特開2018-73332(P2018-73332A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2018-73332会議分析装置、会議分析方法、及びプログラム。
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  • 特開2018073332-会議分析装置、会議分析方法、及びプログラム。 図000009
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-73332(P2018-73332A)
(43)【公開日】2018年5月10日
(54)【発明の名称】会議分析装置、会議分析方法、及びプログラム。
(51)【国際特許分類】
   G06F 17/30 20060101AFI20180406BHJP
   G06Q 10/10 20120101ALI20180406BHJP
【FI】
   G06F17/30 220Z
   G06F17/30 210A
   G06F17/30 360Z
   G06Q10/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-216040(P2016-216040)
(22)【出願日】2016年11月4日
(71)【出願人】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(71)【出願人】
【識別番号】503017482
【氏名又は名称】学校法人国際大学
(74)【代理人】
【識別番号】100092679
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 盛之助
(72)【発明者】
【氏名】中西 崇文
(72)【発明者】
【氏名】岡田 龍太郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 勇一
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 豊
(72)【発明者】
【氏名】大橋 一広
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA20
(57)【要約】
【課題】 会議における発言内容の遷移を分析する会議分析装置、会議分析方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】 会議の発言を複数のフェーズに分割し、各フェーズについて、フェーズの発言内容と会議全体の発言内容の関連の度合いである代表度、及び、フェーズにおいて新たに出現した単語の度合いである発散度を算出して、代表度及び発散度に基づいてフェーズ間の状態の遷移を表示するとともに、各フェーズが属するクラスタのトピック語と、各フェーズの特徴語を抽出して、トピック語及び特徴語に基づいてフェーズ間のトピック語及び特徴語の遷移を表示する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
会議における参加者の発言を分析する会議分析装置であって、
前記発言を所定の基準に基づいて複数のフェーズに分割するフェーズ分割手段と、
前記フェーズのそれぞれについて、前記フェーズの発言内容と前記会議全体の発言内容の関連の度合いを代表度として算出する代表度算出手段と、
前記フェーズのそれぞれについて、該フェーズにおいて新たに発言された単語の度合いを発散度として算出する発散度算出手段と、
前記フェーズをクラスタに分類するクラスタ分類手段と、
前記分類したクラスタのそれぞれについて、所定の基準により前記クラスタのトピック語を抽出するトピック語抽出手段と、
前記フェーズのそれぞれについて、所定の基準により前記フェーズにおける特徴語を抽出する特徴語抽出手段と、
前記代表度及び前記発散度に基づいて、前記フェーズ間の状態の遷移を表示する、状態遷移表示手段と、
前記トピック語及び前記特徴語に基づいて、前記フェーズ間の前記トピック語及び特徴語の遷移を表示する、トピック遷移表示手段と、
を備えることを特徴とする、会議分析装置。
【請求項2】
前記フェーズ分割手段が、分割した前記フェーズのそれぞれにおいて前記発言の量が等しくなるように前記発言を分割する
ことを特徴とする、請求項1記載の会議分析装置。
【請求項3】
