特開2018-72206(P2018-72206A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社エンルートM’sの特許一覧 ▶ 株式会社エンルートの特許一覧 ▶ 呉 軍の特許一覧 ▶ 顔 開の特許一覧

特開2018-72206測定装置、測定方法及び測定プログラム
<>
  • 特開2018072206-測定装置、測定方法及び測定プログラム 図000003
  • 特開2018072206-測定装置、測定方法及び測定プログラム 図000004
  • 特開2018072206-測定装置、測定方法及び測定プログラム 図000005
  • 特開2018072206-測定装置、測定方法及び測定プログラム 図000006
  • 特開2018072206-測定装置、測定方法及び測定プログラム 図000007
  • 特開2018072206-測定装置、測定方法及び測定プログラム 図000008
  • 特開2018072206-測定装置、測定方法及び測定プログラム 図000009
  • 特開2018072206-測定装置、測定方法及び測定プログラム 図000010
  • 特開2018072206-測定装置、測定方法及び測定プログラム 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-72206(P2018-72206A)
(43)【公開日】2018年5月10日
(54)【発明の名称】測定装置、測定方法及び測定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 7/04 20060101AFI20180406BHJP
   G01C 15/00 20060101ALI20180406BHJP
   B64C 39/02 20060101ALN20180406BHJP
【FI】
   G01C7/04
   G01C15/00 102C
   B64C39/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-213006(P2016-213006)
(22)【出願日】2016年10月31日
(71)【出願人】
【識別番号】516145390
【氏名又は名称】株式会社エンルートM’s
(71)【出願人】
【識別番号】516066028
【氏名又は名称】株式会社エンルート
(71)【出願人】
【識別番号】516176855
【氏名又は名称】呉 軍
(71)【出願人】
【識別番号】516176866
【氏名又は名称】顔 開
(74)【代理人】
【識別番号】100127328
【弁理士】
【氏名又は名称】八木澤 史彦
(74)【代理人】
【識別番号】100140866
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 武史
(72)【発明者】
【氏名】伊豆 智幸
(72)【発明者】
【氏名】呉 軍
(72)【発明者】
【氏名】顔 開
(57)【要約】
【課題】無人航空機を物理的に固定することなく、対象を計測することができる測定装置、測定方法及び測定プログラムを提供すること。
【解決手段】自律移動可能な測定装置1は、測定装置1の位置を示す位置情報を生成する位置情報生成手段と、測定対象の表面にレーザー光を照射するレーザー距離計と、位置情報と、レーザー距離計によるレーザー光の照射結果によって、測定対象における所定の3以上の点の基準座標を測定する基準座標測定手段と、基準座標に基づいて、測定対象を測定するために測定装置1が移動する基準となる移動基準位置を算出する移動基準位置算出手段と、移動基準位置に測定装置1を維持するための位置維持手段と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律移動可能な測定装置であって、
前記測定装置の位置を示す位置情報を生成する位置情報生成手段と、
前記測定対象の表面にレーザー光を照射するレーザー距離計と、
前記位置情報と、前記レーザー距離計による前記レーザー光の照射結果によって、前記測定対象における所定の3以上の点の基準座標を測定する基準座標測定手段と、
前記基準座標に基づいて、前記測定対象を測定するために前記測定装置が移動する基準となる移動基準位置を算出する移動基準位置算出手段と、
前記移動基準位置に前記測定装置を維持するための位置維持手段と、
を有する測定装置。
【請求項2】
