特開2018-79059(P2018-79059A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-79059(P2018-79059A)
(43)【公開日】2018年5月24日
(54)【発明の名称】ゲームプログラムおよびゲーム装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/69 20140101AFI20180420BHJP
   A63F 13/52 20140101ALI20180420BHJP
   A63F 13/55 20140101ALI20180420BHJP
   A63F 13/58 20140101ALI20180420BHJP
   A63F 13/30 20140101ALI20180420BHJP
【FI】
   A63F13/69
   A63F13/52
   A63F13/55
   A63F13/58
   A63F13/30
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-223135(P2016-223135)
(22)【出願日】2016年11月16日
(71)【出願人】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 亮介
(72)【発明者】
【氏名】網干 直剛
(72)【発明者】
【氏名】松本 大地
(72)【発明者】
【氏名】森 善崇
(72)【発明者】
【氏名】森本 紗香
(72)【発明者】
【氏名】呉 傑
(72)【発明者】
【氏名】島本 剛史
(57)【要約】
【課題】 一のキャラクタの所定の行動により複数のキャラクタのそれぞれに対してより有利な効果を付与することができるゲームプログラムおよびゲーム装置を提供する。
【解決手段】 コンピュータを、プレイヤキャラクタを含む複数のキャラクタが行動する仮想空間を生成する仮想空間生成手段、複数のキャラクタのそれぞれに所定の行動スタイルを複数種類の中から付与する行動スタイル付与手段、行動スタイルに従って複数のキャラクタの行動を制御するキャラクタ制御手段、および複数のキャラクタのうちの一のキャラクタが予め設定された特定行動を行った場合に、複数のキャラクタのうちの所定のキャラクタ条件を満たす各キャラクタに対して、当該各キャラクタの行動スタイルに応じて異なる種類の効果を発生させる特定行動実行手段として機能させる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想空間に配置した仮想カメラの画像をゲーム画面として表示する表示部と、前記仮想空間を行動するプレイヤキャラクタを操作する操作部とを備えたゲーム装置を制御するコンピュータに実行させるゲームプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記プレイヤキャラクタを含む複数のキャラクタが行動する前記仮想空間を生成する仮想空間生成手段、
前記複数のキャラクタのそれぞれに所定の行動スタイルを複数種類の中から付与する行動スタイル付与手段、
前記行動スタイルに従って前記複数のキャラクタの行動を制御するキャラクタ制御手段、および
前記複数のキャラクタのうちの一のキャラクタが予め設定された特定行動を行った場合に、前記複数のキャラクタのうちの所定のキャラクタ条件を満たす各キャラクタに対して、当該各キャラクタの前記行動スタイルに応じて異なる種類の効果を発生させる特定行動実行手段として機能させる、ゲームプログラム。
【請求項2】
前記特定行動は、各キャラクタが所定の実行条件を満たした場合に実行可能な、前記効果とは異なる効果を発生させる1または複数の特殊行動のうち少なくとも1つに設定されており、
前記コンピュータを、
各キャラクタが前記特殊行動を実行するための前記所定の実行条件を満たすか否かを判定する実行条件判定手段として機能させ、
前記特定行動実行手段は、前記所定の実行条件を満たすと判定されたキャラクタが、前記特定行動に設定された特殊行動を実行する場合に、前記各キャラクタに付与されている前記行動スタイルに応じて前記異なる効果を発生させる、請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項3】
前記コンピュータは、
各キャラクタに予め設定された所定のポイント取得行動に応じて取得される所定のポイントを管理するポイント管理手段として機能し、
前記実行条件判定手段は、前記所定のポイントが所定のしきい値以上になった場合に、前記所定の実行条件を満たしたと判定し、
前記所定のしきい値は、前記特定行動に設定された特殊行動に応じて異なり、
前記特定行動実行手段は、前記効果を前記所定のしきい値に応じて異なる所定の期間発生させる、請求項2に記載のゲームプログラム。
【請求項4】
前記所定のキャラクタ条件は、前記特定行動を実行するキャラクタと行動を共にする味方キャラクタであること、かつ、当該味方キャラクタが前記特定行動を実行するキャラクタを基準とする所定の領域内に位置することである、請求項1から3の何れかに記載のゲームプログラム。
【請求項5】
請求項1から4の何れかに記載のゲームプログラムを記憶したプログラム記憶部と、
前記プログラム記憶部に記憶されたプログラムを実行するコンピュータとを備えた、ゲーム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームプログラムおよびゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、仮想空間内にて、モンスター等の敵キャラクタを討伐しながらゲームを進行させるアクションゲームが市販されている。この種のアクションゲームにおいては、ゲームの進行に合わせてアイテムまたは魔法等を使用し、プレイヤキャラクタの体力を回復させたり、能力をアップさせたりすることができる(例えば特許文献1、非特許文献1等参照)。
【0003】
