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特開2018-8353締付トルク管理具、締付トルク管理具付ナット及びボルト、並びに取付物の取付方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-8353(P2018-8353A)
(43)【公開日】2018年1月18日
(54)【発明の名称】締付トルク管理具、締付トルク管理具付ナット及びボルト、並びに取付物の取付方法
(51)【国際特許分類】
   B25B 23/155 20060101AFI20171215BHJP
【FI】
   B25B23/155
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-139153(P2016-139153)
(22)【出願日】2016年7月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000228442
【氏名又は名称】日本クロージャー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000129758
【氏名又は名称】株式会社ケー・エフ・シー
(71)【出願人】
【識別番号】505398952
【氏名又は名称】中日本高速道路株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109243
【弁理士】
【氏名又は名称】元井 成幸
(72)【発明者】
【氏名】山崎 恭典
(72)【発明者】
【氏名】木村 勇輝
【テーマコード(参考)】
3C038
【Fターム(参考)】
3C038AA03
3C038AA04
3C038BC01
3C038EA06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】所定の締付トルクでの螺合締結を確実に行うことができると共に、低コストで作業効率を高めることができ、更に使用可能な螺合部材に高い自由度を有する締付トルク管理具を提供する。
【解決手段】緩み止めナット4など螺合部材の辺部と角部で構成される締付外周面に外嵌される嵌合孔21を有し、嵌合孔21の内部に締付外周面の辺部を当接保持する複数のラチェット舌片22が周方向に間隔を開けてそれぞれ斜めに立ち上がるように螺旋放射状に設けられ、且つ各々のラチェット舌片22の先端部221を嵌入可能な凹部23が設けられている嵌合部2と、螺合部材の締付外周面に対応する外周面を有し、各々のラチェット舌片22が、嵌合孔21に嵌合される螺合部材の締付外周面に対する所定の締付トルクを超える締付トルクの負荷により、付勢されて先端部221が凹部23に嵌入されるように設けられている締付トルク管理具1。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
螺合部材の辺部と角部で構成される締付外周面に外嵌される嵌合孔を有し、前記嵌合孔の内部に前記締付外周面の前記辺部を当接保持する複数のラチェット舌片が周方向に間隔を開けてそれぞれ斜めに立ち上がるように螺旋放射状に設けられ、且つ各々の前記ラチェット舌片の少なくとも先端部を嵌入可能な凹部が設けられている嵌合部と、
前記螺合部材の前記締付外周面に対応する外周面を有し、前記嵌合孔と連通する貫通孔が形成されている締付トルク導入部とが一体形成され、
各々の前記ラチェット舌片が、前記嵌合孔に嵌合される前記締付外周面に対する所定の締付トルクを超える締付トルクの負荷により、付勢されて少なくとも前記先端部が前記凹部に嵌入されるように設けられていることを特徴とする締付トルク管理具。
【請求項2】
前記凹部の口元に、前記凹部に嵌入された前記ラチェット舌片の前記先端部の脱落を防止する脱落防止突起が形成されていることを特徴とする請求項1記載の締付トルク管理具。
【請求項3】
前記ラチェット舌片が前記螺合部材の嵌入方向に延びて設けられ、
前記ラチェット舌片の保持部が前記嵌合孔の奥側に向かって漸次内方に突出するように傾斜して設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の締付トルク管理具。
【請求項4】
各々の前記ラチェット舌片の前記締付トルク導入部側における前記嵌合部に、周方向に延びる弧状のスリット孔が前記嵌合孔と貫通してそれぞれ形成されることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の締付トルク管理具。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の締付トルク管理具の前記嵌合孔がナットの締付外周面に外嵌されて前記締付トルク管理具と前記ナットが一体的に設けられていることを特徴とする締付トルク管理具付ナット。
