特開2018-70515(P2018-70515A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2018-70515酸化染毛剤用第1剤、及び酸化染毛剤を用いた染毛方法
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  • 特開2018070515-酸化染毛剤用第1剤、及び酸化染毛剤を用いた染毛方法 図000011
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-70515(P2018-70515A)
(43)【公開日】2018年5月10日
(54)【発明の名称】酸化染毛剤用第1剤、及び酸化染毛剤を用いた染毛方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/41 20060101AFI20180406BHJP
   A61K 8/55 20060101ALI20180406BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20180406BHJP
【FI】
   A61K8/41
   A61K8/55
   A61Q5/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-212856(P2016-212856)
(22)【出願日】2016年10月31日
(71)【出願人】
【識別番号】592255176
【氏名又は名称】株式会社ミルボン
(74)【代理人】
【識別番号】100111187
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 秀忠
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【弁理士】
【氏名又は名称】合路 裕介
(72)【発明者】
【氏名】藤田 諭
(72)【発明者】
【氏名】青山 日和
(72)【発明者】
【氏名】工藤 大祐
(72)【発明者】
【氏名】小林 翔
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA082
4C083AB082
4C083AB312
4C083AB352
4C083AB411
4C083AB412
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC531
4C083AC532
4C083AC551
4C083AC552
4C083AC642
4C083AC691
4C083AC692
4C083AC901
4C083AC902
4C083AD492
4C083CC36
4C083DD06
4C083DD27
4C083DD31
4C083EE26
(57)【要約】
【課題】毛髪における青色の濃染性を高めることが可能な酸化染毛剤用第1剤、及び酸化染毛剤を用いた染毛方法を提供する。
【解決手段】(A)トルエン−2,5−ジアミンと、(B)2,4−ジアミノフェノキシエタノールと、(C)(C1)リン酸ジアルキル、及び、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、(C2)ジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩、及び、(C3)モノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩から選ばれる一種以上と、を含有し、前記(A)の含有量と前記(B)の含有量との比[(A)/(B)]が0.25以上である酸化染毛用第1剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)トルエン−2,5−ジアミン、
(B)2,4−ジアミノフェノキシエタノール、
(C)以下の(C1)〜(C3)から選ばれる一種以上、
(C1)リン酸ジアルキル、及び、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、
(C2)ジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩、
(C3)モノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩、
を含有し、
前記(A)の含有量と前記(B)の含有量との比[(A)/(B)]が0.25以上である酸化染毛用第1剤。
【請求項2】
前記比[(A)/(B)]が0.35以上3.5以下である、請求項1に記載の酸化染毛用第1剤。
【請求項3】
前記(C)が(C1)リン酸ジアルキル、及び、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸である、請求項1又は2に記載の酸化染毛用第1剤。
【請求項4】
(D)エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸塩を更に含有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の酸化染毛用第1剤。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の酸化染毛用第1剤と、酸化剤が配合された酸化染毛用第2剤と、が混合された酸化染毛剤を用いて毛髪を染める染毛方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪を染毛するための酸化染毛剤用第1剤、及び酸化染毛剤を用いた染毛方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
