【解決手段】上記課題を解決するため、本件発明に係る光学系は、最も結像面側に、結像面と空気間隔を隔てて両凹形状のレンズLrが配置され、所定の条件を満足することを特徴とする光学系を提供する。また、上記課題を解決するため、本件発明に係る撮像装置は、当該光学系を用いるものとする。
当該光学系が物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群、負の屈折力を有する第2レンズ群、正の屈折力を有する第3レンズ群から構成され、前記第2レンズ群を被写体の距離に応じて光軸方向に移動させることで合焦を行う請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の光学系。
前記両凹形状のレンズLrの物体側の面の有効半径と、前記両凹形状のレンズLrと空気間隔を隔てて物体側に配置されるレンズ面の有効半径と、が以下の条件を満足する請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の光学系。
1.00 < Hpr/Hrf ・・・(11)
但し、
Hpr : 前記両凹形状のレンズLrと空気間隔を隔てて物体側に配置されるレンズ面の有効半径
Hrf : 前記両凹形状のレンズLrの物体側の面の有効半径
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の光学系と、当該光学系の像側に、当該光学系によって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備えたことを特徴とする撮像装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本件発明に係る光学系及び撮像装置の実施の形態を説明する。但し、以下に説明する当該光学系及び撮像装置は本件発明に係る光学系及び撮像装置の一態様であって、本件発明に係る光学系及び撮像装置は以下の態様に限定されるものではない。
【0014】
1.光学系
1−1.光学系の構成
まず、本件発明に係る光学系の実施の形態を説明する。本件発明に係る光学系は、最も結像面側に、結像面と空気間隔を隔てて両凹形状のレンズLrが配置され、後述する条件式(1)及び条件式(2)で表される所定の条件を満足することを特徴とする。まず、本件発明に係る光学系の構成について説明し、条件式に関する事項は後で説明するものとする。当該構成を採用すると共に、所定の条件式で表される条件を満足させることにより、大型の撮像素子に適用することができ、焦点距離が長く、且つ、良好な光学性能を有する小型の光学系及び撮像装置を提供することができる。
【0015】
(1)レンズLr
本件発明に係る光学系では、最も結像面側に上記レンズLrを配置すること、すなわち最も結像面側に負の屈折力を有するレンズを配置することで、射出瞳位置を結像面側に近づけることが可能になり、最も結像面側に配置されるレンズLrの径の小型化を実現することができる。このため、当該光学系の径方向の小型化を図ることができる。
【0016】
また、当該光学系において、最終レンズを負の屈折力を有する上記レンズLrとすることにより、テレフォト型のパワー配置とすることができ、当該光学系の望遠化を図ることが容易になる。さらに従来よりも大型の固体撮像素子を用いた場合も(例えば、35mm版相当の固体撮像素子を用いた場合等も)、ミラーレスカメラに好適な、例えば約15mm〜30mm程度のバックフォーカスを維持することができる。これらのことから、当該光学系の光学全長方向の小型化を図ることができる。
【0017】
また、当該光学系の最も結像面側に配置されるレンズLrを両凹形状とすることにより、すなわち、物体側の面及び結像面側の面をそれぞれ負の屈折力を有する面とすることにより、各面の屈折力を強くしすぎることなく、最終レンズの屈折力を強くすることができる。そのため、テレフォト型のパワー配置を強めたときも、各面で発生するコマ収差を小さくすることができ、結像性能の高い光学系を得ることが容易になる。
【0018】
ここで、当該レンズLrは両凹形状であればよく、当該レンズLrは単レンズ、接合レンズ、複合非球面レンズ、ガラスモールド非球面レンズ等のいずれのレンズであってもよい。すなわち、当該レンズLrは、その最も物体側の面が物体側に凹であり、その最も結像面側の面が結像面側に凹であり、最も物体側の面と最も結像面側の面との間に空気間隔を有しないレンズであればどのようなレンズであってもよい。
【0019】
(2)レンズLrの物体側に配置されるレンズ
当該光学系において、上記両凹形状のレンズLrと空気間隔を隔てて物体側に配置されるレンズが両凸形状であることが好ましい。上述したとおり、当該光学系では、その最も結像面側に上記レンズLrを配置することにより、結像面の大きさに対して当該レンズLrの径の小型化を図っている。しかしながら、当該レンズLrは両凹形状であり、当該光学系の最も結像面側に強い負の屈折力を配置することになる。そのため、像面湾曲を小さくする上でペッツバール和を小さくする必要がある。そこで、当該両凹形状のレンズLrの物体側に、当該レンズLrと空気間隔を隔てて、両凸形状のレンズを配置することにより、この両凹形状のレンズLrが有する負の屈折力が、両凸形状のレンズが有する正の屈折力により打ち消されて、ペッツバール和が補正され良好な像面性を実現できる。
