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特開2018-73173作業システム、その方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-73173(P2018-73173A)
(43)【公開日】2018年5月10日
(54)【発明の名称】作業システム、その方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/10 20060101AFI20180406BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20180406BHJP
   B64C 13/20 20060101ALI20180406BHJP
   B64F 1/36 20170101ALI20180406BHJP
【FI】
   G05D1/10
   B64C39/02
   B64C13/20 C
   B64F1/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-213170(P2016-213170)
(22)【出願日】2016年10月31日
(71)【出願人】
【識別番号】516145390
【氏名又は名称】株式会社エンルートM’s
(71)【出願人】
【識別番号】516066028
【氏名又は名称】株式会社エンルート
(71)【出願人】
【識別番号】516176855
【氏名又は名称】呉 軍
(71)【出願人】
【識別番号】516176866
【氏名又は名称】顔 開
(74)【代理人】
【識別番号】100127328
【弁理士】
【氏名又は名称】八木澤 史彦
(74)【代理人】
【識別番号】100140866
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 武史
(72)【発明者】
【氏名】伊豆 智幸
(72)【発明者】
【氏名】呉 軍
(72)【発明者】
【氏名】顔 開
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA06
5H301BB10
5H301CC04
5H301CC07
5H301CC10
5H301DD07
5H301DD15
5H301GG08
5H301GG09
5H301GG17
5H301QQ04
(57)【要約】
【課題】長時間にわたって所定の位置を連続撮影することができる作業システムを提供すること。
【解決手段】作業システムは、自律飛行が可能な第一の無人飛行体1A及び第二の無人飛行体1Bと、第一の無人飛行体1A及び第二の無人飛行体1Bと通信可能な管理装置100と、を有し、第一の無人飛行体1A及び第二の無人飛行体1Bは、現在位置を示す位置情報を生成する位置情報生成手段と、作業位置P1において作業を行う作業手段と、を有し、管理装置100は、第一の無人飛行体1Aの電池残量が所定の基準値以下になった場合に、第二の無人飛行体1Bを作業位置P1に向かわせる交代指示手段を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律飛行が可能な第一の無人飛行体及び第二の無人飛行体と、
前記第一の無人飛行体及び前記第二の無人飛行体と通信可能な管理装置と、
を有する作業システムであって、
前記第一の無人飛行体及び前記第二の無人飛行体は、
現在位置を示す位置情報を生成する位置情報生成手段と、
作業位置において作業を行う作業手段と、
を有し、
前記管理装置は、
前記第一の無人飛行体の電池残量が所定の基準値以下になった場合、または、前記第一の無人飛行体の飛行可能時間が基準時間以下になった場合に、前記第二の無人飛行体を前記作業位置に向かわせる交代指示手段を有する、
作業システム。
【請求項2】
前記第二の無人飛行体は、前記作業位置近傍に規定された作業準備位置を経由して前記作業位置に向かうように構成されている請求項1に記載に記載の作業システム。
【請求項3】
前記作業位置と前記作業準備位置は、略同一の高度を有し、前記第二の無人飛行体が前記作業準備位置に到着した場合に、前記第一の無人飛行体は略垂直に上昇し、前記第二の無人飛行体は、前記作業位置に向かって略水平に移動するように構成されている請求項2に記載の作業システム。
【請求項4】