毛髪を着色するために用いられる酸化染毛剤は、毛髪内に浸透させた酸化染料を酸化重合により染着させる染毛原理によるものであり、酸性染毛料等の他のヘアカラーリング剤に比して毛髪の色持ちの長期持続を実現する。
そして、酸化染料の選定、組合せによって発色が異なることは知られており、染料中間体であるトルエン−2,5−ジアミンと、カップラーである2,4−ジアミノフェノキシエタノールと、の組み合わせによれば、青色に発色する。当該組み合わせの酸化染料を含有する酸化染毛剤は、例えば、以下の特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−291024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の酸化染毛剤では、毛髪における発色が不十分な場合があり、更に発色を強めることが求められる。なかでも、青色の色味を濃くすることについては、更なる改善が望まれる。
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであり、本発明は、毛髪における青色の濃染性を高めることが可能な酸化染毛剤用第1剤、及び酸化染毛剤を用いた染毛方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らが(A)トルエン−2,5−ジアミン及び(B)2,4−ジアミノフェノキシエタノールが配合された酸化染毛剤用第1剤について鋭意検討を行った結果、前記(A)の含有量と前記(B)の含有量との比[(A)/(B)]を0.25以上としつつ、(C1)リン酸ジアルキル、及び、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸と、(C2)ジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩と、(C3)モノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩と、から選ばれる一種以上を含有することで、毛髪を青色に濃く染めることができることを見出した。
【0006】
(1)の酸化染毛用第1剤は、(A)トルエン−2,5−ジアミン、(B)2,4−ジアミノフェノキシエタノール、(C)次の(C1)〜(C3)から選ばれる一種以上、(C1)リン酸ジアルキル、及び、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、(C2)ジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩、(C3)モノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩、を含有し、前記(A)の含有量と前記(B)の含有量との比[(A)/(B)]が0.25以上である。
【0007】
(2)の酸化染毛用第1剤は、(1)の酸化染毛用第1剤であって、前記比[(A)/(B)]が0.35以上3.5以下である。
前記比[(A)/(B)]を0.35以上3.5以下とすることにより、優れた濃い青色を含んだ色味に毛髪を染めることができる。
【0008】
(3)の酸化染毛用第1剤は、(1)又は(2)の酸化染毛用第1剤であって、前記(C)が(C1)リン酸ジアルキル、及び、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸である。
(C)成分として(C1)リン酸ジアルキル、及び、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸を配合させた場合には、青色の濃染性を特に高めることができる。
【0009】
(4)の酸化染毛用第1剤は、(1)から(3)のいずれかの酸化染毛用第1剤であって、(D)エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸塩を更に含有する。
酸化染毛用第1剤が(D)エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸塩を含有している場合には、青色の濃染性を高め、且つ、発色を速めることができる。
【0010】
(5)の染毛方法は、(1)から(4)のいずれかの酸化染毛用第1剤と、酸化剤が配合された酸化染毛用第2剤と、が混合された酸化染毛剤を用いて毛髪を染める方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る酸化染毛剤用第1剤、及び酸化染毛剤を用いた染毛方法によれば、毛髪における青色の濃染性を高めることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】染色時間の長さと△L*の値との関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を例に挙げつつ説明する。
【0014】
(酸化染毛剤用第1剤)
