特開2018-75978(P2018-75978A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-75978(P2018-75978A)
(43)【公開日】2018年5月17日
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 13/00 20060101AFI20180417BHJP
   B60C 11/01 20060101ALI20180417BHJP
   B60C 13/02 20060101ALI20180417BHJP
【FI】
   B60C13/00 D
   B60C11/01 A
   B60C13/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-219107(P2016-219107)
(22)【出願日】2016年11月9日
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】東洋ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 剛史
(57)【要約】
【課題】トラクション性能を向上させつつ、チェーンを装着した際のサイド部での損傷を防止する。
【解決手段】トレッド部1と、トレッド部1からタイヤ幅方向側に連なるサイド部2とを備える。サイド部2に、タイヤ周方向に延びる突条9と、タイヤ周方向に所定間隔で配置され、タイヤ外径側から突条9に向かって徐々に幅寸法が狭くなる複数の突起10とを形成する。突起10は、突条9が位置する領域内に配置される先端部10eを有する。突起10と突条9との間には細溝19を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド部と、トレッド部からタイヤ幅方向側に連なるサイド部とを備え、
前記サイド部に、
タイヤ周方向に延びる突条と、
タイヤ周方向に所定間隔で配置され、タイヤ外径側から前記突条に向かって徐々に幅寸法が狭くなる複数の突起と、
を形成し、
前記突起は、前記突条が位置する領域内に配置される先端部を有し、
前記突起と前記突条との間に溝を有することを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記突起は、前記突条に比べてサイド部の表面からの高さ寸法が大きいことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記突起は、タイヤ径方向に対して傾斜させて設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記突起は、タイヤ径方向に対して同一方向に傾斜していることを特徴とする請求項3に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記トレッド部に形成されたラグ溝に対する前記突起のタイヤ周方向の位置を合致させたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記タイヤ周方向に配置される突起の間に補強突部を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】
前記突起は、先端部の位置がタイヤ径方向にずれていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項8】
前記突起は、先端から広がる2つの傾斜辺がタイヤ径方向に対して同一方向に傾斜していることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項9】
前記突起は、先端から広がる2つの傾斜辺がタイヤ径方向に対して異なる方向に傾斜していることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項10】
前記突条は、タイヤ最大幅位置を中心としてタイヤ最大高さの±40%の範囲に形成したことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項11】
前記突条は、タイヤ周方向に分離された複数個で構成されていることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項12】
前記突条は、タイヤ径方向に分割され、タイヤ外径側に位置する第1突条と、タイヤ内径側に位置する第2突条とからなり、
前記突起の先端部は前記第1突条に重なっていることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空気入りタイヤとして、次のようなものが公知である。