自律飛行が可能な第一の無人飛行体及び第二の無人飛行体が実施する作業方法であって、
作業位置で作業を実施する前記第一の無人飛行体の電池残量が所定の基準値以下になった場合、または、前記第一の無人飛行体の飛行可能時間が基準時間以下になった場合に、前記第二の無人飛行体が前記作業位置に向かう移動ステップと、
前記第二の無人飛行体が、前記作業位置の近傍であり、前記作業位置と略同一の高度を有する位置に到達すると、前記第一の無人飛行体は前記作業位置を離脱し、前記第二の無人飛行体が前記作業位置に移動する交代ステップと、
を有する作業方法。
【請求項5】
自律飛行が可能な第一の無人飛行体及び第二の無人飛行体と通信可能な管理装置を制御するコンピュータを、
前記第一の無人飛行体の電池残量が所定の基準値以下になった場合、または、前記第一の無人飛行体の飛行可能時間が基準時間以下になった場合に、前記第二の無人飛行体を前記作業位置に向かわせる交代指示手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業システム、その方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小型無人飛行体(「ドローン」とも呼ばれる)の利用が提案されている。このようなドローンを利用して、映像情報を取得する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−27331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、所定の位置を長時間にわたって撮影する必要があるときに、地上から有線で電力を供給できない場合には、ドローンに搭載できる電池(バッテリー)の容量は限定されているから、長時間にわたって連続して撮影することができない。
【0005】
本発明はかかる問題の解決を試みたものであり、長時間にわたって所定の位置を連続撮影することができる作業システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一の発明は、自律飛行が可能な第一の無人飛行体及び第二の無人飛行体と、前記第一の無人飛行体及び前記第二の無人飛行体と通信可能な管理装置と、を有する作業システムであって、前記第一の無人飛行体及び前記第二の無人飛行体は、現在位置を示す位置情報を生成する位置情報生成手段と、作業位置において作業を行う作業手段と、を有し、前記管理装置は、前記第一の無人飛行体の電池残量が所定の基準値以下になった場合、または、前記第一の無人飛行体の飛行可能時間が基準時間以下になった場合に、前記第二の無人飛行体を前記作業位置に向かわせる交代指示手段を有する、作業システムである。
【0007】
第一の発明の構成によれば、長時間にわたって所定の位置を連続撮影することができる。
【0008】
第二の発明は、第一の発明の構成において、前記第二の無人飛行体は、前記作業位置近傍に規定された作業準備位置を経由して前記作業位置に向かうように構成されている作業システムである。
【0009】
第三の発明は、第二の発明の構成において、前記作業位置と前記作業準備位置は、略同一の高度を有し、前記第二の無人飛行体が前記作業準備位置に到着した場合に、前記第一の無人飛行体は略垂直に上昇し、前記第二の無人飛行体は、前記作業位置に向かって略水平に移動するように構成されている作業システムである。
【0010】
第四の発明は、自律飛行が可能な第一の無人飛行体及び第二の無人飛行体が実施する作業方法であって、作業位置で作業を実施する前記第一の無人飛行体の電池残量が所定の基準値以下になった場合、または、前記第一の無人飛行体の飛行可能時間が基準時間以下になった場合に、前記第二の無人飛行体が前記作業位置に向かう移動ステップと、前記第二の無人飛行体が、前記作業位置の近傍であり、前記作業位置と略同一の高度を有する位置に到達すると、前記第一の無人飛行体は前記作業位置を離脱し、前記第二の無人飛行体が前記作業位置に移動する交代ステップと、を有する作業方法である。
【0011】
