【解決手段】弁座部材12に、一次室11Aと二次室11Bとの間を連通する弁ポート121を形成する。弁ポート121の軸線Lに沿って移動するニードル弁14に、二次室11B側にかけて次第に縮径する円錐状のニードル部143と、弁ポート121の内径よりも小径な円柱状の円柱部142と、を設ける。ニードル弁14が、ニードル部143から円柱部142までが弁ポート121内を進退するように配置する。一次室11A側と二次室11B側との差圧の増加と共に弁開口面積が小さくなるように構成する。差圧が増加しても一次室11Aと二次室11Bとが常時連通するように構成する。
冷凍サイクルシステムの凝縮器と蒸発器との間に設けられ、前記凝縮器に接続される一次室と前記蒸発器に接続される二次室との間で冷媒を減圧して前記蒸発器に送り出す絞り装置であって、
前記一次室と前記二次室との間を連通する弁ポートと弁体との間隙である弁開口面積を、前記一次室側の冷媒の圧力と前記二次室側の冷媒の圧力との差圧の増加と共に小さくなるように構成されるとともに、前記差圧が増加しても前記一次室と前記二次室とが常時連通されるように構成されている
ことを特徴とする絞り装置。
冷凍サイクルシステムの凝縮器と蒸発器との間に設けられ、前記凝縮器に接続される一次室と前記蒸発器に接続される二次室との間で冷媒を減圧して前記蒸発器に送り出す絞り装置であって、
前記一次室と前記二次室との間を連通する弁ポートが形成された弁座部材と、前記弁ポートの軸線に沿って移動する弁体であって、前記弁ポートと当該弁体との間隙である弁開口面積を可変にする弁体と、を備え、
前記弁体は、前記二次室側に向かって次第に径が縮径された円錐状のニードル部と、前記ニードル部の前記一次室側に形成されるとともに前記弁ポートの内径よりも小径な円柱状の円柱部と、を有し、該弁体が、前記ニードル部から前記円柱部までが前記弁ポート内を進退するように配置されている
ことを特徴とする絞り装置。
流体である冷媒を圧縮する圧縮機と、凝縮器と、蒸発器と、前記凝縮器と前記蒸発器との間に接続された請求項1乃至4のいずれか一項に記載の絞り装置と、を備えたことを特徴とする冷凍サイクルシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の冷凍サイクルシステムのように一定速度の圧縮機と固定絞り装置を用いた空気調和機においては、冷凍サイクルシステムの状態に関わらず絞り装置の開口面積は一定のため、低負荷時において、過熱度が大きくなり、システム効率が低下するという問題がある。
【0005】
本発明は、低差圧から高差圧の広い範囲において、最適な過熱度を得ることができる絞り装置及び冷凍サイクルシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の絞り装置は、冷凍サイクルシステムの凝縮器と蒸発器との間に設けられ、前記凝縮器に接続される一次室と前記蒸発器に接続される二次室との間で冷媒を減圧して前記蒸発器に送り出す絞り装置であって、前記一次室と前記二次室との間を連通する弁ポートと弁体との間隙である弁開口面積を、前記一次室側の冷媒の圧力と前記二次室側の冷媒の圧力との差圧の増加と共に小さくなるように構成されるとともに、前記差圧が増加しても前記一次室と前記二次室とが常時連通されるように構成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2の絞り装置は、請求項1に記載の絞り装置であって、前記弁開口面積が、前記差圧の増加と共に小さくなって所定の値となり、さらに前記差圧が増加したときに前記弁開口面積が大きくなるように構成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3の絞り装置は、冷凍サイクルシステムの凝縮器と蒸発器との間に設けられ、前記凝縮器に接続される一次室と前記蒸発器に接続される二次室との間で冷媒を減圧して前記蒸発器に送り出す絞り装置であって、前記一次室と前記二次室との間を連通する弁ポートが形成された弁座部材と、前記弁ポートの軸線に沿って移動する弁体であって、前記弁ポートと当該弁体との間隙である弁開口面積を可変にする弁体と、を備え、前記弁体は、前記二次室側に向かって次第に径が縮径された円錐状のニードル部と、前記ニードル部の前記一次室側に形成されるとともに前記弁ポートの内径よりも小径な円柱状の円柱部と、を有し、該弁体が、前記ニードル部から前記円柱部までが前記弁ポート内を進退するように配置されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4の絞り装置は、請求項3に記載の絞り装置であって、前記弁体は、ガイド部材のガイド孔内でガイドされる摺動部を有し、前記円柱部が前記弁ポート内に挿通されたときの、前記弁ポートと前記円柱部との隙間が、前記摺動部と前記ガイド孔とにより形成される隙間より大きく設定されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5の冷凍サイクルシステムは、流体である冷媒を圧縮する圧縮機と、凝縮器と、蒸発器と、前記凝縮器と前記蒸発器との間に接続された請求項1乃至4のいずれか一項に記載の絞り装置と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1乃至4の絞り装置によれば、差圧の増加と共に弁開口面積が小さくなるように構成されるとともに、差圧が所定の値になった時点からさらに差圧が増加しても一次室と二次室とが常時連通されるように構成されているので、低差圧から高差圧の広い範囲において、最適な過熱度を得ることができる。したがって、効率の良い冷凍サイクルシステムを提供することができる。また、差圧が増加しても一次室と二次室とが常時連通されるので、冷凍サイクルシステムの異常等に起因して差圧が大きくなってしまったとしても、絞り装置を通過する冷媒量がゼロになることがなく、一次側の圧力がさらなる異常高圧となって圧縮機が停止してしまうようなことがない。
【0012】
請求項4の絞り装置によれば、ニードル弁と弁ポートとが接触することがなく、繰り返しの作動による弁ポートの摩耗も生じず、流量変化が発生しない。
【0013】
請求項5の冷凍サイクルシステムによれば、請求項1乃至4と同様な効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の絞り装置の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は第1実施形態の絞り装置の縦断面図、
図2は第1実施形態の絞り装置の無差圧時の拡大断面図、
図3は第1実施形態の絞り装置の最大ストローク時の拡大断面図、
図4は第1実施形態の絞り装置の差圧−弁開口面積特性の一例を示す図、
図5は実施形態の冷凍サイクルシステムの概略構成図である。
【0016】
まず、
図5の冷凍サイクルシステムについて説明する。なお、
図5では絞り装置10の主要な構成要素にだけ符号を付記してある。この冷凍サイクルシステムは、圧縮機100と、凝縮器110と、実施形態の絞り装置10と、蒸発器120とを有している。圧縮機100で圧縮された冷媒は凝縮器110に供給され、この凝縮器110で冷却された冷媒は絞り装置10に送られる。絞り装置10は後述のように冷媒を膨張減圧して蒸発器120に送る。そして、この蒸発器120により室内が冷却され、冷房の機能が得られる。蒸発器120で蒸発した冷媒は圧縮機100に循環される。なお、
図5では第1実施形態の絞り装置10を図示してあるが、後述の変形例及び各実施形態の絞り装置10も同様に冷凍サイクルシステムを構成するものである。
【0017】
図1乃至
図3に示すように、絞り装置10は、銅管等の金属管からなる本体ケース11と、弁座部材12と、ガイド部材13と、「弁体」としてのニードル弁14と、ばね受け15と、コイルばね16と、金属材をプレス加工することにより形成されたストッパ部17と、を備えている。なお、弁座部材12とガイド部材13は金属材の切削等により一体に形成されている。
【0018】
本体ケース11は軸線Lを中心とする円筒状の形状で、前記凝縮器110に接続される一次室11Aと前記蒸発器120に接続される二次室11Bとを構成している。弁座部材12は本体ケース11の内面に整合する略円柱形状である。弁座部材12の外周面にはかしめ溝12aが形成されており、このかしめ溝12aの位置で本体ケース11をかしめることにより、弁座部材12(及びガイド部材13)が本体ケース11内に固定されている。
【0019】
