【課題】通水部本体を合成樹脂で形成してもユニオンナット係止用のCリングによる通水部本体の破損を防止して十分なユニオンナットの締め込み状態を達成することができるとともに、通水部本体のユニオンナット挿入部の反対側にユニオンナットの最小内径より大径の部分が存在しても、通水部本体の一端にユニオンナットを回転自在に装着することができるユニオン継手を提供する。
【解決手段】外径が前記ユニオンナットの最小内径より小径の樹脂リングが、前記Cリングの前記ユニオンナットの締め込み方向前方側の面を受けるように通水部本体に嵌装されている構成とした。
【背景技術】
【0002】
ユニオンナットを回転させることにより、通水部本体に接続された一方の管体を回転させることなく他方の管体と接続することができるユニオン継手が、低圧の流体、例えば、水道水等を供給する小口径の管体の接続に好適に採用されている。
また、ユニオン継手として、ユニオンナットが、通水部本体の一側にCリングを介して抜け止め状態で回転自在に装着されているユニオン継手が既に提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
かかる構造のユニオン継手の場合、ユニオンナットおよび通水部本体が砲金やステンレス鋼等の金属製であれば、ユニオンナットの過剰締め込みの影響はなかったが、継手の軽量化やコストダウンを図るために通水部本体を樹脂製にした場合、(1)Cリングの切れ目部分は締め込みトルクが掛からないため、不均一に締め込まれること、(2)Cリングが締め込み時に共回りしたときにCリングの切れ目を挟むCリングの端面で通水部本体の一部を削り取ってしまうなど、通水部本体が部分的に破壊されてしまうという問題がある。
【0004】
また、
図11に示すように、一般的に、従来のCリング3xは、リングの中心軸方向に正投影したとき、リングの切れ目を挟む一方の端面37が線分L10であらわれ、他方の端面38が線分L11であらわれる。
そして、前記線分L10のリング内径側端37aとリングの中心Oを通る線をL12とし、前記線分L11のリング内径側端38aとリングの中心Oを通る線をL13としたとき、端面37は、線分L10のリング外径側が線L12に対してリングの縮径方向に傾くとともに、線分L10と線L12との交差角βが0〜45°となる傾斜面に形成されている。
一方、端面38は、線分L11のリング外径側が線L13対してリングの拡径方向に傾くとともに、線分L11と線L13との交差角γが0〜45°となる傾斜面に形成されている。
【0005】
一方、本発明者は、上記問題を解決しようと、
図9に示すようなユニオン継手Yを先に提案している。
図9に示すように、このユニオン継手Yは、通水部本体100を合成樹脂で形成するとともに、通水部本体100の一端に外側に張り出すフランジ部110を設け、このフランジ部110がユニオンナット200の内側に張り出すように設けられた係止部210に係止されるようになっている。
【0006】
すなわち、このユニオン継手Yによれば、通水部本体100を比較的安価な合成樹脂製の材料で形成しても、Cリングを用いた場合のような問題はない。
なお、図中、220は雌ねじ部、230はユニオンナット200を必要以上に締め付けることによって、係止部210に押し付けられたフランジ部110の外周縁部が圧潰し、外方に膨出したとしても、その膨出部を収容できるようにした溝、通水部本体100の他端側に嵌合一体化される外筒部材、500は筒状キャップ部材、600は止水ゴムリング、700は挿入ガイド、800は抜け止めリングである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記ユニオン継手Yのような構造では、予め外筒部材400が通水部本体100に嵌合固定されている場合のように、通水部本体100の他端側に係止部210の内径より外径の大きな部分が存在すると、ユニオンナット200を通水部本体100に装着することができない。