前記測定装置が前記移動基準位置を外れた場合の位置ずれを記録する位置ずれ記録手段と、
前記レーザー距離計によって取得した測定結果を、前記位置ずれを参照して補正する補正手段と、
を有する請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記測定対象の画像を取得する画像取得手段と、
前記画像に含まれる物体を認識する物体認識手段と、
を有し、
前記レーザー距離計は、前記物体認識手段によって前記測定対象であると認識した物体に、前記レーザー光を照射するように構成されている請求項1または請求項2のいずれかに記載の測定装置。
【請求項4】
前記物体認識手段は、深層学習(ディープラーニング)によって生成された特徴データを参照する請求項3に記載の測定装置。
【請求項5】
自律移動可能な測定装置が実施する測定方法であって、
前記測定装置の位置を示す位置情報を生成する位置情報生成ステップと、
前記位置情報と、前記測定対象の表面にレーザー光を照射するレーザー距離計による前記レーザー光の照射結果によって、前記測定対象における所定の3以上の点の基準座標を測定する基準座標測定ステップと、
前記基準座標に基づいて、前記測定対象を測定するために前記測定装置が移動する基準となる移動基準位置を算出する移動基準位置算出ステップと、
前記移動基準位置に前記測定装置を維持するための位置維持ステップと、
を含む測定方法。
【請求項6】
測定装置を制御するコンピュータを、
前記測定装置の位置を示す位置情報を生成する位置情報生成手段、
前記測定対象の表面にレーザー光を照射するレーザー距離計、
前記位置情報と、前記レーザー距離計による前記レーザー光の照射結果によって、前記測定対象における所定の3以上の点の基準座標を測定する基準座標測定手段、
前記基準座標に基づいて、前記測定対象を測定するために前記測定装置が移動する基準となる移動基準位置を算出する移動基準位置算出手段、及び、
前記移動基準位置に前記測定装置を維持するための位置維持手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置、測定方法及び測定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無人航空機(マルチコプター)にレーザースキャナーを搭載して、マルチコプターを構造物の一部に固定したうえで、対象物の点群データを取得する技術が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016―107843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の技術においては、マルチコプターの位置ずれを防止するために、マルチコプターを構造物の一部に固定する必要があるが、レーザースキャナーで測定する位置に適した位置にマルチコプターを固定することができない場合もある。
【0005】
本発明はかかる問題の解決を試みたものであり、無人航空機を物理的に固定することなく、対象を計測することができる測定装置、測定方法及び測定プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一の発明は、自律移動可能な測定装置であって、前記測定装置の位置を示す位置情報を生成する位置情報生成手段と、前記測定対象の表面にレーザー光を照射するレーザー距離計と、前記位置情報と、前記レーザー距離計による前記レーザー光の照射結果によって、前記測定対象における所定の3以上の点の基準座標を測定する基準座標測定手段と、前記基準座標に基づいて、前記測定対象を測定するために前記測定装置が移動する基準となる移動基準位置を算出する移動基準位置算出手段と、前記移動基準位置に前記測定装置を維持するための位置維持手段と、を有する測定装置である。
【0007】
第一の発明の構成によれば、レーザー距離計によって、測定対象の表面にレーザー光を照射して表面状態を計測することに加えて、測定装置が測定のために移動する移動基準位置を算出し、測定装置の位置をその基準位置に維持することができる。すなわち、無人航空機を物理的に固定することなく、対象を計測することができる。
【0008】
第二の発明は、第一の発明の構成において、前記測定装置が前記基準位置を外れた場合の位置ずれを記録する位置ずれ記録手段と、前記レーザー距離計によって取得した測定結果を、前記位置ずれを参照して補正する補正手段と、を有する測定装置である。
【0009】
