(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-73190(P2018-73190A)
(43)【公開日】2018年5月10日
(54)【発明の名称】装着装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20180406BHJP
B25J 3/00 20060101ALN20180406BHJP
B25J 11/00 20060101ALN20180406BHJP
A61H 1/02 20060101ALN20180406BHJP
A63F 13/24 20140101ALN20180406BHJP
A63F 13/285 20140101ALN20180406BHJP
【FI】
G06F3/01 514
B25J3/00
B25J11/00 Z
A61H1/02 K
A63F13/24
A63F13/285
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-213474(P2016-213474)
(22)【出願日】2016年10月31日
(71)【出願人】
【識別番号】514318460
【氏名又は名称】exiii株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】山浦 博志
【テーマコード(参考)】
3C707
4C046
5E555
【Fターム(参考)】
3C707AS38
3C707JT05
3C707XK06
3C707XK19
3C707XK35
3C707XK75
4C046AA30
4C046AA49
4C046BB05
4C046DD02
4C046DD37
5E555AA04
5E555BA22
5E555BA38
5E555BA90
5E555BB22
5E555BB38
5E555BC01
5E555CA23
5E555CB10
5E555CB66
5E555DA24
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】単純な構成で母指の複雑な動きを実現可能な装着装置を提供する。
【解決手段】装着装置1は、母指保持部11と、四指保持部12と、母指回動機構13を有している。母指回動機構13は、母指保持部11を掌側内転方向及び掌側外転方向に回動させる第1の回動軸80と、母指保持部11を撓側外転方向及び尺側内転方向に回動させる第2の回動軸81を有し、母指保持部11を第1の回動軸80と第2の回動軸81の2軸周りに回動自在とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手に装着する装着装置であって、
母指を保持する母指保持部と、
示指、中指、環指及び小指の四指を保持する四指保持部と、
前記母指保持部を掌側内転方向及び掌側外転方向に回動させる第1の回動軸と、前記母指保持部を撓側外転方向及び尺側内転方向に回動させる第2の回動軸を有し、前記母指保持部を前記第1の回動軸と前記第2の回動軸の2軸周りに回動自在とする母指回動機構と、を備える、装着装置。
【請求項2】
前記母指回動機構は、装置本体に対し前記第1の回動軸周りに回動する第1の回動部材と、前記第1の回動部材に対し前記第2の回動軸周りに回動する第2の回動部材と、を有し、
前記第2の回動部材は、前記母指保持部を備えている、請求項1に記載の装着装置。
【請求項3】
前記第1の回動部材は、前記装置本体に対し両持ちで回動自在に支持されている、請求項2に記載の装着装置。
【請求項4】
前記第1の回動部材は、前記装置本体の母指の撓側外転側の第1の位置と、前記装置本体の母指の尺側内転側の第2の位置に回動自在に支持されている、請求項3に記載の装着装置。
【請求項5】
前記第1の回動部材が支持される第1の位置の装置本体の外側面には、前記第1の回動部材を回動させる駆動モータが設けられている、請求項4に記載の装着装置。
【請求項6】
前記第2の回動部材は、前記第1の回動部材に対し両持ちで回動自在に支持されている、請求項2から5のいずれか1項に記載の装着装置。
【請求項7】
前記第2の回動部材は、前記第1の回動部材の母指の掌側の第1の位置と、前記第1の回動部材の母指の甲側の第2の位置に回動自在に支持されている、請求項6に記載の装着装置。
【請求項8】
前記第2の回動部材が支持される第2の位置の前記第1の回動部材の外側面には、前記第2の回動部材を回動させる駆動モータが設けられている、請求項7に記載の装着装置。
【請求項9】
前記四指保持部は、装置本体に対し四指の屈曲方向及び伸展方向に回動する第1の保持部材と、前記第1の保持部材の四指先端側に連結され、前記第1の保持部材に対し四指の屈曲方向及び伸展方向に回動する第2の保持部材とを有する、請求項1から8のいずれか1項に記載の装着装置。
