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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-74146(P2018-74146A)
(43)【公開日】2018年5月10日
(54)【発明の名称】インダクタ
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/24 20060101AFI20180406BHJP
   H01F 37/00 20060101ALI20180406BHJP
   H01F 27/255 20060101ALI20180406BHJP
【FI】
   H01F27/24 J
   H01F27/24 K
   H01F37/00 M
   H01F37/00 A
   H01F27/24 D
   H01F27/24 C
   H01F27/24 H
   H01F27/24 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-174007(P2017-174007)
(22)【出願日】2017年9月11日
(31)【優先権主張番号】201610931449.9
(32)【優先日】2016年10月31日
(33)【優先権主張国】CN
(71)【出願人】
【識別番号】390005223
【氏名又は名称】株式会社タムラ製作所
(71)【出願人】
【識別番号】512010122
【氏名又は名称】田村(中国)企業管理有限公司
【氏名又は名称原語表記】TAMURA CORPORATION OF CHINA LIMITED
(74)【上記1名の代理人】
【識別番号】390005223
【氏名又は名称】株式会社タムラ製作所
(72)【発明者】
【氏名】梁 志勇
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 英人
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複数のインダクタンス素子を有するインダクタにおいて、インダクタンス素子間の磁気結合を低減する
【解決手段】第1分割ヨーク部52aの端面に第3ヨーク部56の一面の下端部が、第2分割ヨーク部54aの端面に第3ヨーク部56の一面の上端部が、それぞれ接着等により接合されている。同様に、他方のリアクトルユニット10の第1分割ヨーク部52aと第2分割ヨーク部54aとが、第3ヨーク部58によって連結されている。これにより、第1ヨーク部52、第2ヨーク部54及び第3ヨーク部56、58が連結し、環状のヨーク50が形成されている。また、コイルが巻かれた2つの円柱状の脚部とヨーク50とにより、リアクトル100のコアが形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコイルと、
各コイルが発生する磁束の閉磁路を形成するコアと、
を備え、
前記コアは、
前記複数のコイルにそれぞれ通された複数の脚部と、
各脚部の両端を連結するヨーク部と、
を有し、
前記脚部を形成する材料の透磁率が前記ヨーク部を形成する材料の透磁率よりも低い、
インダクタ。
【請求項2】
前記脚部が圧粉磁心を含む、
請求項1に記載のインダクタ。
【請求項3】
前記ヨーク部が、圧粉磁心、アモルファスコア、電磁鋼板コア及びナノクリスタルコアのいずれか少なくとも一つを含む、
請求項1又は2に記載のインダクタ。
【請求項4】
前記ヨーク部を形成する材料の透磁率が、前記脚部を形成する材料の透磁率の2倍以上である、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のインダクタ。
【請求項5】
前記ヨーク部を形成する材料の透磁率が、前記脚部を形成する材料の透磁率の3倍以上である、
請求項4に記載のインダクタ。
【請求項6】
前記脚部を形成する材料の比透磁率が30以上かつ40以下であり、
前記ヨーク部を形成する材料の比透磁率が150以上かつ200以下である、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のインダクタ。
【請求項7】
前記脚部がギャップを有する、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のインダクタ。
【請求項8】
前記ヨーク部が、
前記複数の脚部の一端が接合される第1ヨーク部と、
前記複数の脚部の他端が接合される第2ヨーク部と、
前記第1ヨーク部と前記第2ヨーク部とを連結する第3ヨーク部と、
を有し、
前記第1ヨーク部が、複数の第1分割ヨーク部を含み、
前記第2ヨーク部が、複数の第2分割ヨーク部を含み、
前記コイルと、該コイルに通された前記脚部とによりインダクタユニットが形成され、
前記ヨーク部が複数の前記インダクタユニットを連結した、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のインダクタ。
【請求項9】
