(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-70859(P2018-70859A)
(43)【公開日】2018年5月10日
(54)【発明の名称】フルオロポリマー及びフルオロポリマーを含む膜(II)
(51)【国際特許分類】
C08F 212/14 20060101AFI20180406BHJP
C08F 226/06 20060101ALI20180406BHJP
C08F 293/00 20060101ALI20180406BHJP
C08J 9/28 20060101ALI20180406BHJP
B01D 69/10 20060101ALI20180406BHJP
B01D 69/12 20060101ALI20180406BHJP
B01D 71/32 20060101ALI20180406BHJP
B01D 71/28 20060101ALI20180406BHJP
B01D 71/80 20060101ALI20180406BHJP
B01D 71/30 20060101ALI20180406BHJP
B01D 71/42 20060101ALI20180406BHJP
B01D 71/68 20060101ALI20180406BHJP
B01D 71/26 20060101ALI20180406BHJP
B01D 71/48 20060101ALI20180406BHJP
B01D 71/66 20060101ALI20180406BHJP
B01D 71/36 20060101ALI20180406BHJP
B01D 71/34 20060101ALI20180406BHJP
B01D 71/52 20060101ALI20180406BHJP
【FI】
C08F212/14
C08F226/06
C08F293/00
C08J9/28CEW
B01D69/10
B01D69/12
B01D71/32
B01D71/28
B01D71/80
B01D71/30
B01D71/42
B01D71/68
B01D71/26
B01D71/48
B01D71/66
B01D71/36
B01D71/34
B01D71/52
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-153616(P2017-153616)
(22)【出願日】2017年8月8日
(31)【優先権主張番号】15/237,192
(32)【優先日】2016年8月15日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】596064112
【氏名又は名称】ポール・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Pall Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100148596
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 和弘
(72)【発明者】
【氏名】フランク オケジー オニェマウワ
(72)【発明者】
【氏名】ハッサン アイット−ハドゥ
【テーマコード(参考)】
4D006
4F074
4J026
4J100
【Fターム(参考)】
4D006GA06
4D006GA07
4D006MA03
4D006MA09
4D006MB19
4D006MB20
4D006MC22
4D006MC24X
4D006MC27X
4D006MC28X
4D006MC29
4D006MC30
4D006MC39X
4D006MC45
4D006MC48
4D006MC61
4D006MC62
4D006MC63
4D006MC74
4D006MC79X
4D006MC81
4D006NA03
4D006NA13
4D006NA54
4D006NA64
4D006PA01
4D006PC01
4F074AA32
4F074CB04
4F074CB14
4F074CB47
4F074DA10
4F074DA43
4J026HA05
4J026HA29
4J026HA32
4J026HA38
4J026HA39
4J026HB19
4J026HB32
4J026HB38
4J026HB39
4J026HB45
4J026HB48
4J026HE01
4J100AB07P
4J100AQ12Q
4J100BA02P
4J100BA51P
4J100BB18P
4J100CA04
4J100JA15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コポリマー、コポリマーから作製される多孔質膜、及び多孔質膜を使用して流体を処理して、例えばマイクロエレクトロニクス産業において生じる流体から金属イオンを除去する方法の提供。
【解決手段】コポリマーであって、モノマー単位I及びIIを含み、モノマー単位Iは、式A−X−CH
2−B[式中、AはRf−(CH
2)nであり、Rfは式CF
3−(CF
2)
x−(式中、xは3〜12である)のペルフルオロアルキル基であり、nは1〜6であり、XはO又はS、Bはビニルフェニルである]を有し、モノマー単位IIはビニルピリジンである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合したモノマー単位I及びIIを含むコポリマーであって、