前記会議分析装置が、さらに、前記発言を形態素解析することにより所定の品詞を単語として抽出する単語抽出手段を備える
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の会議分析装置。
【請求項4】
前記品詞が名詞であることを特徴とする、請求項3記載の会議分析装置。
【請求項5】
前記会議分析装置が、さらに、前記フェーズのそれぞれにおいて前記単語の重みを算出する単語重み付け手段を備える
ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の会議分析装置。
【請求項6】
前記会議分析装置が、さらに、
前記算出した前記単語の重みに基づいて、前記フェーズのベクトルを算出するベクトル算出手段と、
前記算出したベクトルに基づいて、前記フェーズ間の類似度を算出するフェーズ類似度算出手段と、
を備えることを特徴とする、請求項5記載の会議分析装置。
【請求項7】
前記代表度算出手段が、前記フェーズ類似度算出手段が算出した類似度に基づいて前記フェーズそれぞれについて代表度を算出する
ことを特徴とする、請求項6記載の会議分析装置。
【請求項8】
前記発散度算出手段が、一の前記フェーズにおいて、該フェーズにおいて初めて出現した前記単語の数に基づいて発散度を算出する
ことを特徴とする、請求項3〜7のいずれかに記載の会議分析装置。
【請求項9】
前記クラスタ分類手段が、前記算出した前記フェーズ間の類似度に基づいて二以上のクラスタに分類する
ことを特徴とする、請求項6又は7に記載の会議分析装置。
【請求項10】
前記特徴語抽出手段が、前記単語の重みに基づいて前記フェーズのそれぞれにおける特徴語を抽出する
ことを特徴とする、請求項5〜7記載の会議分析装置。
【請求項11】
前記状態遷移表示手段が、前記フェーズのそれぞれを前記代表度及び前記発散度を軸とする二次元上の座標にプロットすることにより、前記フェーズ間の状態の遷移を表示することを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の会議分析装置。
【請求項12】
前記会議分析装置が、さらに、前記座標に基づいて前記会議のスコアを算出するスコア算出手段を備える
ことを特徴とする、請求項11記載の会議分析装置。
【請求項13】
コンピュータを用いて会議における参加者の発言を分析する会議分析方法であって、
前記発言を所定の基準に基づいて複数のフェーズに分割するステップと、
前記フェーズのそれぞれについて、前記フェーズの発言内容と前記会議全体の発言内容の関連の度合いを代表度として算出するステップと、
前記フェーズのそれぞれについて、該フェーズにおいて新たに発言された単語の度合いを発散度として算出するステップと、
前記フェーズをクラスタに分類するステップと、
前記分類したクラスタのそれぞれについて、所定の基準により前記クラスタのトピック語を抽出するステップと、
前記フェーズのそれぞれについて、所定の基準により前記フェーズにおける特徴語を抽出するステップと、
前記代表度及び前記発散度に基づいて、前記フェーズ間の状態の遷移を表示するステップと、
前記トピック語及び前記特徴語に基づいて、前記フェーズ間の前記トピック語及び特徴語の遷移を表示するステップと、
を備えることを特徴とする、会議分析方法。
【請求項14】
コンピュータに請求項13記載の方法を実行させるプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は会議分析装置、会議分析方法、及びプログラムに関し、具体的には、会議における発言内容の遷移を分析する会議分析装置、会議分析方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
会議や議論を支援し、知識労働者の生産性、創造性を向上させるシステムとして、例えば特許文献1の会議室可視化システムが知られている。この会議室可視化システムは、会議における議論の状況をモニタリングし、会議の活性度を参加者ごとに表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−262046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術は、会議中の参加者の発言や体の動き等をモニタリングして、各参加者がどれだけ積極的に会議に参加しているのかを測るというものであった。
【0005】