【0020】
(2)具体的構成例
本件発明に係る光学系の具体的な構成は特に限定されるものではないが、焦点距離の長い望遠系の光学系を提供するという観点から、物体側に正の屈折力を配置し、結像面側に負の屈折力を配置することが好ましい。例えば、当該光学系を物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群、負の屈折力を有する第2レンズ群、及び、正の屈折力を有する第3レンズ群から構成され、前記第2レンズ群を被写体の距離に応じて光軸方向に移動させることで合焦を行う構成とすることが好ましい。
【0021】
当該光学系において最も物体側に配置される第1レンズ群に正の屈折力を持たせ、当該第1レンズ群により入射光を収束させることにより、第2レンズ群を構成するレンズの径を小さくすることができる。そして、第2レンズ群に負の屈折力を持たせることにより、テレフォト型のパワー配置とすることができ、焦点距離に比して光学全長を短くすることができ、当該光学系の小型化を実現することがより容易になる。また、第2レンズ群に負の屈折力を持たせることにより、第2レンズ群の軽量化を図ることができる。そして、当該光学系において、最も結像面側に配置される第3レンズ群に正の屈折力を持たせているため、当該第3レンズ群により入射光束を収束することができる。そのため、当該光学系の大口径化を図ることができる。
【0022】
また、上記パワー配置を採用しつつ、第2レンズ群をフォーカス群とすることにより、フォーカス群の小型化及び軽量化を図ることができる。そのため、フォーカス群を駆動するための駆動機構の小型化及び軽量化を図ることができる。
【0023】
さらに、第1レンズ群及び第3レンズ群に正の屈折力を持たせることで、第2レンズ群に強い負の屈折力を持たせることができるため、合焦時の第2レンズ群の移動量を小さくすることができるため、光学全長の小型化を図ることができる。また、フォーカス群の小型化及び軽量化が図られており、且つ、合焦時の移動量を小さくすることができるため、迅速な合焦動作を実現することができる。
【0024】
1−2.条件式
次に、当該光学系が満たすべき条件、又は、満足することが好ましい条件について説明する。
【0025】
当該光学系は、以下の条件式(1)及び条件式(2)を満足することを特徴とする。
条件式(1): 0.80 < fb/(f×tanω) < 1.40
条件式(2):−0.50 < fLr/f < −0.10
但し、
fb :当該両凹形状のレンズLrの結像面側の面から結像面までの空気換算長
f :当該光学系の焦点距離
ω :当該光学系の半画角
fLr:当該両凹形状のレンズLrの焦点距離
【0026】
1−2−1.条件式(1)
上記条件式(1)は、バックフォーカスと、結像面の大きさとに関する式である。ここで、上記両凹形状のレンズLrが光軸方向に沿って移動可能に構成されている場合、当該両凹形状のレンズLrの結像面側の面から結像面までの空気換算長fb、当該光学系の焦点距離f及び当該光学系の半画角ωは、それぞれ当該光学系において当該両凹形状のレンズLrが最も結像面に近い位置にあるときの値をいう。条件式(1)を満足させることにより、結像面の大きさに対して、当該両凹形状のレンズLrの径を小さく維持しつつ、バックフォーカスを短くすることが可能になる。従って、従来よりも大型の固体撮像素子を用いた場合も、当該光学系において最も結像面側に配置される当該レンズLrの径を小さく維持しつつ、従来と同程度のバックフォーカスを維持することができる。そのため、当該光学系の光学全長方向及び径方向の小型化を図ることができる。
【0027】
これに対して、条件式(1)の数値が上限値以上になると、結像面の大きさに対して、バックフォーカスが長くなるため、従来よりも大型の個体撮像素子を用いた場合に、光学全長の小型化を図ることができず、好ましくない。一方、条件式(1)の数値が下限値以下になると、結像面の大きさに対して、バックフォーカスが短くなりすぎる。この場合、当該両凹形状のレンズLrの径を大きくする必要があるため、当該光学系の径方向の小型化を図ることができず、好ましくない。
【0028】
これらの効果を得る上で、条件式(1)において、その下限値は0.82であることが好ましく、0.85であることがより好ましく、0.91であることが更に好ましい。また、条件式(1)において、その上限値は1.39であることが好ましく、1.38であることがより好ましく、1.37であることが更に好ましい。
【0029】
1−2−2.条件式(2)
上記条件式(2)は、当該光学系の焦点距離に対する当該両凹形状のレンズLrの焦点距離の比を規定する式である。ここで、条件式(1)の場合と同様に、上記両凹形状のレンズLrが光軸方向に沿って移動可能に構成されている場合、当該光学系の焦点距離fは、当該光学系において当該両凹形状のレンズLrが最も結像面に近い位置にあるときの値をいう。条件式(2)を満足させることにより、当該光学系の焦点距離に対して、当該両凹形状のレンズLrの焦点距離が適正な範囲内となり、収差補正等を行う上で好ましく、当該レンズLrの径を小さく維持することができる。そのため、良好な光学性能を有する小型の光学系を実現することができる。
【0030】