前記ヨーク部が、
前記複数の脚部の一端が接合される第1ヨーク部と、
前記複数の脚部の他端が接合される第2ヨーク部と、
前記第1ヨーク部と前記第2ヨーク部とを連結する第3ヨーク部と、
を有し、
前記第1ヨーク部が、前記脚部と同数の第1分割ヨーク部を含み、
前記第2ヨーク部が、前記脚部と同数の第2分割ヨーク部を含み、
前記コイルと、該コイルに通された前記脚部に前記第1分割ヨーク部及び前記第2分割ヨーク部が接合されたコアユニットとによりインダクタユニットが形成され、
複数の前記インダクタユニットが連結された、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のインダクタ。
【請求項10】
前記脚部を形成する材料の透磁率が前記第3ヨーク部を形成する材料の透磁率よりも低い、
請求項8又は請求項9に記載のインダクタ。
【請求項11】
前記第1分割ヨーク部及び前記第2分割ヨーク部が平板状である、
請求項8から請求項10のいずれか一項に記載のインダクタ。
【請求項12】
前記第1分割ヨーク部及び前記第2分割ヨーク部が、前記コイルの軸方向に見て矩形状である、
請求項9に記載のインダクタ。
【請求項13】
前記第1分割ヨーク部及び前記第2分割ヨーク部が、前記コイルの軸方向に見て正六角形状である、
請求項9に記載のインダクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インダクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
様々な電気回路にインダクタが使用されている。例えば複数系統の電気回路が組み込まれたような複雑な電気システムでは、使用されるインダクタの数が多くなる場合がある。インダクタは、電気回路の構成要素の中でも比較的に大型で重量も大きいため、特に複数のインダクタが使用される電気システムにおいて、小型化・軽量化が求められている。
【0003】
特許文献1には、複数のインダクタンス素子のコアを一体化することにより、小型化・軽量化を実現したインダクタが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−299915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されているインダクタは、コイルが巻かれた脚部(ドラムコア)の透磁率がヨーク(シールドコア)の透磁率よりも高いため、インダクタンス素子間で磁気結合が生じ易くなっている。
【0006】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数のインダクタンス素子を有するインダクタにおいて、インダクタンス素子間の磁気結合を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
複数のコイルと、各コイルが発生する磁束の閉磁路を形成するコアと、を備え、コアは、複数のコイルにそれぞれ通された複数の脚部と、各脚部の両端を連結するヨーク部と、を有し、脚部を形成する材料の透磁率がヨーク部を形成する材料の透磁率よりも低い、インダクタ。
【0008】
この構成によれば、脚部を形成する材料の透磁率がヨーク部を形成する材料の透磁率よりも低いため、インダクタンス素子間の磁気結合を生じ難くすることができる。
【0009】
上記のインダクタにおいて、脚部が圧粉磁心を含む構成としてもよい。
【0010】
また、上記のインダクタにおいて、ヨーク部が、圧粉磁心、アモルファスコア、電磁鋼板コア及びナノクリスタルコアのいずれか少なくとも一つを含む構成としてもよい。
【0011】
また、上記のインダクタにおいて、ヨーク部を形成する材料の透磁率が、脚部を形成する材料の透磁率の2倍以上である構成としてもよい。
【0012】
また、上記のインダクタにおいて、ヨーク部を形成する材料の透磁率が、脚部を形成する材料の透磁率の3倍以上である構成としてもよい。
【0013】
また、上記のインダクタにおいて、脚部を形成する材料の比透磁率が30以上かつ40以下であり、ヨーク部を形成する材料の比透磁率が150以上かつ200以下である構成としてもよい。
【0014】
また、上記のインダクタにおいて、脚部がギャップを有する構成としてもよい。
【0015】
この構成によれば、磁気飽和の発生を抑制することができる。
【0016】
上記のインダクタにおいて、ヨーク部が、複数の脚部の一端が接合される第1ヨーク部と、複数の脚部の他端が接合される第2ヨーク部と、第1ヨーク部と第2ヨーク部とを連結する第3ヨーク部と、を有し、第1ヨーク部が、複数の第1分割ヨーク部を含み、第2ヨーク部が、複数の第2分割ヨーク部を含み、コイルと、コイルに通された脚部とによりインダクタユニットが形成され、ヨーク部が複数のインダクタユニットを連結した構成としてもよい。
【0017】