本実施形態の酸化染毛剤用第1剤(以下、単に「第1剤」と称することがある。)は、酸化染料を含有するものである(本実施形態の第1剤として典型的なものは、水の配合量が70質量%以上のものである。)。また、公知の第1剤原料を任意原料として本実施形態に係る第1剤に配合しても良い。
【0015】
本実施形態の酸化染毛剤用第1剤は、(A)トルエン−2,5−ジアミン、及び、(B)2,4−ジアミノフェノキシエタノールを必須の酸化染料として含有する。これらの酸化染料により、青系の色味を含んだ色調を実現できる。
【0016】
<(A)トルエン−2,5−ジアミン>
本実施形態の酸化染毛剤用第1剤に配合される(A)トルエン−2,5−ジアミンとしては、トルエン−2,5−ジアミン塩(塩酸トルエン−2,5−ジアミン(分子量:195.09)、硫酸トルエン−2,5−ジアミン(分子量:220.25)など)、及びトルエン−2,5−ジアミン(分子量:122.17)から選ばれた一種又は二種以上を用いることができる。
【0017】
本実施形態の酸化染毛剤用第1剤における(A)トルエン−2,5−ジアミンの配合量は、濃い青色を含んだ色味を得る観点から、トルエン−2,5−ジアミン(トルエン−2,5−ジアミン塩を用いる場合には、塩を含まないトルエン−2,5−ジアミンの配合量)として、0.0005重量%以上1.7重量%以下が好ましく、0.005重量%以上1.11重量%以下がより好ましく、0.02重量%以上0.9重量%以下がさらに好ましい。
【0018】
<(B)2,4−ジアミノフェノキシエタノール>
本実施形態の酸化染毛剤用第1剤に配合される(B)2,4−ジアミノフェノキシエタノールとしては、2,4−ジアミノフェノキシエタノール塩(塩酸2,4−ジアミノフェノキシエタノール(分子量:241.11)、硫酸2,4−ジアミノフェノキシエタノール(分子量:266.27)など)、及び2,4−ジアミノフェノキシエタノール(分子量:168.19)から選ばれた一種又は二種以上を用いることができる。
【0019】
本実施形態の酸化染毛剤用第1剤における(B)2,4−ジアミノフェノキシエタノールの配合量は、濃い青色を含んだ色味を得る観点から、2,4−ジアミノフェノキシエタノール(2,4−ジアミノフェノキシエタノール塩を用いる場合には、塩を含まない2,4−ジアミノフェノキシエタノールの配合量)として、0.001重量%以上0.35重量%以下が好ましく、0.0035重量%以上0.25重量%以下がより好ましい。
【0020】
本実施形態の酸化染毛剤用第1剤における((A)トルエン−2,5−ジアミン含有量/(B)2,4−ジアミノフェノキシエタノール含有量)により算出される比(A)/(B)は、0.25以上である。この(A)/(B)を0.25以上にすることで、染められた毛髪について、青色の色味が濃くなる傾向となる。また、優れた濃い青色を含んだ色味を得る観点から、(A)/(B)が0.35以上3.5以下とすればより好ましく、0.45以上2.5以下であればさらに好ましく、0.6以上2.0以下であれば特に好ましい。
【0021】
本実施形態の酸化染毛剤用第1剤において、(A)トルエン−2,5−ジアミン含有量と(B)2,4−ジアミノフェノキシエタノール含有量の合計量[(A)+(B)]は、例えば、0.05質量%以上1.5質量%以下である。
【0022】
本実施形態の酸化染毛剤用第1剤には、(A)トルエン−2,5−ジアミン、及び(B)2,4−ジアミノフェノキシエタノール以外の酸化染料の一種又は二種以上を配合しても良い。この配合により、青系の色味を含んだ様々な色調に染めることが可能になる。
【0023】
(A)トルエン−2,5−ジアミン以外の染料中間体を本実施形態の酸化染毛剤用第1剤に更に配合する場合、その染料中間体としては、パラフェニレンジアミン、トルエン−3,4−ジアミン、2,2’−[(4−アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール等のフェニレンジアミン誘導体;パラメチルアミノフェノール、オルトアミノフェノール、パラアミノフェノール等のフェノール誘導体;等が挙げられる。
【0024】
また、(B)2,4−ジアミノフェノキシエタノール以外のカップラーを本実施形態の酸化染毛剤用第1剤に更に配合する場合、そのカップラーとしては、メタフェニレンジアミン等のフェニレンジアミン誘導体;5−アミノオルトクレゾール、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール、メタアミノフェノール等のアミノフェノール誘導体;レゾルシン;α−ナフトール;等が挙げられる。
【0025】
本実施形態の酸化染毛剤用第1剤における酸化染料の配合濃度は、例えば0.05質量%以上2.5質量%以下である。
【0026】
<(C)(C1)、(C2)、(C3)から選ばれる一種以上>
本実施形態の酸化染毛剤用第1剤には、(C1)リン酸ジアルキル、及び、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、(C2)ジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩、(C3)ジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩から選ばれる一種以上が配合される。