これに対して、条件式(2)の数値が上限値以上である場合、当該光学系の焦点距離に対して当該両凹形状のレンズLrの焦点距離が短く、コマ収差、像面湾曲及び歪曲収差の補正が困難になる。そのため、光学性能の良好な光学系を実現することが困難になり、好ましくない。一方、条件式(2)の数値が下限値以下である場合、当該光学系の焦点距離に対して当該両凹形状のレンズLrの焦点距離が長く、当該レンズLrの径の小型化を図ることが困難になる。
【0031】
これらの効果を得る上で、条件式(2)において、その下限値は−0.45であることが好ましく、−0.40であることがより好ましく、−0.35であることが更に好ましい。また、条件式(2)において、その上限値は−0.12であることが好ましく、−0.13であることがより好ましく、−0.14であることが更に好ましい。
【0032】
1−2−3.条件式(3)
当該光学系は、以下の条件式(3)で表される条件を満足する負の屈折力を有するレンズを少なくとも1枚有することが好ましい。
【0033】
条件式(3):1.83 < Ndn
但し、
Ndn :負の屈折力を有するレンズのd線における屈折率
【0034】
上記条件式(3)を満足する負のレンズとは、屈折率の高い硝材からなる負のレンズであることを意味する。この条件式(3)で表される条件を満足する負の屈折力を有するレンズは、当該光学系に含まれていればよく、その配置や枚数は特に限定されるものではない。当該光学系は全体で正の屈折力を有する。そのため、当該光学系に含まれる負の屈折力は、当該光学系に含まれる正の屈折力と比較すると弱い。そこで、当該光学系に上記条件式(3)を満足する負の屈折力を有するレンズを含めることにより、ペッツバール和の補正が容易となり、光学性能の高い光学系を実現することができる。
【0035】
上記効果を得る上で、条件式(3)の下限値は1.84であることがより好ましい。また、条件式(3)において、その上限値は2.40であることが更に好ましい。
【0036】
1−2−4.条件式(4)
当該光学系において、前記両凹形状のレンズLrが、以下の条件を満足することが好ましい。
【0037】
条件式(4):−3.20 < fLr/(f×tanω) < −0.95
【0038】
上記条件式(4)は、上記両凹形状のレンズLrの焦点距離と、結像面の大きさとに関する式である。ここで、条件式(4)においてfLr、f、tanωは条件式(1)において述べたとおりである。条件式(4)を満足させることにより、結像面の大きさに対して、当該両凹形状のレンズLrの焦点距離が適切な範囲内となり、像面湾曲や歪曲収差の補正を良好に行うことができる。ところで、固体撮像素子の各画素上にはオンチップマイクロレンズが設けられている。条件式(4)を満足させることで、結像面に対する光線の入射角度が適正な範囲内となるため、オンチップマイクロレンズによる集光率が良好であり、オンチップレンズ開口効率、すなわち、光学系から射出された光量に対する各素子に入射する光量の割合を大きくすることができる。
【0039】
これに対して、条件式(4)の数値が上限値以上になると、結像面の大きさに対して、上記両凹形状のレンズLrの焦点距離が短くなり、像面湾曲や歪曲収差の補正が困難となり好ましくない。さらに、結像面に対する光線の入射角度が大きくなりすぎるため、上記オンチップマイクロレンズよる集光率が低下する。すなわち、いわゆるケラレが生じ、オンチップマイクロレンズにおける開口効率が低下する。そのため、周辺光量の低下が顕著となり好ましくない。一方、条件式(4)の数値が下限値以下になると、結像面の大きさに対して、上記両凹形状のレンズLrの焦点距離が長くなる。そのため、結像面に対する光線の入射角度が小さくなるため、当該両凹形状のレンズLrの径の小型化が困難となり好ましくない。
【0040】
これらの効果を得る上で、条件式(4)の下限値は−3.00であることがより好ましく、−2.80であることが更に好ましく、−2.56であることが一層好ましい。また条件式(4)の上限値は−1.00であることがより好ましく、−1.20であることが更に好ましく、−1.40であることが一層好ましい。
【0041】
1−2−5.条件式(5)
当該光学系において、上記両凹形状のレンズLrが、以下の条件式(5)で表される条件を満足することが好ましい。
【0042】
条件式(5):
−0.90<(CrLrf+CrLrr)/(CrLrf−CrLrr)<0.15
但し、
CrLrf :前記両凹形状のレンズLrの最も物体側の面の曲率半径
CrLrr :前記両凹形状のレンズLrの最も結像面側の面の曲率半径
【0043】
上記条件式(5)は、当該光学系において最も結像面側に配置された両凹形状のレンズLrの形状を規定するための式である。条件式(5)の範囲を満足すると、当該レンズLrが両凹形状となる。この場合、当該レンズLrにおいて、最も物体側の面の曲率半径を小さくせずとも、当該光学系の最も結像面側に強い負の屈折力を配置することが可能になる。また、当該レンズLrにおいて、最も物体側の面の曲率半径を小さくしすぎないことにより、コマ収差の発生を抑制することができ、良好な光学性能を得る上でも好ましい。
【0044】
これらの効果を得る上で、条件式(5)の下限値は−0.80であることがより好ましく、−0.65であることが更に好ましく、−0.55であることが一層好ましい。また条件式(5)の上限値は0.05であることがより好ましく、0.02であることが更に好ましく、0.00であることが一層好ましい。