上記のインダクタにおいて、ヨーク部が、複数の脚部の一端が接合される第1ヨーク部と、複数の脚部の他端が接合される第2ヨーク部と、第1ヨーク部と第2ヨーク部とを連結する第3ヨーク部と、を有し、第1ヨーク部が、脚部と同数の第1分割ヨーク部を含み、第2ヨーク部が、脚部と同数の第2分割ヨーク部を含み、コイルと、コイルに通された脚部に第1分割ヨーク部及び第2分割ヨーク部が接合されたコアユニットとによりインダクタユニットが形成され、複数のインダクタユニットが連結された構成としてもよい。
【0018】
この構成によれば、インダクタをユニット構造にすることにより、多品種で部材の共通化が可能になり、特に多品種少量生産において、材料コストの低減が容易になる。また、インダクタの組み立て工程の共通化も可能になり、加工コストの低減も可能になる。また、第3ヨーク部が複数のインダクタ素子(コアユニット)によって共有されるため、単一コイルのインダクタを複数使用する場合よりも、小形化、軽量化並びに材料コスト及び加工コストの低減(例えば、重量の30%低減や材料及び加工コストの30%低減)が可能になる。
【0019】
また、上記のインダクタにおいて、脚部を形成する材料の透磁率が第3ヨーク部を形成する材料の透磁率よりも低い構成としてもよい。
【0020】
また、上記のインダクタにおいて、第1分割ヨーク部及び第2分割ヨーク部が平板状である構成としてもよい。
【0021】
また、上記のインダクタにおいて、第1分割ヨーク部及び第2分割ヨーク部が、コイルの軸方向に見て正方形状又は正六角形状である構成としてもよい。
【0022】
この構成によれば、インダクタユニットの充填率を高めることが可能になり、小型化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態に係るリアクトルの正面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るリアクトルの平面図である。
図3】本発明の第1実施形態のリアクトルユニットの正面図である。
図4図3のA−A断面図である。
図5】本発明の第1実施形態のコアユニットの正面図である。
図6】コアユニットの一変形例の正面図である。
図7】本発明の第2実施形態に係るリアクトルの正面図である。
図8】本発明の第2実施形態に係るリアクトルの平面図である。
図9】本発明の第2実施形態に係るリアクトルの直流重畳特性を表すグラフである。
図10】本発明の第3実施形態に係るリアクトルの正面図である。
図11】本発明の第3実施形態に係るリアクトルの平面図である。
図12】本発明の第4実施形態に係るリアクトルの正面図である。
図13】本発明の第4実施形態に係るリアクトルの平面図である。
図14】本発明の第5実施形態に係るリアクトルの正面図である。
図15】本発明の第5実施形態に係るリアクトルの平面図である。
図16】本発明の第6実施形態に係るリアクトルの正面図である。
図17】本発明の第6実施形態に係るリアクトルの平面図である。
図18】本発明の第7実施形態に係るリアクトルの正面図(縦断面図)である。
図19】本発明の第7実施形態に係るリアクトルの平面図である。
図20】本発明の第8実施形態に係るリアクトルの平面図(横断面図)である。
図21】本発明の第9実施形態に係るリアクトルの平面図(横断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、共通の又は対応する要素については、同一又は類似の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0025】
<第1実施形態>
図1及び図2は、それぞれ本発明の第1実施形態に係るリアクトル100の正面図及び平面図である。リアクトル100は、2つのリアクトル素子(インダクタンス素子)が組み込まれた複式のリアクトル(インダクタ)である。リアクトル100は、2つのリアクトルユニット10(インダクタユニット)と2つの第3ヨーク部56、58を備えている。
【0026】
図3及び図4は、それぞれリアクトルユニット10の正面図及び横断面図(図3のA−A断面図)である。リアクトルユニット10は、コイル20と磁性部材であるコアユニット30を備えている。
【0027】
コイル20は、絶縁平角線を幅方向に曲げることによって形成された所謂エッジワイズコイルであり、略円筒状に螺旋状に巻かれた巻線部22と、巻線部22の両端から直線状に伸びた終端部(端子)24、26を有している。コイル20は、終端部24、26において、外部導体又は他のリアクトルユニット10のコイル20と接続される。
【0028】
図5は、コアユニット30の正面図である。コアユニット30は、コイル20が巻かれる円柱状の脚部40と、それぞれ正方形平板状の第1分割ヨーク部52a及び第2分割ヨーク部54aを備えている。第1分割ヨーク部52a及び第2分割ヨーク部54aは、脚部40の両端にそれぞれ接着等により接合されている。
【0029】
第1分割ヨーク部52a及び第2分割ヨーク部54aは、例えばダストコア(圧粉磁心)、アモルファスコア、電磁鋼板(ケイ素鋼板)コア、ナノクリスタルコア、ソフトフェライトコア、パーマロイコア、鉄心等であり、比較的に透磁率の高い磁性材料から形成されている。
