(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-82764(P2018-82764A)
(43)【公開日】2018年5月31日
(54)【発明の名称】マッサージ機
(51)【国際特許分類】
A61H 7/00 20060101AFI20180427BHJP
A61H 15/00 20060101ALI20180427BHJP
【FI】
A61H7/00 320Z
A61H7/00 322C
A61H15/00 340C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-226068(P2016-226068)
(22)【出願日】2016年11月21日
(71)【出願人】
【識別番号】303016775
【氏名又は名称】株式会社マルタカテクノ
(71)【出願人】
【識別番号】516350433
【氏名又は名称】シアメン コンフォート サイエンス&テクノロジー グループ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】岩立 智雄
【テーマコード(参考)】
4C100
【Fターム(参考)】
4C100AD02
4C100AD33
4C100AE02
4C100AE05
4C100AE15
4C100AF06
4C100AF17
4C100BA05
4C100BB03
4C100BB05
4C100BC03
4C100BC13
4C100CA20
4C100DA11
(57)【要約】
【課題】被施療者の足を挟むときに足の前後位置が変動することを抑制するマッサージ機を提供する。
【解決手段】マッサージ機1は、被施療者15の足17の左右両側部に対向して配置され、分離した一対の側方エアバッグ63と、被施療者15の足裏に対向して配置され、足17の前後位置の変動を抑制する補助ローラー41と、を備えている。側方エアバッグ63が膨張して被施療者15の足17の左右両側部を挟み揉みする際に、補助ローラー41が被施療者15の足裏を押圧することにより、足17の前後位置の変動を抑制するように構成した。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者の足の左右両側部を挟み揉みするマッサージ機であって、
被施療者の足の左右両側部に対向して配置され、分離した一対の側方エアバッグと、
被施療者の足裏に対向して配置され、足の前後位置の変動を抑制する下方支持部材と、を備え、
前記側方エアバッグが膨張して被施療者の足の左右両側部を挟み揉みする際に、前記下方支持部材が被施療者の足裏を押圧することにより、足の前後位置の変動を抑制するように構成したことを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
請求項1に記載のマッサージ機であって、
前記被施療者の足の甲に対向して配置された前方中央部エアバッグをさらに備えたことを特徴とするマッサージ機。
【請求項3】
請求項1または2に記載のマッサージ機であって、
前記側方エアバッグは、被施療者の足の後部における左右両側部に対向して配置され、
前記被施療者の足先の側部を覆う前方側部エアバッグをさらに備えたことを特徴とするマッサージ機。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のマッサージ機であって、
前記下方支持部材は、回転可能なローラー体であることを特徴とするマッサージ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ機に関し、さらに詳しくは、足のマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、足の左右両側部をエアバッグで挟み揉みするマッサージ機が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−304864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1では、被施療者の足を挟むときに足の前後位置が変動し、足の左右両側部を効率的に挟み揉みすることが困難となるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、被施療者の足を挟むときに足の前後位置が変動することを抑制するマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るマッサージ機は、被施療者の足の左右両側部を挟み揉みするマッサージ機である。被施療者の足の左右両側部に対向して配置され、分離した一対の側方エアバッグと、被施療者の足裏に対向して配置され、足の前後位置の変動を抑制する下方支持部材と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るマッサージ機によれば、一対の側方エアバッグが分離しているため、それぞれの側方エアバッグが膨張したとき、かかと部分を側方エアバッグが前側に押し出すことがなくなる。また、下方支持部材が被施療者の足裏を押圧して足の前後位置の変動を抑制する。従って、施療時における足の前後移動を抑制して、足の左右両側部を効率的に挟み揉みすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るマッサージ機および前記マッサージ機で施療している被施療者を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1におけるマッサージ機を示す斜視図であり、カバーを外した状態を示している。
【
図4】
図4は、
