【解決手段】本発明の一実施形態は、誘電体層と内部電極が交互に配置されたアクティブ部と、上記アクティブ部の上側に配置された上部カバー部と、上記アクティブ部の下側に配置された下部カバー部と、を含むセラミック本体と、上記上部カバー部及び下部カバー部の長さ方向の中心部と、上記上部カバー部及び下部カバー部の長さ方向の一側面との間に配置された第1ダミー電極と、上記上部カバー部及び下部カバー部の長さ方向の中心部と、上記上部カバー部及び下部カバー部の長さ方向の他側面との間に配置され、上記第1ダミー電極と離隔した第2ダミー電極と、を含み、上記セラミック本体の長さをL1、上記第1ダミー電極と上記第2ダミー電極とが離隔した間隔をGと規定すると、0.01≦G/L1≦0.2を満たす積層セラミック電子部品を提供する。
誘電体層と内部電極が交互に配置されたアクティブ部と、前記アクティブ部の上側に配置された上部カバー部と、前記アクティブ部の下側に配置された下部カバー部と、を含むセラミック本体と、
前記上部カバー部及び下部カバー部の長さ方向の中心部と、前記上部カバー部及び下部カバー部の長さ方向の一側面との間に配置された第1ダミー電極と、
前記上部カバー部及び下部カバー部の長さ方向の中心部と、前記上部カバー部及び下部カバー部の長さ方向の他側面との間に配置され、前記第1ダミー電極と離隔した第2ダミー電極と、を含み、
前記セラミック本体の長さをL1、前記第1ダミー電極と前記第2ダミー電極とが離隔した間隔をGと規定すると、0.01≦G/L1≦0.2を満たし、
前記上部カバー部の最外側に配置されたダミー電極から前記セラミック本体の上面までの距離又は前記下部カバー部の最外側に配置されたダミー電極から前記セラミック本体の下面までの距離をCs、前記セラミック本体の厚さをT1と規定すると、0.03≦Cs/T1≦0.15を満たし、
前記上部カバー部及び前記下部カバー部は、それぞれ2層以上の第1ダミー電極と第2ダミー電極とを含み、前記第1ダミー電極及び第2ダミー電極の積層間隔をCn、前記セラミック本体の厚さをT1と規定すると、0.03≦Cn/T1≦0.15を満たし、
前記ダミー電極の厚さが前記内部電極の厚さより厚く、前記ダミー電極間の積層間隔は前記内部電極間の積層間隔に比べて大きい、
積層セラミック電子部品。
前記ダミー電極は、前記ギャップにより区別される第1ダミー電極と第2ダミー電極とを含み、前記第1ダミー電極及び第2ダミー電極は、対称形状を有する、請求項5に記載の積層セラミック電子部品。
前記ダミー電極は、前記ギャップにより区別される第1ダミー電極と第2ダミー電極とを含み、前記第1ダミー電極及び第2ダミー電極は、同一層に形成される、請求項5に記載の積層セラミック電子部品。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0014】
積層セラミック電子部品
図1は本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品を概略的に示す斜視図であり、
図2は
図1のA-A´断面図である。
【0015】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品100は、セラミック本体110と、外部電極131、132と、を含む。
【0016】
本発明の一実施形態によると、
図1及び
図2に示すT-方向はセラミック本体110の厚さ方向であり、L-方向はセラミック本体110の長さ方向であり、W-方向はセラミック本体110の幅方向である。
【0017】
上記厚さT方向は、上記内部電極及び誘電体層の積層方向を意味する。
【0018】
図1及び
図2を参照すると、上記セラミック本体110は、厚さ方向に対向する上面S
T及び下面S
Bと、幅方向に対向する第1側面1及び第2側面2と、長さ方向に対向する第3側面3及び第4側面4と、を有することができる。上記セラミック本体110の形状は特に制限されない。例えば、上記セラミック本体110は、完全な直線を有する六面体状ではないが、略六面体状であれば良い。
【0019】
上記セラミック本体110は、複数の誘電体層111と、内部電極121、122と、を含む。
【0020】
上記セラミック本体は、誘電体層111上に形成された内部電極121、122を含み、内部電極が形成された複数の誘電体層が積層されたアクティブ部150と、上記アクティブ部の上側及び下側に配置されたカバー部160と、を含む。
【0021】
セラミック本体において、上記上側及び下側、上面及び下面は、特に示されていない限り、特に区別されず、それぞれ厚さ方向の一側及び他側、厚さ方向に対向する一面及び他面と同じ意味で理解されてもよく、上記上面及び下面はそれぞれセラミック本体の厚さ方向に対向する第1主面及び第2主面の意味で理解されてもよい。