【請求項10】
前記第1の保持部材は、四指をまとめて保持するものである、請求項9に記載の装着装置。
【請求項11】
前記第1の保持部材は、四指の裏面側を覆う平板部と、前記四指を前記平板部に固定する固定部材を有する、請求項10に記載の装着装置。
【請求項12】
前記第2の保持部材は、四指をまとめて保持するものである、請求項9から11のいずれか1項に記載の装着装置。
【請求項13】
前記第2の保持部材は、四指の裏面側を覆う平板部と、前記四指を前記平板部に固定する固定部材を有する、請求項12に記載の装着装置。
【請求項14】
前記第2の保持部材は、四指の表面側を覆う平板部と、前記四指を前記平板部に固定する固定部材を有する、請求項12に記載の装着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手に装着する装着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば画面上のバーチャルな物体の触覚を感じることができる力覚提示装置などにおいて、手に装着して使用する装着装置が用いられている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許公報2016/0018892号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しなしながら、上述の装置は、2つのロッドを繋げる接続ボルトによって規定されるヒンジジョイントで母指を動かすものであるため、母指の複雑な動きを実現できてない。一方、複雑な動きを実現するために、いたずらに多数の回動軸を設けても、装置が複雑になり、また手や指の動きを妨げることになるため各回動軸に駆動モータを設けることが難しい。
【0005】
本出願はかかる点に鑑みてなされたものであり、単純な構成で母指の複雑な動きを実現可能な手用装着装置を提供することをその目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る装着装置は、手に装着する装着装置であって、母指を保持する母指保持部と、示指、中指、環指及び小指の四指を保持する四指保持部と、前記母指保持部を掌側内転方向及び掌側外転方向に回動させる第1の回動軸と、前記母指保持部を撓側外転方向及び尺側内転方向に回動させる第2の回動軸を有し、前記母指保持部を前記第1の回動軸と前記第2の回動軸の2軸周りに回動自在とする母指回動機構と、を備える。なお、ここで「四指保持部」は、四指をそれぞれ保持するものも、四指を一緒に保持するもの、四指の一部を保持部するものも含む。
【0007】
この態様によれば、母指保持部を掌側内転方向及び掌側外転方向に回動させる第1の回動軸と、母指保持部を撓側外転方向及び尺側内転方向に回動させる第2の回動軸の2軸を用いて、母指保持部を2自由度で回動させることができるので、単純な構成で母指の複雑な動きを実現できる。
【0008】
前記母指回動機構は、装置本体に対し前記第1の回動軸周りに回動する第1の回動部材と、前記第1の回動部材に対し前記第2の回動軸周りに回動する第2の回動部材と、を有し、前記第2の回動部材は、前記母指保持部を備えていてもよい。この態様によれば、第1の回動軸と第2の回動軸の2軸周りの母指保持部の動きを簡単な構成で実現できる。
【0009】
前記第1の回動部材は、前記装置本体に対し両持ちで回動自在に支持されていてもよい。この態様によれば、装置本体に対する第1の回動部材の支持強度が向上するので、第1の回動部材の回動が安定的に行われる。
【0010】
前記第1の回動部材は、前記装置本体の母指の撓側外転側の第1の位置と、前記装置本体の母指の尺側内転側の第2の位置に回動自在に支持されていてもよい。この態様によれば、第1の回動部材の回動支持部を手の動きの邪魔にならない適切な位置に置くことができる。
【0011】
前記第1の回動部材が支持される第1の位置の装置本体の外側面には、前記第1の回動部材を回動させる駆動モータが設けられていてもよい。この態様によれば、駆動モータを手の動きの邪魔にならない適切な位置に設置できる。
【0012】
前記第2の回動部材は、前記第1の回動部材に対し両持ちで回動自在に支持されていてもよい。この態様によれば、第1の回動部材に対する第2の回動部材の支持強度が向上するので、第2の回動部材の回動が安定的に行われる。
【0013】
前記第2の回動部材は、前記第1の回動部材の母指の掌側の第1の位置と、前記第1の回動部材の母指の甲側の第2の位置に回動自在に支持されていてもよい。この態様によれば、第2の回動部材の回動支持部を手の動きの邪魔にならない適切な位置に置くことができる。
【0014】