【0045】
1−2−6.条件式(6)
当該光学系において、以下の条件式(6)で表される条件を満足することが好ましい。
【0046】
条件式(6): 0.20 < tanθY10 < 0.65
但し、
θY10 :メリジオナル断面上において、半画角ωの光線の主光線が結像面に入射する角度
【0047】
ここで、半画角ωとは、条件式(1)の場合と同様に、当該光学系において上記両凹形状のレンズLrが最も結像面に近い位置にあるときの当該光学系の半画角をいう。また、主光線とは、当該光学系の入射瞳の中心を通る光線をいう。そして、半画角ωの光線の主光線とは、入射瞳平面に対して光軸との角度ωで入射する主光線をいう。
図7において実線で例示する光線が、この半画角ωの光線の主光線である。そして、
図7において、メリジオナル断面上において、当該半画角ωの光線の主光線(実線)と結像面の法線(点線)とがなす角度が上記θY10である。また、
図7において矢印で示す方向を正(+)とし、一点鎖線は光軸を表す。
【0048】
上記条件式(6)を満足させることにより、結像面に対する光線の入射角度が適正な範囲内となるため、オンチップマイクロレンズによる集光率が良好であり、オンチップレンズ開口効率を大きくすることができる。また、従来よりも大型の固体撮像素子を用いた場合も、当該光学系において最も結像面側に配置される当該レンズLrの径を小さく維持しつつ、ミラーレスカメラに好適な、例えば約15mm〜30mm程度のバックフォーカスを維持することがより容易になる。そのため、当該光学系の光学全長方向及び径方向の小型化を図ることがより容易になる。
【0049】
これに対して、条件式(6)の数値が上限値以上になると、結像面に対する光線の入射角度が大きくなりすぎるため、オンチップレンズによる集光率が低下する。そのため、周辺光量の低下が顕著となり好ましくない。一方、条件式(6)の数値が下限値以下になると、結像面に対する光線の入射角度が小さくなりすぎるため、結像面の大きさに対して、当該レンズLrの径の小型化を図ることが困難になる。その一方、バックフォーカスは長くなる。そのため、従来よりも大型の固体撮像素子を用いた場合に、当該光学系の光学全長方向及び径方向の小型化を図ることが困難になる。
【0050】
これらの効果を得る上で、条件式(6)の下限値は0.21であることがより好ましい。また条件式(6)の上限値は0.63であることがより好ましく、0.59であることが更に好ましく、0.52であることが一層好ましい。
【0051】
1−2−7.条件式(7)
当該光学系において、上記両凹形状のレンズLrの結像面側の面が、以下の条件を満足することが好ましい。
【0052】
条件式(7): 0.10 < CrLrr/f < 4.00
但し、
CrLrr :両凹形状のレンズLrの結像面側の面の曲率半径
【0053】
上記条件式(7)は、当該光学系の焦点距離に対する上記両凹形状のレンズLrの結像面側の面の曲率半径の比を規定する式である。ここで、当該光学系の焦点距離とは、条件式(1)の場合と同様に、当該光学系において上記両凹形状のレンズLrが最も結像面に近い位置にあるときの値をいう。条件式(7)を満足させることにより、当該レンズLrの結像面側の面の曲率半径が当該光学系の焦点距離に対して適性な範囲内となり、収差補正を良好に行うことができ、光学性能の高い光学系を得る上で好ましい。
【0054】
これに対して、条件式(7)の数値が上限値以上になると、当該両凹形状のレンズLrの結像面側の面の曲率半径が当該光学系の焦点距離に対して大きくなりすぎるため、像面湾曲の補正が不足となり、光学性能の高い光学系を得ることが困難になる。一方、条件式(7)の数値が下限値以下になると、当該両凹形状のレンズLrの結像面側の面の曲率半径が当該光学系の焦点距離に対して小さくなりすぎるため、コマ収差や歪曲収差の補正が困難となり、光学性能の高い光学系を得ることが困難になる。
【0055】
但し、上記両凹形状のレンズLrが接合レンズである場合、上記条件式(7)に関して、CrLrrで定義する上記両凹形状のレンズLrの結像面側の面の曲率半径とは当該両凹形状のレンズLrが備える光学面のうち、最も結像面側に配置される光学面の有効半径をいうものとする。
【0056】
これらの効果を得る上で、条件式(7)の下限値は0.15であることがより好ましく、0.20であることが更に好ましく、0.25であることが一層好ましい。また、条件式(7)の上限値は3.00であることがより好ましく、2.20であることが更に好ましく、1.50であることがより一層好ましく、1.00であることがより一層好ましい。
【0057】
1−2−8.条件式(8)
当該光学系において、上記両凹形状のレンズLrが、以下の条件を満足することが好ましい。
【0058】
条件式(8):1.40 < βLr < 1.70
但し、
βLr : 上記両凹形状のレンズLrの横倍率
【0059】
上記条件式(8)は、上記両凹形状のレンズLrの横倍率を規定する式である。条件式(8)を満足させることにより、当該両凹形状のレンズLrの横倍率が適正な範囲内になり、当該光学系の望遠化を図ったときも、収差補正を良好に行うことができ、光学性能の高い光学系を実現することがより容易になる。これと同時に、当該光学系の小型化を図ることもより容易になる。