(A)トルエン−2,5−ジアミン及び(B)2,4−ジアミノフェノキシエタノールを含有する酸化染毛剤用第1剤に、上記(C1)から(C3)の一種以上を配合することで、染められた毛髪について、青色を含む色味を濃くする(濃染性に優れたものとする)ことができる。また、上記(C1)から(C3)の一種以上を配合することにより、酸化染料の分散性を向上させることができる。
【0027】
<(C1)リン酸ジアルキル、及び、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸>
本実施形態の酸化染毛剤用第1剤に(C1)リン酸ジアルキル、及び、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸が配合される場合においては、下記一般式(Ia)に表され
るリン酸ジアルキル、下記一般式(Ib)に表されるポリオキシエチレンアルキルエーテ
ルリン酸が用いられる。
【0028】
【化1】
上記一般式(Ia)において、R1及びR2は二重結合を有していても良い直鎖の炭素
数12〜22(好ましくは14〜20、より好ましくは16〜18)のアルキル基を表す。また、R1及びR2は同じでも良く、異なっていても良い。
【0029】
【化2】
上記一般式(Ib)において、R3は二重結合を有していても良い直鎖の炭素数12〜
22(好ましくは14〜20、より好ましくは16〜18)のアルキル基を表わし、nは1以上50以下(好ましくは3〜40、より好ましくは5〜25)を表す。
【0030】
上記一般式(Ia)に表されるリン酸ジアルキルとしては、例えば、リン酸ジセチル、
リン酸ジオレイルなどが挙げられる。
また、上記一般式(Ib)に表されるポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸とし
ては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸などが挙げられる。
【0031】
本実施形態の酸化染毛剤用第1剤における、(C1)リン酸ジアルキル、及び、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸の合計量は、青色を含む色味を濃くする観点から、1重量%以上7.5重量%以下が好ましく、1.5重量%以上6重量%以下がより好ましく、2重量%以上4.5重量%以下がさらに好ましい。
また、本実施形態の酸化染毛剤用第1剤における、リン酸ジアルキルとポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸との配合比率は、1:3〜3:1とすると良い。
【0032】
<(C2)ジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩>
本実施形態の酸化染毛剤用第1剤に(C2)ジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩が配合される場合においては、下記一般式(II)に表されるジ長鎖アルキルジメチルアンモ
ニウム塩が用いられる。
【0033】
【化3】
上記一般式(II)において、R4及びR5は炭素数12〜22(好ましくは14〜20
、より好ましくは16〜18)のアルキル基を表わし、Xはハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、ヨウ素など)またはメトサルフェート(CH3SO4)を表す。
【0034】
上記一般式(II)に表されるジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩としては、例えば
、ジラウリルジメチルアンモニウム、ジミリスチルジメチルアンモニウム、ジセチルジメチルアンモニウム、ジステアリルジメチルアンモニウム、ジベヘニルジメチルアンモニウム等が挙げられる。
【0035】
本実施形態の酸化染毛剤用第1剤における、(C2)ジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩の配合量は、青色を含む色味を濃くする観点から、0.1重量%以上5重量%以下が好ましく、1.5重量%以上3.5重量%以下がより好ましい。
【0036】
<(C3)モノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩>
本実施形態の酸化染毛剤用第1剤に(C3)モノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩が配合される場合においては、下記一般式(III)に表されるモノ長鎖アルキルトリメチ
ルアンモニウム塩が用いられる。
【0037】
【化4】
上記一般式(III)において、R6は炭素数12〜22(好ましくは14〜20、より好
ましくは16〜18)のアルキル基を表し、Xはハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、ヨウ素など)またはメトサルフェート(CH3SO4)を表す。
【0038】
上記一般式(III)に表されるモノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩としては、例
えば、ラウリルトリメチルアンモニウム、ミリスチルトリメチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム、ベヘニルトリメチルアンモニウムが挙げられる。
