【解決手段】照明装置1は、光源と照明用レンズ3との間の距離を光軸Lに沿って所定の範囲内で変えることができ、その距離を変えることで照明用レンズ3から出射される照明光の照明範囲を変えることができる。そして照明装置1は、光源を保持する固定筒23と、照明用レンズ3を保持するレンズ保持筒22とを有する。レンズ保持筒22を光軸L中心に回転させることにより、光源と照明用レンズ3との光軸L方向に沿う方向の距離を可変することができるカム機構31とを有する。ここで、カム機構31は、レンズ保持筒22の回転角を90°の範囲で、光源と照明用レンズ3との相対移動量を3mmとする。この相対移動量3mmは、光源と照明用レンズ3との相対移動量の最大値である。
光源と照明用レンズとの間の距離を光軸に沿って所定の範囲内で変えることができ、上記距離を変えることで上記照明用レンズから出射される照明光の照明範囲を変えることができる照明装置であって、
上記光源を保持する固定筒と、
上記照明用レンズを保持するレンズ保持筒と、
上記レンズ保持筒を光軸中心に回転させることにより、上記光源と上記照明用レンズとの光軸方向に沿う方向の距離を可変することができるカム機構と、
を有し、
上記カム機構は、上記レンズ保持筒の回転角を60°以上120°以下の範囲で、上記光源と上記照明用レンズとの相対移動量を2mm以上4mm以下とする、
ことを特徴とする照明装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態に係る照明装置について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
(本発明の実施の形態に係る照明装置の構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る照明装置1を出射面側から見た平面図である。
図2は、
図1のA−A断面図である。なお、
図2に示すべきハッチングは省略している。以降の同様の断面図についてもハッチングを省略する。
図3は、本発明の実施の形態に係る照明装置1から外装筒を取り外した状態を示す斜視図である。
図4は、本発明の実施の形態に係る照明装置1が有するレンズ保持筒22の展開図であり、レンズ保持筒22に形成されるカム溝33の全体を示す図である。なお、以下の説明において、照明装置1の照明方向(矢示B)を前方(前側)として説明することがある。また、照明方向Bの反対方向を後方(後側)として説明する。
【0015】
照明装置1は、光源2と照明用レンズ3との間の距離を光軸Lに沿って所定の範囲内で変えることができる。そして照明装置1は、その距離を変えることで照明用レンズ3から出射される照明光の照明範囲を変えることができる。そして照明装置1は、光源2を保持する固定筒23と、照明用レンズ3を保持するレンズ保持筒22とを有する。また照明装置1は、レンズ保持筒22を光軸L中心に回転させることにより、光源2と照明用レンズ3との光軸L方向に沿う方向の距離を可変することができるカム機構31とを有する。
【0016】
レンズ保持筒22は、図示を省略する外装筒内に挿入され、レンズ保持筒22の外周は該外装筒に覆われている。外装筒には、筒の外側と内側とに貫通するねじ孔が形成されている。このねじ孔にネジを螺合することで、レンズ保持筒22と該外装筒とが一体化される。したがって、レンズ保持筒22の回転に際しては、該外装筒を手でつかみ操作することになる。
【0017】
ここで、カム機構31は、レンズ保持筒22の回転角を90°の範囲で、光源2と照明用レンズ3との相対移動量を3mm以内とする。この相対移動量3mmは、光源2と照明用レンズ3との相対移動量の最大値である。
【0018】
カム機構31は、カム溝33と、このカム溝33に係合するカムフォロア34とを有する。
図4に示すように、カム溝33は、レンズ保持筒22に形成される。カム溝33は、光軸Lの周囲に等角度で3本形成され、レンズ保持筒22の最大の回転角が90度となるように溝の長さが設定されている。カムフォロア34は、固定筒23に設けられている。カムフォロア34は、3つのカム溝33にそれぞれ係合するように、光軸Lの周りに120°間隔で3つ設けられている。
【0019】
したがって、光軸Lを中心にしてレンズ保持筒22を回転させると、カム溝33とカムフォロア34との作用により、レンズ保持筒22は、回転方向に応じて固定筒23に対して光軸Lに沿って前後に移動する。すなわち、レンズ保持筒22を光軸Lを中心にして回転させると、照明用レンズ3が、レンズ保持筒22の回転方向に応じて光源2に対して光軸Lに沿って前後に移動する。
【0020】
また、
図3に示すように照明装置1には、支持部材35と、台座36とが備えられている。台座36は、図示を省略するネジ等で、壁や机上等に対して固定される。つまり、台座36は、照明装置1を、壁や机上等に対して設置するための固定部である。照明装置1と支持部材35とは、図示を省略する自在継手で連結される。したがって、支持部材35に自在継手で連結されている照明装置1は、台座36を介して壁や机上等に対して設置された状態で、照明方向を変えることができる。
【0021】