モノマー単位Iが、式A−X−CH2−B[式中、AはRf−(CH2)nであり、Rfは式CF3−(CF2)x−(式中、xは3〜12である)のペルフルオロアルキル基であり、nは1〜6であり、XはO又はS、Bはビニルフェニルである]
を有し、
モノマー単位IIが、ビニルピリジンである、
コポリマー。
【請求項2】
n=2である、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項3】
x=4〜8である、請求項1又は2に記載のコポリマー。
【請求項4】
ビニルピリジンが4−ビニルピリジンである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のコポリマー。
【請求項5】
ブロックコポリマーである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のコポリマー。
【請求項6】
ランダムコポリマーである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のコポリマー。
【請求項7】
多孔質支持体上に配置された請求項1〜6のいずれか一項に記載のコポリマーを含む、多孔質膜。
【請求項8】
前記多孔質支持体が多孔質ポリマー支持体である、請求項7に記載の多孔質膜。
【請求項9】
前記多孔質ポリマー支持体が、PVC/PAN、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、HDPE、PET、PPS、PPSU(ポリフェニルスルホン)、PTFE、PVDF、PVF(ポリフッ化ビニル)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、FEP(フッ化エチレン−プロピレン)、ETFE(ポリエチレンテトラフルオロエチレン)、ECTFE(ポリエチレンクロロトリフルオロエチレン)、PFPE(ペルフルオロポリエーテル)、PFSA(ペルフルオロスルホン酸)、及びペルフルオロポリオキセタンから選択される、請求項8に記載の多孔質膜。
【請求項10】
コポリマーを含む多孔質膜を調製する方法であって、
前記コポリマーが、重合したモノマー単位I及びIIを含み、
モノマー単位Iが、式A−X−CH2−B[式中、AはRf−(CH2)nであり、Rfは式CF3−(CF2)x−(式中、xは3〜12である)のペルフルオロアルキル基であり、nは1〜6、XはO又はS、Bはビニルフェニルである]を有し、
モノマー単位IIが、ビニルピリジンであり、
前記方法が、
(i) 前記コポリマーを溶媒に溶解させて、前記コポリマーを含む溶液を得るステップ;
(ii) (i)からの溶液を流延して、コーティングを得るステップ;
(iii) 前記コーティングから前記溶媒を蒸発させるステップ;及び任意選択で
(iv) 前記コーティングを洗浄して、前記多孔質膜を得るステップ
を含む、方法。
【請求項11】
コポリマーを含む多孔質膜を調製する方法であって、
前記コポリマーが、重合したモノマー単位I及びIIを含み、
モノマー単位Iが、式A−X−CH2−B[式中、AはRf−(CH2)nであり、Rfは式CF3−(CF2)x−(式中、xは3〜12である)のペルフルオロアルキル基であり、nは1〜6、XはO又はS、Bはビニルフェニルである]を有し、
モノマー単位IIが、ビニルピリジンであり、
前記方法が、
(i) 前記コポリマー及び第2のポリマーを溶媒に溶解させて、前記コポリマー及び前記第2のポリマーを含む溶液を得るステップ;
(ii) (i)からの溶液を、細孔を形成する粉末と混合して、混合物を得るステップ;
(iii) (ii)からの混合物を流延して、コーティングを得るステップ;
(iv) 前記コーティングから前記溶媒を蒸発させるステップ;
(v) 前記コーティングを洗浄して、前記細孔を形成する粉末を除去するステップ;及び
(vi)得られた膜を乾燥させるステップ
を含む、方法。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の方法によって調製される、多孔質膜。
【請求項13】
流体をろ過する方法であって、請求項7〜9又は12のいずれか一項に記載の多孔質膜に前記流体を通過させるステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
[0001]フルオロポリマーを含む膜は、種々の流体をろ過するために、例えば、マイクロエレクトロニクスの流体から微量の金属不純物を除去するために検討されている。これらの膜のうちのあるものは、低い表面エネルギー値若しくは臨界ぬれ表面張力(CWST)値、並びに/又は有機溶媒及び反応性の高い化学物質に対する高い耐性によって特徴付けられる。これらの膜の1つ又は複数の利点にもかかわらず、低CWST値並びに/又は有機溶媒及び/若しくは反応性の高い化学物質に対する増大した耐性などの改善された性質を有するフルオロポリマー及びかかるフルオロポリマーを含む膜に対する必要性が存在する。
【0002】
