【解決手段】価格見積もりシステム100は、製品の形状に関する3次元データの入力を受け付ける入力部10と、前記3次元データに基づき、仮想空間に配置された前記製品を所定の視点から見た外観を示す2次元画像を生成し、前記2次元画像から入力画像情報を生成する画像情報生成部20と、前記入力画像情報と共通の形式を有する複数の既存製品画像情報を記憶する記憶部50と、前記入力画像情報に対する類似度に基づき、前記複数の既存製品画像情報から1以上の既存製品画像情報を選択する選択部30と、選択された1以上の前記既存製品画像情報に関連付けられた価格情報に基づくデータを出力する出力部60と、を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の価格見積もり装置では、見積もり精度が高くなかった。即ち、加工物品情報が3次元データであるため冗長性があり、加工物品の特徴部分とは異なる部分のデータ内容を含む。そのため、3次元データを作成する人、ソフト、規格などの相違によって、その加工物品の特徴部分とは異なる部分のデータ内容が異なり、その結果として、見積もり精度が高くなかった。
【0005】
本開示は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、見積もり精度の高い価格見積もりシステムを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示に係る価格見積もりシステムは、製品の形状に関する3次元データの入力を受け付ける入力部と、前記3次元データに基づき、仮想空間に配置された前記製品を所定の視点から見た外観を示す2次元画像を生成し、前記2次元画像から入力画像情報を生成する画像情報生成部と、前記入力画像情報と共通の形式を有する複数の既存製品画像情報を記憶する記憶部と、前記入力画像情報に対する類似度に基づき、前記複数の既存製品画像情報から1以上の既存製品画像情報を選択する選択部と、選択された1以上の前記既存製品画像情報に関連付けられた価格情報に基づくデータを出力する出力部と、を含む、価格見積もりシステム。
【0007】
(2)上記(1)の価格見積もりシステムは、前記画像情報生成部が生成する前記入力画像情報が、入力特徴ベクトルを含み、前記記憶部が記憶する前記複数の既存製品画像情報が、既存特徴ベクトルを含み、前記選択部が、前記入力特徴ベクトルと前記既存特徴ベクトルとの類似度を判断して、前記既存製品画像情報を選択してもよい。
【0008】
(3)上記(2)の価格見積もりシステムにおいて、前記画像情報生成部が、複数の前記2次元画像から、入力特徴ベクトルの和集合を含む入力画像情報を生成してもよい。
【0009】
(4)上記(1)〜(3)の価格見積もりシステムにおいて、前記入力画像情報が、深度情報を含んでもよい。
【0010】
(5)上記(1)〜(3)の価格見積もりシステムにおいて、前記入力画像情報が、断面画像情報を含んでもよい。
【0011】
(6)上記(1)〜(5)の価格見積もりシステムにおいて、前記価格情報に基づくデータは、前記価格情報そのもの、または複数の価格情報の平均値であってもよい。
【0012】
(7)本開示に係る価格見積もり方法は、製品の形状に関する3次元データの入力を受け付ける入力ステップと、前記3次元データに基づき、仮想空間に配置された前記製品を所定の視点から見た外観を示す2次元画像を生成し、前記2次元画像から入力画像情報を生成する画像情報生成ステップと、前記入力画像情報と共通の形式を有する複数の既存製品画像情報を記憶する記憶ステップと、前記入力画像情報に対する類似度に基づき、前記複数の既存製品画像情報から1以上の既存製品画像情報を選択する選択ステップと、選択された1以上の前記既存製品画像情報に関連付けられた価格情報に基づくデータを出力する出力ステップと、を含む。
【0013】
(8)本開示に係るプログラムは、コンピュータに、製品の形状に関する3次元データの入力を受け付ける入力ステップと、前記3次元データに基づき、仮想空間に配置された前記製品を所定の視点から見た外観を示す2次元画像を生成し、前記2次元画像から入力画像情報を生成する画像情報生成ステップと、前記入力画像情報と共通の形式を有する複数の既存製品画像情報を記憶する記憶ステップと、前記入力画像情報に対する類似度に基づき、前記複数の既存製品画像情報から1以上の既存製品画像情報を選択する選択ステップと、選択された1以上の前記既存製品画像情報に関連付けられた価格情報に基づくデータを出力する出力ステップと、を実行させる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1の実施形態]