特許文献1には、サイドウォール部まで延びる延長ブロックをタイヤ周方向に間隔を空けて形成した構成が開示されている。
特許文献2には、サイドウォール部の外面に、タイヤ軸方向外側に隆起するとともにタイヤ放射方向に対して傾斜する複数本のプロテクタリブをタイヤ周方向に間隔を空けて形成した構成が開示されている。
特許文献3には、サイドウォール部に、タイヤ最大断面幅位置よりも径方向外方側の外表面において、タイヤ周方向の全周にわたって延びる環状領域を有し、この環状領域に複数の突起が周方向に並べて設けられた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3391692号公報
【特許文献2】特許第5066240号公報
【特許文献3】特許第5893370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記いずれの特許文献であっても、チェーンを装着した際のサイド部での損傷を防止する点についての言及はない。
【0005】
本発明は、トラクション性能を向上させつつ、チェーンを装着した場合であってもサイド部の損傷を十分に抑制することができる空気入りタイヤを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、
トレッド部と、トレッド部からタイヤ幅方向側に連なるサイド部とを備え、
前記サイド部に、
タイヤ周方向に延びる突条と、
タイヤ周方向に所定間隔で配置され、タイヤ外径側から前記突条に向かって徐々に幅寸法が狭くなる複数の突起と、
を形成し、
前記突起は、前記突条が位置する領域内に配置される先端部を有し、
前記突起と前記突条との間に溝を有することを特徴とする空気入りタイヤを提供する。
【0007】
この構成により、たとえチェーンを装着したとしても、このチェーンはサイド部では突条に当接し、サイド部の表面を損傷させることがない。また、突条に向かって幅寸法が徐々に狭くなる突起によってトラクション性能を向上させることができる。さらに、溝によって突起を突条が形成される領域内に分離した状態で設けることができる。これにより、トラクション要素を増やしてトラクション性能を向上させると共に、泥濘地を走行した際に付着する泥の排出性を高めることが可能となる。
【0008】
前記突起は、前記突条に比べてサイド部の表面からの高さ寸法が大きいのが好ましい。
【0009】
この構成により、突条に加えて突起により、さらにサイド部の表面の損傷を効果的に防止することができる。また、このように隆起した突起によりトラクション要素を増やしてトラクション性能をさらに向上させることが可能となる。
【0010】
前記突起は、タイヤ径方向に対して傾斜させて設けるのが好ましい。
【0011】
この構成により、タイヤ転動時のトラクション要素を増やして、より一層トラクション性能を高めることができる。
【0012】
前記突起は、タイヤ径方向に対して同一方向に傾斜しているのが好ましい。
【0013】
この構成により、タイヤ転動時のトラクション性能を安定させることができる。
【0014】
前記トレッド部に形成されたラグ溝に対する前記突起のタイヤ周方向の位置を合致させるのが好ましい。
【0015】
この構成により、サイド部の表面を突条のみならず突起によっても保護することができる。これにより、たとえタイヤにチェーンを装着したとしても、サイド部の表面にはチェーンが接触することがない。したがって、サイド部の表面の損傷をより一層効果的に防止することができる。
【0016】
前記タイヤ周方向に配置される突起の間に補強突部を有するのが好ましい。
【0017】
この構成により、サイド部でのタイヤ周方向の剛性を均一化して、接地時の異変形を抑制し、この異変形が原因のクラックの発生を防止できる。
【0018】
前記各突起の先端部の位置をタイヤ径方向にずらせているのが好ましい。
【0019】
この構成により、隣接する突起と段差ができるため、突起によるトラクション性能を発揮させやすくなる。
【0020】
前記突起は、先端部から延びる2つの側辺がタイヤ径方向に対して同一方向に傾斜していてもよい。
【0021】
この構成により、泥濘地走行時に泥が側辺に沿って排出しやすくなる。
【0022】
但し、前記突起は、先端部から延びる2つの側辺がタイヤ径方向に対して異なる方向に傾斜していてもよい。
【0023】
前記突条は、タイヤ最大幅位置を中心としてタイヤ最大高さの±40%の範囲に形成するのが好ましい。
【0024】
この構成により、タイヤに装着したチェーンが最も強く当接する部分を突条によって確実に保護することができる。