[0002]本発明は、低CWST値を有するフルオロポリマー、及び上記フルオロポリマーから作製された膜を提供する。一実施形態では、本発明は、重合したモノマー単位I及びIIを含むコポリマーであって、モノマー単位Iが、式A−X−CH
2−B[式中、AはRf−(CH
2)nであり、Rfは式CF
3−(CF
2)
x−(式中、xは3〜12である)のペルフルオロアルキル基であり、nは1〜6であり、XはO又はSであり、Bはビニルフェニルである]を有し、モノマー単位IIがビニルピリジンである、コポリマーを提供する。
【0003】
[0003]上記コポリマーは超疎水性ポリマーであり、疎油性の性質の材料表面、すなわち、25ダイン/cm未満の表面張力を付与するために使用することができる。本発明はまた、多孔質支持体上に配置された上記コポリマーを含む多孔質膜を調製する方法を提供する。本発明は、流体、特にマイクロエレクトロニクスの流体をろ過する方法をさらに提供する。例えば、上記多孔質膜は、マイクロエレクトロニクスで生成された流体に存在する金属不純物を除去して、濃度を1ppb未満、好ましくは0.005未満、又はほとんどの機器の検出限界未満にするのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】PTFE支持体のSEM顕微鏡写真を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態によってPTFE支持体上にコーティングされたコポリマーの表面のSEM顕微鏡写真を示す図である。
【0005】
[0006]一実施形態によれば、本発明は、重合したモノマー単位I及びIIを含むコポリマーであって、モノマー単位Iが式A−X−CH
2−B[式中、AはRf−(CH
2)nであり、Rfは式CF
3−(CF
2)
x−(式中、xは3〜12である)のペルフルオロアルキル基であり、nは1〜6であり、XはO又はSであり、Bはビニルフェニルである]を有し、モノマー単位IIがビニルピリジンである、コポリマーを提供する。
【0006】
[0007]上記コポリマーの一実施形態において、n=2、3、又は4であり、特に2である。
【0007】
[0008]上の実施形態のいずれかにおいて、x=4、5、6、7、又は8であり、特に6である。
【0008】
[0009]上の実施形態のいずれかにおいて、ビニルピリジンは、2−、3−、又は4−ビニルピリジン、特に4−ビニルピリジンであることができる。
【0009】
[0010]ペルフルオロアルキル基は、Bのフェニル環上の、任意の適切な位置、すなわち、オルト、メタ、若しくはパラに存在することができ、好ましくはメタ若しくはパラ位であり、又は、o、m、及び/若しくはパラ異性体の混合物を使用することができる。本明細書では、「p/m」とは、パラ及びメタ異性体の混合物を指す。
【0010】
[0011]上の実施形態のいずれかにおいて、上記コポリマーは、ブロックコポリマー、例えば、ジブロック、トリブロック、若しくはマルチブロックコポリマーであるか、又はランダムコポリマーである。
【0011】
[0012]一実施形態において、モノマー単位Iは、2−(ペルフルオロヘキシル)エチルアルコール、2−(ペルフルオロオクチル)エチルチオール、2−(ペルフルオロオクチル)エチルアルコール、2−(ペルフルオロヘキシル)エチルチオール、パラ及び/又はメタ置換された[[(ペルフルオロヘキシルエチレン)オキシ]メチル]−スチレン、並びにパラ及び/又はメタ置換された[[(ペルフルオロヘキシルエチレン)チオ]メチル]−スチレンからなる群から選択されるモノマーを含む。
【0012】
[0013]一実施形態において、上記コポリマーは、ポリ[p/m−[[(ペルフルオロヘキシルエチレン)チオ]メチル]−スチレンとポリビニルピリジンとのコポリマー及びポリ[p/m−[[(ペルフルオロヘキシルエチレン)オキシ]メチル]−スチレンとポリビニルピリジンとのコポリマーからなる群から選択される。別の実施形態において、上記コポリマーは、ポリ[p/m−[[(ペルフルオロオクチルエチレン)チオ]メチル]−スチレンとポリビニルピリジンとのコポリマー、及びポリ[p/m−[[(ペルフルオロオクチルエチレン)オキシ]メチル]−スチレンとポリビニルピリジンとのコポリマーからなる群から選択される。
【0013】
[0014]上の実施形態のいずれかにおいて、上記コポリマーは、少なくとも35体積%のフッ化鎖を含む。別の実施形態において、上記ランダムコポリマーは、50%以下の体積比のペルフルオロ−スチレン基を含む。
【0014】
[0015]上記コポリマーは、任意の適切な技法によって調製することができる。例えば、ブロックコポリマーは、スキーム1又は2に例示する通りに調製することができる。
【0016】
[0016]ブロックコポリマーを調製するためにリビングフリーラジカル重合を使用することができ、ランダムコポリマーを調製するためにAIBNを使用することができる。ペルフルオロヘキシルエチルチオメチルスチレンブロックは、有利なことに、下にある基材と相互作用するファンデルワールス力を与えて、自己組織化構造を形成する。この特徴を、膜の形成、膜の修飾、及び中空糸膜の生成に使用することができる。ペルフルオロヘキシルエチルチオメチルスチレンブロックにより与えられるファンデルワールス力は、選択溶媒中での2つのセグメントの非相溶性(疎油性で、より親水性のビニルピリジンブロック)に起因する相分離を促進し、それによって所定の細孔の形成が可能となり、個々のブロックを所定の形態及び秩序化されたドメインに自己組織化させることができる。