前記第2の回動部材が支持される第2の位置の前記第1の回動部材の外側面には、前記第2の回動部材を回動させる駆動モータが設けられていてもよい。この態様によれば、駆動モータを手の動きの邪魔にならない適切な位置に設置できる。
【0015】
前記四指保持部は、装置本体に対し四指の屈曲方向及び伸展方向に回動する第1の保持部材と、前記第1の保持部材の四指先端側に連結され、前記第1の保持部材に対し四指の屈曲方向及び伸展方向に回動する第2の保持部材とを有するようにしてもよい。この態様によれば、四指保持部の動きを簡単な構成で実現できる。
【0016】
前記第1の保持部材は、四指をまとめて保持するものであってもよい。この態様によれば、四指を簡単な構成で保持することができる。
【0017】
前記第1の保持部材は、四指の裏面側を覆う平板部と、前記四指を前記平板部に固定する固定部材を有するようにしてもよい。この態様によれば、四指を簡単な構成で保持することができる。
【0018】
前記第2の保持部材は、四指をまとめて保持するものであってもよい。この態様によれば、四指を簡単な構成で保持することができる。
【0019】
前記第2の保持部材は、四指の裏面側を覆う平板部と、前記四指を前記平板部に固定する固定部材を有するようにしてもよい。この態様によれば、四指を簡単な構成で保持することができる。
【0020】
前記第2の保持部材は、四指の表面側を覆う平板部と、前記四指を前記平板部に固定する固定部材を有するようにしてもよい。この態様によれば、四指を簡単な構成で保持することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、単純な構成で母指の複雑な動きを実現可能な装着装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】手に装着した装着装置の構成の概略を示す説明図である。
【
図2】手に装着した装着装置を掌側から見た説明図である。
【
図3】装着装置を母指側の側方から見た側面図である。
【
図4】装着装置を小指側の側方から見た側面図である。
【
図5】装着装置を手首側の側方から見た側面図である。
【
図7】母指保持部を掌側内転方向に回動した状態を示す説明図である。
【
図8】母指保持部を掌側内転方向に回動し、さらに尺側内転方向に回動した状態を示す説明図である。
【
図9】四指保持部の第1の保持部材を回動させた状態を示す説明図である。
【
図10】四指保持部の第2の保持部材の他の構成例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態について説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。また、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこの実施の形態に限定されるものではない。
【0024】
図1は、本実施の形態にかかる装着装置1を手に装着した状態を示す斜視図である。
図2は、手に装着した装着装置1を掌側から見た説明図である。
図3は、装着装置1を母指側の側方から見た側面図であり、
図4は、装着装置1を小指側の側方から見た側面図であり、
図5は、装着装置1を手首側の側方から見た側面図である。
【0025】
装着装置1は、例えば装置本体10と、母指を保持する母指保持部11と、示指、中指、環指及び小指の四指を保持する四指保持部12と、母指回動機構13とを備えている。なお、本実施の形態における装着装置1に関し、手に装着したときの手の長手方向の指先のある方向を「指先側」、手首がある方向を「手首側」、手の左右方向の小指のある方向を「小指側」、母指のある方向を「母指側」という。
【0026】
例えば装置本体10は、主に掌や手首を覆うように構成されている。装置本体10は、
図2に示すように掌の一部を覆う掌部20と、掌部20の小指側から、母指と腕との間(以下、「母指の撓側外転側」ともいう。)に延設する湾曲部21と、掌部20の小指側と示指側から四指保持部12側(指先側)に突出し、四指保持部12に連結される接続部22とを有している。
【0027】
掌部20は、例えば掌表面上に位置する板状の平板部30と、小指側に位置する板状の側部31と、母指側に位置する板状の側部32を有している。
図1、
図3及び
図4に示すように側部31、32は、平板部30の両端部から上方(甲側)に向けて垂直に立設されている。
【0028】
湾曲部21は、
図2に示すように掌側から平面視して、手首側に凸に湾曲し、掌部20の小指側から手首上を通って母指の撓側外転側に至る。これによって後述の母指保持部11が掌側外転及び掌側内転方向に回動するためのU字状の開口(切欠き)40が形成されている。接続部22は、側部31、32から指先側に突出している。