また、本発明の実施の形態に係る照明装置1は、光源2と、光源2から発せられた光が入射し、この入射した光の配光を制御して出射する照明用レンズ3と、照明用レンズ3を光軸Lに沿って移動させるカム機構31とを有する。光源2は、LED(Light Emitting Diode)のチップ部品を用いている。また照明用レンズ3は、アクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂あるいはガラスなどの透明な材料(レンズ素材)の一体成型物である。
【0022】
上述したように、カム機構31は、カム溝33と、このカム溝33に係合するカムフォロア34とを有する。カム溝33が形成されるレンズ保持筒22を光軸Lの周り回転させることで、カム溝33と固定筒23に形成されるカムフォロア34との作用により、レンズ保持筒22が光軸Lに沿って移動する。レンズ保持筒22が光軸Lに沿って移動することで、光源2と照明用レンズ3との間の距離(間隔)が変わる。
【0023】
なお、
図5以降においては、図面を解り易くするため、カム機構31の図示を省略する。光源2と照明用レンズ3との間の距離を光軸Lに沿って変える機構(移動機構)は、上述のカム機構3の他に、レンズ保持筒22と、固定筒23との螺合により行ってもよい。また、光源2を直接光軸Lに沿って移動させる機構としてもよい。また、照明用レンズ3と光源2との双方を移動させる構成としてもよい。
【0024】
照明用レンズ3は、光源2から発せられた光が照明用レンズ3内に入射する入射面4と、入射面4から照明用レンズ3内に入射した光の一部を照明方向Bに向けて反射する凹面形状の反射面としての反射面5と、入射面4から照明用レンズ3内に入射した光を照明方向Bに向けて出射する出射面6と、を有する。反射面5は、光軸L側に曲率中心を有る非球面形状の凹面鏡である。照明方向Bは、照明装置1から、この照明装置1が照明する被照明面9に向かう方向である。
【0025】
照明用レンズ3は、後方の端部に開口部7が形成され前方に向けて凹む凹部8を有している。凹部8は、光源2が配置される側に光源2から発せられた光が進入可能に形成される。凹部8の内面は、入射面4となる。入射面4は、第1入射面4Aと第2入射面4Bとを有する。ここで第1入射面4Aは、凹部8の底面に配置され、光源2からの光を集光させるように光源2側に(後方に向けて)凸面を有する集光レンズ面である。そして第2入射面4Bは、光源2からの光を反射面5に向けて透過することができるように、凹部8に照明用レンズ3の光軸Lの周囲に形成される内側面である。
【0026】
光源2は、LEDチップ部を封入する蛍光樹脂を介して光を出射させる。つまり、光源2の光の出射部は面積を有する。そのため、照明光の光路追跡を行うことで所望の照度分布を得ることができる照明レンズ3を設計することは難しい。そこで、照明用レンズ3は、面積を有する出射部から出射する光が被照明面9において所望の照度分布になるように、シミュレーションソフトや実測の結果に基づいて設計される。
【0027】
また、光源2の出射部から出射される全ての光を照明したい範囲(被照明面)に導き、この照明範囲を所望の照度分布とするように照明用レンズ3を構成することは困難である。そのため、照明用レンズ3は、光源2から発せられる光が全体として被照明面9において所望の照度分布になるように設計される。
【0028】
また、光源2の出射部の全面から出射する光と照明用レンズ3の構成との関係を説明することは困難である。そこで、ここでは、光源2の出射部のうち照度分布に大きな影響を与える光として、点光源2Aから所定の照射角で照射される光を主照明光とし、この主照明光の被照明面9における照度分布が所望の照度分布となる照明用レンズ3の構成について説明する。
【0029】
点光源2Aは、LEDチップの光軸L上の点であり、照明装置1においては、照明用レンズ3が後述する前端位置Fに配置されているときに、入射面4に入射することができる光を主照明光としている。照明装置1においては、主照明光の所定の照射角を148°としている。この所定の照射角は、光源2と照明用レンズ3の間隔を光軸Lに沿って変えたとしても変化しない固定値となる。また、主照明光のうち、第2入射面4Bから入射し反射面5で反射した後に出射面6から出射する光を「反射照明光」と言い、第1入射面4Aから入射し反射面5で反射しないで出射面6から出射する光を「非反射照明光」と言う。
【0030】
光源2と照明用レンズ3の出射面6との間隔は、移動機構21により光軸Lに沿って所定の範囲内で変えることができる。光源2と出射面6との間隔が長くなるほど被照明面9における照明範囲が狭くなり、逆に、光源2と出射面6との間隔が短くなるほど被照明面9における照明範囲が広くなる。また、照明範囲は、光源2と出射面6との間隔に加えて、入射面4および出射面6の面積の大小を含めた形状等にも依存する。
【0031】
したがって、光源2と出射面6との間隔の所定の範囲は、入射面4および出射面6の面積の大小を含めた形状等に応じて、被照明面9における照明範囲が所望の広さになるように設定される。所望の広さの照明範囲において、最も狭い照明範囲となるときの光源2と出射面6との間隔が、光源2と出射面6とが最も離れた状態であり、照明範囲が最も広くなるときの光源2と出射面6との間隔が、光源2と出射面6とが最も近づいた状態である。
