(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-7992(P2018-7992A)
(43)【公開日】2018年1月18日
(54)【発明の名称】転動マッサージ具
(51)【国際特許分類】
A61H 15/00 20060101AFI20171215BHJP
【FI】
A61H15/00 310H
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-148981(P2016-148981)
(22)【出願日】2016年7月11日
(71)【出願人】
【識別番号】591199039
【氏名又は名称】ベス工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】紀伊野 進一
【テーマコード(参考)】
4C100
【Fターム(参考)】
4C100AE02
4C100AE03
4C100AE16
4C100AF04
4C100AF06
4C100BB01
4C100CA02
4C100DA11
(57)【要約】
【課題】転動マッサージ具におけるマッサージ感の向上。
【解決手段】左右一対の転動部2・2が接地した状態の時に身体乗部3を浮いた状態にし、且つ左右一対の転動部2・2の間を屈曲可能に構成することで、身体部位Mを身体乗部3に上から乗せた時に身体乗部3が下方に曲がり、転動部2・2の上側が相互に近づくようにして、身体部位Mの側面や上面も同時にマッサージする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の転動する転がり形状の転動部の間を、身体部位を乗せる身体乗部とし、各前記転動部が接地した状態の時に前記身体乗部は浮いており、前記身体部位を前記身体乗部に上から乗せた時に各前記転動部の上側が相互に近づくよう、左右一対の前記転動部の間を屈曲可能に構成したことを特徴とする転動マッサージ具。
【請求項2】
前記転動部の内側に膨らみ曲面を設けたことを特徴とする請求項1に記載の転動マッサージ具。
【請求項3】
前記身体乗部が部分的に前記身体部位の裏側に接するようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の転動マッサージ具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は身体をマッサージするための転動マッサージ具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の転動マッサージ具には、身体の特定部位を乗せて前後に動かすことで転動し、置いた身体部位の裏側をマッサージする軸状のものがある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
しかし、マッサージが実施されるのは、乗せた身体部位の裏側だけであり、その裏側と共に側面や上面などを同時にマッサージすることができないため、さらなるマッサージ感の向上が課題となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−177467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、転動マッサージ具におけるマッサージ感の向上という点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の転動マッサージ具は、左右一対の転動する転がり形状の転動部の間を、身体部位を乗せる身体乗部とし、各前記転動部が接地した状態の時に前記身体乗部は浮いており、前記身体部位を前記身体乗部に上から乗せた時に各前記転動部の上側が相互に近づくよう左右一対の前記転動部の間を屈曲可能に構成したことを最も主要な特徴とする。
【0007】
また、本発明の転動マッサージ具として、前記転動部の内側に膨らみ曲面を設けてもよい。
【0008】
さらに、本発明の転動マッサージ具として、前記身体乗部が部分的に前記身体部位の裏側に接するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の転動マッサージ具は、前記身体部位を前記身体乗部に上から乗せた時に各前記転動部の上側が相互に近づくよう、左右一対の前記転動部の間を屈曲可能に構成したことを特徴とするため、前記身体乗部に乗せた前記身体部位の裏側をマッサージするだけでなく、各前記転動部の内側で前記身体部位の側面や上面を同時にマッサージすることができ、マッサージ感が従来のものよりも向上する。
