特開2018-72016(P2018-72016A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2018072016-タイヤの接地状態測定装置 図000003
  • 特開2018072016-タイヤの接地状態測定装置 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-72016(P2018-72016A)
(43)【公開日】2018年5月10日
(54)【発明の名称】タイヤの接地状態測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/02 20060101AFI20180406BHJP
   G01L 5/00 20060101ALI20180406BHJP
   B60C 19/00 20060101ALI20180406BHJP
【FI】
   G01M17/02 B
   G01L5/00 Z
   B60C19/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-208552(P2016-208552)
(22)【出願日】2016年10月25日
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】東洋ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松延 裕子
【テーマコード(参考)】
2F051
【Fターム(参考)】
2F051AA01
2F051AB03
2F051AB06
2F051BA07
(57)【要約】
【課題】高負荷時であってもタイヤの接地状態を測定する測定用シートの損傷を防ぐことができるタイヤの接地状態測定装置を提供する。
【解決手段】タイヤの接地状態を測定するためのタイヤの接地状態測定装置であって、タイヤTに対向して配置され、タイヤTの接地状態を測定する測定用シート1と、測定用シート1にタイヤTを押圧して且つ回転させるタイヤ駆動装置2と、測定用シート1とタイヤTの間に配置される保護シート3と、保護シート3をタイヤTの回転に追従するように測定用シート1に対して相対移動させる保護シート移動装置4と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤの接地状態を測定するためのタイヤの接地状態測定装置であって、
前記タイヤに対向して配置され、前記タイヤの接地状態を測定する測定用シートと、
前記測定用シートに前記タイヤを押圧して且つ回転させるタイヤ駆動装置と、
前記測定用シートと前記タイヤの間に配置される保護シートと、
前記保護シートを前記タイヤの回転に追従するように前記測定用シートに対して相対移動させる保護シート移動装置と、を備えるタイヤの接地状態測定装置。
【請求項2】
前記保護シートは、前記保護シート移動装置によって前記測定用シートとの間に隙間を設けた状態に固定されることを特徴とする請求項1に記載のタイヤの接地状態測定装置。
【請求項3】
前記保護シート移動装置は、前記タイヤの進行方向の前後に設けられた一対の車輪を有し、前記一対の車輪を回転させることで前記一対の車輪の間に巻き掛けられた無端ベルト状の前記保護シートを移動させる装置、または前記タイヤの幅方向の左右に設けられた一対の車輪を有し、前記一対の車輪を回転させることで前記一対の車輪の外周に巻き付けられた無端ベルト状の前記保護シートを移動させる装置であることを特徴とする請求項1又は2に記載のタイヤの接地状態測定装置。
【請求項4】
前記保護シートと前記測定用シートとの間の隙間は、1mm以上であることを特徴とする請求項2又は3に記載のタイヤの接地状態測定装置。
【請求項5】
前記タイヤの回転速度と前記保護シートの移動速度の速度差は、±1m/s以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のタイヤの接地状態測定装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの接地面圧及び接地面形状を測定可能なタイヤの接地状態測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤの接地面圧を計測する装置として、特許文献1には、走行面と、走行面にタイヤを接地させ且つ転動させるタイヤ駆動装置と、測定用シートとして圧力センサシートと、圧力センサシートを覆う保護シートと、保護シートに対してタイヤ進行方向に張力を加える前後張力付加機構と、を有する装置が開示されている。
【0003】
圧力センサシートは、面に垂直な方向には強度を有するものの、引っ張り力に弱い。タイヤの制動、駆動、旋回、スリップ角やキャンバー角が設定されている場合には、圧力センサシートに引っ張り力が作用するために、保護シートで保護する必要がある。タイヤの転動によって保護シードが動かないようにするために、前後張力付加機構によって、保護シートに対してタイヤ進行方向に張力を付加している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−217726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の装置では、圧力センサシートと保護シートは、走行面に固定され、走行面とともに一体として移動される。この構成では、回転するタイヤからの摩擦力が保護シートを介して圧力センサシートに直接加わりやすく、特に高負荷時に圧力センサシートが損傷するおそれがある。
【0006】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、その目的は、高負荷時であってもタイヤの接地状態を測定する測定用シートの損傷を防ぐことができるタイヤの接地状態測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、次のような手段を講じている。
【0008】
すなわち、本発明のタイヤの接地状態測定装置は、
タイヤの接地状態を測定するためのタイヤの接地状態測定装置であって、
前記タイヤに対向して配置され、前記タイヤの接地状態を測定する測定用シートと、
前記測定用シートに前記タイヤを押圧して且つ回転させるタイヤ駆動装置と、
前記測定用シートと前記タイヤの間に配置される保護シートと、
前記保護シートを前記タイヤの回転に追従するように前記測定用シートに対して相対移動させる保護シート移動装置と、を備えるものである。
【0009】
この構成によれば、測定用シートとタイヤの間に配置された保護シートが、タイヤの回転に追従するように測定用シートに対して相対移動されるため、回転するタイヤからの摩擦力が保護シートを介して測定用シートに伝わりにくく、高負荷時であっても測定用シートの損傷を防ぐことができる。
【0010】
