【課題を解決するための手段】
【0004】
この問題は、本発明によるフラットコンタクトソケットでは、少なくとも1つの阻止要素が、挿入方向に延びる少なくとも1つのカンチレバーから挿入方向を横断して突出するという点で解決される。
【0005】
本発明による解決策によって、阻止要素を簡単に生産することができる。阻止要素が、挿入方向に延びるカンチレバーから突出することの結果として、挿入方向のフラットコンタクトレセプタクルの奥行きは、挿入方向のカンチレバーの長さによって簡単に適合させることができる。これにより、追加の素子、例えばタッチプロテクタをもつフラットコンタクトを受容するのに好適なフラットコンタクトレセプタクルの形成が可能になる。阻止要素は、特に、独立しているように形成されてもよい。同様に、カンチレバーは独立していてもよく、その結果、少なくとも1つの阻止要素はカンチレバーの自由端として見ることができる。
特に、少なくとも1つの阻止要素は、フラットコンタクト面を横断して突出する。本発明による解決策は、角をなす接続(90°接続)または直線接続(180°接続)の両方に対して使用することができる。90°接続の場合には、接続部は、接続状態において、導電体が少なくとも接続部の領域において挿入方向を横断して延びることができる。180°接続の場合には、接続部は、導電体が少なくとも接続部の領域において挿入方向と平行に延びるように延びることができる。
【0006】
本発明による解決策は様々な構成によって改善することができ、様々な構成は、各々それ自体有利であり、望むように互いに組み合わせることができる。これらの構成とそれに関連した利点とを以下で考察する。
【0007】
特に深いフラットコンタクトレセプタクルを得るために、少なくとも1つの阻止要素は、挿入方向にソケット本体の残りの部分から離間させることができる。これは、少なくとも1つの阻止要素が挿入方向においてソケット本体の残りの部分の下流にあり得ることを意味する。したがって、阻止要素は、ソケット本体に取り付けられるか、またはカンチレバーによってソケット本体に接続されることが好ましい。
【0008】
有利な構成によれば、少なくとも1つの阻止要素は、フラットコンタクトソケットの残りの部分と一体に形成することができる。特に、阻止要素、カンチレバー、ソケット本体、および接続部は、互いに一体に形成することができる。その結果として、一方では、特に簡単に設計されたフラットコンタクトソケットを得ることができる。他方では、生産中に、阻止要素にカンチレバーを後で取り付けること、またはフラットコンタクトソケットの残りの部分に阻止要素を後で取り付けることを省くことができる。
【0009】
阻止要素は少なくとも1つのブレースを有することができ、少なくとも1つのブレースを介して前記阻止要素はカンチレバーに接続される。特に、阻止要素は、互いに離間した2つのブレースを有することができる。ブレースを介して、阻止要素の高さを、またはカンチレバーからの阻止要素の間隔を適合させることができる。さらに、このようにして、中実の設計と比較して材料を節約することができる。最終的に、阻止要素がカンチレバーの材料を曲げることによって作り出される場合、必要な曲げ力を、中実の設計と比較して削減することができる。
【0010】
挿入方向においてフラットコンタクトレセプタクルの境界を効果的に定めるために、すなわち、フラットコンタクトがフラットコンタクトレセプタクル内に深く差し込まれ過ぎないようにするために、少なくとも1つの阻止要素は、フラットコンタクト面を横断して測定されたフラットコンタクトレセプタクルの高さの半分まで延びることができる。
【0011】
特に簡単に設計されたソケット本体を得るために、ソケット本体は、フラットコンタクト面を横断して互いに反対側にある少なくとも2つの脚部を有することができる。それらの脚部によって、フラットコンタクトレセプタクルは、フラットコンタクト面を横断して境界が定められる。2つの脚部は、特に、実質的に平坦に、フラットコンタクト面と平行に向きを合わすことができる。
【0012】