第三の発明は、第一または第二のいずれかの発明の構成において、前記測定対象の画像を取得する画像取得手段と、前記画像に含まれる物体を認識する物体認識手段と、を有し、前記レーザー距離計は、前記物体認識手段によって前記測定対象であると認識した物体に、前記レーザー光を照射するように構成されている測定装置である。
【0010】
第三の発明の構成によれば、前記レーザー光を前記測定対象以外の空間に照射する可能性を低減することができる。
【0011】
第四の発明は、第三の発明の構成において、前記物体認識手段は、深層学習(ディープラーニング)によって生成された特徴データを参照する測定装置である。
【0012】
第五の発明は、自律移動可能な測定装置が実施する測定方法であって、前記測定装置の位置を示す位置情報を生成する位置情報生成ステップと、前記位置情報と、前記測定対象の表面にレーザー光を照射するレーザー距離計による前記レーザー光の照射結果によって、前記測定対象における所定の3以上の点の基準座標を測定する基準座標測定ステップと、前記基準座標に基づいて、前記測定対象を測定するために前記測定装置が移動する基準となる移動基準位置を算出する移動基準位置算出ステップと、前記移動基準位置に前記測定装置を維持するための位置維持ステップと、
を含む測定方法である。
【0013】
第六の発明は、測定装置を制御するコンピュータを、前記測定装置の位置を示す位置情報を生成する位置情報生成手段、前記測定対象の表面にレーザー光を照射するレーザー距離計、前記位置情報と、前記レーザー距離計による前記レーザー光の照射結果によって、前記測定対象における所定の3以上の点の基準座標を測定する基準座標測定手段、前記基準座標に基づいて、前記測定対象を測定するために前記測定装置が移動する基準となる移動基準位置を算出する移動基準位置算出手段、及び、前記移動基準位置に前記測定装置を維持するための位置維持手段、として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、無人航空機を物理的に固定することなく、対象を計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態の概略を示す図である。
図2】本発明の実施形態の概略を示す図である。
図3】本発明の実施形態の概略を示す図である。
図4】本発明の実施形態の概略を示す図である。
図5】本発明の実施形態の測定対象を示す図である。
図6】本発明の実施形態において取得するデータを示す概略図である。
図7】本発明の実施形態の機能ブロックを示す概略図である。
図8】本発明の実施形態のフローチャートである。
図9】本発明の実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、当業者が適宜実施できる構成については説明を省略し、本発明の基本的な構成についてのみ説明する。
【0017】
<第一の実施形態>
図1の無人飛行体1(以下、「無人機1」という。)は、いわゆる、ドローン、あるいは、マルチコプターであり、複数の回転翼を有する。無人機1は測定装置の一例である。無人機1は、本体3及び4つの回転翼5を有する。各回転翼5は、それぞれ、モーター(図示せず)に接続されている。本体3には、無人機1の各部を制御するコンピュータ、無線通信装置、GPS(Global Positioning System)を利用した測位装置、自律飛行制御装置、加速度センサー及びジャイロセンサー等の慣性センサー、磁気センサー、気圧センサー、バッテリー等が配置されている。また、本体3には、カメラ7が接続されている。カメラ7は、デジタル画像を撮像するデジタルカメラ、あるいは、ビデオカメラ等である。また、本体3には、レーザー距離計9が接続されている。レーザー距離計9は、レーザーレンジ、あるいは、レーザースキャナーである。無人機1は、通信装置によって、基地局50(図7参照)と通信可能になっている。
【0018】
無人機1は、風車100の羽根部106の表面を測定するものとして、以下、説明する。風車100の主な構成は、中心軸部102、支柱104、3枚の羽根部106である。支柱104の基部は目標位置の一例であり、羽根部106は、測定対象の一例である。
【0019】
無人機1は、GPSを使用した測位装置及び慣性センサーによって、無人機1自体の位置を継続的に測定している。
【0020】
