【解決手段】先端を半径方向外方に向けた吸着ノズル2を回転軸周りに配置したローター3を備える。また、吸着ノズル2をローター3の半径方向外方に進出させる進退駆動装置131が設置される。吸着ノズル2には突起部55を有し、進退駆動装置131は、ローター3の半径方向外方にスライド可能に設置され、突起部55と当接して吸着ノズル2を押し出すスライドプッシャ53と、スライドプッシャ53の回転モータ51を備える。スライドプッシャ53と回転モータ51は、吸着ノズル2が進退駆動装置131の位置で停止したとき、吸着ノズル2とスライドプッシャ53と回転モータ51とがローター3の回転軸に沿って並ぶように配される。
【背景技術】
【0002】
電子部品には、後工程にて、品質の確認及び梱包等の処理が施される。例えば、電子部品は電気特性測定及び外観検査によって品質が確認され、レーザーマーキングで刻印され、品質別に分類されて各種収容体に梱包される。電子部品は、処理ユニットを巡るように搬送経路に沿って搬送され、これら処理を受ける。また、次工程の機器で使用される収容体の形式に対応すべく、または客先の要求に対応すべく、収容体を代えて梱包し直すために、電子部品は特段の処理を受けることなく、搬送経路に沿って搬送される場合もある。
【0003】
電子部品を整列搬送しながら品質確認及び梱包等の処理を行う装置として、電子部品搬送装置が普及している。電子部品搬送装置は、電子部品を保持する保持部、保持部を回転軸周りに複数配置して間欠回転するロータリーテーブル、及びロータリーテーブルの周囲直下に配置される各種処理ユニットを備えている。保持部は、ロータリーテーブルの回転面と直交した軸を有するスリーブに支持される。保持部を挟んで処理ユニットとは反対側には進退駆動装置が配置されている。
【0004】
進退駆動装置は、ロータリーテーブルによって処理ユニットの直上位置に到達した保持部を処理ユニットに向けて降ろす。この進退駆動装置は、モータとスライドプッシャとを備えている。スライドプッシャは、レールに沿って摺動可能なロッド等の押圧部材であり、保持部の上方に配置される。モータは、スライドプッシャに推力を与える動力源であり、スライドプッシャの上方に配置されている。即ち、保持部とモータとスライドプッシャとは、保持部が処理ユニットへ移動する方向に沿って、一直線に並ぶ。スライドプッシャが保持部の後端に当接し、そのまま保持部を押し込むことで、保持部は下降する。
【0005】
近年、ロータリーピックアップを備える電子部品搬送装置が普及しつつある。ロータリーピックアップは、回転軸周りに保持部を配置する点ではロータリーテーブルと同じであるが、保持部の先端が半径方向外方に向くように配置している点で相違する。
【0006】
このロータリーピックアップは、電子部品の収容ユニットと搬送経路を形成するロータリーテーブルとの間に介在し、電子部品の授受を中継することが予定される(例えば特許文献1参照)。また、ロータリーピックアップは、保持部の先端が半径方向外方に向いていることから、複数連ねられることで互いに電子部品を授受することが容易である。そのため、ロータリーピックアップを複数連接し、ロータリーテーブルに代替して搬送経路を形成させることも予定される(例えば特許文献2参照)。
【0007】
電子部品の中継が目的であり、または連接使用が前提であるため、ロータリーピックアップは、ロータリーテーブルに比べて明らかに小径である。一例を挙げると、ロータリーテーブルが400mmの直径を有し、ロータリーピックアップは170mmの直径を有する。そのため、ロータリーピックアップは軽量であり、相対的に小慣性モーメントであるから高速回転が可能である。このロータリーピックアップが電子部品搬送装置に適用されることで、電子部品の搬送速度が向上する。
【0008】
ロータリーピックアップにおいても、保持部が処理ユニットや収容ユニットやロータリーテーブルに向くポジションでは、電子部品の授受のために、これら装置に向けて保持部を進退させる必要がある。そこで、ロータリーピックアップにも進退駆動装置を備えることが多い。
【0009】
しかしながら、従来の進退駆動装置は、保持部が処理ユニットに向けて移動する方向に沿って、保持部とモータとスライドプッシャとを一直線に並べて成る。そのため、進退駆動装置をロータリーピックアップに搭載すると、ロータリーピックアップの半径方向に沿って中心側に延びるように保持部、スライドプッシャ及びモータが並ぶことになる。小径のロータリーピックアップでは、進退駆動装置は中心で集合し、互いに物理的干渉を引き起こす。従って、多数の進退駆動装置をロータリーピックアップに配置できない。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る電子部品移動装置の実施形態とその適用例について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0028】
図1及び
図2に示す電子部品移動装置1は、元もとの使用目的からロータリーピックアップとも呼ばれる。この電子部品移動装置1は、電子部品Dを円環軌跡又は円弧軌跡を描くように旋回移動させる。また、電子部品移動装置1は、移動軌跡途中又は移動軌跡の始端及び終端で電子部品Dを処理するために一時停止させる。このような電子部品移動装置1は、吸着ノズル2、ローター3及びモータ4を備える。
【0029】
吸着ノズル2は、電子部品Dの保持部の一例である。吸着ノズル2は、先端に吸着孔21を有する筒形状を有し、電子部品Dを吸着孔21に吸い付けることで保持する。ローター3は、吸着ノズル2を備える送り台である。ローター3は、モータ4の回転軸に軸支され、吸着ノズル2をモータ4の回転軸から離間した位置で支持し、吸着ノズル2を円環又は円弧状に移動させる。モータ4は、サーボモータ等であり、ローター3を回転させる動力源である。
【0030】