【0032】
反射面5は、第2入射面4Bから照明用レンズ3内に入射した主照明光の一部を照明方向Bに向けて全反射させる全反射面である。そして照明用レンズ3は、光軸Lに沿って、第1入射面4Aが光源2から最も離れた前端位置Fから、第1入射面4Aが光源2に最も近づき、光源2が凹部8内に配置される後端位置Rまで移動が可能である。
【0033】
(本発明の実施の形態に係る照明装置における照明光の光路)
図5は、照明装置1の照明用レンズ3を前端位置Fに配置したときに、反射照明光の光路を説明するための照明装置1の断面図である。
図5は
図2に示した照明装置1の断面図に反射照明光の一部の光線を追加した図である。
【0034】
照明装置1から出射する主照明光は、光軸Lを中心とする回転対象の配光で出射する。図面および説明を判り易くするため、
図5,6(
図6は後述する)における反射照明光の光路は光軸Lに対して片側(一方側)のみ図示し、該片側に対して光軸Lの反対側(他方側)を図示していない。
図5,6には、第1反射光P1、第2反射光P2および第3反射光P3の3光線が例示されている。以上の
図5,6に関する図示の方法は、後述する
図7,
図8,
図9,
図10,
図11,
図17,
図18,
図19,
図20,
図21および
図22についても同様とする。
【0035】
ここで、第1反射光P1、第2反射光P2および第3反射光P3は、反射面5で反射する反射照明光のうち、光源2から発せられ第2入射面4Bに入射する光の光軸Lに対する出射角が、
(1)最小のものを第1反射光P1とし、
(2)最大のものを第2反射光P2とし、
(3)第1反射光P1と第2反射光P2の中間のものを第3反射光P3とする。
【0036】
照明用レンズ3が前端位置Fに配置されているとき、第1反射光P1の光軸Lに対する出射角は約26°、第2反射光P2の光軸Lに対する出射角は約74°、そして、第3反射光P3の光軸Lに対する出射角は約50°である。
【0037】
第1反射光P1、第2反射光P2、および第3反射光P3の光軸Lに対する角度出射角は、照明用レンズ3と光源2との間隔により異なる。つまり、照明装置1において、照明用レンズ3が後端位置Rに配置されているとき、第1反射光P1の光軸Lに対する出射角は約38°、第2反射光P2の光軸Lに対する出射角は約74°、そして、第3反射光P3の光軸Lに対する出射角は約56°である。
【0038】
また、照明用レンズ3が中間位置Mに配置されているとき、第1反射光P1の光軸Lに対する出射角は約30°、第2反射光P2の光軸Lに対する出射角は約74°、そして、第3反射光P3の光軸Lに対する出射角は約52°である。なお、中間位置Mは、前端位置Fと後端位置Rとの間の位置である。この中間位置Mは、前端位置Fと後端位置Rとの間の厳密な中央(真ん中)の位置である必要はない。たとえば、前端位置Fと後端位置Rとの間の中央位置から、前端位置Fと後端位置Rとの間の距離の3割程度前後していてもよい。
【0039】
照明装置1は、たとえば、被照明面を出射面6から約1メートル離れた位置に設定され、この位置で所望の照明範囲で所望の照度分布となるように構成されるものである。
図6は、
図5に示す第1反射光P1、第2反射光P2および第3反射光P3の光路を出射面6から約1メートル先の被照明面9まで伸ばして示した図である。なお、被照明面9は、該1メートルに限らず、所望の距離とすることができ、この距離に応じて、照明用レンズ3の大きさを含む形状、光源2の形状等を設定する。「所定の距離」は、照明装置1の用途等に応じて決定できる距離である。たとえば、照明装置1をベッドサイドの読書灯として用いる場合には、1メートル前後を所定の距離とすることができ、また、照明装置1を天井から床面を照明する室内照明として用いる場合には、2.5メール前後を所定の距離とすることができる。さらに、壁面に飾られた絵画を天井側から照明するために照明装置1を用いる場合には、2メート前後を所定の距離とすることができる。
【0040】
また
図7は、照明装置1の照明用レンズ3を後端位置Rと前端位置Fとの間の位置である中間位置Mに配置したときの反射照明光の光路を示す照明装置1の断面図である。そして
図8は、
図7に示す第1反射光P1、第2反射光P2および第3反射光P3の光路を出射面6から1メートル先の被照明面9まで伸ばして示した図である。
【0041】
また
図9は、照明装置1の照明用レンズ3を後端位置Rに配置したときの反射照明光の光路を示す照明装置1の断面図である。そして
図10は、
図9に示す第1反射光P1、第2反射光P2および第3反射光P3の光路を出射面6から1メートル先の被照明面9まで伸ばして示した図である。
【0042】
反射面5および第2入射面4Bは、以下の条件(1)(2)(3)を満たす形状とされている。
【0043】
条件(1)
反射面5および第2入射面4Bは、
図5,
図6,
図7,
図8,
図9および
図10からわかるように、光源2から発せられ、入射面4、反射面5および出射面6を経由して出射する反射照明光の出射方向を、照明用レンズ3の前端位置Fから後端位置Rへの移動(光源2と照明用レンズ3とが相対的に近づく移動)にしたがって、光軸Lの一方側から他方側に向けて傾斜させられていく形状とされている。
