【解決手段】ステッピングモータ40のマグネットロータ43と磁極板42Aとを密閉ケース8の内側に配設する。コイル部41A,41Bを密閉ケース8の外側に配設する。密閉ケース8の天板81の上に継鉄413Aの拡張部413A1を面接触させ、天板81の内面に磁極板42Aの共通基部42A1を面接触させる。密閉ケース8の側面部82の外周面に継鉄413B,413Cの拡張部413B1,413C1を面接触させ、側面部82の内周面に磁極板42BCの共通基部42BC1を面接触させる。
モータ部と、弁ハウジングに設けられて前記モータ部の回転駆動により弁部材を進退させて弁ポートを開閉する弁機構部と、前記弁ハウジングと共に前記弁機構部を密閉する密閉ケースと、を備えた電動弁において、
前記モータ部のマグネットロータと該マグネットロータの外周に対向する磁極歯とが前記密閉ケースの内側に配設され、前記モータ部のコイル部が前記密閉ケースの外側に配設され、
前記磁極歯を連ねる共通基部が前記密閉ケースの内面に面接触され、前記コイル部の継鉄に、前記共通基部に対向する拡張部であって当該継鉄の厚みより幅の広い拡張部が設けられ、当該拡張部がその対向面にて前記密閉ケースの外面に面接触されて、該拡張部、前記密閉ケース及び前記共通基部が積層されていることを特徴とする電動弁。
前記対向面にて前記拡張部が面接触された前記密閉ケースの外面と、前記共通基部と、前記拡張部とが、前記マグネットロータの回転軸と平行な向きに配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
前記対向面にて前記拡張部が面接触された前記密閉ケースの外面と、前記共通基部と、前記拡張部とが、前記マグネットロータの回転軸と交差する向きに配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器と、を含む冷凍サイクルシステムであって、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電動弁が、前記膨張弁として用いられていることを特徴とする冷凍サイクルシステム。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の電動弁の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は第1実施形態の電動弁の縦断面図、
図2は第1実施形態の電動弁のステータユニットの縦断面図、
図3は第1実施形態の電動弁のステータユニット、密閉ケース及び磁極板の縦断面図、
図4は
図3におけるA−A断面図、
図5は
図3におけるB−B断面図である。なお、以下の説明における「上下」の概念は
図1の図面における上下に対応する。
【0017】
この電動弁100は、「モータ部」としてのステッピングモータ10と、弁機構部50と、弁ハウジング60と、非磁性体からなる密閉ケース9とを備えている。弁ハウジング60はステンレス等で略円筒形状に形成されており、その内側に弁室60Aを有している。弁ハウジング60の外周片側には弁室60Aに導通される第1継手管61が接続されるとともに、下端から下方に延びる筒状部に第2継手管62が接続されている。また、第2継手管62の弁室60A側には弁座部材63が嵌合されている。弁座部材63には、その内側に弁室60Aに連通する円形の弁ポート63aが形成されている。弁ポート63aは軸線Lを中心とする断面形状が円形の形状であり、この弁ポート63aを介して弁室60Aと第2継手管62とが導通可能となっている。
【0018】
弁機構部50は、支持部材51と、弁ホルダ52と、「弁部材」としてのニードル弁53と、作動軸54とを有している。支持部材51は高摺動性の合成樹脂製や高摺動性の焼結金属であり、弁ハウジング60寄りの端部にインサート成形により一体に設けられたステンレス製の固定金具511を有している。そして、支持部材51は、固定金具511により弁ハウジング60の上端に固着されている。
【0019】
支持部材51には軸線L方向に長いガイド孔51aが形成されており、このガイド孔51a内に、円筒状の弁ホルダ52が軸線L方向に摺動可能に嵌合されている。弁ホルダ52は弁室60Aと同軸に設けられ、この弁ホルダ52の下端部にニードル弁53が固着されている。なお、弁ホルダ52内には、バネ受け52aが軸線L方向に移動可能に設けられ、バネ受け52aとニードル弁53との間に圧縮コイルバネ52bが所定の荷重を与えられた状態で取り付けられている。
【0020】
作動軸54は、ステッピングモータ10の後述のマグネットロータ13の中心に固定されており、この作動軸54の外周には雄ねじ部54aが形成されている。また、支持部材51には、軸線Lを中心としてガイド孔51aに貫通するネジ孔内に雌ねじ部51bが形成されており、作動軸54の雄ねじ部54aがこの雌ねじ部51bに螺合されている。そして、弁ホルダ52の上端部は作動軸54の下端部に係合され、弁ホルダ52は作動軸54によって回転可能に吊り下げた状態で支持されている。
【0021】
弁ハウジング60の上端には密閉ケース9が溶接等によって気密に固定されている。密閉ケース9内の上部には、ガイド保持筒91が嵌合され、このガイド保持筒91の中央の円筒部91a内にガイド92が嵌め込まれている。ガイド92は中央にガイド孔92aを有しており、このガイド孔92a内に作動軸54の上端部が回動自在に嵌め込まれている。円筒部91aの外周には、螺旋ガイド線体93が装着されるとともに螺旋ガイド線体93に螺合した可動ストッパ部材94が設けられている。
【0022】