また、上記のようなアクションゲームにおいて、複数のユーザが各自のプレイヤキャラクタを同一の仮想空間内に登場させ、これらを共同させて行動させるマルチプレイが可能なゲームも存在する。アイテムまたは魔法等によっては、マルチプレイにおいて一のプレイヤキャラクタがアイテムまたは魔法等を使用した場合に、当該一のプレイヤキャラクタのみならず他のプレイヤキャラクタまたは各プレイヤキャラクタと行動を共にするノンプレイヤキャラクタにも当該アイテムまたは魔法等の効果が得られるようなアイテムまたは魔法等(以下、全体効果アイテム等という)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−166053号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】“ファイナルファンタジーX システム 魔法”「IMPRESSIVE MAGIC バファイ,ヘイスガ」,[online],2001年,株式会社スクウェア・エニックス,[平成28年10月25日検索],インターネット<URL: http://www.finalfantasy.jp/discography/#ff10_system>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような複数のキャラクタに対して効果が得られる全体効果アイテム等は、行動を共にする複数のキャラクタのそれぞれに対して同じ効果を付与する。しかし、全体効果アイテム等を使用してもゲーム進行に思ったほど有利にはならない場合がある。例えば、味方キャラクタ全体に物理攻撃力を上げる全体効果アイテム等を使用した場合、物理攻撃が得意なキャラクタには効果的だが、複数のキャラクタの中に魔法攻撃が得意で物理攻撃力が低いキャラクタがいた場合、そのようなキャラクタにとってはあまり意味がない。このように、複数のキャラクタの組み合わせによっては全体効果アイテム等を有効活用できない状態が生じ得る。
【0007】
そこで本発明は、一のキャラクタの所定の行動により複数のキャラクタのそれぞれに対してより有利な効果を付与することができるゲームプログラムおよびゲーム装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るゲームプログラムは、仮想空間に配置した仮想カメラの画像をゲーム画面として表示する表示部と、前記仮想空間を行動するプレイヤキャラクタを操作する操作部とを備えたゲーム装置を制御するコンピュータに実行させるゲームプログラムであって、前記コンピュータを、前記プレイヤキャラクタを含む複数のキャラクタが行動する前記仮想空間を生成する仮想空間生成手段、前記複数のキャラクタのそれぞれに所定の行動スタイルを複数種類の中から付与する行動スタイル付与手段、前記行動スタイルに従って前記複数のキャラクタの行動を制御するキャラクタ制御手段、および前記複数のキャラクタのうちの一のキャラクタが予め設定された特定行動を行った場合に、前記複数のキャラクタのうちの所定のキャラクタ条件を満たす各キャラクタに対して、当該各キャラクタの前記行動スタイルに応じて異なる種類の効果を発生させる特定行動実行手段として機能させる。
【0009】
前記特定行動は、各キャラクタが所定の実行条件を満たした場合に実行可能な、前記効果とは異なる効果を発生させる1または複数の特殊行動のうち少なくとも1つに設定されており、前記コンピュータを、各キャラクタが前記特殊行動を実行するための前記所定の実行条件を満たすか否かを判定する実行条件判定手段として機能させ、前記特定行動実行手段は、前記所定の実行条件を満たすと判定されたキャラクタが、前記特定行動に設定された特殊行動を実行する場合に、前記各キャラクタに付与されている行動スタイルに応じて前記異なる効果を発生させる。
【0010】
前記コンピュータは、各キャラクタに予め設定された所定のポイント取得行動に応じて取得される所定のポイントを管理するポイント管理手段として機能し、前記実行条件判定手段は、前記所定のポイントが所定のしきい値以上になった場合に、前記所定の実行条件を満たしたと判定し、前記所定のしきい値は、前記特定行動に設定された特殊行動に応じて異なり、前記特定行動実行手段は、前記効果を前記所定のしきい値に応じて異なる所定の期間発生させる。
【0011】
前記所定のキャラクタ条件は、前記特定行動を実行するキャラクタと行動を共にする味方キャラクタであること、かつ、当該味方キャラクタが前記特定行動を実行するキャラクタを基準とする所定の領域内に位置することである。
【0012】
また、本発明に係るゲーム装置は、上記のゲームプログラムを記憶したプログラム記憶部と、前記プログラム記憶部に記憶されたプログラムを実行するコンピュータとを備えたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、一のキャラクタの所定の行動により複数のキャラクタのそれぞれに対してより有利な効果を付与することができるゲームプログラムおよびゲーム装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施の形態に係るゲーム装置の内部構成を示すブロック図である。
図2図1に示すゲーム装置が備える制御部の機能的な構成を示すブロック図である。
図3図1に示すゲーム装置が実行するゲームプログラムによって実現されるゲームの内容を説明するための模式図である。
図4】本実施の形態における特殊行動および特定行動の設定画面例を示す図である。
図5図3において実行された特殊行動が特定行動に設定されている場合のゲーム画面の例を示す図である。
図6】本実施の形態におけるアイテム配達処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係るゲームプログラムおよびゲーム装置について、図面を参照しつつ説明する。以下の説明では、家庭用ゲーム装置において実行されるアクションゲームを例として説明する。本実施の形態に係るアクションゲームは、仮想のゲーム空間内でプレイヤキャラクタを操作して、敵キャラクタを討伐する、アイテムを探索する、所定のイベントを攻略する等の所定のクエストを攻略することにより進行する。特に、複数のユーザに対応する複数のプレイヤキャラクタが、協同して敵キャラクタと戦いながらゲーム本編(クエスト)を進行させるマルチプレイに基づいて説明する。
【0016】
[ハードウェアの構成]
図1は、本発明の一実施の形態に係るゲーム装置1の内部構成を示すブロック図である。図1に示すようにゲーム装置1は制御部30を備えており、該制御部30にはCPU11、描画データ生成プロセッサ12、RAM(Random Access Memory)13、ROM(Read Only Memory)14、描画処理プロセッサ15、および音声処理プロセッサ18が含まれている。さらに、ゲーム装置1は、この他にもVRAM(Video-RAM)16、アンプ19、スピーカ20、イヤホン端子21、操作部22、メディアインタフェース23、無線LANモジュール24、およびバス25を備えている。そして、これらのうちCPU11、描画データ生成プロセッサ12、RAM13、ROM14、描画処理プロセッサ15、音声処理プロセッサ18、操作部22、メディアインタフェース23、および無線LANモジュール24が、バス25によって相互にデータ伝送可能に接続されている。
【0017】
操作部22は、方向キーおよびその他のボタン群(図示せず)を含んでおり、ユーザの操作を受け付けて、その操作内容に応じた操作情報(操作信号)をCPU11に入力する。また、方向キーおよびボタン群が有する各種のボタンは、プレイヤキャラクタの特定の動作を指示するための操作子である。また、操作部22には、これら操作子以外にゲーム装置1の電源の入/切を行うための電源スイッチ等が含まれる。
