特開2018-74143(P2018-74143A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-74143(P2018-74143A)
(43)【公開日】2018年5月10日
(54)【発明の名称】抵抗素子及び抵抗素子アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H01C 7/00 20060101AFI20180406BHJP
   H01C 17/242 20060101ALI20180406BHJP
【FI】
   H01C7/00 210
   H01C7/00 110
   H01C17/242
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-140245(P2017-140245)
(22)【出願日】2017年7月19日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0143439
(32)【優先日】2016年10月31日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】パク、クァン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ユン、チャン ソク
(72)【発明者】
【氏名】ベック、キョン ソン
【テーマコード(参考)】
5E032
5E033
【Fターム(参考)】
5E032BA11
5E032BB01
5E032CA02
5E032TA14
5E032TB02
5E033AA02
5E033BA03
5E033BB02
5E033BB06
5E033BC01
5E033BD12
5E033BE02
5E033BF05
5E033BH02
(57)【要約】
【課題】トリミング工程の進行時に熱起電力の発生を抑える抵抗素子を提供することができる。
【解決手段】本発明の一例による抵抗素子は、互いに対向する第1及び第2面を有するベース基材と、上記ベース基材の第1面に配置される第1抵抗層と、上記ベース基材の両端部に配置される第1端子及び第2端子と、上記第1抵抗層上に配置され、上記第1端子及び上記第2端子と連結され、銅−マンガン−スズ(Cu−Mn−Sn)系組成物を含む第2抵抗層と、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第1及び第2面を有するベース基材と、
前記ベース基材の第1面に配置される第1抵抗層と、
前記ベース基材の両端部に配置される第1端子及び第2端子と、
前記第1抵抗層上に配置され、前記第1端子及び前記第2端子と連結され、銅−マンガン−スズ(Cu−Mn−Sn)系組成物を含む第2抵抗層と、を含む、抵抗素子。
【請求項2】
前記第1抵抗層は、銅−ニッケル(Cu−Ni)系組成物を含む、請求項1に記載の抵抗素子。
【請求項3】
前記第1端子及び前記第2端子は、互いに接合された前記第1抵抗層及び前記第2抵抗層の両端部とそれぞれ連結される、請求項1または2に記載の抵抗素子。
【請求項4】
前記第2抵抗層は、前記第1抵抗層と前記第1端子との間、及び前記第1抵抗層と前記第2端子との間に配置される、請求項1から3のいずれか一項に記載の抵抗素子。
【請求項5】
前記第2抵抗層は、前記第1抵抗層と前記第1端子との間、及び前記第1抵抗層と前記第2端子との間に分けて配置される二つの抵抗体からなる、請求項4に記載の抵抗素子。
【請求項6】
前記第1及び第2抵抗層は、トリミング工程によって除去された溝(groove)を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の抵抗素子。
【請求項7】
前記抵抗層上に配置され、ガラス(glass)材料を含む第1保護層と、
前記第1保護層上に配置され、ポリマー(polymer)材料を含む第2保護層と、をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の抵抗素子。
【請求項8】
前記第1及び第2端子のそれぞれは、前記ベース基材上に配置される第1及び第2内部電極と、前記第1及び第2内部電極上に配置される第1及び第2外部電極と、を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の抵抗素子。
【請求項9】