第五の発明は、自律飛行が可能な第一の無人飛行体及び第二の無人飛行体と通信可能な管理装置を制御するコンピュータを、前記第一の無人飛行体の電池残量が所定の基準値以下になった場合、または、前記第一の無人飛行体の飛行可能時間が基準時間以下になった場合に、前記第二の無人飛行体を前記作業位置に向かわせる交代指示手段として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、長時間にわたって所定の位置を連続撮影することができる作業システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る連続撮影システムの作用を示す概略図である。
図2】連続撮影システムの作用を示す概略図である。
図3】無人飛行体を示す概略図である。
図4】無人飛行体の動作を示す概略図である。
図5】無人飛行体の動作を示す概略図である。
図6】無人飛行体の動作を示す概略図である。
図7】無人飛行体の機能ブロックを示す図である。
図8】基地局の機能ブロックを示す図である。
図9】第一の無人飛行体の動作を示すフローチャートである。
図10】第二の無人飛行体の動作を示すフローチャートである。
図11】基地局の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。以下の説明においては、同様の構成には同じ符号を付し、その説明を省略又は簡略する。なお、当業者が適宜実施できる構成については説明を省略し、本発明の基本的な構成についてのみ説明する。
【0015】
<第一の実施形態>
図1に示すように、本実施形態の連続撮影システムは、無人飛行体(以下、「無人機」という。)1A,1B及びC1と、無人機1A等と通信可能な基地局100を有する。連続撮影システムは、作業システムの一例である。無人機1A等は、所定の経路を自律飛行して、所定の作業を行う。本実施形態において、「作業」の例として、地域200に位置する集落212を空中の作業位置P1から長時間にわたって連続撮影する作業について、以下、説明する。図1において、現在、無人機1Aが作業位置P1から、矢印A1に示す方向にカメラを向けて、集落212を撮影している。無人機1Aの電池残量が、基準値よりも少なくなると、図2に示すように、無人機1Bが作業位置P1に向かい、同様の撮影を行う。同様に、無人機1Bの電池残量が、基準値よりも少なくなると無人機1Cが作業位置P1に向かい、同様の撮影を行うようになっている。現在撮影を行っている無人機が第一の無人飛行体の一例であり、現在撮影を行っている無人機に代わって作業位置P1に向かう無人機が第二の無人飛行体の一例である。以下、最初に撮影を行う無人機を1番機、1番機に交代して撮影を行う無人機を2番機と呼ぶ。
【0016】
無人機1A等は、無人機1A等と通信可能な基地局100からの指示で、発進、撮影及び帰還を実施し、また、基地局100において充電等を行うようになっている。無人機1Aが撮影を行っているときには、無人機1B及び1Cは、基地局100に待機している。
【0017】
地域200は、山202,204及び206を背景とし、前方に湖208がある。山206と湖208の間には、道路210が配置され、自動車214が通行している。山206の山裾と道路210の間には、複数の家屋からなる集落212が形成されている。無人機1A等は、地域200に位置するこれらの物の座標及び位置関係を示すデータを有している。
【0018】
図3に示すように、無人機1A等は、筐体2を有する。筐体2には、無人機1A等の各部を制御するコンピュータ、自律飛行装置、無線通信装置、GPS(Global Positioning System)を利用した測位装置、慣性センサー、気圧センサー、バッテリー等が配置されている。また、筐体2には、固定装置12を介して、情報取得部10が配置されている。情報取得部10は、カメラ10a及びレーザー距離計10bからなる。カメラ10aは、可視光カメラ、または、近赤外線カメラであるが、切り替え可能なハイブリッドカメラであってもよい。固定装置12は、カメラ10aによる撮影画像のぶれを最小化し、かつ、カメラ10aの光軸を任意の方向に制御することができる3軸の固定装置(いわゆる、ジンバル)である。
【0019】
筐体2には、丸棒状のアーム4が接続されている。各アーム4にはモーター(図示せず)が接続されており、各モーターにはプロペラ6が接続されている。
【0020】
アーム4には保護枠8が接続され、プロペラ6が外部の物体に直接接触することを防止している。アーム4及び保護枠8は、例えば、炭素繊維強化プラスチックで形成されており、強度を保ちつつ、軽量に構成されている。
【0021】