【0018】
メディアインタフェース23は、図示しないメディア装着部にセットされたゲームメディア5にアクセスしてゲームプログラム5aおよびゲームデータ5bを読み出す。このうちゲームプログラム5aは、例えば、プレイヤキャラクタと敵キャラクタとが仮想空間にて対戦する内容のゲームを、ゲーム装置1に実行させるものである。また、ゲームデータ5bには、上記ゲームを実行する上で必要なデータとして、キャラクタや背景の画像データ、ステータスなどの情報表示用の画像データ、効果音やBGMなどの音声データ、文字や記号によるメッセージデータ等が含まれている。なお、記録媒体であるゲームメディア5は、半導体メモリのほか、光ディスクの一種であるUMD(Universal Media Disc)(登録商標)を採用することができる。
【0019】
RAM13には、ゲームの進行に応じてゲームメディア5から読み込まれたゲームプログラム5aおよびゲームデータ5bを格納するロードエリア、ならびに、CPU11がゲームプログラム5aを処理する際に使用するためのワークエリアが設定されている。ROM14には、ディスクローディング機能などのゲーム装置1の基本的機能や、ゲームメディア5に記憶されているゲームプログラム5aおよびゲームデータ5bの読み出し処理を制御する基本プログラムが記憶されている。
【0020】
CPU11は、ゲームメディア5に記録されているゲームプログラム5aおよびゲームデータ5bの全部または一部を、メディアインタフェース23を通じてRAM13に読み込み、ユーザによる操作部22の操作に応じてこれを実行し、ゲーム進行を制御する。より具体的には、ユーザに操作されることによって操作部22から操作信号が入力されると、CPU11は、ゲームプログラム5aに従ってその操作信号に対応する所定のゲーム進行処理を行い、その処理結果を、ゲーム進行を示す画像(以下、「ゲーム画面」)としてディスプレイ(表示部)2に表示するとともに、ゲーム進行を示す音声信号(以下、「ゲーム音声」)をスピーカ20やイヤホン端子21に出力する。
【0021】
上記ゲーム画面の描画は、CPU11の指示により、描画処理プロセッサ15が行う。すなわち、CPU11は、操作部22から入力される操作信号に基づき、ディスプレイ2に表示すべきゲーム画面の内容を決定し、その内容に対して必要な描画データを描画データ生成プロセッサ12に生成させる。そして、その描画データを描画処理プロセッサ15に転送して描画処理を行わせる。描画処理プロセッサ15は、描画データに基づいて1/60秒毎にゲーム画面を生成し、生成したゲーム画面をVRAM16に書き込む。ディスプレイ2は、半透過型カラー液晶ディスプレイとバックライトLED(Light Emitting Diode)とを有し、VRAM16に書き込まれたゲーム画面を表示する。
【0022】
また、CPU11は、ゲームの進行に応じて、スピーカ20から出力すべき効果音やBGM等の音声を決定し、その音声を発音するための音声データをRAM13から読み出して音声処理プロセッサ18に入力する。すなわち、CPU11は、ゲームの進行に伴って発音イベントが発生すると、その発音イベントに応じた発音データ(ゲームメディア5からロードされた発音データ)をRAM13から読み出して音声処理プロセッサ18に入力する。音声処理プロセッサ18は、DSP(Digital Signal Processor)で構成されており、CPU11によって入力された発音データに対して所定の効果(例えば、リバーブ、コーラスなど)を付与したのちアナログ信号に変換して、アンプ19に出力する。アンプ19は、音声処理プロセッサ18から入力された音声信号を増幅したのち、スピーカ20およびイヤホン端子21に出力する。
【0023】
無線LANモジュール24は、通信規格IEEE802.11b(使用周波数帯2.4GHz、通信速度11Mbps)に準拠した無線LANによって他のゲーム装置1とデータ通信を行い、ネットワークを構成するための通信モジュールである。
【0024】
[制御部の機能的構成]
図2は、図1に示すゲーム装置1が備える制御部30の機能的な構成を示すブロック図であり、主に、上述したゲームシステムを実現するのに必要な機能を示している。前述したとおり、制御部30は、CPU11、描画データ生成プロセッサ12、RAM13、ROM14、描画処理プロセッサ15、および音声処理プロセッサ18を含むコンピュータとして動作する。そして、このコンピュータとして動作する制御部30は、ゲームメディア5から読み込んだゲームプログラム5aおよびゲームデータ5bを実行することによって、以下に説明するような機能を備える。すなわち、制御部30は、仮想空間生成手段31、キャラクタ制御手段32、行動スタイル付与手段33、特定行動実行手段34、実行条件判定手段35、ポイント管理手段36、通信手段37、配達条件判定手段38、アイテム配達手段39、および、アイテム選択手段40といった機能を発揮する。
【0025】
このうち、通信手段37は、ゲームに参加する他のユーザにより操作される他のコンピュータとの間で、ゲームを同期して進行させるべくデータの送受信を行う。なお、複数のゲーム装置1のコンピュータ同士で通信を行う際、各コンピュータが所定のサーバに接続し、当該サーバにおいてゲーム進行を管理するオンラインゲームとして構成されてもよいし、各コンピュータからの所定のマッチングサーバへのリクエストに応じてマッチングサーバが複数のコンピュータをマッチングし、マッチングされた複数のコンピュータ同士で相互通信を行ってゲームを進行するP2P(ピアツーピア)方式の通信ゲームとして構成されてもよい。
【0026】
仮想空間生成手段31は、プレイヤキャラクタP1が行動する仮想空間S(後述する図3参照)を生成する。該仮想空間Sには、プレイヤキャラクタP1および敵キャラクタEが対戦する仮想空間も含まれる。
【0027】
キャラクタ制御手段32は、ユーザによる操作部22の操作に応じて行動するプレイヤキャラクタP1の動作を制御するとともに、当該プレイヤキャラクタP1に対して攻撃する敵キャラクタEを制御する。キャラクタ制御手段32は、例えば、ユーザによる操作部22の操作に応じて、対戦時におけるプレイヤキャラクタP1の移動、攻撃、および防御を含む各種動作を制御する。キャラクタ制御手段32は、例えば、敵キャラクタEの移動、攻撃、および防御等の各種の動作を制御する。キャラクタ制御手段32は、マルチプレイ時においてゲームに参加する他のユーザにより操作される他のコンピュータからのデータに基づいて他のユーザが操作するプレイヤキャラクタP2の動作を制御する。さらに、キャラクタ制御手段32は、味方となって一緒に敵キャラクタEを攻撃するノンプレイヤキャラクタ(以下、味方NPC)N1の動作も制御する。
【0028】
