特開2018-80846(P2018-80846A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2018080846-真空冷却装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-80846(P2018-80846A)
(43)【公開日】2018年5月24日
(54)【発明の名称】真空冷却装置
(51)【国際特許分類】
   F25D 7/00 20060101AFI20180420BHJP
   F25D 23/00 20060101ALI20180420BHJP
【FI】
   F25D7/00 A
   F25D23/00 306Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-221130(P2016-221130)
(22)【出願日】2016年11月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000130651
【氏名又は名称】株式会社サムソン
(72)【発明者】
【氏名】明尾 伸基
(72)【発明者】
【氏名】西山 将人
(72)【発明者】
【氏名】森 寛
【テーマコード(参考)】
3L044
【Fターム(参考)】
3L044AA04
3L044BA09
3L044CA18
3L044DD04
3L044FA04
3L044FA08
3L044GA02
3L044KA04
3L044KA05
(57)【要約】

【課題】真空配管内の殺菌を確実に行うことのできる真空冷却装置を提供する。
【解決手段】被冷却物を収容する処理槽2、処理槽2と真空配管9によって接続しており処理槽内の気体を吸引する真空発生装置1、真空発生装置1が処理槽2から吸引している気体を途中で冷却する熱交換器4・5を持ち、処理槽内を真空化することで被冷却物の冷却を行う真空冷却装置であって、真空配管9の熱交換器4・5より上流側に洗浄水を供給する上流用洗浄水配管16を接続し、上流用洗浄水配管16の途中には上流用洗浄水弁13を設置しておき、上流用洗浄水配管16から熱交換器4・5へ洗浄用水を供給することができるようにする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被冷却物を収容する処理槽、処理槽と真空配管によって接続しており処理槽内の気体を吸引する真空発生装置、真空発生装置が処理槽から吸引している気体を途中で冷却する熱交換器を持ち、処理槽内を真空化することで被冷却物の冷却を行う真空冷却装置であって、真空配管の熱交換器より上流側に洗浄水を供給する上流用洗浄水配管を接続し、上流用洗浄水配管の途中には上流用洗浄水弁を設置しておき、上流用洗浄水配管から熱交換器へ洗浄用水を供給することができるようにしたことを特徴とする真空冷却装置。
【請求項2】
請求項1に記載の真空冷却装置において、熱交換器は、上流側の第一熱交換器と下流側の第二熱交換器の2段階としており、真空配管の第一熱交換器より上流側に接続する上流用洗浄水配管と、第二熱交換器より下流側に接続する下流用洗浄水配管を設置し、上流用洗浄水配管の途中には上流用洗浄水弁、下流用洗浄水配管の途中には下流用洗浄水弁を設置しておき、洗浄用水を、上流用洗浄水配管から第一熱交換器へと、下流用洗浄水配管から第二熱交換器へ供給することができるようにしたことを特徴とする真空冷却装置。
【請求項3】
請求項2に記載の真空冷却装置において、上流用洗浄水配管及び下流用洗浄水配管の上流用洗浄水弁及び下流用洗浄水弁より上流側に、洗浄水に殺菌作用を持たせるための殺菌剤を添加する殺菌剤供給配管を接続していることを特徴とする真空冷却装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の真空冷却装置において、熱交換器へ供給した洗浄用水を排出する排水管には洗浄水の流出を止める排水遮断弁を設置しておき、熱交換器を洗浄する場合、排水遮断弁を開いて行う流水洗浄と、排水遮断弁を閉じて行う浸け置き洗浄を行えるようにしていることを特徴とする真空冷却装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は処理槽内を真空化し、処理槽内の被冷却物から水分を蒸発させた際に発生する気化熱を利用して被冷却物を冷却する真空冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