無人機1は、カメラ7で取得した画像中の風車100を認識すると、風車100に向かってレーザー距離計9からレーザー光を照射する。無人機1は、無人機1自体の位置と、風車100に対してレーザー光を照射した結果に基づいて、風車100の輪郭を認識する。風車100の輪郭を認識するためのレーザー光の照射は、例えば、無人機1が所定の空間位置でホバリングしつつ、レーザー距離計9の方向を変えて風車100の方向を照射することで行う。レーザー光は、風車100に当たると反射してレーザー距離計9に帰ってくる。これに対して、レーザー光が、風車100に当たらない場合には、レーザー距離計9に帰ってこない、あるいは、レーザー距離計9に帰ってきても、風車100に当たって反射した場合の反射光とは明らかに異なる。このため、レーザー距離計9から照射され、風車100に当たって反射して帰ってくるレーザー光によって、風車100の輪郭を認識することができる。そして、無人機1は、レーザー距離計9によって、風車100における所定の3点以上の点について、精密にその座標(以下、「基準座標」という。)を算出する。本実施形態においては、風車100の3つの羽根部106の先端部106aの座標を精密に測定する。基準座標は、後に説明する作業基準面や移動基準面の基準になる座標である。無人機1は、精密に座標を測定するために、例えば、各先端部106aの近傍に移動して、各先端部106aの座標を計測する。あるいは、無人機1は、異なる3つの位置から、各先端部106aをそれぞれ測定して、そのデータに基づいて、各先端部106aの座標を計測する。なお、レーザー距離計9は、レーザーの発信部と受信部を有し、発信部から出たレーザービームが測定対象に反射して帰ってくるまでの時間や、反射して帰ってきたときの位相を利用して、測定対象との距離を測定するようになっている。
【0021】
無人機1は、3枚の羽根部106の先端部106aの座標を含む面(以下、「作業基準面」という。)を算出し、図2及び3に示すように、その面と平行であり、所定距離d1だけ乖離した面(以下、「移動基準面」という。)Aを示す情報を生成する。移動基準面Aは、移動基準位置の一例である。無人機1は、図4に示すように、無人機1の所定の部分(例えば、中心部分を貫く中心軸1a)を常に移動基準面A内に維持させつつ、カメラ7の光軸及びレーザー距離計9によるレーザーの照射方向が移動基準面Aに垂直になるように無人機1の姿勢を制御しつつ、レーザー距離計9によって、各羽根部106の表面形状を測定するようになっている。
【0022】
無人機1は、図5に示すように、羽根部106を複数の小領域Pに分割して、作業用座標を作成する。そして、無人機1は、図6に示すように、小領域Pごとに表面を測定し、測定データを保存するようになっている。各小領域Pは、例えば、横軸をa,b,c・・・、縦軸を1,2,3・・・とする座標で示される。測定データは、カメラ7で取得した各小領域Pの画像α1等、レーザー距離計9で取得した距離データβ1等、及び、計測した時刻γ1等である。距離データβ1等は、各小領域Pについての複数の距離データからなる。
【0023】
図7に示すように、無人機1は、CPU(Central Processing Unit)10、記憶部12、無線通信部14、GPS(Global Positioning System)部16、慣性センサー部18、画像処理部20、駆動制御部22、測定制御部24、及び、電源部26を有する。
【0024】
無線通信部14によって、無人機1は基地局50と通信可能になっている。基地局50は、無人機1の離陸及び着陸を監視及び管理する管理装置の一例であり、適宜、飛行に関する指示を与えるようになっている。
【0025】
GPS部16と慣性センサー部18によって、無人機1は機体の位置を測定することができる。GPS部16は、基本的に、3つ以上のGPS衛星からの電波を受信して無人飛行体1の位置を計測する。慣性センサー部18は、例えば、加速度センサー、ジャイロセンサー及び磁気センサーによって、出発点からの無人機1の移動を積算して、無人機1の位置を計測する。また、慣性センサー部18によって、無人機1の向きを認識し、さらに、無人機1の姿勢の変化を感知することができ、駆動制御部22によって、無人機1の姿勢を制御することができる。
【0026】
画像処理部20によって、無人機1は、カメラ7を作動させて画像を取得することができる。
【0027】
駆動制御部22によって、無人機1は、各回転翼5の作動を制御するようになっている。
【0028】
測定制御部24によって、無人機1は、レーザー距離計9を作動させて距離データを取得することができる。