【0025】
前記突条は、タイヤ周方向に分離された複数個で構成されていてもよい。
【0026】
前記突条は、タイヤ径方向に分割され、タイヤ外径側に位置する第1突条と、タイヤ内径側に位置する第2突条とからなり、
前記突起の先端部は前記第1突条に重なっていてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、サイド部に突条を形成するようにしたので、タイヤにチェーンを装着した場合であっても、このチェーンが直接サイド部に接触するのを防止し、サイド部の損傷を抑制することができる。また、サイド部に突起を形成するようにしたので、トラクション要素を増やしてトラクション性能を高めることができる。さらに、突起と突条の間に溝を形成するようにしたので、トラクション要素を増やしてトラクション性能を向上させると共に、泥濘地を走行した際に付着する泥の排出性を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本実施形態に係る空気入りタイヤの半断面概略図である。
図2図1に示すタイヤのうち、第1実施形態に係るトレッド部及びサイド部の一部を示す正面展開図である。
図3】第2実施形態に係るトレッド部及びサイド部の一部を示す正面展開図である。
図4】第3実施形態に係るトレッド部及びサイド部の一部を示す正面展開図である。
図5】第4実施形態に係るトレッド部及びサイド部の一部を示す正面展開図である。
図6】第5実施形態に係るトレッド部及びサイド部の一部を示す正面展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「側」、「端」を含む用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。また、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。さらに、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは相違している。
【0030】
(第1実施形態)
図1に示すように、第1実施形態に係る空気入りタイヤは、トレッド部1と、このトレッド部1に対してタイヤ幅方向に連続するサイド部2とを備える。
【0031】
トレッド部1は、正規リムに組み付け、正規内圧を充填した状態での接地領域が該当する。図1は、無付加状態での概略断面図であり、トレッド部1の両側部分(図1では片側のみ図示)が図では下方側に位置している。トレッド部1には、図2にその一部を示すように、タイヤ周(図2では左右)方向に延びる主溝3と、この主溝3に交差する横溝4とによって複数のブロック5が形成されている。図2中、上方側で左右に並んでいるのがメディエイトブロック6であり、下方側で左右に並んでいるのがショルダーブロック7である。左右方向に隣接するショルダーブロック7の間にはラグ溝8が形成されている。そして、タイヤにチェーンを装着する場合、そのチェーンの一部がラグ溝8に位置決めされるようになっている。
【0032】
サイド部2には、タイヤ最大幅となる最大幅位置P1が含まれる。そして、サイド部2には、後述する突条9と突起10とが形成されている。突条9は、タイヤ周方向に環状に連なった部分であり、最大幅位置P1を中心として、上下に基準高さ寸法Hの40%の範囲に形成されている。ここに、基準高さ寸法Hとは、正規内圧での最大幅位置P1からトレッド部1の中心位置P2までのタイヤ径方向の距離を意味する。
【0033】
突条9は、サイド部2の表面から一定高さで突出し、タイヤ周方向につながった環状の領域である。突条9の上縁9aには、タイヤ周方向に所定間隔でV字状の切欠き9bが形成されている。突条9を、最大幅位置P1を中心として、上下に基準高さ寸法Hの40%の範囲に形成することにより、タイヤにチェーンを装着した際、このチェーンの一部がサイド部2の表面に直接接触することを防止する。
【0034】
突起10は、タイヤ周方向の一方に向かって傾斜する矢の根状(矢の根形状ではなく、下端に向かうに従って徐々に幅寸法を小さくする四角形)に形成されている。詳しくは、タイヤ外径側でタイヤ周方向に延びる上辺10aの両端から、徐々にタイヤ内径(下方)側に向かって接近するように両側辺(左辺10b及び右辺10c)が延びている。ここでは、左辺10b及び右辺10cの傾斜方向は、タイヤ径方向に対して右上から左下に向かう同一方向である。そして、両側辺10b,10cの下端同士は、右斜め下方に向かって延びる下辺10dで接続されている。突起10は、サイド部2のうち、突条9が形成されている領域よりもトレッド部側の領域(バットレス部ということもある)から突条9に向かって形成されている。