すなわち、継手部品の組み立て工程や、継手の通水部本体100の他端側の管接続構造に制約があるという問題がある。
【0009】
そこで、本発明の発明者が、Cリングの切れ目の開き角が変われば、Cリングを用いても通水部本体の樹脂破壊がなくなるのではないかと考え、鋭意検討を重ね、以下の表1のような結果を得た。
【0010】
【表1】
【0011】
上記表1から開き角が45度以上大きいとCリングを縮径させたり、拡径させたりして装着しやすいが、ユニオンナットを締め込んでいく際に均一締め込みしにくく、その結果、過締め込みにより合成樹脂製の通水部本体がCリングの共回りによって切れ目の開口端面で削れたり、食い込んだりして樹脂破壊が発生することがわかった。
また、開き角が20度を超えると、拡径させて組立可能ではあるが、縮径させる場合、切れ目を挟む両開端面同士が突き当たり、縮径が十分にできないため、組立不可であることがわかった。
一方、開き角が20度以下では、装着できれば締め込みを均一に行え、端面による削れがなくなることがわかったが、従来のユニオン継手の構造では用いることができないことがわかった。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みて、通水部本体を合成樹脂で形成してもユニオンナット係止用のCリングによる通水部本体の破損を防止して十分なユニオンナットの締め込み状態を達成することができるとともに、通水部本体のユニオンナット挿入部の反対側にユニオンナットの最小内径より大径の部分が存在しても、通水部本体の一端にユニオンナットを回転自在に装着することができるユニオン継手を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明にかかるユニオン継手(以下、「本発明のユニオン継手」と記す)は、ユニオンナットが、合成樹脂で形成されている通水部本体の一側にCリングを介して抜け止め状態で回転自在に装着されているユニオン継手であって、少なくとも前記通水部本体のユニオンナット挿入部の最大外径がユニオンナットの最小内径より小さく、かつ、外径が前記ユニオンナットの最小内径より小径の樹脂リングが、前記Cリングの前記ユニオンナットの締め込み方向前方側の面を受けるように通水部本体に嵌装されていることを特徴としている。
【0014】
本発明において、Cリングとは、リング状をしていて、このリングの周方向の1箇所に切れ目を備えたものを意味する。
Cリングの断面形状は、特に限定されないが、円形でも四角形としてもよいが、四角形にすると、通水部本体との接触面積が増加し、より均一にトルクがかかるため、樹脂が破壊しにくくなる。
【0015】
Cリングの材質としては、特に限定されないが、耐食性や強度を考慮すると、ステンレス鋼、ばね鋼が好適であるが、PPSU(ポリフェニルサルフォン)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PES(ポリエーテルサルフォン)、ナイロン(ポリアミド)、POM(ポリアセタール)、PC(ポリカーボネート)等の合成樹脂としても構わない。
【0016】
また、本発明において、ユニオンナットは、砲金やステンレス鋼等の金属材料が好適であるが、金属に限定されず、例えば、金属製雌ねじ部に樹脂をコーティングしたナット、PPSU、PPS、PES、ナイロン、POM、PCにガラス繊維を含浸して強度を向上させたナット、継手本体と同等以上の強度を有する樹脂(PPSUやPES等)からなるナットであっても適用することができる。
【0017】
さらに、本発明のユニオン継手は、ユニオン接続部と反対側の他の配管への接続部の構造は、特に限定されない。例えば、積水化学工業株式会社のエスロンメタッチヤエスロンカチットのようなワンタッチ継手タイプ、エスロンメタキュット等の圧縮継手タイプ、あるいはヘッダー等が挙げられる。
また、本発明のユニオン継手は、通水部本体は勿論、可能な限り他の部材も樹脂材料で形成することが好ましい。
【0018】