処理槽内に加熱調理した食品などの被冷却物を収容しておき、処理槽内を真空化することで被冷却物を冷却する真空冷却装置がある。被冷却物を収容している処理槽内を減圧し、処理槽内での沸点を被冷却物の温度よりも低下させると、被冷却物中の水分が蒸発し、その際に被冷却物から気化熱を奪うため、被冷却物を短時間で冷却することができる。真空冷却装置に使用する真空発生装置としては、水又は蒸気によるエジェクタや水封式又はドライ式の真空ポンプによるものが知られている。真空発生装置にて処理槽内の気体を吸引する場合、吸引気体と同時に被冷却物から発生した蒸気も吸引することになる。しかし、水は液体から気体に変わると体積が大幅に増大するため、蒸気をそのまま真空発生装置に吸引させたのでは、真空発生装置で排出しなければならない気体量が多くなる。その場合、処理槽内の減圧に要する時間が長くなるため、冷却工程時間が長くなってしまう。
【0003】
そのため、特開2014−152982号公報に記載があるように、処理槽内の気体を真空発生装置へ送る真空配管の途中に、真空発生装置が吸引している気体を冷却する熱交換器を設け、真空配管の途中で気体を冷却することが行われている。熱交換器によって気体の冷却を行うと、気体の体積が縮小し、特に蒸気を冷却して液体に戻すと体積は大幅に小さくなるため、真空発生装置が吸引する気体の体積が小さくなり、真空冷却の効率を高めることができる。特開2014−152982号公報に記載の発明では、冷水ユニットによって製造した冷水をためる冷水タンク内に熱交換器の伝熱管を設置した構成であって、冷水タンクの上部から冷水部分を貫通させて冷水タンクの下部まで達するようにしている第一熱交換器と、冷水タンクの下部から冷水部分を貫通させて冷水タンクの上部まで達するようにしている第二熱交換器を設け、第一熱交換器と第二熱交換器は冷水タンクの下部で連結した構造としている。
【0004】
食品を冷却する真空冷却装置の場合、処理槽内だけでなく真空配管内や熱交換器内も清潔に保つことが必要であるが、熱交換器は内部の構造が複雑であるため洗浄し難い。そして、熱交換器内の殺菌を行う場合の殺菌方法としては、熱交換器内に蒸気や供給することができるようにしておき、熱によって殺菌することが行われていた。真空配管内を加熱することで殺菌を行うことができるが、熱交換器内の流路が長い、又は流路の構成部材の比熱が異なることによって温度ムラが発生するなどにより、殺菌が不十分になることがあるとの問題があった。また、真空冷却装置のドレン配管などの排水配管では、経済性によって塩ビ配管が用いられることが多いが、蒸気での加熱による殺菌を行う場合には、排水配管も耐熱性の配管施工が必要となるため、コストの上昇を招くことになることも問題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−152982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、真空冷却装置において、真空配管内の洗浄や殺菌をムラなく確実に行うことのできる真空冷却装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、被冷却物を収容する処理槽、処理槽と真空配管によって接続しており処理槽内の気体を吸引する真空発生装置、真空発生装置が処理槽から吸引している気体を途中で冷却する熱交換器を持ち、処理槽内を真空化することで被冷却物の冷却を行う真空冷却装置であって、真空配管の熱交換器より上流側に洗浄水を供給する上流用洗浄水配管を接続し、上流用洗浄水配管の途中には上流用洗浄水弁を設置しておき、上流用洗浄水配管から熱交換器へ洗浄用水を供給することができるようにしたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記の真空冷却装置において、 