【0030】
脚部40は、表面が絶縁層で覆われた軟質磁性材料粉末を加圧成形することにより作製されたダストコア(例えばFe−Si系圧粉磁心)であり、各分割ヨーク部52a、54aよりも透磁率が低い磁性材料から形成されている。脚部40の透磁率は、加圧成形の圧力により調整される。また、磁性材料の種類や組成により脚部40の透磁率を調整することもできる。
【0031】
2つのリアクトルユニット10は、コイル20の中心軸Axと垂直な方向(図1における左右方向)に並べられ、第1分割ヨーク部52aの端面同士及び第2分割ヨーク部54aの端面同士が接着等により接合されている。これにより、2つの第1分割ヨーク部52aが連結して1枚の平板状の第1ヨーク部52が形成され、2つの第2分割ヨーク部54aが連結して1枚の平板状の第2ヨーク部54が形成される。なお、第1ヨーク部52及び第2ヨーク部54は、リアクトル100を複数の同一のリアクトルユニット10から構成されるユニット構造とするために、それぞれ複数の分割ヨーク部52a、54aに等分割されている。
【0032】
また、一方(図1における右側)のリアクトルユニット10の第1分割ヨーク部52aと第2分割ヨーク部54aとが、第3ヨーク部56によって連結されている。具体的には、第1分割ヨーク部52aの端面に第3ヨーク部56の一面の下端部が、第2分割ヨーク部54aの端面に第3ヨーク部56の一面の上端部が、それぞれ接着等により接合されている。同様に、他方(図1における左側)のリアクトルユニット10の第1分割ヨーク部52aと第2分割ヨーク部54aとが、第3ヨーク部58によって連結されている。これにより、第1ヨーク部52、第2ヨーク部54及び第3ヨーク部56、58が連結し、環状のヨーク50が形成されている。また、2つの脚部40とヨーク50とにより、リアクトル100のコアが形成されている。
【0033】
第3ヨーク部56、58には、脚部40よりも高い透磁率を有する磁性材料(例えば、ダストコア、アモルファスコア、ケイ素鋼板、ナノクリスタルコア、フェライトコア等)が使用される。また、本実施形態では、第3ヨーク部56、58が、第1ヨーク部52及び第2ヨーク部54と同じ磁性材料から形成されているが、第1ヨーク部52及び第2ヨーク部54と異なる磁性材料により形成してもよい。
【0034】
本実施形態のリアクトル100は、これに内在する2つのリアクトル素子が第3ヨーク部56、58を共有する構成であるため、単一のリアクトル素子を有するリアクトルを2台使用した場合よりも必要な部材(第3ヨーク部56、58)の数が少ない。その結果、より小型、より軽量、且つ、より少ない工数で組み立て可能なリアクトルが実現する。
【0035】
また、本実施形態の構成によれば、各リアクトルユニット10の脚部40よりも第3ヨーク部56、58の方が透磁率が高いため、脚部40を通る磁気回路よりも第3ヨーク部56、58を通る磁気回路の方が磁気抵抗が低くなっている。そのため、一方のリアクトルユニット10のコイル20によって発生した磁束は、他方のリアクトルユニット10の脚部40ではなく、第3ヨーク部56、58を通る。その結果、各リアクトルユニット10のコイル20が発生する磁束が互いに影響を与え難くなっている。すなわち、リアクトル100に内在する2つのリアクトル素子間で磁気結合が生じ難くなっている。
【0036】
また、本実施形態の構成によれば、第3ヨーク部56、58が複数のインダクタ素子(コアユニット10)によって共有されるため、単一素子のインダクタを複数使用する場合よりも、小形化、軽量化並びに材料コスト及び加工コストの低減(例えば、重量の30%低減や材料及び加工コストの30%低減)が可能になる。
【0037】
第3ヨーク部56、58の材料の透磁率を脚部40の材料の透磁率の2倍乃至は3倍以上にすると、リアクトル素子間の磁気結合を抑制する十分な効果が得られる。例えば、脚部40の材料の比透磁率を30−40程度とし、第3ヨーク部56、58の材料の比透磁率を150−200程度にした場合に、リアクトル素子間の磁気結合を良好に抑制することができる。
【0038】
本実施形態のリアクトル100は、例えば2相インターリーブ制御方式のスイッチング・レギュレータ用リアクトルとして使用することができる。
【0039】
<リアクトルユニットの変形例>
図6は、コアユニットの一変形例30Aの正面図である。上述した第1実施形態のコアユニット30にはギャップ(エアギャップ又はギャップ部材)が設けられていないが、本変形例のコアユニット30Aには、3箇所のギャップが設けられている。
【0040】
コアユニット30Aは、第1実施形態における脚部40の替わりに、2つの分割脚部42a、42bと3つのギャップ部材44a、44b、44cを有する脚部40Aを備えている点で、第1実施形態のコアユニット30と相違する。第1分割ヨーク部52a、ギャップ部材44a、分割脚部42a、ギャップ部材44b、分割脚部42b、ギャップ部材44c及び第2分割ヨーク部54aが、この順にコイル20の中心軸Ax方向に積み重ねられ、接着等により接合されている。