本発明のユニオン継手において、通水部本体を構成する合成樹脂としては、特に限定されないが、PPSU、PPS、PES、ナイロン、POM、PCが挙げられる。
また、通水部本体以外の部分も軽量化や材料コスト面を考慮して上記のような合成樹脂でできるだけ形成されていることが好ましい。
【0019】
本発明のユニオン継手において、Cリングの切れ目の開き角とは、ユニオン継手がユニオンナットを締め込むことによって他の管材と接続される前の製品状態における、ユニオン継手をユニオンナットの中心軸方向から正投影したときの装着状態のCリングの投影図において、ユニオンナットの中心と、Cリングの切れ目を挟む両端面の内径側端とをそれぞれ結ぶ2本の線の交差角を意味する。したがって、装着前の無負荷状態のCリング(拡径方向または縮径方向に圧力が加わっていないCリングの装着前の開き角とは異なる場合がある。すなわち、縮径状態を保ちながらユニオン継手に組み込まれる場合もある。
無負荷状態では25度であっても、縮径されてCリングが取り付けられて20度以下となる場合もある。
なお、ねじれたCリングの場合、上記製品状態において、Cリングにねじれが残っているときは、ねじれのない状態となるように偏平にしたときの2本の線の交差角を意味する。
【発明の効果】
【0020】
上記のように、本発明のユニオン継手は、ユニオンナットが、合成樹脂で形成されている通水部本体の一側にCリングを介して抜け止め状態で回転自在に装着されているユニオン継手であって、少なくとも前記通水部本体のユニオンナット挿入部の最大外径がユニオンナットの最小内径より小さく、かつ、外径が前記ユニオンナットの最小内径より小径の樹脂リングが、前記Cリングの前記ユニオンナットの締め込み方向前方側の面を受けるように通水部本体に嵌装されている。
【0021】
すなわち、少なくとも前記通水部本体のユニオンナット挿入部の最大外径がユニオンナットの最小内径より小さくなっているので、通水部本体のユニオンナット装着側と反対側にユニオンナットの最小内径より大きな径の部分が設けられている場合においても、ユニオンナット挿入部側を先頭にしてユニオンナット内にユニオンナット挿入部を挿入するとともに、Cリングをセットすれば、ユニオンナットを通水部本体に回転自在に装着できる。
また、外径がユニオンナットの最小内径より小径の樹脂リングが、Cリングのユニオンナットの締め込み方向の面を受けるように通水部本体に嵌装されているので、ユニオンナットの締め込みに伴ってCリングが共回りしようとすると、樹脂リングがCリングに伴って共回りする。したがって、Cリングが通水部本体を削り、締め込み不良を招くという事故を防止できる。
また、ユニオンナットの係止部からCリングにかかる力が樹脂リングを介して通水部本体側に加わるので、樹脂リングを介して均一に伝わる。すなわち、均一な締め込みができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1は、本発明の参考例1のユニオン継手の第1の実施の形態をあらわしている。
【0024】
図1に示すように、このユニオン継手Aは、通水部本体1aと、ユニオンナット2aと、Cリング3aと、外筒部材4と、筒状キャップ5と、止水ゴムリング6と、挿入ガイド7と、抜け止めリング8とを備え、例えば、水栓に接続される架橋ポリエチレン管等の給水給湯用パイプと給湯器の接続口、水道管接続口やヘッダーの分岐接続口等とを接続するのに用いられる。
通水部本体1aは、全体が、後述するユニオンナット2aの最小径部である係止突状部の内径より小径になっていて、PPSU、PPS、PES、ナイロン、POM、PC等の合成樹脂で形成されている。
【0025】
また、通水部本体1aは、
図1〜
図3に示すように、ユニオンナット挿入側端部に大径部11を備えている。
大径部11は、後述するCリング3aを介してユニオンナット2aを通水部本体1aから抜け止め状態になるように装着したときの内径よりほぼCリング3aの断面径分だけ大きな外径をしている。
【0026】