【0039】
本実施形態の酸化染毛剤用第1剤における、(C3)モノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩の配合量は、青色を含む色味を濃くする観点から、0.1重量%以上5重量%以下が好ましく、0.5重量%以上3.5重量%以下がより好ましい。
【0040】
<(D)エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸塩>
本実施形態の酸化染毛剤用第1剤には、(D)エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸塩を配合してもよい。エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸塩を配合すれば、青色が濃く発色するとともに、発色の速さに優れる(同程度の発色を得るために染色処理に要する時間を短くすることができる)。
エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸塩としては、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウム、又は、その水和物などが挙げられる。
【0041】
本実施形態の酸化染毛剤用第1剤における(D)エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸塩の配合量は、青色の濃い発色と優れた発色の速さの観点から、0.01重量%以上0.8重量%以下が好ましく、0.05重量%以上0.5重量%以下がより好ましい。
【0042】
上記の(A)トルエン−2,5−ジアミン、(B)2,4−ジアミノフェノキシエタノール、及び、(C1)リン酸ジアルキル、及び、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、(C2)ジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩、(C3)ジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩から選ばれる一種以上である必須成分以外に本実施形態の酸化染毛剤用第1剤に任意配合する原料は、公知の酸化染毛剤用第1剤原料と同じである。この任意配合する原料としては、例えば、アルカリ剤、高級アルコール、ノニオン界面活性剤、多価アルコール、炭化水素、油脂、酸化防止剤、直接染料である。
【0043】
上記酸化染毛剤用第1剤用原料としてのアルカリ剤は、酸化染毛剤に含まれる酸化剤の作用を促進するとともに、毛髪を膨潤させて染料の毛髪内への浸透性を向上させることにより、染色性を向上させる。当該アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の金属炭酸塩;リン酸ナトリウム等の金属リン酸塩;アンモニア;炭酸アンモニウム、硫酸アンモニウム等のアンモニウム塩;モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン等のアルカノールアミン;等が挙げられる。
【0044】
アルカリ剤を配合する場合には、一種又は二種以上のアルカリ剤を配合すると良く、本実施形態の酸化染毛剤用第1剤におけるアルカリ剤の配合量は、1〜15質量であることが好ましい。
【0045】
上記酸化染毛剤用第1剤用原料としての高級アルコールは、例えば、セタノール、イソセチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール等が挙げられる。一種又は二種以上の高級アルコールを酸化染毛剤用第1剤に配合すると良く、酸化染毛剤用第1剤における高級アルコールの配合濃度は、適宜設定されるものであるが、例えば2質量%以上20質量%以下である。
【0046】
上記酸化染毛剤用第1剤用原料としてのノニオン界面活性剤は、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトールテトラ脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。一種又は二種以上のノニオン界面活性剤を酸化染毛剤用第1剤に配合すると良く、酸化染毛剤用第1剤におけるノニオン界面活性剤の配合濃度は、例えば0.1質量%以上15質量%以下である。
【0047】
酸化染毛剤用第1剤用原料としての多価アルコールは、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ブチレングリコールが挙げられる。一種又は二種以上の多価アルコールを第1剤に配合すると良く、酸化染毛剤用第1剤における多価アルコールの配合濃度は、例えば0.1質量%以上3質量%以下である。
【0048】
酸化染毛剤用第1剤原料としての炭化水素は、例えば、流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックスが挙げられる。一種又は二種以上の炭化水素を第1剤に配合すると良く、酸化染毛剤用第1剤における炭化水素の配合濃度は、例えば0.1質量%以上10質量%以下である。
【0049】