【0041】
分割脚部42a、42bは、第1実施形態の脚部40を約半分の長さにしたものであり、分割ヨーク部52a、54aよりも透磁率が低いダストコアである。なお、分割脚部42aと分割脚部42bの長さは互いに異なっていてもよい。また、分割脚部42aと分割脚部42bの組成や透磁率は異なっていてもよい。
【0042】
ギャップ部材44a、44b、44cは、分割脚部42a、42bよりも更に透磁率が低い材料(例えば、アルミナ等のセラミックスや各種合成樹脂等の非磁性体)から形成された板状部材である。なお、ギャップ部材44a、44b、44cを接着剤により形成してもよい。この場合、ギャップ部材44a、44b、44cと各磁性部材(分割脚部42a、42b及び各分割ヨーク部52a、54a)とを更に接着等により接合する必要が無い。
【0043】
本変形例の構成によれば、脚部40Aに各磁性部材よりも透磁率が格段に低い(すなわち、磁気抵抗が格段に大きい)ギャップを設けることにより、磁気飽和が生じ難くなっている。
【0044】
なお、本変形例では脚部40Aに3つのギャップが設けられているが、1つ(例えば、ギャップ部材44a、44b、44cのいずれか一つ)、2つ(例えば、ギャップ部材44a及び44c)又は4つ以上のギャップを脚部に設けてもよい。また、ギャップ部材に替えてエアギャップを設けてもよい。
【0045】
なお、本変形例は、第1実施形態に限らず、後述する第2−第7実施形態を含む他の実施形態にも適用することができる。
【0046】
<第2実施形態>
図7及び図8は、それぞれ本発明の第2実施形態に係るリアクトル200の正面図及び平面図である。リアクトル200は、3つのリアクトル素子が組み込まれた複式のリアクトルであり、3つのリアクトルユニット10(リアクトルユニット10R、10S、10T)と2つの第3ヨーク部56、58を備えている。
【0047】
3つのリアクトルユニット10R、10S、10Tは、コイル20の中心軸Axと垂直な方向(図7における左右方向)に一列に並べられ、隣り合う第1分割ヨーク部52aの端面同士と、隣り合う第2分割ヨーク部54aの端面同士とが、それぞれ接着等により接合されている。また、一端(図7における右端)のリアクトルユニット10Tの第1分割ヨーク部52aと第2分割ヨーク部54aとが第3ヨーク部56によって連結されていて、他端(図7における左端)のリアクトルユニット10Rの第1分割ヨーク部52aと第2分割ヨーク部54aとが第3ヨーク部58によって連結されている。
【0048】
図9は、リアクトル200の直流重畳特性を表すグラフである。横軸は直流バイアス電流値(単位:A)を示し、縦軸はインダクタンス値(単位:μH)を示す。図9における実線R、短破線S及び長破線Tは、それぞれ図7における左側、中央及び右側のリアクトルユニット10R、10S及び10Tの測定結果である。なお、実線R、短破線S及び長破線Tのインダクタンスは、他の(すなわち、非測定対象の)2つのリアクトルユニット10のコイル20を開放した状態で各リアクトルユニット10について測定したものであり、以下「開放インダクタンスLopen」という。また、図9における点線「R(S,T短絡)」は、非測定対象のリアクトルユニット10S及び10Tの端子24と端子26とを短絡させた状態で測定したリアクトルユニット10Rの測定結果であり、以下「短絡インダクタンスLsc」という。なお、図9に示される直流重畳特性は、LCRメータ及び直流バイアス電流重畳回路を使用して測定された。
【0049】
開放インダクタンスLopen図9における実線R、短破線S及び長破線T)は、測定時にリアクトルユニット10間の相互誘導が生じないため、実質的に各アクトルユニット10R、10S、10Tの自己インダクタンスL、L、Lとなる。また、リアクトルユニット10Rの短絡インダクタンスLscは、次の数式(1)によって表される。
【0050】
(1)
ここで、
sc : リアクトルユニット10Rの短絡インダクタンス
RS : リアクトルユニット10Rと10Sとの結合係数
RT : リアクトルユニット10Rと10Tとの結合係数
: リアクトルユニット10Rの自己インダクタンス
open: リアクトルユニット10Rの開放インダクタンス
【0051】
上記の数式(1)を変形すると、結合係数kRSとkRTの二乗平均平方根を表す数式(2)が得られる。
(2)
【0052】
計算の便宜上、各リアクトルユニット10間の結合係数が等しい(kRS=kRT)と仮定すると、結合係数kRS、kRTを表す次の数式(3)が得られる。
(3)
【0053】
図9のグラフより、短絡インダクタンスLscと開放Lopenとの比Lsc/Lopenが約0.9であるため、結合係数kRS、kRTは約0.05となり、リアクトルユニット10間の磁気結合が非常に小さくなっていることが分かる。
【0054】
本実施形態のリアクトル200は、例えば、3相交流用リアクトル、3相インターリーブ制御方式のスイッチング・レギュレータ用リアクトル、或いは、太陽光発電システム等に使用される3入力回路のマルチストリング方式のパワーコンディショナー用の直流リアクトルとして使用することができる。