【0017】
[0017]上記ブロックコポリマーは、炭化水素をはじくことを示す、例えば20ダイン/cm程度に低い表面張力を有する疎油性の特性を呈するが、このブロックコポリマーは、親水性溶媒では58ダイン/cm程度に高い表面張力を有する親水性の特性も示す。その一方で、上記ランダムコポリマーは疎油性であり、例えば20ダイン/cm程度の低い表面張力を有する。
【0018】
[0018]上記ブロックコポリマーは、4−ビニルピリジン(4VP)の逐次重合によって合成した。次いで、ペルフルオロヘキシルエチルチオメチルスチレン(pfotms)を40時間後に添加した。簡潔に述べると、4−ビニルピリジン(2.63g、25mmol、2.4mLクロロベンゼン中)、再結晶させた過酸化ベンジル(0.061g、0.25mmol)及びTEMPO(0.05g、0.32mmol)の溶液を、丸底フラスコに装入した。氷水浴中で20分間脱気した後、反応混合物を95℃の加熱浴温度で3時間加熱して、BPOを完全に分解し、125℃で40時間、重合を進行させた。次いで反応混合物を室温まで冷却し、pfotms(6.2g、12.5mmol、1.6mLクロロベンゼン中)を添加した。混合物を前述の通りに脱気した。反応を130℃で40時間行った。クロロホルム(100mL)で希釈し、ヘキサンから沈殿させ、乾燥させた後に、ブロックコポリマーが得られた。
1H NMRの結果から、4vp/pfotmsの比率が1/0.55であることが示される。DSCの結果から、ブロックコポリマーには2つのTg(49℃及び140℃)があることが示される。
【0019】
[0019]ポリ[p/m−[[(ペルフルオロヘキシルエチレン)チオ]メチル]−スチレン又はポリ[p/m−[[(ペルフルオロヘキシルエチレン)オキシ]メチル]−スチレンと4−ビニルピリジンとのランダムコポリマーは、1当量の4−ビニピリジンを1当量のパラ又はp/m−[[(ペルフルオロヘキシルエチレン)チオ]メチル]−スチレンと、適切な濃度の、例えば、p/m−[[(ペルフルオロヘキシルエチレン)チオ]メチル]−スチレンの66%の濃度のTHF中で混合することによって合成することができる。次いで3mol%のアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を添加し、混合物を20分間脱気し、その後、反応混合物を適切な温度、例えば60℃で約14時間撹拌し、その後反応物を冷却し、イソプロパノール中で沈殿させる。次いで溶媒をデカントし、沈殿物をアセトンに再溶解させる。アセトン中の生成物を新たなイソプロパノール中で再沈殿させ、粗いガラス漏斗(fritted funnel)を使用してろ過し、イソプロパノールで洗浄し、真空オーブン中で一晩乾燥させる。
【0020】
[0020]上記ランダムコポリマーは、他のフリーラジカル重合プロセスを使用しても合成することができ、例えば、有機反応用に使用される熱及び紫外線で活性化される全てのラジカル開始剤をこの目的のために使用することができる。
【0021】
[0021]ランダムコポリマー、例えば、ポリ(pfotms−ran−4vp)は、1:1のモノマー比で、アセトンに可溶で膜コーティングに特に適したコポリマーを生じる。
【0022】
[0022](2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−イル)オキシル(TEMPO)をブロック重合に使用すると、ポリマー鎖の成長速度を遅くし、短い方の鎖を再結合させることができるので、1.2〜1.5という狭い分子量分布を有するブロックコポリマーが得られる。
【0023】
[0023]一実施形態において、ランダムコポリマーの数平均分子量は、約5KDa〜約100KDaであり、特に10KDa〜約60KDaであり[確認]、より特に約50KDaである。数平均分子量は、GPCにより決定する。
【0024】
[0024]ランダムコポリマーの平均分子量は約50kDaであるが、ブロックコポリマーの分子量は、重合反応の継続時間に依存する。
【0025】
[0025]ブロックコポリマーは、例えば、原子移動ラジカル重合(ATRP)、ヨウ素移動重合(ITP)、アニオン重合、及びニトロキシドを介するラジカル重合(NMP)という他の形を含めた、任意の適切なプロセスによって合成することができる。
【0026】
[0026]ブロックコポリマーの数平均分子量は、約10KDa〜約400KDaであり、特に50KDa〜約200KDaであり、より特に約150KDaである。ブロックコポリマーの分子量は重合の継続時間に依存するであろうが、ブロックの平均分子量は、86時間の運転で約400KDaである。
【0027】
[0027]本発明は、上述のコポリマーのいずれかを含む多孔質膜であって、自立型であるか、又は多孔質支持体、例えば、多孔質ポリマー支持体上に配置される、多孔質膜をさらに提供する。
【0028】