前記第2抵抗層の抵抗温度係数(Temperature Coefficient of Resistivity:TCR)の絶対値は100ppm/℃以下である、請求項1から8のいずれか一項に記載の抵抗素子。
【請求項10】
前記第1抵抗層は、ガラス(glass)をさらに含み、ペースト形態で印刷した後、焼成工程を通じて前記ベース基材に接合する、請求項1から9のいずれか一項に記載の抵抗素子。
【請求項11】
複数の電極パッドを有する回路基板と、
前記回路基板に配置され、前記複数の電極パッドと連結された抵抗素子と、を含み、
前記抵抗素子は、互いに対向する第1及び第2面を有するベース基材、前記ベース基材の第1面に配置される第1抵抗層、前記ベース基材の両端部に配置される第1端子及び第2端子、及び前記第1抵抗層上に配置される第2抵抗層を含み、
前記第2抵抗層は、前記第1端子及び前記第2端子と連結され、銅−マンガン−スズ(Cu−Mn−Sn)系組成物を含む、抵抗素子アセンブリ。
【請求項12】
前記第1抵抗層は、銅−ニッケル(Cu−Ni)系組成物を含む、請求項11に記載の抵抗素子アセンブリ。
【請求項13】
前記第1端子及び前記第2端子は、互いに接合された前記第1抵抗層及び前記第2抵抗層の両端部とそれぞれ連結される、請求項11または12に記載の抵抗素子アセンブリ。
【請求項14】
前記第2抵抗層は、前記第1抵抗層と前記第1端子との間、及び前記第1抵抗層と前記第2端子との間に配置される、請求項11から13のいずれか一項に記載の抵抗素子アセンブリ。
【請求項15】
前記第2抵抗層は、前記第1抵抗層と前記第1端子との間、及び前記第1抵抗層と前記第2端子との間に分けて配置される二つの抵抗体からなる、請求項14に記載の抵抗素子アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抵抗素子及び抵抗素子アセンブリに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器の小型化及び軽量化への要求により、回路基板の配線密度を高めるために、チップ(chip)形態の抵抗素子が用いられている。また、電子機器の要求電力が高まるにつれて、電子機器に過電流検知及び電池残量検知回路が導入され、低抵抗値及び高精度を有する抵抗素子が要求されている。
【0003】
高精度を有する抵抗素子を製造するためにメタル(metal)工法を用いることができるが、かかるメタル工法には、工程が複雑であり精密なパターン設計によって裏付けられる必要があるという限界がある。
【0004】
抵抗素子を製造するための他の方法としては厚膜工法が挙げられる。厚膜工法は比較的工程が単純であるが、低抵抗値を有する抵抗素子の場合、抵抗値の精度が低くなる傾向を有する。これは、抵抗層をなす抵抗材料の比抵抗及び抵抗温度係数(Temperature Coefficient of Resistivity)が高く、トリミング工程時に発生する熱起電力(thermo electromotive force)が抵抗値の誤差を誘発することに起因する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−119692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、トリミング工程の進行時に熱起電力の発生を抑える抵抗素子を提供することにある。
【0007】
また、抵抗温度係数及び比抵抗値が低い抵抗材料を含むことにより、精密であり低抵抗値を有する抵抗素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一例による抵抗素子は、互いに対向する第1及び第2面を有するベース基材と、上記ベース基材の第1面に配置される第1抵抗層と、上記ベース基材の両端部に配置される第1端子及び第2端子と、上記第1抵抗層上に配置され、上記第1端子及び上記第2端子と電気的に連結され、銅−マンガン−スズ(Cu−Mn−Sn)系組成物を含む第2抵抗層と、を含む。
【0009】
また、本発明の一例による抵抗素子アセンブリは、複数の電極パッドを有する回路基板と、上記回路基板に配置され、上記複数の電極パッドと電気的に連結される抵抗素子と、を含み、上記抵抗素子は、互いに対向する第1及び第2面を有するベース基材、上記ベース基材の第1面に配置される第1抵抗層、上記ベース基材の両端部に配置される第1端子及び第2端子、及び上記第1抵抗層上に配置される第2抵抗層を含み、上記第2抵抗層は、上記第1端子及び上記第2端子と電気的に連結され、銅−マンガン−スズ(Cu−Mn−Sn)系組成物を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一例による抵抗素子及び抵抗素子アセンブリは、製作工法が単純でありトリミング工程の進行時に熱起電力の発生を抑えるため、製作費用を節減するとともに、不良率を減少させることができる。