図2に示すように、無人機1Aが1番機として、空中の作業位置P1において集落212を撮影しているときに、無人機1Aのバッテリー残量が基準値以下になった場合に、基地局100の指令によって、無人機1Bが2番機として、作業位置P1に向かう。このとき、図4に示すように、無人機1Bは、作業位置P1の近傍で、かつ、作業位置P1とほぼ同一の高度に規定された作業準備位置P2(以下、「準備位置P2」という。)を経由する。無人機1Bは、準備位置P2において、視野SC21として示すように、カメラ10aの視野を作業位置P1に向けて、無人機1Aを画像認識する。画像認識の詳細は、後述する。
【0022】
無人機1Bは、準備位置P2において、作業位置P1に位置する無人機1Aを画像認識すると、準備位置P2に到着したこと、及び、作業位置P1の無人機1Aを認識したことを示す情報を基地局100に送信する。この時点では、無人機1Aは、集落212を撮影する視野SC11を維持している。基地局100は、無人機1Bから上述の情報を受信すると、無人機1Aには、作業位置P1を離脱する指示を送信し、無人機1Bには、作業位置P1に侵入する指示を送信する。
【0023】
基地局100から上述の指示を受信すると、図5の矢印Y2に示すように、無人機1Aは上昇する。一方、無人機1Bは、矢印Z2に示すように、水平方向に移動し、作業位置P1に到達すると、視野SC22として示すように、集落212の撮影を開始する。このとき、無人機1Aは作業位置P1から離脱中であっても、基地局100から帰還指示を受信するまでは、集落212に向けた視野SC11による撮影を継続する。無人機1Bは、作業位置P1に到達し、集落212の撮影を開始すると、作業位置P1に到着したこと示す情報を基地局100に送信する。基地局100は、無人機1Bの撮影画像として採用し、無人機1Aには、撮影を停止する指示を送信する。続いて、図6の矢印Y1に示すように、無人機1Aは基地局100に帰還する。
【0024】
図7は、無人機1A等の機能構成を示す図である。図7に示すように、無人機1A等は、CPU(Central Processing Unit)50、記憶部52、無線通信部54、GPS(Global Positioning System)部56、慣性センサー部58、駆動制御部60、画像処理部62、距離測定部64、及び、電源部68を有する。
【0025】
無人機1A等は、無線通信部54によって、基地局100と通信可能になっている。無人機1A等は、無線通信部54によって、基地局100から、発進指示等の指示を受信する。
【0026】
無人機1A等は、GPS部56と慣性センサー部58によって、無人機1A等自体の位置を測定することができる。GPS部56は、基本的に、3つ以上のGPS衛星からの電波を受信して無人機1A等の位置を計測する。慣性センサー部58は、例えば、加速度センサー及びジャイロセンサーによって、出発点からの無人機1A等の移動を積算して、無人機1A等の位置を計測する。無人機1A等自体の位置情報は、無人機1A等の移動経路の決定及び自律移動のために使用するほか、画像処理部62によって撮影した画像データと座標(位置)とを紐づけするために使用する。
【0027】
画像処理部62によって、無人機1A等はカメラ10aを作動させて、外部の画像を取得することができる。
【0028】
距離測定部64によって、無人機1A等はレーザー距離計10bを作動させて、所定の物と無人機1A等の距離を計測することができる。
【0029】
駆動制御部60によって、無人機1A等は各プロペラ6に接続された各モーター(図示せず)の回転を制御し、上下水平移動や空中停止、傾きなどの姿勢を制御するようになっている。
【0030】
電源部68は、例えば、交換可能な可充電電池であり、無人機1A等の各部に電力を供給するようになっている。
【0031】
記憶部52には、出発点から目的位置まで自律移動するための移動計画を示すデータ等の自律移動に必要な各種データ及びプログラム、作業予定領域の地形、形状や構造物の位置を示す情報のほか、以下の各プログラムが格納されている。
【0032】
記憶部52には、飛行制御プログラム、駆動制御プログラム、バッテリー残量確認プログラム、画像認識プログラム、位置調整プログラム、及び、撮影制御プログラムが格納されている。CPU50と飛行制御プログラムは、飛行制御手段の一例である。CPU50と駆動制御プログラムは、駆動制御手段の一例である。CPU50とバッテリー残量確認プログラムは、バッテリー残量確認手段の一例である。CPU50と画像認識プログラムは、画像認識手段の一例である。CPU50と位置調整プログラムは、位置調整手段の一例である。CPU50と撮影制御プログラムは、撮影制御手段の一例である。