本開示の実施形態について、図面を用いて以下に説明する。
【0016】
図1は、本実施形態に係る価格見積もりシステムの概略図である。
【0017】
図1に示すように、価格見積もりシステム100はサーバー装置であり、依頼者のコンピュータ等とデータの送受信を行う通信部70と、価格見積もりシステム100全体を制御する制御部40と、当該制御に用いられるプログラムや、過去の加工製品情報である複数の既存製品画像情報300等を記憶する記憶部50と、を含む。本開示において、3次元データとは、例えば3次元CAD(computer-aided design)データ、3次元CG(computer graphics)データ等を含む。
【0018】
(通信部70)
通信部70は、有線又は無線により、依頼者のコンピュータとデータの送受信を行う。通信部70は、例えばLAN(Local Area Network)、Wi−Fi(Wireless Fidelity、登録商標)、電話回線、ブロードバンドネットワーク等を用いて、外部機器と直接又は間接的に通信する。
【0019】
(制御部40)
制御部40は、記憶部50に保存された各種プログラムに従って、価格見積もりシステム100の動作全般を制御する。制御部40は、例えばCPU(Central Processing Unit)、マイクロプロセッサ等の電子回路によって実現される。なお、制御部40は、使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶するROM(Read Only Memory)および適宜変化するパラメータ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)を含んでいてもよい。
【0020】
制御部40は、見積対象製品200の形状に関する3次元データの入力を受け付ける入力部10と、3次元データに基づき、仮想空間に配置された前記製品を所定の視点から見た外観を示す2次元画像を生成し、この2次元画像から入力画像情報を生成する画像情報生成部20と、記憶部50に保存された複数の既存製品画像情報300の中から、入力画像情報と類似度に基づき、1以上の既存製品画像情報を選択する選択部30と、選択された既存製品画像情報に関連付けられた価格情報に基づくデータを出力する出力部60と、を含む。
【0021】
(入力部10)
入力部10は、見積対象製品200の見積もり依頼する依頼者から、見積対象製品200の形状に関する3次元データの入力を受け付ける。3次元データの入力は、例えば、依頼者が、サーバー装置である価格見積もりシステム100にアクセスし、上述した通信部70を経由して3次元データを入力部10に入力することにより行われる。なお、価格見積もりシステム100のユーザが、依頼者からメール、記録媒体などを介して入手した3次元データを、通信部70を経由することなく、入力部10に直接入力することも可能である。
【0022】
(画像情報生成部20)
画像情報生成部20は、入力部10に入力された3次元データに基づき、仮想空間に配置された見積対象製品200を所定の視点から見た外観を示す、2次元画像を生成し、この2次元画像から入力画像情報を生成する。
【0023】
本実施形態においては、
図2、
図3に示すような見積対象製品200の3次元データが入力部10に入力された場合について説明する。
図2は、仮想空間に配置された見積対象製品200の斜視図であり、
図3は、見積対象製品200を展開した六面図である。本実施形態において、見積対象製品200は立方体であり、第1の面200AにはA文字形状の凹部が、第2の面200BにはB文字形状の凹部が、第3の面200CにはC文字形状の凹部が、第4の面200DにはD文字形状の凹部が、第5の面200EにはE文字形状の凹部が、第6の面200FにはF文字形状の凹部が、形成されている。
【0024】
本実施形態においては、画像情報生成部20が、3次元データに基づき、仮想空間に配置された見積対象製品200について、隣り合う方向が互いに直角である6方向から見た外観を示す、2次元画像を生成する。更にこの2次元画像から、第1の面200Aから第6の面200Fまでの入力特徴ベクトルを抽出し、それらの和集合を算出する。
【0025】
具体的には、まず、画像情報生成部20が、仮想空間における投影中心と見積対象製品200との間に配置された投影面において投影される見積対象製品200の第1の面200A、第2の面200B、第3の面200C、第4の面200D、第5の面200E、第6の面200Fの投影画像を2次元画像として生成する。次に、この6つの画像から、各画像に含まれる所定の局所特徴を検出し、その検出量を示す局所特徴量を抽出する。この所定の局所特徴は、記憶部50に保存されている。