【0022】
上記内部電極は、第1内部電極121と、第2内部電極122と、を含むことができる。上記第1及び第2内部電極121、122は、誘電体層111を挟んで上記誘電体層上に交互に配置されることができる。
【0023】
上記第1内部電極121は上記セラミック本体の第3側面3を介して露出し、上記第2内部電極122は上記セラミック本体の第4側面4を介して露出することができる。
【0024】
上記外部電極131、132は、上記セラミック本体の第3側面3及び第4側面4に配置されて、上記第1内部電極121及び第2内部電極122と連結されることができる。上記外部電極131、132は、第1外部電極131と、第2外部電極132と、を含むことができ、上記第1外部電極131は第1内部電極121と連結され、上記第2外部電極132は第2内部電極122と連結されることができる。
【0025】
上記外部電極は、伝導性ペーストを上記セラミック本体の第3側面及び第4側面に塗布して焼成することで形成することができ、外部電極の形状及び形成方法は特に限定されない。
【0026】
本発明の一実施形態によると、
図2に示すように、上記誘電体層111及び内部電極121、122は、セラミック本体の厚さT方向に積層されることができる。
【0027】
上記カバー部160は、上記アクティブ部150を外部衝撃から保護するために最外側の内部電極の外側に配置されることができる。上記カバー部160は、上記アクティブ部150の上側に配置された上部カバー部161と、上記アクティブ部150の下側に配置された下部カバー部162と、を含むことができる。
【0028】
本発明の一実施形態によると、上記上部カバー部161及び下部カバー部162は、内部に配置されたダミー電極140を含むことができる。上記ダミー電極140は、残炭排出部であることができる。
【0029】
内部電極及び誘電体層が薄層化する場合、アクティブ部の厚さは減少し、カバー部の厚さは増加しうる。
【0030】
内部電極が薄層化する場合、金属を主成分とする内部電極の割合が減少するにつれて積層セラミック電子部品の製造コストが低減するという利点がある。しかし、カバー部の厚さが増加する場合、セラミック本体の焼成過程で除去されるべき炭素成分が除去されずにセラミック本体内に残ってしまい、残炭の除去が困難となるという問題がある。
【0031】
上記セラミック本体110は、内部電極ペーストが印刷されたグリーンシート及び内部電極ペーストが印刷されていないグリーンシートが積層されたグリーンシート積層体の焼成により形成されることができる。内部電極ペーストが印刷されたグリーンシートはアクティブ部150を形成し、内部電極ペーストが印刷されていないグリーンシートはカバー部160を形成する。上記グリーンシートは、セラミック本体を構成する誘電体粉末と、上記誘電体粉末を結合するバインダーと、を含むことができ、その他の溶剤及びその他の添加剤などをさらに含むことができる。上記バインダーは、エポキシ樹脂のような樹脂組成物を含むことができる。バインダー又はその他の炭素を含む有機成分は、上記グリーンシート積層体の焼成の際に除去されることが好ましく、焼成過程で酸素と結合して二酸化炭素(CO
2)などの形態で外部に排出されて制御される。
【0032】
グリーンシート積層体を焼成してセラミック本体を形成する過程で有機成分が除去されずにセラミック本体内の残炭含有量が高い場合、積層セラミック電子部品の耐電圧特性が低下することがあり、炭素を含む有機成分の排出経路が確保されていない場合、セラミック本体にクラックが発生するかセラミック本体が破裂するチップ破裂不良が発生するという問題が生じうる。グリーンシート積層体の焼成過程で、グリーンシート積層体内における内部電極は、有機成分排出の主な経路として機能する。例えば、グリーンシート積層体内の内部電極は、グリーンシート積層体の内部に酸素を供給する経路となり、酸素と結合した炭素が二酸化炭素(CO
2)として排出される経路となりうる。
【0033】
ただし、カバー部160の場合、内部電極が配置されていないため、酸素の供給と酸化及び分解された有機成分の排出が円滑でないという問題点がある。かかる問題点は、内部電極の薄層化によってカバー部160の厚さが増加する場合にひどくなる可能性がある。
【0034】
本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品は、カバー部160がダミー電極140を含むことで、カバー部160の厚さが増加してもセラミック本体内の有機成分を効率よく除去して、セラミック本体内の残炭量を減少させることができる。