マグネットロータ13には突起部13aが形成されており、マグネットロータ13の回転に伴って突起部13aが可動ストッパ部材94を蹴り回すことにより、可動ストッパ部材94が螺旋ガイド線体93との螺合によって旋回しながら上下動する。そして、可動ストッパ部材94が、螺旋ガイド線体93の下端ストッパ93aに当接することによって、作動軸54の最下端位置での回転ストッパ作用が得られる。また、可動ストッパ部材94が、螺旋ガイド線体93の上端ストッパ93bに当接することによって、作動軸54の最上端位置での回転ストッパ作用が得られる。
【0023】
ステッピングモータ10は、密閉ケース9の内外に設けられている。すなわち、ステッピングモータ10は、密閉ケース9の外周に取り付けられたステータユニット11と、密閉ケース9の内周壁にろう付けや接着、あるいはレーザ溶接、電子ビーム溶接、スポット溶接等の各種溶接、爆発圧着等の適宜な手段により固定され、取り付けられた磁極板12A,12B,12C,12Dと、密閉ケース9の内部で磁極板12A,12B,12C,12Dの内側に回転可能に配設されたマグネットロータ13とで構成されている。すなわち、磁極板12A,12B,12C,12Dはマグネットロータ13に対して対向配置されている。磁極板12A,12B,12C,12Dの外周面は密閉ケース9の内周面に沿うように湾曲して形成されている。密閉ケース9は非磁性、透磁率の低い材質からなり、例えばオーステナイト系ステンレス製である。また、磁極板12A,12B,12C,12Dは透磁率の高い材質からなり、例えば鉄鋼材料である。なお、磁極板12A,12B,12C,12Dは、弁閉状態時のマグネットロータ13における所定の磁極に、後述の磁極歯12a、12b、12c、12dが所定の位置関係で対向するように回転位置を決められて密閉ケース9の内周壁に固定されており、これにより弁閉状態時のステッピングモータ10の原点位置出しが行われている。これらの構成は、後述の各実施形態においても同様である。
【0024】
ステータユニット11は、一対のコイル部11A,11Bを軸線L方向に積層して構成され、各コイル部11A,11Bにおいて、樹脂製のボビン111にステータコイル112が巻装され、ボビン111の両端には磁性体からなる一対の継鉄(ヨーク)113Aと113B、113Cと113Dを、それぞれ備えている。継鉄113A,113B,113C,113Dは、透磁率の高い鉄鋼材料、等からなる。コイル部11Aとコイル部11Bの各継鉄113A,113B,113C,113Dの外周端部が磁性体からなる円筒状のフレーム114内に嵌合され、コイル部11A,11Bはこの磁性体からなる円筒状のフレーム114により一体に固定されている。そして、継鉄113A,113B,113C,113Dと磁性体からなる円筒状のフレーム114は樹脂モールド115によって密閉されている。また、ステータコイル112への通電用リード線116が樹脂モールド115から外部へ引き出されている。
【0025】
各継鉄113A,113B,113C,113Dは、略円環状の形状をしており、その密閉ケース9側の内周縁に、密閉ケース9の外周面に面接触するリム状の拡張部113A1,113B1,113C1,113D1を有している。この第1実施形態では、コイル部11Aの軸線L方向の外側(上部側)の継鉄113Aの拡張部113A1は、このコイル部11Aの外側に向けて形成されている。また、コイル部11Aの軸線L方向の内側(下部側)の継鉄113Bの拡張部113B1は、このコイル部11Aの内側に向けて形成されている。また、コイル部11Bの軸線L方向の外側(下部側)の継鉄113Dの拡張部113D1は、このコイル部11Bの外側に向けて形成されている。また、コイル部11Bの軸線L方向の内側(上部側)の継鉄113Cの拡張部113C1は、このコイル部11Bの内側に向けて形成されている。
【0026】
図3乃至
図5に示すように、磁極板12A,12B,12C,12Dは、密閉ケース9の内側において、コイル部11Aに対応する一対の磁極板12A,12Bと、コイル部11Bに対応する一対の磁極板12C,12Dとして、それぞれの対が組み合うように組み付けられている。各磁極板12A,12B,12C,12Dは、密閉ケース9の内周面に面接触する薄型円筒状の共通基部12A1,12B1,12C1,12D1を有している。なお、コイル部11Aに対応する一対の磁極板12A、12Bおよび、コイル部11Bに対応する一対の磁極板12C、12Dは同一の形状である。
【0027】
コイル部11Aに対応する磁極板12A,12Bは、一方の磁極板12Aが共通基部12A1から磁極板12Bの共通基部12B1に向けて延びる複数の矩形状磁極歯12aを有し、他方の磁極板12Bが共通基部12B1から磁極板12Aの共通基部12A1に向けて延びる複数の矩形状磁極歯12bを有している。また、コイル部11Bに対応する磁極板12C,12Dは、一方の磁極板12Cが共通基部12C1から磁極板12Dの共通基部12D1に向けて延びる複数の矩形状磁極歯12cを有し、他方の磁極板12Dが共通基部12D1から磁極板12Cの共通基部12C1に向けて延びる複数の矩形状磁極歯12dを有している。そして、矩形状磁極歯12aと12b、矩形状磁極歯12cと12dは、互いに等間隔に離間して軸線L回りに配置されている。
【0028】
なお、磁極板12A,12B,12C,12Dは以下のように形成される。例えば
図6に磁極板12A,12Bの例を示すように、プレス加工や打ち抜き加工により、共通基部12A1′,12B1′、矩形状磁極歯12a′、12b′を有する平板状の中間部材12A′,12B′として形成する。そして、
図7に磁極板12Aの例を示すように、曲げ加工により中間部材12A′を丸めることで、磁極板12Aを形成する。磁極板12B,12C,12Dも同様である。また、ステッピングモータ10は二相励磁であるため磁極歯の数は4の倍数が好ましい。
【0029】