【0029】
図1及び
図5に示すように装置本体10は、手の甲側において、湾曲部21の先端部と掌部20の側部31を接続する補強部材60を備えている。補強部材60は、手首の上側(
図1、
図5の上側)に凸に湾曲した線状に形成されている。補強部材60と湾曲部21により手首付近に開口部70が形成され、装着装置1に手を装着する際には、この開口部70から手を挿入できる。
【0030】
図1に示すように装置本体10は、手の甲を装置本体10に固定する固定部材71を有している。固定部材71は、例えば幅のある紐状であり、面ファスナー等を備えていてもよい。
【0031】
母指保持部11は、例えば母指を挿入可能な、指先側が閉口した円筒状に形成されている。
【0032】
母指回動機構13は、
図2に示すように例えば装置本体10に対し第1の回動軸80周りに回動する第1の回動部材90と、第1の回動部材90に対し第2の回動軸81周りに回動する第2の回動部材91と、を有している。
図6には、母指回動機構13の拡大図を示す。
【0033】
第1の回動部材90は、球面の一部からなる球面形状を有している。第1の回動部材90は、
図2に示すように掌部20の平板部30の中央付近(中指付近)の手首側端部に位置する支持部90a(第1の位置)と、湾曲部21の先端部の母指側端部に位置する支持部90b(第2の位置)の2か所に回転自在に支持されている。支持部90aと支持部90bは、第1の回動軸80上に位置し、開口部40を挟んで互いに対向している。よって、第1の回動部材90は、2か所の支持部90a、90bの間にある開口部40に配置され、2か所の支持部90a、90bに両持ちで支持されている。第1の回動部材90は、第1の回動軸80周りに回動し、第2の回動部材91(母指保持部11)を掌側内転方向(
図2、
図6のA方向)及び掌側外転方向(
図2、
図6のB方向)に回動させることができる。支持部91bのある湾曲部21の先端部(母指の撓側外転側の部分)の外側には、第1の回動部材90を回動させる駆動モータ92が設けられている。
【0034】
第2の回動部材91は、第1の回動部材90の球面形状の内側に配置され、その第1の回動部材90の内面に適合した球面形状を有している。第2の回動軸91は、第1の回動部材90の掌側内転方向側の中央部に位置する支持部91a(第1の位置)と、第1の回動部材90の掌側外転方向の中央部に位置する支持部91b(第2の位置)の2か所に回転自在に支持されている。支持部91aと支持部91bは、第2の回動軸81上に位置し、互いに対向している。第2の回動部材91は、第1の回動部材90の内側において2か所の支持部91a、91bに両持ちで支持されている。第2の回動部材91は、第2の回動軸81周りに回動し、母指保持部11を撓側外転方向(
図2、
図6のC方向)及び尺側内転方向(
図2、
図6のD方向)に回動させることができる。
図6に示すように支持部91bのある第1の回動部材90の掌側外転方向側には、第2の回動部材91を回動させる駆動モータ94が設けられている。
【0035】
母指回動機構13は、第1の回動軸80と第2の回動軸81の回動を組み合わせて、母指保持部11を第1の回動軸80と第2の回動軸81の2軸周りの2自由度で回動させることができる。なお、
図2の掌側から見た第1の回動軸80と第2の回動軸81とのなす角度は、80度〜100度が好ましく、90度がさらに好ましい。また、第1の回動軸80と第2の回動軸81は互いに交わっていてもよい。
【0036】
図1に示すように四指保持部12は、装置本体10の四指側に連結され、装置本体10に対し四指の屈曲方向(
図1のE方向)及び伸展方向(
図1のF方向)に回動する第1の保持部材100と、第1の保持部材100の指先側に連結され、第1の保持部材100に対し四指の屈曲方向(
図1のE方向)及び伸展方向(
図1のF方向)に回動する第2の保持部材101を有している。
【0037】
第1の保持部材100は、四指をまとめて保持するものであり、例えば、四指の裏面側を覆う板状の平板部110と、小指の外側に位置する板状の側部111と、母指の外側に位置する板状の側部112を有している。側部111、112は、平板部110の両端の下部に垂直に接続されている。側部111、112の手首側の一部は、接続部22に重ねられ、その重なった部分に第3の回動軸120が設けられている。接続部22と側部111の重なった部分の外側面には、装置本体10に対し第1の保持部材100を第3の回動軸120周りに回動させる駆動モータ130が設けられている。駆動モータ130は、第1の保持部材100の側部111に設けられたブラケット131を介して取り付けられている。
【0038】