[0028]一実施形態において、多孔質ポリマー支持体は、PVC/PAN、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、HDPE、PET、PPS、PPSU(ポリフェニルスルホン)、PTFE、PVDF、PVF(ポリフッ化ビニル)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、FEP(フッ化エチレン−プロピレン)、ETFE(ポリエチレンテトラフルオロエチレン)、ECTFE(ポリエチレンクロロトリフルオロエチレン)、PFPE(ペルフルオロポリエーテル)、PFSA(ペルフルオロスルホン酸)、及びペルフルオロポリオキセタンから選択される。
【0029】
[0029]上記多孔質膜は、疎油性であることができ、特に、約23ダイン/cm以下、例えば、22又は21ダイン/cmのCWSTを有する疎油性の膜であることができる。上記多孔質膜は、例えば、多孔質膜を作製するポリマーと上記コポリマーとを含む、機能的に作製されたままである膜であるか、又は、例えば、上記コポリマーでコーティングされた多孔質膜であり得る。
【0030】
[0030]CWSTは、適切な方法で測定することができる。一実施形態において、その方法は、一定の組成の一組の溶液に依存する。各溶液は、特定の表面張力を有する。溶液の表面張力は、小さい非等価な増分で15〜92ダイン/cmの範囲である。膜の表面張力を測定するために、膜を白色光テーブルの上部に置き、ある特定の表面張力の溶液一滴をその多孔質膜の表面に適用し、その液滴が膜に浸透し、光が多孔質膜を透過したことの指標として明るい白色となる時間を記録する。液滴が多孔質膜に浸透するのにかかる時間が≦10秒であるとき、瞬間ぬれと考えられる。その時間が>10秒であれば、溶液は多孔質膜を部分的にぬらすと考えられる。
【0031】
[0031]本発明の一実施形態によれば、上記多孔質膜は多孔質膜であり、例えば、ナノ多孔質膜、例えば、1nm〜100nmの間の直径の細孔を有する多孔質膜、又は1μm〜10μmの間の直径の細孔を有する微孔質膜である。
【0032】
[0032]上記多孔質膜はまた、1種又は複数の官能基を含む機能性膜であってもよい。上記多孔質膜は、例えば、荷電膜であることができる。多孔質膜を官能化すると、CWSTを最大約50ダイン/cmにすることができる。官能基として、例えば、カチオン基、アニオン基、又は極性基が挙げられてもよく、それらの基は、上記コポリマーの形成後に、当業者に公知の技法によってピリジル環上に導入することができる。
【0033】
[0033]本発明は、上述の通りのコポリマーを含む多孔質膜を調製する方法であって、一実施形態において、
(i) 上記コポリマーを溶媒に溶解させて、上記コポリマーを含む溶液を得るステップ;
(ii) (i)からの溶液を流延して、コーティングを得るステップ;
(iii) 上記コーティングから上記溶媒を蒸発させるステップ;及び任意選択で
(iv) 上記コーティングを洗浄して、上記多孔質膜を得るステップ
を含む、方法をさらに提供する。
【0034】
[0034]別の実施形態において、本発明は、上述の通りのコポリマーを含む多孔質膜を調製する方法であって、
(i) 上記コポリマー及び第2のポリマーを溶媒に溶解させて、上記コポリマー及び上記第2のポリマーを含む溶液を得るステップ;
(ii) (i)からの溶液を、細孔を形成する粉末と混合して、混合物を得るステップ;
(iii) (ii)からの混合物を流延して、コーティングを得るステップ;
(iv) 上記コーティングから上記溶媒を蒸発させるステップ;
(v) 上記コーティングを洗浄して、上記細孔を形成する粉末を除去するステップ;及び
(vi) 得られた膜を乾燥させるステップ
を含む、方法を提供する。
【0035】
[0035]上記多孔質膜は、例えば、上記コポリマー、例えばポリ(pftoms−co−vp)、及び第2のポリマー、例えばPVC−ANを、適切な溶媒又は溶媒混合物、例えばTHFに溶解させ、600rpmで60分間撹拌し、次いで所望の孔径を実現する溶解可能な粒子、例えばNaHCO
3粒子などを溶液中に添加し、1500rpmで120分間撹拌することによって、調製することができる。次いで、この混合物をガラス板上のPETなどの基材上に流延する。溶媒を室温でゆっくり蒸発させた後、多孔質膜を希HCl溶液中に一晩浸漬して溶解可能な粒子を除去する。得られた膜を、溶媒の沸点に応じた適切な温度で、例えば、40℃〜100℃、特に80℃で、オーブン中で、溶媒を除去するのに適切な時間、例えば60分間乾燥させる。
【0036】
[0036]適切な第2のポリマーとして、HDPE、PET、PPS、PPSU(ポリフェニルスルホン)、PTFE、PVDF、PVF(ポリフッ化ビニル)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、FEP(フッ化エチレン−プロピレン)、ETFE(ポリエチレンテトラフルオロエチレン)、ECTFE(ポリエチレンクロロトリフルオロエチレン)、PFPE(ペルフルオロポリエーテル)、PFSA(ペルフルオロスルホン酸)、及びペルフルオロポリオキセタンも挙げられる。
【0037】
[0037]上の方法で使用することができる適切な溶解可能な粒子として、炭酸カリウム、ゼオライト、セルロース、可溶性繊維、シリカ粒子、及びナノ粒子;例えば酸化亜鉛が挙げられる。