【0044】
条件(2)
また、
図6,
図8および
図10からわかるように、反射面5および第2入射面4Bは、照明用レンズ3の前端位置Fから後端位置Rへの移動(光源2と照明用レンズ3とが相対的に近づく移動)にしたがって、出射面6から出射する反射照明光の配光角(照射範囲)を広くする形状とされている。
【0045】
条件(3)
照明用レンズ3が前端位置Fに配置されている状態で、反射面5で反射する第1反射光P1、第2反射光P2および第3反射光P3のうち、第1反射光P1が、被照明面9において光軸Lの最も近くを照明する。つまり、第1反射光P1が被照明面9において光軸Lの近くを照明する。
【0046】
なお、照明装置1に使用される照明用レンズ3は以下の条件を満たす構成とされている。つまり、
図11に示すように、光軸L上に配置される反射面5の非球面形状の延長線5A(
図11には一点鎖線で円弧状に描写した)上における頂点5Bに光源2が配置されたとしたときに、第1反射光P1の光軸Lに対する角度(出射角)a1が20°以上25°以下となるように、かつ、第2反射光P2の光軸Lに対する出射角a2が55°以上65°以下となるように、反射面5の非球面形状および第2入射面4Bの光軸Lに対する角度等が設定される。
【0047】
また
図5,6からわかるように、反射面5および第2入射面4Bは、照明用レンズ3が前端位置Fに配置された状態では、第1反射光P1と第3反射光P3とを、出射面6から出射した後に交差させない形状とされている。
【0048】
また、第1入射面4Aは、光源2と照明用レンズ3とが相対的に近づく方向に移動するにしたがって、非反射照明光の配光角を大きくする形状とされている。
【0049】
図12は、照明装置1の照明用レンズ3が前端位置Fに配置させたときの、第1入射面4Aから入射し、反射面5を経由せずに出射面6を出射する非反射照明光の光路を示す照明装置1の断面図である。
図12は
図2に示した照明装置1の断面図に非反射照明光の光路を追加したものである。以上の
図12に関する図示の方法は、後述する
図13および
図14についても同様とする。
【0050】
図13は、照明装置1の照明用レンズ3を後端位置Rと前端位置Fとの間の位置である中間位置Mに配置させたときの非反射照明光の光路を示す照明装置1の断面図である。
図14は、照明装置1の照明用レンズ3を後端位置Rに配置させたときの非反射照明光の光路を示す照明装置1の断面図である。
【0051】
第1入射面4Aから入射した光源2からの光(非反射照明光)は集光させられる。また、
図12,
図13および
図14からわかるように、照明用レンズ3が前方から後方に移動するに従って非反射照明光の照明範囲は広くなっていく。光路P4および光路P5は、非反射照明光の光軸Lを挟んだ周端の光線を示している。
【0052】
第1入射面4Aの形状は、点光源2Aから出射し第1入射面4Aを透過する各光線(非反射照明光の光線)の被照明面9における像高を、該各光線の光軸Lに対する角度(出射角)に応じて、次のように変える形状となっている。つまり、第1入射面4Aの形状は、該各光線の出射角が0°(光軸Lと一致)から所定の角度までの範囲で、出射角が大きくなるほど像高が高くなり、所定の出射角を越えると、逆に出射角が大きくなるほど像高が低くなる形状となっている。このように第1入射面4Aの形状を形成することで、被照明面9における非反射照明光による照明範囲の周縁側の照度を高めることができ、反射照明光と相まって被照明面9の照明範の照度の均一化を図ることができる。
【0053】
本実施の形態においては、該所定の出射角は、第1入射面4Aに入射する非反射照明の最大出射角の5/10程度としている。つまり、出射角が0°から最大出射角の5/10程度までは各光線の出射角が大きくなるほど各光線の像高は高くなり、最大出射角の5/10程度以上の各光線については、逆に出射角が大きくなるほど像高が低くなるように、第1入射面4Aの形状を形成する。
【0054】
なお、該所定の角度(最大出射角の5/10)の前後で照度分布が急激に変わることはなく、該所定の出射角は、最大出射角の4/10以上7/10以下の範囲であれば照度の均一化を好適に図ることができ、好ましくは5/10以上6/10以下の範囲であることが好ましい。上述したように、該所定の出射角を越える光線について出射角が大きくなるほど被照明面9における像高が低くなるように第1入射面4の形状を形成することにより、
図15に示すように、図中Xで囲われた領域(非反射照明光のうち該所定の出射角を越える領域)内の光は、この領域内の内側の光線と外側の光線とが出射面6と被照明面9との間で互いに交差する。
【0055】
(比較例に係る照明装置の構成)
図16は、本発明の実施の形態に係る照明用レンズ3の
図2に示した断面図と、比較例に係る照明用レンズ3’の断面図とを重ね合わせた図である。実線で示しているのが本発明の実施の形態に係る照明用レンズ3であり、破線でで示しているのが比較例に係る照明用レンズ3’である。本発明に係る照明用レンズ3の反射面5の方が、比較例に係る照明用レンズ3’の反射面5’よりも若干凹部8側(前方から後方)に向かうに従い曲率が小さくなっている。