【0011】
また、抵抗温度係数及び比抵抗値が低い抵抗材料を含むため、温度に対する影響が少なく、低抵抗値を実現することができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一例による抵抗素子を示す斜視図である。
図2図1の抵抗素子とは異なる一例による抵抗素子を示す斜視図である。
図3図2のI−I'に沿って切開して見た場合の断面図である。
図4】本発明の他の一例による抵抗素子を示す断面図である。
図5】本発明の他の一例による抵抗素子を示す断面図である。
図6】本発明の他の一例による抵抗素子を示す断面図である。
図7】本発明の一例による抵抗素子アセンブリを示す斜視図である。
図8図7のII−II'に沿って切開して見た場合の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるもためある。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0014】
また、本明細書において、「上に」形成されるとは、直接接触して形成されることを意味するだけでなく、中間に他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。また、本明細書において、「上部」、「上面」、「下部」、「下面」、「側面」などの用語は、添付の図面の方向を基準として表現されており、実際には素子が配置される方向に応じて異なり得る。
【0015】
図1は本発明の一例による抵抗素子を示す斜視図である。図1に示す抵抗素子100は、抵抗素子が実装される面と対向する面に抵抗層を形成した例であり、図2に示す抵抗素子100'は、抵抗素子が実装される面に抵抗層を形成した例である。図2の抵抗素子100'は、抵抗層を回路基板の配線にさらに近接して形成することで正確な抵抗値を提供することができる。
【0016】
図1及び2を参照すると、抵抗素子100、100'は、ベース基材110、第1抵抗層120、第2抵抗層140、第1端子131、及び第2端子132を含む。
【0017】
上記ベース基材110は、第1抵抗層120を支持し、抵抗素子100、100'の強度を確保することができる。これに限定されるものではないが、上記ベース基材110は、所定の厚さを有しながら互いに対向する第1面及び第2面を有し、各面の形状が長方形である薄い板状に構成することができる。
【0018】
また、ベース基材110は、熱伝導度に優れた材質で形成することができ、抵抗素子の使用時の抵抗層120から生成される熱を外部に効果的に放出させることができる。
【0019】
上記ベース基材110は、例えば、アルミナ(Al)のようなセラミックまたはポリマー基材であることができる。特定の例において、上記ベース基材110は、薄い板状のアルミニウムの表面を陽極酸化(anodizing)処理して得られたアルミナ基板であってもよい。
【0020】
図1及び図2に示すように、第1端子131及び上記第2端子132は、上記ベース基材110の両端部に配置することができる。第2端子132は、第1端子131のように、第2内部電極132a及び第2外部電極132bを含むことができる。第1端子131及び第2端子132は、図3を参照してより具体的に説明する。
【0021】
第1抵抗層120は、上記ベース基材110の一面に配置することができ、上記第2抵抗層140は、上記第1抵抗層上に配置することができる。上記第1抵抗層120及び上記第2抵抗層140は、互いに離れている第1端子131と第2端子132との間に配置し、第1端子131及び第2端子132と連結されて抵抗素子として用いることができる。ここで、上記第1抵抗層120は、第2抵抗層140を介して第1端子131及び第2端子132と連結されることができる。このため、第2抵抗層140は、第1抵抗層120と第1端子131との間、及び第1抵抗層120と上記第2端子132との間に配置することができる。
【0022】
