【解決手段】筐体内に設けられるファンと、ファンから送風される空気を排出する排気口と、画像を表示するディスプレイと、処理能力の変更が可能なプロセッサと、ディスプレイに表示される画面の方向と排気口との位置関係によって、プロセッサの処理能力及びファンの回転数のうち、少なくともいずれか一つの制御が異なる複数の制御モードを実行する制御部50を備える。重力の方向に対する前記ディスプレイの向きに応じて、画面を回転させる画面回転機能を有し、制御部50は、排気口と画面回転機能によって回転される画面の方向によって、複数の制御モードを実行する。
前記プロセッサ及び前記ファンの少なくともいずれか一つの制御対象デバイスの動作状態と前記筐体の内部の検出温度とを関係づけた対応情報を、各前記制御モードに対応付けて格納する第2格納部を具備し、
前記制御部は、
実行する前記制御モードに対応する前記対応情報を前記第2格納部から読み出し、読み出した前記対応情報を用いて前記制御モードを実行する請求項1から請求項6のいずれかに記載の情報処理装置。
筐体内に設けられるファンと、前記ファンから送風される空気を排出する排気口と、画像を表示するディスプレイと、処理能力の変更が可能なプロセッサとを具備する情報処理装置の制御方法であって、
前記情報処理装置の制御部が、
前記ディスプレイに表示される画面の方向と前記排気口との位置関係を判定するステップと、
前記位置関係によって、前記プロセッサの処理能力及び前記ファンの回転数のうち、少なくともいずれか一つの制御が異なる複数の制御モードを実行するステップと、
を有する情報処理装置の制御方法。
筐体内に設けられるファンと、前記ファンから送風される空気を排出する排気口と、画像を表示するディスプレイと、処理能力の変更が可能なプロセッサとを具備する情報処理装置の制御プログラムであって、
前記ディスプレイに表示される画面の方向と前記排気口との位置関係を判定するステップと、
前記位置関係によって、前記プロセッサの処理能力及び前記ファンの回転数のうち、少なくともいずれか一つの制御が異なる複数の制御モードを実行するステップと、
を前記情報処理装置の制御部に実行させるための制御プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る情報処理装置、その制御方法及び制御プログラムの一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態に係る情報処理装置は、スマートフォン、タブレットPC等のタブレット端末(携帯型情報端末)である。
【0014】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るタブレット端末10の概略外観図である。
タブレット端末10は、筐体11を備える。筐体11は、略矩形であり、正面には画像を表示するタッチパネルディスプレイ(以下「ディスプレイ」という)12が設けられる。本実施形態においては、画像を表示する部分をタッチパネル形式のディスプレイであることを一例として説明しているが、タッチパネル形式でないディスプレイであってもよい。
筐体11の正面又は背面には、カメラ、スピーカー、マイク等が設けられてもよい。さらに、筐体11の側面には、タブレット端末10の電源をオン又はオフするためのボタン等の操作手段や、他の情報処理装置や記憶媒体等と接続可能なUSB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標:High-Definition Multimedia Interface)規格、DVI(Digital Visual Interface)規格等の接続手段等が設けられてもよい。
【0015】
図2は、タブレット端末10のハードウェアの構成を示す概略図である。
タブレット端末10は、CPU(Central Processing Unit)20、ROM(Read Only Memory)21、メモリ22、LCD(Liquid Crystal Display)23、グラフィクスアダプタ24、タッチセンサ25、入力コントローラ26、フラッシュメモリ27、通信デバイス28、電源回路29、加速度センサ30、及びジャイロセンサ31を備えており、各部はバス32を介して直接または間接的に接続されている。なお、ディスプレイ12は、LCD23とタッチセンサ25を含んで構成される。
【0016】