【請求項6】
請求項1〜4の何れかに記載の締付トルク管理具の前記嵌合孔がボルトの頭部の締付外周面に外嵌されて前記締付トルク管理具と前記ボルトが一体的に設けられていることを特徴とする締付トルク管理具付ボルト。
【請求項7】
請求項1〜4の何れかに記載の締付トルク管理具を用いて取付物を取り付ける取付物の取付方法であって、
前記締付トルク管理具の前記嵌合孔に嵌められて前記ラチェット舌片で当接保持されているナットを取付物から突出するボルト軸部に螺合し、前記締付トルク導入部を回転させて締め付けると共に、前記ボルト軸部を前記貫通孔の内部に突出させる第1工程と、
所定の締付トルクを超える締付トルクを加えて前記ナットの締付外周面の角部で前記ラチェット舌片の少なくとも先端部を前記凹部に嵌入し、前記締付トルク管理具を空転させる第2工程と、
前記締付トルク管理具を前記ナット及び前記ボルト軸部から抜き去る第3工程と
を備えることを特徴とする取付物の取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナットやボルトを螺合して締め付ける際に、締付トルクを管理するために用いられる締付トルク管理具、締付トルク管理具付ナット及びボルト、並びに締付トルク管理具を使用する取付物の取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、取付物に挿通させたボルトをナットで締めて取付物を構造物に取り付ける際、特に取付物の落下が許容されない構造物や振動が生じる構造物に取付物を取り付ける場合には、取付物に挿通されたボルトにナットを螺合してトルクレンチで締め付ける施工を行った後に、1コ1コのナットがきちんと締め付けられているかどうか、再度トルクレンチを締め付けたナットに被せて締め付け確認する管理が一般的に行われている。
【0003】
このような施工後に締め付けを確認する作業を多数のナット締結がなされる場所で実施する場合、再度1箇所ずつトルクレンチをナットに被せて締め付け方向に回転させる作業を多数のナットのそれぞれに対して行うことが必要になるため、多大な労力と長時間を要する作業となる。そのため、斯様な確認作業を要さずに、所定の締付トルクで締め付けを行うことを可能にする締付トルク管理具が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
この締付トルク管理具は、ナットに被着させる凹部を有するカバー体と、締め付け方向に回転される締付体とを、所定の締付トルクで破断される連接部で一体に連接した合成樹脂製であり、ナットに凹部を被着した状態で締付体を回転させ、連接部が破断するまで締付体とナットを回転するものである。この締付トルク管理具によれば、再度トルクレンチを締め付けたナットに被せて締め付け確認する作業を行わずとも、連接部の破断により、所定の締付トルクでのナット締結を行うことができる。
【0005】
また、別のナットの締め付け確認ができるものとして、特許文献2のナットがある。このナットは、上段ナット部と下段ナット部との間に溝部が設けられ、溝部に設けられた連結部で上段ナット部と下段ナット部が連結され、所定の締付トルク以上の締め付けで連結部が破断するようになっている。そして、ナット締付時には所定の締付トルク以上の締め付けで連結部を破断させ、上段ナット部がボルトから離脱される。そのため、所定の締付トルクで締め付けられた状態は、下段ナット部だけがボルトに残された状態となり、この状態は離れた位置から目視確認することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−140832号公報
【特許文献2】特開2015−224781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1の締付トルク管理具では、所定の締付トルクでナット締結をした後に、ナットに被せられた分離したカバー体を取り外すか、或いは分離したカバー体をナットに被せた状態にして接着剤で接着する場合、ナット締め作業後に他の作業が必要になる。このような他の作業を行うと、他の作業に対しての施工確認作業も行う必要が生じ、その分作業時間が延びてしまう。特に、集中工事や夜間通行止めで作業時間に制約がある場合には、作業時間を余分にかけることなく適正な締め付け作業を行うことが強く求められる。
【0008】
また、予めカバー体をナットに被せた状態にして接着剤で接着した締付トルク管理具付ナットをナット締結作業で用いる場合、個々のナットのそれぞれに締付トルク管理具のカバー体を被せて接着剤で接着する作業を事前に行うか、或いはこのような事前に接着された高価な締付トルク管理具付ナットを準備する必要が生じ、作業効率の低下や部品コストの上昇を招いてしまう。