【0038】
[0038]上記多孔質膜は、多くの方法のうちの1つでコポリマーを含むことができる。例えば、上記多孔質膜は、上記コポリマーを含むコーティングを含んでもよい。上記多孔質膜は、2%のコポリマーを適切な溶媒、例えばアセトンに溶解させ、PTFEなどの多孔質支持体をポリマー溶液中に2秒間浸すことによって調製することができる。コーティングされた支持体を80℃のオーブン中で20分間乾燥させ、生成物をIPA中に2時間浸漬し、80℃のオーブン中で30分乾燥させて、多孔質膜を得る。PTFE支持体及びこの支持体上にコーティングされた多孔質膜の表面のSEM顕微鏡写真を、それぞれ
図1〜2に表す。
【0039】
[0039]フッ化鎖は、疎油性を上記多孔質膜に付与するために、上記ポリマーの少なくとも35体積%存在しなければならない。加えて、上記ランダムコポリマー中のペルフルオロ−スチレンブロックの体積比は、ポリマーが非フッ化溶媒に可溶性であるように、50%より多くてはいけない。
【0040】
[0040]上記コポリマーが、疎油性の性質を、例えば多孔質膜などの材料に付与して、後処理の必要なく材料に23ダイン以下の表面張力をもたらすことができることは、有利である。上記コポリマーを含む多孔質膜は、酸、塩基、有機溶媒、酸化剤中で安定であり、高温で安定であり、且つガンマ線照射に対して安定である。多孔質膜において高い水漏出圧及び空気流量を実現することができ、多孔質膜は、例えば、カチオン性及びアニオン性基などで容易に官能化することができる。
【0041】
[0041]上記多孔質膜は、Li、Na、K(及び他の第1族金属);Mg、Ca(及び他の第2族金属);Al(及び他の第3族金属)、Pb(及び他の第4族金属)、Sb、Bi(及び他の第5族金属)、及びCd、Cr、Mo、Pd、Ag、W、V、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn(及び他の遷移金属)などの微量金属を、多くの用途における水及び有機流体から、例えば、マイクロエレクトロニクス産業におけるものなどから除去して、例えば、0.005ppbのレベルまで、又は機器の検出限界まで下がるようにするために使用することもできる。
【0042】
[0042]本発明は以下の実施形態を含むが、これらに限定されない:
1) セグメントA及びセグメントAを含むランダムコポリマーであって、セグメントAが、ポリ[p/m−[[(ペルフルオロヘキシルエチレン)チオ]メチル]−スチレン又はポリ[p/m−[[(ペルフルオロヘキシルエチレン)オキシ]メチル]−スチレンであり、セグメントBが、4−ビニルピリジンである、ランダムコポリマー;
2) セグメントA及びセグメントBを含むブロックコポリマーであって、セグメントAが、ポリ[p/m−[[(ペルフルオロヘキシルエチレン)チオ]メチル]−スチレン又はポリ[p/m−[[(ペルフルオロヘキシルエチレン)オキシ]メチル]−スチレンであり、セグメントBが、4−ビニルピリジンである、ブロックコポリマー;
3) 親水性、疎水性、又は荷電膜と、セグメントA及びセグメントBを含むランダムコポリマーを含むコーティングとを含む多孔質膜であって、セグメントAが、ポリ[p/m−[[(ペルフルオロヘキシルエチレン)チオ]メチル]−スチレン又はポリ[p/m−[[(ペルフルオロヘキシルエチレン)オキシ]メチル]−スチレンであり、セグメントBが、4−ビニルピリジンであり、上記コポリマーでコーティングされているとき、上記多孔質膜が、23ダイン/cm以下の表面張力を有する疎油性の膜である、多孔質膜;
4) ブロックコポリマーを含むコーティングを含む多孔質PTFE膜であって、上記ブロックコポリマーがセグメントA及びセグメントBを含み、セグメントAが、ポリ[p/m−[[(ペルフルオロヘキシルエチレン)チオ]メチル]−スチレン又はポリ[p/m−[[(ペルフルオロヘキシルエチレン)オキシ]メチル]−スチレンであり、セグメントBが4−ビニルピリジンであり、コーティングされているとき、上記PTFE膜が、炭化水素中で23ダイン/cm以下の表面張力を有し、水素結合している溶媒中で親水性であり、約58ダイン/cm以下の表面張力を有する、多孔質PTFE膜;
5) ブロックコポリマーを含む自己組織化膜であって、上記ブロックコポリマーがセグメントA及びセグメントBを含み、セグメントAが、ポリ[p/m−[[(ペルフルオロヘキシルエチレン)チオ]メチル]−スチレン又はポリ[p/m−[[(ペルフルオロヘキシルエチレン)オキシ]メチル]−スチレンであり、セグメントBが4−ビニルピリジンである、自己組織化膜。
【0043】
[0043]本発明の実施形態によれば、多孔質膜は、平面、平板、ひだ状、管状、らせん状、及び中空糸を含めた、種々の立体構造を有することができる。一実施形態において、上記多孔質膜は、中空糸膜である。
【0044】
[0044]本発明の実施形態による多孔質膜は、典型的には、少なくとも1つの注入口及び少なくとも1つの流出口を備え、注入口と流出口の間に少なくとも1つの流体流路を画定する筐体内に配置されており、ここでは、少なくとも1つの本発明の膜又は少なくとも1つの本発明の膜を含むフィルターは、流体流路を横断してフィルター装置又はフィルターモジュールを形成する。一実施形態において、注入口及び第1の流出口を備え、注入口と第1の流出口の間に第1の流体流路を画定する筐体と、少なくとも1つの本発明の膜又は少なくとも1つの本発明の膜を含むフィルターとを備え、本発明の膜又は少なくとも1つの本発明の膜を含むフィルターが、筐体内に第1の流体流路を横断して配置される、フィルター装置が提供される。