行動スタイル付与手段33は、複数のキャラクタ(プレイヤキャラクタP1,P2および味方NPC N1)のそれぞれに所定の行動スタイルを複数種類の中から付与する。キャラクタ制御手段32は、行動スタイルに従って複数のキャラクタの行動を制御する。特定行動実行手段34は、複数のキャラクタのうちの一のキャラクタが予め設定された特定行動を行った場合に、複数のキャラクタのうちの所定のキャラクタ条件を満たす各キャラクタに対して、当該各キャラクタの行動スタイルに応じて異なる効果を発生させる。
【0029】
実行条件判定手段35は、各キャラクタが、各キャラクタに設定された少なくとも1つの特殊行動を実行するための所定の実行条件を満たすか否かを判定する。また、ポイント管理手段36は、各キャラクタに予め設定された所定のポイント取得行動に応じて取得される所定のポイントを管理する。
【0030】
配達条件判定手段38は、プレイヤキャラクタP1が仮想空間Sの特定の領域(後述する戦闘エリア)で行動している際に所定の配達条件を満たすか否かを判定する。アイテム配達手段39は、所定の配達条件を満たした場合に、特定の領域内の所定位置にプレイヤキャラクタが使用可能な特定のアイテムを配達する。アイテム選択手段40は、特定の領域においてプレイヤキャラクタが行動する前の段階において、特定のアイテムをユーザに選択させる。
【0031】
[ゲーム概要]
ゲームの開始前や各クエストの開始前に、セッション形成画面が表示され、所定の操作に基づいて複数のコンピュータ間でセッションが形成される。例えば、一のユーザ(ホストユーザ)が作成したセッションに他のユーザが参加するマッチング処理が行われる。マッチング処理後、通信手段37は、形成されたセッションに参加する複数のユーザが操作する複数のコンピュータ間でゲームデータのロードおよび初期設定を行う。それらの完了後、ゲーム本編が開始される。ホストユーザが作成したセッションに参加した他のユーザはゲストユーザとしてホストユーザとともに協力してゲーム本編を進める。ゲーム本編を構成する各ステージには、プレイヤキャラクタP1,P2の進行を妨げたり、討伐対象であったりする敵キャラクタEが登場する。マルチプレイでは、セッションに参加した各プレイヤキャラクタP1,P2が協力して敵キャラクタEを攻撃し、これを倒しながらゲーム本編を進める
【0032】
また、本ゲームにおいては、マルチプレイか否かに拘わらず、プレイヤキャラクタP1と行動を共にする一または複数の味方NPC N1をゲーム本編に参加させることができる。
【0033】
本ゲームにおける仮想空間Sは、村等の複数の非戦闘エリアと、敵キャラクタEが出現する森等の複数の戦闘エリアとを有している。複数の戦闘エリアは、それぞれがさらに複数の領域(小領域)に区分され、それぞれが番号付けされている。
【0034】
ゲーム本編においては、プレイヤキャラクタP1が所定の場所(自分の家、武器屋等)に移動することにより、ユーザは、プレイヤキャラクタP1が所持する武器の中からプレイヤキャラクタP1が装備する武器を選択することができる。本ゲームにおいて、武器には、例えば大剣、太刀、片手剣、双剣、ハンマー、狩猟笛、ランス、ガンランス、スラッシュアアックス、チャージアックス、操虫棍、ライトボウガン、ヘビィボウガン、弓等、複数種類の武器が存在する。
【0035】
また、上記所定の場所では、ユーザは、プレイヤキャラクタP1の行動特性を定める行動スタイルを、複数の行動スタイルの中から選択することができる。例えば、行動スタイルは、ギルドスタイル、ストライカースタイル、エリアルスタイルおよびブシドースタイル等の複数種類の行動スタイルを含む。ギルドスタイルは、一般的な操作感を特徴とする。ストライカースタイルは、操作系がシンプルで後述する特殊行動を多くの種類実行可能であることを特徴とする。エリアルスタイル、空中攻撃を得意とすることを特徴とする。ブシドースタイルは、敵キャラクタの攻撃をかわして反撃することができることを特徴とする。
【0036】
行動スタイルが変わるとユーザが同じ操作を行ってもプレイヤキャラクタP1が行動スタイルに応じて異なる行動を実行する。なお、装備する武器の異同に拘わらずすべての行動スタイルを選択可能である。行動スタイル付与手段33は、ユーザが選択した行動スタイルをプレイヤキャラクタP1の行動スタイルとして設定し、キャラクタ制御手段32は、ゲーム本編におけるプレイヤキャラクタP1の動作を設定された行動スタイルに基づいて制御する。
【0037】
また、行動スタイルには、上記のような攻撃特性以外の特徴を有する行動スタイルも含まれる。例えば、行動スタイルは、サポート特化スタイルおよび移動特化スタイル等を含む。サポート特化スタイルは、他のキャラクタへの援護行動が得意であることを特徴とする。移動特化スタイルは、移動速度が速い、または、他の行動スタイルでは移動し難い場所(泥濘地等)でも容易に移動可能であることを特徴とする。
【0038】
また、上記所定の場所では、ユーザは、プレイヤキャラクタP1が実行可能な少なくとも1つの特殊行動を設定することができる。特殊行動は、各キャラクタが所定の実行条件を満たした場合に実行可能となるように設定されている。特殊行動には、プレイヤキャラクタP1が装備する武器に応じて設定可能な特殊行動が異なる武器依存型の特殊行動と、当該武器によらず設定可能な独立型の特殊行動とが含まれる。特殊行動には、通常攻撃より高い攻撃力を有する攻撃行動、プレイヤキャラクタP1の能力または武器の能力を変化させるステータス変化行動、通常の回避行動より回避率が高い回避行動、体力回復行動等が含まれる。
【0039】
プレイヤキャラクタP1に設定される特殊行動は、予め用意された複数の特殊行動の中から選択可能である。また、クリアしたクエスト数の増加、所定のイベントの達成等に応じて新しい特殊行動を獲得することもできる。特殊行動の効果は、プレイヤキャラクタP1に付与されている行動スタイルの異同には依存しない。ただし、行動スタイルに応じて一のプレイヤキャラクタP1に設定可能となる特殊行動の数が変化する。例えば、ギルドスタイルでは、2種類の特殊行動が設定可能であり、ストライカースタイルでは、3種類の特殊行動が設定可能である。一方、エリアルスタイルおよびブシドースタイルでは、1種類しか特殊行動を設定することができない。
【0040】
図3は、図1に示すゲーム装置が実行するゲームプログラム5aによって実現されるゲームの内容を説明するための模式図である。図3にはゲーム装置1のディスプレイに表示されるゲーム画面Dが示されている。なお、ゲーム画面Dには、プレイヤキャラクタP1の体力等を示すゲージ、プレイヤキャラクタP1の使用可能アイテム等も表示されるが、図示を省略している。
【0041】
本ゲームでは、所定の広がりを有する仮想空間Sが設定されている。該仮想空間S内には、操作部22の操作によりユーザが直接的にその動作を制御することのできるプレイヤキャラクタP1が存在している。また、仮想空間Sには、プレイヤキャラクタP1を操作するユーザと同じセッションに参加している他のユーザが操作する他のプレイヤキャラクタP2が存在している。また、同じ仮想空間S内には、ユーザの操作によってはその動作を直接的に制御することができず、CPU11によって動作が制御されるノンプレイヤキャラクタであるモンスター等の敵キャラクタEも出現するようになっている。