【0055】
<第3実施形態>
図10及び図11は、それぞれ本発明の第3実施形態に係るリアクトル300の正面図及び平面図である。リアクトル300は、4つのリアクトル素子が組み込まれた複式のリアクトルであり、4つのリアクトルユニット10と2つの第3ヨーク部56、58を備えている。本実施形態のリアクトル400は、連結されたリアクトルユニット10の数のみが第2実施形態のリアクトル200と相違する。
【0056】
本実施形態のリアクトル300は、例えば太陽光発電システム等に使用される4入力回路のマルチストリング方式のパワーコンディショナーの直流リアクトルとして使用することができる。
【0057】
<第4実施形態>
図12及び図13は、それぞれ本発明の第4実施形態に係るリアクトル400の正面図及び平面図である。リアクトル400は、5つのリアクトル素子が組み込まれた複式のリアクトルであり、5つのリアクトルユニット10と2つの第3ヨーク部56、58を備えている。本実施形態のリアクトル400は、連結されたリアクトルユニット10の数のみが第2実施形態のリアクトル200及び第3実施形態のリアクトル300と相違する。
【0058】
本実施形態のリアクトル400は、例えば太陽光発電システム等に使用される5入力回路のマルチストリング方式のパワーコンディショナーの直流リアクトルとして使用することができる。
【0059】
<第5実施形態>
図14及び図15は、それぞれ本発明の第5実施形態に係るリアクトル500の正面図及び平面図である。リアクトル500は、上述した第3実施形態のリアクトル300と同様に、4つのリアクトル素子が組み込まれた複式のリアクトルである。リアクトル500は、4つのリアクトルユニット10と2つの第3ヨーク部556、558を備えている。
【0060】
4つのリアクトルユニット10は、コイル20の中心軸Axと垂直な方向に格子状に2列に並べられ、隣り合う第1分割ヨーク部52aの端面同士と、隣り合う第2分割ヨーク部54aの端面同士とが、それぞれ接着等により接合されている。また、一端(図14における右端)の2つのリアクトルユニット10の第1分割ヨーク部52aと第2分割ヨーク部54aとが第3ヨーク部556によって連結されていて、他端(図14における左端)の2つのリアクトルユニット10の第1ヨーク部52と第2ヨーク部54とが第3ヨーク部558によって連結されている。
【0061】
本実施形態のリアクトル500は、第3実施形態のリアクトル300(図10−11)よりも、第1分割ヨーク部52aと第2分割ヨーク部54aの接合面が多く、接合面積が大きい。そのため、例えば接着等により各ヨーク部を接合する場合には、第3実施形態よりも機械的強度の高いヨーク550が得られる。他方、第3実施形態のリアクトル300は、第3ヨーク部56、58の奥行(図11における上下方向の長さ)が本実施形態の第3ヨーク部556、558(図15)よりも短いため、本実施形態のリアクトル500よりも軽量化に有利である。
【0062】
<第6実施形態>
図16及び図17は、それぞれ本発明の第6実施形態に係るリアクトル600の正面図及び平面図である。リアクトル600は、3つのリアクトル素子が組み込まれた複式のリアクトルである。本実施形態においては、コイル20と脚部40によりリアクトルユニット610(リアクトル・サブユニット)が形成されている。なお、本実施形態のリアクトルユニット610のように、ヨーク部を含まないリアクトルユニットのことを、本明細書では特に「リアクトル・サブユニット」という。リアクトル600は、3つのリアクトルユニット610と、一対の矩形平板状の第1分割ヨーク部652aと、一対の第2分割ヨーク部654aと、矩形平板状の第3ヨーク部56及び58を備えている。なお、本実施形態の第1分割ヨーク部652a、第2分割ヨーク部654a並びに第3ヨーク部56及び58は同一部材であるが、これらの部材は互いに大きさや材質等が異なる別部材としてもよい。
【0063】
一対の第1分割ヨーク部652aの端面同士が接着等により接合されて、矩形平板状の第1ヨーク部652が形成されている。また、一対の第2分割ヨーク部654aの端面同士が接着等により接合されて、矩形平板状の第2ヨーク部654が形成されている。
【0064】
3つのリアクトルユニット610は、コイル20の中心軸Axと垂直な方向(図16における左右方向)に等間隔に並べられ、脚部40の一端が第1ヨーク部652に、他端が第2ヨーク部654に、それぞれ接着等により接合されている。
【0065】
第1ヨーク部652及び第2ヨーク部654の一端は、一方の第3ヨーク部56の一面の下端部及び上端部に、それぞれ接着等により接合されている。また、第1ヨーク部652及び第2ヨーク部654の他端は、他方の第3ヨーク部58の一面の下端部及び上端部に、それぞれ接着等により接合されている。これにより、第1ヨーク部652、第2ヨーク部654並びに一対の第3ヨーク部56及び58が環状に連結して、ヨーク650が形成されている。
【0066】