各磁極板12A,12B,12C,12Dの共通基部12A1,12B1,12C1,12D1は、コイル部11A及びコイル部11Bの対応する各継鉄113A,113B,113C,113Dの各拡張部113A1,113B1,113C1,113D1にそれぞれ対向して配置されている。また、拡張部113A1,113B1,113C1,113D1の密閉ケース9側の面は、この密閉ケース9の外面に面接触される対向面113A2,113B2,113C2,113D2となっている。そして、共通基部12A1,12B1,12C1,12D1と拡張部113A1,113B1,113C1,113D1とは、密閉ケース9の一部板面を挟むようにして積層されている。また、拡張部113A1,113B1,113C1,113D1は、継鉄113A,113B,113C,113Dの厚みより幅が広くなっている。好ましくは1.5〜3倍がよい。また、共通基部12A1,12B1,12C1,12D1と拡張部113A1,113B1,113C1,113D1とは、軸線L方向の幅が概ね同じにされている。
【0030】
このように構成された磁極板12A,12B,12C,12Dは、ステータコイル112への通電により、継鉄113A,113B,113C,113Dを介して励磁される。例えば、
図8に磁力線を矢印で示すように、コイル部11A側において、ステータコイル112により発生する磁力線は、継鉄113A、ケース9、共通基部12A1、矩形状磁極歯12a、矩形状磁極歯12b、共通基部12B1、ケース9、継鉄113B及び円筒状のフレーム114を通過することで磁気回路を形成する。この場合は、矩形状磁極歯12aがN極、矩形状磁極歯12bがS極に励磁される。なお、
図8(A)はマグネットロータ13が無い仮想的な状態、
図8(B)はマグネットロータ13が有る場合を示している。
【0031】
以上の構成により、ステッピングモータ10では、ステータコイル112へのパルス状の電流の印加によりステータコイル112が磁力線を発生する。そして、交互に電流の方向を変えるパルス信号により、コイル部11Aに対応する磁極板12A,12B、コイル部11Bに対応する磁極板12D,12Cに発生する磁極(N、S極)が交互に変化し、これらの磁極(N、S極)とマグネットロータ13に着磁された円周方向の磁極(N極,S極)との間の磁気吸引力及び磁気反発力によりマグネットロータ13が回転する。なお、マグネットロータ13の回転量はステータコイル112に印加するパルス数に比例した量となる。そして、マグネットロータ13が回転すると、作動軸54の雄ねじ部54aと支持部材51の雌ねじ部51bのネジ送り機構により作動軸54及びニードル弁53が軸線L方向に上下動する。これにより、ニードル弁53が弁ポート63aの開口面積を増減し、第1継手管61から第2継手管62へ、あるいは第2継手管62から第1継手管61へ流れる冷媒の流量を制御する。
【0032】
このように、ステッピングモータ10のマグネットロータ13とマグネットロータ13の外周に対向する磁極歯12a,12b,12c,12dとが密閉ケース9の内側に配設されている。また、ステッピングモータ10のコイル部11A,11Bが密閉ケース9の外側に配設されている。また、磁極歯12a,12b,12c,12dをそれぞれ連ねる共通基部12A1,12B1,12C1,12D1が密閉ケース9の内面に面接触され、コイル部11A,11Bの継鉄113A,113B,113C,113Dに、共通基部12A1,12B1,12C1,12D1に対向する拡張部113A1,113B1,113C1,113D1が設けられている。そして、拡張部113A1,113B1,113C1,113D1が密閉ケース9の外面に面接触されて、拡張部113A1,113B1,113C1,113D1と、密閉ケース9と、共通基部12A1,12B1,12C1,12D1がとが、それぞれ積層されている。したがって、共通基部12A1,12B1,12C1,12D1と継鉄113A,113B,113C,113Dの拡張部113A1,113B1,113C1,113D1とを漏れ磁束を少なく対向することができ、磁気的なロスを生じにくく構成することができる。また、磁極歯12a,12b,12c,12dに対する継鉄113A,113B,113C,113Dの位置合わせに軸線L方向の自由度があるため高い精度を要せず、コイル部11A,11Bの組み付けが容易になる。また、拡張部113A1,113B1,113C1,113D1は絞り加工、プレス加工、あるいは増肉加工等によって形成されており、その内周面は平滑かつ高精度に仕上げられている。
【0033】
図9は第2実施形態の電動弁200のステータユニット、密閉ケース及び磁極板の縦断面図である。以下、第2実施形態乃至第4実施形態において、第1実施形態と同様な要素には
図1乃至
図5と同符号を付記して重複する説明は適宜省略する。
【0034】
この第2実施形態の電動弁200は、「モータ部」としてのステッピングモータ20と、第1実施形態と同様な密閉ケース9と、図示しない弁機構部50と、弁ハウジング60とを備えている。この第2実施形態におけるステッピングモータ20と第1実施形態におけるステッピングモータ10との違いは、コイル部21A,21Bの継鉄213A,213Dの形状と、磁極板22A,22B,22C,22Dの軸線L方向の長さである。
【0035】
ステッピングモータ20は、密閉ケース9の外周に取り付けられたステータユニット21と、密閉ケース9の内周壁に取り付けられた磁極板22A,22B,22C,22Dと、密閉ケース9の内部で磁極板22A,22B,22C,22Dの内側に回転可能に配設された第1実施形態と同様なマグネットロータ23(一点鎖線)とで構成されている。磁極板22A,22B,22C,22Dの外周面は密閉ケース9の内周面に沿うように湾曲して形成されている。密閉ケース9は非磁性、透磁率の低い材質からなり、例えばオーステナイト系ステンレス製である。また、磁極板22A,22B,22C,22Dは透磁率の高い材質からなり、例えば鉄鋼材料である。