【0009】
また、特許文献2は、連結部の破断によって外れる上段ナット部と、そのままナットとして機能する下段ナット部が一体に形成されるナットであるため、ナットを自由に選定することが出来ない。例えば特殊な緩み止めナットを使用することが先に決まっている場合や、ナットの高さが指定されている場合には特許文献2のナットを用いずことはできず、このような場合には締付トルクの管理を行うことができない。更に、上段ナット部と下段ナット部は同じ材質にする必要があり、この点からも使用可能なナットの自由度が制限される。
【0010】
本発明は上記課題に鑑み提案するものであって、所定の締付トルクでの螺合締結を確実に行うことができると共に、低コストで作業効率を高めることができ、更に使用可能な螺合部材に高い自由度を有する締付トルク管理具、締付トルク管理具付ナット及びボルト、並びに締付トルク管理具を用いる取付物の取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の締付トルク管理具は、螺合部材の辺部と角部で構成される締付外周面に外嵌される嵌合孔を有し、前記嵌合孔の内部に前記締付外周面の前記辺部を当接保持する複数のラチェット舌片が周方向に間隔を開けてそれぞれ斜めに立ち上がるように螺旋放射状に設けられ、且つ各々の前記ラチェット舌片の少なくとも先端部を嵌入可能な凹部が設けられている嵌合部と、前記螺合部材の前記締付外周面に対応する外周面を有し、前記嵌合孔と連通する貫通孔が形成されている締付トルク導入部とが一体形成され、各々の前記ラチェット舌片が、前記嵌合孔に嵌合される前記締付外周面に対する所定の締付トルクを超える締付トルクの負荷により、付勢されて少なくとも前記先端部が前記凹部に嵌入されるように設けられていることを特徴とする。
これによれば、螺合部材の締め付けに際して締付トルク導入部を回転させると、締付トルク導入部から嵌合部、ラチェット舌片を介して螺合部材へと締付トルクが伝達され、所定の締付トルクを超えたところでラチェット舌片の先端部が凹部に嵌入して締付トルク管理具が空転するので、作業者が所定の締付トルクでの締結完了を容易且つ明確に検知することができ、所定の締付トルクでの螺合締結、正確なトルク管理を確実に行うことができる。更に、この所定の締付トルクでの螺合締結、正確なトルク管理は、締付トルク管理具を回転させる方法の種類に依らずに行うことができ、例えば電動工具で締付トルク導入部を把持して高速回転でナット締めしても確実に所定の締付トルクでの螺合締結、正確なトルク管理を行うことができる。また、ラチェット舌片が凹部に嵌入して締付トルク管理具が空転する状態でも、嵌合部と締付トルク導入部は破断することなく一体性を維持することから、所定の締付トルクでの螺合締結後に、一体的な締付トルク管理具を容易に螺合部材から取り外すことができる。即ち、締結後に締付トルク管理具の分離したカバー体等の一部分を取り外したり、ナット等の螺合部材に接着剤で接着する作業が不要となる。また、事前に締付トルク管理具をナット等の螺合部材に接着剤で接着する作業も不要である。従って、全体的な作業工程を削減し、作業効率を高めることができる。また、事前接着の作業コストを含む高価な締付トルク管理具付ナット等が不要であり、低コストで所定の締付トルクでの螺合締結を行うことができる。また、施工管理者は、締付トルク管理具の残留がないことを確認するだけで、所定の締付トルクでの螺合締結、施工完了を容易に手間無く確認することができると共に、遠くから目視しても容易に施工完了を確認することができる。また、締付トルク管理具は破断することなく施工後に一体として取り外すことができるため、施工ナット本数と締付トルク管理具の数量を管理することにより、確実に施工管理をすることができる。また、ナット等の螺合部材の変形や破断を要せず、ナット等の螺合部材の種類を選ばずに適用することができ、例えば緩み止めナットのような特殊なナットに適用することも可能であり、使用可能な螺合部材に高い自由度を有し、汎用性に非常に優れる。また、ラチェット舌片が凹部に嵌入して締付トルク管理具が空転するので、ラチェット舌片が削られて破片や粉が出ることがなく、破片や粉の清掃作業も不要である。
【0012】
本発明の締付トルク管理具は、前記凹部の口元に、前記凹部に嵌入された前記ラチェット舌片の前記先端部の脱落を防止する脱落防止突起が形成されていることを特徴とする。
これによれば、螺合部材の締付時に凹部に嵌入されたラチェット舌片の先端部の脱落を防止し、ラチェット片が嵌入前の状態に復元することを確実に防止することができ、所定の締付トルクを超える締め付けを行った後の締付トルク管理具の空転状態をより確実に維持することができる。
【0013】