酸化染毛剤用第1剤原料としての油脂は、例えば、硬化油、アーモンド油、アボガド油、オリーブ油、シア脂油、月見草油、ツバキ油、ピーナッツ油、ローズヒップ油が挙げられる。一種又は二種以上の油脂を第1剤に配合すると良く、酸化染毛剤用第1剤における油脂の配合濃度は、例えば0.1質量%以上10質量%以下である。
【0050】
酸化染毛剤用第1剤用原料としての酸化防止剤は、例えば、アスコルビン酸、亜硫酸塩が挙げられる。
【0051】
(剤型)
本実施形態に係る酸化染毛剤用第1剤の剤型は、例えば、液状、クリーム状、ゲル状が挙げられる。
【0052】
(粘度)
本実施形態に係る酸化染毛剤用第1剤の粘度は、例えば、B型粘度計を使用して25℃、12rpmで計測した60秒後の値が4000mPa・s以上60000mPa・s以下である。
【0053】
(pH)
本実施形態に係る酸化染毛剤用第1剤のpHは、7.0以上11.5以下が好ましく、8.0以上11.0以下がより好ましい。pHは25℃における測定値が採用される。
【0054】
(酸化染毛剤用第2剤)
本実施形態の酸化染毛剤用第2剤は、酸化剤が配合されたものである(本実施形態の第2剤として典型的なものは、水の配合量が70質量%以上のものである。)。また、公知の酸化染毛剤用第2剤原料を任意原料として本実施形態に係る酸化染毛剤用第2剤に配合しても良い。
【0055】
酸化染毛剤用第2剤に配合される上記酸化剤としては、例えば、過酸化水素、臭素酸塩、過炭酸塩、過ホウ酸塩が挙げられる。酸化染毛剤用第2剤における酸化剤の配合濃度は、特に限定されないが、例えば0.3質量%以上7質量%以下である。
【0056】
本実施形態の酸化染毛剤用第2剤には、カチオン界面活性剤が配合されてもよい。
(C1)リン酸ジアルキル、及び、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸が配合された本実施形態の酸化染毛用第1剤と、カチオン界面活性剤が配合された本実施形態の酸化染毛剤用第2剤とを混合した酸化染毛剤において、アンモニア等の刺激臭を低減することができる。
【0057】
本実施形態の酸化染毛剤用第2剤に配合するカチオン界面活性剤としては、例えば、ジセチルジメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジココイルジメチルアンモニウムクロリド等のジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩;ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムメトサルフェート等のモノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩;ステアロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド等の長鎖アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩;が挙げられる。上記のカチオン界面活性剤を、一種又は二種以上配合すると良い。
本実施形態の酸化染毛剤用第2剤におけるカチオン界面活性剤の配合濃度は、例えば0.1質量%以上5質量%以下である。
【0058】
本実施形態の酸化染毛剤用第2剤に任意配合する公知の酸化染毛剤用第2剤原料としては、高級アルコール(配合濃度は、例えば2質量%以上15質量%以下)、ノニオン界面活性剤(配合濃度は、例えば0.5質量%以上6質量%以下)、多価アルコール、エステル油、酸化防止剤、キレート剤などである。
【0059】
酸化染毛剤用第2剤の剤型は、特に限定されず、例えば液状、クリーム状、ゲル状が挙げられる。
【0060】
(酸化染毛剤)
本実施形態の酸化染毛剤は、本実施形態の酸化染毛剤用第1剤と、本実施形態の酸化染毛剤用第2剤とを混合したものである。当該酸化染毛剤用第1剤と酸化染毛剤用第2剤との混合比は、例えば、酸化染毛剤用第1剤:酸化染毛剤用第2剤=1:0.4〜2である。
【0061】
(対象毛髪)
本実施形態の酸化染毛用第1剤によって処理を行う対象毛髪としては、特に限定されず、酸化染毛剤による染毛処理の履歴がある毛髪、酸化染毛剤による染毛処理の履歴がない毛髪等を対象毛髪とすることができる。
【0062】
(染毛処理)
本実施形態の酸化染毛剤用第1剤と本実施形態の酸化染毛剤用第2剤とを混合して得られる酸化染毛剤を毛髪に塗布する染毛処理では、毛髪に塗布した状態において放置される時間(酸化染毛剤が洗い流されるまでの時間)が5分以上30分以下であることが好ましい。これにより、毛髪や頭皮へのダメージを小さく抑制しつつ、毛髪を青色に濃く染めることができる。
【実施例】
【0063】
以下、実施例により本発明を詳述するが、この実施例の記載により本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0064】
(酸化染毛用第1剤)
下記表1〜4に示す実施例及び比較例の酸化染毛用第1剤を調製した。
なお、表1において、実施例1a〜1c、比較例1aにおける、(C1)〜(C3)、
(C´)の配合量が異なるのは、各モル濃度を一定としているためである。
【0065】
(酸化染毛用第2剤)
上記酸化染毛用第1剤と混合して酸化染毛剤を得るための酸化染毛用第2剤を、下記表5に示す成分と水を混合して調製した。
(酸化染毛剤)
上記調製した実施例及び比較例の酸化染毛用第1剤と、上記調製した酸化染毛用第2剤を質量比1:1で混合し、酸化染毛剤を得た。