また、通水部本体1aは、大径部11に隣接してCリング3aを介してユニオンナット2aを通水部本体1aから抜け止め状態になるように装着したときの内径とほぼ同じ内径をしたCリング3aの嵌装部12が設けられている。
嵌装部12の周方向の一部には、Cリング3aの切れ目の両側の端面31,32間に入り込む突起13が設けられている。
【0027】
ユニオンナット2aは、砲金あるいはステンレス鋼からなり、一側に半径方向内側に向かってリング状張り出す係止部21を有し、他側に平行ねじである雌ねじ部22を備えている。
係止部21は、その内周面にCリング3aの外周側半分が嵌り込む係合溝21aを備えている。
【0028】
Cリング3aは、断面円形をしたバネ鋼線材からなり、切れ目部分を挟む両側の端面31,32の開き角が20度となっている。
そして、Cリング3aは、
図2(a)に示すように、大径部11側を先頭にして
図2(b)に示すように通水部本体1aのユニオンナット挿入部を係止部21側から雌ねじ部22内を臨むように挿入したのち、通水部本体1aに外嵌したCリング3aを縮径させながらユニオンナット2aのリング係合溝21aに嵌り込むように押し込む。
つぎに、Cリング3aの切れ目が突起13に一致するように配置した状態でCリング3aが嵌装部12に嵌り込むようにユニオンナット2aを大径部11側に押し込むことによって、ユニオンナットが通水部本体1aに回転自在かつ抜け止め状態にする。
【0029】
外筒部材4は、PPSU、PPS、PES、ナイロン、POM、PC等の透明合成樹脂で形成されていて、通水部本体1aに外嵌されて、通水部本体1aとの間に架橋ポリエチレン管等の接続される給水・給湯用パイプの挿入空間を形成する。
筒状キャップ5は、PPSU、PPS、PES、ナイロン、POM、PC等の合成樹脂で形成されていて、外筒部材4の開口端側をほぼ上記接続される給水・給湯配管の外径とほぼ同じ内径の管挿入口を残して閉じるとともに、外筒部材4との間に後述する抜け止めリング8の周縁部を挟持するように外筒部材4に嵌合されている。
【0030】
止水ゴムリング6は、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム)によって形成され、通水部本体1aに設けられた溝に外嵌されている。
挿入ガイド7は、ステンレス鋼、エンジニアリングプラスチック等から形成されていて、給水・給湯用配管が筒状キャップ5側から挿入接続されるまで、止水ゴムリング6の周囲を保護するように設けられている。
抜け止めリング8は、ステンレス鋼板を打ち抜き折り曲げ加工されていて、一旦接続された架橋ポリエチレン管に引き抜き方向の力が加わると、架橋ポリエチレン管の外周面に食い込んで抜け止めする多数の係止爪が半径方向内側に向かって突出している。
【0031】
このユニオン継手Aは、上記のようになっており、図示していないが、例えば、以下のようにして給湯器と水栓に接続される架橋ポリエチレン管やポリブテン管等の可撓性樹脂配管とを接続することができる。
すなわち、図示していない給湯器側に設けられた雄ねじ筒にユニオンナット2aの雌ねじ部22を図示していないリング状のエチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムからなるシールパッキンが雄ねじ筒の端面と係止部21の端面との間で水密に圧縮されるまでねじ込む。
なお、上記シールパッキンは、予め雄ねじ筒の端面あるいは係止部21の端面に取り付けられていても構わない。
【0032】
つぎに、可撓性樹脂配管の端部を筒状キャップ5側から外筒部材4と通水部本体1aとの間の筒状空間内に挿入する。
挿入にあたっては、可撓性樹脂配管の先端面がまず挿入ガイド7のフランジ部にあたり、さらに挿入すると、可撓性樹脂配管の先端面が挿入ガイド7を、外筒部材4の奥側(ユニオンナット側)に押しやりながら入り込む。そして、止水ゴムリング6が露出し、止水ゴムリング6が可撓性樹脂配管の内周面に圧接される。また、一旦挿入された可撓性樹脂配管は抜け止めリング8によって抜け止めされる。すなわち、可撓性樹脂配管は、ワンタッチでユニオン継手Aに接続状態になる。