本発明の締付トルク管理具は、前記ラチェット舌片が前記螺合部材の嵌入方向に延びて設けられ、前記ラチェット舌片の保持部が前記嵌合孔の奥側に向かって漸次内方に突出するように傾斜して設けられていることを特徴とする。
これによれば、螺合部材の締付外周面の安定した保持を確保しつつ、螺合部材の締付外周面を嵌合孔に圧入し易くすることができ、締付トルク管理具へのナット等の螺合部材の取付作業を容易化することができる。
【0014】
本発明の締付トルク管理具は、各々の前記ラチェット舌片の前記締付トルク導入部側における前記嵌合部に、周方向に延びる弧状のスリット孔が前記嵌合孔と貫通してそれぞれ形成されることを特徴とする。
これによれば、例えば弧状のスリット孔を利用して樹脂成形型の一部を嵌合孔内に入れ込むような配置で合成樹脂で成形する、或いはスリット孔を利用してラチェット舌片の可動可能部分の上側を嵌合孔の天井面と切り離すなど、嵌合孔の天井面と可動可能部分が離間されたラチェット片を容易に形成することができる。また、嵌合部の天井面と可動可能部分が離間したラチェット舌片とすることができるので、ラチェット舌片を天井面に拘束されることなく自由に柔らかく動けるようにすることが可能であり、ラチェット舌片の先端部を凹部にスムーズに嵌入する動作を得ることができる。
【0015】
本発明の締付トルク管理具付ナットは、本発明の締付トルク管理具の前記嵌合孔がナットの締付外周面に外嵌されて前記締付トルク管理具と前記ナットが一体的に設けられていることを特徴とする。
これによれば、締付トルク管理具とナットが一体的に設けられた締付トルク管理具付ナットを用いて締結作業を行うことにより、ナットの締結作業を一層効率的に行うことができる。
【0016】
本発明の締付トルク管理具付ボルトは、本発明の締付トルク管理具の前記嵌合孔がボルトの頭部の締付外周面に外嵌されて前記締付トルク管理具と前記ボルトが一体的に設けられていることを特徴とする。
これによれば、締付トルク管理具とボルトが一体的に設けられた締付トルク管理具付ボルトを用いて締結作業を行うことにより、ボルトの締結作業を一層効率的に行うことができる。
【0017】
本発明の取付物の取付方法は、本発明の締付トルク管理具を用いて取付物を取り付ける取付物の取付方法であって、前記締付トルク管理具の前記嵌合孔に嵌められて前記ラチェット舌片で当接保持されているナットを取付物から突出するボルト軸部に螺合し、前記締付トルク導入部を回転させて締め付けると共に、前記ボルト軸部を前記貫通孔の内部に突出させる第1工程と、所定の締付トルクを超える締付トルクを加えて前記ナットの締付外周面の角部で前記ラチェット舌片の少なくとも先端部を前記凹部に嵌入し、前記締付トルク管理具を空転させる第2工程と、前記締付トルク管理具を前記ナット及び前記ボルト軸部から抜き去る第3工程とを備えることを特徴とする。
これによれば、本発明の締付トルク管理具と同様の効果が得られると共に、ナットからボルト軸部が突出する長さ如何に拘わらず、所定の締付トルクでの螺合締結を確実に行うことができる。また、ラチェット舌片の凹部への嵌入、締付トルク管理具の空転により、一体的な締付トルク管理具を非常に容易に螺合部材から取り外すことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、所定の締付トルクでの螺合締結を確実に行うことができると共に、低コストで作業効率を高めることができる。更に、使用可能な螺合部材の自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】(a)は本発明による第1実施形態の締付トルク管理具の正面側斜視図、(b)はその底面側斜視図、(c)はその縦断面図。
図2】(a)〜(c)は第1実施形態の締付トルク管理具のラチェット片の嵌入を説明する底面説明図。
図3】第1実施形態の締付トルク管理具と嵌め込まれるナットを示す斜視図。
図4】取付物から突出したボルト軸部とこれに螺合される第1実施形態の締付トルク管理具に嵌め込まれたナットを示す斜視説明図。
図5】(a)は本発明による第2実施形態の締付トルク管理具の正面側斜視図、(b)はその底面側斜視図、(c)はその縦断面図。
図6】(a)〜(c)は第2実施形態の締付トルク管理具のラチェット片の嵌入を説明する底面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
〔第1実施形態の締付トルク管理具〕
本発明による第1実施形態の締付トルク管理具1は、図1図4に示すように、嵌合部2と締付トルク導入部3が一体形成されたものであり、全体がポリプロピレンやポリエチレン、ABS樹脂等の共重合合成樹脂、或いはポリカーボネート等の耐熱性に優れるエンジニアリングプラスチック等の合成樹脂又はアルミニウムやアルミニウム合金等で一体的に形成されている。
【0021】