【0026】
そして、画像情報生成部20は、第1の面200A、第2の面200B、第3の面200C、第4の面200D、第5の面200E、第6の面200Fの外観を示す6つの2次元画像において検出された局所特徴量を足し合わせ、
図4に示す入力特徴ベクトルの和集合500を得る。
図4における横軸は、各局所特徴を示し、縦軸は、第1の面200Aから第6の面200Fまでにおいて検出された各局所特徴量の合計を示している。この
図4に示す入力特徴ベクトルの和集合500が、6面の外観を示す2次元画像から生成した入力画像情報に含まれる。
【0027】
ここで、本実施形態においては、入力特徴ベクトルを抽出する際に、各面内における局所特徴を抽出するため、例えば、第1の面200AにおけるA文字形状の凹部が第1の面200A内において異なる位置に配置されていたとしても、また回転して配置されていたとしても、同じ入力特徴ベクトルが抽出される。更に、本実施形態においては入力画像情報が特徴ベクトルの和集合500を含むため、画像情報生成部20が生成する第1の面200A、第2の面200B、第3の面200C、第4の面200D、第5の面200E、第6の面200Fの2次元画像の生成順が異なったとしても、同じ特徴ベクトルの和集合500を得ることができる。そのため、後述する選択部30において、複数の面に関する既存製品画像情報と複数の面に関する入力画像情報とを比較する際に有益である。
【0028】
なお、本実施形態においては、6つの画像に含まれた局所特徴量を一度に足し合わせ、
図4に示す入力特徴ベクトルの和集合500を得たが、第1ステップとして、各画像における局所特徴量を算出し、各画像における入力特徴ベクトルを得た後に、第2ステップとして6つの入力特徴ベクトルを足し合わせ、
図4に示す入力特徴ベクトルの和集合500を得てもよい。
【0029】
なお、本実施形態においては、画像情報生成部20が生成する画像情報が、6方向からの画像情報の和集合500である例を示したが、1方向や、2方向、4方向その他の複数方向からの画像情報の和集合であってもよく、深度情報が含まれたデプスマップであってもよく、又は、見積対象製品200の複数位置における断面画像情報であってもよい。また、画像情報生成部20が生成する画像情報は、複数種類の情報(例えば、画像情報と断面画像情報)を含む情報であってもよい。
【0030】
このように、画像情報生成部20において、冗長性のある3次元データを、一旦2次元画像に変換することにより、3次元データが持つ冗長性を排除することができる。また、3次元データから2次元画像情報に変換する際に冗長性を排除しているため、この2次元画像情報からベクトル形式の入力特徴ベクトルを抽出しても冗長性が排除されたデータとなっている。
【0031】
更に、本実施形態においては、画像情報生成部20は、6つの2次元画像から、各面の面積情報を抽出する。具体的には、第1の面200A、第2の面200B、第3の面200C、第4の面200D、第5の面200E、第6の面200Fについてのそれぞれの面積情報を抽出する。
【0032】
(記憶部50)
記憶部50は、所定の記録媒体に対してデータの記録再生を行う。記憶部50は、例えばHDD(Hard Disc Drive)として実現される。記録媒体としては、揮発性メモリであっても、不揮発性メモリであってもよく、フラッシュメモリ等の固体メモリ、固体メモリを内蔵したメモリカード、光ディスク、光磁気ディスク、ホログラムメモリ、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)など各種考えられ、記憶部50としては採用する記録媒体に応じて記録再生を実行できる構成とされればよい。記憶部50には、制御部40が使用するプログラムが保存されている。
【0033】
また、記憶部50には、画像情報生成部20が3次元データから生成した入力画像情報と共通の形式を有する、
図5に示すような複数の既存製品画像情報300が記憶されており、この複数の既存製品画像情報300には、例えば、以前の加工に関する価格情報が関連付けられている。
【0034】
本実施形態においては、
図5に示すように、複数の既存製品画像情報300内に第1の既存製品画像情報301、第2の既存製品画像情報302、第3の既存製品画像情報303等が含まれている。
【0035】