【0056】
この反射面5’の形状以外の比較例に係る照明用レンズ3’の形状は、本発明の実施の形態に係る照明用レンズ3の形状と同一である。また、比較例に係る照明装置11(
図17参照)は、本発明の実施の形態に係る照明装置1と同様に光源2を使用し、光源2の移動範囲も照明装置1と同一である。そのため、比較例に係る照明装置11の説明に際しては、各部材に付する符号のうち、比較例に係る照明装置11そのものを示す「照明装置11」およびその構成要素の「照明用レンズ3’」「反射面5’」を除き、本発明の実施の形態に係る照明装置1の各要素に相当する符号を付して説明し、また各要素の説明を省略する。
【0057】
(比較例に係る照明装置の光路)
ここで、比較例に係る反射光のうち、上述の第1反射光P1に相当するものを第1反射光P1’とし、上述の第2反射光P2に相当するものを第2反射光P2 ’とし、上述の第3反射光P3に相当するものを第3反射光P3’とする。なお、光源2から第2入射面4Bに到達するまでの第1反射光P1’、第2反射光P2’および第3反射光P3’の光軸Lに対する照射角は、それぞれ上述の第1反射光P1、上述の第2反射光P2および上述の第3反射光P3と同一である。
【0058】
図17は、照明装置11の照明用レンズ3を前端位置Fに配置させたときの反射照明光の光路を説明するための照明装置11の断面図である。
図18は、
図17に示す第1反射光P1’、第2反射光P2’および第3反射光P3’の光路を出射面6から1メートル先の被照明面9まで伸ばして示した図である。
【0059】
図19は、照明装置11の照明用レンズ3を後端位置Rと前端位置Fとの中間の中間位置Mに配置したときの反射照明光の光路を説明するための照明装置1の断面図である。そして
図20は、
図19に示す第1反射光P1’、第2反射光P2’および第3反射光P3’の光路を出射面6から1メートル先の被照明面9まで伸ばして示した図である。
【0060】
また
図21は、照明装置11の照明用レンズ3を後端位置Rに配置させたときの反射照明光の光路を説明するための照明装置11の断面図である。そして
図22は、
図21に示す第1反射光P1’、第2反射光P2’および第3反射光P3’の光路を出射面6から1メートル先の被照明面9まで伸ばして示した図である。
【0061】
反射面5および第2入射面4Bは、
図17,
図19および
図21からわかるように、光源2から発せられ、入射面4、反射面5’および出射面6を経由して出射する反射照明光の出射方向を、照明用レンズ3の前端位置Fから後端位置Rへの移動(光源2と照明用レンズ3とが相対的に近づく移動)に従って、光軸Lの一方側から他方側に向かわせる(振る)形状とされるとともに、照射範囲(配光角)を広くする形状とされ、また、第1反射光P1’が被照明面9において光軸Lの近傍を照明している。これらの点については、照明装置1と照明装置11とは同様である。
【0062】
しかしながら、照明装置11においては、
図17からわかるように、反射面5および第2入射面4Bは、照明用レンズ3が前端位置Fに配置された状態では、第1反射光P1’と第3反射光P3’とを、出射面6から出射した後に交差させる形状とされている。この点が比較例に係る照明装置11と本発明の実施の形態に係る照明装置1との違いである。
【0063】
なお比較例に係る照明装置11の非反射照明光の光路は、
図12,
図13および
図14に示す本発明の実施の形態に係る照明装置1の非反射照明光の光路と同一である。
【0064】
(本発明の実施の形態および比較例に係る照明装置の照度分布)
図23は、本発明の実施の形態に係る照明装置1と比較例に係る照明装置11とにおいて、照明用レンズ3を前端位置Fに配置したときの照度分布を示す図である。
図24は、本発明の実施の形態に係る照明装置1と比較例に係る照明装置11とにおいて、照明用レンズ3を後端位置Rと前端位置Fとの中間の中間位置Mに配置したときの照度分布を示す図である。
図25は、本発明の実施の形態に係る照明装置1と比較例に係る照明装置11とにおいて、光源2を照明用レンズ3を後端位置Rに配置したときの照度分布を示す図である。これらの照度分布は、出射面6から1メートル先の被照明面9における照度分布である。
【0065】
なお、
図23,
図24と
図25のうち、照度分布の下に文字「本発明」が付されたもの(たとえば(本発明−R反射光)など)は、本発明の実施の形態に係る照明装置1の照度分布である。また、
図21,
図24と
図25のうち、照度分布の下に文字「比較例」が付されたもの(たとえば(比較例−R反射光)など)は、比較例に係る照明装置11の照度分布である。
【0066】
また、
図23,
図24と
図25のうち、照度分布の下に数字「反射照明光」が付されたもの(たとえば(本発明−R反射照明光)など)は、本発明の実施の形態に係る照明装置1と比較例に係る照明装置11の「反射照明光」の照度分布である。また、
図23,
図24と
図25のうち、照度分布の下に文字「非反射照明光」が付されたもの(たとえば(本発明−R非反射照明光)など)は、本発明の実施の形態に係る照明装置1と比較例に係る照明装置11の「非反射照明光」の照度分布である。さらに、