嵌合部2には、ナット或いはボルトである螺合部材の締付外周面に外嵌される嵌合孔21が略中央に形成されている。嵌合孔21の内部には、ナット或いはボルト頭部等の辺部と角部で構成される螺合部材の締付外周面に対し、その辺部を当接保持する複数のラチェット舌片22が周方向に間隔を開けてそれぞれ斜めに立ち上がるように螺旋放射状に右締めの締付方向の反対に向かって延びるように設けられている。ラチェット舌片22は根元で嵌合孔21の内周壁に繋がり、その根元よりも上側は可動可能部分になっている。図示例では、六角ナット或いは六角形のボルト頭部の各辺部に対応する位置に、それぞれの辺部に各保持部222が当接するようにして各ラチェット舌片22が設けられている。
【0022】
嵌合孔21の内部には、各々のラチェット舌片22の先端部221を嵌入可能な凹部23が設けられている。そして、それぞれのラチェット舌片22は、嵌合孔21に嵌合される螺合部材の締付外周面に対する所定の締付トルクを超える締付トルクの負荷により、螺合部材で付勢されて先端部221が対応する凹部23にそれぞれ嵌入されるようにして設けられている。また、本実施形態では、一体形成されている締付トルク管理具1の素材の硬度を、螺合部材の硬度或いはその締付外周面の硬度より低くし、相対的にラチェット舌片22が柔らかくなるようにして、ラチェット舌片22が螺合部材で付勢されて先端部221が対応する凹部23に嵌入されやすくしている。
【0023】
嵌合孔21の内周面211は、螺合部材の嵌入方向(図1(c)の上方向)に向かって嵌合孔21の内径が僅かに小さくなるように傾斜して形成されている。そして、ラチェット舌片22は螺合部材の嵌入方向に延びて設けられ、且つ嵌入方向に亘って全体として略同一高さで形成され、内周面211の傾斜に倣って形成されることにより、ラチェット舌片22の保持部222が嵌合孔22の奥側に向かって漸次内方に突出するように僅かに傾斜して設けられている。また、嵌合孔21の内周面211は、ナット或いはボルト頭部等の角部422には接触しない構成となっている。
【0024】
このラチェット舌片22が形成された嵌合孔21には、ナット或いはボルト頭部等の辺部と角部で構成される螺合部材の締付外周面が嵌入され、締付外周面の各辺部の一部分にラチェット舌片22が押圧するように当接し各辺部を部分的に保持するようにして、螺合部材の締付外周面が嵌合されるようになっている。この嵌合孔21に嵌め込まれるナットやボルトには適宜種類のものを用いることが可能であり、例えば通常のナット以外の図2(b)、図3図4に示す緩み止めナット4を嵌合してもよい。
【0025】
この緩み止めナット4は、内側に雌ねじ孔41が形成され、辺部421と角部422で構成される平面視略六角形の締付外周面42を有すると共に、雌ねじ孔41の上端近傍、嵌合孔21に嵌め込んだ状態では締付トルク導入部3側において、雌ねじ孔41の内側に突出するように対向する位置に板バネ43が設けられたものである。緩み止めナット4は、雌ねじ孔41にボルト軸部が螺合された状態で、板バネ43が変形してボルト軸部のネジ山に係合して緩み止め機能を発揮する。尚、一般的に緩み止め機能を有するナットは締付トルク管理を的確に行うことによってはじめて緩み止め効果を発現できることから、本発明が特に有効に効果を発現する。
【0026】
嵌合部2の平面視の外形形状は適宜であるが、例えば嵌合孔21の周囲に所要の肉厚を確保して安定した強度を得られる形状等とし、図示例では平面視略円形の外形形状になっている。そして、それぞれのラチェット舌片22の可動可能部分の締付トルク導入部3側における嵌合部2には、周方向に延びる弧状のスリット孔24が嵌合孔と貫通してそれぞれ形成されている。また、それぞれのラチェット舌片22の根元に略対応する部分の締付トルク導入部3側における嵌合部2は非開口になっており、非開口部25が設けられている。
【0027】
締付トルク導入部3は、ナット或いはボルトである螺合部材の締付外周面に対応する外周面31を有し、ナット或いはボルト頭部等の辺部と角部で構成される螺合部材の締付外周面に対応する形状になっている。図示例では、平面視略正六角形であるナット或いはボルト頭部の締付外周面の形状に対応して平面視略正六角形に形成されている。また、締付トルク導入部3の外周面31の大きさは、ナット或いはボルト頭部等の締付外周面の大きさと略同一になっている。
【0028】
締付トルク導入部3の略中央には、嵌合孔21と連通する貫通孔32が形成されている。貫通孔32の平面視形状と外径は、嵌合孔21に嵌め込まれたナットから螺合によって突出するボルト軸部が貫通孔32の内周面に接触しない構成であれば適宜であり、例えば図4に示すように、嵌合孔21に嵌め込まれた緩み止めナット4から螺合によって突出するボルト軸部5が貫通孔32の内周面に接触しない構成とされる。
