【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図16は、第1の従来技術による同軸コネクタの構成を示す縦断面図であり、同軸ケーブルを同軸コネクタに接続する前の状態図である。
図17は、第1の従来技術による同軸コネクタの構成を示す縦断面図であり、同軸ケーブルを同軸コネクタに接続した状態図である。
【0011】
図18は、第1の従来技術による同軸コネクタの構成を示す縦断面図であり、
図17に示した状態からシェルの一部及びハウジングの一部を屈曲した状態図である。
図19は、第1の従来技術による同軸コネクタの構成を示す縦断面図であり、
図18に示した状態からシェルの一部を同軸ケーブルに圧着した状態図である。
【0012】
図20は、第1の従来技術による同軸コネクタの構成を示す側面図である。
図21は、第1の従来技術による同軸コネクタが接続されるリセプタクルの構成を示す縦断面図である。なお、本願の
図16と
図17は、特許文献1の
図1と
図4に相当している。又、本願の
図18と
図19は、特許文献1の
図5と
図8に相当している。更に、本願の
図20は、特許文献1の
図9に相当している。
【0013】
図16から
図20を参照すると、第1の従来技術による同軸コネクタ9は、外部コンタクトとなる導電性を有するシェル91、ハウジング92、及び、中心コンタクト93を備えている。
【0014】
図16又は
図17を参照すると、同軸ケーブルCbは、単線又は撚線からなる円形の中心導体Wc、中心導体Wcの周囲を囲うフッ素系樹脂などの誘電体Di、誘電体Diの周囲を囲う編組線などの外部導体Wb、及び、外部導体Wbを被覆保護する絶縁シースWiで構成している。
図16を参照して、同軸ケーブルCbは、各構成部材がそれらの端末から所定の剥離長で予め剥離されている。つまり、同軸ケーブルCbは、端末処理されている。
【0015】
図16又は
図17を参照すると、シェル91は、導電性を有する金属板からなり、円筒部911とC形チェンネル状の折り曲げ片912を有している。円筒部911は、その一方の面を略円形に開口している。折り曲げ片912は、円筒部911の外周の一部が円筒部911の軸方向に延出している。折り曲げ片912の基端部を略直角に折り曲げて、円筒部911の開口と反対側に対向配置できる(
図18又は
図19参照)。
【0016】
図16から
図19を参照すると、円筒部911は、後述するリセプタクル8の外部コンタクト82を構成する円筒部82rを内部に導入できる(
図21参照)。又、円筒部911は、輪帯突起91dを内壁から突出している。輪帯突起91dは、円筒部911の内周から円筒部911の中心に向かって半円弧状に突出している。輪帯突起91dは、後述する円筒部82rの外周に形成した輪帯溝82dに嵌合できる(
図21参照)。
【0017】
図16から
図19を参照すると、折り曲げ片912は、第1のクリンプバレル91a、第2のクリンプバレル91b、及び、第3のクリンプバレル91cを備えている。これらのクリンプバレル91a・91b・91cは、U字状に開口したオープンクリンプバレルである。これらのオープンクリンプバレルが閉じるように圧着することで、同軸ケーブルCb及びハウジング92を保持できる。
【0018】
図18に示した状態から、第1のクリンプバレル91aをハウジング92の肩部92sに圧着することで、シェル91の内部にハウジング92を保持できる(
図19又は
図20参照)。
図18に示した状態から、第2のクリンプバレル91bを外部導体Wbに圧着することで、シェル91と外部導体Wbを機械的及び電気的に接続できる(
図19又は
図20参照)。
図18に示した状態から、第3のクリンプバレル91cを絶縁シースWiに圧着することで、同軸ケーブルCbの端末に同軸コネクタ9を固定できる(
図19又は
図20参照)。
【0019】
図16から
図19を参照すると、ハウジング92は、円柱状の本体921と帯板状の折り曲げ片922で構成している。本体921は、導入穴92hを中央部に開口している。導入穴92hには、後述するリセプタクル8の円筒状の中心コンタクト81を導入できる(
図21参照)。又、本体921は、中心コンタクト93を上部に配置している。そして、導入穴92hには、中心コンタクト93に設けた一対の挟持片93c・93cを配置している。
【0020】
図16又は
図17を参照すると、折り曲げ片922は、本体921の外周の一部が折り曲げ片912と略平行に延出している。
図16又は
