0028】
標高による補正と、気温に対応する値による補正とは、両方を実行してもよく、片方のみでもよい。
【0029】
目標SOC決定部25は、時系列データから定まる残容量と消費予定量とに基づき充電完了時点の目標SOCを決定する。例えば、以下のパターンが考えられる。
(1)現時点の残容量が消費予定量に足りるか否かを判断する。現時点の残容量が消費予定量に足りており且つ使用後のSOCが中領域(80%〜50%)である場合には、充電不要と判断する。
(2)現時点の残容量が消費予定量に足りているが使用後のSOCが低領域(50%以下)である場合には、目標SOCを80%に設定する。
(3)現時点の残容量が消費予定量に足りず、使用開始時のSOCを80%とすれば電力が足りる場合は、目標SOCを80%に設定する。
(4)現時点の残容量が消費予定量に足りず、使用開始時のSOCを80%としても電力が足りない場合には、目標SOCを80%よりも高い値に設定する。
このようにすれば、充電後に高SOC領域で放置されて劣化が促進されることを抑制し、且つ、使用後のSOCが低領域になり放置されて劣化が促進されることを抑制することができる。なお、本実施形態において、高SOC領域は、100%〜80%であり、中SOC領域は80%〜50%であり、低SOC領域は50%以下であるが、中SOC領域と低SOC領域の境目の定義は適宜変更可能である。
【0030】
計画データ生成部26は、目標SOCになるように充電機器を制御する充電計画データを生成する。本実施形態では、走行予定情報には、出発予定時刻T
sが含まれている。
図4に示すように、計画データ生成部26は、目標SOCが80%を超え且つ充電に必要な時間よりも出発予定時刻T
sが長い場合は、充電を行わない待機期間T
0を設定するとともに、出発予定時刻T
sまでに目標SOCまで充電するための充電期間T
1を待機期間T
0の後に設定する場合がある。勿論、目標SOCが80%を超えていても、出発予定時刻T
sが近い場合には、待機期間T
0を設けなくてもよい。
【0031】
出力部27は、計画データ生成部26が生成した充電計画データを出力する。出力先は、充電計画データに基づき二次電池を充電する充電機器5である。本実施形態では、充電機器5はシステムに含まれていない。
【0032】
本実施形態では、高分子マトリックス層30が上記フィラーとしての磁性フィラーを含有し、検出部31が上記外場としての磁場の変化を検出する例を示す。この場合、高分子マトリックス層30は、エラストマー成分からなるマトリックスに磁性フィラーが分散してなる磁性エラストマー層であることが好ましい。
【0033】
磁性フィラーとしては、希土類系、鉄系、コバルト系、ニッケル系、酸化物系などが挙げられるが、より高い磁力が得られる希土類系が好ましい。磁性フィラーの形状は、特に限定されるものではなく、球状、扁平状、針状、柱状および不定形のいずれであってよい。磁性フィラーの平均粒径は、好ましくは0.02〜500μm、より好ましくは0.1〜400μm、更に好ましくは0.5〜300μmである。平均粒径が0.02μmより小さいと、磁性フィラーの磁気特性が低下する傾向にあり、平均粒径が500μmを超えると、磁性エラストマー層の機械的特性が低下して脆くなる傾向にある。
【0034】
エラストマー成分には、熱可塑性エラストマー、熱硬化性エラストマーまたはそれらの混合物を用いることができる。熱可塑性エラストマーとしては、例えばスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、ポリイソプレン系熱可塑性エラストマー、フッ素ゴム系熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。また、熱硬化性エラストマーとしては、例えばポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ポリクロロプレンゴム、ニトリルゴム、エチレン−プロピレンゴム等のジエン系合成ゴム、エチレン−プロピレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、ポリウレタンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エピクロルヒドリンゴム等の非ジエン系合成ゴム、および天然ゴム等を挙げることができる。このうち好ましいのは熱硬化性エラストマーであり、これは電池の発熱や過負荷に伴う磁性エラストマーのへたりを抑制できるためである。更に好ましくは、ポリウレタンゴム(ポリウレタンエラストマーともいう)またはシリコーンゴム(シリコーンエラストマーともいう)である。
【0035】
ポリウレタンエラストマーに使用できるイソシアネート成分としては、ポリウレタンの分野において公知の化合物を使用できる。例えば、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロへキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネートを挙げることができる。これらは1種で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。また、イソシアネート成分は、ウレタン変性、アロファネート変性、ビウレット変性、及びイソシアヌレート変性等の変性化したものであってもよい。好ましいイソシアネート成分は、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、より好ましくは2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネートである。