この電子部品移動装置1は、2機の吸着ノズル2を備える。ローター3は、モータ4の回転軸から180度対向した方向に延びる2本のアームである。電子部品移動装置1は、1機の吸着ノズル2を備えても、3機以上を備えてもよい。1機の吸着ノズル2を備える場合、ローター3は、一端がモータ4の回転軸に軸支され、他端に吸着ノズル2が設置される1本のアームである。3機以上の吸着ノズル2を備える場合、ローター3は、アームを円周等配位置で放射状に延ばした星形又は円盤形状を有し、放射中心がモータ4の回転軸に軸支され、各アームの先端又は円盤外周に吸着ノズル2が円周等配位置を備える。
【0031】
また、電子部品移動装置1が2機の吸着ノズル2を備える場合、モータ4は、ローター3を180度往復回転又は一方向に円状に回転させ、0度位置及び180度位置で一時停止させる。1機の吸着ノズル2を備える場合は、180度往復回転又は一方向に円状に回転して180度ごとに停止させる。電子部品移動装置1が3機以上の吸着ノズル2を備える場合、モータ4は、一方向に、吸着ノズル2の配置角度間隔と等角度間隔ずつ、ローター3を回転させ、吸着ノズル2の配置角度間隔ごとに一時停止させる。
【0032】
吸着ノズル2は、外部から負圧の供給を受け、吸着孔21で電子部品Dを保持する。この吸着ノズル2は、筒軸がローター3の半径方向に沿って延び、軸延長線がローター3の中心を通る。吸着ノズル2は、ローター3の半径方向外方に突き出ており、ローター3の半径方向外方に吸着孔21を向ける。複数の吸着ノズル2を備える場合、吸着ノズル2は円周等配位置で配置され、ローター3の中心から等距離離間した位置を基端として延び、全長が同一である。即ち、複数の吸着ノズル2は、ローター3と同心円の同一軌跡上に位置し、同一軌跡上を移動し、同一ポジションで一時停止する。
【0033】
吸着ノズル2はスリーブ56を介してローター3に配置される。スリーブ56は、ローター3の半径方向に沿う軸を有する。吸着ノズル2は、スリーブ56に支持され、スリーブ56内を摺動することで、ローター3の半径方向外方に進出し、またローター3の半径方向中心側に後退する。そのため、電子部品移動装置1は、吸着ノズル2に対してローター3の半径方向に沿った推力を与える進退駆動装置5を備えている。
【0034】
進退駆動装置5は、回転モータ51、円筒カム52a、カムフォロア52b及びスライドプッシャ53を備える。また、吸着ノズル2の筒胴体側部からは突起部55が突出する。回転モータ51は、吸着ノズル2を進出させる動力源である。円筒カム52a及びカムフォロア52bは、回転モータ51の回転運動を直線運動に変換する。直線運動の方向は、ローター3の半径方向外方である。スライドプッシャ53は、カムフォロア52bを有し、ローター3の半径方向外方への推力を受け、吸着ノズル2の突起部55を取っ掛かりにして吸着ノズル2を半径方向外方に押し出す。
【0035】
更に、進退駆動装置5は、吸着ノズル2の進出に伴って吸着ノズル2を後退させる付勢力を蓄勢する圧縮バネ58a、及びスライドプッシャ53の進出に伴ってスライドプッシャ53を後退させる付勢力を蓄勢する引張バネ58bを備え、吸着ノズル2を後退させる。
【0036】
モータ4とローター3との間にはモータフランジ59が介在する。モータフランジ59は、ローター3と平行に拡がるベース板である。回転モータ51は、モータ4の周囲に並ぶように、モータ4を臨む裏面からモータフランジ59に取り付けられ、モータ軸をおもて面に貫通させている。円筒カム52aは、一部外周が緩やかに膨出して卵型形状を有し、回転モータ51のモータ軸に軸支される。
【0037】
モータフランジ59のおもて面上には、ローター3の半径方向外方に沿ったレール54が敷設されている。スライドプッシャ53は、このレール54に摺動可能に嵌合し、ローター3とモータフランジ59の間に設置される。このスライドプッシャ53は、吸着ノズル2が進退駆動装置5の設置位置に達したとき、吸着ノズル2と重なり合い、吸着ノズル2と平行になる。
【0038】
カムフォロア52bは円筒体であり、スライドプッシャ53に固定される。引張バネ58bは、モータフランジ59上に、軸をレール54に沿わせて設置されており、ローター3の半径方向外方側の一端でスライドプッシャ53を固定し、ローター3の中心側に向かって縮むように付勢されている。
【0039】
突起部55は、吸着ノズル2の筒胴体側面からローター3を越えてモータフランジ59の方向に突出し、カムフォロア52bの前方に突出している。即ち、この突起部55は、吸着ノズル2が進退駆動装置5の位置に達したとき、スライドプッシャ53の当接部の最後退位置と、スライドプッシャ53の当接部の最進出位置とを結ぶ仮想線分上に突出している。
【0040】
尚、スライドプッシャ53の当接部は、ローター3の半径方向外方端である。最後退位置は、カムフォロア52bが円筒カム52aの中心に最接近して、スライドプッシャ53が引張バネ58bによってローター3の中心側に引き込まれている際の位置である。最進出位置は、カムフォロア52bが円筒カム52aの中心から最も離れ、スライドプッシャ53が引張バネ58bの付勢力に抗してローター3の半径方向外方に進出している際の位置である。
【0041】
圧縮バネ58aは、吸着ノズル2に嵌め込まれている。吸着ノズル2には、筒胴体側面からフランジ57が延出している。フランジ57は、スリーブ56よりもローター3の中心側に位置する。圧縮バネ58aは、このフランジ57とスリーブ56とをバネ座面として設置されており、フランジ57をスリーブ56から離す方向に付勢されている。即ち、吸着ノズル2のフランジ57をローター3の中心に向けて押し込んでいる。
【0042】
この進退駆動装置5の構造によれば、圧縮バネ58aはローター3に搭載され、回転モータ51、円筒カム52a及びカムフォロア52b、並びにスライドプッシャ53は、モータフランジ59に設置される。従って、進退駆動装置5によってはローター3の軽量性は失われない。