CPU20は、バス32を介して接続されたフラッシュメモリ27に格納されたOS(Operating System)によりタブレット端末10全体の制御を行うとともに、フラッシュメモリ27に格納された各種のプログラムに基づいて処理を実行する機能を有する。また、CPU20は、所定の指示に応じて処理能力の変更を可能とする。
ROM21は、BIOS(Basic Input/Output System)や各種データ等を格納している。
メモリ22は、キャッシュメモリやRAM(Random Access Memory)で構成されており、CPU20の実行プログラム(例えば、制御プログラム)の読み込み、及び実行プログラムによる処理データの書き込みを行う作業領域として利用される書き込み可能なメモリである。
【0017】
LCD23は、CPU20の制御に従って、グラフィクスアダプタ24からのビデオ信号を画像として表示する。
グラフィクスアダプタ24は、CPU20の制御に従って、表示情報をビデオ信号に変換し、変換したビデオ信号をLCD23に出力する。
【0018】
タッチセンサ25は、例えば、静電容量方式のタッチセンサであり、LCD23に対して、タブレット端末10を使用するユーザのタッチ位置を検出して、入力コントローラ26に出力する。タッチセンサ25は、LCD23の画面に表示される各種メニュー、アイコン、ボタン、及びキーボード等の画面オブジェクトを選択して入力操作を行ったり、テキストの入力操作や、スクロールやスワイプ等の画面操作を行うためのものである。
【0019】
入力コントローラ26は、プロセッサがROM等に格納されたプログラムを実行することにより各種処理を行い、タッチセンサ25の動作を制御する。
フラッシュメモリ27は、例えば、Windows(登録商標),iOS(登録商標)、Android(登録商標)等のタブレット端末10全体の制御を行うためのOS、周辺機器類をハードウェア操作するための各種ドライバ、特定業務に向けられたアプリケーション、及び各種データやファイル等を格納する機能を有する。なお、タブレット端末10は、フラッシュメモリ27に替わる記憶手段としてHDD(Hard Disk Drive)等、他の記憶手段を備えてもよい。
【0020】
通信デバイス28は、ネットワークを介して他のデバイスとの通信を制御する。
電源回路29は、ACアダプタ、電池、電池を充電するための充電器、及びDC/DCコンバータ等を備えており、CPU20の制御に従って、各デバイスに電力を供給する。
加速度センサ30は、例えば、ディスプレイ12に対して、その長手方向に平行x方向、その短手方向に平行なy方向、x方向及びy方向に垂直なz方向の加速度を検出し(
図3参照)、xyz方向の加速度値Ax(t)、Ay(t)、Az(t)をCPU20に出力する。加速度センサ30がxyz方向の加速度を検出することにより、ディスプレイ12の傾き及び回転を検出することができる。なお、z方向とは、換言すると、ディスプレイ12(画面)に対する法線方向である。
【0021】
ジャイロセンサ31は、回転する筐体11のz軸廻りの角加速度を検出し、CPU20に出力する。すなわち、本実施形態に係るジャイロセンサ31は、ディスプレイ12に対する法線軸廻りθ
1で回転した角度(以下「法線回転角度」という。)を検出する。例えば、机の上にタブレット端末10を置いたときの角度θ
1を0度とし、θ
10度位置から法線回転角度を検出することにより、ディスプレイ12の上下方向を検出できるようになっている。
【0022】
図3は、机面33にタブレット端末10を置いた場合を示す図である。ユーザは、ディスプレイ12が上を向くように略水平面とされた机面33にタブレット端末10を置いて静止状態とし、ディスプレイ12に対する法線軸廻りθ
1でディスプレイ12(タブレット端末10)を回転させる場合がある。
本実施形態に係るタブレット端末10は、静止状態でディスプレイ12に対する法線軸廻りθ
1で回転した場合に、ディスプレイ12に表示されている画面(以下「表示画面」ともいう。)を回転させる静止自動画面回転モードを有する。
【0023】
また、
図4に示されるように、タブレット端末10は、例えば、筐体11をユーザによって把持された状態(以下「非静止状態」という。)で、水平面に対する垂直方向を0°とし、垂直方向に対するタブレット端末10の角度をディスプレイ12の傾き角度θ
2として配置して傾けられながら回転した(例えば、P側とQ側の上下を入れ替える)場合に、ディスプレイ12に表示される表示画面を回転させる自動画面回転モードを有する。