突起10の先端部10eは、突条9の切欠き9bに位置し、突条9との境界部分に細溝19を形成する。この細溝19を形成することで、突起10を突条9から分離することができ、トラクション要素を増やしてトラクション性能を向上させることが可能となる。ここに、トラクション要素とは、タイヤ径方向のエッジ成分を意味する。また、細溝19を設けることで、泥濘地を走行した際に付着する泥の排出性を高めることが期待できる。突起10は、突条9よりもサイド部2の表面からの突出寸法が大きく、この点でもトラクション性能が向上する。すなわち、高くなった突起10は泥濘地等で泥と絡まりやすくなるので、トラクション性能が向上する。また、突起10は、ラグ溝8とは同一タイヤ径方向に配置されている。このため、タイヤにチェーン(図示せず)を装着した状態では、チェーンは突起10に接触し、サイド部2の表面に接触することはない。
【0035】
タイヤ周方向に隣接する各突起10の間には補強突部11が形成されている。補強突部11は台形状で、上辺11a及び下辺11bが突条9の上縁と平行に形成されている。また、補強突部11は、左辺11cが左隣の突起10の右辺10bと平行に形成され、右辺11dが右隣の突起10の左辺10cと平行に形成されている。これにより、突起10と補強突部11との間には一定間隔の溝部12が形成される。また、補強突部11は、突条9とサイド部2の表面からの高さがほぼ同一とされている。突起10の間に補強突部11を設けることにより、突起10を設けることによりサイド部2の剛性がタイヤ周方向に不均一となることを抑制できる。すなわち、突起10が形成されることによって不均一となったタイヤ周方向での剛性を、補強突部11によって是正して接地時の異変形によるクラックの発生を防止することができる。
【0036】
前記構成の空気入りタイヤによれば、次のような効果を奏する。
(1)サイド部2の所定範囲にタイヤ周方向に延びる突条9が形成されているので、タイヤにチェーンを装着した際、突条9によってチェーンがサイド部2に直接接触することが防止される。これにより、サイド部2がチェーンによって損傷しにくくなる。
(2)サイド部2にタイヤ周方向に所定間隔で複数の突起10が形成されているので、サイド部2、特にバットレス部を保護することができる。また突起10により、トラクション要素を増やすことができるので、タイヤのトラクション性能を高めることができる。特に、細溝19を形成することにより、突起10を突条9とは分離して設けたので、トラクション性能を向上させることができる。さらに、突起10の傾斜により泥濘地を走行した場合の泥の排出性能を高めることができる。
(3)突起10の間に補助突部を形成するようにしたので、突起10を形成することによるタイヤ周方向での剛性のばらつきを抑制することができ、突起10を形成しているにも拘わらずタイヤ寿命を延ばすことが可能となる。
【0037】
(第2実施形態)
図3に示すように、第2実施形態では、第1実施形態とは、突起13及び補助突部14の形態が相違するだけであり、他の部分は同一構成であるので、対応する部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0038】
突起13は、サイド部2の表面からの高さは同じであるが、左辺10bの傾斜方向がタイヤ径方向に対して右辺10cとは逆になっている点で相違する。すなわち、左辺10bは、左上から右下に向かって傾斜している。これにより、サイド部2に於ける突起10の占有面積が大きくなる。この結果、タイヤにチェーンを装着させた状態で、チェーンがサイド部2の表面に接触することをより一層確実に防止することができる。
【0039】
補助突部14は、台形状で、左辺14cが左隣の突起10の右辺10bと平行に形成され、右辺14dが右隣の突起10の左辺10cと平行に形成されている。上辺14aと下辺14bはタイヤ周方向に沿って平行である。補強突部14の占有面積は、第1実施形態の補強突部11に比べて小さくなるものの、タイヤ周方向に於ける剛性バランスは均一化でき、接地時の異変形によるクラックの発生を防止することができるようになっている。
【0040】
(第3実施形態)
図4に示すように、第3実施形態では、第1実施形態とは突起15の形態が相違するだけであり、他の部分は同一構成であるので、対応する部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0041】
突起15は、第1突起16、第2突起17及び第3突起18で構成されている。第1突起16、第2突起17及び第3突起18では、上辺16a,17a,18aのタイヤ径方向の位置と、下辺16d,17d,18dのタイヤ径方向に対する傾斜角度とが相違している。