【0033】
無人機1A等は、飛行制御プログラムによって、無人機1の自律飛行を制御する。具体的には、無人機1A等は、各プロペラ6に接続された各モーター(図示せず)の出力を調整し、予め規定された経路及び高度を飛行するようになっている。
【0034】
無人機1A等は、バッテリー残量確認プログラムによって、無人機1A等のバッテリー残量が基準値以下になったか否かを確認する。そして、無人機1A等は、バッテリー残量が基準値以下になった場合には、基地局100にその旨を示す情報を送信するようになっている。バッテリー残量の基準値について、無人機1Aが1番機として作業位置P1において撮影中であり、2番機として無人機1Bが作業位置P1に向かう場合について説明する。基準値は、無人機1Aが無人機1Bの到着を待つために必要な電力量W1と、作業位置P1における交代を終えて、基地局100に帰還するまでに必要な電力量W2に適宜の余裕を加えた残量である。無人機1Aは、無人機1A自体が基地局100から作業位置P1に到着するまでに必要な時間Tは、実際に計測して記憶部52に記録している。無人機1Bが基地局100から作業位置P1に到着するまでの時間は、上述の時間Tとほぼ等しい。時間Tの間、無人機1Aが、作業位置P1において空中停止(ホバリング)するために必要な電力量は、直前の実際の消費電力を参照して、予測することができる。直前の空中停止における単位時間当たりの消費電力をPbとすれば、電力量W1=Pb×Tである。無人機1Aが、無人機1Bとの交代を終えて、基地局100へ帰還するまでに必要な電力量W2は、無人機1A自体が作業位置P1に到着するまでの電力に要した電力量にほぼ等しい。基準値は、電力量W1と電力量W2の合計に、若干の余裕を上乗せした電力量であり、例えば、W1とW2の合計に、10%上乗せした電力量である。
【0035】
無人機1A等は、上述の駆動制御プログラムによって、プロペラ6に接続されたモーターの出力を制御する。
【0036】
無人機1A等は、上述の画像認識プログラムによって、他の無人機1A等を認識する。例えば、2番機である無人機1Bが、作業位置P1に位置する1番機である無人機1Aを認識する。無人機1Bは、まず、深層学習(ディープラーニング)によって生成された特徴データを参照する。特徴データは記憶部52に格納されている。深層学習(ディープラーニング)とは、多層構造のニューラルネットワークの機械学習であり、画像認識の分野が有力な活用分野の一つである。
【0037】
無人機1Bは、画像認識プログラムによって、無人機1Aの特徴データを参照する。特徴データは、例えば、無人機1Aの外観について、輪郭や個々の構成の方向といった多数の特徴を示すデータである。特徴データは、カメラ10aの種類によって、可視光のもとにおける特徴データ、及び/または、近赤外線のもとにおける特徴データが記憶部52に記憶されている。
【0038】
無人機1Bは、無人機1Aの多数の特徴データに基づいて、カメラ10aによって取得した画像に含まれる物体の特徴を識別して、無人機1Aを認識できるようになっている。
【0039】
具体的には、無人機1Bは、カメラ10aで取得した画像について、例えば、輪郭や個々の構成の方向といった特徴を多数抽出し、深層学習(ディープラーニング)で取得した無人機1Aの特徴データと対比して、相関性(相関度)を判断する。相関度が高いほど、取得した画像中の物体が無人機1Aである可能性が高い。例えば、相関度が0の場合には、無人機1Aである可能性(以下、「物体共通確率」と呼ぶ。)は0%として、相関度が最大値を示すときに、物体共通確率が100%であると定義する。無人機1Bは、物体共通確率が所定の基準値である、例えば、95%以上であるときに、取得した画像中の物体が、無人機1Aである判断する。
【0040】