【0024】
以下の説明において、静止自動画面回転モード及び自動画面回転モードを実行する機能を画面回転機能という。
つまり、画面回転機能は、重力の方向に対するディスプレイ12の向きに応じて画面を回転させる機能である。画面回転機能は、表示画面の上下の辺がディスプレイ12の短辺と平行になる縦表示とするか、表示画面の上下の辺がディスプレイ12の長辺と平行になる横表示とするかを、タブレット端末10のディスプレイ12の向きに応じて自動的に切り替える機能である。
【0025】
タブレット端末10は、上面部42、左側面部43、右側面部44、前面部45、後面部46及び図示せぬ底面部から構成される箱状物である(
図3参照)。
図5は、ファン装置(以下「ファン」という)40及び排気口41を含む冷却装置の内部構造を露出させ、拡大させて表示した斜視図である。冷却装置は、タブレット端末10の左側面部43の後面部46側に配置されている。なお、冷却装置の位置はこの位置に限定されるものではない。また、タブレット端末10の筐体内には、温度センサ(図示略)が設けられており、温度センサによる検出値に応じて、ファン40が制御され、筐体表面及び筐体内部を冷却できるようになっている。
ファン40は、タブレット端末10の筐体内に設けられ、駆動させた場合に回転部(図示略)の径方向(遠心方向)に空気を送り出すように構成されている。CPU等の発熱要素からの熱を除去して冷却し、ユーザが触れる筐体表面の温度が上昇しないように管理され、筐体11を冷却する。
排気口41は、ファン40から送風される空気を排出する。
【0026】
図6は、タブレット端末10が備える性能調整機能を展開して示した機能ブロック図である。
図6に示されるように、タブレット端末10は、制御部50と、格納部(第1格納部、第2格納部)70とを備えている。
格納部70は、CPU20及びファン40の少なくともいずれか一つを制御対象デバイスの動作状態とタブレット端末10の内部の検出温度とを関係付けた第1サーマルテーブル(対応情報)T1を、各制御モードに対応付けて格納する。
格納部70は、排気口41とディスプレイ12の下方向とが一致していない場合に読み出される第1サーマルテーブルT1aと、排気口41とディスプレイ12の下方向とが一致している場合に読み出される第1サーマルテーブルT1bとを格納する。
【0027】
第1サーマルテーブルT1a,T1bは、筐体内部の検出温度と、制御対象デバイスの指令値の情報が対応付けられており、タブレット端末10の向きに応じて、読み出される第1サーマルテーブルT1a,T1bが異なる。
また、格納部70には、排気口41が設けられている筐体11における辺(筐体11の壁部)の情報が格納されている。例えば、
図3で示されている左側面部43を辺Aとし、後面部46を辺Bとし、右側面部44を辺Cとし、上面部42を辺Dとし、本実施形態においては、辺Aに排気口41が設けられるという情報を格納部70に格納する。
【0028】
制御部50は、排気口41に対するユーザの推定位置に応じて、CPU20の処理能力及びファン40の回転数のうち、少なくともいずれか一つの制御が異なる複数の制御モードを実行する性能調整機能を有する。本実施形態においては、CPU20の処理能力及びファン40の両方を制御することとして説明する。
具体的には、制御部50は、信号処理部51と、向き判定部52と、向き依存制御部53とを備えている。
信号処理部51は、加速度センサ30による検出結果及びジャイロセンサ31による検出結果が入力され、筐体11(ディスプレイ12)の傾きや回転角度を算出する。
【0029】
向き判定部52は、筐体11において、排気口41が設けられる位置と、ディスプレイ12の下方向とが一致しているか否かを判定して、排気口41が画面の下方向に存在しているか否かを判定する。本実施形態におけるディスプレイ12の向きが下方向か否かを判定する場合に、画面回転機能によってディスプレイ12に表示される画面の下方向をディスプレイ12の下方向とする。例えば、
図3で示されている左側面部43を辺Aとし、後面部46を辺Bとし、右側面部44を辺Cとし、上面部42を辺Dとした場合に、向き判定部52は、辺A,B,C,Dのうちいずれの辺がディスプレイ12に表示される画面の下方向となっているかを判定する。下方向と判定された辺が、排気口41が備えられるとして予め設定された辺(例えば、辺A)と一致するか否かを判定する。