【0045】
[0045]クロスフロー用途の場合、少なくとも1つの本発明の膜又は少なくとも1つの本発明の膜を含むフィルターは、少なくとも1つの注入口及び少なくとも2つの流出口を備えており、注入口と第1の流出口の間に少なくとも第1の流体流路及び注入口と第2の流出口の間に第2の流体流路を画定する筐体内に配置され、ここで、本発明の膜又は少なくとも1つの本発明の膜を含むフィルターが、第1の流体流路を横断してフィルター装置又はフィルターモジュールを形成することが好ましい。例示的実施形態において、フィルター装置は、クロスフローフィルターモジュールを備え、筐体は、注入口、濃縮液流出口を備えた第1の流出口、及び透過液流出口を備えた第2の流出口を備え、注入口と第1の流出口の間に第1の流体流路、及び注入口と第2の流出口の間に第2の流体流路を画定し、ここで、少なくとも1つの本発明の膜又は少なくとも1つの本発明の膜を含むフィルターは、第1の流体流路を横断して配置される。
【0046】
[0046]上記フィルター装置又はモジュールは、滅菌可能であってもよい。適切な形状であり、注入口及び1つ又は複数の流出口を備える任意の筐体を用いてもよい。
【0047】
[0047]上記筐体は、処理される流体と適合性のある、任意の不浸透性の熱可塑性材料を含めた、任意の適切な剛性の不浸透性材料から製作することができる。例えば、筐体は、ステンレス鋼などの金属から、又はポリマー、例えば、アクリル、ポリプロピレン、ポリスチレン、又はポリカーボネート樹脂などの透明又は半透明のポリマーから製作することができる。
【0048】
[0048]本発明の実施形態による多孔質膜は、例えば、診断用途(例えば、試料調製及び/又は診断用ラテラルフロー装置を含む)、インクジェット用途、リソグラフィー、例えば、HD/UHMW PEベースの媒体の代用品として、製薬産業用の流体のろ過、金属除去、超純水の生成、工業用水及び地表水の処理、医療用途用の流体のろ過(家庭用及び/又は患者用の使用を含む、例えば、静脈注射用途、また、例えば、血液などの体液のろ過を含む(例えば、ウイルス除去))、エレクトロニクス産業用の流体のろ過(例えば、マイクロエレクトロニクス産業におけるフォトレジスト流体及び高温SPMのろ過)、飲食産業用の流体のろ過、ビールのろ過、浄化、抗体及び/又はタンパク質を含有する流体のろ過、核酸を含有する流体のろ過、細胞検出(インサイチュを含む)、細胞採取、及び/又は細胞培養流体のろ過を含めた、種々の用途に使用することができる。代替的に、又は追加的に、本発明の実施形態による多孔質膜は、空気及び/若しくはガスをろ過するために使用することができ、並びに/又は通気用途用(例えば、空気及び/又はガスはその膜を通過させるが、液体は通過させない)に使用することができる。本発明の実施形態による多孔質膜は、手術用装置を含めた種々の装置及び製品、例えば眼科手術用品などに使用することができる。
【0049】
[0049]本発明は、流体をろ過する方法であって、上述の多孔質膜のいずれかに流体を通過させるステップを含む、方法をさらに提供する。例えば、微量金属不純物は、次世代半導体及びマイクロエレクトロニクス材料の製造に問題を引き起こし続けている。本発明の一実施形態は、金属を含有する流体を、上記コポリマーを含む多孔質膜に通し、金属を流体から除去することによって、流体、特にマイクロエレクトロニクスの流体から金属を除去する、方法を含む。一実施形態において、本発明の方法は、金属を含有する流体を、上記コポリマー及び官能基を含む機能性多孔質膜に通し、金属を流体から除去するステップを含む。上記機能性膜は、大半の微量金属の約99%を流体から除去することができる。
【0050】
[0050]以下の実施例は本発明をさらに例示するが、当然のことながら、決して本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0051】
実施例1
[0051]この実施例は、本発明の一実施形態による、ペルフルオロヘキシルエチルチオールとビニルピリジンとのブロックコポリマー、すなわちポリ(pfotms−block−4vp)の調製を例示する。
【0052】
[0052]4−ビニルピリジン(4VP)、及び40時間後にペルフルオロヘキシルエチルチオメチルスチレン(pfotms)を添加した。4VP(2.63g、25mmol、2.4mLクロロベンゼン中)、再結晶させた過酸化ベンジル(0.061g、0.25mmol)、及びTEMPO(0.05g、0.32mmol)の溶液を丸底フラスコに装入した。氷水浴中で20分間脱気した後、反応混合物を95℃で3時間加熱して、BPOを完全に分解し、125℃で40時間、重合を進行させた。次いで、反応混合物を室温まで冷却し、pfotms(6.2g、12.5mmol、1.6mLクロロベンゼン中)を添加した。混合物を前述の通りに脱気した。反応を130℃で40時間行った。クロロホルム(100mL)で希釈し、ヘキサンから沈殿させ、乾燥させた後に、ブロックコポリマーが得られた。NMRの結果から、4vp/pfotmsの比率が1/0.55であることが示される。DSCの結果から、ブロックコポリマーには2つのTg(49℃及び140℃)があることが示される。