図23,
図24と
図25のうち、照度分布の下に文字「合成照明光」が付されたもの(たとえば(本発明−R合成照明光)など)は、本発明の実施の形態に係る照明装置1と比較例に係る照明装置11の実際の使用時に出射される光である、「反射照明光」と「非反射照明光」を合成した「合成照明光」の照度分布である。
【0067】
本発明の実施の形態に係る照明装置1の照度分布は、特に照明用レンズ3を中間位置Mまたは後端位置Rに配置したときに、比較例に係る照明装置11に比べて合成光の照度分布が均一になり、また照度分布の変化が滑らかになっていることがわかる。ここで
図24に示すように、照明用レンズ3を中間位置Mに配置したときは、照明装置1の合成照明光の照明範囲がほぼ均一に明るいのに対して、照明装置11の合成照明光の照明範囲は、明るい箇所が照明範囲全体の僅か中央部に限られていることがわかる。この傾向は
図25に示すように、照明用レンズ3を後端位置Rに配置したときの照度分布でも表れている。
【0068】
この理由は、光源2を中間位置Mに配置したときの反射照明光の光路を示す
図8と
図20を比較すればわかりやすい。照明装置1の第3反射光P3は、照明装置11の第3反射光P3’に比べて、光軸Lから離れた照明範囲の外縁の光路をとっている(
図8,20参照)。光の強さは、第1反射光P1,P1’が最も強く、次いで第3反射光P3,P3’、最も弱い光が第2反射光P2,P2’である。照明装置1は、第3反射光P3の光路を、照明装置11の第3反射光P3’よりも外側(第2反射光P2側)に配光している。つまり照明装置1は、照度の弱い光である第2反射光P2の照度を補うように第3反射光P3を配光している。これに対し、照明装置11の第2反射光P2’は、照明装置1の第2反射光P2に比べて照明範囲の中央側に配光されている。そのため
図24に示す照度分布の違いとなる。
【0069】
このような照明装置1の光路の特徴は、照明用レンズ3を後端位置Rに配置したときにも同様にみられる(
図10,
図22,
図25参照)。この点が照明装置1の照度分布が比較例に係る照明装置11に比べて、合成光の照度分布が均一になることの一因である。そしてこのような照明装置1の光路の特徴は、照明用レンズ3を前端位置Fに配置した状態で、第1反射光P1と第3反射光P3とが、出射面6から出射した後に交差しないように第2入射面4Bおよび反射面5の形状を設定することで得られることが、本発明者の鋭意検討により判明した。
【0070】
図26は、本発明の実施の形態に係る照明装置1の、光源2と照明用レンズ3との相対移動量と照明装置1の配光角の関係を示す図である。配光角が約10°で、相対移動量が0mmの座標aの場合には、
図23に示す本発明の実施の形態に係る照度分布となる。また、配光角が約25°で、相対移動量が約1.5mmの座標bの場合には、
図24に示す本発明の実施の形態に係る照度分布となる。また、配光角が約40°で、相対移動量が約3mmの座標cの場合には、
図25に示す本発明の実施の形態に係る照度分布となる。配光角は、10°以上40°以下が好ましい。配光角が10°未満または40°を超えると、照度の均一性が悪くなりやすい。なお、
図26中で移動量が3mmを超える分を破線で示しているが、これは照明装置1では移動が不可能だが、仮に3mmを超える移動が可能な場合を想定したデータである。
【0071】
(本発明の実施の形態によって得られる主な効果)
照明装置1が有するカム機構31は、レンズ保持筒22の回転角を90°の範囲で、光源2と照明用レンズ3との相対移動量を3mmとする。この相対移動量3mmは、光源2と照明用レンズ3との相対移動量の最大値である。この回転角90°の範囲は、人間が片手でつかんだ物を手首や腕に大きな負荷をかけることなく楽に一ひねりで回転できる範囲(90°前後)と略一致する。照明装置1を、たとえば、ベットサイドに設置した場合、不自然な姿勢でレンズ保持筒22を回転させることが多い。したがって、90°前後の回転角の範囲で、照明装置1の全ての照明範囲内を片手で可変できるようにすることで、操作性を向上させることができる。
【0072】
図27は、光源2から出射した光が照明用レンズ3からの出射する出射効率と、光源2と照明用レンズ3との相対移動量との関係を示す図である。この
図27では、光源2と照明用レンズ3との相対移動量が1.5mm(配光角25°)のときの出射効率を基準(=1)にしたときの、相対移動量に対する出射効率が示されている。
【0073】
照明装置1は、配光角が狭角(相対移動量=0mm)から広角(相対移動量=3.0mm)までの全範囲で出射効率の低下を10%以内に収めることができることがわかる。なお、狭角側の出射効率の低下は、光源2と照明用レンズ3の間隔が開いて光が漏れ、広角側の出射効率の低下は、光源2が照明用レンズ3に近づくことでリフレクタ面での全反射が破れて光が漏れるために起こる。なお、
図27中で移動量が3mmを超える分を破線で示しているが、これは照明装置1では移動が不可能だが、仮に3mmを超える移動が可能な場合を想定したデータである。
【0074】