【0029】
締付トルク管理具1は、施工現場にて締結するナットの締付外周面或いはボルトの頭部の締付外周面に嵌合孔21を外嵌してナット或いはボルト頭部に設置し、締付トルク導入部3をトルクレンチ等の工具で回転させるようにして使用してもよいが、例えば図2(b)のように締付トルク管理具1の嵌合孔21を緩み止めナット4の締付外周面42に工場で外嵌して締付トルク管理具1と緩み止めナット4を一体的に設けた締付トルク管理具付ナットなど、締付トルク管理具1とナットを一体的に設けた締付トルク管理具付ナットを予め構成し、締付トルク管理具付ナットを用いて施工現場でナット締結、取付物の取付作業を行うようにすると、ナット締結作業を一層効率的且つ確実に行うことができて好適である。
【0030】
この締付トルク管理具1或いは締付トルク管理具付ナットを用いて取付物7を取り付ける際には、例えば図4に示すように、取付物7から突出するボルト軸部5にワッシャー6を外挿して介在させ、ワッシャー6の外側において締付トルク管理具1の嵌合孔21に嵌められてラチェット舌片22で当接保持されている緩み止めナット4を取付物7から突出するボルト軸部5に螺合する。そして、図2(b)の太線二点鎖線矢印の方向に、締付トルク導入部3をトルクレンチ等の工具で回転させて締め付け、緩み止めナット4の螺入を進めてボルト軸部5を貫通孔32の内部に突出させる。図示例では貫通孔32からボルト軸部5の先端部分が外側に突出するまで緩み止めナット4を螺入している。
【0031】
その後、緩み止めナット4を次第に緊締していき、所定の締付トルクを超える締付トルクを加えて締付トルク導入部3を回転させると、緩み止めナット4の辺部421、角部422でラチェット舌片22が放射方向に拡開されるように変形され、緩み止めナット4の締付外周面42の角部422でラチェット舌片22の先端部221が凹部23に嵌入され、締付トルク管理具1が空転する(図2(b)、(c)参照)。図示例ではラチェット舌片22の略円柱状の先端部221が凹部23に嵌め込まれるようになっている。
【0032】
その後、空転する状態となった締付トルク管理具1を緩み止めナット4及びボルト軸部5から抜き去り、緩み止めナット4の締結による取付物7の取り付けが完了する。
【0033】
尚、締付トルク管理具1の嵌合孔21をボルトの頭部の締付外周面に外嵌して締付トルク管理具1とボルトを一体的に設けた締付トルク管理具付ボルトを予め構成し、この締付トルク管理具付ボルトを用いて施工現場でボルト締結、取付物の取付作業を行うようにしてもよい。この締付トルク管理具付ボルトを用いて締結作業を行うことにより、ボルトの締結作業を一層効率的に行うことが可能となる。
【0034】
第1実施形態によれば、螺合部材の締め付けに際して締付トルク導入部3を回転させると、締付トルク導入部3から嵌合部2、ラチェット舌片22を介して螺合部材へと締付トルクが伝達され、所定の締付トルクを超えたところでラチェット舌片22の先端部221が凹部23に嵌入して締付トルク管理具1が空転するので、作業者が所定の締付トルクでの締結完了を容易且つ明確に検知することができ、所定の締付トルクでの螺合締結、正確なトルク管理を確実に行うことができる。更に、この所定の締付トルクでの螺合締結、正確なトルク管理は、締付トルク管理具1を回転させる方法の種類に依らずに行うことができ、例えば電動工具で締付トルク導入部3を把持して高速回転でナット締めしても確実に所定の締付トルクでの螺合締結、正確なトルク管理を行うことができる。
【0035】
また、ラチェット舌片22が凹部23に嵌入して締付トルク管理具1が空転する状態でも、嵌合部2と締付トルク導入部3は破断することなく一体性を維持することから、所定の締付トルクでの螺合締結後に、一体的な締付トルク管理具1を容易に螺合部材から取り外すことができる。即ち、締結後に締付トルク管理具1の分離したカバー体等の一部分を取り外したり、ナット等の螺合部材に接着剤で接着する作業が不要となる。また、事前に締付トルク管理具1をナット等の螺合部材に接着剤で接着する作業も不要である。従って、全体的な作業工程を削減し、作業効率を高めることができる。また、事前接着の作業コストを含む高価な締付トルク管理具付ナット等が不要であり、低コストで所定の締付トルクでの螺合締結を行うことができる。
【0036】
また、施工管理者は、締付トルク管理具1の残留がないことを確認するだけで、所定の締付トルクでの螺合締結、施工完了を容易に手間無く確認することができると共に、遠くから目視しても容易に施工完了を確認することができる。また、締付トルク管理具1は破断することなく施工後に一体として取り外すことができるため、施工ナット本数と締付トルク管理具1の数量を管理することにより、確実に施工管理をすることができる。また、ナット等の螺合部材の変形や破断を要せず、ナット等の螺合部材の種類を選ばずに適用することができ、例えば緩み止めナット4のような特殊なナットに適用することも可能であり、使用可能な螺合部材に高い自由度を有し、汎用性に非常に優れる。また、ラチェット舌片22が凹部23に嵌入して締付トルク管理具1が空転する構成であるから、ラチェット舌片22が削られて破片や粉が出ることがなく、破片や粉の清掃作業も不要である。