図3のうち、ブーツを取り外した状態を示す平面図である。
【
図6】
図6は、
図2,3の左側ブーツを左側方から見た側面図である。
【
図7】
図7は、
図6の左側ブーツを下側から見た底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面とともに詳述する。なお、図面において、被施療者の足を基準として前側をFR、後側をRR、右側をRH、左側をLHと示す。
【0010】
図1〜
図5に示すように、本発明の実施形態に係るマッサージ機1は、外周側を覆うケース3と、ケース3の内部に収容されたローラー機構部5と、ローラー機構部5の上側に配設されたブーツ7と、を備えている。
【0011】
前記ケース3は、
図1,2に示すように、下側に配置されたケース本体9と、ケース本体9の上側を覆うカバー11とから構成される。ケース本体9は、底面と底面の周縁から上方に延びる側面13とから一体に形成されている。カバー11には、被施療者15の足17の挿入口19が左右一対に設けられている。
【0012】
前記ローラー機構部5はケース本体9に収容されており、
図4,5に示すように、3つのヘリカルギアと、ヘリカルギアに結合された駆動軸21と、ヘリカルギアの左右両側において駆動軸21に固定されたローラーとを備えている。
【0013】
前記3つのヘリカルギアは、ケース本体9の左右方向の中央部に前後方向に沿って配置されており、前後に隣接するヘリカルギア同士は互いに歯合されている。具体的には、3つのヘリカルギアは、前側ギア23、中央側ギア25および後側ギア27である。
【0014】
前記ローラーは、最も後側に配置された後側ローラー29と、前後方向中央側の中央側ローラー31と、最も前側に配置された前側ローラー33とからなる。後側ローラー29は、左右方向の両端部が一対の大径部29a,29bであり、一対の大径部29a,29bの間が小径部29cに形成されている。小径部29cには、複数の凸部35が形成されている。中央側ローラー31は、左右方向の両端部が一対の大径部31a,31bであり、一対の大径部31a,31bの間が小径部31cに形成されている。小径部31cには複数の凸部37が形成されている。また、小径部31cには左右方向に延びる支持軸39が配設され、支持軸39に補助ローラー41(下方支持部材、ローラー体)が回転可能な状態で支持されている。前側ローラー33には、複数の凸部43が形成されている。
【0015】
前記後側ローラー29は、被施療者15の足17の後部のかかと近傍部に対応し、中央側ローラー31は土踏まず近傍部に対応し、前側ローラー33は足先近傍部に対応している。
【0016】
以下に、ローラー機構部5の動きを説明する。なお、前提として、ローラー機構部5には、図示しないモーターが搭載され、モーターには回転軸が設けられている。この回転軸にはウォームが形成されており、ウォームは前後方向中央側の中央側ギア25に噛み合っている。
【0017】
まず、図示しないモーターを作動させて回転軸およびウォームが回転すると、ウォームに噛み合っている中央側ギア25に回転力が伝わる。中央側ギア25は、前側ギア23および後側ギア27の双方に噛み合っているため、中央側ギア25と共に前側ギア23および後側ギア27が回転する。
【0018】
次に、中央側ギア25、前側ギア23および後側ギア27には、駆動軸21を介して中央側ローラー31、前側ローラー33および後側ローラー29が結合されているため、これらの中央側ローラー31、前側ローラー33および後側ローラー29が同時に回転する。
【0019】
そして、
図5に示すように、補助ローラー41(ローラー体)が最も上側に配置されたときにモーターの作動を止め、この状態において、後述するエアバッグを膨張させて被施療者15の足17の左右両側部を挟み揉みする。
【0020】
前記ブーツ7は、
図2,6,7に示すように、左側ブーツ51および右側ブーツ53からなる。具体的には、ケース本体9に締結具を介して取り付けられる取付台55と、取付台55に一体に設けられたブーツ本体57と、ブーツ本体57の内周側に配設されたエアバッグとを備えている。なお、
図2,3,6に示すように、ポンプ59から延びるホース61がエアバッグに接続されている。
【0021】
ブーツ本体57の後部の内周側には、左右一対の側方エアバッグ63が留めピン66を介して取り付けられている。側方エアバッグ63は、被施療者15の足17の左右両側部に対向して配置されている。具体的には、被施療者15の足17の後部であるかかと近傍部に対応している。側方エアバッグ63は、内周側から第1エアバッグ65、第2エアバッグ67および第3エアバッグ69が重なって構成されている。第1エアバッグ65と第2エアバッグ67とは互いに連通している。第2エアバッグ67と第3エアバッグ69とは互いに連通している。以上より、第1エアバッグ65、第2エアバッグ67および第3エアバッグ69は、全て連通している。なお、第1エアバッグ65における前後方向の後部には、内周側に突き出る突出部71が設けられている。
図6に示すように、第3エアバッグ69にホース61が接続されているため、ポンプ59から排出されたエアーは、ホース61を介して第3エアバッグ69に流入したのち、第2エアバッグ67および第1エアバッグ65に送られるため、第1エアバッグ65、第2エアバッグ67および第3エアバッグ69はともに膨張する。
【0022】
図6,7に示すように、ブーツ本体57の前部の左右方向中央部の内周側には、平面視が矩形状に形成された前方中央部エアバッグ73が配設されている。前方中央部エアバッグ73は、被施療者15の足17の甲に対向して配置されており、側面視において後方かつ上方に斜めに延びている。なお、本実施形態では、前方中央部エアバッグ73は、2枚のエアバッグが重なって配置され、互いに連通している。