【0036】
活性水素含有化合物としては、ポリウレタンの技術分野において、通常用いられるものを用いることができる。例えば、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドの共重合体等に代表されるポリエーテルポリオール、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペート、3−メチル−1,5−ペンタンアジペートに代表されるポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカプロラクトンのようなポリエステルグリコールとアルキレンカーボネートとの反応物などで例示されるポリエステルポリカーボネートポリオール、エチレンカーボネートを多価アルコールと反応させ、次いで得られた反応混合物を有機ジカルボン酸と反応させたポリエステルポリカーボネートポリオール、ポリヒドロキシル化合物とアリールカーボネートとのエステル交換反応により得られるポリカーボネートポリオール等の高分子量ポリオールを挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0037】
活性水素含有化合物として上述した高分子量ポリオール成分の他に、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、トリメチロールプロパン、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、テトラメチロールシクロヘキサン、メチルグルコシド、ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、スクロース、2,2,6,6−テトラキス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサノール、及びトリエタノールアミン等の低分子量ポリオール成分、エチレンジアミン、トリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、ジエチレントリアミン等の低分子量ポリアミン成分を用いてもよい。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。更に、4,4’−メチレンビス(o−クロロアニリン)(MOCA)、2,6−ジクロロ−p−フェニレンジアミン、4,4’−メチレンビス(2,3−ジクロロアニリン)、3,5−ビス(メチルチオ)−2,4−トルエンジアミン、3,5−ビス(メチルチオ)−2,6−トルエンジアミン、3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミン、3,5−ジエチルトルエン−2,6−ジアミン、トリメチレングリコール−ジ−p−アミノベンゾエート、ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート、1,2−ビス(2−アミノフェニルチオ)エタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、N,N’−ジ−sec−ブチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジイソプロピル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラエチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトライソプロピルジフェニルメタン、m−キシリレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、及びp−キシリレンジアミン等に例示されるポリアミン類を混合することもできる。好ましい活性水素含有化合物は、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドの共重合体、3−メチル−1,5−ペンタンアジペート、より好ましくはポリプロピレングリコール、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドの共重合体である。
【0038】
イソシアネート成分と活性水素含有化合物の好ましい組み合わせとしては、イソシアネート成分として、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、および4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの1種または2種以上と、活性水素含有化合物として、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドの共重合体、および3−メチル−1,5−ペンタンアジペートの1種または2種以上との組み合わせである。より好ましくは、イソシアネート成分として、2,4−トルエンジイソシアネートおよび/または2,6−トルエンジイソシアネートと、活性水素含有化合物として、ポリプロピレングリコール、および/またはプロピレンオキサイドとエチレンオキサイドの共重合体との組み合わせである。
【0039】
高分子マトリックス層30は、分散したフィラーと気泡を含有する発泡体でもよい。発泡体としては、一般の樹脂フォームを用いることができるが、圧縮永久歪などの特性を考慮すると熱硬化性樹脂フォームを用いることが好ましい。熱硬化性樹脂フォームとしては、ポリウレタン樹脂フォーム、シリコーン樹脂フォームなどが挙げられ、このうちポリウレタン樹脂フォームが好適である。ポリウレタン樹脂フォームには、上掲したイソシアネート成分や活性水素含有化合物を使用できる。