一方で、会議中の任意のタイミングや、会議が終了した後に、これまでの会議の流れを振り返ることで、以降の会議をより効率的に行う試みが行われている。この様な振り返りにおいては、従来の技術では会議における参加者の積極性が判断できるのみで、会議における議論の方向や、議論が収束しているか、或は発散しているか等の情報を得ることができず、会議の内容を分析する上で十分な支援をすることができないという問題があった。
【0006】
本発明は前述の問題に鑑み、会議における発言の遷移を分析する会議分析装置、会議分析方法、及びプログラムを提供することをその目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の課題を解決することを課題としてなされた本発明に係る会議分析装置は、会議における参加者の発言を分析する会議分析装置であって、前記発言を所定の基準に基づいて複数のフェーズに分割するフェーズ分割手段と、前記フェーズのそれぞれについて、前記フェーズの発言内容と前記会議全体の発言内容の関連の度合いを代表度として算出する代表度算出手段と、前記フェーズのそれぞれについて、該フェーズにおいて新たに発言された単語の度合いを発散度として算出する発散度算出手段と、前記フェーズをクラスタに分類するクラスタ分類手段と、前記分類したクラスタのそれぞれについて、所定の基準により前記クラスタのトピック語を抽出するトピック語抽出手段と、前記フェーズのそれぞれについて、所定の基準により前記フェーズにおける特徴語を抽出する特徴語抽出手段と、前記代表度及び前記発散度に基づいて、前記フェーズ間の状態の遷移を表示する、状態遷移表示手段と、前記トピック語及び前記特徴語に基づいて、前記フェーズ間の前記トピック語及び特徴語の遷移を表示する、トピック遷移表示手段と、を備えることを特徴としている。
【0008】
本発明に係る会議分析装置は、フェーズ分割手段が、分割した前記フェーズのそれぞれにおいて前記発言の量が等しくなるように前記発言を分割するようにしてもよい。
【0009】
本発明に係る会議分析装置は、会議分析装置が、さらに、前記発言を形態素解析することにより所定の品詞を単語として抽出する単語抽出手段を備えるようにしてもよい。また、この場合の品詞は名詞であることが望ましい。
【0010】
本発明に係る会議分析装置は、会議分析装置が、さらに、前記フェーズのそれぞれにおいて前記単語の重みを算出する単語重み付け手段を備えるようにしてもよく、さらに、算出した前記単語の重みに基づいて、前記フェーズのベクトルを算出するベクトル算出手段と、前記算出したベクトルに基づいて、前記フェーズ間の類似度を算出するフェーズ類似度算出手段と、を備えるようにしてもよい。
【0011】
本発明に係る会議分析装置は、代表度算出手段が、前記フェーズ類似度算出手段が算出した類似度に基づいて前記フェーズそれぞれについて代表度を算出するようにすると好適である。
【0012】
本発明に係る会議分析装置は、発散度算出手段が、一の前記フェーズにおいて、該フェーズにおいて初めて出現した前記単語の数に基づいて発散度を算出するようにすると好適である。
【0013】
本発明に係る会議分析装置は、クラスタ分類手段が、前記算出した前記フェーズ間の類似度に基づいて二以上のクラスタに分類するようにしてもよい。
【0014】
本発明に係る会議分析装置は、特徴語抽出手段が、前記単語の重みに基づいて前記フェーズのそれぞれにおける特徴語を抽出するようにすると好適である。
【0015】
本発明に係る会議分析装置は、状態遷移表示手段が、前記フェーズのそれぞれを前記代表度及び前記発散度を軸とする二次元上の座標にプロットすることにより、前記フェーズ間の状態の遷移を表示するようにすると好適である。
【0016】
本発明に係る会議分析装置は、会議分析装置が、さらに、前記座標に基づいて前記会議のスコアを算出するスコア算出手段を備えるようにしてもよい。
【0017】