【0037】
また、ラチェット舌片22を螺合部材の嵌入方向に延ばして設け、ラチェット舌片22の保持部222を嵌合孔21の奥側に向かって漸次内方に突出するように傾斜して設けることにより、螺合部材の締付外周面の安定した保持を確保しつつ、螺合部材の締付外周面を嵌合孔21に圧入し易くすることができ、締付トルク管理具1へのナット等の螺合部材の取付作業を容易化することができる。
【0038】
また、スリット孔24により、例えば弧状のスリット孔24を利用して樹脂成形型の一部を嵌合孔内に入れ込むような配置で合成樹脂で成形する、或いはスリット孔24を利用してラチェット舌片の可動可能部分の上側を嵌合孔の天井面と切り離すなど、嵌合孔21の天井面と可動可能部分が離間されたラチェット片22を容易に形成することができる。また、嵌合部21の天井面と可動可能部分が離間したラチェット舌片22とすることができるので、ラチェット舌片22を天井面に拘束されることなく自由に柔らかく動けるようにすることが可能であり、ラチェット舌片22の先端部221を凹部23にスムーズに嵌入する動作を得ることができる。更に、非開口部25により、ラチェット舌片22の根元に略対応する部分の剛性を高めることができ、所定の締付トルクまで締付トルク管理具1とラチェット舌片22で保持される螺合部材を確実に一緒に回転させることが可能となる。
【0039】
また、締付トルク管理具1の嵌合孔21に緩み止めナット4等のナットを嵌め込んで用いる場合には、嵌合孔21が貫通孔32に連通して、ボルト軸部5の貫通孔32内への突出や貫通孔32の嵌合孔21とは逆側への突出を許容する構成になっていることから、螺合するナットからボルト軸部5が突出する長さ如何に拘束されず、所定の締付トルクでの螺合締結を確実に行うことができる。また、ラチェット舌片22の凹部23への嵌入、締付トルク管理具1の空転により、一体的な締付トルク管理具1を非常に容易に螺合部材から取り外すことができる。また、本実施形態において、ラチェット舌片22は、周方向に見て右締めの締付方向の反対に向かって延びているが、これを右締めの締付方向に延びるように適宜設計することも可能である。
【0040】
〔第2実施形態の締付トルク管理具〕
本発明による第2実施形態の締付トルク管理具1aは、図5及び図6に示すように、嵌合部2aと第1実施形態と同様の締付トルク導入部3が一体形成されたものであり、全体がポリプロピレンやポリエチレン、ABS樹脂等の共重合合成樹脂、或いはポリカーボネート等の耐熱性に優れるエンジニアリングプラスチック等の合成樹脂又はアルミニウムやアルミニウム合金等で一体的に形成されている。
【0041】
嵌合部2aには、ナット或いはボルトである螺合部材の締付外周面に外嵌される嵌合孔21が略中央に形成されている。嵌合孔21の内部には、ナット或いはボルト頭部等の辺部と角部で構成される螺合部材の締付外周面に対し、その辺部を当接保持する複数のラチェット舌片22aが周方向に間隔を開けてそれぞれ斜めに立ち上がるように螺旋放射状に設けられている。ラチェット舌片22aは根元で嵌合孔21の内周壁に繋がり、その根元よりも上側は可動可能部分になっている。図示例では、六角ナット或いは六角形のボルト頭部の各辺部に対応する位置に、それぞれの辺部に各保持部222aが当接するようにして各ラチェット舌片22aが設けられている。
【0042】
嵌合孔21の内部には、各々のラチェット舌片22aの先端部221aを嵌入可能な凹部23aが設けられている。それぞれのラチェット舌片22aは、嵌合孔21に嵌合される螺合部材の締付外周面に対する所定の締付トルクを超える締付トルクの負荷により、螺合部材で付勢されて先端部221aが対応する凹部23aにそれぞれ嵌入されるようにして設けられている。尚、本実施形態でも締付トルク管理具1の素材の硬度は、螺合部材の硬度或いはその締付外周面の硬度より低くなっている。
【0043】
更に、凹部23aの口元には、凹部23aに嵌入されたラチェット舌片22aの先端部221aの脱落を防止する脱落防止突起231aが形成されている。図示例の脱落防止突起231aは、凹部23aに対応して嵌合されるラチェット舌片22aとは逆側に位置する凹部23aの口元にて、対応するラチェット舌片22aの方に向かって突出するように形成されている。
【0044】