【0060】
これに対して、条件式(8)の数値が上限値以上になると、当該両凹形状のレンズLrの横倍率が大きくなり過ぎるため、最も結像面側に配置されるレンズによる像の拡大効果が大きく、球面収差や像面湾曲、コマ収差等の収差補正が困難となる。そのため、良好な光学性能を実現するには、少ないレンズ枚数で光学系を構成することが困難になり、光学系の小型化を図ることが困難になるため好ましくない。一方、条件式(8)の数値が下限値以下になると、上記両凹形状のレンズLrの横倍率が小さくなり過ぎるため、最も結像面側に配置されるレンズによる像の拡大効果が小さく、光学全長の小型化が困難となり好ましくない。
【0061】
これらの効果を得る上で、条件式(8)の下限値は1.45であることがより好ましく、1.50であることが更に好ましい。また条件式(8)の上限値は1.68であることがより好ましく、1.66であることが更に好ましい。
【0062】
1−2−9.条件式(9)
当該光学系において、最も物体側に配置される面が以下の条件式(9)で表される条件を満足することが好ましい。
【0063】
条件式(9):0.10 < CrL1f/f < 4.00
但し、
CrL1f : 当該光学系において最も物体側に配置される面の曲率半径
【0064】
上記条件式(9)は、当該光学系の焦点距離に対する、当該光学系の最も物体側に配置される面の曲率半径の比を規定する式である。ここで、光学系の焦点距離fは、条件式(1)の場合と同様に、当該光学系において上記両凹形状のレンズLrが最も結像面に近い位置にあるときの値をいう。条件式(9)を満足させることにより、当該光学系の望遠化を図ったときも、収差補正を良好に行うことができ、光学性能の高い光学系を実現することがより容易になる。これと同時に、当該光学系の小型化を図ることもより容易になる。
【0065】
これに対して、条件式(9)の数値が上限値以上になると、すなわち当該光学系の焦点距離に対して、最も物体側に配置される面の曲率半径が大きくなり、像面湾曲や歪曲の補正が不足となり、高性能な光学系を実現する上で好ましくない。一方、条件式(9)の数値が下限値以下になると、すなわち当該光学系の焦点距離に対して、最も物体側に配置される面の曲率半径が小さくなり、球面収差の補正が困難となり好ましくない。
【0066】
これらの効果を得る上で、条件式(9)の下限値は0.15であることがより好ましく、0.25であることが更に好ましく、0.30であることが一層好ましい。また条件式(9)の上限値は3.50であることがより好ましく、3.00であることが更に好ましく、2.80であることが一層好ましい。
【0067】
1−2−10.条件式(10)
当該光学系が、物体側から順に正の屈折力を有する第1レンズ群、負の屈折力を有する第2レンズ群及び正の屈折力を有する第3レンズ群から構成され、第2レンズ群を被写体の距離に応じて光軸方向に移動させることで合焦を行う場合、当該第2レンズ群が以下の条件式(10)で表される条件を満足することが好ましい。
【0068】
条件式(10):
―8.0 < {1−(β2×β2)}×β3×β3 < −0.5
但し、
β2 : 第2レンズ群の横倍率
β3 : 第3レンズ群の横倍率
【0069】
上記条件式(10)は、当該光学系を上記構成としたときの第2レンズ群のフォーカス敏感度、すなわちフォーカス群である第2レンズ群が単位量動いた場合の像面移動量を規定するための式である。上記構成において、条件式(10)を満足させることにより、無限遠物体から有限距離物体への合焦時の移動量を適正な範囲内にすることができ、且つ、当該光学系の光学全長の小型化を実現することが容易になる。また、フォーカス敏感度が適正な範囲内となり、合焦時の第2レンズ群の駆動制御が容易になる。
【0070】
これに対して、条件式(10)の数値が上限値以上になると、すなわちフォーカス敏感度が小さくなりすぎると、無限遠物体から有限距離物体への合焦時の移動量が大きくなり、光学全長の小型化が困難となり好ましくない。一方、条件式(10)の数値が下限値以下になると、すなわちフォーカス敏感度が大きくなりすぎると、ピント位置の位置ずれを補正するためのフォーカス群の移動量が小さくなり過ぎるため、高精度の制御が必要となるため好ましくない。
【0071】
これらの効果を得る上で、条件式(10)の下限値は−6.5であることがより好ましく、−5.0であることが更に好ましく、−4.0であることが一層好ましく、−3.5であることがより一層好ましい。また、条件式(10)の上限値は−0.7であることがより好ましく、−0.9であることが更に好ましく、−1.1であることが一層好ましく、−1.3であることがより一層好ましい。
【0072】
1−2−11.条件式(11)
当該光学系において、上記両凹形状のレンズLrの物体側の面の有効半径と、上記両凹形状のレンズLrと空気間隔を隔てて物体側に配置されるレンズ面の有効半径と、が以下の条件を満足することが好ましい。
【0073】
条件式(11): 1.00 < Hpr/Hrf
但し、
Hpr : 前記両凹形状のレンズLrと空気間隔を隔てて物体側に配置されるレンズ面の有効半径
Hrf : 前記両凹形状のレンズLrの物体側の面の有効半径
【0074】