【0030】
また、ディスプレイ12あるいはディスプレイ12に表示される画面の下方向の判定は、上記に限定されず、例えば、上述の画面回転機能とは別の手法で画面の回転を行う場合、例えばタッチパネルに対するユーザによる画面の回転操作などによって画面の回転を行う場合には、その回転された画面の方向を判定するようにしてもよい。他にも、アクティブな特定のアプリケーションソフトで表示される画面や特定の表示対象物の下方向を検出し、これをディスプレイ12の下方向としてもよい。例えば、描画のためのアプリケーションソフトウェアにおける特定の表示対象物の向きに応じてディスプレイ12の下方向の判定を行ったり、動画再生のためのアプリケーションソフトウェアにおける動画の上下方向によってディスプレイ12の下方向の判定を行ったりしてもよい。
【0031】
向き依存制御部53は、排気口41と画面回転機能によって回転される画面の方向によって、複数の制御モードを実行する。つまり、向き依存制御部53は、排気口41が、排気口41とディスプレイ12の下方向とが一致しているか否かに応じて、CPU20の処理能力及びファン40の回転数のうち、少なくともいずれか一つを変化させる。
【0032】
具体的には、向き依存制御部53は、向き判定部52により、排気口41とディスプレイ12の下方向とが一致していると判定された場合には、CPU20の処理能力及びファン40の回転数のうち、少なくともいずれか一つを、排気口41とディスプレイ12の下方向とが一致していない場合よりも低減させる制御モードで、CPU20の処理能力やファン40の回転数を制御する。排気口41とディスプレイ12の下方向とが一致している場合には、排気口41からの排気がユーザに当たり、排気音が騒音としてユーザに聞こえやすく、不快感を与える状態であると推定される。そのため、CPU20の処理能力を低減し、ファン40の回転数を下げる性能調整をする。これにより、性能調整前と比較してユーザに排気音を聞こえ難くすることができる。
【0033】
また、向き依存制御部53は、排気口41とディスプレイ12の下方向とが一致していないと判定された場合には、CPU20の処理能力及びファン40の回転数のうち、少なくともいずれか一つを、排気口41とディスプレイ12の下方向とが一致している場合よりも増大させる制御モードで、CPU20の処理能力やファン40の回転数を制御する。
このように、排気口41がディスプレイ12の下方側以外(つまり、左側、右側、上方側)に向いていると判定された場合には、排気口41がユーザ以外の方向に向いていると推定できる。排気口41がユーザ以外の方向に向いている場合には、排気口41からの排気がユーザには当たり難く、排気音がユーザに聞こえ難い状態であると考えられる。そのため、CPU20の処理能力を増大させ、ファン40の回転数を上げる性能調整をする。これにより、タブレット端末10やタブレット端末10で実行されるアプリケーションのパフォーマンス向上に寄与できる。
【0034】
具体的には、向き依存制御部53は、格納部70から、向き判定部52による判定結果に応じた第1サーマルテーブルT1を読み出し、読み出した第1サーマルテーブルT1に応じた制御をする。
図7には、第1サーマルテーブルT1aの一例が示されている。
図7は、タブレット端末10が用いられ、タブレット端末10の排気口41が、画面の下方向以外を向いている場合に読み出されるサーマルテーブルである。
図8は、第1サーマルテーブルT1bの一例が示されている。
図8は、タブレット端末10の排気口41が、画面の下方向に向いている、つまり、ユーザ側に向いている場合に読み出されるサーマルテーブルである。ここで、回転数(rpm)は、q1>r1、q2>r2、q3>r3、q4>r4とする。
このように、
図8の第1サーマルテーブルT1bは、
図7の第1サーマルテーブルT1aよりも、CPU20のパフォーマンスを抑え、ファン40の回転数を低くし、制御対象デバイスの動作状態を抑えるような値に設定されている。
このように、制御部は、ディスプレイ12に表示される画面の方向と排気口41との位置関係によって、制御モードを実行する。
【0035】
図9は、本実施形態に係る性能調整機能の処理の流れを示すフローチャートである。
図9に示されるフローチャートは、性能調整機能がオンとされた場合に性能調整モードとなり、制御部50によって実行される。
性能調整モードが有効にされる(