熱交換器は、上流側の第一熱交換器と下流側の第二熱交換器の2段階としており、真空配管の第一熱交換器より上流側に接続する上流用洗浄水配管と、第二熱交換器より下流側に接続する下流用洗浄水配管を設置し、上流用洗浄水配管の途中には上流用洗浄水弁、下流用洗浄水配管の途中には下流用洗浄水弁を設置しておき、洗浄用水を、上流用洗浄水配管から第一熱交換器へと、下流用洗浄水配管から第二熱交換器へ供給することができるようにしたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記の真空冷却装置において、上流用洗浄水配管及び下流用洗浄水配管の上流用洗浄水弁及び下流用洗浄水弁より上流側に、洗浄水に殺菌作用を持たせるための殺菌剤を添加する殺菌剤供給配管を接続していることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記の真空冷却装置において、熱交換器へ供給した洗浄用水を排出する排水管には洗浄水の流出を止める排水遮断弁を設置しておき、熱交換器を洗浄する場合、排水遮断弁を開いて行う流水洗浄と、排水遮断弁を閉じて行う浸け置き洗浄を行えるようにしていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明を実施することで、真空配管の熱交換器内を洗浄殺菌することができ、被冷却物が汚染されることなく冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施例における真空冷却装置のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施例を図面を用いて説明する。図1は本発明の実施例における真空冷却装置のフロー図である。真空冷却装置は、処理槽2、真空発生装置1、第一熱交換器4、第二熱交換器5、冷水ユニット3、冷水タンク10などからなっている。真空冷却装置は、処理槽2の内部を真空化することによって、処理槽2に収容した被冷却物(高温の食品)から水分を蒸発させ、その際に発生する気化熱の作用によって冷却を行う。
【0014】
処理槽2と真空発生装置1の間は、真空配管9によって接続しておき、真空発生装置1を作動することによって処理槽2内の気体を排出する。このとき、処理槽2内の気体とともに被冷却物から発生した蒸気も真空発生装置1で吸引するようにしていると、真空発生装置1が吸引しなければならない気体の容積が大きくなり、処理槽2内の減圧に時間が掛かることになるため、冷却時間が長くなる。そのため真空配管9の途中には熱交換器を設けておき、真空発生装置1が吸引している気体や気体中に含まれている蒸気を熱交換器で冷却することによって、吸引しなければならない気体の体積を縮小している。
【0015】
熱交換器は、上流側の第一熱交換器4と下流側の第二熱交換器5の2段階とし、冷水タンク10内に設けている。第一熱交換器4と下流側の第二熱交換器5の伝熱管は、冷水タンク10の水部を貫通させるようにして設置している。第一熱交換器4の上部には処理槽2から吸引してきた気体を第一熱交換器4の複数の伝熱管に分散させるための上部分散室、第二熱交換器5の上部には第二熱交換器5の複数の伝熱管を流れてきた気体を集合させる上部集合室を設ける。
【0016】
冷水タンク10は直方体形状であって、冷水ユニット3との間を冷却用水配管7によって接続しておき、冷水ユニット3で発生させた冷水をためておくものである。冷却用水配管7は、冷水ユニット3と冷水タンク10の間で冷水を循環させることができるようにしており、冷却用水配管7の途中には循環ポンプ8を設けている。冷水タンク10の下部には、第一熱交換器4の複数の伝熱管に分かれて流れてきた気体を集合させる下部集合室を設ける。下部集合室は、冷水タンク10の下部で気体流をターンさせて第二熱交換器5へ流すものであり、下部集合室の天井面は冷水タンクの底板としており、第一熱交換器4及び第二熱交換器5の伝熱管下端は下部集合室まで達する構成としている。下部集合室の底部にはドレン配管を接続しておき、熱交換器で発生した凝縮水(ドレン)はドレン配管を通して下方に設けているドレンタンク6へ送ることができるようにしておく。ドレン配管の途中には排水遮断弁19を設置しておき、排水遮断弁19の開閉で排水の操作を行う。
【0017】
処理槽2からの真空配管9は第一熱交換器4の上部分散室に接続し、真空発生装置1へ接続している真空配管9は第二熱交換器5の上部集合室に接続しておき、処理槽2から吸引してきた気体は、第一熱交換器4と第二熱交換器5を通った後に真空発生装置1へ達するようにしておく。第一熱交換器4は上部分散室と下部集合室の間を多数の伝熱管でつなぎ、第二熱交換器5も上部集合室と下部集合室の間を多数の伝熱管でつないでいるものである。そのため、処理槽2から取り出された気体は、上部分散室から第一熱交換器4の伝熱管に分かれて進み、冷水タンク10の下方に設けている下部集合室に入ることで集合する。その後、下部集合室でターンした後に再び第二熱交換器5の伝熱管に分かれて進み、上部集合室13で集合した後に真空発生装置1に向かうことになる。第一熱交換器4及び第二熱交換器5の伝熱管は、冷水タンク10の水部を貫通させて設置しているため、伝熱管の外側は冷水タンク10の冷水に接している。