上述した第1−5実施形態では、第1ヨーク部及び第2ヨーク部が、それぞれリアクトル素子数で等分割されて、各リアクトルユニット10に割り付けられている。それにより、ヨーク部の一部も含めたユニット化が行われている。これに対して、本実施形態では、ヨーク部まで含めたユニット化は行われず、第1ヨーク部652及び第2ヨーク部654がリアクトル素子数よりも少ない2つに等分割されている。この構成により、第1分割ヨーク部652a、第2分割ヨーク部654a並びに第3ヨーク部56及び58を同一部材とすることにより、材料コストの低減が可能になっている。
【0067】
また、本実施形態では、第1ヨーク部652及び第2ヨーク部654が、リアクトルユニット10の配置間隔の3/2の長さの第1分割ヨーク部652a及び第2分割ヨーク部654aにそれぞれ切り分けられている。このように、第1分割ヨーク部652a又は第2ヨーク部654aをリアクトルユニット10の配置間隔の1/2の整数倍(又は、単に配置間隔の整数倍)の長さに合わせることにより、少ない種類の部材(分割ヨーク部)から、リアクトルユニット10の配列数が異なる複数の仕様のリアクトルを組み立てることが可能になる。また、第1分割ヨーク部652a又は第2分割ヨーク部654aの長さをリアクトルユニット10の配置間隔よりも長く(例えば、配置間隔の1.5倍、2倍、2.5倍の長さに)することにより、分割ヨーク部652a、654a同士の接合を減らすことができ、リアクトルの組み立て効率の向上が可能になる。
【0068】
<第7実施形態>
図18及び図19は、それぞれ本発明の第7実施形態に係るリアクトル700の正面図(縦断面図)及び平面図である。リアクトル700は、2つのリアクトル素子が組み込まれた複式のリアクトルである。リアクトル700は、2つのリアクトルユニット10と一対の第3ヨーク部756及び758を備えている。各リアクトルユニット10の第1分割ヨーク部52aが端面同士で接合されて第1ヨーク部752が形成され、第2分割ヨーク部54aが端面同士で接合されて第2ヨーク部754が形成されている。
【0069】
本実施形態のリアクトル700は、第3ヨーク部756及び758の大きさ及び配置が第1実施形態のリアクトル100(図1−2)と相違する。第1実施形態のリアクトル100では、リアクトルユニット10が並べられる方向(図1における左右方向)の両端に第3ヨーク部56及び58がそれぞれ取り付けられている。他方、本実施形態のリアクトル700では、リアクトルユニット10の配列方向及び中心軸Axと垂直な方向(図18における上下方向)の両端に第3ヨーク部756及び758がそれぞれ取り付けられている。一対の第1分割ヨーク部52aと、一対の第2分割ヨーク部54aと、一対の第3ヨーク部756及び758が連結して、環状のヨーク750が形成されている。
【0070】
第1実施形態の第3ヨーク部56及び58は、それぞれ一つのリアクトルユニット10のみに取り付けられているため、2つのリアクトルユニット10を連結する機能は有していない。第1実施形態では、2つのリアクトルユニット10が、第1分割ヨーク部52aの端面同士と第2分割ヨーク部54aの端面同士の2面のみで接合されているため、2つのリアクトルユニット10を連結する強度は比較的に小さい。
【0071】
他方、本実施形態の第3ヨーク部756及び758は、それぞれ、2つのリアクトルユニット10の第1分割ヨーク部52a及び第2分割ヨーク部54aに接合されているため、2つのリアクトルユニット10を連結する機能を有している。本実施形態では、2つのリアクトルユニット10が、第1分割ヨーク部52aの端面同士と第2分割ヨーク部54aの端面同士の2面に加えて、各リアクトルユニット10の第1分割ヨーク部52aと第3ヨーク部756、第1分割ヨーク部52aと第3ヨーク部758、第2分割ヨーク部54と第3ヨーク部756及び第2分割ヨーク部54と第3ヨーク部758の合計10面で接合されているため、第1実施形態のリアクトル100よりも格段に強度の高いヨーク750が形成されている。
【0072】
<第8実施形態>
図20は、本発明の第6実施形態に係るリアクトル800の平面図(横断面図)である。リアクトル800は、3つのリアクトル素子が組み込まれた複式のリアクトルである。
【0073】
リアクトル800は、3組のコイル20及び脚部40と、1対の正三角形平板状のヨーク部(第1ヨーク部852、第2ヨーク部854)と、3つの矩形平板状の第3ヨーク部856、857、858を備えている。
【0074】
第1ヨーク部852と第2ヨーク部854は、上下に間隔を空けて互いに平行に配置され、3つの第3ヨーク部856、857、858によって連結されている。第1ヨーク部852、第2ヨーク部854及び3つの第3ヨーク部856、857、858により、ヨーク850が形成されている。
【0075】