第1の既存製品画像情報301は、第1の過去の加工製品について隣り合う方向が互いに直角である6方向から見た外観を示す2次元画像から生成された既存特徴ベクトルの和集合を含む。この第1の過去の加工製品は立方体であり、第1の面にはA文字形状の凹部が、第2の面にはB文字形状の凹部が、第3の面にはC文字形状の凹部が、第4の面にはD文字形状の凹部が、第5の面にはE文字形状の凹部が、そして、第6の面にもE文字形状の凹部が、形成されていたとする。即ち、第1の過去の加工製品は、見積対象製品200に対して、第6の面が有する凹部の形状のみが異なり、それ以外の面が有する凹部の形状が同一である。また、第1の過去の加工製品についての以前の見積価格が1100円であったことを示す価格情報が関連付けられている。
【0036】
第2の既存製品画像情報302は、第2の過去の加工製品について隣り合う方向が互いに直角である6方向から見た外観を示す2次元画像から生成された既存特徴ベクトルの和集合を含む。この第2の過去の加工製品は立方体であり、第1の面にはA文字形状の凹部が、第2の面にはB文字形状の凹部が、第3の面にはC文字形状の凹部が、第4の面にはD文字形状の凹部が、第5の面にはF文字形状の凹部が、そして、第6の面にもF文字形状の凹部が、形成されていたとする。即ち、第2の過去の加工製品は、見積対象製品200に対して、第5の面が有する凹部の形状のみが異なり、それ以外の面が有する凹部の形状が同一である。また、第2の加工製品についての以前の見積価格が900円であったことを示す価格情報が関連付けられている。
【0037】
第3の既存製品画像情報303は、第3の過去の加工製品について隣り合う方向が互いに直角である6方向から見た外観を示す2次元画像から生成された既存特徴ベクトルの和集合を含む。この第3の過去の加工製品は立方体であり、第1の面から第6の面に、Z文字形状の凹部が、形成されていたとする。また、この加工製品についての以前の見積価格が800円であったことを示す価格情報が関連付けられている。
【0038】
なお、記憶部50が記憶する複数の既存製品画像情報300の中に、深度情報を含むデプスマップや、複数位置における製品の断面画像情報を含ませておいてもよい。複数の既存製品画像情報300の中に深度情報が含まれている場合には、後述する選択部30において、深度情報を含む入力画像情報に対する類似度判断精度を向上させることができる。また、複数の既存製品画像情報300の中に複数位置における製品の断面画像情報が含まれている場合には、後述する選択部30において、断面画像情報を含む入力画像情報に対する類似度判断精度を向上させることができる。
【0039】
(選択部30)
制御部40に含まれる選択部30は、画像情報生成部20が生成した入力画像情報に対する類似度に基づき、記憶部50に保存された複数の既存製品画像情報300の中から1以上の既存製品画像情報を選択する。
【0040】
本実施形態においては、画像情報生成部20が、複数の2次元画像から、入力特徴ベクトルの和集合を生成するため、選択部30は、記憶部50に保存された複数の既存製品画像情報300の中から、画像情報生成部20が生成した入力特徴ベクトルの和集合と類似する既存特徴ベクトルを含む既存製品画像情報を、記憶部50における複数の既存製品画像情報300から検索し、選択する。
【0041】
具体的には、
図4に示した、画像情報生成部20が生成した入力特徴ベクトルの和集合500から、各既存製品画像情報に含まれる既存特徴ベクトルを、局所特徴ごとに減算する。そして画像情報生成部20は、その減算値の絶対値を全局所特徴について積分した値が最も小さい既存製品画像情報を、入力画像情報に対して最も類似度の高い既存製品画像情報として選択する。あるいは、画像情報生成部20は、絶対値の積分値が所定の値よりも小さい既存製品画像情報を複数選択する。
【0042】
本実施形態においては、上記演算結果より、第1の過去の加工製品から生成された第1の既存製品画像情報301と、第2の過去の加工製品から生成された、第2の既存製品画像情報302とが、入力画像情報に対して類似度の高いデータであると、上記演算結果より判断され選択される。
【0043】
このように、冗長性を排除された2次元画像情報と、同じく冗長性を排除された画像情報データとの類似度を判断するため、選択部30による類似度判断の精度を高めることができ、より精度の高い見積もりを行うことが可能となる。
【0044】
なお、類似度の判断基準に用いた上記所定の値を低い値に設定すれば、類似する画像情報データを多数選択することができ、上記所定の値を高い値に設定すれば、より絞られた数の画像情報データを選択することができる。
【0045】
更に、記憶部50における複数の既存製品画像情報300が、各面の面積情報を含んでいることが望ましい。そうすることにより、上述した特徴ベクトルの比較から類似度が高いと判断され、選択された既存製品画像情報の更なる絞込みを可能とすることができる。
【0046】