【0043】
また、この進退駆動装置5の構造によれば、スライドプッシャ53と回転モータ51は、吸着ノズル2が進退駆動装置5の設置位置に達したとき、吸着ノズル2の進退方向と直交する方向に、吸着ノズル2とスライドプッシャ53と回転モータ51が並ぶように配置されることとなる。吸着ノズル2の進退方向と直交する方向とは、換言すれば、吸着ノズル2がローター3の半径方向外方に移動する其の移動方向と概略直交する方向であり、ローター3の回転軸に概略沿った方向であり、或いはローター3の回転面と概略直交する方向である。
【0044】
概略とは、直交する方向、或いは沿った方向に厳密に一直線に整列する必要はなく、吸着ノズル2の真裏側にスライドプッシャ53があればよく、またスライドプッシャ53の真裏側に回転モータ51があればよい。本実施形態において真裏とは、吸着ノズル2においてモータフランジ59の方向である。真裏側とは、真裏、厳密に真裏でなくとも真裏側であってローター3の半径方向にズレた位置、厳密に真裏側でなくともローター3の接線方向にズレた位置、及び厳密に真裏側でなくともローター3の回転面と平行で半径方向と斜交わる方向にズレた位置を許容するという意味である。
【0045】
即ち、吸着ノズル2をローター3の半径方向外方に進出させる各進退駆動装置5は、ローター3の半径方向に沿わず、ローター3の中心で集合することはなく、ローター3の回転軸に沿って延在することで、互いに物理的に干渉しない。そのため、進退駆動装置5は、スライドプッシャ53又は回転モータ51のうちの幅が大きい方が許容する範囲で電子部品移動装置1に多数配置できる。
【0046】
このような電子部品移動装置1において、モータ4が駆動し、ローター3が180度回転して、吸着ノズル2が進退駆動装置5の設置箇所で停止すると、進退駆動装置5では、回転モータ51が駆動し、円筒カム52aがカムフォロア52bを中心から離れた方向に移動させ、スライドプッシャ53が引張バネ58bの付勢力に抗してレール54に沿ってローター3の半径方向外方へ移動する。スライドプッシャ53は、進出方向に存在する突起部55をローター3の半径方向外方に押し込み、突起部55を備える吸着ノズル2は、圧縮バネ58aの付勢力に抗してローター3の半径方向外方へ進出する。
【0047】
また、進退駆動装置5では、吸着ノズル2をローター3の半径方向中心側に後退させるとき、回転モータ51が駆動し、円筒カム52aがカムフォロア52bを中心に近づける。円筒カム52a及びカムフォロア52bによる推進力を失ったスライドプッシャ53は、引張バネ58bの付勢力によって、レール54に沿ってローター3の半径方向中心側に後退する。スライドプッシャ53の後退により、突起部55とスライドプッシャ53とが離れ、吸着ノズル2は、圧縮バネ58aの付勢力によってローター3の半径方向中心側に後退する。
【0048】
このように、この電子部品移動装置1は、電子部品Dを先端で保持する吸着ノズル2の先端を半径方向外方に向けて、当該吸着ノズル2を回転軸周りに配置したローター3を備えるものであり、吸着ノズル2の少なくとも一箇所の停止位置に設置され、吸着ノズル2をローター3の半径方向外方に進出させる進退駆動装置5が設置される。また、吸着ノズル2には突起部55を突設し、進退駆動装置5は、ローター3の半径方向外方にスライド可能に設置され、突起部55と当接して吸着ノズル2を押し出すスライドプッシャ53と、スライドプッシャ53の動力源である回転モータ51を備える。
【0049】
そして、スライドプッシャ53と回転モータ51は、吸着ノズル2が進退駆動装置5の位置で停止したとき、吸着ノズル2とスライドプッシャ53と回転モータ51とがローター3の回転軸に沿って並ぶように配されるようにした。これにより、吸着ノズル2をローター3の半径方向外方に進出させる各進退駆動装置5は、ローター3の半径方向に沿わず、ローター3の中心で集合することはなく、ローター3の回転軸に沿って延在して互いに物理的に干渉しない。
【0050】
そのため、進退駆動装置5は、スライドプッシャ53又は回転モータ51の大きい方の幅が許容する範囲で電子部品移動装置1に多数配置できる。また、そのように進退駆動装置5を多数設置しても、ローター3を大型化する必要はなく、電子部品移動装置1の高速回転のメリットを維持したまま、この電子部品移動装置1を備える電子部品搬送装置を多機能化できる。
【0051】
尚、電子部品Dの保持部として吸着ノズル2を例示したが、保持部としては、静電吸着方式、ベルヌーイチャック方式、又は電子部品Dを機械的に挟持するチャック機構を採用してもよい。
【0052】
また、突起部55は吸着ノズル2の胴体側部から突出させ、スライドプッシャ53は、突起部55よりもローター3の中心側に半径方向外方の先端を有し、吸着ノズル2が進退駆動装置5の位置で停止したとき、吸着ノズル2と重なり合うように配置した。これにより、ローター3の半径方向外方に進出する吸着ノズル2に対して、スライドプッシャ53を複雑な運動変換機構を伴わずにローター3の回転軸に沿うように容易に配置できる。
【0053】
上記複雑な運動変換機構に対する単純な機構としては、スライドプッシャ53は、吸着ノズル2の進出方向と平行に移動可能に設置され、回転モータ51は、スライドプッシャ53の移動方向と直交するモータ軸を有し、円筒カム52a及びカムフォロア52bにより成るカム機構は、スライドプッシャ53と回転モータ51との間に介在し、回転モータ51の回転推力をスライドプッシャ53の移動方向への直線推力に変換するようにすればよい。
【0054】
また、ローター3の中心をモータ軸で軸支し、ローター3を間欠回転させるモータ4と、ローター3とモータ4との間に介在して拡がってベース板となるモータフランジ59を備えるようにし、回転モータ51は、モータフランジ59のモータ4の取り付け面に固定され、スライドプッシャ53は、モータフランジ59のローター3側の面に設置されているようにした。