【0029】
電源部26は、例えば、交換可能な可充電電池であり、無人機1の各部に電力を供給するようになっている。
【0030】
記憶部12には、出発点から目的位置まで自律飛行するための飛行計画を示すデータ等の無人飛行に必要な各種データ及びプログラムや、以下の各プログラムが格納されている。
【0031】
記憶部12には、位置情報生成プログラム、自律移動プログラム、画像取得プログラム、物体認識プログラム、輪郭認識プログラム、基準座標測定プログラム、作業基準面生成プログラム、移動基準面生成プログラム、位置維持プログラム、及び、測定プログラムが格納されている。
【0032】
CPU10及び位置情報生成プログラムは、位置情報生成手段の一例である。位置情報は、無人機1自体の位置を示す情報である。無人機1は、GPS部16と慣性センサー部18によって無人機1の絶対位置、向きや姿勢を示す情報を継続的に生成し、保持している。
【0033】
CPU10及び自律移動プログラムは、自律移動手段の一例である。無人機1は、例えば、基地局50から、測定対象である風車100の座標を示す座標情報を受信すると、記憶部12に格納された風車100近傍の地形や構造物の位置を参照し、風車100へ向かって、自律移動するようになっている。
【0034】
CPU10及び画像取得プログラムは、画像処理部20を作動させて、測定対象の画像を取得するための画像取得手段の一例である。無人機1は、例えば、風車100の近傍に至ったと判断した場合に、風車100の全体画像を取得する。風車100の近傍とは、例えば、風車100の座標から水平距離で100メートル(m)以内である。
【0035】
CPU10及び物体認識プログラムは、物体認識手段の一例である。物体認識プログラムは、深層学習(ディープラーニング)によって生成された特徴データを参照するようになっており、取得した画像に含まれる物体の特徴を識別して、物体を認識できるようになっている。なお、深層学習(ディープラーニング)とは、多層構造のニューラルネットワークの機械学習であり、画像認識の分野が有力な活用分野の一つである。
【0036】
無人機1は、風車の羽根の形状を示す特徴データを有しており、風車100が風車であることを認識することができるようになっている。
【0037】
CPU10及び輪郭認識プログラムは、輪郭認識手段の一例である。無人機1は、輪郭認識プログラムによって、風車100の方向のレーザー光を照射し、帰って来たレーザー光を分析して、風車100の輪郭を認識するようになっている。
【0038】
CPU10及び基準座標測定プログラムは、基準座標測定手段の一例である。無人機1は、レーザー距離計9によって、風車100において所定の基準によって3点以上を選択し、各座標を測定する。風車の場合には、例えば、支柱104は除き、3点を結ぶ面積が最も大きくなる3点という基準によって、3つの羽根部106の先端部106aを選択し、それらの座標を測定する。無人機1は、各先端部106aの座標を精密に測定するために、例えば、各先端部106aの近傍に移動して、各先端部106aの座標を計測する。あるいは、無人機1は、異なる3つの位置から、各先端部106aをそれぞれ測定して、そのデータに基づいて、各先端部106aの座標を計測する。
【0039】
CPU10及び作業基準面生成プログラムは、作業基準位置生成手段の一例である。無人機1は、作業基準面生成プログラムによって、3つの先端部106aの座標を含む面(作業基準面)を算出する。作業基準面は、無人機1が実施する作業の基準となる面である。
【0040】
CPU10及び移動基準面生成プログラムは、移動基準位置生成手段の一例である。無人機1は、移動基準面生成プログラムによって、上述の作業基準面から所定の距離d1だけ乖離して、測定対象である風車100の表面を測定するために無人機1が移動する移動基準位置を示す移動基準面Aを生成する。
【0041】
CPU10及び位置維持プログラムは、位置維持手段の一例である。無人機1は、位置維持プログラムによって、中心軸1aが移動基準面Aに含まれるように機体の位置を維持するようになっている。また、無人機1は、位置維持プログラムによって、カメラ7の光軸とレーザー距離計9のレーザー光の照射方向が、移動基準面Aと垂直になるように制御している。無人機1の中心軸1aが移動基準面Aから外れる位置ずれを起こした場合には、無人機1は、中心軸1aが移動基準面Aに含まれるように、駆動制御部22によって無人機1の位置を補正する。また、無人機1の姿勢が、移動基準面Aと垂直の姿勢とずれる姿勢ずれを起こした場合には、垂直な姿勢に戻すように、無人機1の姿勢を補正する。上記の位置ずれ及び姿勢ずれの程度や方向を示す情報は、時刻を示す情報とともに、記憶部12に格納される。