図6に示すように、前方中央部エアバッグ73にホース61が接続されているため、ポンプ59から排出されたエアーは、ホース61を介して前方中央部エアバッグ73に流入し、前方中央部エアバッグ73が膨張する。
【0023】
図6,7に示すように、ブーツ本体57の前部の左右両側の内周側には、前方側部エアバッグ75が配設されている。前方側部エアバッグ75は、被施療者15の足先から足17の前後方向中央部までの範囲の側部に対向して配置されている。
図6に示すように、前方側部エアバッグ75にホース61が接続されているため、ポンプ59から排出されたエアーは、ホース61を介して前方側部エアバッグ75に流入し、前方側部エアバッグ75が膨張する。
【0024】
次いで、本発明の実施形態に係るマッサージ機1の作動手順を説明する。
【0025】
まず、
図1に示すように、カバー11に設けられた挿入口19を介してブーツ内に被施療者15の足17を挿入する。そして、図示しないスイッチをONにすると、ローラー機構部5およびエアバッグが作動する。
【0026】
具体的には、ローラー機構部5においては、図示しないモーターを作動させ、中央側ギア25と共に前側ギア23および後側ギア27が回転し、中央側ローラー31、前側ローラー33および後側ローラー29が同時に回転する。そして、
図5に示すように、補助ローラー41(下方支持部材、ローラー体)が最も上側に配置されたときにモーターの作動を止める。
【0027】
また、ローラー回転と同時にポンプ59を作動させ、側方エアバッグ63、前方中央部エアバッグ73および前方側部エアバッグ75を膨張させる。以上のように、側方エアバッグ63の膨張によって被施療者15の足17の後部であるかかと近傍部を挟み揉みする。その際、前方中央部エアバッグ73の膨張によって、被施療者15の足17の甲を後側に押圧するため、被施療者15の足17の前後位置の変動が抑制される。また、前方側部エアバッグ75の膨張によって、被施療者15の足先の側部を左右から押圧するため、被施療者15の足17の前後位置の変動が抑制される。さらに、補助ローラー41(下方支持部材、ローラー体)が最も上側に配置されているため、被施療者15の足裏の土踏まずを上方に向けて押圧し、足17の前後位置の変動が抑制される。
【0028】
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0029】
(1)本実施形態に係るマッサージ機1は、被施療者15の足17の左右両側部を挟み揉みするマッサージ機1である。被施療者15の足17の左右両側部に対向して配置され、分離した一対の側方エアバッグ63と、被施療者15の足裏に対向して配置され、足17の前後位置の変動を抑制する補助ローラー41(下方支持部材、ローラー体)と、を備えている。側方エアバッグ63が膨張して被施療者15の足17の左右両側部を挟み揉みする際に、補助ローラー41が被施療者15の足裏を押圧することにより、足17の前後位置の変動を抑制するように構成した。
【0030】
左右の側方エアバッグ63が繋がって一体に形成されていると、側方エアバッグ63が膨らんだときに、足17の後端部であるかかと部分を側方エアバッグ63が前側に押し出してしまって足17の前後位置が変動し、足17の左右両側部を効率的に挟み揉みすることが困難である。
【0031】
しかし、本実施形態では、一対の側方エアバッグ63が分離しているため、それぞれの側方エアバッグ63が膨張したとき、かかと部分を側方エアバッグ63が前側に押し出すことがなくなる。また、補助ローラー41が被施療者15の足裏の土踏まず部分を押圧して足17の前後位置の変動を抑制する。
【0032】
以上より、本実施形態では、施療時における足17の前後移動を抑制して、足17の左右両側部を効率的に挟み揉みすることができる。
【0033】
(2)被施療者15の足17の甲に対向して配置された前方中央部エアバッグ73をさらに備えた。
【0034】
前方エアバッグが膨らむと、足17の甲を後方に向けて押圧するため、施療時における足17の前後移動を更に抑制して、足17の左右両側部をより効率的に挟み揉みすることができる。
【0035】
(3)側方エアバッグ63は、被施療者15の足17の後部における左右両側部に対向して配置され、被施療者15の足先の側部を覆う前方側部エアバッグ75をさらに備えた。
【0036】
前方側部エアバッグ75が膨らむと、足先の側部を左右両側から押圧するため、施療時における足17の前後移動を更に抑制して、足17の左右両側部をより効率的に挟み揉みすることができる。
【0037】
(4)下方支持部材は、回転可能な補助ローラー41(ローラー体)であるため、被施療者15の足裏と補助ローラー41との摩擦を効果的に抑制することができる。
【0038】
ところで、本発明は前述の実施形態に例をとって説明したが、本実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。
【0039】
例えば、前述した実施形態においては、モーターのウォームは中央側ギア25に噛み合っている態様とした。しかし、中央側ギア25と後側ギア27とが歯合しないように互いに離間させ、中央側ギア25および後側ギア27の双方にウォームが噛み合うようにしてもよい。この場合、ウォームが回転すると、中央側ギア25および後側ギア27の双方が同時に回転する。また、前側ギア23は中央側ギア25に噛み合っているため、中央側ギア25によって前側ギア23が回転する。
【符号の説明】
【0040】
1 マッサージ機
15 被施療者
17 足
41 補助ローラー(下方支持部材、ローラー体)
63 側方エアバッグ
73 前方中央部エアバッグ
75 前方側部エアバッグ