具体的には、上述したとおり、画像情報生成部20が、2次元画像から、第1の面200A、第2の面200B、第3の面200C、第4の面200D、第5の面200E、第6の面200Fについて、それぞれの面積情報を抽出しておく。そして、画像情報生成部20が抽出した面積情報から、各既存製品画像情報に含まれる面積情報を減算し、その絶対値が最も小さい既存製品画像情報を選択することにより、入力画像情報に対して面積情報が類似する既存製品画像情報を選択することができる。
【0047】
即ち、
図4に示した入力特徴ベクトルの和集合500と
図5に示した既存製品画像情報に含まれる既存特徴ベクトルとの類似度が高かったとしても、サイズが異なる加工製品であれば、加工価格もそれに応じて異なる。従って、既存製品画像情報に面積情報を含ませておき、面積情報及び特徴ベクトルの双方が類似する既存製品画像情報を選択することにより、より精度の高い見積もりが可能となる。
【0048】
更に、記憶部50に保存された複数の既存製品画像情報300が深度情報を含み、画像情報生成部20が生成した入力画像情報も深度情報を含む場合には、双方の深度情報を減算し、その絶対値が小さい既存製品画像情報を、入力画像情報に対して類似度が高い既存製品画像情報として選択することも可能である。
【0049】
例えば、本実施形態においては、第1の面200AはA文字形状の凹部を有しているが、2次元画像から抽出された入力特徴ベクトルと既存製品画像情報に含まれる既存特徴ベクトルのみで類似度を判断する場合は、既存特徴ベクトルに含まれるA文字形状が凹部であっても、凸部であっても、あるいは凹凸を持たない単なる模様であっても同じ類似度を示してしまう可能性がある。従って、入力画像情報と既存製品画像情報の双方に深度情報を含ませておき、上述した面積情報、既存特徴ベクトルが類似する既存製品画像情報の中から、更に深度情報が類似する既存製品画像情報を選択することにより、より精度の高い見積もりが可能となる。
【0050】
また、加工製品がその内部の形状に特徴を有するような場合には、入力画像情報と既存製品画像情報の双方に、加工製品の複数位置における断面画像情報を含ませておき、双方の断面画像情報の類似度を算出することにより、既存製品画像情報の選択を行うことが可能である。双方の断面画像情報の類似度を算出する例としては、各断面画像における局所特徴量を算出し、入力画像情報の局所特徴量から既存製品画像情報の局所特徴量を減算した値を算出し、その減算値の絶対値を、全局所特徴について積分することにより求めることができる。
【0051】
なお、本実施形態においては、6つの面の2次元画像から抽出された入力特徴ベクトルと、同じく6つの面の2次元画像から抽出された既存特徴ベクトルとの類似度を算出する例を説明したが、用途に応じて適宜変更しても構わない。例えば、立体構造における2つの面のみに特徴がある加工製品の場合、当該2つの面の2次元画像から抽出された入力特徴ベクトルと、同じく当該2つの面の2次元画像から抽出された既存特徴ベクトルとの類似度を算出すればよい。更には、最も特徴的な所定の面の2次元画像から抽出された既存特徴ベクトルと、6面の2次元画像から抽出された既存特徴ベクトル等、既存製品画像情報が複数の既存特徴ベクトルを含む構成とすることで、入力画像情報が持つ入力特徴ベクトルの形式に合わせて、類似度の算出をすることが可能となる。
【0052】
なお、所定の面のみが局所特徴を有し、他の面の2次元画像から抽出される特徴ベクトルを加算しても局所特徴量に変化がない場合においては、入力特徴ベクトルと既存特徴ベクトルの双方に、所定の面の局所特徴が含まれていることを前提として、入力特徴ベクトルの抽出元である2次元画像の枚数と、既存特徴ベクトルの抽出元である2次元画像の枚数とが異なっていても構わない。例えば、所定の面のみが局所特徴を有し、他の面の2次元画像から抽出される特徴ベクトルを加算しても局所特徴量に変化がない場合において、入力画像情報が、6つの面の2次元画像情報から抽出された入力特徴ベクトルを含み、既存入力画像情報が、局所特徴を有する所定の面のみの2次元画像情報から抽出された既存特徴ベクトルを含み、当該入力特徴ベクトルと既存特徴ベクトルとの類似度を算出する構成としても構わない。
【0053】
(出力部60)
出力部60は、選択部30が、依頼者が入力部10に入力した3次元データとの類似度の高いと判断した既存製品画像情報に関連付けられた価格情報に基づくデータを出力する。依頼者は、通信部70を経由して当該価格情報に基づくデータを見ることができ、この価格情報を参考にし、実際の見積額を決定することができる。価格情報に基づくデータとは、価格情報そのものでもよく、複数の価格情報の平均値であってもよい。
【0054】
