(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-78710(P2018-78710A)
(43)【公開日】2018年5月17日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H02H 3/093 20060101AFI20180417BHJP
H02M 3/155 20060101ALI20180417BHJP
H03K 17/08 20060101ALI20180417BHJP
【FI】
H02H3/093 D
H02M3/155 C
H03K17/08 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-218854(P2016-218854)
(22)【出願日】2016年11月9日
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前島 聡
(72)【発明者】
【氏名】萩野 淳一
【テーマコード(参考)】
5G004
5H730
5J055
【Fターム(参考)】
5G004AA04
5G004AB02
5G004BA01
5G004DC01
5G004DC14
5G004EA01
5G004FA01
5H730AA17
5H730AA20
5H730AS05
5H730BB13
5H730BB57
5H730DD04
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5H730EE13
5H730FD01
5H730FG05
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5H730XX04
5H730XX15
5H730XX26
5H730XX33
5H730XX44
5H730XX45
5J055AX32
5J055AX64
5J055BX16
5J055DX12
5J055DX13
5J055DX14
5J055EX23
5J055EZ25
5J055EZ34
5J055FX17
5J055GX01
5J055GX02
5J055GX04
(57)【要約】
【課題】外部端子(=スイッチング駆動端子)の適切な地絡保護を行う。
【解決手段】半導体装置1は、外部端子T1と、外部端子T1に現れる端子電圧OUTをスイッチング駆動するスイッチ出力段10と、入力パルス信号IN(より正確にはマスク処理済みの入力パルス信号INx)に応じてスイッチ出力段10の駆動信号G1及びG2を生成する出力制御部20と、入力パルス信号INのパルス数をカウントしてマスク信号MSKを生成するカウンタ30と、マスク信号MSKに応じて入力パルス信号INをマスクする論理ゲート40と、端子電圧OUTと所定の閾値電圧VTHとを比較してカウンタ30のリセット信号RSTを生成するコンパレータ50と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部端子と、
前記外部端子に現れる端子電圧をスイッチング駆動するスイッチ出力段と、
入力パルス信号に応じて前記スイッチ出力段の駆動信号を生成する出力制御部と、
前記入力パルス信号のパルス数をカウントしてマスク信号を生成するカウンタと、
前記マスク信号に応じて前記入力パルス信号をマスクする論理ゲートと、
前記端子電圧と所定の閾値電圧とを比較して前記カウンタのリセット信号を生成するコンパレータと、
を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記カウンタは、前記入力パルス信号のパルス到来時にカウント値をインクリメントする一方、前記リセット信号のパルス到来時に前記カウント値を0にリセットし、前記カウント値がリセットされることなく第1設定値に達した時点で前記マスク信号をマスク時の第1論理レベルに切り替えることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記カウンタは、前記マスク信号を前記第1論理レベルとした後も前記入力パルス信号のパルス数をカウントし続け、前記カウント値が前記第1設定値よりも大きい第2設定値に達した時点で前記マスク信号をマスク解除時の第2論理レベルに切り替えるとともに前記カウント値を0にリセットすることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1設定値及び前記第2設定値の少なくとも一方は、任意に設定することのできる可変値であることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記カウンタは、
前記入力パルス信号の入力を受け付けており、前記カウント値が前記第1設定値に達したときに論理レベルが切り替わる第1パルス信号を出力する第1カウンタ部と;