【0035】
上部カバー部161及び下部カバー部162は、それぞれ中心部にギャップを有するダミー電極140を少なくとも1層以上含むことができる。例えば、上記上部カバー部及び下部カバー部は、中心部にギャップを有するダミー電極をそれぞれ1層ずつ含んでもよい。あるいは、上記上部カバー部及び下部カバー部は、中心部にギャップを有するダミー電極をそれぞれ2層以上含んでもよい。
【0036】
例えば、上記上部カバー部161及び上記下部カバー部162は、それぞれ2層以上の第1ダミー電極141と第2ダミー電極142とを含むことができる。
【0037】
上記ダミー電極140は、上記上部カバー部161及び下部カバー部162内に配置され、長さ方向の中心部がギャップを有するように形成される。上記ギャップを中心に、上記ダミー電極140は、上記カバー部の長さ方向の一側面と上記ギャップとの間に配置された第1ダミー電極141と、上記カバー部の長さ方向の他側面と上記ギャップとの間に配置された第2ダミー電極142とに区別されることができる。
【0038】
上記第1ダミー電極141は、セラミック本体の第3側面3に一端が露出することができ、上記第2ダミー電極142は、セラミック本体の第4側面4に一端が露出することができる。上記第1ダミー電極141及び第2ダミー電極142は、それぞれセラミック本体の第3側面3及び第4側面4に露出して、外部電極と連結されることができる。
【0039】
上記ギャップは、上記第1ダミー電極141及び第2ダミー電極142が連結されないようにして、第1外部電極と第2外部電極との間で電気的短絡(ショート)が発生することを防止する。
【0041】
本発明の一実施形態によると、上記上部カバー部161の最外側に配置されたダミー電極140から上記セラミック本体の上面S
Tまでの距離又は上記下部カバー部162の最外側に配置されたダミー電極140から上記セラミック本体の下面S
Bまでの距離をCs、上記セラミック本体110の厚さをT1と規定すると、Cs/T1は、0.03≦Cs/T1≦0.15を満たすことができる。
【0042】
本発明の一実施形態によると、上部カバー部161及び上記下部カバー部162は、それぞれ2層以上の第1ダミー電極141と第2ダミー電極142とを含み、上記第1ダミー電極及び第2ダミー電極の積層間隔をCn、上記セラミック本体110の厚さをT1と規定すると、0.03≦Cn/T1≦0.15を満たすことができる。
【0043】
以下、上記Cs及びCnを、Cとして説明する。C/T1は、Cs/T1又はCn/T1で理解されることができる。上記Cは、厚さ方向の隣接したダミー電極間の間隔又は厚さ方向の最外側に配置されたダミー電極からそれに隣接したセラミック本体の上面又は下面までの距離を意味する。
【0044】
C/T1が0.03未満の場合には、ダミー電極が配置された領域でデラミネーションが発生することがあり、C/T1が0.15を超える場合には、セラミック本体内における残炭の除去が困難となり耐電圧特性が低下しうる。
【0045】
上記第1ダミー電極141及び第2ダミー電極142の厚さtcは、0.3μm以上であることが好ましい。上記第1ダミー電極及び第2ダミー電極の厚さが0.3μm以上に形成される場合、残炭除去経路としての機能性を向上させることができる。
【0046】
図4は
図2のB-B´位置における積層セラミック電子部品の断面図である。
【0047】
本発明の一実施形態によると、上記セラミック本体110の長さをL1、上記第1ダミー電極141と上記第2ダミー電極142とのギャップの長さをGと規定すると、G/L1は、0.01≦G/L1≦0.2を満たすことができる。上記セラミック本体110の長さは、セラミック本体の第3側面3と第4側面4との距離を意味し、上記第1ダミー電極141と上記第2ダミー電極142とのギャップの長さは、上記第1ダミー電極と上記第2ダミー電極の隣接した端部間の距離を意味する。上記第1ダミー電極と上記第2ダミー電極とのギャップの長さは、第1ダミー電極と第2ダミー電極とが離隔した間隔でもある。
【0048】
G/L1が0.01未満の場合には、ダミー電極による信頼性低下及び電気的短絡(ショート)が発生しうる。また、G/L1が0.2を超える場合には、ダミー電極のギャップに該当する領域でのカバー部の残炭除去が円滑でなく、耐電圧特性が低下しうる。
【0049】
本発明の一実施形態によると、上記第1ダミー電極141及び第2ダミー電極142は、セラミック本体110の長さ方向において実質的に対称形状を有するように形成されることができる。
【0050】
上記第1ダミー電極141及び第2ダミー電極142は、カバー部160内における同じ誘電体層上に配置されることができる。