【0033】
このユニオン継手Aは、上記のように、通水部本体1aのユニオンナット挿入部側の最大外径がユニオンナット2aの最小内径である係止部21の内径より小さくなっているので、ユニオンナット2aの係止部21の内径より大きな外径をしたが外筒部材4が、通水部本体1aに予め装着されていても、ユニオンナット挿入部側である大径部11を先頭にしてユニオンナット2a内にユニオンナット挿入部を挿入することができる。そして、Cリング3aを装着すれば、ユニオンナット2aを通水部本体1aに回転自在に装着できる。
また。ユニオンナットの装着状態でCリング3aの切れ目に入り込む突起13を備えているので、ユニオンナット2aの回転によるCリング3aの共回りを抑止することができる。
したがって、ユニオンナット2aを締め込んで行く際のCリング3aの共回りによる大径部11の削れや、通水部本体1a自体の破壊が生じない。すなわち、大径部11の削れや、通水部本体1a自体の破壊による漏水を招くという事故を防止できる。しかも、切れ目の間に突起が嵌り込んでいるので、大径部11の全周にわたってほぼ均一な締め込みができる。
【0034】
また、ユニオン継手Aのユニオンナット2aを緩めるように回転操作すれば、給湯器からユニオン継手Aを離脱させることができ、給湯器の保守点検等を行なうことができる。
【0035】
図5は本発明のユニオン継手の実施の形態をあらわしている。
図5に示すように、このユニオン継手Bは、通水部本体1bのCリング3bの嵌装部14にユニオン継手Aのような突起13がなく、嵌装部14に樹脂リング9が嵌装されていて、Cリング3bのユニオンナット締め込み方向側の面が、この樹脂リング9に受けられるようになっているとともに、Cリング3bとして切れ目の開き角が45度のものを用いた以外は、上記ユニオン継手Aと同様になっている。
【0036】
樹脂リング9は、ポリフェニルサルフォン(PPSU)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリアミド(ナイロン)、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)等で形成されている。
そして、このユニオン継手Bは、
図6に示すように、外筒部材4を通水部本体1bに外嵌させる前に樹脂リング9を嵌装させておき、大径部11側を先頭にしてユニオンナットBに挿入し、上記ユニオン継手Aと同様にしてCリング3bを装着することで組み立てられる。
【0037】
このユニオン継手Bは、上記のように通水部本体1bのユニオンナット挿入部側の最大外径がユニオンナット2bの最小内径である係止部21の内径より小さくなっているので、ユニオンナット2bの係止部21の内径より大きな外径をしたが外筒部材が、通水部本体1aに予め装着されていても、ユニオンナット挿入部側である大径部11を先頭にしてユニオンナット2b内にユニオンナット挿入部を挿入することができる。そして、Cリング3aを装着すれば、ユニオンナット2bを通水部本体1bに回転自在に装着できる。
また、外径がユニオンナットの最小内径より小径の樹脂リング9が、Cリング3bのユニオンナットBの締め込み方向側の面を受けるように通水部本体1bに嵌装されているので、ユニオンナットBの締め込みに伴ってCリング3bが共回りしようとすると、樹脂リング9がCリング3bに伴って共回りする。したがって、Cリング3bによる大径部11の削れや、通水部本体1a自体の破壊による漏水を招くという事故を防止できる。
また、ユニオンナットBの係止部21からCリングにかかる力が樹脂リング9を介して通水部本体側に加わるので、樹脂リング9を介して均一に伝わる。すなわち、均一な締め込みができる。また、Cリング3bの切れ目の開き角を縮径組立や拡径組立が容易な大きな角度にすることができる。
【0038】
図7は本発明の参考例2のユニオン継手の第1の実施の形態に用いるCリングを示している。
このユニオン継手は、上記樹脂リング9が用いられず、Cリングとして、