本発明の実施の形態に係る照明装置1は、光源1と照明用レンズ3との間の距離を光軸Lに沿って所定の範囲内で変えることができ、この距離を変えることで照明用レンズ3から出射する照明光の照明範囲を変えることができる照明装置である。照明用レンズ3は、光源2から発せらた光が照明用レンズ3内に入射する入射面4と、入射面4から照明用レンズ3内に入射した光の一部を照明方向に向けて反射する凹面形状の反射面としての反射面5と、入射面4から入射した光を照明方向に向けて出射する出射面6とを有する。
【0075】
入射面4は、光源2が配置される側に光源2からの光が進入可能に形成される開口部7を有すると共に光源2が配置される方向に対して反対の方向に凹む凹部8の内面に形成される第1入射面4Aと第2入射面4Bとを有する。第1入射面4Aは、凹部8の底面に配置され、光源2からの光を集光させるように光源2側に凸面を有する集光レンズ面である。第2入射面4Bは、光源2からの光を反射面5に向けて透過することができるように、照明用レンズ3の光軸の周囲に形成される凹部8の内側面である。
【0076】
第1入射面4Aは、光源2と照明用レンズ3とが相対的に近づく方向に移動するにしたがって、主照明光のうち、第1入射面4Aを透過し出射面6から出射する光である非反射照明光の配光角を大きくする形状である。反射面5および第2入射面4Bは、主照明光のうち、第2入射面4Bを透過し反射面5で反射され出射面6から出射する光である反射照明光に対して下記(1)(2)(3)の条件を満たす形状である。
【0077】
(1)光源2と照明用レンズ3とが相対的に近づく方向に移動するにしたがって、出射面6から出射する反射照明光の出射方向が、反射照明光の出射面6における出射位置に対して、光軸2を挟んだ反対側に向けて傾斜させていく。
(2)光源2と照明用レンズ3とが相対的に近づく方向に移動するにしたがって、反射照明光の配光角を大きくする。
(3)光源2と照明用レンズ3とが所定の範囲内で最も離れている状態(照明用レンズ3が前端位置Fに配置されている状態)で、反射面5で反射する第1反射光P1、第2反射光P2および第3反射光P3のうち、第1反射光P1が、被照明面9において光軸Lの最も近くを照明する。つまり、第1反射光P1が被照明面9において光軸Lの近くを照明する。
【0078】
照明装置1は、上述の構成を有しているため、光源2と照明用レンズ3との間の距離を変えて照明のスポット径を変える場合においても、スポット径に関わらず照度の斑と照度分布の変化の少ない照明とすることができる。
【0079】
また、本発明の実施の形態に係る照明装置1において、反射面5で反射する反射照明光のうち、光源2から第2入射面4Bに到達するまでの光の光軸Lに対する出射角が最小のものを第1反射光P1とし、光源2から第2入射面4Bに到達するまでの光の光軸Lに対する出射角が最大のものを第2反射光P2とし、光源2から第2入射面4Bに到達するまでの光の光軸Lに対する出射角が、第1反射光P1と第2反射光P2との中間のものを第3反射光P3としたとき、反射面5および第2入射面4Bは、光源2と照明用レンズ3とが所定の範囲内で最も離れている状態で、第1反射光P1と第3反射光P3とが、出射面6から出射した後に交差させない形状としている。
【0080】
照明装置1は、上述の構成を有することで、光源2と照明用レンズ3との間の距離を変えて照明範囲を変化させる場合、
図23から
図25に示すように、照明範囲の照度分布の斑の発生を抑えながら照明範囲を変化させることができる。
【0081】
また、
図24および
図25に示されるように、反射照明光の中心部分に生じる暗部の照度を、非反射照明光で効果的に補完することにより、被照明面9における主照明光の照度分布をより均一化できることを、本発明者は、鋭意検討により見出した。
【0082】
図24,25に示すように、照明用レンズ3が中間位置Mあるいは後端位置Rに配置された状態のとき、被照明面9における反射照明光の照度分布は、中央部の照度が低いものとなる。一方、第1入射面4Aを透過する非反射照明光の被照明面9における照度分布は、中央側ほど照度の高いものとなる。したがって、照明装置1は、被照明面9において、反射照明光の中央部の照度分布の低い部分を非反射照明光により補うことで、主照明光の照度分布の均一化を図ることができる。しかしながら、非反射照明光の中央部の照度が高すぎると、主照明光の照度分布の均一化を好適に図ることができない。
【0083】
そこで、本発明の実施の形態に係る照明装置1の第1入射面4Aは、この第1入射面4Aを通過する光線の出射角が所定の角度までの範囲で、出射角が大きくなるほど像高を高くし、所定の出射角を越えると、逆に出射角が大きくなるほど像高を低くする形状とされている。これにより、非反射照明光は、被照明面9における照明範囲の中央側の照度の高まりが抑えられながら周縁側の照度が高められている。このため、反射照明光の中央部の照度分布の低い部分を非反射照明により補う際に、適度に中央部の照度を高めつつ、周縁側の照度も高めることができる。したがって、主照明光全体の被照明面9における照度分布の均一化を好適に図ることができる。
【0084】
(他の形態)
上述した本発明の実施の形態に係る照明装置1は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々の変形実施が可能である。
