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特開2018-69969無人作業装置、その方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-69969(P2018-69969A)
(43)【公開日】2018年5月10日
(54)【発明の名称】無人作業装置、その方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B64D 45/00 20060101AFI20180406BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20180406BHJP
   B64C 27/04 20060101ALI20180406BHJP
   B64C 13/18 20060101ALI20180406BHJP
   B64D 47/08 20060101ALI20180406BHJP
【FI】
   B64D45/00 A
   B64C39/02
   B64C27/04
   B64C13/18 H
   B64D47/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-213069(P2016-213069)
(22)【出願日】2016年10月31日
(71)【出願人】
【識別番号】516145390
【氏名又は名称】株式会社エンルートM’s
(71)【出願人】
【識別番号】516066028
【氏名又は名称】株式会社エンルート
(71)【出願人】
【識別番号】516176855
【氏名又は名称】呉 軍
(71)【出願人】
【識別番号】516176866
【氏名又は名称】顔 開
(74)【代理人】
【識別番号】100127328
【弁理士】
【氏名又は名称】八木澤 史彦
(74)【代理人】
【識別番号】100140866
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 武史
(72)【発明者】
【氏名】伊豆 智幸
(72)【発明者】
【氏名】呉 軍
(72)【発明者】
【氏名】顔 開
(57)【要約】      (修正有)
【課題】距離センサーを使用せずに、所定の高度を維持することができる無人作業装置を提供する。
【解決手段】所定の作業を実施する無人作業装置1は、無人作業装置の自律飛行を制御する飛行制御手段と、一端が無人作業装置1の本体部に接続され、他端が自由端20aとなっている紐状部材20と、無人作業装置1が空中に位置するときに、自由端が接地したことを感知する接地感知手段と、自由端が接地したことを感知したときの高度を維持する高度維持手段と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の作業を実施する無人作業装置であって、
前記無人作業装置の自律飛行を制御する飛行制御手段と、
一端が前記無人作業装置の本体部に接続され、他端が自由端となっている紐状部材と、
前記無人作業装置が空中に位置するときに、前記自由端が接地したことを感知する接地感知手段と、
前記自由端が接地したことを感知したときの高度を維持する高度維持手段と、
を有する無人作業装置。
【請求項2】
前記接地感知手段は、前記無人作業装置の飛行のための推力が減少したことを感知するように構成されている請求項1に記載の無人作業装置。
【請求項3】
前記接地感知手段によって、前記自由端が接地したことを感知したときに、前記飛行のための推力を、前記自由端が接地したときの推力よりも大きく、かつ、前記自由端の接地を解除するための推力よりも小さい推力とする駆動制御手段を有する請求項1または請求項2に記載の無人作業装置。
【請求項4】
前記紐状部材が鉛直に配置されているか否かを感知する鉛直感知手段を有し、
前記駆動制御手段は、前記鉛直感知手段によって、前記紐状部材が鉛直に配置されていない場合には、前記紐状部材が鉛直状態になるように、前記無人作業装置の位置及び/または姿勢を調整するように構成されている請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の無人作業装置。
【請求項5】
前記自由端近傍は、前記紐状部材の他の部分よりも重く構成されている請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の無人作業装置。
【請求項6】