【0042】
CPU10及び測定プログラムは、測定手段の一例である。無人機1は、測定プログラムによって、小領域Pごとにカメラ7によって、羽根部106の表面の画像を取得し、レーザー距離計9によって、距離データを取得する。そして、それらの測定データ(図6参照)を、記憶部12に格納する。
【0043】
以下、無人機1の動作を図8及び図9のフローチャートで説明する。無人機1は、無人機1自体の位置を示す位置情報を生成しつつ、風車100の座標に自律移動する。そして、目標近傍に到達したか否かを判断し(ステップST1)、目標近傍に到達したと判断した場合には、カメラ7を作動させて画像を取得する(ステップST2)。続いて、無人機1は、取得した画像中に測定対象である風車100を認識し(ステップST3)、風車100に対してレーザー光を照射して、移動基準面Aを算出する(ステップST4)。
【0044】
ステップST4の詳細を図9のステップST41乃至ステップST44として説明する。無人機1は、レーザー光を使用して風車100の輪郭を認識し(ステップST41)、レーザー光を使用して3つの羽根部106の先端部106aの座標である基準座標を測定する(ステップST42)。続いて、無人機1は、3つの先端部106aを結ぶ面である作業基準面を算出し(ステップST43)、作業基準面から所定の距離だけ乖離した移動基準面Aを算出する(ステップST44)。
【0045】
続いて、無人機1は、作業用座標(図5参照)を生成する(図8のステップST5)。無人機1は、移動基準面Aにその中心軸1aを含むように位置を制御し、カメラ7の光軸及びレーザー距離計9のレーザー光の照射方向と移動基準面Aが垂直になるように姿勢制御しつつ、各羽根部106の小領域ごとに画像取得及び距離計測からなるデータ取得を行う(ステップST6)。続いて、無人機1は、一つの羽根部106の全座標(全小領域)のデータ取得が完了したか否かを判断し(ステップST7)、完了していれば、次の測定対象があるか否かを判断し(ステップST8)、次の測定対象がある場合には、ステップST5乃至ステップST7を実施する。ステップST8において、次の測定対象がない場合には、作業を完了し、基地局50に帰還する。
【0046】
<第二の実施形態>
第二の実施形態が、第一の実施形態と異なる点は、無人機1は、位置ずれや姿勢ずれを生じた場合には、対応する測定データを補正する点である。無人機1は、位置ずれや姿勢ずれを生じた場合に、それらの程度や方向を示す情報は、時刻を示す情報とともに、記憶部12に格納しているから、その情報を使用して、測定データを補正するようになっている。
<第三の実施形態>
第三の実施形態が、第一の実施形態と異なる点は、無人機1は、位置ずれや姿勢ずれを生じた場合には、位置ずれや姿勢ずれを修正したうえで、位置ずれや姿勢ずれを生じた状態で取得した測定データに対応する測定対象の位置について、改めて、測定データを取得する点である。
【0047】
上述の実施形態においては、無人機1の記憶部12に、位置情報生成プログラム、自律移動プログラム、画像取得プログラム、物体認識プログラム、輪郭認識プログラム、基準座標測定プログラム、作業基準面生成プログラム、移動基準面生成プログラム、位置維持プログラム、及び、測定プログラムが格納されている態様を説明したが、物体認識プログラム、輪郭認識プログラム、基準座標測定プログラム、作業基準面生成プログラム、移動基準面生成プログラムのうち一部または全部を基地局50のサーバ内の記憶部に格納し、基地局50で処理した結果を無人機1に送信することによって、無人機1を制御するように構成してもよい。この場合、無人機1の記憶部12は、基地局50からの指示を処理する処理プログラムを格納すれば足りる。
【0048】
なお、本発明は、上記実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0049】
1 無人飛行体(無人機)
10 CPU
12 記憶部
14 無線通信部
16 GPS部
18 慣性センサー部
20 画像処理部
22 駆動制御部
24 測定制御部
26 電源部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9