【0085】
たとえば、照明装置1が有するカム機構31は、レンズ保持筒22の回転角を90°の範囲で、光源2と照明用レンズ3との相対移動量を3mmとする。この相対移動量3mmは、光源2と照明用レンズ3との相対移動量の最大値である。
【0086】
しかしながら、この相対移動量3mmは、光源2と照明用レンズ3との相対移動量の最大値でなくても良い。またこの相対移動量は、レンズ保持筒22の回転角を60°以上120°以下の範囲で、2mm以上4mm以下とすることができる。所望の照明範囲と照度分布を得る場合において、光源2と照明用レンズ3との距離を2mm未満にしてしまうと、照明用レンズ3の効き量を大きくする必要があり(僅かな移動量で照明範囲を可変させなくてはいけない)、照明用レンズ3の径を小さくかつ厚さを厚く形成する必要がある。すると、照明用レンズ3の成形時のヒケなどを生じ易く成形が難しくなる。逆に光源2と照明用レンズ3との相対移動量が4mmを越えてしまうと、照明用レンズ3の径が大きくなり、加えて、所望の照明範囲と照度分布を得難くなる。
【0087】
また、レンズ保持筒22の回転角を60°未満とすると、レンズ保持筒22の回転量に対して光源2と照明用レンズ3との相対移動量の割合が60°以上の場合に比べて大きくなりすぎ、光源2と照明用レンズ3との相対移動量の調整がシビアになり操作し難い。逆に、レンズ保持筒22の回転角が120°を越えると、レンズ保持筒22を片手で一ひねりで回転する操作を行い難くなる。
【0088】
さらに、カム機構31は、レンズ保持筒22の回転角を60°以上120°以下の範囲で、光源と照明用レンズとの相対移動量を2.5mm以上3.5mm以下とすることとしても良い。このようにすることで、上記効果(照明用レンズ3の成形時のヒケ抑制効果、および照明用レンズ3が所望の照明範囲と照度分布を得易くなる効果)がより好ましくなる。
【0089】
さらに、カム機構31は、レンズ保持筒22の回転角を90°±10°以内の範囲で、光源と照明用レンズとの相対移動量を2mm以上4mm以下あるいは2.5mm以上3.5mm以下とすることとしても良い。このようにすることで、人間が片手でレンズ保持筒22を回転する際に、光源2と照明用レンズ3との相対移動量の調整がシビアにならないようにしながら、また、手首や腕に大きな負荷をかけることなく一ひねりで回転操作し易い。
【0090】
また、本発明の実施の形態に係る照明装置1の出射面6にフライアイレンズを配置する構成としてもよい。
図28は、本発明の実施の形態に係る照明装置1の出射面6にフライアイレンズを配置した変形例に係る照明装置の照明用レンズを前端位置Fに配置したときの照度分布を示す図である。
図29は、変形例の照明装置の照明用レンズを後端位置Rと前端位置Fとの中間の中間位置Mに配置したときの照度分布を示す図である。
図30は、変形例の照明装置の照明用レンズを後端位置Rに配置したときの照度分布を示す図である。これらの照度分布は、出射面6から1メートル先の被照明面9における照度分布である。
【0091】
ここで、
図28,
図29と
図30のうち、照度分布の下に文字「変形例」が付されたもの(たとえば(変形例−R反射照明光)など)は、本発明の実施の形態に係る変形例の照明装置の照度分布である。
【0092】
また、
図28,
図29と
図30のうち、照度分布の下に文字「反射光」が付されたもの(たとえば(変形例−R反射照明光)など)は、本発明の実施の形態に係る変形例の照明装置の「反射照明光」の照度分布である。また、
図28,
図29と
図30のうち、照度分布の下に文字「非反射照明光」が付されたもの(たとえば(変形例−R非反射照明光)など)は、変形例の照明装置の「非反射照明光」の照度分布である。さらに、
図28,
図29と
図30のうち、照度分布の下に文字「合成照明光」が付されたもの(たとえば(変形例−R合成照明光)など)は、変形例の照明装置の実際の使用時に出射される光である、「反射照明光」と「非反射照明光」を合成した「合成照明光」の照度分布である。
【0093】
また、
図28,
図29と
図30には、フライアイレンズの効果を確認しやすいように、本発明の実施の形態に係る照明装置1の照度分布も併せて示した。この照明装置1の照度分布は、それぞれ
図23,
図24および
図25からの転載である。
【0094】
フライアイレンズを出射面6に配置し、出射光がフライアイレンズを透過するようにすることで、照度分布の変化がより滑らかになっていることがわかる。
【0095】
また照明用レンズ3は、光軸Lに沿って、光源2から最も離れた前端位置Fから、光源2が第1入射面4Aに近づき凹部8内に入り込む位置の後端位置Rまで移動が可能としている。すなわち照明用レンズ3が移動する範囲は光源2が凹部8の外に配置される位置から光源2が凹部8内に入り込む位置までである。しかしながら、照明用レンズ3が移動する範囲は、光源2が凹部8の外に配置される範囲に限定しても良いし、光源2が凹部8内に配置される範囲に限定しても良い。
【0096】
また光源2には、LEDのチップ部品を用いているが、有機EL等の他の発光素子を用いても良く、発光素子の形状もチップ部品でなくリード付き部品等であっても良い。