自律飛行して、所定の作業を実施する無人作業装置が実施する作業方法であって、
前記無人作業装置が空中に位置するときに、一端が前記無人作業装置の本体部に接続され、他端が自由端となっている紐状部材の前記自由端が接地したことを感知する接地感知ステップと、
前記自由端が接地したことを感知したときの高度を維持する高度維持ステップと、
を含む作業方法。
【請求項7】
無人作業装置を制御するコンピュータを、
前記無人作業装置の自律飛行を制御する飛行制御手段、
前記無人作業装置が空中に位置するときに、一端が前記無人作業装置の本体部に接続され、他端が自由端となっている紐状部材の前記自由端が接地したことを感知する接地感知手段、
前記自由端が接地したことを感知したときの高度を維持する高度維持手段、 として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人作業装置、その方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小型無人飛行体(「ドローン」とも呼ばれる)の利用が提案されている。このようなドローンは、空中で停止(ホバリング)して、様々な作業を行うことができるのが特徴の一つである。高度を計測するために、気圧センサーを利用することができるが、精度が劣る。これに対して、超音波距離センサー(以下、「距離センサー」という。)を使用して高度を計測する技術が提案されている(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−217785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、距離センサーで計測した高度にドローンを維持する制御は複雑であり、しかも、外部要因によってドローンの高度は容易に変動する。
【0005】
本発明はかかる問題の解決を試みたものであり、距離センサーを使用せずに、容易に所定の高度を維持することができる無人作業装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一の発明は、所定の作業を実施する無人作業装置であって、前記無人作業装置の自律飛行を制御する飛行制御手段と、一端が前記無人作業装置の本体部に接続され、他端が自由端となっている紐状部材と、前記無人作業装置が空中に位置するときに、前記自由端が接地したことを感知する接地感知手段と、前記自由端が接地したことを感知したときの高度を維持する高度維持手段と、を有する無人作業装置である。
【0007】
第一の発明の構成によれば、無人作業装置は、紐状部材が接地したことを感知し、そのときの高度を維持することができる。例えば、無人作業装置が紐状部材の自由端に荷物を吊り下げて、荷物搬送作業を実施する場合、自由端が接地したときの高度を維持する。これにより、距離センサーを使用せずに、容易に所定の高度を維持することができる。
【0008】
第二の発明は、第一の発明の構成において、前記接地感知手段は、前記無人作業装置の飛行のための推力が減少したことを感知するように構成されている無人作業装置である。
【0009】
第三の発明は、第一の発明または第二の発明の構成において、前記接地感知手段によって、前記自由端が接地したことを感知したときに、前記飛行のための推力を、前記自由端が接地したときの推力よりも大きく、かつ、前記自由端の接地を解除するための推力よりも小さい推力とする駆動制御手段を有する無人作業装置である。
【0010】
第四の発明は、第一の発明乃至第三の発明のいずれかの構成において、前記紐状部材が鉛直に配置されているか否かを感知する鉛直感知手段を有し、前記駆動制御手段は、前記鉛直感知手段によって、前記紐状部材が鉛直に配置されていない場合には、前記紐状部材が鉛直状態になるように、前記無人作業装置の位置及び/または姿勢を調整するように構成されている無人作業装置である。
【0011】
第五の発明は、第一の発明乃至第四の発明のいずれかの構成において、前記自由端近傍は、前記紐状部材の他の部分よりも重く構成されている無人作業装置である。
【0012】
第六の発明は、自律飛行して、所定の作業を実施する無人作業装置が実施する作業方法であって、前記無人作業装置が空中に位置するときに、一端が前記無人作業装置の本体部に接続され、他端が自由端となっている紐状部材の前記自由端が接地したことを感知する接地感知ステップと、前記自由端が接地したことを感知したときの高度を維持する高度維持ステップと、を含む作業方法である。