【0036】
ステータユニット21は、一対のコイル部21A,21Bを軸線L方向に積層して構成され、各コイル部21A,21Bにおいて、樹脂製のボビン211にステータコイル212が巻装され、ボビン211の両端には磁性体からなる一対の継鉄(ヨーク)213A,213B、一対の継鉄213C,213Dを、それぞれ備えている。継鉄213A,213B,213C,213Dは、透磁率の高い鉄鋼材料、等からなる。コイル部21Aとコイル部21Bの各継鉄213A,213B,213C,213Dの外周端部が磁性体からなる円筒状のフレーム214内に嵌合され、コイル部21A,21Bはこの磁性体からなる円筒状のフレーム214により一体に固定されている。そして、継鉄213A,213B,213C,213Dと磁性体からなる円筒状のフレーム214は樹脂モールド215によって密閉されている。また、ステータコイル212への通電用リード線216が樹脂モールド215から外部へ引き出されている。
【0037】
各継鉄213A,213B,213C,213Dは、略円環状の形状をしており、その密閉ケース9側の内周縁に、密閉ケース9の外周面に面接触するリム状の拡張部213A1,213B1,213C1,213D1を有している。この第2実施形態では、コイル部21Aの軸線L方向の外側(上部側)の継鉄213Aの拡張部213A1は、このコイル部21Aの内側に向けて形成され、コイル部21Bの軸線L方向の外側(下部側)の継鉄213Bの拡張部213B1は、このコイル部21Bの内側に向けて形成されている。なお、第1実施形態と同様に、コイル部21Aの継鉄213Bの拡張部213B1と、コイル部21Bの継鉄213Cの拡張部213C1は、それぞれ、コイル部21A,21Bの内側に向けて形成されている。
【0038】
すなわち、この第2実施形態では、磁極板22A,22B,22C,22Dは密閉ケース9の内側において、コイル部21Aに対応する一対の磁極板22A,22Bと、コイル部21Bに対応する一対の磁極板22C,22Dとして、それぞれの対が組み合うように組み付けられている。各磁極板22A,22B,22C,22Dは、密閉ケース9の内周面に面接触する薄型円筒状の共通基部22A1,22B1,22C1,22D1を有している。なお、コイル部21Aに対応する一対の磁極板22A、22Bおよび、コイル部21Bに対応する一対の磁極板22C、22Dは同一の形状である。
【0039】
コイル部21Aに対応する磁極板22A,22Bは、一方の磁極板22Aが共通基部22A1から磁極板22Bの共通基部22B1に向けて延びる複数の矩形状磁極歯22aを有し、他方の磁極板22Bが共通基部22B1から磁極板22Aの共通基部22A1に向けて延びる複数の矩形状磁極歯22bを有している。また、コイル部21Bに対応する磁極板22C,22Dは、一方の磁極板22Cが共通基部22C1から磁極板22Dの共通基部22D1に向けて延びる複数の矩形状磁極歯22cを有し、他方の磁極板22Dが共通基部22D1から磁極板22Cの共通基部22C1に向けて延びる複数の矩形状磁極歯22dを有している。そして、矩形状磁極歯22aと22b、矩形状磁極歯22cと22dは、互いに等間隔に離間して軸線L回りに配置されている。なお、磁極板22A,22B,22C,22Dは第1実施形態と同様にプレス加工及び曲げ加工により形成される。
【0040】
この第2実施形態でも、各磁極板22A,22B,22C,22Dの共通基部22A1,22B1,22C1,22D1は、コイル部21A及びコイル部21Bの対応する各継鉄213A,213B,213C,213Dの拡張部213A1,213B1,213C1,213D1にそれぞれ対向して配置されている。また、拡張部213A1,213B1,213C1,213D1の密閉ケース9側の面は、この密閉ケース9の外面に面接触される対向面213A2,213B2,213C2,213D2となっている。これにより、共通基部22A1,22B1,22C1,22D1と拡張部213A1,213B1,213C1,213D1とは、密閉ケース9の一部板面を挟むようにして積層されている。また、拡張部213A1,213B1,213C1,213D1は、継鉄213A,213B,213C,213Dの厚みより幅が広くなっている。好ましくは1.5〜3倍がよい。また、共通基部22A1,22B1,22C1,22D1と拡張部213A1,213B1,213C1,213D1とは、軸線L方向の幅が概ね同じにされている。なお、このように構成された磁極板22A,22B,22C,22Dと、ステータコイル212とのマグネットロータ23に対する作用効果は第1実施形態と同様である。さらに、この第2実施形態では、コイル部21A,21Bにおいて、拡張部213A1と拡張部213D1が内向きに折り曲げられているため、ステータユニット21の軸線L方向の長さを短くできる。
【0041】
図10は第3実施形態の電動弁の縦断面図、
図11は第3実施形態の電動弁のインサート成型品及び減速機構の縦断面図、
図12は
図11のA−A矢視図及びB−B矢視図、
図13は第3実施形態の電動弁における磁極板の縦断面図である。この第3実施形態の電動弁300は、「モータ部」としてのステッピングモータ30と、弁機構部50と、弁ハウジング60と、減速機構70と、非磁性体からなる密閉ケース9′とを備えている。
【0042】