また、弁座部材12には、軸線Lを中心とする円形の弁ポート121が形成されるとともに、弁ポート121から二次室11B側に開口する開放穴122が形成されている。ガイド部材13は弁座部材12から一次室11A内に立設され、このガイド部材13には、軸線Lを中心とする円筒状のガイド孔131と、弁ポート121と一次室11Aとを連通する横穴132とが形成されている。また、ガイド部材13のばね受け15側の端面はこのばね受け15に対するストッパ面133となっている。
【0020】
ニードル弁14は、ガイド部材13のガイド孔131内に挿通される円柱状の摺動部141と、摺動部141より径の小さな円柱状の円柱部142と、円柱部142から二次室11B側に向かって次第に径が縮径された円錐状のニードル部143と、摺動部141の円柱部142とは反対側に形成された固定部144と、固定部144の端部に形成された円錐台状の当接部145と、を有している。円柱部142の外径は、弁ポート121の内径よりも小径となっている。
【0021】
ばね受け15は、ニードル弁14に嵌合する円筒状の筒部151と、筒部151の外周に形成されたフランジ部152と、を有している。このばね受け15は、筒部151をニードル弁4に嵌合させるとともに、固定部144を筒部151内にねじ込むことにより、ニードル弁14に取り付けられ、筒部151を固定部144のかしめ溝144aの位置でかしめることにより、ばね受け15はニードル弁14に固定されている。コイルばね16は、ガイド部材13とばね受け15のフランジ部152との間に圧縮した状態で配設されている。これにより、コイルばね16はニードル弁14をその円柱部142が弁ポート121から離れる方向に付勢している。
【0022】
ストッパ部17は、有底円筒状の形状をしている。このストッパ部17は、ガイド部材13の外周に嵌合され、ガイド部材13のかしめ溝13aの位置でかしめることにより、ガイド部材13に固定されている。ストッパ部17の底面はニードル弁14の当接部145が当接するストッパ面171となっている。そして、このストッパ面171にニードル弁14の当接部145が当接し、無差圧時、あるいは、ニードル弁14が弁閉方向への移動を開始する圧力よりも圧力差が小さい場合のニードル弁14の軸線L方向の位置が規制される。
【0023】
図3に示す最大ストローク時では、ばね受け15がガイド部材13のストッパ面133に当接し、ばね受け15及びニードル弁14の軸線L方向の最大ストローク時の位置が規制される。この状態では、ニードル弁14の円柱部142は弁ポート121内に挿通され、この弁ポート121と円柱部142との隙間が形成される。この弁ポート121と円柱部142との隙間は、ニードル弁14の摺動部141とガイド部材13のガイド孔131により形成される隙間より大きい構成となっている。
【0024】
以上の構成により、凝縮器110からの高圧冷媒は一次室11Aに流入し、一次室11Aの冷媒は、ガイド部材13の横穴132から、弁ポート121とニードル部143との隙間を通って開放穴122に流出し、二次室11Bに流れ出す。
図2の弁開状態では、ニードル弁14のニードル部143と弁ポート121との隙間が一次室11Aから二次室11B側への冷媒の流れを絞って、冷媒が膨張減圧される。
【0025】
ここで、一次室11Aの冷媒の圧力と二次室11B側の冷媒の圧力との差圧による差圧力は、コイルばね16の付勢力とバランスしている。すなわち、差圧力はコイルばね16の付勢力に抗する方向に作用する。例えば、差圧力をF、弁ポート121における受圧面積をA、差圧をΔPとすると、F=A×ΔP
となる。なお、受圧面積Aは、弁ポート121の内周縁とニードル弁14の周囲との距離が最短となる位置でニードル弁14を軸線Lと直交する面で切断したときの断面積である。そして、
図2の状態から、一次室11Aの圧力が高くなって差圧力が増加すると、ニードル弁14は二次室11B側に移動する。そして、差圧力がさらに増加すると、ニードル部143が弁ポート121内を通過して、ニードル弁14の円柱部142が弁ポート121内に進入し、
図3のような最大ストローク時の状態となる。
【0026】
すなわち、ニードル部143が弁ポート121内にあるときは、ニードル部143の円錐状の側面と弁ポート121の内周面との隙間の面積(弁開口面積)は差圧に応じて変化する。一方、円柱部142が弁ポート121内にあるときは、円柱部142は円柱状であり、この円柱部142の側面と弁ポート121の内周面との隙間の面積(弁開口面積)は差圧に応じて変化しない。このため、この第1実施形態の絞り装置の差圧−弁開口面積特性は