無人機1A等は、位置調整プログラムによって、作業位置P1における撮影を交代するための位置調整を行う。例えば、無人機1Aが1番機として撮影を実施しているときに、無人機1Bが2番機として撮影を引き継ぐ場合には、無人機1Bは、準備位置P2に到達すると、準備位置P2に到達したこと、および、作業位置P1に位置する無人機1Aを認識したことを示す情報を基地局100に送信する。基地局100は、無人機1Aには、作業位置P1を離脱する指示を送信し、無人機1Bには、作業位置P1に移動する指示を送信する。このとき、無人機1Aは上昇し、無人機1Bは水平方向に移動し、互いに衝突しないようになっている。また、無人機1A等は、位置調整プログラムによって、レーザー距離計10bからレーザー光を照射して、他の無人機1A等に近づき過ぎないようにするようになっている。例えば、無人機1Bは、無人機1Aとの距離をレーザー距離計10bによって測定し、2メートル(m)以内には接近しないようになっている。
【0041】
無人機1A等は、撮影制御プログラムによって、カメラ10aによる撮影を実施する。無人機1Aが1番機として作業位置P1に位置するときには、無人機1Aは、集落212の方向にカメラ10aを向けて、撮影する。一方、無人機1Aと交代するために準備位置P2に到達した2番機としての無人機1Bは、まず、作業位置P1を撮影し、画像中の無人機1Aを認識する。その後、無人機1Bは、作業位置P1に到着すると集落212を撮影する。一方、無人機1Aは、作業位置P1から離脱している間も集落212の撮影を継続し、基地局100から撮影停止の指示を受信した後に、撮影を停止する。無人機1Aは、作業位置P1から離脱している間は、上昇するにつれて、カメラ10aによる撮影の拡大倍率を大きくし、作業位置P1における撮影画像との差が小さくなるように調整する。
【0042】
図8は、基地局100の機能構成を示す図である。図8に示すように、基地局100は、CPU110、記憶部112、通信部114、画像処理部116、無人機制御部118、無人機充電部120、電源部122を有する。
【0043】
基地局100は、通信部114によって、無人機1A等と通信可能になっている。基地局100は、画像処理部116によって、無人機1A等から受信した画像を処理するようになっている。基地局100は、無人機制御部118によって、無人機1A等に発進、帰還、交代等の指示を出すようになっている。基地局100は、無人機充電部120によって、無人機1A等のバッテリーの充電を行うようになっている。
【0044】
基地局100の記憶部112には、交代指示プログラム、画像切替プログラムが格納されている。CPU100と交代指示プログラムは、交代指示手段の一例である。CPU100と画像切替プログラムは、画像切替手段の一例である。
【0045】
基地局100は、交代指示プログラムによって、1番機である無人機1Aからバッテリー残量が基準値以下であるとの情報を受信すると、バッテリーの充電が完了している、例えば、2番機である無人機1Bに発進指示を送信する。そして、無人機1Bから、準備位置P2に到着したこと、及び、作業位置P1の画像中に無人機1Aを認識した旨の情報を受信すると、無人機1Aには作業位置P1から離脱する指示を出し、無人機1Bには作業位置P1に移動する指示を出す。
【0046】
基地局100は、画像切替プログラムによって、無人機1Aから受信する画像と無人機1Bから受信する画像を切り替える。無人機1Aが作業位置P1に位置する間は、無人機1Aからの画像を使用し、無人機1Bが作業位置P1に到達して、集落212の撮影を開始すると無人機1Bからの画像を使用する。これにより、集落212の撮影を途切れることなく連続して実施することができる。
【0047】
以下、無人機1A等の動作を、図9のフローチャートを参照して説明する。まず、最初に作業位置P1において撮影を行う無人機1Aの動作を説明する。無人機1Aは、基地局100からの指示で作業位置P1に向かって発進し(図9のステップST1)、作業位置P1に到着したと判断すると(ステップST2)、目的位置である集落212を撮影する(ステップST3)。無人機1Aは、撮影した画像を基地局100へ送信する。撮影中に、無人機1Aは、基地局100へバッテリー残量を報告する(ステップST4)。基地局100は、無人機1Aのバッテリー残量が基準値以下の場合には、無人機1Aと撮影作業を交代する2番機として、無人機1Bを発進させる。無人機1Aは、基地局100から離脱指示を受信すると(ステップST5)、上昇しつつ、撮影条件を調整する(ステップST6)。ステップST6における調整は、無人機1Aが上昇するにつれて、カメラ10aによる撮影の拡大倍率を大きくし、作業位置P1における撮影画像との差が小さくなるようにするための調整である。無人機1Aは、基地局100から帰還指示を受信すると(ステップST7)、撮影を停止し(ステップST8)、基地局100に帰還する(ステップST9)。