上記条件式(11)は、上記両凹形状のレンズLrの空気間隔を隔てて物体側に配置されるレンズ面の有効半径に対する上記両凹形状のレンズLrの物体側の面の有効半径の比を規定する式である。条件式(11)を満足する(換言すれば、前記両凹形状のレンズLrの物体側の面より、その物体側に配置される面の有効径が大きくなる)と、当該光学系において最も結像面側に配置されるレンズLrに対して、入射する光線が集光する方向の光線角度を有することとなり、当該レンズLrの有効径を小さくすることができ、当該光学系の小型化を実現することがより容易になる。
【0075】
但し、上記両凹形状のレンズLrが接合レンズである場合、上記条件式(11)に関して、Hrfで定義する上記両凹形状のレンズLrの物体側の面の有効半径とは当該両凹形状のレンズLrが備える光学面のうち、最も物体側に配置される面の有効半径をいうものとする。
【0076】
これらの効果を得る上で、条件式(11)の上限値は3.00であることがより好ましく、2.00であることが更に好ましく、1.50であることが一層好ましく、1.40であることがより一層好ましい。
【0077】
2.撮像装置
次に、本件発明に係る撮像装置について説明する。本件発明に係る撮像装置は、上記本件発明に係る光学系と、当該光学系の像面側に設けられた、当該光学系によって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備えたことを特徴とする。
【0078】
ここで、撮像素子等に特に限定はなく、CCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどの固体撮像素子等も用いることができる。本件発明に係る撮像装置は、デジタルカメラやビデオカメラ等のこれらの固体撮像素子を用いた撮像装置に好適である。また、当該撮像装置は、レンズが筐体に固定されたレンズ固定式の撮像装置であってもよいし、一眼レフカメラやミラーレス一眼カメラ等のレンズ交換式の撮像装置であってもよいのは勿論である。本件発明に係る光学系は、結像面の大きさに対して、バックフォーカスを小さくすることができる。そのため、本件発明に係る撮像装置は、例えば、ミラーレス一眼カメラ等の光学式ファインダーや、位相差センサ、これらに光路を導くためのリフレックスミラー等を備えていない小型の撮像装置に好適である。
【0079】
本発明の撮像装置は、前記撮像素子により取得した撮像画像データを電気的に加工して、撮像画像の形状を変化させる画像処理部や、当該画像処理部において撮像画像データを加工するために用いる画像補正データ、画像補正プログラム等を保持する画像補正データ保持部等を有することがより好ましい。光学系を小型化した場合、結像面において結像された撮像画像形状の歪み(歪曲)が生じやすくなる。その際、画像補正データ保持部に予め撮像画像形状の歪みを補正するための歪み補正データを保持させておき、上記画像処理部において、画像補正データ保持部に保持された歪み補正データを用いて、撮像画像形状の歪みを補正することが好ましい。このような撮像装置によれば、光学系の小型化をより一層図ることができ、秀麗な撮像画像を得ると共に、撮像装置全体の小型化を図ることができる。
【0080】
さらに、本件発明に係る光学系において、上記画像補正データ保持部に予め倍率色収差補正データを保持させておき、上記画像処理部において、画像補正データ保持部に保持された倍率色収差補正データを用いて、当該撮像画像の倍率色収差補正を行わせることが好ましい。画像処理部により、倍率色収差、すなわち、色の歪曲収差を補正することで、光学系を構成するレンズ枚数を削減することが可能になる。そのため、このような撮像装置によれば、光学系の小型化をより一層図ることができ、秀麗な撮像画像を得ると共に、撮像装置全体の小型化を図ることができる。
【0081】
上記説明した本件発明に係る光学系は、当該光学系の焦点距離、Fno、変倍比、群構成等によらず小型化を図ることができる。そのため、従来と比して大型の撮像素子に適用することができ、焦点距離が長く、且つ、良好な光学性能を有する小型の光学系及び撮像装置を実現することができる。
【0082】
次に、実施例を示して本件発明を具体的に説明する。但し、本件発明は以下の実施例に限定されるものではない。以下に挙げる各実施例の光学系は撮像光学系であり、デジタルカメラ、ビデオカメラ、銀塩フィルムカメラ等の撮像装置(光学装置)に適用可能である。また、各レンズ断面図において、図面に向かって左方が物体側、右方が結像面側である。
【実施例1】
【0083】
(1)光学系の構成
図1は、本件発明に係る実施例1の光学系の無限遠合焦時におけるレンズ構成を示すレンズ断面図である。当該光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とから構成されている。無限遠物体から近距離物体への合焦の際、第1レンズ群G1と第3レンズ群G3が光軸方向に固定された状態で、第2レンズ群G2が光軸に沿って物体側に移動する。開口絞りSは第1レンズ群G1の内部に配置されている。