図4のようになる。なお、以上のようにニードル弁の各部と弁ポートとの隙間の面積を「弁開口面積」という。
【0027】
以上のように、絞り装置10は、一次室11Aと二次室11Bとの間を連通する弁ポート121が形成された弁座部材12と、弁ポート121の軸線Lに沿って移動するニードル弁14であって、弁ポート121との間隙である弁開口面積を可変にするニードル弁14と、を備えている。また、ニードル弁14は、二次室11B側に向かって次第に径が縮径された円錐状のニードル部143と、ニードル部143の一次室11A側に形成されるとともに弁ポート121の内径よりも小径な円柱状の円柱部142と、を有している。そして、ニードル弁14が、ニードル部143から円柱部142までが弁ポート121内を進退するように配置されている。
【0028】
このように、差圧の増加と共に弁開口面積(弁開度)が小さくなるように構成されており、差圧が所定の値になった時点からさらに差圧が増加しても一次室と二次室とが常時連通されるように構成されている。これにより、低差圧から高差圧の広い範囲において、最適な過熱度を得ることができ、効率の良い冷凍サイクルシステムを提供することができる。また、ニードル弁が弁座に対して着座し、一次側(一次室側)と二次側(二次室側)とを遮断する構造の場合、冷凍サイクルシステムの異常等によりシステム内部の高圧側(絞り装置よりも上流側)と低圧側(絞り装置よりも下流側)との差圧が過剰に大きくなると、一次側と二次側との間が遮断され、相乗的に冷凍サイクルシステムの差圧が大きくなることから、圧縮機の保安装置が作動し、冷凍サイクルシステムが停止してしまう恐れがある。しかし、本発明の場合、差圧が増加しても一次側と二次側とが常時連通するよう構成されているので、仮に冷凍サイクルシステムの異常等によりシステム内部の高圧側と低圧側の差圧が過剰に大きくなったとしても高圧側圧力を低圧側に逃すことができ、冷凍サイクルシステムの差圧がそれ以上増加することがない。したがって、異常高圧となって圧縮機が停止してしまうようなことがない。
【0029】
さらに、上記の一次室と二次室とが常時連通されるような構成を、弁ポート121と、弁ポート121より小径である円柱部142との隙間により実現している。この隙間は、ニードル弁14の摺動部141とガイド部材13のガイド孔131により形成される隙間より大きい構成となっている。したがって、ニードル弁14と弁ポート121とが接触することがなく、繰り返しの作動による弁ポート121の摩耗も生じず、流量変化が発生しない。
【0030】
図6は第1実施形態のニードル弁14の変形例を示す図、
図7は変形例における差圧−弁開口面積特性の一例を示す図である。この変形例のニードル弁14′は、前記摺動部141と前記ニードル部143との間に、円柱部142′とテーパ部144とストレート部145とを有している。円柱部142′の径は上述の第1実施形態の円柱部142と同径であるが軸線L方向の長さを極端に短くしたものである。また、テーパ部144は円柱部142′から一次室11A側に向かって次第に径が縮径された円錐台状の形状をしている。さらに、ストレート部145は、円柱部142′より径を小径とした円柱形状をしている。
【0031】
この変形例では、ニードル部143が弁ポート121内にあるときは、
図4と同様に、ニードル部143の円錐状の側面と弁ポート121の内周面との弁開口面積は差圧に応じて変化する。また、円柱部142′が弁ポート121内にあるときも円柱部142′の側面と弁ポート121の内周面との弁開口面積は差圧に応じて変化しない。
【0032】
しかし、この変形例では円柱部142′の長さが短いため、差圧が増加すると直ぐにテーパ部144が弁ポート121内に進入する。したがって、
図7に示すように、テーパ部144と弁ポート121の内周面との弁開口面積は急激に大きくなる。そして、ストレート部145が弁ポート121内に進入した状態で、ストレート部145と弁ポート121の内周面との弁開口面積は一定になる。
【0033】