図9のステップSA1)。ディスプレイ12に表示される画面の下方向が検出される(
図9のステップSA2)。筐体11に設けられる排気口41と、ディスプレイ12の下方向とが一致するか否かが判定される(
図9のステップSA3)。なお、これでは、筐体11に設けられる排気口41の位置が、ディスプレイ12の上方向、左右方向のいずれとも一致しないことを判定するのと同義である。排気口41とディスプレイ12の下方向が一致していないと判定された場合には(
図9ステップSA3のNo)、格納部70から第1サーマルテーブルT1aを読み出し、第1サーマルテーブルT1aに基づいてCPU20及びファン40を変化させ、排気口41とディスプレイ12の下方向が一致した場合よりもCPU20の処理能力を増大させ、ファン40の回転数を上げる(
図9のステップSA4)。
【0036】
排気口41とディスプレイ12の下方向が一致していると判定された場合には(
図9ステップSA3のYes)、格納部70から第1サーマルテーブルT1bを読み出し、第1サーマルテーブルT1bに基づいてCPU20及びファン40を変化させ、排気口41とディスプレイ12の下方向が一致していない場合よりもCPU20の処理能力を低下させ、ファン40の回転数を下げる(
図9のステップSA5)。
【0037】
性能調整機能が無効化されたか否かが判定され(
図9のステップSA6)、無効化された場合には(
図9のステップSA6のYes)、本処理を終了する。性能調整機能が無効化されていない場合には(
図9のステップSA6のNo)、ステップSA1に戻り、本処理を繰り返す。
【0038】
以上説明したように、本実施形態に係るタブレット端末10、その制御方法及び制御プログラムによれば、ユーザと排気口41との位置関係に応じて、CPU20の処理能力及びファン40の回転数のうち、少なくともいずれか一つが制御される。排気口41がディスプレイ12の下方側に向いている場合には、排気口41がユーザ側に向いていると判定される。排気口41がディスプレイ12の下方側に向いている場合には、排気口41からの排気がユーザに当たり、排気音が騒音としてユーザに聞こえ、不快感を与える状態であると考えられる。そのため、CPU20の処理能力を低減し、ファン40の回転数を下げる性能調整をする。これにより、性能調整前と比較してユーザに排気音を聞こえ難くすることができる。
【0039】
また、排気口41がディスプレイ12の下方側以外(つまり、左側、右側、上方側)に向いている場合には、排気口41がユーザ以外の方向に向いていると判定する。排気口41がユーザ以外の方向に向いている場合には、排気口41からの排気がユーザには当たり難く、排気音がユーザに聞こえ難い状態であると考えられる。そのため、CPU20の処理能力を増大させ、ファン40の回転数を上げる性能調整をする。これにより、タブレット端末10やタブレット端末10で実行されるアプリケーションのパフォーマンス向上に寄与できる。例えば、タッチパネルを操作する指示体としてタッチペンと画像ソフトを使用して、ディスプレイ12に表示されている写真を編集する等のタブレット端末10に負荷のかかる処理をしている場合であっても、排気口41の向きに応じて性能調整制御されることで、パフォーマンス向上できる。
また、排気口41とディスプレイ12の下方向とが一致しているか否かにそれぞれ応じたサーマルテーブルを用い、サーマルテーブルの読み出しによってCPU20或いはファン40の性能調整をすることにより、制御が簡便となる。
【0040】
なお、上記実施形態においては、排気口41とディスプレイ12の下方向とが一致しているか否かに応じた2種類のサーマルテーブルを備えるタブレット端末10として説明していたが、タブレット端末10に設けられるサーマルテーブルはこれに限定されない。
例えば、複数筐体を有する情報処理装置が、タブレット形式の態様だけでなく、第1筐体と第2筐体とを連結するヒンジの角度を0℃から180℃の範囲に開いて使用する態様(例えば、クラムシェル状態)で用いられることもある。こうしたクラムシェル状態で用いられる端末の場合には、タブレット形式で用いられる第1サーマルテーブルT1aよりもCPU20の処理能力を増大させ、かつ、ファン40の回転数を上げた状態の他のサーマルテーブルを格納部70に格納させておき、クラムシェル状態で用いられる場合には、該サーマルテーブルを読み出すようにしてもよい。
【0041】