【0055】
即ち、ローター3にはスライドプッシャ53及び回転モータ51は搭載されず、電子部品移動装置1に多数の進退駆動装置5を搭載しても、ローター3の軽量性が失われることがない。従って、進退駆動装置5を多数配置しても、電子部品移動装置1の高速回転は維持される。
【0056】
この電子部品移動装置1の適用例を示す。第1の適用例に係る電子部品移動装置1は、
図3及び
図4に示す電子部品搬送装置100に搭載される。電子部品搬送装置100は、電子部品Dを搬送経路101に載せ、電子部品Dを搬送経路101に沿って移動させ、搬送経路101上で電子部品Dに各種処理を施す。この電子部品搬送装置100は、搬送経路101に沿って配置される各種の処理ユニット110と、搬送経路101を形成するハンドラ120と、搬送経路101に電子部品Dを供給する中継ユニット130と、未処理の電子部品Dを供給する供給ユニット140と、各種処理を受けて搬送経路101を巡り終えた電子部品Dを収容する収容ユニット150とを備える。この電子部品搬送装置100は、中継ユニット130として電子部品移動装置1を備えている。
【0057】
ハンドラ120は、円環状の搬送路101を形成する。即ち、ハンドラ120は、回転系の基台となるターレットテーブル121、ターレットテーブル121の回転動力源となるダイレクトドライブモータ122、ターレットテーブル121に取り付けられて電子部品Dを負圧により吸引保持する吸着ノズル123、及び特定種の処理ユニット110の直上にターレットテーブル121を挟んで取り付けられて吸着ノズル123を処理ユニット110側へ移動させる進退駆動装置124により構成される。
【0058】
ダイレクトドライブモータ122はベース102の上面に設置される。ターレットテーブル121は、アームを放射状に配した星形又は円盤形状を有し、円中心がダイレクトドライブモータ122の回転軸に軸支され、ベース102の上面よりも高い位置で水平に延び、ダイレクトドライブモータ122によって円周方向に一定の角度ずつ間欠回転する。
【0059】
吸着ノズル123は、ターレットテーブル121の円中心から等距離の外周縁に、円周等配位置で複数取り付けられている。ターレットテーブル121の外周縁には、軸方向を架台102の上面と直交させたスリーブが設けられており、吸着ノズル123はスリーブに摺動可能に挿嵌され、ノズル先端を架台ベース102の上面に向け、ノズル先端で電子部品Dを保持する。
【0060】
進退駆動装置124は、電動機124aとロッド124bを有し、ロッド124bを電動により架台102の上面と直交する方向に進出させ、処理ユニット110に到達した吸着ノズル123のノズル後端にロッド124bを接触させ、更にロッド124bで吸着ノズル123を処理ユニット110に向けて押し込む。この進退駆動装置124は、ターレットテーブル121の半径方向と直交する方向に進退する吸着ノズル123の後端にロッド124bを積み上げ、ロッド124bの後端に電動機124aを積み上げており、吸着ノズル123が進退駆動装置124の位置に停止したとき、吸着ノズル123とロッド124bと電動機124aは、吸着ノズル123の進退方向に沿って一直線に並ぶ。
【0061】
このハンドラ120によれば、電子部品Dを保持した吸着ノズル123は、共通の軌跡を辿って移動し、共通の各停止位置に停止する。即ち、電子部品Dを保持した吸着ノズル123が移動する共通の軌跡が円環状の搬送路101となる。処理ユニット110は、吸着ノズル123が停止する各停止位置直下に配置される。ハンドラ120は、進退駆動装置124により、電子部品Dを保持した吸着ノズル123を処理ユニット110に向けて押し下げ、電子部品Dを処理ユニット110に受け渡す。
【0062】
処理ユニット110は、電子部品Dに応じて必要な処理内容を施すために配置される。電子部品Dは、電気製品に使用される部品であり、トランジスタやダイオードやコンデンサや抵抗等のディスクリート半導体や集積回路等のパッケージングされた半導体素子等である。このような電子部品Dに対して施す処理内容は、検査、加工、姿勢補正、分類又はこれらのうちの複数種類である。検査内容は、外観検査、電気特性検査又は光量検査等である。加工内容は、リード端子の折り曲げ、レーザーマーキング及び半田の塗布等である。姿勢補正は、電子部品の位置、向き又はこれらの両方の補正である。分類は、良品と良品以外、又は良品のランクごとの分類である。
【0063】
これら処理内容を実行する処理ユニット110としては、例えば、電子部品Dの姿勢ズレを検出するカメラユニット、電子部品Dの姿勢を補正するXYθ移動ユニット、電子部品Dの電気特性を検査する電気テストユニット、電子部品Dの外観を検査するカメラユニット、検査の結果が良品の電子部品Dにマーキングするレーザーマーキングユニットが配置される。
【0064】
供給ユニット140と収容ユニット150は、全ての処理ユニット110を挟む両端の停止位置に配置される。供給ユニット140と収容ユニット150としては、ウェハリングホルダ、テーピングユニット、トレイシフト装置又はパーツフィーダが挙げられる。処理内容として分類が含まれる場合、電子部品搬送装置100には、良品用と良品以外用の2機の収容ユニット150が配置され、電子部品Dは良品のランクに応じた処理ユニット150に収容される。
【0065】
ウェハリングホルダは、ウェハをリングに貼着して成るウェハリングを収容体として、このウェハリングを平面移動させる。テーピングユニットは、長手方向にポケットを並設したキャリアテープを収容体として、このキャリアテープを長手方向に搬送する。トレイシフト装置は、トレイを収容体として、このトレイを平面移動させる。パーツフィーダは、擂鉢状のボウルを収容体として、ボウル及びボウルに接続された直線レールを振動させることで、ボウルから直線レールの先頭へ電子部品Dを移動させる。