【0053】
実施例2
[0053]この実施例は、本発明の一実施形態による、ペルフルオロヘキシルエチルチオールとビニルピリジンとのランダムコポリマー、すなわちポリ(pfotms−ran−4vp)の調製を例示する。
【0054】
[0054]ペルフルオロヘキシルエチルチオールメチルスチレン(10mmol)を、エタノール(10mL)を含有する250mLの丸底フラスコ中60℃で溶解させ、4−ビニルピリジン(10mmol)を添加した。反応混合物を窒素で20分間パージし、次いでAIBN(360mg、0.989mmol、10mol%)を添加し、パージをさらに5分間継続した。その後、反応混合物を60℃で16時間撹拌した。得られた生成物を室温まで放冷し、水及びアセトンで順に洗い流し、真空オーブン中でP
2O
5と共に一晩乾燥させた。
【0055】
[0055]ペルフルオロオクチルエチルチオールとビニルピリジンとのランダムコポリマー、すなわちポリ(pfdtms−ran−4vp)を、同じ手順を使用して合成した。
【0056】
実施例3
[0056]ポリ(pftoms−co−vp)及びPVC−ANをTHF中で混合し、600rpmで60分間撹拌し、NaHCO
3粒子を添加し、1500rpmで120分間撹拌することによって、多孔質膜を調製した。この混合物を、ガラス板上のPET基材上に流延した。THFを室温でゆっくり蒸発させた後、得られた流延物を希HCl溶液中に一晩浸漬して、炭酸水素ナトリウム粒子を除去した。得られた膜を80℃のオーブン中で60分間乾燥させた。
【0057】
実施例4
[0057]この実施例は、ランダムコポリマー及び多孔質膜の性質のうち幾つかを例示する。表1は、コポリマー及びホモポリマーのガラス転移温度を示す。
【0059】
[0058]表2は、コーティングした膜の表面張力測定値、及び空気流/水漏出の特性評価を例示する。
【0061】
[0059]本明細書に引用される公報、特許出願、及び特許を含めた全ての参考文献は、各参考文献が参照によって組み込まれ、その全体が本明細書に記されると個々に具体的に示された場合と同程度に、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0062】
[0060]本発明を説明する文脈における(特に添付の特許請求の範囲の文脈における)、「ある(a)」及び「ある(an)」及び「その(the)」及び「少なくとも1つの」という用語、並びに同様の指示語の使用は、本明細書に特に示さない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を網羅すると解釈されるべきである。1つ又は複数の項目の列挙に続く「少なくとも1つの」という用語の使用(例えば、「A及びBのうちの少なくとも1つの」)は、本明細書に特に示さない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、列挙された項目(A又はB)から選択される1つの項目、又は列挙された項目のうちの2つ以上の任意の組み合わせ(A及びB)を意味すると解釈されるべきである。「備える」、「有する」、「含む」、及び「含有する」という用語は、特に断りのない限り、オープンエンドターム(すなわち、「含むが限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の記述は、本明細書に特に示さない限り、その範囲内の各々の別個の値を個々に言及する略記法としての役割を果たすことを単に意図しており、各々の別個の値は、あたかも本明細書に個々に記述されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書に特に示さない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書に示されるいずれか及び全ての例、又は例を示す言葉(例えば、「など」)の使用は、本発明をより良く明らかにすることを意図するに過ぎず、特に主張しない限り、本発明の範囲に制限を課すことを意図するものではない。本明細書におけるいかなる言葉も、特許請求されない任意の要素が本発明の実施に必須として示されると解釈されるべきではない。
【0063】
[0061]本明細書には、本発明者らが知る本発明を行うための最良の形態を含めた本発明の好ましい実施形態が記載されている。当業者であれば、前述の説明を読めば、これらの好ましい実施形態の変形は明白となり得る。本発明者らは、当業者がかかる変形を適宜用いることを予想しており、また本発明が本明細書に具体的に記載された方法以外で実施されることを意図している。したがって、本発明は、準拠法によって許可されるように、添付の特許請求の範囲に記述される主題を改変したもの及び等価なものを全て含む。さらにまた、上述の要素の、可能な全ての変形での任意の組み合わせが、本明細書に特に示さない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、本発明によって包含される。
【外国語明細書】