図17に示した状態から、折り曲げ片922の基端部を略直角に折り曲げると、本体921の上部に固定された中心コンタクト93の固定片93aに向けて、屈曲片93bを折りたたむことができる(
図18又は
図19参照)。そして、固定片93aと屈曲片93bで中心導体Wcと接続自在に挟持できる(
図18又は
図19参照)。
図18又は
図19を参照すると、ハウジング92は、シェル91と中心コンタクト93を電気的に絶縁できる。
【0021】
図16又は
図17を参照すると、中心コンタクト93は、V字状に開角した一組の帯板状の固定片93a及び屈曲片93bと、一対の挟持片93c・93cを備えている。固定片93aは、一対の挟持片93c・93cを底部側に突出している。
【0022】
図18又は
図19を参照して、後述するリセプタクル8の中心コンタクト81を導入穴92hに導入すると(
図21参照)、一対の挟持片93c・93cで中心コンタクト81を挟持できる。そして、同軸コネクタ9の中心コンタクト93とリセプタクル8の中心コンタクト81を電気的に接続できる。
【0023】
次に、第1の従来技術による同軸コネクタ9の組立方法を説明する。最初に、
図16を参照して、同軸ケーブルCbの中心導体Wcを固定片93aと屈曲片93bの間に向かって進行する(図中矢印A参照)。次に、
図17に示すように、中心導体Wcを固定片93aと屈曲片93bの間に配置する。
【0024】
次に、
図17を参照して、折り曲げ片912と折り曲げ片922を円筒部911及び本体921に向かって折り曲げる(図中矢印B参照)。これにより、
図18に示すように、固定片93aと屈曲片93bが中心導体Wcを挟持して、中心導体Wcと中心コンタクト93を確実に接続できる。
【0025】
次に、
図18に示した状態から、
図19又は
図20に示すように、第1のクリンプバレル91a、第2のクリンプバレル91b、及び、第3のクリンプバレル91cを圧着することで、同軸ケーブルCbの端末に同軸コネクタ9を固定できる。
【0026】
次に、第1の従来技術による同軸コネクタが接続されるリセプタクルの構成を説明する。
図21を参照すると、従来技術によるリセプタクル8は、円筒状の中心コンタクト81、円筒状の外部コンタクト82、及び、誘電体からなるハウジング83を備えている。
【0027】
図21を参照すると、中心コンタクト81は、円筒状の本体部81bとリード部81rで構成している。本体部81bは、先端部が半球状に閉塞され、内部が中空になっている。リード部81rは、本体部81bの底壁から外周方向に帯状に延びている。リード部81rは、その底面をプリント基板8pの信号ライン(図示せず)にハンダ接合できる。
【0028】
図21を参照すると、外部コンタクト82は、円筒部82rと複数の鍔部82fで構成している。円筒部82rは、上面を開口している。又、円筒部82rは、中心コンタクト81の本体部81bを囲うように、同軸上に内部に配置している。鍔部82fは、円筒部82rの底壁から三方向に帯状に延びている。複数の鍔部82fは、その底面をプリント基板8pのグラウンドパターン(図示せず)にハンダ接合できる。
【0029】
図21を参照すると、ハウジング83は、矩形の板状に形成している。ハウジング83は、中心コンタクト81及び外部コンタクト82を一体成形することで、中心コンタクト81と外部コンタクト82を固定している。円筒部82rの内部では、中心コンタクト81と外部コンタクト82を電気的に絶縁するように、ハウジング83で充実している。
【0030】
図20又は
図21を参照して、同軸コネクタ9をリセプタクル8に接続すると、同軸ケーブルCbに内在する中心導体Wcを中心コンタクト81に接続でき、同軸ケーブルCbに内在する外部導体Wbを外部コンタクト82に接続できる。そして、同軸ケーブルCbから高周波信号をプリント基板8pに伝送でき、プリント基板8pから高周波信号を同軸ケーブルCbに伝送できる。
【0031】
このように、第1の従来技術による同軸コネクタは、一組の同軸コネクタとリセプタクルを用いて、同軸ケーブルとプリント基板を電気的に接続している。
【0032】
しかし、
図18又は
図19を参照すると、第1の従来技術による同軸コネクタ9は、中心コンタクト93を構成する固定片93aと屈曲片93bで、中心導体Wcを挟持している。このような、中心導体Wcを挟持している箇所では、中心導体Wcが複数の素線を撚り合わせた撚線の場合には、複数の素線がほぐれて、中心導体と中心コンタクトの電気的接続が不安定になる心配がある。
【0033】
従来技術による中心コンタクトの構造を変えて、同軸ケーブルの中心導体と中心コンタクトの接続がより確実な、コンタクト及びこのコンタクトを備えた同軸コネクタが求められている。