前述の課題を解決することを目的としてなされた本発明に係る会議分析方法は、コンピュータを用いて会議における参加者の発言を分析する会議分析方法であって、前記発言を所定の基準に基づいて複数のフェーズに分割するステップと、前記フェーズのそれぞれについて、前記フェーズの発言内容と前記会議全体の発言内容の関連の度合いを代表度として算出するステップと、前記フェーズのそれぞれについて、該フェーズにおいて新たに発言された単語の度合いを発散度として算出するステップと、前記フェーズをクラスタに分類するステップと、前記分類したクラスタのそれぞれについて、所定の基準により前記クラスタのトピック語を抽出するステップと、前記フェーズのそれぞれについて、所定の基準により前記フェーズにおける特徴語を抽出するステップと、前記代表度及び前記発散度に基づいて、前記フェーズ間の状態の遷移を表示するステップと、前記トピック語及び前記特徴語に基づいて、前記フェーズ間の前記トピック語及び特徴語の遷移を表示するステップと、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明の構成によれば、会議分析装置が、状態遷移表示手段が複数のフェーズに分割した会議の発言から各フェーズの代表度と発散度の二の指標値の遷移を表示するとともに、トピック遷移表示手段が各フェーズのトピック語及び特徴語を表示する。この構成により、会議における発言の遷移を分析することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態の一例における会議室分析装置1のハードウェア構成を示す図である。
図2】同実施形態の一例における会議の分析の流れを示した図である。
図3】同実施形態の一例における、会議の状態遷移の表示例を示した図である。
図4】同実施形態の一例における、会議のトピック遷移の表示例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態の一例について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態の一例に係る会議分析装置1のハードウェア構成を示した図である。
【0021】
図1で示すように、会議分析装置1は、CPU11、メモリ12、二次記憶装置13、キーボード14、マウス15、ディスプレイ16、マイクロフォン17がバス18により接続されている。会議室分析装置1のハードウェアとしての構成は周知のコンピュータであり、二次記憶装置13に記録されたプログラムをメモリ12にロードし、CPU13が実行することにより所定の機能を発揮させるものである。本実施形態の一例では、後述する各行程の処理をプログラムとして二次記憶装置13に予め記録し、これを実行することでコンピュータを会議分析装置1として稼働するものである。
【0022】
会議分析装置1として稼働させるコンピュータは周知のパーソナル・コンピュータでもよいし、周知のサーバ用コンピュータでもよい。また、会議分析装置1を1台のコンピュータで構成してもよいし、複数台のコンピュータで構成してもよい。また、二次記憶装置13は周知のデバイスを用いてよく、例えばHDD(Hard Disk Drive)でもSSD(Solid State Drive)でもよいし、ネットワーク上のストレージを用いてもよい。また、会議の発言を直接録音するのではなく、他の装置により録音して会議分析装置1で分析する場合にはマイクロフォン17を排除してもよい。
【0023】
図2は、会議室分析装置1を用いて会議における発言の遷移を分析する流れを示したフロー図である。図2で示すように、本実施形態の一例では、分析のフローが発言解析・指標算出(ステップS11〜S18)と、トピック抽出(ステップS21〜S24)と、可視化・スコアリング(ステップS31〜S33)の行程から構成されている。以下、各行程ごとに説明する。
【0024】
発言解析・指標算出行程(ステップS11〜S18)は、会議における発言を解析し、遷移を分析するための指標を算出する行程である。会議における各参加者の発言内容は、会議分析装置1の録音・テキスト化手段により録音され、テキストデータ化される(ステップS11)。テキストデータの形式は任意の形式を採用してよく、単に発言内容を音声からテキスト形式に変換したのみでもよいし、発言者と発言内容を紐付けたデータとしてもよい。また、録音とテキストデータ化は同時に行ってもよいし、同時に行わなくてもよい。例えば、会議中の発言内容をリアルタイムに録音・テキスト化してもよいし、或は、会議中は録音のみしておき、会議終了後等の任意のタイミングでこれをテキストデータ化してもよい。
【0025】