【0040】
磁性エラストマー中の磁性フィラーの量は、エラストマー成分100重量部に対して、好ましくは1〜450重量部、より好ましくは2〜400重量部である。これが1重量部より少ないと、磁場の変化を検出することが難しくなる傾向にあり、450重量部を超えると、磁性エラストマー自体が脆くなる場合がある。
【0041】
本実施形態では、高分子マトリックス層の変形に伴う磁場の変化を検出部により検出する例を示したが、他の外場の変化を検出する構成でもよい。例えば、高分子マトリックス層がフィラーとして金属粒子、カーボンブラック、カーボンナノチューブなどの導電性フィラーを含有し、検出部が外場としての電場の変化(抵抗および誘電率の変化)を検出する構成が考えられる。
【0042】
以上の通り、本実施形態の二次電池の充電システムは、二次電池10の残容量を検知する残容量検知部11と、残容量と検知時点とが関連づけられた時系列データを記憶する時系列データ記憶部12、22と、二次電池10を動力源とする電動車両の走行予定情報を取得する走行予定取得部23と、走行予定情報に基づいて走行するために必要な電力量である消費予定量を算出する消費予定量算出部24と、時系列データから定まる残容量と消費予定量とに基づき目標SOCを決定する目標SOC決定部25と、目標SOCとなるように充電機器を制御する充電計画データを生成する計画データ生成部26と、充電計画データを出力する出力部27と、を備える。
【0043】
この構成によれば、走行予定で定まる消費予定量と残容量とに基づいて、目標SOCを決定するので、常に満充電されるわけではなく、消費予定量が少ない場合であっても使用後に高SOC領域で放置されることを低減でき、電池の劣化を促進させない適切な充電が可能となる。
【0044】
本実施形態では、走行予定情報は、出発地及び目的地を含んでおり、出発地及び目的地に基づいて基準となる消費予定量を取得する基準消費予定量取得部24aを備えており、消費予定量は、基準となる消費予定量に基づき算出される。
【0045】
この構成によれば、出発地及び目的地に基づき、基準となる消費予定量を取得するので、例えば、出発地及び目的地から得られる距離又は走行時間に基づき消費予定量を算出でき、実用的である。また、上記走行距離については、データベース等から得られる道路規制情報に基づく迂回経路等の追加の走行距離を加えることができる。上記走行時間については、データベース等から得られる高速道路等の渋滞予測情報に基づく追加の走行時間を加えることができる。
【0046】
本実施形態では、出発地及び目的地に対応する出発地標高及び目的地標高を取得する標高取得部24bと、出発地標高及び目的地標高に基づき、消費予定量を補正する補正部24dと、を備える。
【0047】
一般的に、上り坂では電池の消費量が多くなり、下り坂では電池の消費用が少なくなる。この構成によれば、これらの事情を考慮するので、適切な消費予定量を算出可能となる。
【0048】
本実施形態では、出発地の気温に対応する値、目的地の気温に対応する値、のうち少なくとも1つを取得する気温取得部24cと、出発地の気温に対応する値、目的地の気温に対応する値、のうち少なくとも1つに基づき、消費予定量を補正する補正部24dと、を有する。
【0049】
気温に対応する値は、天気予報データベースから取得した気温でもよいし、標高取得部が取得した標高に基づき演算した補正値でもよい。一般的に気温により電池の出力が変化する。上記構成によれば、この事情を考慮するので、より適切な消費予定量を決定できる。
【0050】
走行予定情報は、出発予定時刻T
sを含み、計画データ生成部26は、目標SOCが80%を超える場合は、充電を行わない待機期間T
0を設定するとともに、出発予定時刻T
sまでに目標SOCまで充電するための充電期間T
1を待機期間T
0の後に設定する。
【0051】
SOCが80%を超えた状態で長期間放置すれば、電池の劣化が促進される。この構成によれば、待機期間T
0を設け、その後に充電期間T
1を設定しているので、すぐに充電して放置されることを抑制でき、電池の劣化を抑制することが可能となる。
【0052】
上記システムで実行される方法は、次の通りである。
【0053】
すなわち、二次電池の充電最適化方法は、コンピュータが実行する方法であって、二次電池10の残容量を検知するステップと、残容量と検知時点とが関連づけられた時系列データを記憶するステップと、二次電池を動力源とする電動車両の走行予定情報を取得するステップと、走行予定情報に基づいて走行するために必要な電力量である消費予定量を算出するステップと、時系列データから定まる残容量と消費予定量とに基づき目標SOCを決定するステップと、目標SOCとなるように充電機器を制御する充電計画データを生成するステップと、充電計画データを出力するステップと、を含む。
【0054】
上記の各実施形態で採用している構造を他の任意の実施形態に採用することは可能である。各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0055】
<第2実施形態>
第1実施形態では、充電機器5はシステムに含まれていないが、
図5に示すように、第2実施形態のシステムには、充電機器5が含まれている。このように、システムを構成する要素は、配置が変更可能である。
【0056】
<変形例>
また、システムは、残容量検知部11、時系列データ記憶部12、走行予定取得部23、消費予定量算出部24、目標SOC決定部25、計画データ生成部26が少なくともあれば、他の各部は適宜省略可能である。また、時系列データは、検知時点及び残容量が少なくともあれば、その他の項目は適宜省略可能である。