弁機構部50は、支持部材51と、弁ホルダ52と、「弁部材」としてのニードル弁53と、作動軸54′とを有している。この第3実施形態における弁機構部50は、作動軸54′以外は第1実施形態と同様である。作動軸54′の外周には雄ねじ部54aが形成され、この雄ねじ部54aは支持部材51の雌ねじ部51bに螺合されている。そして、作動軸54′の上端に、2つの連結孔55a,55aを有する連結板55が固着されている。この弁機構部50は減速機構70を介してステッピングモータ30のマグネットロータ33に連結されている。
【0043】
密閉ケース9′は第1実施形態及び第2実施形態の密閉ケース9より縦長となっている。この密閉ケース9′内には、その上部に第1ホルダ部35が固定されるとともに、その中程に第2ホルダ部36が固定されている。第1ホルダ部35と第2ホルダ部36は樹脂で形成されており、第1ホルダ部35は、密閉ケース9′の内周面に嵌合する縦長椀状の本体部351とこの本体部351の中央に垂下されたガイド352とを有している。また、第2ホルダ部36は、密閉ケース9′の内周面に嵌合する円筒状の本体部361とこの本体部361の中央に立設された円錐状のホルダ部362とを有している。そして、マグネットロータ33の中心に固定されたロータ軸331が第1ホルダ部35のガイド352と第2ホルダ部36のホルダ部362とで支持されることにより、マグネットロータ33は密閉ケース9′内で回転可能に配設されている。
【0044】
第1ホルダ部35のガイド352の中心には、ガイド孔352aが形成されており、このガイド孔352a内にロータ軸331の上端部が回動自在に嵌め込まれている。また、ガイド352の外周には、その外周に螺旋状の突条からなるガイド雄ネジ352bが形成されている。また、ガイド雄ネジ352aの下側一端には下端ストッパ352cが形成され、上端部の外周縁には上端ストッパ352dが形成されている。そして、ガイド352の外周には、ガイド雄ネジ352aに螺合した可動ストッパ部材37が設けられている。マグネットロータ33には突起部33aが形成されており、突起部33a、下端ストッパ352c、上端ストッパ352d及び可動ストッパ部材37により、第1実施形態と同様なストッパ作用が得られる。
【0045】
減速機構70は、第2ホルダ部36の本体部361内に構成され、ロータ軸331に固着されたピニオン71と、第2ホルダ部36の本体部361に設けられたピン72に軸支された二段歯車73と、ロータ軸331の下部に軸支された平歯車74とを備えている。ピニオン71は二段歯車73の大歯車73aに歯合し、二段歯車73の小歯車73bは平歯車74に歯合している。平歯車74は二本の連結ピン74a,74aを備えており、この連結ピン74a,74aは作動軸54′の連結板55の連結孔55a,55aに係合している。
【0046】
以上の構成により、ステッピングモータ30のマグネットロータ33が回転すると、ロータ軸331の回転が減速機構70、連結板55を介して作動軸54′に伝達される。なお、減速機構70により作動軸54′の回転速度が減速されるので、作動軸54′に高いトルク、高い分解能を持つ電動弁300が得られる。この作動軸54′の回転によりニードル弁53が弁ポート63aを開閉する、弁機構部50の作用は第1実施形態と同様である。なお、この実施形態の減速機構70は平歯車等で構成したものであるが、遊星歯車等による減速機構でもよい。
【0047】
ステッピングモータ30は、密閉ケース9′の内外に設けられている。すなわち、ステッピングモータ30は、密閉ケース9′の外周に取り付けられたステータユニット31と、密閉ケース9′の内周壁に取り付けられた磁極板32A,32BC,32Dと、密閉ケース9の内部で磁極板32A,32BC,32Dの内側に回転可能に配設されたマグネットロータ33とで構成されている。磁極板32A,32BC,32Dの外周面は密閉ケース9′の内周面に沿うように湾曲して形成されている。密閉ケース9′は非磁性、透磁率の低い材質からなり、例えばオーステナイト系ステンレス製である。また、磁極板32A,32BC,32Dは透磁率の高い材質からなり、例えば鉄鋼材料である。
【0048】
ステータユニット31は、一対のコイル部31A,31Bを軸線L方向に積層して構成され、各コイル部31A,31Bにおいて、樹脂製のボビン311にステータコイル312が巻装され、ボビン311の両端には磁性体からなる一対の継鉄(ヨーク)313A,313B、一対の継鉄313C,313Dを、それぞれ備えている。継鉄313A,313B,313C,313Dは、透磁率の高い鉄鋼材料、等からなる。コイル部31Aとコイル部31Bの各継鉄313A,313B,313C,313Dの外周端部が磁性体からなる円筒状のフレーム314内に嵌合され、コイル部31A,31Bはこの磁性体からなる円筒状のフレーム314により一体に固定されている。そして、継鉄313A,313B,313C,313Dと磁性体からなる円筒状のフレーム314は樹脂モールド315によって密閉されている。また、ステータコイル312への通電用リード線316が樹脂モールド315から外部へ引き出されている。
【0049】
各継鉄313A,313B,313C,313Dは、略円環状の形状をしており、その密閉ケース9′側の内周縁に、密閉ケース9′の外周面に面接触する拡張部313A1,313B1,313C1,313D1を有している。この第3実施形態では、コイル部31Aの軸線L方向の外側(上部側)の継鉄313Aの拡張部313A1は、このコイル部31Aの内側に向けて形成され、コイル部31Bの軸線L方向の外側(下部側)の継鉄313Bの拡張部313B1は、このコイル部31Bの内側に向けて形成されている。なお、第1実施形態と同様に、コイル部31Aの継鉄313Bの拡張部313B1と、コイル部31Bの継鉄313Cの拡張部313C1は、それぞれ、コイル部31A,31Bの内側に向けて形成されている。
【0050】