【0042】
第1突起16は、上辺16aの位置が突条9の上縁9aから最も離れている。また、第1突起16は、タイヤ径方向に対する下辺16dの傾斜角度が最も大きくなっている。このため、第1突起16の下端位置が最も突条9の上縁9aに近く、突条9に食い込む先端部16eの面積が最も小さくなっている。
【0043】
第3突起18は、上辺18aの位置が突条9の上縁9aに最も近く、補助突部14の上辺14aとはタイヤ径方向の位置が一致している。また、第3突起18は、タイヤ径方向に対する下辺18dの傾斜角度が最も小さくなっている。このため、第3突起18の下端位置が最も突条9の上縁から離れ、突条9に食い込む先端部18eの面積が最も大きくなっている。
【0044】
第2突起17は、突条9の上縁9aに対する上辺17aの位置が第1突起16の上辺16aと第3突起18の上辺18aの間である。また、第2突起17の下辺17dの傾斜角度も、第1突起16の下辺16dと第3突起18の下辺18dの間である。さらに、突条9に食い込む先端部17eの面積も第1突起16の先端部16eと第3突起18の先端部18eの面積の間である。
【0045】
第1突起16の左辺16b、第2突起17の左辺17b及び第3突起18の左辺18bは、第1実施形態の突起10の左辺10bと同一角度で同方向に傾斜している。また、第1突起16の右辺16c、第2突起17の右辺17c及び第3突起18の右辺18cも、第1実施形態の突起10の右辺10cと同一角度で同方向に傾斜している。
【0046】
第1突起16に対してタイヤ周方向の右隣には第2突起17が配置され、この第2突起17の右隣には第3突起18が配置されるようにして、第1突起16、第2突起17及び第3突起18の順で配置されている。
【0047】
このように、突起10を、タイヤ径方向に位置をずらせた3種類で構成するようにしたので、より一層トラクション性能を発揮させることができるという効果が得られる。
【0048】
なお、第3実施形態では、突起15をタイヤ径方向に位置をずらせた3種類で構成するようにしたが、2種類あるいは4種類以上で構成することも可能である。また、下辺16d,17d,18dは傾斜角度を変更するようにしたが、同一形状の突起15を、単にタイヤ径方向に位置をずらせるだけとしてもよい。
【0049】
(第4実施形態)
図5に示すように、第4実施形態では、突条9を、タイヤ周方向に連続する1本の突出部分で構成するのではなく、タイヤ周方向に並設される複数の突出部20で構成している。突出部20同士の間隔は狭く形成されており、チェーンが直接サイド部の表面に接触することを防止している。また、1つの突起10に対して1つの突出部20が対応するように設けられている。そして、突条9を複数の突出部20で構成することで、径方向のトラクション性能と泥の排出性能とを向上できるという効果が得られる。なお、1つの突起10に対して1つの突出部20を対応させるように設けたが、2つ以上の突起10に対して1つの突出部20を対応させて設けるようにしてもよい。
【0050】
(第5実施形態)
図6に示すように、第5実施形態では、突条9を、タイヤ周方向に連続する1本で構成するのではなく、第1突条21と第2突条22の2本で構成している。
【0051】
第1突条21は第2突条22のタイヤ径方向の内径側に設けられ、第1突条21と第2突条22との間にはタイヤ周方向に延びる細溝23が形成されている。第2突条22には突起10の先端部10eが位置している。但し、第2突条22の幅寸法を十分に確保できないため、突起10の先端側で第2突条22が切断され、タイヤ周方向に分離されている。
【0052】
このように、突条9を、突起10の先端部が重なる第2突条22と、これとは完全に分離した第1突条21とで構成するようにしたので、突起10と重なる第2突条22の剛性を抑制して、トレッド部1が接地する際のサイド部2の変形を容易にすることができる。これにより、乗り心地性を確保しつつ、トランザクション性能を高めることができる。また、第1突条21によりサイド部2を補強し、第2突条22と共にチェーンがサイド部2の表面に直接接触することを防止することができる。
【符号の説明】
【0053】
1…トレッド部
2…サイド部
3…主溝
4…横溝
5…ブロック
6…メディエイトブロック
7…ショルダーブロック
8…ラグ溝
9…突条
10…突起
11…補強突部
12…溝部
13…突起
14…補助突部
15…突起
16…第1突起
17…第2突起
18…第3突起
19…細溝
20…突出部
21…第1突条
22…第2突条
23…細溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6