【0066】
中継ユニット130は、所定の制約に対応すべく、供給ユニット140、収容ユニット150又はその両方とハンドラ120との間に配置される。即ち、中継ユニット130は、供給ユニット140、収容ユニット150又はその両方に対して吸着ノズル123が遠方にあり、供給ユニット140、収容ユニット150又はその両方とハンドラ120とが電子部品Dを直接受け渡しできない場合に配置される。或いは、中継ユニット130は、吸着ノズル123の向きと供給ユニット140、収容ユニット150又はその両方の向きとが異なり、電子部品Dの向きを変更しなければ、供給ユニット140、収容ユニット150又はその両方とハンドラ120とが電子部品Dを受け渡しできない場合に配置される。
【0067】
この中継ユニット130は、例えば、ウェハリングの面を吸着ノズル123の吸引口側に向けて横置きされたウェハリングである供給ユニット140とハンドラ120との間に配置される。この中継ユニット130は、ロータリーピックアップとも呼ばれる電子部品移動装置1であり、一対の吸着ノズル2,2、ローター3、モータ4、及び進退駆動装置5を備える。
【0068】
吸着ノズル2,2は、電子部品Dを供給ユニット140から受け取ってハンドラ120に渡す。ローター3は、180度正反対に延びた2本のアームを有し、アームの延び先に吸着ノズル2,2を180度正反対に向けて備える。モータ4は、2本のアームの基端部分でローター3を軸支し、吸着ノズル2,2を供給ユニット140とハンドラ120とに順番に対向させる。進退駆動装置5は、供給ユニット140に到達した吸着ノズル2と重なる真下位置、及びハンドラ120に到達した吸着ノズル2と重なる真上位置に設置される。
【0069】
詳細には、吸着ノズル2,2の軸延長線は双方ともローター3の中心を通り、吸着ノズル2,2はローター3の中心から等距離離間した位置を基端として、ローター3の半径方向外方に突き出ている。吸着ノズル2,2の全長は同一である。すなわち、吸着ノズル2,2の先端は、ローター3と同心円の同一軌道上に位置する。
【0070】
ローター3は、テーブル平面と直交するテーブル中心を軸に、モータ4により間欠的に180度ずつ正転と逆転を繰り返す。このローター3は、搬送経路101及びウェハリングホルダである供給ユニット140の拡がる平面に対して直交した平面を有する。すなわち、吸着ノズル2,2を含むローター3は縦置きされている。
【0071】
吸着ノズル2,2は間欠的に位置が入れ替わり、吸着ノズル2,2は真上方向を向く第1の停止点と真下方向を向く第2の停止点で停止する。直下方向を向いた吸着ノズル2は、供給ユニット140の突き上げピンにウェハリングの電子部品Dを挟んで対面し、突き上げピンにより突き上げられた電子部品Dを迎えに行き、保持する。直上方向を向いた吸着ノズル2は、ハンドラ120が形成する搬送経路101上の一点を臨み、供給ユニット140から取り上げた電子部品Dをハンドラ120へ渡しに行く。
【0072】
電子部品Dを供給ユニット140に迎えに行く際、及び電子部品Dをハンドラ120へ渡しに行く際、吸着ノズル2,2は、ローター3の半径方向外方に向けて進出する。また、電子部品Dを吸着ユニット140から取り上げた後、及び電子部品Dをハンドラ120へ渡した後、吸着ノズル2,2は、ローター3の中心に向けて後退する。そのために、
図4及び
図5に示すように、中継ユニット130は、吸着ノズル2,2を半径方向に沿って進退させる進退駆動装置5を備えている。
【0073】
スライドプッシャ53は、中継ユニット130の0度の角度位置に真上方向に延びて設置され、また中継ユニット130の180度の角度位置に真下方向に延びて設置されている。真上方向に延びるスライドプッシャ53の裏側には、回転モータ51が、スライドプッシャ53の摺動方向と直交させたモータ軸を有して、真横に水平に延びている。また、真下方向に延びるスライドプッシャ53の裏側には、回転モータ51が、スライドプッシャ53の摺動方向と直交させたモータ軸を有して、真横に水平に延びている。
【0074】
即ち、二組のスライドプッシャ53と回転モータ51は、ローター3の回転軸に沿って並び、モータ4の真上と真下に分散配置されているので、物理的干渉無く配置されている。
【0075】
更に、この中継ユニット130は、吸着ノズル2が停止せずに通過する非停止区間7において電子部品Dの保持有無を検出する部品検出センサ6を備えている。上方にハンドラ120が配置され、下方に供給ユニット140が配置され、ハンドラ120と供給ユニット140の間に中継ユニット130が配置されている場合、吸着ノズル2が真上方向を向く0度位置と真下方向を向く180度位置以外は非停止区間7となる。
【0076】
まず、この部品検出センサ6に対応する吸着ノズル2の構造について説明しておく。
図5及び
図6に示すように、吸着ノズル2は、筒状で内部が中空のノズル部22を本体とし、ローター3の半径方向外方の開口が吸着孔21であり、後端は有筒となっている。ノズル部22の胴体側部には、負圧供給口23と側部開口28が形成されている。負圧供給口23は、ノズル部22の内外を連通し、電子部品移動装置1と別体の真空ポンプやエジェクタ等の負圧発生装置と接続されており、ノズル部22に負圧を供給する。
【0077】
側部開口28は、負圧供給口23よりも吸着孔21から遠い後端側位置に形成されており、ノズル部22の内外を連通させている。この側部開口28と負圧供給口23の間のノズル部22の内部には、ガラス板26が嵌っている。ガラス板26は、光は通すが、空気は遮断する透光機能及び封止機能を有する透光体である。また、側部開口28を臨むように、ノズル部22の内部には反射板27が嵌っている。反射板27は、側部開口28の開口面と直交して入射した光をノズル部22の軸に沿った光路を辿るように反射させる導光体であり、側部開口28に対して45度傾斜して設置されている。
【0078】