【0013】
第七の発明は、第六の発明の構成において、無人作業装置を制御するコンピュータを、前記無人作業装置の自律飛行を制御する飛行制御手段、前記無人作業装置が空中に位置するときに、一端が前記無人作業装置の本体部に接続され、他端が自由端となっている紐状部材の前記自由端が接地したことを感知する接地感知手段、前記自由端が接地したことを感知したときの高度を維持する高度維持手段、として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、距離センサーを使用せずに、所定の高度を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る無人作業装置を示す概略図である。
図2】無人作業装置の筐体、紐状部材及び円筒部材を示す概略側面図である。
図3】紐状部材及び円筒部材を示す概略平面図である。
図4】無人作業装置の動作を示す概略図である。
図5】無人作業装置の動作及び推力を示す概略図である。
図6】無人作業装置の機能構成を示す概略図である。
図7】無人作業装置の動きを示すフローチャートである。
図8】無人作業装置の動きを示すフローチャートである。
図9】本発明の実施形態に係る無人作業装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。以下の説明においては、同様の構成には同じ符号を付し、その説明を省略又は簡略する。なお、当業者が適宜実施できる構成については説明を省略し、本発明の基本的な構成についてのみ説明する。
【0017】
<第一の実施形態>
図1に示す無人機1は、所定の経路を自律飛行して、所定の作業を実施する無人作業装置の一例である。無人機1は空中を飛行する無人飛行体である。無人機1は、無人機1を管理する基地局50(図6参照)からの指示で作業を開始し、また、基地局50において充電等を行うようになっている。
【0018】
無人機1は、筐体2を有する。筐体2には、無人機1の各部を制御するコンピュータ、自律飛行装置、無線通信装置、GPS(Global Positioning System)を利用した測位装置、慣性センサー、気圧センサー、バッテリー等が配置されている。また、筐体2には、固定装置12を介して、カメラ14が配置されている。カメラ14は、可視光カメラ、または、近赤外線カメラであるが、切り替え可能なハイブリッドカメラであってもよい。カメラ14は、情報収集手段の一例である。固定装置12は、カメラ14による撮影画像のぶれを最小化し、かつ、カメラ14の光軸を任意の方向に制御することができる3軸の固定装置(いわゆる、ジンバル)である。
【0019】
筐体2には、丸棒状のアーム4が接続されている。各アーム4にはモーター6が接続されており、各モーター6にはプロペラ8が接続されている。各モーター6は、直流モーター(DCモーター)である。各モーター6は、筐体2内の自律飛行装置によってそれぞれ独立して制御され、無人機1を上下水平方向の移動や空中での停止(ホバリング)及び姿勢制御を自在に行うことができるようになっている。自律飛行装置が各モーター6へ供給する電力が増加すると、各モーター6の回転数が増加し、各モーター6の出力が増加し、各モーター6に接続されたプロペラ8による推力(以下、単に「推力」という)も増加する。ここで、推力とは、無人機1を上昇する方向に進める力を意味する。自律飛行装置は、無人機1を所定の高度に位置させたり、上昇下降させるために必要な推力を達成するために、電力を増減させる。これは、無人機1が各モーター6に供給する電力の増減が、必要な推力の増減を示すことを意味する。なお、本明細書において、単に「モーター6」というときは、4つのモーター6を意味し、「モーター6の推力」というときは、4つのモーター6による推力を意味するものとする。自律飛行装置は、飛行計画に規定された飛行経路に従って、無人機1を自律飛行させているときに、例えば、無人機1が上昇気流に乗った場合、モーター6の推力を維持すると、無人機1は上昇し、飛行経路を外れるから、モーター6の推力を減少させるために、電力を減少させる。本実施形態は、自律飛行装置の上記機能を活用するものである。
【0020】
アーム4には保護枠10が接続され、プロペラ8が外部の物体に直接接触することを防止している。アーム4及び保護枠10は、例えば、炭素繊維強化プラスチックで形成されており、強度を保ちつつ、軽量に構成されている。以上の筐体2等が、無人機1の本体部を構成する。