【0084】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、両凸レンズL1と、結像面側の面が反射ミラーで構成される物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL2と、物体側の面が反射ミラーで構成される物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL3と、物体側に凸形状の負メニスカスレンズL4、両凸レンズL5及び上記負メニスカスレンズL2を接合した接合レンズと、両凸レンズL6及び物体側に凹形状の負メニスカスレンズL7を接合した接合レンズとから構成される。ここで、負メニスカスレンズL3の結像面側の面が開口絞りSである。
【0085】
第2レンズ群G2は、物体側に凸形状の負メニスカスレンズL8から構成されている。
【0086】
第3レンズ群G3は、物体側から順に、両凸レンズL9と、両凹レンズL10とから構成されている。ここで、当該光学系において、最も結像面側に配置された両凹レンズL10が本件発明にいう両凹形状のレンズLrである。
【0087】
なお、当該光学系において、手振れ発生時には、光学系に含まれる少なくとも1枚のレンズを偏芯させることでブレ補正を行うことができる。例えば、第1レンズ群G1中の両凸レンズL6及び負メニスカスレンズL7を接合した接合レンズを防振レンズ群とし、当該接合レンズを光軸と垂直な方向に動かすことで、結像面IMG上のブレ補正を行うことができる。
【0088】
また、「IMG」は結像面であり、具体的にはCCDセンサ、CMOSセンサ等の固体撮像素子の撮像面、或いは、銀塩フィルムのフィルム面等を表す。また、結像面IMGの
物体側にはカバーガラスCG等の実質的な屈折力を有さない平行平板を備える。これらの点は、他の実施例で示す各レンズ断面図においても同様であるため、以下では説明を省略する。
【0089】
(2)数値実施例
次に、当該光学系の具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表1に当該光学系の面データを示す。表1において、「面番号」は物体側から数えたレンズ面の順番、「r」はレンズ面の曲率半径、「d」はレンズ面の光軸上の間隔、「Nd」はd線(波長λ=587.56nm)に対する屈折率、「νd」はd線に対するアッベ数、「H」は有効半径を示している。また、面番号の次の欄に表示する「ASP」は当該レンズ面が非球面であることを表し、「S」は開口絞りを表している。さらに、レンズ面の光軸上の間隔の欄に、「D18」、「D20」等と示すのは、当該レンズ面の光軸上の間隔が合焦時に変化する可変間隔であることを意味する。なお、各表中の長さの単位は全て「mm」であり、画角の単位は全て「°」であり、「INF」は無限大であることを表している。
【0090】
表2に、当該光学系の光軸上の可変間隔を示す。可変間隔は、無限遠合焦時及び1.9m合焦時における各レンズ面間の間隔を示している。
【0091】
表3に、当該光学系を構成する各レンズ群の焦点距離を示す。
【0092】
表4は、当該光学系の緒元表である。当該緒元表には、無限遠物体合焦時における当該光学系の焦点距離「f」、Fナンバー「Fno.」、半画角「ω」、像高「Y」、光学全長「TL」を示す。
【0093】
また、表14に、各条件式(1)〜条件式(11)の数値を示す。これらの表に関する事項は実施例2〜実施例3で示す各表においても同様であるため、以下では説明を省略する。
【0094】
また、
図2に当該実施例1の光学系無限遠合焦時の縦収差図を示す。各図に示す縦収差図は、図面に向かって左側から順に、それぞれ球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)である。球面収差を表す図では、縦軸は開放F値との割合、横軸にデフォーカスをとり、実線がd線(波長λ=587.6nm)、点線がg線(波長λ=435.8nm)における球面収差を示す。非点収差を表す図では、縦軸は像高、横軸にデフォーカスをとり、実線がd線に対するサジタル像面(ds)、点線がd線に対するメリジオナル像面(dm)を示す。歪曲収差を表す図では、縦軸は像高、横軸に%をとり、歪曲収差を表す。これらの縦収差図に関する事項は、他の実施例で示す縦収差図においても同様であるため、以下では説明を省略する。
【0095】
また、当該光学系の無限遠合焦時におけるバックフォーカス「fb」は以下のとおりである。但し、以下の値は、厚さ2.5mmのカバーガラス(Nd=1.5168)を含まない値であり、他の実施例に示すバックフォーカスも同様である。
fb= 29.358(mm)
【0096】
【表1】
【0097】
【表2】
【0098】
【表3】
【0099】
【表4】
【実施例2】
【0100】
(1)光学系の構成
図3は、本件発明に係る実施例2の光学系の無限遠合焦時におけるレンズ構成を示すレンズ断面図である。当該光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とから構成されている。無限遠物体から近距離物体への合焦の際、第1レンズ群G1と第3レンズ群G3が光軸方向に固定された状態で、第2レンズ群G2が光軸に沿って物体側に移動する。開口絞りSは第3レンズ群G3の最も物体側に配置されている。
【0101】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸形状の正メニスカスレンズL1、両凸レンズL2及び両凹レンズL3を接合した接合レンズと、両凸レンズL4と、両凹レンズL5と、両凸レンズL6とから構成されている。