【0010】
また、本発明の転動マッサージ具として、前記転動部の内側に膨らみ曲面を設けるなら、前記身体乗部に乗せた前記身体部位の側面や上面に対して押圧感を強めることができ、効果的なマッサージを実施できる。
【0011】
さらに、本発明の転動マッサージ具として、前記身体乗部が部分的に前記身体部位の裏側に接するようにするなら、前記身体部位Mをポイント的に押圧することができ、マッサージ感は向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施の形態における転動マッサージ具の斜視図。
【
図3】同転動マッサージ具の一使用状態を示した斜視図。
【
図4】同転動マッサージ具の一使用状態を示し且つ変形状態の正面図。
【
図5】同転動マッサージ具の一使用状態を示した側面図。
【
図7】同転動マッサージ具の転動部にローラーを設ける場合の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の転動マッサージ具を図面に基づき詳細に説明する。
【0014】
本発明の転動マッサージ具1は、
図1〜
図5の実施形態で示したように、左右一対の転動する転がり形状の転動部2・2と、その間に身体部位Mを乗せる身体乗部3とを備えている。
【0015】
各前記転動部2は、転がり形状として床面などを転がる形状をしているが、図面に示すように例えば円形のもの、詳しくは円盤状のものとするなら床面をスムーズに転動することができる。
【0016】
図2に示すように前記身体乗部3は、各前記転動部2が床面など地面に接地した状態の時に、地面に当接せずに浮いた状態になるようにしている。尚、前記身体乗部3を各前記転動部2の各中心を結ぶ軸形状のものとするなら、前記身体部位Mを乗せて前後に動かす際、前記身体部位Mの裏側をスムーズに転がって滑らかなローリングマッサージを行うことができる。尚、図示しないが前記身体乗部3の適所に押圧突起を設けてもよい。
【0017】
図面では前記身体部位Mとして人の足部を示しているが、本発明の転動マッサージ具1はこれに限らず、脚部や腕部、腰部や背中、首や頭など、様々な身体部位に使用できるものとしている。特に、左右一対の前記転動部2・2の間に入って前記身体乗部3に乗せられる身体部位に使用するのが望ましい。
【0018】
図3〜
図5は、前記身体部位Mの中でも足を前記身体乗部3に上から乗せた状態を示している。本発明の前記転動マッサージ具1の主な特徴として、各前記転動部2が接地した状態の時に前記身体乗部3を浮いた状態にし、且つ左右一対の前記転動部2・2の間を屈曲可能に構成しているため、前記身体部位Mを前記身体乗部3に上から乗せた時に前記身体乗部3が下方に曲がり、その結果、各前記転動部2の上側が相互に近づくようになっている(特に
図4)。このような構成により、前記身体部位Mの裏側を前記身体乗部3でローリングマッサージするだけでなく、各前記転動部2の内側で前記身体部位Mの側面や上面を同時に押圧しながら摩るなどのマッサージを行うことができ、マッサージ感が従来のものよりも向上する。特に、包み込むようにマッサージできるのが大きな特徴となる。
【0019】
尚、従来のマッサージ具として伸縮可能なリング状のものを足に装着し、床面に押し付けながらリングを転動させるよう構成したものがあるが、足に装着する際、手を使ってこれを足に嵌めて装着する必要があり、さらには足の側面や上面などにかかる押圧力を使用者が使用しながら加減することができなかった。
【0020】
しかし、本発明の前記転動マッサージ具1は、床面などに置かれた状態で手を使わずに前記身体乗部3に前記身体部位Mを置くだけで即座に使用することができ、且つ足を乗せる力のかけ具合によって足の側面や上面などにかかる押圧力を加減することができるため、使用者の好みに合ったメリハリのあるマッサージを実施することができるようになっている。
【0021】
左右一対の前記転動部2・2の間を屈曲可能に構成することについて、例えば前記身体乗部3を樹脂やゴムなどで屈曲可能に形成することができる。または、前記身体乗部3のある部分に屈曲可能な部材または機構を介在したり、或いは、前記身体乗部3と各前記転動部2とのそれぞれの間に屈曲可能な部材または機構を介在したりすることができる。
【0022】
本発明の前記転動マッサージ具1として、
図2及び
図4に示すように各前記転動部2の内側に、膨らみ曲面21をそれぞれ設けてもよい。例えば前記転動部2の中央部を最も膨らませて全体的に各前記膨らみ曲面21を設けることができる。また各前記転動部2の周縁は角がなく丸みを帯びた形状にするなら、各前記転動部2はその上側が相互に近づいた状態であってもスムーズに転動することができる。