磁極板32A,32BC,32Dは密閉ケース9′の内側において、コイル部31Aに対応する磁極板32A,32BCと、コイル部31Bに対応する磁極板32BC,32Dとして、それぞれの対が対向するように組み付けられている。なお、この第3実施形態では、コイル部31A,コイル部31Bのそれぞれの内側の磁極板32BCは一体に形成されて、両コイル部31A,コイル部31Bの共通の磁極板となっている。各磁極板32A,32BC,32Dは、密閉ケース9′の内周面に面接触する薄型円筒状の共通基部32A1,32BC1,32D1を有している。なお、コイル部31Aに対応する磁極板32Aと磁極板32BCの上半分、および、コイル部31Bに対応する磁極板32Dと磁極板32BCの下半分は同一の形状である。
【0051】
コイル部31Aに対応する磁極板32A,32BCは、一方の磁極板32Aが共通基部32A1から磁極板32BCの共通基部32BC1に向けて延びる複数の略台形状磁極歯32aを有し、他方の磁極板32BCが共通基部32BC1から磁極板32Aの共通基部32A1に向けて延びる複数の略台形状磁極歯32bを有している。また、コイル部31Bに対応する磁極板32BC,32Dは、一方の磁極板32BCが共通基部32BC1から磁極板32Dの共通基部32D1に向けて延びる複数の略台形状磁極歯32cを有し、他方の磁極板32Dが共通基部32D1から磁極板32BCの共通基部32BC1に向けて延びる複数の略台形状磁極歯32dを有している。そして、略台形状磁極歯32aと32b、略台形状磁極歯32cと32dは、互いに離間して軸線L回りに配置されている。
【0052】
各磁極板32A,32BC,32Dの共通基部32A1,32BC1,32D1は、コイル部31A及びコイル部31Bの対応する各継鉄313A,313BC,313Dの拡張部313A1,313B1,313C1,313D1にそれぞれ対向して配置されている。また、拡張部313A1,313B1,313C1,313D1の密閉ケース9′側の面は、この密閉ケース9′の外面に面接触される対向面313A2,313B2,313C2,313D2となっている。これにより、共通基部32A1,32BC1,32D1と拡張部313A1,313B1,313C1,313D1とは、密閉ケース9′の一部板面を挟むようにして積層されている。また、拡張部313A1,313B1,313C1,313D1は、継鉄313A,313B,313C,313Dの厚みより幅が広くなっている。。好ましくは1.5〜3倍がよい。また、共通基部32A1,32D1と拡張部313A1,313D1とは、軸線L方向の幅が概ね同じにされ、共通基部32BC1の軸線L方向の幅は、拡張部313B1,313C1を合わせた幅と概ね同じにされている。
【0053】
各磁極板32A,32BC,32Dは、共通基部32A1,32BC1,32D1に対して、略台形状磁極歯32a、略台形状磁極歯32b、略台形状磁極歯32c、略台形状磁極歯32dを、内側(軸線L側)に押し込むことにより形成されている。これにより、磁極板32には段部が形成される。そして、各磁極板32A,32BC,32Dは、第1ホルダ部35の本体部351の位置に配置されて、この第1ホルダ部35にインサート成型されている。また、第2ホルダ部36は別途成型され、第1ホルダ部35内にマグネットロータ33を収容した状態で、第1ホルダ部35及び磁極板32Dの下部に第2ホルダ部36が組み付けられている。このように、磁極板32A,32BC,32Dと第1ホルダ部35及び第2ホルダ部36とがインサート成型により一体化されているが、磁極板32A,32BC,32Dは段部を有しているので、この磁極板32A,32BC,32Dを第1ホルダ部35に対して堅牢に保持することができる。
【0054】
また、第1ホルダ部35と磁極板32A,32BC,32Dと、マグネットロータ33等からなるインサート成型品を構成し、このインサート成型品に第2ホルダ部36を直接組み付けているので、以下の効果が得られる。略台形状磁極歯32a,32b,32c,32dとマグネットロータ33のロータ軸331の同軸度が向上する。また、略台形状磁極歯32a,32b,32c,32dとロータ軸331とを一体に組み立てたあと、密閉ケース9′内部に組み付けるだけの工程で済むため、組立性が向上する。
【0055】
この第3実施形態でも、各磁極板32A,32BC,32Dの共通基部32A1,32BC1,32D1は、コイル部31A及びコイル部31Bの対応する各継鉄313A,313B,313C,313Dの拡張部313A1,313B1,313C1,313D1にそれぞれ対向して配置されている。これにより、共通基部32A1,32BC1,32D1と拡張部313A1,313B1,313C1,313D1とは、密閉ケース9′の一部板面を挟むようにして積層されている。また、共通基部32A1,32BC1,32D1と拡張部313A1,313B1,313C1,313D1とは、軸線L方向の幅が概ね同じにされている。なお、このように構成された磁極板32A,32BC,32Dと、ステータコイル312とのマグネットロータ33に対する作用効果は第1実施形態と同様である。
【0056】
上記第3実施形態における磁極板32A,32BC,32Dは、共通基部32A1,32BC1,32D1と略台形状磁極歯32a,32b,32c,32dとの間に段部を設けるように半打ち出し加工で形成されているが、例えば
図14の変形例に磁極板32Aに対応する磁極板32A′の例を示すように、磁極板32A′は、共通基部32A1′を略台形状磁極歯32a′側に折り曲げるようにして段部を設けるようにしてもよい。また、これらに限らず増肉加工により段部を設けるようにしてもよい。
【0057】
図15は第4実施形態の電動弁の縦断面図、