【0066】
(染毛処理)
毛束(ビューラックス社製「BM−W−M」:約1g、約10cmの人毛白髪毛束)に、酸化染毛剤4gを塗布し、室温で20分間放置した。その後、温水で毛束から酸化染毛剤を洗い流し、さらに毛束をシャンプー(ミルボン社製シャンプー「DEESSE’S NEU WillowLuxe」)で洗浄した後、櫛通しを行いながら毛束を温風で乾燥させた。以上をもって染毛処理とした。
なお、表1に示す実施例1a〜1c及び比較例1aと、表2に示す実施例2a〜2b及び比較例2aと、表3に示す実施例3a〜3eと、表4に示す実施例4a〜4bと、ではそれぞれ異なるロット番号の毛束を用いた。
【0067】
(濃染性)
染毛処理した毛束について、基準の毛束と比べて、青色の濃さを目視確認した。
なお、基準の毛束としては、表1においては比較例1aを基準とし、表2においては比較例2aを基準とし、表3においては実施例3eを基準とし、表4においては実施例4bを基準とした。
評価基準は、以下の通りとした。
◎ :「基準」とした毛束よりも青色がとても濃い。
○ :「基準」とした毛束よりも青色が濃い。
― :「基準」とした毛束よりも青色の濃さが同等。
△ :「基準」とした毛束よりも青色が薄い。
× :「基準」とした毛束よりも青色がとても薄い。
【0068】
(△L*の測定)
染毛処理した毛束に対して、分光測色計(CM−5、コニカミノルタ社製)を用いて、測定モードをSCE測定(正反射光除去)にて、測定部位を変えつつ6回測定し、その明度L*の平均値を算出した。また、同様に染毛処理をしていない毛束の明度L*の平均値を算出した。そして、測定前の毛束のL*値から測定後の毛束のL*値の差を、△L*として算出した。
なお、上記の△L*の値は、その値が小さい方が明度が低く、濃く染色されていることを示している。
【0069】
(発色の速さ)
表4に示すように、酸化染毛剤を塗布した状態における室温での放置時間をそれぞれ5、10、15、20分間とした以外は上記染毛処理と同様に染毛処理を行い、染色処理5分後、染色処理10分後、染色処理15分後、染色処理20分後の染毛処理した各毛束を得た。
発色の速さの評価は、染色処理10分後の基準の毛束と比較することで、下記評価基準により行った。表4の基準の毛束としては、実施例4bを基準とした。
○ :「基準」とした毛束よりも青色が濃い。
― :「基準」とした毛束よりも青色の濃さが同等。
× :「基準」とした毛束よりも青色が薄い。
【0070】
さらに、染色処理5分後、染色処理10分後、染色処理15分後、染色処理20分後の各毛束について、上記△L*の測定と同様にして、△L*の値を算出した。図1において、実施例4a及び実施例4bについて、染色時間の長さと△L*の値との関係をグラフに示す。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【0075】
【表5】
【0076】
上記表1によれば、(C)成分として(C1)、(C2)、(C3)のいずれかを配合させた場合には、(C)成分の条件を満たさない(C´)リン酸セチルを配合させた場合と比較して、青色の濃染性を高めることができていることが分かる。(C)成分のなかでも、(C1)リン酸ジアルキル、及び、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸を配合させた場合には、特に青色の濃染性を高めることができていることが分かる。
【0077】
また、上記表2によれば、(A)トルエン−2,5−ジアミン含有量/(B)2,4−ジアミノフェノキシエタノール含有量の値が0.2程度に小さい場合(比較例2a)よりも、0.8程度に大きい場合(実施例2a)の方が△L*の値が小さく、青色の濃染性を高めることができていることが分かる。さらに、(A)トルエン−2,5−ジアミン含有量/(B)2,4−ジアミノフェノキシエタノール含有量の値が0.2程度に小さい場合(比較例2a)よりも、3.14程度に大きくした場合には(実施例2b)、△L*の値が小さくなる(青色の濃染性が高まる)ことが分かる。
【0078】
さらに、上記表3によれば、(A)トルエン−2,5−ジアミン含有量/(B)2,4−ジアミノフェノキシエタノール含有量の値が0.38(比較例3e)から0.8(実施例3a)に増大していくに連れて、△L*の値が小さく、青色の濃染性を高めることができていることが分かる。
【0079】
さらに、上記表4によれば、キレート剤として(D´)エデト酸二ナトリウムを配合した実施例4bについても、キレート剤としてエチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸三ナトリム二水塩を配合した実施例4aについても、いずれも十分な青色の濃染性が得られていることが分かる。
【0080】
特に、(D´)エデト酸二ナトリウムを配合した実施例4bよりも、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸三ナトリム二水塩を配合した実施例4aの方が、染色処理の時間が同じ場合を比較すると、△L*の値が小さく、青色の濃染性を高めることができていることが分かる。すなわち、青色の濃染性について同程度を求める場合には、実施例4aの方が実施例4bよりも酸化染毛剤を塗布した状態における室温での放置時間を短縮できることが分かる。
図1