【0021】
筐体2には、紐状部材20が接続されている。紐状部材20は、例えば、ポリアミド(ナイロン)等のプラスチック繊維製のロープである。紐状部材20の自由端近傍は、他の部分よりも重く構成されている。具体的には、紐状部材20の自由端近傍部20a(以下、「自由端20a」という。)は重り部となっている。紐状部材20の長さは、長さLである。
【0022】
筐体2には、円筒部材16が接続されている。図2は、筐体2、円筒部材16及び紐状部材20の概略側面図である。図3は、円筒部材16及び紐状部材20を図1の矢印Y1方向から見た概略平面図である。図2及び図3に示すように、紐状部材20は、円筒部材16の中空部分を通って、筐体2に接続されている。円筒部材16には、圧力センサー16aが配置されている。圧力センサー16aは、複数配置されており、図3に示すように、90度ごとに1つ、合計4つの圧力センサー16aが配置されている。
【0023】
図4に示すように、無人機1は、紐状部材20を空中に浮遊させた状態から矢印Y2に示すように降下し、紐状部材20の自由端20aが地面Eに接地したときの高度を維持するようになっている。これにより、紐状部材20の長さLが、無人機1の高度である状態を維持することができるようになっている。すなわち、紐状部材20の長さLは、無人機1の高度でもあるから、「長さL」を「高度L」とも呼ぶ。
【0024】
図5に示すように、紐状部材20が接地していない状態では、無人機1は、紐状部材20のすべての重量を負担しており、モーター6の推力は推力P1である。そして、紐状部材20の自由端20aが接地すると、紐状部材20の大半の重量は地面Eが負担し、無人機1が負担する重量は減少するから、モーター6の推力は推力P1よりも小さくなり、推力P2となる。そして、無人機1は、モーター6の推力を、推力P1よりも小さく、かつ、推力P2よりも大きい推力Pmに設定する。推力Pmにおいては、自由端20aに上向きの力が働いているが、自由端20aは接地した状態を維持する。そして、紐状部材20は、弛むことがなく、鉛直状態を維持する。これにより、高度Lを維持することができる。P2<Pm<P1を維持することで、紐状部材20を弛むことなく鉛直状態に維持することができるから、高度Lの維持が容易である。望ましくは、推力Pmは、推力P2よりもわずかに大きい推力であり、例えば、推力P2の102%〜105%の推力である。なお、モーター6へ供給する電力(電流×電圧)が増加すると、出力が増加し、回転数が増加し、推力が増加するという関係にあるから、本実施形態とは異なり、推力に替えて、電力、回転数、あるいは、出力を使用してもよい。すなわち、推力Pmに替えて、本実施形態とは異なり、電力Pm(P1、P2)、回転数Pm(P1、P2)、あるいは、出力Pm(P1、P2)としてもよい。
【0025】
図6は、無人機1の機能構成を示す図である。図6に示すように、無人機1は、CPU(Central Processing Unit)100、記憶部102、無線通信部104、GPS(Global Positioning System)部106、慣性センサー部108、駆動制御部110、画像処理部112、及び、電源部114を有する。
【0026】
無人機1は、無線通信部104によって、基地局50と通信可能になっている。無人機1は、無線通信部104によって、基地局50から、発進指示等の指示を受信する。基地局50は、コンピュータで構成されている。
【0027】
無人機1は、GPS部106と慣性センサー部108によって、無人機1自体の位置を測定することができる。GPS部106は、基本的に、3つ以上のGPS衛星からの電波を受信して無人機1の位置を計測する。慣性センサー部108は、例えば、加速度センサー及びジャイロセンサーによって、出発点からの無人機1の移動を積算して、無人機1の位置を計測する。無人機1自体の位置情報は、無人機1の移動経路の決定及び自律移動のために使用するほか、画像処理部112によって撮影した画像データと座標(位置)とを紐づけするために使用する。
【0028】
画像処理部112によって、無人機1はカメラ14(図1参照)を作動させて外部の画像を取得することができる。
【0029】
駆動制御部110によって、無人機1は各モーター6(図1参照)に接続されたプロペラ8(図1参照)の回転を制御し、上下水平移動や空中停止、傾きなどの姿勢を制御するようになっている。
【0030】
電源部114は、例えば、交換可能な可充電電池であり、無人機1の各部に電力を供給するようになっている。