前記第1カウンタ部の後段に接続されており、前記カウント値が前記第2設定値に達したときに論理レベルが切り替わる第2パルス信号を出力する第2カウンタ部と;
前記第1パルス信号の入力を受け付けており、前記第1パルス信号の論理レベルが切り替わったときに第3パルス信号を所定の論理レベルに固定するDフリップフロップと;
を含み、
前記第1カウンタ部は、前記リセット信号と前記第2パルス信号によりリセットされ、
前記第2カウンタ部は、前記第3パルス信号によりリセットされ、
前記Dフリップフロップは、前記第2パルス信号によりリセットされ、
前記第3パルス信号またはその論理反転信号が前記マスク信号として出力される、
ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記スイッチ出力段は、
電源端と前記外部端子との間に接続された上側スイッチと、
前記外部端子と接地端との間に接続された下側スイッチと、
を含むことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記出力制御部は、前記入力パルス信号がマスクされている間、前記上側スイッチをオフして前記下側スイッチをオンするように前記駆動信号を生成することを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記上側スイッチは、PMOSFETであり、
前記下側スイッチは、NMOSFETである、
ことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
出力電圧またはこれに応じた帰還電圧が所定の目標値と一致するように前記入力パルス信号を生成する出力帰還部をさらに有することを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
請求項9に記載の半導体装置と、
前記半導体装置の外部端子に現れる端子電圧を平滑して出力電圧を生成する平滑部と、
前記出力電圧を分圧して帰還電圧を生成する分圧部と、
を有することを特徴とするスイッチング電源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中に開示されている発明は、半導体装置に設けられる外部端子(=スイッチング駆動端子)の地絡保護に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、様々な分野において、外部端子に現れる端子電圧のスイッチング駆動を行う半導体装置(スイッチング電源制御ICなど)が用いられている。
【0003】
なお、上記に関連する従来技術の一例としては、特許文献1を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−331669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の半導体装置では、スイッチング駆動対象の外部端子に地絡(=接地端またはこれに準ずる低電位端への短絡)が生じると、電源端から当該外部端子を介して接地端に向けた過大な電流が流れるので、電力ロス、異常発熱、発煙、発火、素子破壊などを招くおそれがあった。
【0006】
本明細書中に開示されている発明は、本願の発明者らにより見出された上記の課題に鑑み、適切な地絡保護を行うことのできる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書中に開示されている半導体装置は、外部端子と、前記外部端子に現れる端子電圧をスイッチング駆動するスイッチ出力段と、入力パルス信号に応じて前記スイッチ出力段の駆動信号を生成する出力制御部と、前記入力パルス信号のパルス数をカウントしてマスク信号を生成するカウンタと、前記マスク信号に応じて前記入力パルス信号をマスクする論理ゲートと、前記端子電圧と所定の閾値電圧とを比較して前記カウンタのリセット信号を生成するコンパレータと、を有する構成(第1の構成)とされている。
【0008】
なお、上記第1の構成から成る半導体装置において、前記カウンタは、前記入力パルス信号のパルス到来時にカウント値をインクリメントする一方、前記リセット信号のパルス到来時に前記カウント値を0にリセットし、前記カウント値がリセットされることなく第1設定値に達した時点で、前記マスク信号をマスク時の第1論理レベルに切り替える構成(第2の構成)にするとよい。
【0009】
また、上記第2の構成から成る半導体装置において、前記カウンタは、前記マスク信号を前記第1論理レベルとした後も前記入力パルス信号のパルス数をカウントし続け、前記カウント値が前記第1設定値よりも大きい第2設定値に達した時点で前記マスク信号をマスク解除時の第2論理レベルに切り替えるとともに前記カウント値を0にリセットする構成(第3の構成)にするとよい。