図2に示すように第1の保持部材100は、四指の表面側を平板部110に固定する固定部材132を有している。固定部材132は、例えば幅のある紐状であり、面ファスナー等を備えていてもよい。
【0039】
図1に示すように第2の保持部材101は、四指をまとめて保持するものであり、例えば、四指の裏面側をまとめて覆う板状の平板部140と、小指側に位置する板状の側部141と、母指側に位置する板状の側部142を有している。側部141、142は、平板部140の両端の下部に垂直に接続されている。側部141、142の手首側の端部には、第1の保持部材100側に突出する接続部143が形成されている。接続部143は、第1の保持部材100の側部111、112に重ねられ、その重なった部分に第4の回動軸150が設けられている。接続部143と側部111の重なった部分の外側面には、第1の保持部材100に対し第2の保持部材101を第4の回動軸150周りに回動させる駆動モータ160が設けられている。駆動モータ160は、ブラケット131を介して取り付けられている。
【0040】
図2に示すように第2の保持部材101は、四指の表面側を平板部140に固定する固定部材161を有している。固定部材161は、例えば幅のある紐状であり、面ファスナー等を備えていてもよい。
【0041】
装着装置1の例えば装置本体10、母指保持部11、四指保持部12及び母指回動機構13は、主に例えば樹脂により成形されている。駆動モータ92、94、130、160は、例えば図示しない駆動制御部に接続されており、駆動制御部から駆動モータ92、94、130、160に制御信号に出力したり、駆動モータ92、94、130、160で検知した負荷情報を駆動制御部に出力することができる。なお、装着装置1は、右手用又は左手用のいずれか一つであってもよいし、右手用及び左手用の両手用であってもよい。
【0042】
次に以上のように構成された装着装置1の動作について説明する。先ず、
図1及び
図2に示したように装着装置1に手を装着する。このとき、手を装置本体10の開口部70から挿入し、母指を母指保持部11に挿入し、四指を四指保持部12に挿入する。次に、固定部材132、161により、四指を四指保持部12に固定し、固定部材71により、手を装置本体10に固定する。
【0043】
例えば駆動モータ92が駆動すると、
図2及び
図7に示すように第1の回動部材90が第1の回動軸80周りに回動し、母指保持部11が掌側内転方向(A方向)及び掌側外転方向(B方向)に回動する。
図7は、母指保持部11を掌側内転方向に回動した状態を示す。また、駆動モータ94が駆動すると、
図2及び
図8に示すように第2の回動部材91が第2の回動軸81周りに回動し、母指保持部11が撓側外転方向(C方向)及び尺側内転方向(D方向)に回動する。
図8は、掌側内転方向に回動した母指保持部11をさらに尺側内転方向に回動した状態を示す。このように、母指保持部11は、第1の回動軸80と第2の回動軸81の2軸周りに2自由度で回動する。
【0044】
例えば駆動モータ130が駆動すると、
図9に示すように第1の保持部材100が第3の回動軸120周りに回動し、第1の保持部材100が四指の屈曲方向(E方向)及び伸展方向(F方向)に回動する。また、駆動モータ160が駆動すると、
図2に示すように第2の保持部材101が第3の回動軸120周りに回動し、第2の保持部材101が四指の屈曲方向(E方向)及び伸展方向(F方向)に回動する。
【0045】
本実施の形態によれば、装着装置1が、母指保持部11を掌側内転方向及び掌側外転方向に回動させる第1の回動軸80と母指保持部を撓側外転方向及び尺側内転方向に回動させる第2の回動軸81の2軸を用いて、母指保持部11を2自由度で回動させることができるので、単純な構成で母指の複雑な動きを実現できる。
【0046】
母指回動機構13は、装置本体10に対し第1の回動軸80周りに回動する第1の回動部材90と、第1の回動部材90に対し第2の回動軸81周りに回動する第2の回動部材91とを有し、第2の回動部材91は、母指保持部11を備えている。これによれば、第1の回動軸80と第2の回動軸81の2軸周りの母指保持部11の動きを簡単な構成で実現できる。
【0047】
第1の回動部材90は、装置本体10に対し両持ちで回動自在に支持されているので、装置本体10に対する第1の回動部材90の支持強度が向上し、第1の回動部材90の回動を安定して行うことができる。
【0048】
第1の回動部材90は、装置本体10の母指の撓側外転側の第1の位置(支持部90a)と、装置本体10の母指の尺側内転側の第2の位置(支持部90b)に回動自在に支持されているので、第1の回動部材90の回動支持部を手の動きの邪魔にならない適切な位置に置くことができる。
【0049】