【0102】
第2レンズ群G2は、両凹レンズL7から構成されている。
【0103】
第3レンズ群G3は、物体側から順に、開口絞りSと、物体側に凸形状の負メニスカスレンズL8及び両凸レンズL9を接合した接合レンズと、物体側に凸形状の負メニスカスレンズL10と、両凸レンズL11と、両凸レンズL12と、両凹レンズL13とから構成されている。ここで、当該光学系において、最も結像面側に配置された両凹レンズL13が本件発明にいう両凹形状のレンズLrである。また、負メニスカスレンズL10は両面を非球面形状としたガラスモールド型非球面レンズ、又は研削加工による非球面レンズである。
【0104】
なお、当該光学系において、手振れ発生時には、光学系に含まれる少なくとも1枚のレンズを偏芯させることでブレ補正を行うことができる。例えば、第3レンズ群G3中のレンズL10を防振レンズとし、当該レンズL10を光軸と垂直な方向に動かすことで、結像面IMG上のブレ補正を行うことができる。
【0105】
(2)数値実施例
次に、当該光学系の具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表5に、当該光学系の面データを示す。表6に、当該光学系の光軸上の可変間隔を示す。当該可変間隔は、無限遠合焦時及び0.95m合焦時における各レンズ面間の間隔を示している。表7に、当該光学系を構成する各レンズ群の焦点距離を示す。表8は、当該光学系の緒元表である。表9は、各非球面の非球面係数である。当該非球面係数は、各非球面形状を下記式で定義したときの値である。また、表14に、各条件式(1)〜条件式(11)の数値を示す。
【0106】
X(Y)= (Y
2/r)/[1+(1-ε・Y
2/r
2)
1/2]+A4・Y
4+A6・Y
6+A8・Y
8+A10・Y
10+A12・Y
12
【0107】
但し、表9において、「E−a」は「×10
−a」を示す。また、上記式において、「X」は光軸方向の基準面からの変位量、「r」は近軸曲率半径、「Y」は光軸に垂直な方向の光軸からの高さ、「ε」は円錐係数、「An」はn次の非球面係数とする。
【0108】
また、
図4に、当該実施例2の光学系の無限遠合焦時の縦収差図を示す。さらに、当該光学系の無限遠合焦時におけるバックフォーカスは以下のとおりである。
fb= 25.979(mm)
【0109】
【表5】
【0110】
【表6】
【0111】
【表7】
【0112】
【表8】
【0113】
【表9】
【実施例3】
【0114】
(1)光学系の構成
図5は、本件発明に係る実施例3の光学系の無限遠合焦時におけるレンズ構成を示すレンズ断面図である。当該光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とから構成されている。無限遠物体から近距離物体への合焦の際、第1レンズ群G1と第3レンズ群G3が光軸方向に固定された状態で、第2レンズ群G2が光軸に沿って物体側に移動する。開口絞りSは第3レンズ群G3の内部に配置されている。
【0115】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸形状の正メニスカスレンズL1と、物体側に凸形状の正メニスカスレンズL2と、物体側に凸形状の負メニスカスレンズL3及び両凸形状の正レンズL4を接合した接合レンズと、両凸形状の正レンズL5及び両凹形状の負レンズL6を接合した接合レンズとから構成されている。
【0116】
第2レンズ群G2は、両凹レンズL7から構成されている。
【0117】
第3レンズ群G3は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL8及び物体側に凹形状の負メニスカスレンズL9を接合した接合レンズと、開口絞りSと、物体側に凸形状の負メニスカスレンズL10と、両凸レンズL11と、両凹レンズL12と、両凸レンズL13と、両凹レンズL14とから構成されている。ここで、当該光学系において、最も結像面側に配置された両凹レンズL14が本件発明にいう両凹形状のレンズLrである。
【0118】
なお、当該光学系において、手振れ発生時には、光学系に含まれる少なくとも1枚のレンズを偏芯させることでブレ補正を行うことができる。例えば、第3レンズ群G3中のレンズL10を防振レンズとし、当該レンズL10を光軸と垂直な方向に動かすことで、結像面IMG上のブレ補正を行うことができる。
【0119】
(2)数値実施例
次に、当該光学系の具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表10に、当該光学系の面データを示す。表11に、当該光学系の光軸上の可変間隔を示す。当該可変間隔は、無限遠合焦時及び0.87m合焦時における各レンズ面間の間隔を示している。表12に、当該光学系を構成する各レンズ群の焦点距離を示す。表13は、当該光学系の緒元表である。また、表14に、各条件式(1)〜条件式(11)の数値を示す。
【0120】
また、
図6に、当該実施例3の光学系の無限遠合焦時の縦収差図を示す。さらに、当該光学系の無限遠合焦時におけるバックフォーカスは以下のとおりである。
fb= 21.636(mm)
【0121】
【表10】
【0122】
【表11】
【0123】
【表12】
【0124】
【表13】
【0125】
【表14】