【0051】
実験例
本発明の実施例と比較例による積層セラミック電子部品は、下記のように作製された。
【0052】
チタン酸バリウム(BaTiO
3)などの粉末を含んでなるスラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布して乾燥し、複数個のセラミックグリーンシートを製造した。
【0053】
次に、上記セラミックグリーンシートの一部のセラミックグリーンシート上に、スクリーン印刷工程によりニッケルを含む内部電極用導電性ペーストを塗布して、内部電極パターンを形成した。
【0054】
また、内部電極パターンが印刷されていないセラミックグリーンシートにはダミー電極パターンを形成した。ダミー電極の中心部のギャップの長さGは、ダミー電極パターンの印刷の際に調節され、ダミー電極間の厚さ方向の間隔又は最外側のダミー電極からセラミック本体の上面又は下面までの距離Cは、ダミー電極パターンが印刷されるセラミックグリーンシートの厚さ又は積層数に応じて調節された。
【0055】
次に、内部電極が印刷されたセラミックグリーンシートとダミー電極が印刷されたセラミックグリーンシートを積層し、等圧圧縮成形した。圧着が完了したセラミック積層体を、内部電極パターンの一端が切断面を介して交互に露出するように個別チップの形態に切断し、切断したチップに対して脱バインダーを行った。
【0056】
次に、切断したチップを焼成してセラミック本体を形成した。焼成後、セラミック本体のサイズは、長さ×幅×厚さ(L×W×T)が約1.6mm×0.8mm×0.8mm(L×W、1608サイズ、誤差範囲±0.1mm)であった。このうち、アクティブ部の厚さは約0.5mmであり、アクティブ部に含まれた誘電体層の厚さは約1.3μmであり、内部電極の厚さは約1.0μmであった。
【0057】
作製されたセラミック本体において、上部カバー部及び下部カバー部の厚さはそれぞれ約0.15mmであり、ダミー電極は約1.5μmの厚さに形成された。ダミー電極は、本発明の一実施形態のように、第1ダミー電極と、第1ダミー電極と離隔して形成された第2ダミー電極と、からなり、ダミー電極の厚さ方向の間隔及び第1ダミー電極と第2ダミー電極との間隔は、下記表1及び表2により多様に形成された。
【0058】
本実験例において、第1ダミー電極と第2ダミー電極は同じ積層数を有しており、第1ダミー電極と第2ダミー電極は、カバー部を構成する同じ誘電体層上に一つずつ配置された。
【0059】
本実験例において、ダミー電極の厚さ方向の間隔と、最外側のダミー電極からそれに隣接した上面又は下面のいずれか一面までの距離は、実質的に同一に形成された。
【0060】
次に、上記内部電極が露出したセラミック本体の外部面に銅粉末とガラスフリットとを含むペーストを塗布して焼成することで電極層を形成した。
【0061】
表1はセラミック本体の厚さT1、ダミー電極の厚さ方向の間隔Cn及びその割合(Cn/T1)によるカバー部のデラミネーション発生率及び耐電圧特性に関する結果を示すデータであり、表2はセラミック本体の長さL1、ダミー電極のギャップの長さG及びその割合(G/L1)による電気的短絡発生率と耐電圧特性に関する結果を示すデータである。
【0062】
表1及び表2において、耐電圧特性は、積層セラミック電子部品に1秒当たり20Vずつ電圧を高めて印加しながらリーク電流が10mA以上発生したときの電圧を絶縁破壊電圧(BDV)で測定して示したものである。
【0064】
上記表1を参照すると、Cn/T値が0.03未満のサンプル1〜4の場合、ダミー電極のデラミネーションの発生頻度が高く、Cn/T値が0.15を超えるサンプル24〜32の場合、絶縁破壊電圧(BDV)が相対的に低いことを確認することができる。
【0065】
表1において、Cn/Tが0.03〜0.15の範囲で形成される場合、100個の積層セラミック電子部品のうちダミー電極のデラミネーションは発生せず、絶縁破壊電圧(BDV)も相対的に高い値を有し、耐電圧特性に優れることが分かる。
【0067】
上記表2を参照すると、G/L値が0.01未満のサンプル1〜6の場合、電気的短絡(ショート)の発生頻度が高く、G/L値が0.2を超えるサンプル26〜32の場合、絶縁破壊電圧(BDV)が相対的に低いことを確認することができる。
【0068】
表2において、G/Lが0.01〜0.2の範囲で形成されたサンプル7〜25の場合、100個の積層セラミック電子部品のうち電気的短絡が発生した積層セラミック電子部品は存在せず、絶縁破壊電圧(BDV)も相対的に高いことが分かる。
【0069】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。