【0042】
また、仮想空間S内においてプレイヤキャラクタP1近傍の所定位置には、仮想空間Sを撮像するための仮想カメラ(図示せず)が配置されており、図2に示すように、ゲーム装置1のディスプレイ2には、該仮想カメラにより撮像された仮想空間Sの画像がゲーム画面D上に表示される。そして、本ゲームは、ユーザがディスプレイ2に表示された仮想空間Sを見ながら、プレイヤキャラクタP1を操作して敵キャラクタEと戦闘を行い、これを討伐するアクションゲームになっている。プレイヤキャラクタP1およびプレイヤキャラクタP1と共に行動するキャラクタの名前(ユーザ名、ID等)がゲーム画面Dの一部の名前表示領域Fに表示されている。
【0043】
キャラクタ制御手段32は、ユーザの操作に基づいて、プレイヤキャラクタP1は、対応するプレイヤキャラクタP1,P2における各種動作(通常動作)を実行する。この場合、プレイヤキャラクタP1は、行動スタイル付与手段33によってキャラクタごとに付与された行動スタイルに応じて異なる通常動作を実行し得る。
【0044】
これらの各種通常動作のうち、予め定められた少なくとも1つの通常動作(ポイント取得行動)を実行するたびに所定のポイントがプレイヤキャラクタごとに加算される。ポイント管理手段36は、各キャラクタに予め設定された所定のポイント取得行動に応じて取得される所定のポイントをキャラクタごとに管理する。例えば、本ゲームにおいて、行動スタイルによらないポイント取得行動は、攻撃を敵キャラクタEに的中させることである。
【0045】
また、行動スタイルに応じたポイント取得行動が存在してもよい。例えば、ストライカースタイルにおいてはプレイヤキャラクタP1自身がダメージを受けることであってもよい。また、例えば、エリアルスタイルにおいては高くジャンプして敵キャラクタEを踏みつける「踏みつけ跳躍」動作を行うことであってもよい。また、例えば、ブシドースタイルにおいては敵キャラクタEからの攻撃をプレイヤキャラクタP1に当たる直前で回避する「ジャスト回避」動作または攻撃を直前で防御する「ジャスト防御」動作が成功した場合であってもよい。なお、1回のポイント取得行動によってキャラクタごとに追加されるポイントは、ポイント取得行動の種類および/またはその内容(例えば与えたダメージ量等)に応じて異なる値である。
【0046】
本ゲームにおいて、キャラクタごとに蓄積されるポイントは、当該キャラクタに設定されている特殊行動の実行のために必要となる。すなわち、実行条件判定手段35は、各キャラクタが特殊行動を実行するための所定の実行条件を満たすか否かを判定する際に、所定のポイントが所定のしきい値以上になった場合に、所定の実行条件を満たしたと判定する。
【0047】
しきい値は、特殊行動の種類に応じて異なってもよい。例えば、複数の特殊行動を備えているプレイヤキャラクタP1において、しきい値がより高い特殊行動は、その実行による効果がより高く設定されている。例えば、同種の効果(敵キャラクタEへのダメージ)が得られる複数の特殊行動について、しきい値が50ポイントである一の特殊行動A1より、しきい値が80ポイントである他の一の特殊行動A2の方が大きい効果を生じさせる(敵キャラクタEに対して大きいダメージを与える)ことができる。一のプレイヤキャラクタP1において特殊行動が実行された場合には、当該プレイヤキャラクタP1に蓄積されていたポイントは0にリセットまたはしきい値分だけ減算される。
【0048】
なお、複数の行動スタイルには、特殊行動の実行にポイントが必要ない行動スタイルが含まれていてもよい。
【0049】
図3は、プレイヤキャラクタP1が一の特殊行動を実行したときの状態を示している。プレイヤキャラクタP1の周囲に特殊行動に応じたエフェクト表示Q1が発生し、当該特殊行動に応じた効果を発生させる。例えば、特殊行動は、敵キャラクタEに大ダメージを与える攻撃行動であってもよいし、プレイヤキャラクタP1の一時的な能力アップであってもよい。
【0050】
[特定行動]
本ゲームにおいては、プレイヤキャラクタP1に設定された少なくとも1つの特殊行動のうちの少なくとも1つを特定行動として設定可能である。特殊行動を特定行動として設定するか否かは、特殊行動の設定時に合わせて設定可能である。特殊行動が複数設定される場合には、複数の特殊行動のうちのすべてを特定行動として設定可能である。特定行動は、設定された特殊行動の効果とは異なる効果を発生させる。
【0051】
図4は、本実施の形態における特殊行動および特定行動の設定画面例を示す図である。図4の設定画面Jには、行動スタイルに応じて予め定められた所定数の特殊行動配置枠H1,H2,H3が設けられている。各特殊行動配置枠H1〜H3には、それぞれ当該特殊行動を実行するための操作入力(一または複数のボタンの同時押し等)が割り当てられている。すなわち、同じ特殊行動であっても、特殊行動配置枠H1〜H3の何れに配置するかによって当該特殊行動を実行するために必要な操作入力は変化する。
【0052】
特殊行動配置枠Hに配置する特殊行動は、ユーザの操作に基づいて複数の特殊行動の中から選択可能である。図4の例では、特殊行動配置枠H1,H2にそれぞれ特殊行動A,Bが設定されている。一方、特殊行動配置枠H3は未設定または設定不可となっている。さらに、特殊行動配置枠H1〜H3に配置された特殊行動に対して、ユーザは、各特殊行動配置枠H1〜H3内にある特定行動選択ボタンKを選択的に切り替え操作することにより、当該特殊行動を特定行動として設定することができる。
【0053】
特定行動に設定可能な特殊行動の数は、1つでも複数でもよい。当該数は、行動スタイルに応じて定められてもよい。例えば、3つの特殊行動が設定可能な行動スタイルが複数ある場合に、一の行動スタイルではそのうちの1つしか特定行動に設定できないが、他の一の行動スタイルでは3つとも特定行動に設定できるとしてもよい。また、特殊行動によっては特定行動に設定できない特殊行動が存在してもよい。
【0054】
なお、特定行動に設定された特殊行動は、実行に必要なポイント(しきい値)が特定行動に設定しない場合に比べて増加される。例えば、ある特殊行動について特定行動に設定されない場合は、しきい値が50ポイントであるのに対し、特定行動に設定された場合は、しきい値が70ポイントに増加する。したがって、特殊行動の実行を優先させたい場合には、特定行動への設定を最小限にし、特定行動の実行を優先させたい場合には、多くの特殊行動を特定行動に設定するというように、ゲーム戦略に応じて各ユーザが特定行動の設定を行い得る。これにより、ゲームの戦略性を高くすることができる。
【0055】