【0023】
各前記転動部2の内側に各前記膨らみ曲面21を設ける場合、
図6に示す断面から分かるように、各前記転動部2の内側は各押圧点Pを頂点として内側に膨らみ、各前記押圧点Pは前記身体部位Mに対して最も押圧する力がかかるポイントとなってマッサージ感を高めることができる。仮に、各前記転動部2の内側を平坦にすると前記身体部位Mに対して平坦面で押圧することになるため、押圧力が分散されマッサージ感がぼやけることになるが、この問題を各前記膨らみ曲面21によって回避できる。さらに、各前記転動部2の内側に各前記膨らみ曲面21を設けることにより、各前記転動部2の内側で前記身体部位Mを擦る際にスムーズな擦りを実施でき、快適なマッサージを行える。
【0024】
さらに、
図1〜
図6に示すように本発明の転動マッサージ具1として、前記身体乗部3が部分的に前記身体部位Mの裏側に接するようにするなら、前記身体部位Mをポイント的に押圧することができ、マッサージ感は向上する。これを実現するために、例えば前記身体部位Mの裏側で転がりながら押圧する押圧凸部31を前記身体乗部3の中央付近に設けるなら、前記身体部位Mをポイント的に押圧するだけでなく、足裏の横アーチにフィットしこれを保ちながら足をマッサージすることができる。前記押圧凸部31は、前記身体乗部3を軸形状とした場合、その軸形状に串刺ししたような態様で側面から見て円形となる円盤形状のものや前記身体乗部3の長さ方向において二つの円錐形状のそれぞれの頂点を外側に向けてなる形状のものとして設けることができる。または図示しないが、球形のものや側面から見て多角形のものや凸凹形状のものとすることができる。
【0025】
図1〜
図4に示すように前記身体乗部3を軸形状とすると共に、前記押圧凸部31を、一定間隔を存して左右一対に設け、且つそれぞれを円錐形状とする場合、その円錐形状の底部が相互に対向するようにすると、
図4に示すように足裏の横アーチにフィットしこれを保ちながら足をマッサージすることができるし、左右一対の前記押圧凸部31・31の間を屈曲可能にすれば、前記身体部位Mを前記身体乗部3に上から乗せた時に左右一対の前記転動部2・2のそれぞれ上側が相互に近づいて前記身体部位Mを左右から挟み込んでマッサージするのと同様、左右一対の前記押圧凸部31・31のそれぞれ上側が相互に近づくため、前記身体部位Mの裏側を摘まみながらローリングすることができ、マッサージ感は向上する。
【0026】
本発明の前記転動マッサージ具1は、弾性のある樹脂からなる単一の部材で形成してもよい。これにより製造コストを抑えつつ量産が可能となる。その部材として、弾力があり耐久性に優れたオレフィン系エラストマーやシリコーンゴムを採用してもよい。
【0027】
図7に示すように各前記転動部2において、回転軸23を軸として回転するローラー22を複数設けてもよい。各前記回転軸23を各前記転動部2の中心付近から放射状になるように設けるなら、各前記転動部2の内側で前記身体部位Mを擦る際に、各前記ローラー22が回転し、滑らかなローリングマッサージを実施することができる。また、各前記転動部2の内側だけでなく外側においても、各前記ローラー22が前記身体部位Mに当接するよう構成するなら、使用者は前記身体乗部3を持ち、各前記転動部2のどちらかの外側を前記身体部位Mに押し付けて動かすことで各前記ローラー22によるローリングマッサージを実施することができ、本発明の前記転動マッサージ具1はさらに多様なマッサージ具となり得る。
【0028】
左右一対の前記転動部2・2の間に前記身体部位Mが入るその隙間を8〜10cmの間になる大きさとし、前記身体乗部3の前記押圧凸部31を側面から見て円形としてその直径を2〜5cmの間になる大きさとし、各前記転動部2を側面から見て円形としてその直径を5cm〜15cmの間になる大きさとして使用実験した。その結果、前記押圧凸部31の直径と各前記転動部2の直径との比率について、前記押圧凸部31の直径1とした場合、各前記転動部2の直径は2以上の大きさになるよう設定するのが望ましかった。そのような設定により、前記身体部位Mを前記身体乗部3に上から乗せた時に左右一対の前記転動部2・2のそれぞれ上側が相互に近づいて前記身体部位Mを左右から十分に包み込み、且つ正面から見て相互に傾斜した前記転動部2・2が前後に転動しづらくなるまで傾斜することはなく、スムーズな転動を保てた。
【符号の説明】
【0029】
1 転動マッサージ具
2 転動部
21 膨らみ曲面
22 ローラー
23 回転軸
3 身体乗部
31 押圧凸部
M 身体部位
P 押圧点