非停止区間7に設置される部品検出センサ6は、例えばレーザーセンサ、ファイバーセンサ又はフォトインタラプタであり、半導体レーザや発光ダイオード等の投光器61と、フォトトランジスタ等の受光器62とを備える。受光器61は、非停止区間7内に設置され、非停止区間7の一点を通過する吸着ノズル2の吸着孔21と正対する。換言すると、受光器62は、非停止区間7の一点を通過する吸着ノズル2の筒軸延長線上に位置する。投光器61は、非停止区間7の一点に位置する吸着ノズル2に形成された側部開口28の開口面との仮想直交線上に、側部開口28と正対して配置され、この側部開口28に検出光を出射する。
【0079】
図7に示すように、この部品検出センサ6において、非停止区間7の一点を移動中の吸着ノズル2が電子部品Dを保持していなければ、投光器61の検出光が反射板27を介して受光器62に届く。一方、
図8に示すように、この部品検出センサ6において、非停止区間7の一点を移動中の吸着ノズル2が電子部品Dを保持していれば、投光器61から出射して反射板27で反射した検出光が、吸着孔21を塞ぐ電子部品Dに遮られて受光器62に未達となり、受光器62は検出光を感知できない。
【0080】
部品検出センサ6は、吸着ノズル2が非停止区間7の一点を通過するタイミングで、受光器62の受光量をサンプリングし、検出光の到達を示す受光量に達していれば、電子部品Dの脱落又は受け渡し失敗と判定できる。
【0081】
このような電子部品搬送装置1において、中継ユニット130では、モータが駆動し、ローター3が180度回転して、吸着ノズル2の1つが真下を向いて停止する。このとき、ローター3の半径方向外方である真下に進出する吸着ノズル2、スライドプッシャ53及び回転モータ51は、この進出方向と直交する真横方向に並び、吸着ノズル2とスライドプッシャ53は重なり合って平行に真下へ延びる。
【0082】
進退駆動装置5では、回転モータ51が駆動し、円筒カム52aがカムフォロア52bを中心から離れた方向に移動させ、スライドプッシャ53が引張バネ58bの付勢力に抗してレール54に沿って真下方向に移動する。スライドプッシャ53は、進出方向に存在する突起部55を真下方向に押し込み、突起部55を備える吸着ノズル2は、圧縮バネ58aの付勢力に抗して真下方向に移動する。
【0083】
真下方向に移動した吸着ノズル2は、負圧によって供給ユニット140から電子部品Dを取り出し、吸着孔21で保持する。進退駆動装置5では、吸着ノズル2が電子部品Dを保持すると、回転モータ51が駆動し、円筒カム52aがカムフォロア52bを中心に近づける。円筒カム52a及びカムフォロア52bによる推進力を失ったスライドプッシャ53は、引張バネ58bの付勢力によって、レール54に沿って真上方向に後退する。スライドプッシャ53の後退により、突起部55とスライドプッシャ53とが離れ、電子部品Dを保持した吸着ノズル2は、圧縮バネ58aの付勢力によって真上方向に戻る。
【0084】
吸着ノズル2が電子部品Dを保持して、ローター3の中心側に戻ると、中継ユニット130のモータ4が駆動し、ローター3を180度回転させる。このとき、ローター3は吸着ノズル2と圧縮バネ58aのみが搭載されていることにより軽量であり、加減速が容易となっており、軽量化分、吸着ノズル2は高速移動する。
【0085】
ローター3の180度回転途中、電子部品Dを保持した吸着ノズル2は、非停止区間7の一点を通過する。このとき、部品検出センサ6の投光器61は、側部開口28に検出光を照射しており、側部開口28内の反射板27は検出光をノズル部22の内部方向に反射させる。ノズル部22の内部方向へ光路変更された検出光はガラス板26を透過してノズル部22の内部を通り、吸着ノズル2が電子部品Dを保持していれば、電子部品Dにより遮光されて、吸着ノズル2が出射できない。そのため、受光器62は検出光を受光せず、部品検出センサ6は、受光器62が検出光を受光していないことにより、電子部品Dの脱落無しと判定する。
【0086】
一方、ノズル部22の内部を通る検出光は、吸着ノズル2から電子部品Dが脱落していれば、吸着孔21から出射でき、受光器62に至る。受光器62は検出光を受光し、部品検出センサ6は、受光器62が検出光を受光していることにより、電子部品Dの脱落有りと判定する。
【0087】
電子部品Dを保持した吸着ノズル2が真上を向いて停止すると、ローター3の半径方向外方である真上に進出する吸着ノズル2、スライドプッシャ53及び回転モータ51は、この進出方向と直交する真横方向に並び、吸着ノズル2とスライドプッシャ53は重なり合って平行に真上へ延びる。
【0088】
真上を向く吸着ノズル2を進退させる進退駆動装置5は、電子部品Dを保持した吸着ノズル2を真上方向に移動させる。ハンドラ120の吸着ノズル123は、電子部品Dを保持したまま進出してきた吸着ノズル2から電子部品Dを取り上げる。中継ユニット130の吸着ノズル2は、電子部品Dを渡すと、進退駆動装置5によって後退させられ、真下方向に移動して電子部品Dを供給ユニット140から取り上げるルーチンに戻る。
【0089】
電子部品Dを中継ユニット130から受け取ったハンドラ120は、電子部品Dを搬送経路101に沿って間欠移動させ、各処理ユニット110は、電子部品Dを処理する。各処理ユニット110を巡った電子部品Dは、最後に収容ニット150に収容される。
【0090】
尚、部品検出センサ6が電子部品Dの脱落有りと判定した場合には、電子部品Dを受け取るはずであったハンドラ120の吸着ノズル123が電子部品Dを未保持のまま移動しているため、電子部品搬送装置100は、この吸着ノズル123が各処理ユニット110に達しても、進退駆動装置124及び処理ユニット110を不動のままとする。また、例えば、収容ユニット150がトレイシフト装置である場合、収容ユニット150は、電子部品Dを未保持の吸着ノズル123が収容ユニット150に到達しても、空のポケットを吸着ノズル123に向き合わせるトレイシフト動作を行わない。また、例えば、脱落有りの判定に対して、電子部品搬送装置100を停止させる。