【0031】
記憶部102には、出発点から目的位置まで自律移動するための移動計画を示すデータ等の自律移動に必要な各種データ及びプログラム、作業予定領域の地形、形状や構造物の位置を示す情報のほか、以下の各プログラムが格納されている。
【0032】
記憶部102には、飛行制御プログラム、接地感知プログラム、高度維持プログラム、駆動制御プログラム、鉛直感知プログラム、及び、位置調整プログラムが格納されている。CPU100と飛行制御プログラムは、飛行制御手段の一例である。CPU100と接地感知プログラムは、接地感知手段の一例である。CPU100と高度維持プログラムは、高度維持手段の一例である。CPU100と駆動制御プログラムは、駆動制御手段の一例である。CPU100と鉛直感知プログラムは、鉛直感知手段の一例である。CPU100と位置調整プログラムは、位置調整手段の一例である。
【0033】
無人機1は、飛行制御プログラムによって、無人機1の自律飛行を制御する。具体的には、無人機1は、各モーター6に供給する電力を調整し、予め規定された経路及び高度を飛行するようになっている。
【0034】
無人機1は、接地感知プログラムによって、無人機1が空中に位置するときに、紐状部材20の自由端20aが接地したことを感知する。自由端20aが接地すると、無人機1の本体部が負担する負荷が減少するから、モーター6へ供給する電力が減少する。無人機1は、電力の減少によって、紐状部材20の自由端が接地したことを感知する。
【0035】
無人機1は、高度維持プログラムによって、紐状部材20が接地したことを感知したときの高度を維持する。紐状部材20が接地すると、飛行制御プログラムによって、モーター6へ供給する電力が減少し、接地感知プログラムによって、電力の減少を感知することができる。そして、無人機1は、高度維持プログラムによって、モーター6へ供給する電力が減少したときの推力を維持し、高度を維持する。モーター6へ供給する電力が減少するタイミングは、紐状部材20の自由端20aが接地したタイミングであるから、そのときの高度は高度Lである。
【0036】
そして、無人機1は、上述の駆動制御プログラムによって、モーター6へ供給する電力を調整し、モーター6の推力を、接地直前の推力である推力P1よりも小さく、かつ、接地時の推力である推力P2よりも大きい推力Pm(以下、「最適推力Pm」という。)に設定する。無人機1は、例えば、10秒(s)間程度の推力の情報を記憶部102に記憶しており、接地時の推力P2を示す情報を取得すると、接地直前の推力P1を示す情報として、例えば、2秒(s)前の推力を示す情報を使用する。そして、無人機1は、モーター6の推力を、最適推力Pmに設定する。推力P1、P2及び最適推力Pmの関係は、P2<Pm<P1である。なお、本実施形態とは異なり、過去の推力の情報を記憶しない場合には、例えば、接地して推力P2を取得した後、一旦、紐状部材20の自由端20aの接地が解除されるまで上昇することによって、接地直前の位置における推力P1を示す情報を取得するようにしてもよい。
【0037】
無人機1は、鉛直感知プログラムによって、紐状部材20が鉛直に配置されているか否かを感知する。具体的には、無人機1は、圧力センサー16aからの出力信号によって、紐状部材20が鉛直状態か否かを感知する。圧力センサー16aは、90度ごとに4つ配置されているから、どの圧力センサー16aが紐状部材20に接触しているかによって、紐状部材20の鉛直状態からの乖離の態様を感知することができる。
【0038】
無人機1は、紐状部材20が鉛直に配置されていない場合には、位置調整プログラムによって、各モーター6の推力を調整し、紐状部材20が鉛直になるように、無人機1の位置や姿勢を調整する。例えば、図3のN側の圧力センサー16aが圧力を感知した場合には、無人機1の本体がS側に寄っていることを意味するから、無人機1をN側に移動させる。これにより、紐状部材20の鉛直状態を維持し、無人機1の本体部と地面との距離を高度Lに維持することができる。
【0039】
以下、無人機1の動作を、図7及び図8のフローチャートを参照して説明する。無人機1は、基地局50から発進指示を受信すると発進し、目標領域に到達したと判断すると(ステップST1)、画像取得を開始する(ステップST2)。目標領域は、例えば、目的地点から、水平距離で100メートル(m)である。無人機1は、画像に基づいて、降下に適切な位置であると判断すると(ステップST3)、降下を開始する(ステップST4)。降下に適切な位置とは、例えば、平坦で乾燥した位置である。続いて、無人機1は、モーター6へ供給する電力の減少によって、モーター6の推力が減少したと判断すると(ステップST5)、降下を停止して、高度を維持する(ステップST6)。続いて、無人機1は、最適推力運転へ移行する(ステップST7)。最適推力運転とは、上述の最適推力Pmによる運転である。