本発明において、前記保護シートは、前記保護シート移動装置によって前記測定用シートとの間に隙間を設けた状態に固定されることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、タイヤ駆動装置によりタイヤを測定用シートに押圧した際、保護シートに張力が加わるため、タイヤからの摩擦力によって保護シートが変形することを抑制できる。
【0012】
本発明において、前記保護シート移動装置は、前記タイヤの進行方向の前後に設けられた一対の車輪を有し、前記一対の車輪を回転させることで前記一対の車輪の間に巻き掛けられた無端ベルト状の前記保護シートを移動させる装置、または前記タイヤの幅方向の左右に設けられた一対の車輪を有し、前記一対の車輪を回転させることで前記一対の車輪の外周に巻き付けられた無端ベルト状の前記保護シートを移動させる装置であることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、保護シート移動装置をコンパクトにできるため、接地状態測定装置の全体を小型化することができる。
【0014】
本発明において、前記保護シートと前記測定用シートとの間の隙間は、1mm以上であることが好ましい。
【0015】
保護シートと測定用シートとの間の隙間を1mm以上とすることで、保護シートに適切な張力を加えることができる。
【0016】
本発明において、前記タイヤの回転速度と前記保護シートの移動速度の速度差は、±1m/s以下であることが好ましい。
【0017】
この速度差が±1m/s以下であれば、タイヤからの摩擦力によって保護シートが変形することを効果的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明における第1実施形態のタイヤ接地状態測定装置を示す側面図
図2】第2実施形態のタイヤ接地状態測定装置を示す側面図及び断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態のタイヤの接地状態測定装置について、図面を参照して説明する。
【0020】
図1に示すように、タイヤの接地状態測定装置は、タイヤTに対向して配置され、タイヤTの接地状態を測定する測定用シート1と、測定用シート1にタイヤTを押圧して且つ回転させるタイヤ駆動装置2と、測定用シート1とタイヤTの間に配置される保護シート3と、保護シート3をタイヤTの回転に追従するように測定用シート1に対して相対移動させる保護シート移動装置4と、を備える。
【0021】
測定用シート1は、不図示の測定台の上面に固定される。本実施形態では、測定用シート1は、圧力に応じた電気信号を出力する既知の圧力センサシートであるが、これに限定されない。例えば、撮像した画像から圧力を計測する方法において使用される、撮像用シートでもよい。このシートは表面に微小突起を有し、圧力に応じて微小突起の潰れ具合が変わり、微小突起の潰れ具合に応じて画像に明暗ができることを利用した既知の測定方法である。
【0022】
タイヤ駆動装置2は、タイヤTの回転軸に接続されており、タイヤTを測定用シート1に押圧した状態にて回転させることができる。これにより、測定用シート1は、タイヤTの接地面圧及び接地面形状を含む接地状態を測定することができる。
【0023】
保護シート3は、測定用シート1を保護するために設けられ、ある程度の強度を有する。本実施形態の保護シート3は、無端ベルト状をしている。保護シート3の幅はタイヤTの幅以上である。保護シート3の材料としては、例えば、ポリカーボネートが挙げられるが、これに限定されない。保護シート3の厚みは、0.5mm以下が好ましい。
【0024】
本実施形態の保護シート移動装置4は、タイヤTの進行方向の前後に設けられた一対の車輪41,42を有し、一対の車輪41,42を回転させることで一対の車輪41,42の間に巻き掛けられた無端ベルト状の保護シート3を移動させる、いわゆるフラットベルト式の装置となっている。保護シート移動装置4は、保護シート3と測定用シート1との間に隙間dを設けた状態となるように、保護シート3を固定する。なお、図1では、測定用シート1の上部において、保護シート3は、タイヤTにより押圧されて測定用シート1と接触した状態を示している。これにより、保護シート3には、タイヤ進行方向に沿った張力が付加される。
【0025】
本実施形態では、車輪41,42の上方にそれぞれコマ43を設けて、保護シート3を上方に持ち上げることで隙間dを形成している。保護シート3と測定用シート1との間の隙間dは、1mm以上とするのが好ましい。隙間dを1mmより小さくすると、保護シート3に加わる張力が不十分となり、タイヤTからの摩擦力によって保護シート3が変形しやすくなる。一方、隙間dは、5mm以下とするのが好ましい。隙間dを5mmより大きくすると、タイヤTにより押圧された際に保護シート3に過度の張力が加わって損傷するおそれがある。
【0026】
保護シート3は、タイヤTの回転に追従するように移動されるが、タイヤTの回転速度と保護シート3の移動速度の速度差は、±1m/s以下であることが好ましい。この速度差が±1m/sを超えると、タイヤTによる大きな摩擦力が保護シート3に加わって損傷するおそれがある。また、タイヤTの回転速度と保護シート3の移動速度の速度差は、ゼロであること、すなわちタイヤTの回転速度と保護シート3の移動速度が等しいことが特に好ましい。
【0027】
<第2実施形態>
保護シート移動装置4は、前述のフラットベルト式の装置に限定されるものではなく、図2に示すようなドラム式の装置でもよい。図2(a)は側面図を示し、図2(b)は図2(a)におけるA−A断面図を示している。なお、図2ではタイヤ駆動装置は省略されている。
【0028】
この装置は、タイヤTの幅方向の左右に設けられた一対の車輪44,45を有し、一対の車輪44,45を回転させることで一対の車輪44,45の外周に巻き付けられた無端ベルト状の保護シート3を移動させる。保護シート3は、図2(b)のように1対の車輪44,45の間に掛け渡される。また、測定用シート1は、車輪44,45の外周よりも径方向内側に配置され、不図示の測定台の上面に固定される。これにより、保護シート3と測定用シート1との間には、隙間dが形成される。
【0029】
<他の実施形態>
第1の実施形態では、コマ43を設けることで保護シート3と測定用シート1との間の隙間dを形成しているが、隙間dを形成する方法はこれに限定されない。コマ43を設けることなく、測定用シート1を保護シート3の下面から離して配置して、保護シート3との間に隙間dを設けるようにしてもよい。
【0030】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0031】
上記の各実施形態で採用している構造を他の任意の実施形態に採用することは可能である。各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 測定用シート
2 タイヤ駆動装置
3 保護シート
4 保護シート移動装置
T タイヤ
d 隙間


図1
図2