本実施形態においては、選択部30において選択された、第1の既存製品画像情報301と第2の既存製品画像情報302とに関連付けられた価格情報に基づくデータが出力される。出力部60は、選択部30により選択された既存製品画像情報と価格情報に基づくデータの双方を出力してもよく、選択された既存製品画像情報に関連付けられた価格情報に基づくデータのみを出力してもよい。本実施形態において出力部60は、例えば、第1の既存製品画像情報301に関連付けられた価格情報である1100円と、第2の既存製品画像情報302に関連付けられた価格情報である900円との平均値である1000円を、価格情報に基づくデータとして出力する。(価格見積もり方法)
【0055】
以下、
図6を用いて、価格見積もり方法について説明する。
【0056】
図6は、本実施形態に係る価格見積もり方法の一例を示すフローチャートである。
【0057】
(入力ステップS401)
入力ステップS401において、入力部10は、見積もり依頼する依頼者から通信部70を経由して送信された、見積対象製品200の形状に関する3次元データの入力を受け付ける。入力部10に受け付けられた3次元データは、制御部40内において、入力部10から画像情報生成部20に送られる。
【0058】
(画像情報生成ステップS402)
画像情報生成ステップS402において、画像情報生成部20は、入力部10に入力された3次元データに基づき、仮想空間に配置された加工製品を所定の視点から見た外観を示す2次元画像を生成し、この2次元画像から入力画像情報を生成する。なお、上述した通り、画像情報生成部20が生成する入力画像情報が入力特徴ベクトル、入力特徴ベクトルの和集合を含んでいてもよい。また、入力画像情報が、深度情報を含んでいてもよく、又は、見積対象製品200の複数位置における断面画像情報を含んでいてもよい。
【0059】
画像情報生成部20により生成された入力画像情報は、選択部30、及び記憶部50に送られる。
【0060】
(選択ステップS403)
選択ステップS403において、制御部40に含まれる選択部30は、画像情報生成部20から送られた入力画像情報と類似する既存製品画像情報を、記憶部50に保存された複数の既存製品画像情報300の中から検索し、選択する。
【0061】
ある一定レベルの類似度を有する既存製品画像情報が複数存在する場合は、選択部30は、当該類似度の高い既存製品画像情報を出力部60に送信する。その際、選択部30は、既存製品画像情報と価格情報の双方を出力部60に送信してもよく、選択された既存製品画像情報に関連付けられた価格情報のみを送信してもよい。又は、選択部30は、選択された複数の既存製品画像情報に関連付けられた複数の価格情報の平均値を送信してもよい。
【0062】
ある一定レベルの類似度を有する既存製品画像情報が記憶部50に存在していない場合は、選択部30は、類似度の高い既存製品画像情報がない旨を出力部60に送信してもよく、又は、所望のレベルには達していなくても、既存製品画像情報300の中で最も類似度の高い既存製品画像情報を抽出し、当該既存製品画像情報に含まれた、若しくは関連付けられた価格情報を出力部60に送信してもよい。
【0063】
(出力ステップS404)
出力ステップS404において、出力部60は、選択部30において選択された既存製品画像情報を出力する。この出力部60における出力形式は選択部30に依存させてもよい。例えば、選択部30が既存製品画像情報と価格情報に基づくデータの双方を送信する場合は、出力部60は、当該既存製品画像情報と価格情報に基づくデータの双方を出力する。選択部30が価格情報、若しくは複数の価格情報の平均値など、価格情報に基づくデータを送信する場合は、出力部60は、当該価格情報に基づくデータを出力する。なお、選択部30が、既存画像情報と価格情報に基づくデータの双方を送信した場合においても、出力部60が、価格情報に基づくデータのみを出力する構成としても構わない。
【0064】
依頼者は、この出力部60に出力された価格情報に基づくデータから、見積対象製品200の価格を決定する。
【0065】
(記憶ステップS405)
記憶ステップS405において、記憶部50は、画像情報生成ステップS402において画像情報生成部20より送付された入力画像情報を既存画像情報として、複数の既存製品画像情報300の中に保存する。また、記憶部50は、この新たな既存画像情報に関連付けて、出力ステップS404において出力された価格情報に基づくデータ、あるいは価格情報に基づくデータに基づき依頼者が判断した見積価格を保存する。
【0066】
この記憶ステップS405を含むことにより、次回以降の見積もり時において、選択部30が、複数の既存製品画像情報300の中から、今回保存された既存製品画像情報を選択することが可能となる。