【0034】
図22は、第2の従来技術による同軸コネクタの構成を示す斜視図であり、
図22(A)は、第2の従来技術による同軸コネクタをオモテ面から観た状態図、
図22(B)は、第2の従来技術による同軸コネクタをウラ面から観た状態図である。
【0035】
図23は、第2の従来技術による同軸コネクタの構成を示す縦断面図であり、
図22のA−A矢視を拡大した断面図である。
【0036】
図24は、第2の従来技術による同軸コネクタの構成を示す斜視分解組立図であり、第2の従来技術による同軸コネクタに備わるシェルを折り曲げ加工する前の状態図である。
【0037】
図25は、第2の従来技術による同軸コネクタの構成を示す斜視分解組立図であり、第2の従来技術による同軸コネクタに備わるシェルを折り曲げ加工する前の状態図である。
【0038】
図26は、第2の従来技術による同軸コネクタの構成を示す斜視図であり、同軸ケーブルの中心導体を中心コンタクトに接続した状態図である。
【0039】
なお、本願の
図22から
図26は、特許文献2の
図1から
図5に相当している。又、第1の従来技術で用いた符号と同じ符号を付した構成品は、その作用を同じにするので説明を省略することがある。
【0040】
図22から
図26を参照すると、第2の従来技術による同軸コネクタ7は、外部コンタクトとなる導電性を有するシェル71、ハウジング72、及び、ベローズ形の中心コンタクト73を備えている。
【0041】
図24又は
図25を参照すると、シェル71は、導電性を有する金属板からなり、円筒部711とC形チェンネル状の折り曲げ片712を有している。円筒部711は、その一方の面を略円形に開口している。折り曲げ片712は、円筒部711の外周の一部が円筒部711の軸方向に延出している。折り曲げ片712の基端部を略直角に折り曲げて、円筒部711の開口と反対側に対向配置できる(
図22又は
図26参照)。
【0042】
図22から
図26を参照すると、円筒部711は、リセプタクル8の外部コンタクト82を構成する円筒部82rを内部に導入できる(
図21参照)。又、円筒部711は、断続する輪帯突起71dを内壁から突出している(
図24又は
図25参照)。輪帯突起71dは、円筒部711の内周から円筒部711の中心に向かって半円弧状に突出している。輪帯突起71dは、円筒部82rの外周に形成した輪帯溝82dに嵌合できる(
図21参照)。
【0043】
図22から
図26を参照すると、折り曲げ片712は、第1のクリンプバレル71a、第2のクリンプバレル71b、及び、第3のクリンプバレル71cを備えている。これらのクリンプバレル71a・71b・71cは、U字状に開口したオープンクリンプバレルである。これらのオープンクリンプバレルが閉じるように圧着することで、同軸ケーブルCb及びハウジング72を保持できる。なお、第1のクリンプバレル71aは、V字状に穿設した条溝71vを有している(
図24参照)。
【0044】
図24又は
図25を参照すると、円筒部711は、一対の延出部713・713を有している。一対の延出部713・713の間には、後述するハウジング72の延出部722を配置できる。これらの延出部713・713は、一対の延出片71s・71s、及び、一対の折り曲げ片71t・71tで構成している。
【0045】
図24又は
図25を参照すると、一対の延出片71s・71sは、円筒部711の末端部から連続し、円筒部711の遠心方向に延びている。そして、一対の延出片71s・71sは、所定の間隔を設けて対向配置されている。一方の延出片71sは、折り曲げ片71tと反対側に押さえ片71rを突出している。
【0046】
図24又は
図25を参照すると、折り曲げ片71tは、延出片71sの一部を略直角に折り曲げている。一対の折り曲げ片71t・71tは、所定の間隔を設けて対向配置されている。一対の折り曲げ片71t・71tには、後述するハウジング72の延出部722を載置できる。
【0047】
図22から
図26を参照すると、ハウジング72は、円柱状の本体721と方形の延出部722で構成している。本体721は、導入穴72hを中央部に開口している。導入穴72hには、リセプタクル8の円筒状の中心コンタクト81を導入できる(
図21参照)。又、本体721は、中心コンタクト73を上部に配置している。そして、導入穴72hには、後述する中心コンタクト73に設けた一対の挟持片73c・73cを配置している(
図22(B)参照)。
【0048】