テキストデータ化された会議の発言内容は、フェーズ分割手段により所定の基準に基づいて複数のフェーズに分割される(ステップS12)。本実施形態の一例の会議分析装置1は、会議中の発言内容の遷移を上記フェーズ間における状態、トピック語及び特徴語の遷移として分析する。本実施形態の一例の会議分析装置1は、上記所定の基準として各フェーズの発言量が等しくなるようにテキストデータ化した会議中の発言を20のフェーズに分割する。本実施形態の一例では、上記発言量としてテキストデータ化した発言の文字数を用いている。なお、本実施形態の一例では、会議の発言内容を20のフェーズに分割しているが、分割するフェーズの数は任意に変更してよい。
【0026】
会議分析装置1は、次いで、単語抽出手段により、各フェーズにおけるテキストデータ化された発言から所定の品詞に該当する単語を抽出する(ステップS13)。本実施形態の一例では、各フェーズにおける各発言のそれぞれを形態素解析し、当該解析した結果から名詞を上記単語として抽出する。なお、本実施形態の一例では名詞を抽出しているが、他の品詞を抽出してもよく、例えば形容詞を抽出してよい。また、単一種類の品詞だけでなく、複数の品詞を抽出対象としてもよい。例えば、名詞と形容詞を抽出するようにしてもよい。
【0027】
また、本実施形態の一例ではフェーズ分割(ステップS12)の後に単語抽出(ステップS13)を行っているが、当該ステップS12,S13の順序を逆にして、単語抽出の後にフェーズ分割を行うようにしてもよい。この場合、フェーズ分割を行う前に所定の基準による単語の抽出が完了しているので、例えば抽出した単語の数等をフェーズ分割の基準として用いる等してもよい。
【0028】
各フェーズにおいて単語の抽出が完了すると、単語重み付け手段による単語の重み付けが行われる(ステップS14)。重み付けの方法は任意に選択してよいが、本実施形態の一例では、一のフェーズにおける発言全体を一の文書としてTF−IDFによる重み付けを行う。
【0029】
次いで、会議分析装置1はベクトル算出手段により、各フェーズのベクトルを算出する(ステップS15)。前述の通り、本実施形態の一例では各フェーズにおける発言から名詞を単語として抽出し、当該抽出した単語の重み付けを行っており、全フェーズの出現単語数を次元数とするベクトルとして、各フェーズのベクトルを算出する。
【0030】
本実施形態体の一例において、抽出した単語を行要素、各フェーズを列とする単語・フェーズ行列をA、各フェーズのベクトルをd、各単語の重みをaij、出現単語数をm、フェーズ数をnとすると、単語フェーズ行列Aは下記の数式1により表すことができる。
【0031】
【数1】
【0032】
上記の数式1において、各フェーズのベクトルdは下記の数式2により表される。
【0033】
【数2】
【0034】
全フェーズについてベクトルを算出すると、会議分析装置1は類似度算出手段により各フェーズ同士の類似度を算出する(ステップS16)。本実施形態の一例では各フェーズを出現単語の重みによるベクトルとして算出しており、ベクトル同士の類似度としてコサイン尺度を算出している。
【0035】
次いで、会議分析装置1は代表度算出手段により、各フェーズの代表度を算出する(ステップS17)。代表度は各フェーズの発言内容と、会議全体の発言内容の関連の度合いを示す指標である。本実施形態の一例では、一のフェーズにおける他のフェーズとの類似度の総和を求め、全フェーズにおける総和の最大値で除算することにより正規化した値を代表度として算出する。これにより、本実施形態の一例では、各フェーズの代表度は0〜1の範囲の値となる。
【0036】
本実施形態の一例における上記類似度及び代表度の算出は、下記の数式3で示すように、単語・フェーズベクトルAについて、各フェーズのベクトルdの代表度を求める関数repとして表すことができる。
【0037】
【数3】
【0038】
上記の数式3における関数repにより求めた値を、下記の数式4により正規化した値が、本実施形態の一例における各フェーズの代表度である。
【0039】
【数4】
【0040】
会議分析装置1は、発散度算出手段によりステップS13で抽出した単語に基づいて、各フェーズの発散度を算出する(ステップS18)。発散度は各フェーズにおいて、当該フェーズまでに出現しなかった単語の出現度合いを示す指標である。本実施形態の一例では、各フェーズにおいて、当該フェーズで新たに出現した単語の数を、全フェーズにおける最大値で除算することにより正規化した値を発散度として算出する。これにより、本実施形態の一例では、各フェーズの発散度は0〜1の範囲の値となる。
【0041】
本実施形態の一例における上記発散度の算出は、下記の数式5で示すように、単語・フェーズベクトルAについて、各フェーズの発散度を求める関数divとして表すことができる。