第1抵抗層120は、例えば、様々な金属もしくは合金、または酸化物のような組成物を用いることができる。例えば、Cu−Ni系合金、Ni−Cr系合金、Ru酸化物、Si酸化物、Mn及びMn系合金のうち少なくとも一つを含むことができる。また、第1抵抗層120は、ガラス(glass)をさらに含み、ペーストの形態で印刷した後、焼成工程を通じて上記ベース基材に接合することができる。
【0023】
また、第2抵抗層140は、銅−マンガン−スズ(Cu−Mn−Sn)系組成物を含むことができる。ゼラニン(Zeranin)と呼ばれる銅−マンガン−スズ(Cu−Mn−Sn)系組成物は、特性上非常に簡単に酸化する。その結果、高温の還元雰囲気において焼結する焼成工程ではベース基材に接合することが困難となり得る。
【0024】
本発明の抵抗素子は、まず第1抵抗層120をベース基材110に接合し、第1抵抗層120上に第2抵抗層140を接合するため、上記第1抵抗層120は、ベース基材110と第2抵抗層140を互いに接着する役割を果たすことができる。
【0025】
第1抵抗層120及び第2抵抗層140は、トリミング(trimming)工程によって抵抗値が決定されることができる。トリミング工程とは、抵抗層を形成した後、回路設計に必要な抵抗値を得るために微細切断(cutting)などを通じて抵抗層を部分的に除去する工程のことである。
【0026】
具体的には、トリミング工程で抵抗素子の抵抗値を測定しながら溝(groove)を形成し、測定された抵抗値が目標抵抗値に達した場合、溝の形成を中断させることで抵抗素子の抵抗値を調整する。
【0027】
一方、上記トリミング工程で溝を形成する場合、熱が発散されることがある。上記トリミング工程によって発散される熱は、抵抗層と抵抗素子の端子との間に熱起電力(Thermo−Electromotive Force)を発生させ、測定された抵抗値の歪みを誘発する。すなわち、抵抗層に発生した熱による温度と、端子間の温度に差異が生じ、抵抗層と端子間に起電力が発生する可能性があり、上記温度差による起電力は熱起電力と示すことができる。このような熱起電力による抵抗値の歪みは、抵抗素子の量産時の不良率を高くする要因となる。
【0028】
図1に示すように、第1抵抗層120及び第2抵抗層140は、トリミング(trimming)工程により形成された溝160を含むことができる。図2では、トリミング工程により形成された溝を示していないが、同一の形態の溝を第1抵抗層120及び第2抵抗層140に形成することができる。
【0029】
第2抵抗層140は、銅−マンガン−スズ(Cu−Mn−Sn)系組成物を含むことにより、トリミング工程時の熱起電力を抑えることができ、トリミング工程を通じてより精密な抵抗値を得ることができるようにする。具体的には、銅−ニッケル(Cu−Ni)系組成物は−40uV/Kの熱起電力を有するが、銅−マンガン−スズ(Cu−Mn−Sn)系組成物は−1uV/Kの熱起電力を有することで知られている。
【0030】
また、銅−マンガン−スズ(Cu−Mn−Sn)系組成物は、比較的低抵抗温度係数(Temperature Coefficient of Resistivity:TCR)を有する。例えば、銅−マンガン−スズ(Cu−Mn−Sn)系組成物の抵抗温度係数(TCR)の絶対値は100ppm/℃以下となり得る。このような低抵抗温度係数(TCR)は、抵抗素子が温度に対する耐性を有するようにする。
【0031】
さらに、銅−マンガン−スズ(Cu−Mn−Sn)系組成物からなる抵抗層は、低熱起電力を発生させ、低抵抗温度係数(TCR)を有するため、トリミング工程時に、溝の形成位置変動に対して強い抵抗値を有することができる。
【0032】
また、銅−マンガン−スズ(Cu−Mn−Sn)系組成物は、銅−ニッケル(Cu−Ni)系組成物よりも低い比抵抗値(例えば、29μΩ/cm)を有するため、微細な抵抗値を有する抵抗素子を製造するのに有利である。
【0033】
一方、第2抵抗層140の表面には保護層150を配置することができる。上記保護層150は、上記第1端子131と上記第2端子132との間に配置することができ、第1抵抗層120及び第2抵抗層140が外部に露出しないようにするとともに、第1抵抗層120及び第2抵抗層140を外部の衝撃から保護する。例えば、上記保護層150は、シリコン(SiO)もしくはグラス(glass)またはポリマー(polymer)材料を含むことができる。
【0034】