このように、この変形例では、一定の差圧までは、弁開口面積が減少し、制御範囲を超えた高差圧となった時に、弁開口面積が大きくなるように構成されている。したがって、絞り装置の弁ポート121とニードル部143との間に堆積した異物を高差圧時に排出することが可能になり、システムが高圧カットにより、停止してしまうことがない。
【0034】
図8は第2実施形態の絞り装置の縦断面図である。この第2実施形態の絞り装置10は、金属管からなる本体ケース21と、金属製の弁座部材22と、ガイド部材23と、「弁体」としてのニードル弁24と、ばね受け25と、コイルばね26と、ストッパ部材27とを備えている。なお、弁座部材22とガイド部材23は金属材の切削等により一体に形成されている。
【0035】
本体ケース21は軸線Lを中心とする円筒状の形状で、凝縮器110に接続される一次室21Aと前記蒸発器120に接続される二次室21Bとを構成している。弁座部材22は、本体ケース21の内面に整合する略円柱形状をしており、その上方に伸びる円筒部22Aを有している。そして、かしめ溝22aの位置で本体ケース21をかしめることにより、弁座部材22(及びガイド部材23)が本体ケース21内に固定されている。また、弁座部材22には、軸線Lを中心とする円柱孔をなす弁ポート221と、径の大きな導通室222が形成されている。
【0036】
ガイド部材23は円柱状の形状であり弁座部材22から一次室21A内に立設されている。ガイド部材23は軸線Lを中心とする円柱状のガイド孔231を有するとともに、弁座部材22に隣接する位置に弁ポート221と一次室21Aとを導通する横穴232が形成されている。さらに、ガイド部材23の下方には円筒部233を有している。
【0037】
ニードル弁24は、ガイド部23のガイド孔231内に挿通される摺動部を兼ねた円柱状の円柱部242と、円柱部242から二次室21B側に向かって次第に径が縮径された円錐状のニードル部243と、ニードル部243から弁座部材22の導通室222内に延設された連結軸部244と、連結軸部244の端部に形成されたばね受け部245とを有している。円柱部242の外径は、弁ポート221の内径よりも小径となっている。そして、円柱部242がガイド孔231に沿って摺動することにより、ニードル弁24は軸線Lに沿って移動するようにガイドされる。また、円柱部242の下端はストッパ部材27に当接して、下端位置が規制される。
【0038】
ばね受け25は、かしめ溝25aの位置で弁座部材22の円筒部22Aをかしめることにより弁座部材22内に固定されている。また、ばね受け25は円柱状部材の側面にDカット面251を形成しているものであり、このDカット面251と円筒部22Aとの間隙を介して二次室21Bが弁座部材22の導通室222に導通される。コイルばね26は、円筒部22A内でニードル弁24のばね受け部245とばね受け25との間に圧縮した状態で配設されている。
【0039】
ストッパ部材27は略円柱状の形状で、かしめ溝27aの位置でガイド部材23の円筒部233をかしめることにより、ガイド部材23に固定されている。
【0040】
この第2実施形態でも、ニードル部243が弁ポート221内にあるときは、ニードル部243の円錐状の側面と弁ポート221の内周面との弁開口面積は差圧に応じて変化する。一方、円柱部242が弁ポート221内にあるときは、円柱部242は円柱状であり、この円柱部242の側面と弁ポート221の内周面との弁開口面積は差圧に応じて変化しない。このため、この第2実施形態の絞り装置の差圧−弁開口面積特性は第1実施形態(
図4)と同様になる。
【0041】
図9は第3実施形態の絞り装置の縦断面図である。この第3実施形態の絞り装置10は、金属管からなる本体ケース31と、金属製の弁座部材32と、ガイド部材33と、「弁体」としてのニードル弁34と、ばね受け35と、コイルばね36と、ストッパ部材37と、羽根部材38とを備えている。なお、弁座部材32とガイド部材33は金属材の切削等により一体に形成されている。
【0042】
本体ケース31は軸線Lを中心とする円筒状の形状で、凝縮器110に接続される一次室31Aと前記蒸発器120に接続される二次室31Bとを構成している。弁座部材32は、本体ケース31の内面に整合する略円柱形状をしており、その下方に伸びる円筒部32Aを有している。そして、かしめ溝32aの位置で本体ケース31をかしめることにより、弁座部材32(及びガイド部材33)が本体ケース31内に固定されている。また、弁座部材32には、軸線Lを中心とする円柱孔をなす弁ポート321と、径の大きな導通室322が形成されている。