特定行動に設定された特殊行動が実行されると、特定行動も実行される。特定行動実行手段34は、特定行動に設定された特殊行動の実行条件を満たしたキャラクタが、当該特殊行動を実行する場合に、特定行動による効果を対象のキャラクタに発生させる。ここで、特定行動実行手段34は、仮想空間S内を行動する複数のキャラクタのうちの所定のキャラクタ条件を満たす各キャラクタに対して、特定行動による効果として、各キャラクタの行動スタイルに応じて異なる種類の効果を発生させる。
【0056】
本ゲームにおいて、所定のキャラクタ条件は、特定行動を実行するキャラクタと行動を共にする味方キャラクタであること、かつ、当該味方キャラクタが前記特定行動を実行するキャラクタを基準とする所定の領域内に位置することである。これにより、行動を共にする味方キャラクタが近くにいる場合に当該味方キャラクタのそれぞれに対して有利な効果を与えることができる。図3の例においてプレイヤキャラクタP1が特定行動を実行する場合、特定行動の効果が生じ得るのは、プレイヤキャラクタP1自身と、他のプレイヤキャラクタP2および味方NPC N1である。さらに、特定行動の効果が生じる所定の領域として、特定行動を実行するプレイヤキャラクタP1の位置する小領域と同じ小領域に位置していることが特定行動の効果が生じる条件となる。
【0057】
例えば、プレイヤキャラクタP1、プレイヤキャラクタP2および味方NPC N1がともに火山フィールドの第1エリアにいる場合、プレイヤキャラクタP1が特定行動を実行した場合に、何れのキャラクタにも特定行動の効果が発生する。一方、プレイヤキャラクタP1および味方NPC N1が火山フィールドの第1エリアに位置し、プレイヤキャラクタP2が火山フィールドの第2エリアに位置する場合には、プレイヤキャラクタP1が特定行動を実行した場合に、プレイヤキャラクタP1および味方NPC N1には特定行動の効果が発生するが、プレイヤキャラクタP2には特定行動の効果は発生しない。
【0058】
本ゲームにおいて、特定行動実行手段34は、特定行動によって各キャラクタに生じる効果として、各キャラクタを、各行動スタイルに応じた各キャラクタの能力をアップさせる特定行動状態にする。例えば、ギルドスタイルのキャラクタは、特定行動状態である所定の期間、アイテム使用時の動作が早くなる。また、例えば、ストライカースタイルのキャラクタは、特定行動状態である所定の期間、特殊行動のためのポイントが時間経過で上昇する。
【0059】
また、例えば、エリアルスタイルのキャラクタは、特定行動状態である所定の期間、「踏みつけ跳躍」動作の後、低減したスタミナ値の回復が早期に開始する(スタミナ値の回復速度が速くなる)。本ゲームにおいて、キャラクタごとに、キャラクタの持久力を示すパラメータとして所定の行動を実行することにより値が減少するスタミナが設定されている。スタミナ値は所定の行動を実行することにより減少し、所定の動作の実行後、一定期間経過後に時間経過に応じて徐々に増加(回復)する。スタミナ値が所定値以下になるとキャラクタの行動が制限される。エリアルスタイルの「踏みつけ跳躍」動作も所定の行動に含まれている。すなわち、当該動作を実行すると、スタミナ値が減少し、当該動作後一定期間後に当該スタミナ値が時間経過で徐々に回復する。特定行動の効果によって、「踏みつけ跳躍」動作後、低減したスタミナ値が回復を開始するまでの一定期間が短くなる。
【0060】
また、例えば、ブシドースタイルのキャラクタは、「ジャスト回避」動作および「ジャスト防御」動作が行い易くなる。ブシドースタイルのキャラクタは、敵キャラクタからの攻撃を受ける直前の所定期間内にユーザが回避または防御操作を行うと、敵キャラクタからの攻撃を回避または防御しつつその直後に特殊な攻撃アクションを実行することができる。特殊な攻撃アクションは、攻撃の効果が大きい(例えば敵キャラクタに大ダメージを与えることができる)が、操作入力に失敗すると敵キャラクタからの攻撃を受けてしまうリスクが高い。特定行動の効果によって、当該回避または防御操作を受け付ける所定期間が長くなり、操作入力の成功率が高くなる。
【0061】
また、味方NPCにも、特定行動の効果として、当該味方NPC専用の効果が生じる。例えば、味方NPCは、特定行動状態である所定の期間、味方NPCが所持するスキル(特殊能力、特殊攻撃等)の発動率が高くなる。このように、本ゲームにおいて、味方NPCであることは、行動スタイルの1つとして扱われる。
【0062】
図5は、図3において実行された特殊行動が特定行動に設定されている場合のゲーム画面の例を示す図である。図5の例においては、プレイヤキャラクタP1に、図3において実行されている特殊行動が特定行動に設定されている場合を示している。図5に示すように、プレイヤキャラクタP1が図3と同様の特殊行動を実行した場合、プレイヤキャラクタP1の周囲に図3と同様のエフェクト表示Q1が発生し、例えば敵キャラクタEに大ダメージを与える等の当該特殊行動に応じた効果を発生させる。さらに、当該特殊行動は特定行動に設定されているため、プレイヤキャラクタP1自身だけでなく、該当する他のキャラクタP2,N1が特定行動状態に移行する。
【0063】
これにより、各キャラクタP1,P2,N1に対して特定行動の効果が生じると共に、各キャラクタP1,P2,N1の周囲に特定行動に起因するエフェクト表示R1,R2,R3が発生する。これらのエフェクト表示R1,R2,R3は何れも同じであってもよいし、生じる効果によって(すなわち、キャラクタの行動スタイルに応じて)異なっていてもよい。
【0064】
また、特定行動状態となっている所定の期間(特定行動による効果期間)中は、名前表示領域Fに、対応するキャラクタP1,P2,N1が特定行動状態となっていることを示す表示Uを行う。図5の例では、効果期間中、対応するキャラクタP1,P2,N1の名前表示領域Fにおける各名前の横に「SP」の表示Uが点灯または点滅する。
【0065】
なお、図5の例では、特定行動状態となった各キャラクタP1,P2,N1においてそれぞれ生じる特定行動の効果が吹き出しT1〜T3が表示される。このような表示をすることで、どのような特定行動の効果が得られているか把握することができる。しかし、このような表示はなくてもよいし、上述したようにエフェクト表示R1〜R3を、特定行動によって生じる効果に応じて変えることによって特定行動の効果の内容を表示してもよい。
【0066】
上記構成によれば、特定行動を実行した場合の効果が、当該効果が及ぶキャラクタの行動スタイルに対応付けられる。したがって、特定行動を行ったキャラクタ(P1)だけでなく、その他の所定のキャラクタ(P2,N1)に対しても各キャラクタP1,P2,N1の行動スタイルに応じた効果を生じさせることができる。したがって、一のキャラクタの所定の行動により複数のキャラクタのそれぞれに対してより有利な効果を付与することができる。例えば、本ゲームにおいては、一のキャラクタによる1つの特定行動を起因として、各キャラクタに設定される行動スタイルの特徴をより活かす能力アップを実現することができる。