特定の例において、上記保護層150は、グラスの第1保護層151及びポリマーの第2保護層152で構成することができる。必要に応じて、第1保護層151は、トリミング工程前に形成することで、トリミング(trimming)工程時の第1抵抗層120及び第2抵抗層140にクラック(clack)が発生することを防止することができ、第2保護層152は、トリミング(trimming)工程後に形成することで、第1抵抗層120及び第2抵抗層140を保護することができる。
【0035】
図2を参照すると、上記保護層150を第2抵抗層140上に配置しても、第1及び第2端子131、132を、保護層150よりも突出した形状を有するようにすることにより、基板実装時の第1及び第2端子131、132と回路基板に配置された電極パッドとの接触を容易にすることができる。
【0036】
以下、本発明による抵抗素子の様々な例を抵抗素子の断面図を通じて参照する。
【0037】
図3図2のI−I'に沿って切開して見た場合の断面図である。
【0038】
図2を参照すると、一例による抵抗素子は、ベース基材110、第1抵抗層120、第2抵抗層140、第1端子131、第2端子132、及び保護層150を含む。
【0039】
ベース基材110は、互いに対向する第1及び第2面を有し、上記ベース基材の第1面に第1抵抗層120を配置し、上記第1抵抗層120及び第2抵抗層140は、上記第1端子131及び上記第2端子132と接触して連結されるように配置する。
【0040】
ここで、第1抵抗層120は、銅(Cu)系組成物または銅−ニッケル(Cu−Ni)系組成物を含むことができ、第2抵抗層140は、銅−マンガン−スズ(Cu−Mn−Sn)系組成物を含むことができる。
【0041】
第1端子131及び第2端子132のそれぞれは、ベース基材110の両端部を包むように形成することができる。また、上記第1端子131及び第2端子132のそれぞれは、互いに接合された上記第1抵抗層120及び上記第2抵抗層140の両端部と連結される。
【0042】
このように、第1端子131及び第2端子132は、第1抵抗層120及び第2抵抗層140が形成する並列構造の経路(Path)を介して電気的に連結される。
【0043】
異種の材料を用いて構成した並列構造は、トリミング工程時に、第1抵抗層120に形成される熱起電力を第2抵抗層140に分散させることができる。
【0044】
また、第2抵抗層140は、低比抵抗、低抵抗温度係数(TCR)を有するため、抵抗素子は、第1抵抗層120のみを含む場合に比べて温度に対する耐性及びさらに精密な抵抗値を有することができる。
【0045】
以下、上記第1端子131及び第2端子132の例について具体的に説明する。
【0046】
例えば、上記第1端子131は、第1内部電極131a及び第1外部電極131bを含む。同様に、第2端子132は、第2内部電極132a及び第2外部電極132bを含む。
【0047】
上記第1内部電極131a及び上記第2内部電極132aは、ベース基材110の両端部に配置する。
【0048】
また、第1外部電極131b及び第2外部電極132bは、上記第1内部電極131a及び上記第2内部電極132a上にそれぞれ配置することができる。すなわち、第1外部電極131bは、上記第1内部電極131aの表面の少なくとも一部領域を覆い、上記第2外部電極132bは、上記第2内部電極132aの表面の少なくとも一部領域を覆う。
【0049】
例えば、上記第1内部電極131aは、第1シード電極131a1及び第1裏面電極131a2を含む。同様に、上記第2内部電極132aは、第2シード電極132a1及び第2裏面電極132a2を含む。
【0050】
上記第1シード電極131a1及び第2シード電極132a1は、ベース基材110の第1面に配置し、第1裏面電極131a2及び第2裏面電極132a2は、ベース基材110の第1面と向き合う第2面に配置する。この際、上記第1シード電極131a1は上記第1裏面電極131a2と対向することができ、上記第2シード電極132a1は上記第2裏面電極132a2と対向することができる。
【0051】
図3に示してはいないが、上記第1内部電極131aは、第1側面電極をさらに含むことができ、第2内部電極132aは、第2側面電極をさらに含むことができる。
【0052】
上記第1及び第2側面電極は、ベース基材110、第1抵抗層120、第2抵抗層140、第1及び第2シード電極131a1、132a1、及び第1及び第2裏面電極131a2、132a2を積層して形成した積層体の両端面に配置することができる。
【0053】