【0040】
図8を使用して、ステップST7の詳細を説明する。無人機1は、紐状部材20の自由端20aが接地したときの推力P2を示す情報を取得し(ステップST71)、続いて、紐状部材20が接地する直前の推力P1を示す情報を取得する(ステップST72)。そして、最適推力Pmを決定する(ステップST73)。最適推力Pmは、P2より大きく、P1より小さい。最適推力Pmにおいて、無人機1は、紐状部材20を接地させつつ、紐状部材20を弛むことなく鉛直状態に維持し、高度Lを維持することができる。無人機1は、紐状部材20が鉛直状態からずれていると判断すると(ステップST75)、無人機1の位置や姿勢を修正し(ステップST76)、紐状部材20の鉛直状態を回復する。無人機1は、任務が完了したと判断すると(図7のステップST8)、作業を停止して帰還する(ステップST9)。
【0041】
<第二の実施形態>
第二の実施形態について、第一の実施形態と異なる部分について、説明する。
【0042】
図9に示すように、紐状部材20の自由端近傍は、箱状部材20bとなっている。箱状部材20bには荷物200が格納されている。無人機1は、箱状部材20bが接地すると、そのときの高度Lを維持する。モーター6の推力は最適推力Pmに設定する。この場合の最適推力Pmは、箱状部材20bから荷物200が取り出された場合であっても、箱状部材20bの接地を維持する推力である。具体的には、箱状部材20bが接地したときの推力P2よりも、わずかに大きい推力である。
【0043】
箱状部材20bから荷物200が取り出されたか否かは、例えば、カメラ14で撮影する画像によって判断することができる。記憶部102には、物体認識手段として物体認識プログラムが格納されている。物体認識プログラムは、深層学習(ディープラーニング)によって生成された特徴データを参照するようになっており、取得した画像に含まれる物体の特徴を識別して、物体を認識できるようになっている。なお、深層学習(ディープラーニング)とは、多層構造のニューラルネットワークの機械学習であり、画像認識の分野が有力な活用分野の一つである。
【0044】
記憶部102には、荷物200を複数方向から撮影した画像データが格納されており、無人機1は、それらの画像データから、荷物200の形状を示す特徴データを取得するようになっている。そして、箱状部材20bが接地すると、カメラ14によって箱状部材20bを含む箱状部材20b近傍を撮影し、画像中の物体が、荷物200の特徴データと一致する場合には、画像中の物体が荷物200であると認識する。箱状部材20bの外において、荷物200を画像認識した場合には、箱状部材20bから取り出されたことを意味するから、無人機1は、上述の駆動制御プログラムによって、モーター6の推力を増加させ、箱状部材20bの接地を解除して、基地局50に帰還する。なお、箱状部材20bの天井部の一部または全部を透明部材で構成したり、あるいは、箱状部材20bを網状部材で構成することによって、箱状部材20bの内部の画像を取得できるように構成してもよい。
【0045】
第二の実施形態は、荷物200を受け取る場合にも適用できる。すなわち、無人機1が内部が空の状態の箱状部材20bを接地させ、箱状部材20bに荷物が格納されたと判断すると、無人機1は、上述の駆動制御プログラムによって、モーター6の推力を増加させ、箱状部材20bの接地を解除して、基地局50または所定の位置に移動する。この場合、受領予定の荷物200の画像をあらかじめ取得しておき、荷物200の特徴データを取得する。
【0046】
なお、上述の深層学習(ディープラーニング)は、基地局50(図6)等、外部のコンピュータによって実施し、無人機1は、特徴データのみを利用するという構成にしてもよい。
【0047】
なお、本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0048】
1 無人機
2 筐体
6 モーター
20 紐状部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9