本実施形態においては、第1格納部と第2格納部を1つの格納部に設けることとして記載していたが、本発明はこれに限定せず、第1格納部と第2格納部をそれぞれ異なる格納部に設けることとしてもよい。
【0042】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態においては、制御部が、ユーザと筐体11との距離に応じて制御する点で第1実施形態と異なる。本実施形態のタブレット端末について、第1実施形態と共通する点については説明を省略し、
図1から
図5、
図10及び
図11を用いて異なる点について主に説明する。
【0043】
図10に示されるように、タブレット端末10は、制御部50’と、格納部70’とを備えている。制御部50’は、距離計測部61と、距離判定部62と、距離依存制御部63とを備えている。
制御部50’は、ユーザと筐体11との距離に応じて、CPU20の処理能力及びファン40の回転数のうち、少なくともいずれか一つを制御する性能調整機能を有する。本実施形態においては、ユーザと筐体11との距離に応じて、CPU20の処理能力及びファン40の両方を制御することとして説明する。
距離計測部61は、ユーザとディスプレイ12との距離を計測する。例えば、距離計測部61は、IR(infrared:赤外線)カメラ、3Dカメラ等を含む撮像部を筐体11に備え、撮像部が、投光パルスを高速で点滅させ、反射光の位相遅れの程度を計測することで、距離を計測する。この場合、反射光を入力信号とする。
【0044】
なお、距離の計測方法はこれに限定されず、例えば、距離計測部61は、撮像部と画像処理部とを備え、設けられる位置の対向位置を撮像する撮像部により撮像された撮像画像を入力信号とし、該撮像画像を画像処理部により画像解析処理することにより距離を求めても良い。画像解析処理の方法は、特に限定されないが、例えば、撮像画像内の顔を認識し、顔であると認識された面積の大きさに応じて、距離を求める。このような場合には、顔の面積の大きさと、ユーザと筐体11との距離とを対応付ける距離対応情報を格納部70’等に予め格納させておき、距離対応情報から面積の大きさに応じた距離の情報を読み出すことによって、ユーザと筐体11との距離を計測してもよい。
或いは、撮像部による計測に限られず、所定の電波を発信し、その反射波を受信するまでにかかった時間から距離を算出する態様であってもよい。この場合には、反射波を入力信号とする。
【0045】
距離判定部62は、ユーザと筐体11との距離が、第1所定値以下であるか否かを判定する。第1所定値は、排気口41から排出される空気(排気)が、ユーザに聞き取られやすい状態か否か、排気がユーザに当たりやすいか否か等の条件に基づいて設定される、距離の閾値情報である。第1所定値の情報は、過去のユーザの経験や運用前テストの結果等に基づいて予めタブレット端末10に設定しておくとよいが、入力装置等を介して適宜変更、設定等できるようにしてもよい。
【0046】
距離依存制御部63は、距離が、第1所定値以下か否かに応じて、CPU20の処理能力及びファン40の回転数のうち、少なくともいずれか一つを変化させる。
具体的には、距離判定部62により距離が第1所定値以下であると判定された場合に、距離依存制御部63は、CPU20の処理能力及びファン40の回転数のうち、少なくともいずれか一つを、距離が第1所定値より大きい場合より低減させる制御モードで、CPU20の処理能力やファン40の回転数を制御する。また、距離判定部62により、距離が第1所定値より大きいと判定された場合に、距離依存制御部63は、CPU20の処理能力及びファン40の回転数のうち、少なくともいずれか一つを、距離が第1所定値以下の場合より増大させる制御モードで、CPU20の処理能力やファン40の回転数を制御する。
【0047】
格納部70’は、CPU20及びファン40の少なくともいずれか一つの制御対象デバイスの動作状態とタブレット端末10の内部の検出温度とを関係付けた第2サーマルテーブル(対応情報)T2を、各制御モードに対応付けて格納する。格納部70’は、ユーザとディスプレイ12との距離が第1所定値より大きい場合に読み出される第2サーマルテーブルT2aと、ユーザとディスプレイ12との距離が第1所定値以下の場合に読み出される第2サーマルテーブルT2bを格納する。
【0048】
格納部70’は、CPU20及びファンの少なくともいずれか一つを制御対象デバイスとし、該制御対象デバイスの動作状態と筐体11の内部の検出温度とを関係付けた第2サーマルテーブルT2を格納する。格納部70’は、距離が第1所定値以下か、距離が第1所定値より大きいかに応じてそれぞれ異なる第2サーマルテーブルT2を格納する。