【0018】
真空配管9の処理槽2と第一熱交換器4の間に上流真空弁11、真空配管9の第二熱交換器5と真空発生装置1の間に下流真空弁12を設置しておき、真空配管9は上流真空弁11と下流真空弁12で閉鎖できるようにしている。また真空配管9には、第一熱交換器4および第二熱交換器5の洗浄と殺菌を行うための洗浄水配管を接続しておく。洗浄水配管は、真空配管9の上流真空弁11から第一熱交換器4までの間に接続する上流用洗浄水配管16と、第二熱交換器から下流真空弁12までの間に接続する下流用洗浄水配管17を設置している。上流用洗浄水配管16の接続部と、下流用洗浄水配管17の接続部は、第一熱交換器4及び第二熱交換器5よりも高い位置としておき、洗浄水は第一熱交換器4及び第二熱交換器5の上方から下方へ自然に流れるようにしておく。
【0019】
そして上流用洗浄水配管16の途中には上流用洗浄水弁13、下流用洗浄水配管17の途中には下流用洗浄水弁14を設置しておき、洗浄水を流す時のみ上流用洗浄水弁13と下流用洗浄水弁14を開くようにしておく。上流用洗浄水配管16及び下流用洗浄水配管17の上流用洗浄水弁13及び下流用洗浄水弁14より上流側部分には、洗浄水に殺菌作用を持たせるための殺菌剤を添加する殺菌剤供給配管18を設置している。洗浄水に殺菌作用をもたせるために添加するものとしては、次亜塩素酸ナトリウムが広く用いられている。もちろん殺菌作用のあるものであればよいため、この殺菌剤は次亜塩素酸ナトリウムに限られるものではない。また、殺菌剤供給配管18を通して中性洗剤等の洗浄成分も添加できるようにしておいてもよい。殺菌剤供給配管18には殺菌剤供給弁15を設置しており、殺菌剤供給弁15によって殺菌剤の供給を調節する。
【0020】
実施例での運転動作を説明する。真空冷却をする場合は、処理槽2内に被冷却物を収容し、処理槽2を密閉しておく。上流用洗浄水弁13、下流用洗浄水弁14、殺菌剤供給弁15は、洗浄時に開くものであり、冷却時には閉じておく。真空発生装置1、冷水ユニット3、循環ポンプ8の各機器類を作動することで真空冷却運転を行うと、処理槽2内の気体が真空配管9を通して真空発生装置1から取り出され、処理槽2内の圧力が低下していく。処理槽内の圧力が低下すると、処理槽2内に収容している被冷却物から水分が蒸発し、水分が蒸発する際には周囲から気化熱を奪うため、被冷却物の温度は急激に低下していく。
【0021】
真空配管9を通して送られてきた気体は、第一熱交換器4の上部分散室から複数の伝熱管に分岐して下向きに流れ、下部集合室へ向かう。伝熱管は低温の冷水をためた冷水タンク10に設置しているものであり、伝熱管の外側表面は冷水に接しているために伝熱管では周囲から冷却されている。そのため伝熱管内を流れる気体は、伝熱管の周囲から冷却されながら進むことになる。第一熱交換器4内を下向きに流れた気体は、下部集合室でターンして第二熱交換器5内を上向きに流れる。第二熱交換器5の伝熱管も周囲で冷水と接しているために第二熱交換器5内を流れる気体は更に冷却される。
【0022】
第一熱交換器4及び第二熱交換器5で気体の冷却を行うと、気体中に含まれていた蒸気が凝縮し、凝縮水は伝熱管内側表面を伝わり落ちて伝熱管の下方にある下部集合室へ流れ落ちる。下部集合室の底部に流れ落ちた凝縮水は、下部集合室の底部に接続しているドレン配管を通して下方に設置しているドレンタンク6へ流れ落ちていく。蒸気が凝縮水になると体積は大幅に小さくなるため、処理槽2から吸引してきた気体は第一熱交換器4で体積を縮小させ、第二熱交換器5でさらに体積を縮小させる。そのため、第二熱交換器5で必要な気体流路の断面積は、第一熱交換器4に比べると小さくなっており、第二熱交換器の伝熱管設置数は第一熱交換器4よりも少なくすることができる。気体の体積が小さくなると、真空発生装置1で排出しなければならない気体量が少なくなるため、より早く処理槽2内の圧力を低下することができ、冷却に要する時間を短縮させることができる。冷却が終了すると、真空発生装置1などを停止し、処理槽2内に大気を導入することで処理槽内を大気圧に戻す。処理槽内が大気圧に戻ると、処理槽の扉を開くことができるようになり、処理槽2内から被冷却物を取り出すことができる。