安定したフラットコンタクトソケットを得るために、少なくとも2つの脚部は、挿入方向において挿入開口の反対側にある少なくとも1つのウエブを介して接続することができる。その結果として、特に、互いに対する少なくとも2つの脚部間の間隔を規定することができる。特に180°接続のためのフラットコンタクトソケットの場合には、少なくとも1つのウエブを、挿入方向に見たときに、フラットコンタクトレセプタクルから側方に配置されるように構成することはやはり有用であり得る。
【0013】
脚部の少なくとも一方は、フラットコンタクトと電気的に接触するために脚部の内面に少なくとも1つのコンタクト部を有することができる。したがって、内面は、フラットコンタクトレセプタクルの方に向けられた面、またはフラットコンタクトレセプタクルの境界を定める面である。2つの脚部は、各々、フラットコンタクト面を横断して互いに反対側にあるコンタクト部を有することが好ましい。
【0014】
少なくとも1つのコンタクト部と、フラットコンタクトレセプタクルに受容されたフラットコンタクトとの間の電気接触を改善するために、少なくとも1つのコンタクト部は、少なくとも1つのコンタクトばねを備えることができる。少なくとも1つのコンタクトばねは、フラットコンタクトレセプタクル内に突出し、脚部の方に弾性的に撓み可能である。少なくとも1つのコンタクト部が複数のそのようなコンタクトばねを有することが好ましい。
【0015】
少なくとも1つのコンタクトばねは、脚部と一体に形成される必要がない。特に、少なくとも1つのコンタクト部は、複数のコンタクトばねを有するコンタクトプレートを備えることができる。コンタクトプレートは、良好な導電性を念頭において選ばれた材料から形成することができる。少なくとも1つのコンタクトプレートは、材料係合によって、特に溶接によって少なくとも1つの脚部の内面に接続されることが好ましい。フラットコンタクトレセプタクルを横断して互いに反対側にある少なくとも2つの脚部の各々は、少なくとも1つのコンタクトプレートを備えることが好ましい。
【0016】
フラットコンタクトソケットは、基部を有することができる。基部は挿入方向を横断して延び、基部は挿入方向において挿入開口の反対側にあり、基部によってソケット本体は接続部に接続される。このようにして、安定したフラットコンタクトソケットと、さらに接続部とソケット本体との間の良好な電気接続との両方を得ることができる。
【0017】
挿入方向を横断して延びる基部は、特に、90°接続のためのフラットコンタクトソケットでは有用となり得る。特に、180°接続で使用されるように意図された本発明によるフラットコンタクトソケットの一実施形態では、基部は、さらに、挿入方向と平行に延びることができる。
【0018】
接続部を導電体、特にケーブルに容易に接続するために、接続部は、圧着(crimping)によって少なくとも1つの導電体に接続するための少なくとも2つの圧着ウィングを有することができる。
【0019】
ハウジングとのポジティブ係合を作り出すために、フラットコンタクトソケットは、挿入方向と実質的に平行にまたは挿入方向を実質的に横断してフラットコンタクトソケット内に延びる少なくとも1つのポジティブ係合凹部を有することができる。少なくとも1つのポジティブ係合凹部は、特に、接続部とソケット本体との間に配置することができる。フラットコンタクトソケットの良好な導電性を得るために、基部は、ポジティブ係合凹部の反対側に連続的に形成されることが好ましい。
【0020】
90°接続の場合には、少なくとも1つのポジティブ係合凹部は、挿入方向と平行にフラットコンタクトソケット内に延びることができることが好ましい。180°接続では、少なくとも1つのポジティブ係合凹部は、挿入方向を横断してフラットコンタクトソケット内に延びることが好ましい。
【0021】
フラットコンタクトソケットをハウジングに固定するために、挿入方向と平行にまたは挿入方向を横断して延びる少なくとも1つの停止面を、少なくとも1つのポジティブ係合凹部によってソケット本体に形成することができる。
【0022】