【0067】
また、本実施の形態においては、実行条件を満たした既存の特殊行動の少なくとも1つを実行することにより特定行動が実行される。したがって、既存の通常行動を用いて特定行動を簡単に設定することができる。さらに、ポイントの蓄積によって実行が可能となる特殊行動の実行に応じてこれに設定される特定行動も実行されるため、既存の行動に合わせて特定行動を設定した場合であっても、特定行動が実行される頻度を下げることができ、難易度が過度に低下することを防止することができる。
【0068】
本実施の形態において、特定行動の実行に要するポイント(所定のしきい値)は、特定行動に設定された特殊行動に応じて異なり、しきい値が大きい特殊行動ほど特定行動の実行までに時間がかかる。そして、特定行動実行手段34は、特定行動による効果をしきい値に応じて異なる所定の期間発生させる。すなわち、特定行動に設定された特殊行動を実行するためのしきい値に応じて特定行動による効果期間が変化する。例えば、特殊行動AおよびBが何れも特定行動に設定されている場合において、特定行動に設定された特殊行動Aのしきい値が70ポイントであり、特定行動に設定された特殊行動Bのしきい値が90ポイントであれば、しきい値が大きい特殊行動Bを実行することにより特定行動を実行した場合の特定行動の効果期間は、特殊行動Aを実行することにより特定行動を実行する場合に比べて長くなる。
【0069】
これにより、ポイントを多く貯めてしきい値の大きい特殊行動に基づく特定行動を実行することにより、長い効果期間を得るか、ポイントを早く貯めてしきい値の小さい特殊行動に基づく特定行動を実行することにより、効果期間は短くても早く(高頻度に)効果を得るかをゲーム状況に応じてユーザが選択することができる。したがって、ゲームの戦略性を向上させることができる。
【0070】
[特定行動についての変形例]
上記実施の形態において、特定行動の実行態様についての一例を説明したが、上記実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更、修正が可能である。例えば、特定行動の効果が生じる所定の領域は、特定行動を実行するプレイヤキャラクタP1の位置を基準として都度設定されてもよい。例えば、所定の領域は、プレイキャラクタP1の位置を中心位置とし、当該中心位置から所定距離の範囲内に設定されてもよい。
【0071】
また、一のプレイヤキャラクタP1による特殊行動の実行に起因する特定行動の実行中に他のプレイヤキャラクタP2による特殊行動の実行に起因する特定行動が実行された場合、特定行動実行手段34は、すでに実行中の特定行動の効果期間の残り時間と、後から実行された特定行動の効果期間とを比較し、後から実行された特定行動の効果期間が長ければ、当該後から実行された特定行動の効果期間が終了するまで、特定行動状態を継続させてもよい。なお、特定行動実行手段34は、上記比較の結果、すでに実行中の特定行動の効果期間の残り時間の方が長ければ、当該効果期間の終了時に特定行動状態を終了してもよい。この場合でも、特定行動実行手段34は、特定行動のエフェクト表示R1〜R3を後から実行された特定行動の実行時に表示させてもよい。このような態様に代えて、特定行動実行手段34は、既に実行中の特定行動の効果期間が終了してから後から実行された特定行動の効果期間を開始してもよい。
【0072】
また、特殊行動が各キャラクタの能力変化(状態異常等)を解消する行動である一方、特定行動が各キャラクタの能力を変化させるものである場合、特殊行動の効果を優先して実行し、特定行動の効果は生じさせないとしてもよい。この場合、特定行動のエフェクト表示R1〜R3のみ実行されてもよい。
【0073】
上記実施の形態では、特定行動の効果の基準となる各キャラクタの行動スタイルとして、ギルドスタイル、ストライカースタイル、エリアルスタイルおよびブシドースタイルを含む場合について主に説明したが、これに限られない。例えば、行動スタイルは、各キャラクタの種族(体力値が大きい種族、知性が高い種族等)、および/または職業(剣士、魔法使い、盗賊等)に応じて設定されてもよい。
【0074】
また、上記実施の形態では、特殊行動の実行に付随して特定行動が実行される態様について説明したが、他の行動とは独立した操作入力に基づくプレイヤキャラクタの行動を特定行動として設定してもよい。
【0075】
[アイテム配達]
本実施の形態においては、特定の領域(各戦闘エリア)で行動する際(クエスト中)にプレイヤキャラクタP1が所持可能なアイテム数には上限が設定されている。また、クエスト中に得られるアイテムの数も予め定められている。このため、ユーザの技量、ゲーム本編の状況(敵キャラクタEとの戦闘状況)によっては、アイテムが足りなくなる状態が生じ得る。しかし、アイテム数の上限を緩和したり、上限をなくしてしまうと、ゲームの面白味が低くなり、また、ゲームの難易度が過度に容易になってしまう恐れがある。
【0076】
このような課題に対して、従来、クエスト中にプレイヤキャラクタに対してアイテムが届けられるゲームが存在する。しかしながら、従来のゲームでは、届けられるアイテムはランダムで決定されたアイテムであったり、予めゲーム側で決定されたアイテムであったため、必ずしもユーザが欲しいアイテムが得られていたわけではなかった。
【0077】
そこで、本実施の形態では、アイテム選択手段40が、クエスト開始前の段階においてクエスト中に届けられるアイテム(特定アイテム)をユーザに選択させる。
【0078】
図6は、本実施の形態におけるアイテム配達処理の流れを示すフローチャートである。図6に示すように、アイテム選択手段40は、プレイヤキャラクタP1がアイテム選択を行い得る場所として設定されている所定の場所に到着したか否かを判定する(ステップS1)。例えば、所定の場所は、装備する武器、行動スタイル、特殊行動等を設定できる場所と同じでもよいし、異なっていてもよい。
【0079】
プレイヤキャラクタP1が所定の場所に到着したと判定された場合(ステップS1でYes)、アイテム選択手段40は、アイテム配達設定を行う操作が行われるか否かを判定する(ステップS2)。アイテム配達設定を行う操作が行われた場合(ステップS2でYes)、アイテム選択手段40は、アイテム選択画面を表示し、ユーザにプレイヤキャラクタP1が使用可能な特定アイテムの選択を行わせる(ステップS3)。
【0080】
ユーザが選択可能な特定アイテムは、既にプレイヤキャラクタP1が所持しているアイテムの中から選択される。また、アイテム選択画面で新たにアイテムを購入可能としてもよい。アイテム選択画面において複数種類の特定アイテムを選択可能としてもよい。また、予め複数種類のアイテムが1セットになった複数のアイテムセットの中から何れかのアイテムセットを特定アイテムとして選択することとしてもよい。なお、アイテム配達設定を行う特定アイテム数、特定アイテムの内容等に応じて所定のポイント(ゲーム内通貨等)が消費されてもよい。