すなわち、上記第1側面電極は、第1シード電極131a1及び第1裏面電極131a2と連結されるように配置し、第2側面電極は、第2シード電極132a1及び第2裏面電極132a2と連結されるように配置することができる。上記第1内部電極131aが第1側面電極を含み、第2内部電極132aが第2側面電極を含む場合、上記第1及び第2側面電極上にもそれぞれ第1及び第2外部電極131b、132bを形成することができる。
【0054】
また、上記第1内部電極131aは、第1補強層131a3をさらに含むことができ、第2内部電極132aは、第2補強層132a3をさらに含むことができる。
【0055】
第1補強層131a3は、第1シード電極131a1上に配置することで第1端子131の厚さを補強することができ、第2補強層132a3は、第2シード電極132a1上に配置することで第2端子132の厚さを補強することができる。
【0056】
これにより、第1端子131及び第2端子132の厚さが確保されるため、回路基板に配置された電極パッドとの接触がさらに容易となる。また、第1端子131及び第2端子132の表面積を広くすることができるため、実装工程時の半田との接合面積を確保して固着強度を向上させることができる。
【0057】
また、第1内部電極131a及び第2内部電極132aは、導電性ペーストを用いた印刷工程(印刷後に焼成)または蒸着工程を用いて形成することができる。第1内部電極131a及び第2内部電極132aは、第1外部電極131b及び第2外部電極132bを形成するためのめっき工程でシード(seed)として作用することができる。例えば、上記内部電極は、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0058】
また、第1外部電極131b及び第2外部電極132bは、上記第1内部電極131a及び第2内部電極132a上にめっき工程を用いて形成することができる。一方、第1外部電極131b及び第2外部電極132bは、保護層150を形成してから形成することができる。
【0059】
上記第1外部電極131b及び上記第2外部電極132bは、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、銅(Cu)、クロム(Cr)のうち少なくとも一つを含むことができる。例えば、第1外部電極131b及び第2外部電極132bは、ニッケル(Ni)めっき層とスズ(Sn)めっき層の二重層を含むことができ、銅(Cu)めっき層をさらに有することができる。ニッケル(Ni)めっき層は、素子実装時の内部電極の成分(例えば、Ag)が半田の成分に浸出(leaching)することを防止することができ、スズ(Sn)めっき層は、素子実装時の半田成分との接合を容易にすることができる。また、銅(Cu)めっき層は、上記内部電極の導電性を向上させることができる。
【0060】
図4は本発明の他の一例による抵抗素子を示す断面図である。
【0061】
図3に示す抵抗素子と比較して、図4に示す抵抗素子の第1抵抗層120'は、ベース基材110の両端部まで延長した形態で配置することができる。これにより、第1抵抗層120'上に第1及び第2シード電極131a1、132a1を配置することができる。その他の構成は、図3に示す抵抗素子についての説明を同一に適用することができるため、重複する説明は省略する。
【0062】
図5は本発明の他の一例による抵抗素子を示す断面図である。
【0063】
図4に示す抵抗素子と比較して、図5に示す抵抗素子の第2抵抗層140'は、第1抵抗層120'と同様に、ベース基材110の両端部まで延長した形態で配置することができる。これにより、第2抵抗層140'上に第1及び第2シード電極131a1、132a1を配置することができる。すなわち、第2抵抗層140'は、上記第1抵抗層120'と上記第1端子131の第1シード電極131a1との間、及び上記第1抵抗層120'と上記第2端子132の第2シード電極132a1との間に配置する。
【0064】
これにより、第2抵抗層140'が第1端子131及び第2端子132と接する面積を、第1抵抗層120'が第1端子131及び第2端子132と接する面積よりも非常に大きくすることができる。
【0065】
その他の構成は、図3に示す抵抗素子についての説明を同様に適用することができるため、重複する説明は省略する。
【0066】
図6は本発明の他の一例による抵抗素子を示す断面図である。
【0067】
図3に示す抵抗素子と比較して、図6に示す抵抗素子の第2抵抗層140''は、第1抵抗体141及び第2抵抗体142を含む。
【0068】