図16は第4実施形態の電動弁のステータユニット、密閉ケース及び磁極板の縦断面図である。この第4実施形態の電動弁400は、「モータ部」としてのステッピングモータ40と、弁機構部50と、弁ハウジング60と、非磁性体からなる密閉ケース8とを備えている。この第4実施形態と第1実施形態との違いは、ステッピングモータ40におけるコイル部41A,41Bの継鉄413A,413Dの形状と、磁極板42A,42BC,42Dの形状と、密閉ケース8の形状と、弁ハウジング60′の形状であり、その他の構造は第1実施形態と同様である。
【0058】
弁ハウジング60′はステンレス等で略円筒形状に形成されており、第1実施形態における弁ハウジング60よりも縦長に形成されており、その長くした分だけ密閉ケース8の長さが第1実施形態における密閉ケース9より短くなっている。そして、弁機構部50の支持部材51は、固定金具511により弁ハウジング60′の中断の段部に固着されている。
【0059】
密閉ケース8は、天板81を平らにした円筒形状に形成され、側面部82の下端開口部の周囲にフランジ部83を有している。そして、このフランジ部83と弁ハウジング60′の上端との間に後述の磁極板42Dを挟持し、密閉ケース8が弁ハウジング60′の上端に溶接等によって気密に固定されている。
【0060】
密閉ケース8内の天板81の内側には、ガイド保持部91′が固着され、このガイド保持部91′の中央の円筒部91a内にガイド92が嵌め込まれている。ガイド92は中央にガイド孔92aを有しており、このガイド孔92a内に作動軸54の上端部が回動自在に嵌め込まれている。また、円筒部91aの外周には、螺旋ガイド線体93が装着されるとともに螺旋ガイド線体93に螺合した可動ストッパ部材94が設けられている。これらの螺旋ガイド線体93、可動ストッパ部材94、螺旋ガイド線体93の下端ストッパ93a及び上端ストッパ93bは、第1実施形態と同様に回転ストッパ作用をする。なお、この第4実施形態では、マグネットロータ43の突起部43aは、第1実施形態より短く形成されている。
【0061】
ステッピングモータ40は、密閉ケース8の内外に設けられている。すなわち、ステッピングモータ40は、密閉ケース8の外周に取り付けられたステータユニット41と、密閉ケース8の内周壁に取り付けられた磁極板42A,42BC,42Dと、密閉ケース8の内部で磁極板42A,42BC,42Dの内側に回転可能に配設されたマグネットロータ43とで構成されている。すなわち、磁極板42A,42BC,42Dはマグネットロータ43に対して対向配置されている。磁極板42A,42BC,42Dの外周面は密閉ケース8の内周面に沿うように湾曲して形成されている。密閉ケース8は非磁性、透磁率の低い材質からなり、例えばオーステナイト系ステンレス製である。また、磁極板42A,42BC,42Dは透磁率の高い材質からなり、例えば鉄鋼材料である。
【0062】
ステータユニット41は、一対のコイル部41A,41Bを軸線L方向に積層して構成され、各コイル部41A,41Bにおいて、樹脂製のボビン411にステータコイル412が巻装され、ボビン411の両端には磁性体からなる一対の継鉄(ヨーク)413A,413B、一対の継鉄413C,413Dを、それぞれ備えている。継鉄413A,413B,413C,413Dは、透磁率の高い鉄鋼材料、等からなる。コイル部41Aとコイル部41Bの各継鉄413A,413B,413C,413Dの外周端部が磁性体からなる円筒状のフレーム414内に嵌合され、コイル部41A,41Bはこの磁性体からなる円筒状のフレーム414により一体に固定されている。そして、継鉄413A,413B,413C,413Dと磁性体からなる円筒状のフレーム414は樹脂モールド415によって密閉されている。また、ステータコイル412への通電用リード線416が樹脂モールド415から外部へ引き出されている。
【0063】
密閉ケース8の天板81側の継鉄413Aは、円環状の形状をしており、軸線L側に天板81上に延長され、密閉ケース8の天板81の外面に面接触する拡張部413A1を有している。また、コイル部41A,41Bの対向部にある継鉄413B,413Cは、密閉ケース8側の内周縁に、密閉ケース8の側面部82の外周面に面接触するリム状の拡張部413B1,413C1を有している。また、弁ハウジング60′側の継鉄413Dは、密閉ケース8のフランジ部83に面接触する円環状の形状をしている。
【0064】
図16に示すように、磁極板42A,42BC,42Dは密閉ケース8の内側において、コイル部41Aに対応する磁極板42A,42BCと、コイル部41Bに対応する磁極板42BC,42Dとして、それぞれの対が対向するように組み付けられている。なお、この第4実施形態では、コイル部41A,コイル部41Bのそれぞれの内側の磁極板42BCは一体に形成されて、両コイル部41A,コイル部41Bの共通の磁極板となっている。そして、密閉ケース8の天板81側の磁極板42Aは、天板81の内面に面接触する円盤状の共通基部42A1を有している。また、中央の磁極板42BCは、密閉ケース8の側面部82の内周面に面接触する共通基部42BC1を有している。さらに、弁ハウジング60′側の磁極板42Dは、密閉ケース8のフランジ部83に面接触する円盤状の共通基部42D1を有している。なお、コイル部41Aに対応する磁極板42Aと磁極板42BCの上半分、および、コイル部41Bに対応する磁極板42Dと磁極板42BCの下半分は同一の形状である。
【0065】