図7に示すCリング3cを用いるようにした以外は、上記ユニオン継手Bと同様の構成を備えている。
すなわち、Cリング3cは、Cリング3cの切れ目の両側の端面33,34が中心軸方向に立体的にずれるようにねじれて形成され、縮径時に端面33.34が突き当たらず縮径できるとともに、ねじれを解消するように偏平状態にし、端面33,34が対面するようにした状態で端面33,34間の開き角が20度以下、好ましくは0度〜10度となるように形成されている。
【0039】
このユニオン継手は、上記のようにCリング3cの切れ目の両側の端面33.34が中心軸方向に立体的にずれるようにねじれて形成されているので、端面33,34が縮径しても突き当たらず、開き角が小さくても縮径組立が可能となる。
しかも、ねじれを解消するように偏平状態にし、両端33,34面の中心軸が一致した対面状態としたとき、端面33,34間の開き角が20度以下となるので、ユニオンナットBを締め込んでも、Cリング3cによる大径部11の削れや、通水部本体1a自体の破壊による漏水を招くという事故を防止できる。
【0040】
図8は本発明の参考例1のユニオン継手の第2の実施の形態に用いるCリングを示している。
このユニオン継手は、
図8に示す断面四角形をしたバネ鋼線材からなるCリング3dを用いた以外は、上記ユニオン継手Aと同様になっている。
【0041】
このユニオン継手は、上記のように、断面四角形をしたバネ鋼線材からなるCリング3dを用いたので、通水部本体1bの大径部11との接触面積が増加し、より均一にトルクがかかるため、さらに、Cリング3cによる大径部11の削れや、通水部本体1b自体の破壊による漏水を招くという事故を防止できる。
【0042】
図10は本発明の参考例3のユニオン継手に用いるCリングの1例を示している。
このユニオン継手は、上記樹脂リング9が用いられず、Cリングとして、
図10に示すCリング3eを用いるようにした以外は、上記ユニオン継手Bと同様の構成を備えている。
【0043】
上記Cリング3eは、以下の条件をいずれも満足するように形成されている。
(1)
図10に示すように、リングの中心軸(中心Oを通る
図10に面に直交する軸)方向に正投影したとき、リングの切れ目を挟むリングの両端面35、36がそれぞれ線分L1あるいは線分L2であらわされる。
(2)線分L1のリング内径側端35aとリングの中心Oを通る線をL3としたとき、一方の端面35は、線分L1のリング外径側が線L3に対してリングの拡径方向に傾くとともに、線分L1と線L3との交差角α1が5〜45°となるように形成されている。
(3)線分L2のリング内径側端36aとリングの中心Oを通る線をL4としたとき、他方の端面36は、線分L2のリング外径側が線L4に対してリングの拡径方向に傾くとともに、線分L2と線L4との交差角α2が5〜45°(この実施の形態では交差角α1と同じ角度)となるように形成されている。
【0044】
そして、上記Cリング3eを用いた上記ユニオン継手は、Cリング3eを表裏どちらの状態にして取り付けられていても、応力に対して端面35,36がいずれも樹脂を削らない方向となり、通水部本体1bの樹脂の削れを防止することができる。したがって、ユニオンナット2bをねじ込む時にCリング3eの共回りによる大径部11の削れや、通水部本体1b自体の破壊による漏水を招くという事故を防止できる。
すなわち、
図11のCリング3xのように、線分L10のリング外径側がリングの縮径方向に傾く端面37が形成されている場合、ユニオンナットをねじ込む時に共回りする方向にこの端面37を向けてCリング3xがセットされていると、締込トルクによりCリング3xに縮径する方向に荷重が加わり、Cリング3xが共回りしたしたときにCリング3xの端面37で通水部本体1bの大径部11が削れてしまう。
【0045】
本発明のユニオン継手は、上記の実施の形態に限定されない。例えば、本発明のユニオン継手においても、
図8に示すような断面四角形のCリングを用いるようにしても構わない。