【0091】
このように、電子部品搬送装置1の中継ユニット131に電子部品移動装置1を適用することで、吸着ノズル2を半径方向へ延設した中継ユニット130に多数の進退駆動装置5を配置することができる。そのため、電子部品Dを中継数役割が主であった中継ユニット130に、電子部品Dの外観検査や位置ズレの補正等の各種処理を付与することができる。即ち、電子部品移動装置1を電子部品移動装置1の高速搬送性を維持したまま、実効的に多機能化することができる。
【0092】
尚、本適用例では、部品検出センサ6に対する導光口、透光体及び導光体として、側部開口28、ガラス板26及び反射板27を備えるようにしたが、透光機能、封止機能及び導光機能を備えるならば、ガラス板26及び反射板27に限らずに各種光学部品を適用することができる。導光口は、吸着孔21に及ぶ負圧を減殺させず、または阻害しなければよいため、吸着孔21から負圧供給口23よりも遠い位置に形成されていれば、ノズル部22の後端に形成される必要はない。また、導光体も負圧供給口23よりも導光口側であれば、導光口の位置を含み、何れに配置されてもよい。
【0093】
典型的には、
図9に示すように、ノズル部22に後端開口25を形成し、即ち吸着孔21と反対側の筒端部を開口させ、この後端開口25を塞ぐように三角プリズム24を設置するようにしてもよい。三角プリズム24は、直角に交わる一対の四角形面のうちの一方の四角形面241で後端開口25を塞ぎ、吸着ノズル2が部品検出センサ6の位置に達したとき、他方の四角形面242が投光器61と正対するように設置する。
【0094】
投光器61が照射した検出光は四角形面242に対して直角に入射し、斜面243でノズル部22の内部方向へ反射し、四角形面241を透過して、ノズル部22の内部を通る。このように、三角プリズム24は1つの光学部品で透光、封止及び導光機能を備え、後端開口25を塞ぐ四角形面241が透光体となり、斜面243が導光体となる。
【0095】
その他、ガラス板26で側部開口28を塞いでもよいし、三角プリズム24を側部開口28に面するようにノズル部22の内部に設置してもよい。また、透光体としては、ガラス板26に代えて透明なアクリル板であってもよい。
【0096】
図10に示すように、第2の適用例に係る電子部品搬送装置100は、処理ユニット110、ハンドラ120及び供給ユニット140を備えている。ハンドラ120は、電子部品移動装置1であり、縦置きの2機のローター3を連接して備えている。供給ユニット140は一方のローター3の周囲に配置され、収容ユニット150は他方のローター3の周囲に配置され、各種の処理ユニット110は2機のローター3の周囲に分散配置されている。
【0097】
図11に示すように、各ローター3は、アームを放射状に配した星形又は円盤形状を有し、円中心がモータ4の回転軸に軸支され、モータ4により円周方向に間欠回転する。このローター3は、ローター3が拡がる平面と架台102が拡がる平面とが直交するように縦置き配置されている。換言すると、このローター3は、モータ4のモータ軸と架台102の平面とが平行に延びるように縦置き配置されている。
【0098】
吸着ノズル2は、各アームの先端又は円盤外周に円周等配位置で設置されている。吸着ノズル2は、ローター3の半径方向に筒軸を沿わせ、ローター3の半径方向外方に突き出ており、ローター3の外方に吸着孔21を向けている。各吸着ノズル2の先端は、ローター3と同心円の同一軌道上に位置する。また、モータ4によるローター3の1ピッチ当たりの回転角度は、吸着ノズル2の角度間隔と同じであり、各吸着ノズル2は、ローター3の全周を吸着ノズル2の数で分割した各角度位置を共通の停止位置にして停止する。両ローター3の最近接位置に各吸着ノズル2が停止するように調整されている。
【0099】
吸着ノズル2の各停止位置には、供給ユニット140、各種処理ユニット110及び収容ユニット150が配置され、隣合うローター3の最近接位置、供給ユニット140、処理ユニット110及び収容ユニット150の配置位置には、進退駆動装置5が設置されている。各吸着ノズル2が進退駆動装置5の設置位置に到達すると、吸着ノズル2、スライドプッシャ53及び回転モータ51がローター3の回転軸に沿って一直線に並ぶ。
【0100】
供給ユニット140と連接するローター3には、吸着ノズル2が停止する全停止位置に進退駆動装置5が設置されている。但し、吸着ノズル2の停止位置のうち、吸着ノズル2を進退不要とする処理ユニット110が設置されている箇所は、進退駆動装置5は非設置でよい。この処理ユニット110は例えば電子部品Dを撮像して位置ズレを検出するカメラユニットである。また、2連のローター3を備えるハンドラ120において、隣り合ったローター3の最近接点には、向かい合った吸着ノズル2のうちの一方を他方に向けて進退させるために、処理ユニット110は非設置であるが、進退駆動装置5が設けられる。もっとも、供給ユニット140に連接するローター3において、収容ユニット150と連接するローター3との最近接点となる停止位置には進退駆動装置5が設置され、収容ユニット150に連接するローター3において、供給ユニット140と連接するローター3との最近接点となる停止位置には進退駆動装置5が設置されない。
【0101】
吸着ノズル2の各停止位置の間は非停止区間7となっており、非停止区間7の少なくとも1区間内の一点に部品検出センサ6を備えている。一方のローター3による供給ユニット140からの電子部品Dの受け取り、両ローター3の電子部品Dの受け渡し、及び他方のローター3による収容ユニット150への電子部品Dの渡し時に、電子部品Dが脱落する虞が大きい。従って、供給ユニット140から始まる最初の非停止区間7、電子部品Dを渡されるローター3が電子部品Dを受け取ってから最初の非停止区間7、及び収容ユニット150で終わる最後の非停止区間7の各一点に部品検出センサ6を設置するとよい。