嵌合孔21の内周面211は、第1実施形態と同様に、螺合部材の嵌入方向(図5(c)の上方向)に向かって嵌合孔21の内径が僅かに小さくなるように傾斜して形成されている。そして、ラチェット舌片22aは螺合部材の嵌入方向に延びて設けられ、且つ嵌入方向に亘って全体として略同一高さで形成され、内周面211の傾斜に倣って形成されることにより、ラチェット舌片22aの保持部222aが嵌合孔21の奥側に向かって漸次内方に突出するように僅かに傾斜して設けられている。また、嵌合孔21の内周面211は、ナット或いはボルト頭部等の角部422には接触しない構成となっている。
【0045】
このラチェット舌片22aが形成された嵌合孔21には、ナット或いはボルト頭部等の辺部と角部で構成される螺合部材の締付外周面が嵌入され、締付外周面の各辺部の一部分にラチェット舌片22aが当接し各辺部を部分的に保持するようにして、螺合部材の締付外周面が嵌合される。この嵌合孔21に嵌め込まれるナットやボルトにも緩み止めナット4など適宜種類のものを用いることが可能である。
【0046】
嵌合部2aの平面視の外形形状も適宜であり、図示例の平面視略円形の外形形状など、嵌合孔21の周囲に所要の肉厚を確保して安定した強度を得られる形状等とする。そして、それぞれのラチェット舌片22aの可動可能部分の締付トルク導入部3側における嵌合部2aには、周方向に延びる弧状のスリット孔24が嵌合孔と貫通してそれぞれ形成されている。また、それぞれのラチェット舌片22aの根元に略対応する部分の締付トルク導入部3側における嵌合部2aは非開口になっており、非開口部25が設けられている。
【0047】
第2実施形態の締付トルク管理具1aのその他の構成は第1実施形態の締付トルク管理具1と同様である。更に、締付トルク管理具1aを用いて第1実施形態と同様に、締付トルク管理具付ナット、或いは締付トルク管理具付ボルトを構成することができる。また、例えば緩み止めナット4の締付外周面42の角部422でラチェット舌片22aの先端部221aを含む可動可能部分が凹部23aに嵌入し、締付トルク管理具1aを空転する(図6(b)、(c)参照)など、第1実施形態と同様の工程により、取付物7の取り付けを行うことができる。
【0048】
第2実施形態によれば、脱落防止突起231aにより、螺合部材の締付時に凹部23aに嵌入されたラチェット舌片22aの先端部221aの脱落を防止し、ラチェット片22aが嵌入前の状態に復元することを確実に防止することができ、所定の締付トルクを超える締め付けを行った後の締付トルク管理具1aの空転状態をより確実に維持することができる。その他、第1実施形態と対応する構成から対応する効果を得ることができる。
【0049】
〔実施形態の変形例等〕
本明細書開示の発明は、各発明、各実施形態の他に、適用可能な範囲で、これらの部分的な構成を本明細書開示の他の構成に変更して特定したもの、或いはこれらの構成に本明細書開示の他の構成を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な構成を部分的な作用効果が得られる限度で削除して特定した上位概念化したものを含むものであり、下記変形例も包含する。
【0050】
例えば本発明における嵌合部のラチェット舌片や凹部の形状、構成は、第1、第2実施形態のラチェット舌片22、22a、凹部23、23aに限定されず、複数のラチェット舌片は、螺合部材の締付外周面に当接して保持するように、周方向に間隔を開けてそれぞれ斜めに立ち上がるように螺旋放射状に設けられるものであれば適宜であり、又、それぞれの凹部は、対応するラチェット舌片の先端部を嵌入可能なものであれば適宜である。
【0051】
また、ラチェット舌片22の保持部222、ラチェット舌片22aの保持部222aを嵌合孔21の奥側に向かって漸次内方に突出するように傾斜して設ける構成では、嵌合孔21の内周面211はテーパ状に傾斜させずに、ラチェット舌片22、22aの高さが嵌合孔21の奥側に向かって漸次内方に突出して傾斜するように高さが高くなる構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、例えば取付板、接続板等の取付物を各種構造物に螺合締結して取り付ける際に利用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1、1a…締付トルク管理具 2、2a…嵌合部 21…嵌合孔 211…内周面 22、22a…ラチェット舌片 221、221a…先端部 222、222a…保持部 23、23a…凹部 231a…脱落防止突起 24…スリット孔 25…非開口部 3…締付トルク導入部 31…外周面 32…貫通孔 4…緩み止めナット 41…雌ねじ孔 42…締付外周面 421…辺部 422…角部 43…板ばね 5…ボルト軸部 6…ワッシャー 7…取付物
図1
図2
図3
図4
図5
図6