【0042】
【数5】
【0043】
なお、上記の数式5における関数non_zero_countは、ベクトルの非ゼロ要素を求める関数である。
【0044】
上記の関数divにより求めた値を、下記の数式6により正規化した値が、本実施形態の一例における各フェーズの発散度である。
【0045】
【数6】
【0046】
以上がステップS11〜S18による発言解析・指標算出行程である。ステップS16で算出した代表度とステップS18で算出した発散度は後述する可視化・スコアリング行程において使用される。
【0047】
次に、トピック抽出行程(ステップS21〜S24)について説明する。トピック抽出行程は、発言解析・指標算出行程において解析した各フェーズの発言内容にもとづいて、各フェーズにおけるトピック語、及び、特徴語を抽出する行程である。
【0048】
前述の類似度算出手段(ステップS16)により、各フェーズ間の類似度を算出している。この類似度に基づいて、会議分析装置1はクラスタ分類手段により各フェーズをクラスタリングする(ステップS21)。本実施形態では、各フェーズ間の類似度が所定のしきい値εを上回った場合に、両者のフェーズを同一クラスタに属するものとして、クラスタ数が最大になるしきい値εを算出する。他のフェーズとの類似度がしきい値εを上回らないフェーズについては、クラスタに属さないフェーズとして分類する。
【0049】
全フェーズについてクラスタ分類が完了すると、トピック語抽出手段により各クラスタのトピック語を抽出する(ステップS22、S23)。トピック語は各クラスタの発言内容を特徴づける単語であり、本実施形態の一例では、各クラスタのトピック語を抽出し(ステップS22)、次いで、各フェーズにおいて、当該フェーズが属するクラスタのトピック語の内、当該フェーズで出現したトピック語を抽出する(ステップS23)。トピック語の抽出には、クラスタに分類されたフェーズにおいて前述のステップS14により算出した各単語の重みを用いる。トピック語の抽出数は最大20であり、一のクラスタ、すなわち、一のクラスタに属するフェーズすべてにおける出現単語のうち、上記重みの値が大きい順に最大20語の単語を抽出する。各クラスタのトピック語が抽出された後は、各フェーズにおいて、当該フェーズで出現したトピック語を抽出する。なお、本実施形態の一例ではトピック語を最大20語抽出しているが、抽出する語の数は任意に変更してよい。
【0050】
また、会議分析装置1は特徴語抽出手段により、各フェーズの特徴語を抽出する(ステップS24)。特徴語は、各フェーズの発言内容を特徴づける単語の内、前述のトピック語に該当しない単語である。本実施形態の一例では、前述のステップS14により各フェーズの単語の重み付けが行われており、この重みの値に基づいて、値が大きい単語であって当該フェーズが属するクラスタのトピック語でないものを最大15語抽出する。また、本実施形態の一例では前述の通りフェーズ間の類似度によってはいずれのクラスタにも分類されないフェーズが存在し得るが、クラスタに分類されないフェーズの場合は重みの値が大きい順となる最大15語の単語が特徴語として抽出される。なお、本実施形態の一例では特徴語を最大15語抽出しているが、抽出する語の数は任意に変更してよい。
【0051】
以上がステップS21〜S24のトピック抽出行程であり、当該行程で抽出された各フェーズにおけるトピック語、及び特徴語は、後述の可視化・スコアリング行程で用いられる。
【0052】
可視化・スコアリング行程(ステップS31〜S33)は、前述の発言解析・指標算出行程(ステップS11〜S18)で算出した指標値である代表度及び発散度と、トピック抽出行程(ステップS21〜S24)で抽出したトピック語及び特徴語に基づいて、会議の遷移を表示する行程である。
【0053】
会議分析装置1は、前述の発言解析・指標算出行程(ステップS11〜S17)により会議の発言内容を複数のフェーズに分割し、各フェーズ毎に指標値である代表度及び発散度を算出している。この指標値を各フェーズの状態として、会議全体における状態の遷移を表示するのが状態遷移表示手段である(ステップS31)。
【0054】
図3は、上記状態遷移表示手段による表示例を示した模式図である。図3で示すように、状態遷移表示手段は、会議分析装置1のディスプレイ16に、グラフW11と、散布図W12と、分類図W13を表示する(ステップS31)。
【0055】