【0081】
また、特定アイテムの内容に応じて当該特定アイテムの配達を実行するための配達条件が予め定められている。例えば、配達条件は、クエスト開始からの経過時間に基づいて定められてもよいし、プレイヤキャラクタP1の状態(例えばダウン状態になった回数等)に基づいて定められてもよい。ユーザは、配達条件および対応する特定アイテムと、挑戦しようとしているクエストの内容に基づいて配達を希望する特定アイテムを選択する。例えば、次に挑戦しようと思っているクエストに、ダウン状態になった回数に基づいた配達条件が定められている、敵キャラクタEへの罠アイテムが特定アイテムとして選択される。これにより、ユーザは特定アイテムの選択をより戦略的に行うことができる。
【0082】
アイテム選択画面においては、互いに配達条件が異なる複数種類のアイテムを同時に選択可能としてもよい。
【0083】
キャラクタ制御手段32は、特定アイテム選択終了後、プレイヤキャラクタP1が所定の戦闘エリア(特定の領域)に進入したか否かを判定し(ステップS4)、進入した場合、クエストを開始する。クエスト開始後(ステップS4でYes)、配達条件判定手段38は、事前に選択した特定アイテムに対応付けられた配達条件を満たしたか否かを判定する(ステップS5)。
【0084】
配達条件を満たした場合(ステップS5でYes)、アイテム配達手段39は、アイテム選択画面で選択された特定アイテムのうち、当該配達条件に対応する特定アイテムを戦闘エリア内の所定位置に配達する(ステップS6)。本実施の形態において、アイテム配達手段39は、特定アイテムを配達する所定位置を、プレイヤキャラクタP1の位置を基準として設定する。例えば、戦闘エリアにおいて複数に区分された小領域のうちプレイヤキャラクタP1が位置する小領域と同じ小領域の所定位置に特定アイテムが配達される。
【0085】
特定アイテムが配達されたことは、ゲーム画面D上にテキスト表示を行ったり、ゲーム画面D上に表示可能なマップ上に配達された特定アイテムの位置を示すマーカを表示したりすることによって報知される。配達された特定アイテムの位置には、当該特定アイテムを配達するための配達オブジェクト(ノンプレイヤキャラクタ、乗物等)が表示され、当該オブジェクトにプレイヤキャラクタP1が接触する、または、当該オブジェクトに対してプレイヤキャラクタP1が捜索等の動作を行うことにより、当該特定アイテムを取得することができる。なお、特定アイテムが所定位置に到着後、所定期間経過後は、当該配達された特定アイテムが消滅する(取得不能となる)こととしてもよい。
【0086】
上記構成によれば、クエスト中等のゲーム本編の実行中において、プレイヤキャラクタP1がピンチに陥ったときに当該ピンチを切り抜けることができるようなアイテムをユーザが事前に予想して配達設定することができる。このように、ゲーム本編中に有効活用できそうなアイテムを配達条件と勘案して設定することでゲームの戦略性が高まり、ゲームの面白味も向上させることができる。また、アイテムの所持数の上限を変化させる必要がないため、難易度が過度に低下することも防止できる。
【0087】
本実施の形態においては、マルチプレイの場合であっても、配達される特定アイテムおよび配達オブジェクトは、他のコンピュータと同期しない。すなわち、配達される特定アイテムは、当該特定アイテムを選択したユーザが操作するプレイヤキャラクタP1にしか取得できず、他のユーザには見ることもできない。なお、これに代えて、一のユーザが選択した特定アイテムを他のユーザが操作する他のプレイヤキャラクタにも取得可能なように特定アイテムおよび配達オブジェクトについても複数のコンピュータ間で同期してもよい。
【0088】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更、修正が可能である。
【0089】
上述した説明では、複数のユーザが各自のプレイヤキャラクタを同一の仮想空間S内に登場させ、これらを共同させて行動させるオンラインゲーム(マルチプレイ)について主に例示したが、本発明は、一人のユーザがオフラインゲーム(シングルプレイ)を行う場合においても適用することができる。例えば、仮想空間Sに、一のプレイヤキャラクタP1とともに、上述したような味方NPC N1が存在する場合には、一のプレイヤキャラクタP1および味方NPC N1に関して本発明を適用することができる。
【0090】
上記実施の形態において、特定行動を実行した場合の効果が及ぶキャラクタの条件(所定のキャラクタ条件)は、特定行動を実行するキャラクタと行動を共にする味方キャラクタであること、かつ、当該味方キャラクタが前記特定行動を実行するキャラクタを基準とする所定の領域内に位置することとしたがこれに限られない。例えば、所定のキャラクタ条件は、特定行動を実行するプレイヤキャラクタ(を操作するユーザ)との間に、所定の仲間関係が結ばれている他のプレイヤキャラクタ(を操作する他のユーザ)であることとしてもよい。また、所定のキャラクタ条件は、特定行動を実行するプレイヤキャラクタと同じ武器種を装備した味方キャラクタであることとしてもよい。
【0091】
また、特定行動を実行した場合の効果が及ぶキャラクタには、特定アイテムを配達するための配達オブジェクト(ノンプレイヤキャラクタ)が含まれてもよい。この場合、特定行動による効果は、配達される特定アイテムの質が良くなる(例えばより高い効果の特定アイテムが配達される)または配達される特定アイテムの数が増える等としてもよい。
【0092】
また、所定のキャラクタ条件として所定の領域内に当該効果を受けるキャラクタが位置することを含む場合、特定行動実行時に所定の領域内に位置するキャラクタに対してのみ当該効果を及ぼすこととしてもよいし、特定行動実行後所定の時間内にキャラクタが所定の領域内に位置すれば当該効果が得られるとしてもよい。
【0093】
また、上記ゲームにおいて、プレイヤキャラクタが特定行動を実行する前に、当該プレイヤキャラクタを操作するユーザが、所定のキャラクタ条件を満たす他のプレイヤキャラクタを操作する他のユーザに対して当該特定行動を実行する旨の報知を行う機能を有していてもよい。
【0094】
また、上記実施の形態では携帯型のゲーム装置について説明したが、据え置き型のゲーム装置、携帯電話機、およびパーソナルコンピュータなどのコンピュータについても、本発明を好適に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、一のキャラクタの所定の行動により複数のキャラクタのそれぞれに対してより有利な効果を付与するために有用である。
【符号の説明】
【0096】
31 仮想空間生成手段
32 キャラクタ制御手段
33 行動スタイル付与手段
34 特定行動実行手段
35 実行条件判定手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6