距離依存制御部63は、格納部70’から、距離判定部62による判定結果に応じた第2サーマルテーブルT2を読み出し、読み出した第2サーマルテーブルT2に応じた制御をする。
【0049】
距離が第1所定値以下の場合には、第2サーマルテーブルT2bが用いられ、距離が第1所定値より大きい場合には、第2サーマルテーブルT2aが用いられる。
第2サーマルテーブルT2bは、第2サーマルテーブルT2aが用いられる場合よりも、CPU20のパフォーマンスを抑え、ファン40の回転数を低くし、制御対象デバイスの動作状態を抑えるような値に設定されている。
第2サーマルテーブルT2a,T2bは、筐体内部の検出温度と、制御対象デバイスの指令値の情報が対応付けられており、タブレット端末10からユーザまでの距離に応じて、読み出される第2サーマルテーブルT2a,T2bが異なる。
【0050】
図11は、本実施形態に係る性能調整機能の処理の流れを示すフローチャートである。
図11に示されるフローチャートは、性能調整機能がオンとされた場合に制御部50によって実行される。
性能調整モードが有効にされる(
図11のステップSB1)。ユーザと筐体11との距離が検出される(
図11のステップSB2)。ユーザと筐体11の距離が第1所定値以下か否かが判定される(
図11のステップSB3)。
ユーザと筐体11との距離が第1所定値より大きいと判定された場合には(
図11ステップSB3のNo)、格納部70’から第2サーマルテーブルT2aを読み出し、第2サーマルテーブルT2aに基づいてCPU20及びファン40を変化させ、距離が第1所定値以下となる場合よりもCPU20の処理能力を増大させ、ファン40の回転数を上げる制御をする(
図11のステップSB4)。
【0051】
ユーザと筐体11との距離が第1所定値以下と判定された場合には(
図11ステップSB3のYes)、格納部70’から第2サーマルテーブルT2bを読み出し、第2サーマルテーブルT2bに基づいてCPU20及びファン40を変化させる。そうして、距離が第1所定値以下の場合には、距離が第1所定値より大きい場合よりもCPU20の処理能力を低下させ、ファン40の回転数を下げる制御をする(
図11のステップSB5)。
【0052】
性能調整機能が無効化されたか否かが判定され(
図11のステップSB6)、無効化された場合には(
図11のステップSB6のYes)、本処理を終了する。性能調整機能が無効化されていない場合には(
図11のステップSB6のNo)、ステップSB1に戻り、本処理を繰り返す。
【0053】
以上説明したように、本実施形態に係るタブレット端末10、その制御方法及び制御プログラムによれば、ユーザと筐体11との距離に応じて、CPU20の処理能力及びファン40の回転数のうち、少なくともいずれか一つが制御される。
ユーザと筐体11との距離が第1所定値以下と判定された場合には、排気口41がユーザと近距離であると判定できるので、排気口41からの排気がユーザに当たり、排気音が騒音としてユーザに聞こえやすく、不快感を与える状態であると考えられる。そのため、CPU20の処理能力を低減し、ファン40の回転数を下げる性能調整をすることにより、性能調整前と比較してユーザに排気音を聞え難くすることができる。
また、ユーザと筐体11との距離が第1所定値より大きいと判定された場合には、排気口41がユーザから近距離でなく、ユーザ以外の方向に向いていると判定できる。排気口41がユーザ以外の方に向いていると判定された場合には、排気口41からの排気がユーザには当たり難く、排気音がユーザに聞こえ難い状態となる。そのため、CPU20の処理能力を増大させ、ファン40の回転数を上げる性能調整をすることにより、タブレット端末10やタブレット端末10で実行されるアプリケーションのパフォーマンス向上に寄与できる。
【0054】
また、ユーザと筐体11との距離が第1所定値以下か否かに応じてそれぞれ異なる第2サーマルテーブルT2を用い、第2サーマルテーブルの読み出しによってCPU20或いはファン40の性能調整をすることにより、制御が簡便となる。
【0055】
〔第3実施形態〕