ハウジング、例えばフラットコンタクトソケットを受容するための絶縁ハウジングは、フラットコンタクトソケットがハウジングに受容された組立て状態では、ポジティブ係合凹部に受け取られるポジティブ係合要素を有することができる。特に、ハウジングは、ポジティブ係合要素がポジティブ係合凹部に受け取られる向き以外の異なる向きでフラットコンタクトソケットをハウジングに挿入しようとすると、ポジティブ係合要素がフラットコンタクトソケットの別の部分、特に基部に当接するように形成することができる。したがって、ポジティブ係合要素のポジティブ係合凹部との相互作用は、組立て中の不具合回避のための要素を表す。組立て状態では、ポジティブ係合要素は停止面に当接することができる。その結果、特に接続部の方向へのフラットコンタクトソケットのハウジングからの離脱が効果的に防止される。これは、接続部に接続された導電体に引張り力が加えられる場合に当てはまる。
【0023】
迅速に低コストで生産されたフラットコンタクトソケットを得るために、フラットコンタクトソケットは、特に、打抜き曲げ部品として製造することができる。
【0024】
この場合、基部は、挿入方向を横断して延びる主曲げ縁によって形成することができる。フラットコンタクトソケットが2つの脚部を有する場合、前記脚部は、挿入方向と反対方向に主曲げ縁またはその仮想伸張部から離れるように延びることができる。
【0025】
特に、90°接続のためのフラットコンタクトソケットの場合には、少なくとも1つの阻止要素は、主曲げ縁の材料から少なくとも部分的に打ち抜くことができ、挿入方向において主曲げ縁の下流にあり得る。その結果、特に簡単に設計された阻止要素または簡単に形成されたカンチレバーを得ることができる。言い換えれば、フラットコンタクトソケットは、主曲げ縁の領域では阻止要素およびカンチレバーなしに閉じられることになる。阻止要素と、好ましくはさらにカンチレバーとは、フラットコンタクトソケットが打抜き曲部品として製造される材料から打ち抜かれ、フラットコンタクトソケットの基部は、主曲げ縁に沿って連続的に延びていない。
【0026】
180°接続の一実施形態では、少なくとも1つのカンチレバーが、接続部の方向に、少なくとも断片的に脚部から延びることができる。少なくとも1つの阻止要素は、対向する脚部の方向にこのカンチレバーから突出することができる。
【0027】
本発明によるフラットコンタクトソケットの安定性をさらに改善するために、特に、2つの脚部が曲がって離れるのを防止するために、フラットコンタクトソケットは、挿入方向と反対方向に向いている脚部端部を互いに接続するかまたはラッチする少なくとも1つのラッチ要素を有することができる。
【0028】
本発明によるフラットコンタクトソケットは、横方向ガイド要素(lateral guide elements)を有することができる。横方向ガイド要素は特に打抜きおよび曲げによって形作られ、横方向ガイド要素はソケット本体と一体構造で形成される。横方向ガイド要素は、フラットコンタクトを、挿入方向を横断して案内することができる。ガイド要素は、特に、挿入方向を横断して配置される側で2つの脚部を少なくとも部分的に閉じることができるように構成される。
【0029】
本発明によるフラットコンタクトソケットがハウジングに受容されることになる場合、フラットコンタクトソケットは、阻止要素の外面に少なくとも1つの溝を備えることができる。この溝は、ハウジングの少なくとも1つの相補的に形成される位置固定要素を、確実に受け取るために形成される。
【0030】
以下、例として、図面を参照しながら有利な実施形態を使用して、本発明をより詳細に説明する。例として実施形態に示す特徴の組合せは、上述のコメントに従って特定の用途のための追加の特徴によって適宜に補足することができる。この特徴の効果が特定の用途において重要でない場合、さらに、上述のコメントに従って、個々の特徴を、記載される実施形態において省略することも可能である。
【0031】
図面において、同じ参照番号は、常に、同じ機能および/または同じ構造をもつ要素に使用される。