【0043】
ガイド部材33は円筒状の形状であり弁座部材32から二次室31B内に立設されている。ガイド部材33は軸線Lを中心とする円柱状のガイド孔331を有するとともに、弁座部材32に隣接する位置にガイド孔331と外部(二次室31B)とを導通する開放孔332が形成されている。さらに、ガイド部材33の上方には、ガイド孔331と外部(二次室31B)とを導通する開放孔333が形成されている。
【0044】
ニードル弁34は、ガイド部33のガイド孔331内に挿通される円柱状の摺動部341と、摺動部341より径の小さな円柱状の円柱部342と、円柱部342から二次室31B側に向かって次第に径が縮径された円錐状のニードル部343と、ニードル部343と摺動部341とを連結する連結軸部344と、摺動部341の端部に形成されたボス部345とを有している。円柱部342の外径は、弁ポート321の内径よりも小径となっている。そして、摺動部341がガイド孔331に沿って摺動することにより、ニードル弁34は軸線Lに沿って移動するようにガイドされる。また、円柱部342の下端はストッパ部材37に当接して、下端位置が規制される。
【0045】
ばね受け35は、かしめ溝35aの位置でガイド部材33をかしめることによりガイド部材33内に固定されている。コイルばね36は、ガイド孔331内で羽根部材38を介してニードル弁34とばね受け35との間に圧縮した状態で配設されている。
【0046】
ストッパ部材37は略円柱状の形状で、かしめ溝37aの位置で弁座部材32の円筒部32Aをかしめることにより、弁座部材32に固定されている。また、ストッパ部材37は円柱状部材の側面にDカット面371が形成されており、このDカット面371と円筒部32Aとの間隙を介して一次室31Aが弁座部材32の導通室322に導通される。
【0047】
羽根部材38は、中央の嵌合孔をニードル弁34のボス部345に填め込み、さらにコイルばね36により押さえ付けることによりニードル弁34に固定されている。そして、羽根部材38はその弾性力によりガイド孔331の内面との間に摺動抵抗を付与する。
【0048】
この第3実施形態でも、ニードル部343が弁ポート321内にあるときは、ニードル部343の円錐状の側面と弁ポート321の内周面との弁開口面積は差圧に応じて変化する。一方、円柱部342が弁ポート321内にあるときは、円柱部342は円柱状であり、この円柱部342の側面と弁ポート321の内周面との弁開口面積は差圧に応じて変化しない。このため、この第3実施形態の絞り装置の差圧−弁開口面積特性は第1実施形態(
図4)と同様になる。
【0049】
以上の変形例、第2実施形態及び第3実施形態においても、差圧の増加と共に弁開口面積(弁開度)が小さくなるように構成されるとともに、差圧が所定の値になった時点からさらに差圧が増加しても一次側と二次側とが常時連通するよう構成されているので、第1実施形態と同様に、低差圧から高差圧の広い範囲において、最適な過熱度を得ることができ、効率の良い冷凍サイクルシステムを提供することができる。また、異物等の詰まりを防止でき、絞り装置を通過する冷媒量が減少して一次側の圧力が異常高圧となって圧縮機が停止してしまうようなことがない。
【0050】
以上の各実施形態及び変形例では、一次室と二次室とを常時連通する構成として、ニードル弁が弁座(弁ポートの周囲)に着座しない構造を採用しているが、弁座(弁ポートの周囲)に一次室と二次室と常時連通させるブリード溝を形成し、ニードル弁が弁座に着座するような構造でもよい。また、弁座に一次室と二次室とを常時連通させる小孔(ブリードポート)を設け、ニードル弁が弁座に着座するような構造でもよい。なお、各実施形態及び変形例の場合、特に円柱部等によりニードル弁の全周に弁ポートとの隙間が空く構造であり、ブリード溝やブリードポートよりも異物等が詰まりにくくなる。また、ニードル弁が着座せず、変形例のように差圧がさらに増大して開口面積が大きくなるものでは、上記の異物等が詰まりにくくなる効果に加えて、システムの異常により差圧が大きくなった際、開口面積は大きくなるので異物が除去できる。
【0051】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。