【0010】
また、上記第3の構成から成る半導体装置において、前記第1設定値及び前記第2設定値の少なくとも一方は、任意に設定することのできる可変値である構成(第4の構成)にするとよい。
【0011】
また、上記第3又は第4の構成から成る半導体装置において、前記カウンタは、前記カウント値が前記第1設定値に達したときに論理レベルが切り替わる第1パルス信号を出力する第1カウンタ部と;前記第1カウンタ部の後段に接続されており、前記カウント値が前記第2設定値に達したときに論理レベルが切り替わる第2パルス信号を出力する第2カウンタ部と;前記第1パルス信号の入力を受け付けており、前記第1パルス信号の論理レベルが切り替わったときに第3パルス信号を所定の論理レベルに固定するDフリップフロップと;含み、前記第1カウンタ部は、前記リセット信号と前記第2パルス信号によりリセットされ、前記第2カウンタ部は、前記第3パルス信号によりリセットされ、前記Dフリップフロップは、前記第2パルス信号によりリセットされ、前記第3パルス信号またはその論理反転信号が前記マスク信号として出力される構成(第5の構成)にするとよい。
【0012】
また、上記第1〜第5いずれかの構成から成る半導体装置において、前記スイッチ出力段は、電源端と前記外部端子との間に接続された上側スイッチと、前記外部端子と接地端との間に接続された下側スイッチと、を含む構成(第6の構成)にするとよい。
【0013】
また、上記第6の構成から成る半導体装置において、前記出力制御部は、前記入力パルス信号がマスクされている間、前記上側スイッチをオフして前記下側スイッチをオンするように前記駆動信号を生成する構成(第7の構成)にするとよい。
【0014】
また、上記第6または第7の構成から成る半導体装置において、前記上側スイッチは、PMOSFETであり、前記下側スイッチは、NMOSFETである構成(第8の構成)にするとよい。
【0015】
また、上記第1〜第8いずれかの構成から成る半導体装置は、出力電圧またはこれに応じた帰還電圧が所定の目標値と一致するように前記入力パルス信号を生成する出力帰還部をさらに有する構成(第9の構成)にするとよい。
【0016】
また、本明細書中に開示されているスイッチング電源は、上記第9の構成から成る半導体装置と、前記半導体装置の外部端子に現れる端子電圧を平滑して出力電圧を生成する平滑部と、前記出力電圧を分圧して帰還電圧を生成する分圧部と、を有する構成(第10の構成)とされている。
【発明の効果】
【0017】
本明細書中に開示されている発明によれば、適切な地絡保護を行うことのできる半導体装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図5】地絡時の第1動作状態(強制停止前)を示すブロック図
【
図6】地絡時の第2動作状態(強制停止後)を示すブロック図
【
図8】スイッチング電源への適用例を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0019】
<半導体装置>
図1は、半導体装置の全体構成を示すブロック図である。本構成例の半導体装置1は、スイッチ出力段10と、出力制御部20と、カウンタ30と、ANDゲート40と、コンパレータ50と、を有する。また、半導体装置1は、装置外部との電気的な接続を確立するための手段として、外部端子T1(=スイッチング駆動端子)と外部端子T2(=接地端子)を有する。
【0020】
スイッチ出力段10は、外部端子T1に現れる端子電圧OUTをスイッチング駆動する手段であり、本図の例では、上側スイッチ11と下側スイッチ12を含むハーフブリッジ型が採用されている。
【0021】
上側スイッチ11は、電源端(=電源電圧VCCの印加端)と外部端子T1との間に接続されており、ゲート信号G1に応じてオン/オフされる。なお、本図の例では、上側スイッチ11として、PMOSFET[P-channel type metal oxide semiconductor field effect transistor]が用いられている。従って、上側スイッチ11は、ゲート信号G1がハイレベルであるときにオフし、ゲート信号G1がローレベルであるときにオフする。
【0022】
下側スイッチ12は、外部端子T1と接地端(=接地電圧GNDが印加される外部端子T2)との間に接続されており、ゲート信号G2に応じてオン/オフされる。なお、本図の例では、下側スイッチ12として、NMOSFET[N-channel type MOSFET]が用いられている。従って、下側スイッチ12は、ゲート信号G2がハイレベルであるときにオンし、ゲート信号G2がローレベルであるときにオフする。
【0023】