図6を参照すると、上記二つの抵抗体141、142は、第1抵抗層120と上記第1端子131との間、及び上記第1抵抗層120と上記第2端子132との間に分けて配置する。このため、第1端子131は、第1抵抗層120と一定の間隙を有するように配置することができ、第2端子132も同様に、第1抵抗層120と一定の間隙を有するように配置することができる。また、上記隙間に第1抵抗体141及び第2抵抗体142をそれぞれ満たすことで、第2抵抗層140''を形成することができる。
【0069】
すなわち、第1抵抗体141は、第1端子131と第1抵抗層120とを連結するブリッジ(bridge)構造を形成し、第2抵抗体142は、第2端子132と第1抵抗層120とを連結するブリッジ(bridge)構造を形成する。
【0070】
例えば、第1抵抗層120が銅−ニッケル(Cu−Ni)系組成物からなり、第1端子131が銅(Cu)を含む場合、第1抵抗体141は、銅−マンガン−スズ(Cu−Mn−Sn)系組成物を含むことで、第1抵抗層120と第1端子131との間に発生する可能性がある熱起電力を遮断することができる。
【0071】
その他の構成は、図3に示す抵抗素子についての説明を同様に適用することができるため、重複する説明は省略する。
【0072】
図7は本発明の一例による抵抗素子アセンブリを示す斜視図であり、図8図7のII−II'に沿って切開して見た場合の断面図である。
【0073】
図7及び図8を参照すると、抵抗素子アセンブリ10は、図2に示す抵抗素子100'が実装された回路基板11を含む。しかし、これに限定されるものではなく、図1に示す抵抗素子100を適用してもよい。
【0074】
上記回路基板11は、抵抗素子が実装される領域に配置される第1及び第2電極パッド12、13を含む。上記第1及び第2電極パッド12、13は、上記回路基板11に実現した回路パターンと連結され、素子を実装するために提供されるランドパターンのことである。
【0075】
上記抵抗素子は、ベース基材110、上記ベース基材110の第1面に配置される第1抵抗層120、上記ベース基材110の両端部に配置される第1端子131及び第2端子132、及び上記第1抵抗層120上に配置される第2抵抗層140を含む。第2抵抗層140は、上記第1端子131及び上記第2端子132と連結され、銅−マンガン−スズ(Cu−Mn−Sn)系組成物を含む。また、抵抗素子は、保護層150をさらに含むことができる。
【0076】
上述のように、第2抵抗層140が低比抵抗及び低抵抗温度係数(TCR)を有するため、抵抗素子は、第1抵抗層120のみを含む場合に比べて温度に対する耐性及びさらに精密な抵抗値を有することができる。
【0077】
上記抵抗素子100'は、図2図6を参照して説明した抵抗素子から理解されることができるため、重複する説明は省略する。
【0078】
回路基板11は、電子回路が形成される部分で、電子機器の特定の動作または制御のための集積回路(IC)などが形成されて、別の電源から供給される電流が流れることができる。
【0079】
この場合、回路基板11は、様々な配線ラインを含むか、またはトランジスタなどのような他の種類の半導体素子をさらに含むことができる。また、回路基板11は、導電層を含むか、誘電体層を含むなど、必要に応じて多様に構成することができる。
【0080】
第1及び第2電極パッド12、13は、回路基板11上に互いに離れるように配置し、半田15を介して抵抗素子100'の第1及び第2端子131、132とそれぞれ連結されることができる。
【0081】
図7及び図8には、第1電極パッド12が第1端子131と連結され、第2電極パッド13が第2端子132と連結されるように示されているが、設計に応じて、第1電極パッド12が第2端子132と連結され、第2電極パッド13が第1端子131と連結されるようにすることもできる。
【0082】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有するものには明らかである。
【符号の説明】
【0083】
100、100' 抵抗素子
110 ベース基材
120、120' 第1抵抗層
140、140'、140'' 第2抵抗層
131 第1端子
132 第2端子
150 保護層
160 溝
10 実装基板
11 回路基板
12 第1電極パッド
13 第2電極パッド
15 半田
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8