第1の回動部材90が支持される第1の位置の装置本体10の外側面に、第1の回動部材90を回動させる駆動モータ92が設けられているので、駆動モータ92を手の動きの邪魔にならない適切な位置に設置することができる。
【0050】
第2の回動部材91は、第1の回動部材90に対し両持ちで回動自在に支持されているので、第1の回動部材90に対する第2の回動部材91の支持強度が向上し、第2の回動部材91の回動を安定して行うことができる。
【0051】
第2の回動部材91は、第1の回動部材90の母指の掌側の第1の位置(支持部91a)と、第1の回動部材90の母指の甲側の第2の位置(支持部91b)に回動自在に支持されているので、第2の回動部材91の回動支持部を手の動きの邪魔にならない適切な位置に置くことができる。
【0052】
第2の回動部材91が支持される第2の位置の第1の回動部材90の外側面に、第2の回動部材91を回動させる駆動モータ94が設けられているので、駆動モータ94を手の動きの邪魔にならない適切な位置に設置することができる。
【0053】
四指保持部12は、装置本体10に対し四指の屈曲方向及び伸展方向に回動する第1の保持部材100と、第1の保持部材100の四指先端側に連結され、第1の保持部材100に対し四指の屈曲方向及び伸展方向に回動する第2の保持部材101とを有するので、四指保持部12の動きを簡単な構成で実現できる。
【0054】
第1の保持部材100は、四指をまとめて保持するものであるので、四指を簡単な構成で保持することができる。
【0055】
第1の保持部材100は、四指の裏面側を覆う平板部110と、四指の表面側を平板部100に固定する固定部材132を有するので、四指を簡単な構成で保持することができる。
【0056】
第2の保持部材101は、四指をまとめて保持するものであるので、四指を簡単な構成で保持することができる。
【0057】
第2の保持部材101は、四指の裏面側を覆う平板部140と、四指の表面側を平板部140に固定する固定部材161を有するので、四指を簡単な構成で保持することができる。
【0058】
上記実施の形態において、
図10に示すように第2の保持部材101は、四指の表面側を覆うものであってもよい。この場合、第2の保持部材101は、四指の下(表面側)を覆う板状の平板部200と、小指側に位置する板状の側部201と、母指側に位置する板状の側部202を有している。側部201、202は、平板部200の両端に垂直に立設されている。側部201、202の手首側の端部には、第1の保持部材100側に突出する接続部203が形成されている。接続部203は、第4の回動軸150を介して第1の保持部材100の側部111、112に連結されている。また、第2の保持部材101は、四指の裏面側を平板部200に固定する固定部材204を有している。
【0059】
かかる例においては、第1の保持部材100と第2の保持部材101が四指の裏面側と表面側に互い違いに位置しているので、例えば四指を伸展した際に第1の保持部材100と第2の保持部材101の隙間に指が挟まるようなことがなく、四指を好適に動かすことができる。
【0060】
以上の実施の形態にかかる装着装置1の用途は特に限定されるものではない。例えば装着装置1は、バーチャル用の力覚提示装置の他、ロボットの遠隔操作装置、人間に動きを教えるトレーニング装置、人間の筋力を補助する補助装置、手指麻痺患者のリハビリ装置等としても使用できる。かかる場合、駆動モータ92、94、130、160等は、用途に応じて別の機能を備えていてもよい。
【0061】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0062】
例えば上記実施の形態における装着装置1の装置本体10、母指保持部11、四指保持部12、母指回動機構13の形状、構造はこれに限れない。例えば四指保持部12は、四指をまとめて保持するものでなくてもよく、四指の各指を個別に保持するものであってもよい。また、四指保持部12は、四指の一部の指だけを保持するものであってもよい。四指保持部12は、第1の保持部材100と第2の保持部材101の2つの保持部材を備えていたが、これに限られない。母指保持部11の第1の回動部材90と第2の回動部材91は、両持ちで支持されていたが、片持ちで支持されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、単純な構成で母指の複雑な動きを実現可能な装着装置を提供する際に有用である。
【符号の説明】
【0064】
1 装着装置
10 装置本体
11 母指保持部
12 四指保持部
13 母指回動機構
80 第1の回動軸
81 第2の回動軸
90 第1の回動部材
91 第2の回動部材
100 第1の保持部材
101 第2の保持部材
120 第3の回動軸
150 第4の回動軸