出力制御部20は、入力パルス信号IN(より正確にはマスク処理済みの入力パルス信号INx)に応じてゲート信号G1及びG2(=スイッチ出力段10の駆動信号に相当)を生成する。より具体的に述べると、出力制御部20は、入力パルス信号INxがハイレベルであるときにゲート信号G1及びG2をいずれもローレベルとし、入力パルス信号INxがローレベルであるときにゲート信号G1及びG2をいずれもハイレベルとする。
【0024】
従って、入力パルス信号INxがハイレベルであるときは、上側スイッチ11がオンして下側スイッチ12がオフするので、端子電圧OUTがハイレベル(≒VCC)となる。一方、入力パルス信号INxがローレベルであるときには、上側スイッチ11がオフして下側スイッチ12がオンするので、端子電圧OUTがローレベル(≒GND)となる。
【0025】
なお、本図では明示されていないが、出力制御部20には、ゲート信号G1及びG2をそれぞれ生成するためのドライバ(=レベルシフタ)や、両スイッチの同時オンを防止するためのデッドタイム設定部などが含まれている。
【0026】
カウンタ30は、入力パルス信号INのパルス数をカウントし、そのカウント値CNTに応じてマスク信号MSKを生成する。なお、カウンタ30の構成及び動作については、後ほど詳細に説明する。
【0027】
ANDゲート40は、入力パルス信号INとマスク信号MSKとの論理積演算信号を生成し、これをマスク処理済みの入力パルス信号INxとして出力制御部20に出力する。入力パルス信号INxは、入力パルス信号INとマスク信号MSKの双方がハイレベルであるときにハイレベルとなり、入力パルス信号INとマスク信号MSKの少なくとも一方がローレベルであるときにローレベルとなる。
【0028】
すなわち、マスク信号MSKがハイレベル(=マスク解除時の論理レベル)であるときには、入力パルス信号INがスルー出力される状態(INx=IN)となり、マスク信号MSKがローレベル(=マスク時の論理レベル)であるときには、入力パルス信号INがマスクされた状態(INx=L)となる。このように、ANDゲート40は、マスク信号MSKに応じて入力パルス信号INをマスクする論理ゲートとして機能する。
【0029】
コンパレータ50は、非反転入力端(+)に入力される端子電圧OUTと、反転入力端(−)に入力される所定の閾値電圧VTHとを比較して、カウンタ30のリセット信号RSTを生成する。なお、リセット信号RSTは、端子電圧OUTが閾値電圧VTHよりも高いときにハイレベルとなり、端子電圧OUTが閾値電圧VTHよりも低いときにローレベルとなる。
【0030】
<カウンタ>
図2はカウンタ30の一構成例を示すブロック図である。本構成例のカウンタ30は、第1カウンタ部31と、第2カウンタ部32と、Dフリップフロップ33と、インバータ34と、を含む。
【0031】
第1カウンタ部31は、複数段のDフリップフロップ(D−FF)を縦列接続して成るmビットカウンタである。第1カウンタ部31は、入力パルス信号INの入力を受け付けており、そのパルス数に相当するカウント値CNTが第1設定値CNTx(例えば4カウント)に達したときにハイレベルに立ち上がる第1パルス信号S31(=より正確には、カウント値CNTが第1設定値CNTxの整数倍に達する毎に論理レベルが切り替わる二値信号)を出力する。また、第1カウンタ部31の動作状態(延いては、第1パルス信号S31の論理レベル)は、リセット信号RSTと第2パルス信号S32のうち、少なくとも一方がハイレベルに立ち上がるときにリセットされる。なお、第1設定値CNTxは、レジスタデータREGに応じて任意に設定することのできる可変値にしておくとよい。
【0032】
第2カウンタ部32は、複数段のDフリップフロップ(D−FF)を縦列接続して成るnビットカウンタであり、第1カウンタ部31の後段に接続されている。第2カウンタ部32は、第1パルス信号S31の入力を受け付けており、カウント値CNTが第2設定値CNTy(例えば512カウント)に達したときにハイレベルに立ち上がる第2パルス信号S32を出力する。また、第2カウンタ部32の動作状態(延いては、第2パルス信号S32の論理レベル)は、第3パルス信号S33がハイレベルに立ち上がるときにリセットされる。なお、第2設定値CNTyは、先の第1設定値CNTxと同じく、レジスタデータREGに応じて任意に設定することのできる可変値としておくことが望ましい。
【0033】
第1カウンタ部31及び第2カウンタ部32それぞれの内部構成については、一般的に周知の構成(=前段D−FFの反転出力端(QB)を前段D−FFのデータ入力端(D)及び後段D−FFのクロック入力端(CK)に接続する構成)を援用すれば足りるので、詳細な説明は割愛する。
【0034】