図24を参照すると、本体721には、導入穴72hと連通した方形の第1溝d1を設けている。一方、延出部722には、第1溝d1に連通する方形の第2溝d2を設けている。第1溝d1の底面に対して、第2溝d2の底面は一段低くなっている。第2溝d2には、後述する中心コンタクト73に設けた接触片732を載置できる。
【0049】
図24を参照すると、延出部722は、一対の側壁72s・72sを有している。一方の側壁72sは、他方の側壁72sより高くなっている。一方の側壁72sは、第2溝d2の底面に向って倒置できる。又、本体721は、押さえ片72rを上面から突出している。押さえ片72rは、第1溝d1の底面に向って倒置できる。
【0050】
図24又は
図25を参照すると、中心コンタクト73は、本体731と帯板状の接触片732を有している。本体731は、天板73aと一対の挟持片73c・73cを有している。一対の挟持片73c・73cの間には、相手側コンタクトを導入でき、中心コンタクト73と相手側コンタクトを電気的に接続できる。
【0051】
図24又は
図25を参照すると、接触片732は、段差部73dを介して、天板73aより一段低くなっている。段差部73dには、位置決め穴73hを開口している。位置決め穴73hには、中心導体Wcの先端部を挿入できる。
【0052】
図26を参照して、中心コンタクト73をハウジング72に組み込み、更に、このハウジング72をシェル71に組み込んだ状態で、中心導体Wcの先端部を位置決め穴73hに挿入すると、第1溝d1と第2溝d2の段差(
図24参照)に、中心導体Wcの先端縁が当接して、同軸コネクタ7に対する同軸ケーブルCbの取り付け位置を規定できる。
【0053】
図26に示した状態から、折り曲げ片712の基端部を略直角に折り曲げて、第1のクリンプバレル71aを円筒部711の延出部713に圧着することで、シェル71の内部にハウジング72を保持できる(
図22(B)又は
図23参照)。
【0054】
図23を参照して、第1のクリンプバレル71aが円筒部711の延出部713を圧着した状態では(
図22参照)、一方の側壁72s及び押さえ片71rを介して、第1のクリンプバレル71aが中心導体Wcを接触片732に押圧している。これにより、中心導体Wcと中心コンタクト73を電気的に接続できる。なお、
図24を参照すると、第1のクリンプバレル71aが略直角の折り曲げられるように、第1のクリンプバレル71aには、条溝71vを有している。
【0055】
又、
図26に示した状態から、折り曲げ片712の基端部を略直角に折り曲げると、押さえ片72rを中心コンタクト73の天板73aに倒置できる。中心コンタクト73の天板73aと折り曲げ片712の間に、押さえ片72rが介在することで、中心コンタクト73の浮き上がりを防止できる。又、シェル71と中心コンタクト73の絶縁を確保できる。
【0056】
図26に示した状態から、折り曲げ片712の基端部を略直角に折り曲げて、第2のクリンプバレル71bを外部導体Wbに圧着することで、シェル71と外部導体Wbを機械的及び電気的に接続できる(
図22又は
図26参照)。
図26に示した状態から、折り曲げ片712の基端部を略直角に折り曲げて、第3のクリンプバレル71cを絶縁シースWiに圧着することで、同軸ケーブルCbの端末に同軸コネクタ7を固定できる(
図22又は
図26参照)。
【0057】
第2の従来技術による同軸コネクタ7は、段差部73dを介して、中心コンタクト73の接触片732を天板73aより一段低く構成しているので、第1の従来技術による同軸コネクタ9と比べて、低背化できるとしている。
【0058】
しかしながら、
図23を参照すると、第1のクリンプバレル71aが中心導体Wcを接触片732に押圧することで、中心導体Wcと中心コンタクト73を電気的に接続している。このような、中心導体Wcを押圧している箇所では、中心導体Wcが複数の素線を撚り合わせた撚線の場合には、複数の素線がほぐれて、中心導体と中心コンタクトの電気的接続が不安定になる心配がある。
【0059】
従来技術による中心コンタクトの構造を変えて、同軸ケーブルの中心導体と中心コンタクトの接続がより確実な、コンタクト及びこのコンタクトを備えた同軸コネクタが求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0060】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、同軸ケーブルの中心導体と中心コンタクトの接続がより確実な、圧接接続型コンタクト及び同軸コネクタを提供することを目的とする。