【0023】
1日の冷却工程が終了した後のタイミングで真空冷却装置の洗浄を行う。第一熱交換器4及び第二熱交換器5で洗浄や殺菌を行う場合、上流真空弁11と下流真空弁12は閉じておき、上流用洗浄水弁13と下流用洗浄水配管17を開くことで洗浄水の供給を行う。洗浄の場合は水に洗剤を添加した洗浄水を供給し、殺菌の場合は水に殺菌剤を添加した殺菌用水を供給する。殺菌する場合は殺菌剤供給弁15を開くことで洗浄水に次亜塩素酸ナトリウム等の殺菌剤を添加して洗浄水に殺菌作用を持たせる。洗浄水(殺菌水)は、上流用洗浄水配管16を通して上流真空弁11と第一熱交換器4の間に送るものと、下流用洗浄水配管17を通して第二熱交換器5と下流真空弁12の間に送るものの2系統で供給する。図中では洗浄水の流れは黒塗りの矢印で示している。
【0024】
上流用洗浄水配管16を通して送った洗浄水は、第一熱交換器4の上部に設けている上部分散室に入って、上部分散室と接続している複数の伝熱管に分散し、伝熱管内を下向きに流れて伝熱管の下方にある下部集合室へ流れ落ちる。下流用洗浄水配管17を通して送った洗浄水は、第二熱交換器5の上部に設けている上部集合室に入って、上部集合室と接続している複数の伝熱管に分散し、伝熱管内を下向きに流れて伝熱管の下方にある下部集合室へ流れ落ちる。洗浄水はその後、下部集合室からドレンタンク6へ流れ落ち、ドレンの排出と同様のルートで排水される。下部集合室とドレンタンク6の間で配管に設置している排水遮断弁19を開いていると、洗浄は流水洗浄となり、排水遮断弁19を閉鎖しておけば、第一熱交換器4と第二熱交換器5を浸け置き洗浄(殺菌)することができる。またドレンタンク6の下流側で配管を閉鎖すればドレンタンク6も含めて浸け置き洗浄(殺菌)することができる。
【0025】
殺菌剤を含んだ洗浄水を上流用洗浄水配管16と下流用洗浄水配管17の2系統から供給することで、殺菌ムラを発生することなく、第一熱交換器4と第二熱交換器5の全体を殺菌することができる。また、洗浄水配管は上流用洗浄水配管16と下流用洗浄水配管17に分岐しているが、洗浄水の供給を制御する洗浄水弁は、上流用洗浄水配管16と下流用洗浄水配管17に分岐した以降の部分に設置する。そして殺菌剤供給配管18は、上流用洗浄水弁13および下流用洗浄水弁14より上流側の洗浄水配管に接続する。
【0026】
洗浄水の供給を制御するだけであれば、洗浄水弁は分岐前の洗浄水配管に設置してもよいが、分岐前の洗浄水配管に洗浄水弁を設置した場合、真空配管9の第一熱交換器4よりも上流側と第二熱交換器5よりも下流側が、上流用洗浄水配管16と下流用洗浄水配管17によって繋がることになる。その場合、真空冷却工程時には、処理槽2から吸引してきた空気が洗浄水配管内を流れ、第一熱交換器4及び第二熱交換器5を通らずに真空発生装置1へ送られることになり、空気流量を冷却することによる体積の縮小が行えないため、減圧の効率が低下することになる。
【0027】
分岐後の上流用洗浄水配管16と下流用洗浄水配管17にそれぞれ上流用洗浄水弁13と下流用洗浄水弁14を設置し、殺菌剤供給配管18も上流用洗浄水弁13及び下流用洗浄水弁14より上流側に設置したものであると、真空冷却工程時に処理槽2から吸引してきた空気は、上流用洗浄水弁13及び下流用洗浄水弁14によって閉鎖されているために洗浄水配管の上流側を回ることはなくなる。そのため、処理槽2から吸引してきた空気は、第一熱交換器4と第二熱交換器5を通って冷却されることになり、空気の体積を縮小することができるため、効率よく減圧を行うことができ、冷却に要する時間を短縮することができる。
【0028】
なお、本発明は以上説明した実施例に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
【0029】
1 真空発生装置
2 処理槽
3 冷水ユニット
4 第一熱交換器
5 第二熱交換器
6 ドレンタンク
7 冷却用水配管
8 循環ポンプ
9 真空配管
10 冷水タンク
11 上流真空弁
12 下流真空弁
13 上流用洗浄水弁
14 下流用洗浄水弁
15 殺菌剤供給弁
16 上流用洗浄水配管
17 下流用洗浄水配管
18 殺菌剤供給配管
19 排水遮断弁
図1