以下、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態においては、排気口が画面の下向きに存在せず、かつ、ユーザと筐体との距離が第1所定値より大きい場合に制御する点で第1実施形態、第2実施形態と異なる。本実施形態のタブレット端末について、第1実施形態、第2実施形態と共通する点については説明を省略し、異なる点について主に説明する。
【0056】
図12は、第3実施形態に係る性能調整機能に関する機能ブロック図である。
入力信号は、加速度センサによる検出結果、ジャイロセンサによる検出結果、及びユーザとディスプレイとの距離を計測するために用いられる各種検出結果を含む。
格納部70’’は、CPU及びファンの少なくともいずれか一つの制御対象デバイスの動作状態とタブレット端末の内部の検出温度とを関係付けた第3サーマルテーブル(対応情報)T3を、各制御モードに対応付けて格納する。第3サーマルテーブルT3は、第3サーマルテーブルT3aと第3サーマルテーブルT3bを含む。
【0057】
第3サーマルテーブルT3aは、上述した第1サーマルテーブルT1a及び第2サーマルテーブルT2aの内容を含んでおり、第3サーマルテーブルT3bは、上述した第1サーマルテーブルT1b及び第2サーマルテーブルT2bの内容を含んでいる。
第3サーマルテーブルT3aは、排気口が画面の下向きに存在せず、かつ、ユーザと筐体との距離が第1所定値より大きい場合に格納部から読み出される。
第3サーマルテーブルT3bは、排気口が画面の下向きに存在する、またはユーザと筐体との距離が第1所定値以下の場合に格納部から読み出される。
【0058】
制御部50’’は、向き距離依存制御部80を備えている。
向き距離依存制御部80は、排気口が画面の下向きに存在せず、かつ、ユーザと筐体との距離が第1所定値より大きい場合に格納部70’’から第3サーマルテーブルT3aを読み出し、CPUの処理能力及びファンの回転数の少なくともいずれか一つを増大させる制御モードで、性能調整する。また、向き距離依存制御部80は、排気口が画面の下向きに存在する、またはユーザと筐体との距離が第1所定値以下の場合に格納部70’’から第3サーマルテーブルT3bを読み出し、CPUの処理能力及びファンの回転数の少なくともいずれか一つを低減させる制御モードで、性能調整する。
【0059】
排気口が画面の下向きに存在せず、かつ、ユーザと筐体との距離が第1所定値より大きい場合とは、ユーザが排気口の向きにいない可能性が想定されたり、ユーザが筐体から遠いことが想定される。そのため、CPUの処理能力及びファンの回転数の少なくともいずれか一つが増大されることで、タブレット端末10やタブレット端末10で実行されるアプリケーションのパフォーマンス向上に寄与できる。
【0060】
排気口が画面の下向きに存在する、またはユーザと筐体との距離が第1所定値以下の場合とは、ユーザが排気口の向きにいる可能性が想定されたり、ユーザが筐体に近いことが想定される。そのため、CPUの処理能力及びファンの回転数の少なくともいずれか一つが低減されることで、性能調整前と比較してユーザに排気音を聞こえ難くすることができる。
【0061】
以上、本発明を、上記実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【0062】
また、上記第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態では、情報処理装置を1つの筐体で構成される携帯型情報端末のタブレット端末10とする形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものでなく、タブレット形式で用いることができる情報処理装置であれば他の形態としてもよい。
例えば、本発明の情報処理装置は、複数の筐体を有し、第1筐体と第2筐体がヒンジ(連結部)によって連結され、折り畳み可能な端末であって、第1筐体と第2筐体とが折り畳まれ、閉じた状態であるヒンジ角度0℃から、各筐体を開いてヒンジ角度を略360℃とし、ヒンジ角度が0℃のときに第1筐体と第2筐体の内側となっていた面をそれぞれ外側に配置させ、タブレット形式の態様で用いられる端末であってもよい。
或いは、キーボードを備える筐体と、ファン、CPU、及びディスプレイ等を備える筐体とを切り離してタブレット形式で用いることができる端末であってもよい。
【0063】
また、上記実施形態で説明した性能調整機能の処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。