各脚部40は、第1ヨーク部852の上面に直立し、第1ヨーク部852と第2ヨーク部854の間に挟み込まれている。そして、各脚部40は、下端が第1ヨーク部852に、上端が第2ヨーク部854に、それぞれ接着等により接合されている。また、各脚部40の中心軸Axは、正三角形状の第1ヨーク部852の重心Gから各頂点Vの方向に等距離移動した位置に配置されている。すなわち、3つの脚部40は、各中心軸Axが第1ヨーク部852と同心の正三角形Tの各頂点を通るように配置されている。
【0076】
また、第1ヨーク部852及び第2ヨーク部854の3つの角部を、例えば図20において点線で示すようにコイル20の外周に沿って円弧状に、切り落としても良い。これにより更に軽量化が可能になる。
【0077】
上述した第1−第5及び第7実施形態は、第1ヨーク部52及び第2ヨーク部54を含めてリアクトルユニット10を基本単位として構成する(すなわち、ユニット化する)ために、第1ヨーク部と第2ヨーク部がリアクトル素子数で等分割され、各リアクトルユニット10に割り付けられている。これに対して、第8実施形態のリアクトル800は、第1ヨーク部852及び第2ヨーク部854を含めたユニット化は採用されていないため、第1ヨーク部852と第2ヨーク部854はそれぞれ最初から分割されず一体に形成されている。そのため、複数の分割ヨーク部を接合して一体化する工程が不要になり、より少ない工数でリアクトル800を組み立てることが可能になる。
【0078】
他方、第8実施形態のように第1ヨーク部及び第2ヨーク部を含めたユニット化が採用されない構成では、リアクトル素子(コイル)の数や配置に応じて第1ヨーク部と第2ヨーク部を個別に設計して製作する必要があるため、例えば多品種少量生産等の場合には材料費が高くなるという短所がある。これに対して、第1−第5及び第7実施形態のように第1ヨーク部及び第2ヨーク部を含めてユニット化した構成では、部材(第1分割ヨーク部52aと第2分割ヨーク部54a)が共通化されるため、多品種小量生産等の場合でも材料費を低く抑えることができる。また、組立工程も共通化されるため、リアクトルを効率的に組み立てることが可能になる。また、大量生産の場合でも材料費の低減や組み立て効率の向上が容易になる。
【0079】
<第9実施形態>
図21は、本発明の第9実施形態に係るリアクトル900の平面図(横断面図)である。リアクトル900は、3つのリアクトル素子が組み込まれた複式のリアクトルである。リアクトル900は、3つのリアクトルユニット910と3つの第3ヨーク部956、957、958を備えている。
【0080】
本実施形態のリアクトルユニット910は、第1分割ヨーク部952aと第2分割ヨーク部854aの形状が、正方形平板状ではなく、正六角形平板状である点で、第1−第5及び第7実施形態のリアクトルユニット10と相違する。第1分割ヨーク部952aと第2分割ヨーク部954aを正六角形平板状とすることにより、平面図(図21)において正三角形Tを形成するように3つのリアクトルユニット910を配列することが可能になる。そのため、リアクトルユニット910(円柱状のコイル20)の二次元最密充填が可能になる。これにより、リアクトルの更なる小型化が可能になる。
【0081】
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。本発明の実施の形態は、上記に説明したものに限定されず、特許請求の範囲の記載により表現された技術的思想の範囲内で任意に変更することができる。
【0082】
上記の各実施形態では、コアの脚部40、40Aにダストコアが使用されているが、アモルファスコア、電磁鋼板コア、ナノクリスタルコア、ソフトフェライトコア、パーマロイコア、鉄心等の他の種類のコアを使用してもよい。また、複数種類のコア部材を組み合わせてコアの各部(脚部及び各ヨーク部)を構成してもよい。
【0083】
上記の各実施形態では、コアの脚部40、40Aが円柱状に形成されているが、その他の形状(例えば四角柱状や六角柱状)に形成してもよい。
【0084】
上記の各実施形態では、第1ヨーク部と第2ヨーク部とが、2つ又は3つの第3ヨーク部によって連結されているが、1つ又は4つ以上の第3ヨーク部によって第1ヨーク部と第2ヨーク部を連結する構成としてもよい。
【0085】
上記の実施形態では、コイルの導体に平角線が使用されているが、その他の形状の導体(例えば丸線)を使用してもよい。
【0086】
上記の実施形態では、コイルの巻き方にエッジワイズ巻きが採用されているが、その他の巻き方を採用してもよい。
【0087】
上記の実施形態では、コイルに円筒状のコイルが使用されているが、他の種類のコイル(例えば角筒状に螺旋状に巻かれた角コイル)を使用してもよい。なお、コイルの横断面形状は、コアの脚部の横断面形状に応じた形状(例えば相似形)とすることが好ましい。
【0088】
上記の実施形態は、本発明を高周波リアクトルに適用した例であるが、本発明はリアクトルに限らず、チョークコイル、デジタルアンプ用コイル、バルン・コイル、アンテナコイル等の各種インダクタに適用することができる。また、本発明は、複数系統のトランスを一体化させた複式のトランスにも適用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21