コイル部41Aに対応する磁極板42A,42BCは、一方の磁極板42Aが共通基部42A1から磁極板42BCの共通基部42BC1に向けて延びる複数の矩形状磁極歯42aを有し、他方の磁極板42BCが共通基部42BC1から磁極板42Aの共通基部42A1に向けて延びる複数の矩形状磁極歯42bを有している。また、コイル部41Bに対応する磁極板42BC,42Dは、一方の磁極板42BCが共通基部42BC1から磁極板42Dの共通基部42D1に向けて延びる複数の矩形状磁極歯42cを有し、他方の磁極板42Dが共通基部42D1から磁極板42BCの共通基部42BC1に向けて延びる複数の矩形状磁極歯42dを有している。そして、矩形状磁極歯42aと42b、矩形状磁極歯42cと42dは、互いに等間隔に離間して軸線L回りに配置されている。
【0066】
図17(A)は磁極板42Aの底面図、
図17(B)は磁極板42Aの側断面図である。磁極板42Aは板金のプレス加工及び曲げ加工により、共通基部42A1から矩形状磁極歯42aを曲げ起こすようにして形成されている。
図18は磁極板42BCの形成時の中間部材を示す図である。磁極板42BCは、まず、板金のプレス加工により中間部材42BC′を形成する。ぞして、前記
図7と同様に曲げ加工により中間部材42BC′を丸めることで、磁極板42BCを形成する。
図19(A)は磁極板42Dの上面図、
図19(B)は磁極板42Dの側断面図である。磁極板42Dは板金のプレス加工及び曲げ加工により、共通基部42D1から矩形状磁極歯42dを曲げ起こすようにして形成されている。
【0067】
各磁極板42A,42BC,42Dの共通基部42A1,42BC1,42D1は、コイル部41A及びコイル部41Bの対応する継鉄413A,413B,413C,413Dの拡張部413A1、拡張部413B1,413C1,にそれぞれ対向して配置されている。また、拡張部413A1,413B1,413C1,413D1の密閉ケース8側の面は、この密閉ケース8の外面に面接触される対向面413A2,413B2,413C2,413D2となっている。これにより、共通基部42A1,42BC1,42D1と拡張部413A1,413B1,413C1,413D1とは、密閉ケース8の一部板面を挟むようにして積層されている。また、拡張部413A1,413B1,413C1,413D1は、継鉄413A,413B,413C,413Dの厚みより幅が広くなっている。好ましくは1.5〜3倍がよい。
【0068】
この第4実施形態でも、各磁極板42A,42BC,42Dの共通基部42A1,42BC1,42D1は、コイル部41A及びコイル部41Bの対応する各継鉄413A,413B,413C,413Dの拡張部413A1,413B1,413C1,413D1にそれぞれ対向して配置されている。これにより、共通基部42A1,42BC1,42D1と拡張部413A1,413B1,413C1,413D1とは、密閉ケース8の一部板面を挟むようにして積層されている。また、共通基部42BC1と拡張部413B1,413C1とは、軸線L方向の幅が概ね同じにされている。なお、このように構成された磁極板42A,42BC,42Dと、ステータコイル412とのマグネットロータ43に対する作用効果は第1実施形態と同様である。
【0069】
この第4実施形態では、継鉄413A、413B、413C、413Dをそれぞれ別部材により形成し、磁性体からなる円筒状のフレーム414に嵌合させる構成としたがこれに限らず、継鉄413Aと円筒状のフレーム414を一体に形成し、継鉄413B、413C、413Dを嵌合させる構成としてもよい。
【0070】
この第4実施形態では、弁ハウジング60′側の継鉄413Dの拡張部413D1は、共通基部42D1と共に密閉ケース8のフランジ部を挟むようにしているが、この部位においても漏れ磁束を小さくすることができる。
【0071】
また、上記第4実施形態では、密閉ケース8において、側面部82が天板81に対して軸線L方向に略直角に延在するような場合について説明したが、側面部が天板に対して直角から傾いたような構造の密閉ケースでもよい。すなわち、継鉄と天板と磁極板とが平行に積層されていれば直角でなくてもよい。
【0072】
図20は実施形態の冷凍サイクルシステムを示す図である。図において、符号100,200,300,400は膨張弁を構成する本発明の各実施形態の電動弁、500は室外ユニットに搭載された室外熱交換器、600は室内ユニットに搭載された室内熱交換器、700は四方弁を構成する流路切換弁、800は圧縮機である。電動弁100,200,300,400、室外熱交換器500、室内熱交換器600、流路切換弁700、及び圧縮機800は、それぞれ導管によって図示のように接続され、ヒートポンプ式の冷凍サイクルを構成している。なお、アキュムレータ、圧力センサ、温度センサ等は図示を省略してある。
【0073】
冷凍サイクルの流路は、流路切換弁700により冷房運転時の流路と暖房運転時の流路の2通りに切換えられる。冷房運転時には、図に実線の矢印で示したように、圧縮機800で圧縮された冷媒は流路切換弁700から室外熱交換器500に流入され、この室外熱交換器500は凝縮器として機能し、室外熱交換器500から流出された冷媒液は電動弁100,200,300,400を介して室内熱交換器600に流入され、この室内熱交換器600は蒸発器として機能する。
【0074】
一方、暖房運転時には、図に破線の矢印で示したように、圧縮機800で圧縮された冷媒は流路切換弁700から室内熱交換器600、電動弁100,200,300,400、室外熱交換器500、流路切換弁700、そして、圧縮機800の順に循環され、室内熱交換器600が凝縮器として機能し、室外内熱交換器500が蒸発器として機能する。電動弁100,200,300,400は、冷房運転時に室外熱交換器500から流入する冷媒液、または暖房運転時に室内熱交換器600から流入する冷媒液を、それぞれ減圧膨張し、さらにその冷媒の流量を制御する。
【0075】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。