グラフW11は、各フェーズにおける指標値である代表度及び発散度の遷移を、横軸をフェーズ、縦軸を指標値とする線グラフにより示したグラフである。
【0056】
散布図W12は、各フェーズにおける指標値である代表度及び発散度の遷移を散布図により示したグラフである。本実施形態の一例では、代表度を縦軸とし、発散度を横軸とする二次元の座標上に各フェーズをプロットし、前後のフェーズの座標と線で結んだ図が表示される。
【0057】
分類図W13は、散布図W12において代表度及び発散度の関係を所定の領域に分割した図である。本実施形態の一例では、前述のステップS16及びS17において代表度及び発散度の値が0〜1となるよう正規化されており、両者の値をそれぞれ0〜0.5、0.5〜1の二つの領域に分けることにより、各フェーズの状態を合意形成W13a、テーマ深堀W13b、議論の停滞W13c、テーマ探索W13dの四つの状態に分類している。
【0058】
上記のように、本実施形態の一例では、状態遷移表示手段により、横軸をフェーズとするグラフW11と、代表度及び発散度を軸とする散布図W12、さらに、散布図W12において、各フェーズがどの様な状態かを領域として表示する分類図W13を表示する。これにより、会議の状態の遷移を視覚的に把握することができる。
【0059】
前述の散布図W12は、代表度と発散度のそれぞれを一の次元として、各フェーズの状態を二次元の座標として表したものである。会議分析装置1は、スコア算出手段により、当該座標に基づいて会議をスコアリングする(ステップS32)。
【0060】
本実施形態の一例では、代表度及び発散度の値により各フェーズの状態を合意形成、テーマ深堀り、議論の停滞、テーマ探索、の四つの領域に分類している。このうち、一のフェーズから次のフェーズへの遷移が、議論の停滞領域に向かう場合を低いスコアとして各フェーズ間の遷移をスコア化し、当該スコアを合算して会議全体のスコアとして算出する。算出したスコアは、会議分析装置1のディスプレイ16に表示される。これにより、本実施形態の一例の会議分析装置1では、会議全体の質をスコアとして定量的に判断することができる。
【0061】
また、会議分析装置1は、トピック遷移表示手段により、各フェーズにおいて出現したトピック語、及び特徴語を表示する(ステップS33)。図4はトピック遷移手段により表示例を示した模式図である。図4に示すように、トピック遷移手段はディスプレイ16に、各フェーズを列W21とし、クラスタW22、トピック語W23、特徴語W24を一又は二以上の行で表した表W2を表示する。本実施形態の一例では、前述の状態遷移表示手段によって会議における状態の遷移を代表度と発散度の二の指標から視覚的に把握できることに加えて、トピック遷移表示手段により各フェーズに出現したトピック語及び特徴語を表示することにより会議における具体的な内容の遷移を視覚的に把握することができる。
【0062】
以上が本実施形態の一例の説明であるが、本発明の実施形態はこれに限られない。例えば、本実施形態の一例におけるフェーズ分割手段は、会議における発言を発言量が等しくなるように複数のフェーズに分割するが、分割の基準はこれに限られず、例えば所定の時間ごとにフェーズを分割してもよい。また、クラスタ分類手段では、いずれのクラスタにも分類されないフェーズが存在してもよいこととしているが、すべてのフェーズがいずれかのクラスタに分類されるようにしてもよい。
【0063】
また、前述した様に本実施形態の一例の会議分析装置1は一のコンピュータにより構成されているが、これを複数台のコンピュータにより構成してもよい。本実施形態では、コンピュータを用いた会議分析を発言解析・指標算出(ステップS11〜S18)と、トピック抽出(ステップS21〜S24)と、可視化・スコアリング(ステップS31〜S33)の3の行程から構成しているが、例えば当該3行程のそれぞれを別個のコンピュータに実行させるようにしてもよい。
【0064】
その他の具体的な構成についても上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲でさまざまな変更が可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 会議分析装置
11 CPU
12 メモリ
13 二次記憶装置
14 キーボード
15 マウス
16 ディスプレイ
17 マイクロフォン
18 バス

図1
図2
図3
図4