Dフリップフロップ33は、クロック信号として第1パルス信号S31の入力を受け付けており、第1パルス信号S31がハイレベルに立ち上がるときに出力端(Q)の第3パルス信号S33をハイレベル(=データ端(D)の印加電圧)に固定する。なお、Dフリップフロップ33の動作状態(延いては、第3パルス信号S33の論理レベル)は、第2パルス信号S32がハイレベルに立ち上がるときにリセットされる。
【0035】
インバータ34は、第3パルス信号S33の論理反転信号を生成し、これをマスク信号MSKとして出力する。
【0036】
<正常時>
まず、正常時(=外部端子T1に地絡が生じていないとき)における半導体装置1の動作状態について、
図3及び
図4を参照しながら詳細に説明する。なお、
図3及び
図4は、それぞれ、正常時における半導体装置1の動作状態を示すブロック図及びタイミングチャートである。なお、
図4では、上から順に、入力パルス信号IN、端子電圧OUT、リセット信号RST、カウント値CNT、及び、マスク信号MSKが描写されている。
【0037】
外部端子T1に地絡が生じていない場合、端子電圧OUTは、上側スイッチ11と下側スイッチ12のオン/オフに応じてスイッチング駆動される。より具体的に述べると、入力パルス信号IN(延いては入力パルス信号INx)がハイレベルであるときには、ゲート信号G1及びG2がいずれもローレベルとなり、上側スイッチ11がオンして下側スイッチ12がオフするので、端子電圧OUTがハイレベル(≒VCC)となる。一方、入力パルス信号INがローレベルであるときには、ゲート信号G1及びG2がいずれもハイレベルとなり、上側スイッチ11がオフして下側スイッチ12がオンするので、端子電圧OUTがローレベル(≒GND)となる。
【0038】
なお、端子電圧OUTがハイレベルに立ち上がって閾値電圧VTHよりも高くなると、リセット信号RSTがハイレベルとなる。逆に、端子電圧OUTがローレベルに立ち下がって閾値電圧VTHよりも低くなると、リセット信号RSTがローレベルとなる。すなわち、外部端子T1に地絡が生じていない場合には、リセット信号RSTもスイッチング駆動される状態となる。
【0039】
ここで、カウンタ30の動作状態(延いてはカウント値CNT)は、リセット信号RSTがハイレベルに立ち上がる毎にリセットされる。より具体的に述べると、カウンタ30は、入力パルス信号INのパルス到来時(=ハイレベルへの立ち上がり時)にカウント値CNTを1つインクリメントする一方、リセット信号RSTのパルス到来時(=ハイレベルへの立ち上がり時)にカウント値CNTを0にリセットする。従って、正常時には、カウント値CNTが第1設定値CNTx(例えば4カウント)に達しないので、マスク信号MSKがハイレベルに維持される。
【0040】
マスク信号MSKがハイレベルであるときには、入力パルス信号INがマスクされることなく、INx=INとなる。従って、入力パルス信号INに応じた端子電圧OUTのスイッチング駆動が妨げられることはない。
【0041】
<地絡時>
次に、地絡時における半導体装置1の動作状態について、
図5〜
図6を参照しながら詳細に説明する。なお、
図5及び
図6は、それぞれ、地絡時における半導体装置1の第1動作状態(強制停止前)及び第2動作状態(強制停止後)を示すブロック図である。また、
図7は、地絡時における半導体装置1の動作状態を示すタイミングチャートであり、上から順番に、入力パルス信号IN、端子電圧OUT、リセット信号RST、カウント値CNT、及び、マスク信号MSKが描写されている。
【0042】
半導体装置1の基板実装ミスやアプリケーションボードの不具合などにより、外部端子T1に地絡が生じた場合、端子電圧OUTは、上側スイッチ11と下側スイッチ12のオン/オフに依らず、閾値電圧VTHよりも低い接地電圧GNDに固定される。その結果、リセット信号RSTがローレベルに維持されるので、カウンタ30は、その動作状態をリセットされることなく、入力パルス信号INのパルス数をカウントし続ける。
【0043】
ただし、カウント値CNTが第1設定値CNTx(例えば4カウント)に達するまでのカウントアップ期間(時刻t1以前)には、
図5で示すように、マスク信号MSKがハイレベルに維持されるので、入力パルス信号INがマスクされることなく、INx=INとなる。従って、入力パルス信号INに応じた端子電圧OUTのスイッチング駆動が妨げられることはない。
【0044】
なお、上記のカウントアップ期間には、外部端子T1と接地端との間に上側スイッチ11のオン/オフに伴う断続的な過電流が流れる。そのため、第1設定値CNTxが大き過ぎると、地絡保護機能を損うおそれがある。一方、第1設定値CNTxが小さ過ぎると、端子電圧OUTの瞬時低下を地絡と誤検出してしまうおそれがある。そのため、第1設定値CNTxは、上記の背反を鑑みて適切な値に設定することが望ましい。
【0045】
その後、カウント値CNTがリセットされることなく第1設定値CNTxに達すると、その時点でマスク信号MSKがローレベルに立ち下がる(