【0102】
第2の適用例に係る電子部品搬送装置100において、一方のローター3はモータ4によって回転し、1機の吸着ノズル2は供給ユニット140に向き合う。この吸着ノズル2の停止位置に配置された進退駆動装置5は、吸着ノズル2を供給ユニット140へ進出させ、吸着ノズル2は電子部品Dを供給ユニット140から受け取る。
【0103】
吸着ノズル2が電子部品Dを受け取ると、モータ4を駆動源としてローター3は回転し、電子部品Dを保持する吸着ノズル2は、部品検出センサ6が配置された非停止区間7を移動し、非停止区間7の一点を通過する。このとき、部品検出センサ6は、吸着ノズル2からの電子部品Dの脱落又は受け取り失敗を判定する。電子部品Dが脱落又は受け取り失敗していれば、この吸着ノズル2が電子部品Dを保持していないものとして、電子部品搬送装置100は動作する。
【0104】
各処理ユニット110を経由して、両ローター3の最近接点に電子部品Dを保持した吸着ノズル2が位置すると、両ローター3の向かい合わせになった吸着ノズル2の一方は、進退駆動装置5により他方の吸着ノズル2に向けて進出し、電子部品Dが受け渡される。電子部品Dが収容ユニット150側のローター3に移って最初の非停止区間7の一点には部品検出センサ6が配置されている。
【0105】
供給ユニット140側のローター3から電子部品Dを受け取った吸着ノズル2が非停止区間7の一点を通過する際、部品検出センサ6は電子部品Dの脱落又は受け取り失敗を判定する。電子部品Dが脱落又は受け取り失敗していれば、この吸着ノズル2が電子部品Dを保持していないものとして、電子部品搬送装置100は動作する。
【0106】
更に各処理ユニット110を経由して、電子部品Dを保持した吸着ノズル2が収容ユニット150と向かい合う位置に達すると、この吸着ノズル2の停止位置に配置された進退駆動装置5は、吸着ノズル2を収容ユニット150へ進出させ、吸着ノズル2は電子部品Dを収容ユニット150に渡す。
【0107】
尚、このような電子部品搬送装置100において、ハンドラ120は、1機以上のローター3で構成することができ、各ローター3は縦置き配置されていても、横置き配置されていても、1つのハンドラ120が縦置きのローター3と横置きのローター3とを連接させて備えるようにしてもよい。
【0108】
(他の実施形態)
以上のように本発明の各実施形態を説明したが、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。そして、これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0109】
例えば、
図12に示すように、スライドプッシャ53にはボイスコイルモータ8が配置されてもよい。ボイスコイルモータ8は、軸方向に前進又は後退するロッド81を備えている。ボイスコイルモータ8は、スライドプッシャ53の先端に設置され、ロッド81の端部を吸着ノズル2の突起部55に向けている。スライドプッシャ53において、ボイスコイルモータ8のロッド81が吸着ノズル2の突起部55との当接部分である。
【0110】
回転モータ51は、スライドプッシャ53を介して吸着ノズル2を移動させる駆動源であり、一方、隣のローター3との最近接点に設置される進退駆動装置5のボイスコイルモータ8は、向かい合う吸着ノズル2の間に挟まれた電子部品Dにかかる荷重を制御する駆動源である。また、処理ユニット110と向かい合わせにして設置される進退駆動装置5のボイスコイルモータ8は、吸着ノズル2と処理ユニット110との間に挟まれた電子部品Dにかかる荷重を制御する駆動源である。
【0111】
回転モータ51が駆動すると、スライドプッシャ53がロッド81で吸着ノズル2の突起部55と当接する。当接後、スライドプッシャ53が前進して吸着ノズル2を押し出す間、ボイスコイルモータ8は、吸着ノズル2から受ける抗力に等しい反対推力を発生させ、ロッド81の後退を阻止する。
【0112】
電子部品Dを他の吸着ノズル2に受け渡す際、スライドプッシャ53で押し出された吸着ノズル2と、待ち受けている吸着ノズル2との間に挟まれた電子部品Dには、ゼロに近い荷重がかかることが望ましい。ボイスコイルモータ8は、電子部品Dにかかる荷重を吸収できるように、推力をゼロに近づけてロッド81が後退可能とする。
【0113】
また、電子部品Dを処理ユニット110に押し付ける際、スライドプッシャ53で押し出された吸着ノズル2と、待ち受けている処理ユニット110との間に挟まれた電子部品Dには、所望の荷重がかかることが望ましい。ボイスコイルモータ8は、電子部品Dにかける荷重に等しい推力をロッド81にかける。
【0114】
これにより、吸着ノズル2が進退駆動装置5の位置で停止したとき、吸着ノズル2とスライドプッシャ53と回転モータ51とがローター3の回転軸に概略沿って並ぶように配置されつつ、電子部品Dにかかる荷重をゼロを含む所望値に調整できる。
本発明に係る電子部品移動装置は、電子部品を先端で保持する保持部と、前記保持部の先端を半径方向外方に向けて当該保持部を回転軸周りに配置し、当該保持部を前記回転軸を中心に所定角度ずつ間欠回転させるローターと、前記保持部の少なくとも一箇所の停止位置に設置され、前記保持部を前記ローターの半径方向外方に進出させる進退駆動部と、前記保持部から突出する突起部と、を備え、前記進退駆動部は、前記ローターの半径方向外方にスライド可能に設置され、前記突起部と当接して前記保持部を押し出すスライドプッシャと、前記スライドプッシャの動力源である進退駆動用モータと、を備え、前記スライドプッシャと前記進退駆動用モータは、前記保持部が前記進退駆動部の位置で停止したとき、前記保持部と前記スライドプッシャと前記進退駆動用モータとが前記ロータリーテーブル