【0048】
次に、無人機1Aに交代して撮影を行う無人機1Bの動作を説明する。無人機1Bは、基地局100から発進指示を受信すると(図10のステップST101)、発進し(ステップST102)、準備位置P2に到着すると(ステップST103)、作業位置P1の画像を取得し、画像認識によって、1番機である無人機1Aを認識する(ステップST104)。続いて、無人機1Aは、準備位置P2に到着したこと、及び、作業位置P1の無人機1Aを画像認識したことを基地局100に報告する(ステップST105)。続いて、無人機1Bは、基地局100から作業位置P1への移動指示を受信すると(ステップST106)、作業位置P1に向かって移動し(ステップST107)、作業位置P1に到着すると(ステップST108)、目的位置である集落212を撮影し(ステップST109)、基地局100へ作業位置P1への到着情報を送信する(ステップST110)。無人機1Bは、撮影した画像を基地局100へ送信する。以下は、図9のステップST4以下と同様である。
【0049】
次に、図11を参照して、基地局100の動作を説明する。基地局100は、1番機である無人機1Aに作業位置P1へ向かう発進指示を出し(図11のステップST201)、無人機1Aから集落212の撮影画像を受信する(ステップST202)。続いて、無人機1Aからバッテリー残量情報を受信し(ステップST203)、バッテリー残量が基準値以下であると判断すると(ステップST204)、2番機である無人機1Bに発進を指示する(ステップST205)。続いて、無人機1Bから準備位置P2に到着したこと、及び、作業位置P1に位置する無人機1Aを画像認識したことの報告を受信すると(ステップST206)、無人機1Aには作業位置P1からの離脱指示を送信し、無人機1Bには作業位置P1への移動指示を送信する(ステップST207)。基地局100は、無人機1Bから作業位置P1への到着情報を受信すると(ステップST208)、無人機1Aに帰還指示を送信する(ステップST209)。ステップST208において、基地局100が無人機1から作業位置P1への到着情報を受信する前提として、無人機1は目的位置を撮影しているから(図10のステップST108〜110参照)、基地局100が無人機1Aに帰還指示を送信する以前に、基地局100は、無人機1Bから目的位置の撮影画像を受信できるようになっている。すなわち、基地局100は、無人機1Bから目的位置の画像を受信できることができることを確認したうえで、無人機1Aに帰還指示を送信するようになっている。これにより、長時間にわって連続して、作業位置P1から集落212を撮影することができる。
【0050】
<第二の実施形態>
第二の実施形態が第一の実施形態と異なる点は、1番機の飛行可能時間が基準時間以下になった場合に、1番機と2番機の交代を実施する点である。基準時間としては、例えば、作業位置P1で撮影している1番機である無人機1Aが、2番機である無人機1Bの到着を待って、基地局100へ帰還するまでの時間に若干の余裕を加えた時間Tcである。時間Tcは、無人機1A等が作業位置P1と基地局100との間を往復する時間にほぼ等しい。無人機1Aは、最初に基地局100から作業位置P1に到着するまでの時間Tc1を記憶し、時間Tc1を示す情報を基地局100に送信する。基地局100は、時間Tc1を示す情報を記憶部112に記憶する。基地局100は、時間Tc1を2倍して(Tc1×2)、さらに、10%上乗せした時間を時間Tcとする。無人機1Aの飛行可能な総時間Tmaxは既知である。基地局100は、無人機1Aが発進した時刻から時間を積算して積算時間Taddとし、総時間Tmaxから積算時間Taddを差し引いた時間が時間Tc以下になった時点で、2番機である無人機1Bに発進指示を送信するようになっている。
【0051】
なお、本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0052】
1A,1B,1C 無人機
2 筐体
10a カメラ
100 基地局
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11