図7の時刻t1を参照)。その結果、
図6で示すように、入力パルス信号INがANDゲート40によりマスクされた状態(INx=L)となるので、出力制御部20は、上側スイッチ11をオフして下側スイッチ12をオンするように、ゲート信号G1及びG2をいずれもハイレベルに固定する。
【0046】
このように、所定期間に亘って端子電圧OUTのハイレベル遷移がない場合(=端子電圧OUTが閾値電圧VTHよりも低い状態に維持されている場合)には、外部端子T1に地絡が生じているものと看做して、端子電圧OUTのスイッチング駆動が強制的に停止されるので、地絡に伴う電力ロス、異常発熱、発煙、発火、素子破壊などを未然に防止することが可能となる。
【0047】
なお、カウンタ30は、マスク信号MSKをローレベルに立ち下げた後も入力パルス信号INのパルス数をカウントし続ける(
図7の時刻t1〜t2を参照)。そして、カウント値CNTが第1設定値CNTxよりも大きい第2設定値CNTy(例えば512カウント)に達すると、その時点でマスク信号MSKがハイレベルに立ち上げられるとともにカウント値CNTが0にリセットされる(
図7の時刻t2を参照)。その結果、入力パルス信号INに応じた端子電圧OUTのスイッチング駆動が復帰されるので、外部端子T1の地絡が解消されているか否かを定期的に再チェックすることが可能となる。
【0048】
<スイッチング電源>
図8は、スイッチング電源への適用例を示すブロック図である。本構成例のスイッチング電源Xは、先述の半導体装置1と、これに外付けされる種々のディスクリート部品(インダクタL1、キャパシタC1、抵抗R1及びR2)と、を有し、電源電圧VCCを降圧して所望の出力電圧VOを生成する。
【0049】
なお、半導体装置1には、スイッチング電源Xへの適用に伴い、先述の構成要素に加えて出力帰還部60と外部端子T3(=帰還端子)が設けられている。
【0050】
半導体装置1の外部接続について述べる。インダクタL1の第1端は、外部端子T1に接続されている。インダクタL1の第2端及びキャパシタC1の第1端は、いずれも出力電圧VOの出力端に接続されている。キャパシタC1の第2端及び外部端子T2は、いずれも接地端に接続されている。抵抗R1の第1端は、出力電圧VOの出力端に接続されている。抵抗R1の第2端及び抵抗R2の第1端は、いずれも外部端子T3に接続されている。抵抗R2の第2端は、接地端に接続されている。
【0051】
上記のように接続された種々のディスクリート部品のうち、インダクタL1とキャパシタC1は、外部端子T1に現れる矩形波状のスイッチ電圧VSW(=先出の端子電圧OUTに相当)を平滑して出力電圧VOを生成する平滑部として機能する。
【0052】
また、抵抗R1及びR2は、出力電圧VOを分圧して帰還電圧VFB(=VO×{R2/(R1+R2)})を生成する分圧部として機能する。ただし、出力電圧VOが出力帰還部60の入力ダイナミックレンジに収まっている場合には、抵抗R1及びR2を割愛して、出力電圧VOを出力帰還部60に直接入力しても構わない。
【0053】
出力帰還部60は、外部端子T3に入力される帰還電圧VFBが所定の目標値と一致するように入力パルス信号INを生成する。なお、入力パルス信号INの生成手法については、PWM[pulse width modulation]制御やPFM[pulse frequency modulation]制御など、周知の従来技術を援用すれば足りるので、詳細な説明は割愛する。
【0054】
このように、スイッチング電源Xの制御主体(いわゆるスイッチング電源制御IC)として、先述の半導体装置1を適用すれば、スイッチング電源Xの安全性や信頼性を高めることが可能となる。
【0055】
<その他の変形例>
なお、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。例えば、バイポーラトランジスタとMOS電界効果トランジスタとの相互置換や、各種信号の論理レベル反転は任意である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本明細書中に開示されている発明は、例えば、スイッチング電源制御ICに利用することが可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 半導体装置
10 スイッチ出力段
11 上側スイッチ(PMOSFET)
12 下側スイッチ(NMOSFET)
20 出力制御部
30 カウンタ
31 第1カウンタ部
32 第2カウンタ部
33 Dフリップフロップ
34 インバータ
40 ANDゲート
50 コンパレータ
60 出力帰還部
T1、T2、T3 外部端子
L1 インダクタ
C1 キャパシタ
R1、R2 抵抗
X スイッチング電源